JP2004233393A - 可変型光減衰装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】高精度の機器を用いることなく、コストの増加を抑制しつつ、容易に光源からの光量の減衰制御を高精度に行うことのできる可変型光減衰装置を提供する。
【解決手段】可変型光減衰装置に含まれるガルバノメータ12は、電流値に応じて回転角度を固定できる遮蔽板10を有している。この遮蔽板10の表面には、光源24からの光束が通過可能な複数の異なる種類のスリット22が形成され、前記光源24の光軸と初期状態の前記遮蔽板10の任意の1つのスリット22の幾何学上の中心を一致させた上で、遮蔽板10の回転角を選択し、遮蔽板10通過後の光束の光量の減衰制御を行う。
【選択図】 図1
【解決手段】可変型光減衰装置に含まれるガルバノメータ12は、電流値に応じて回転角度を固定できる遮蔽板10を有している。この遮蔽板10の表面には、光源24からの光束が通過可能な複数の異なる種類のスリット22が形成され、前記光源24の光軸と初期状態の前記遮蔽板10の任意の1つのスリット22の幾何学上の中心を一致させた上で、遮蔽板10の回転角を選択し、遮蔽板10通過後の光束の光量の減衰制御を行う。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、可変型光減衰装置、特に、光源からの光量を高精度に減衰制御することのできる可変型光減衰装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来からパルスレーザ発振器等の光源からの光束(例えばパルスレーザ光)の光量を遮蔽板を用いて部分的に遮蔽することにより光量を減衰変化させる減衰装置がある。
【0003】
例えば、光源から照射される光束の光軸上に、光束の断面と略同じ大きさのスリットを有する遮蔽板を前記光軸と直交する直交面と平行に配置する。この遮蔽板には、前記直交面に対し所定の角度で遮蔽板を回転(揺動)させる駆動装置が接続されている。この駆動装置は、例えば遮蔽板の回転軸にガルバノメータを接続したり、パルスモータ等を接続することにより構成することができる。
【0004】
光源からの光量の減衰制御を行わない場合には、遮蔽板を光軸に対し直交するように駆動装置を制御する。すなわち駆動装置による回転角度を「ゼロ」になるように遮蔽板を位置決めする。この場合、遮蔽板には、光束の断面積と略同一のスリットが形成されているので、光束は光量を減衰することなく通過する。すなわち、出力側(通過後)は、減衰の無い状態の光量で光束を出力することができる。
【0005】
一方、光量の減衰制御を行いたい場合、遮蔽板を前記直交面に対し回転させる。その結果、光源側から見た場合のスリットの見かけの面積が回転角度に応じて減少する。すなわち、スリットを通過する光束の一部が傾いた遮蔽板によって遮らる。その結果、出力側(通過後)は、回転角度に応じて減衰した光量の光束を出力することができる(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開平10−137966号公報(図1、図2)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の減衰装置は、遮蔽板の回転角度のみにより光の減衰量が決定されるため、減衰制御量には限界があるという問題があった。
【0008】
光の減衰量をより高精度に制御しようとする場合、異なるスリットを有する専用の遮蔽板を新たに作成し光軸上にセットする必要がある。この場合、専用の遮蔽板の光軸へのセッティング、調整、複数存在する遮蔽板の管理等に必要な工数の増加等が生じ、新たな問題を誘発する。また、遮蔽板の回転角度は、それを駆動する駆動装置の性能に支配されるため、回転角度を高精度に制御できる高精度の駆動装置を採用すれば、専用のスリットを有する遮蔽板を用いること無く高精度の減衰量制御を行うことができるが、やはり高精度の機器(駆動装置)の採用は装置コストの増加を招くという問題を生じる。
【0009】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、高精度の機器を用いることなく、コストの増加を抑制しつつ、容易に光源からの光量の減衰制御を高精度に行うことのできる可変型光減衰装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記のような目的を達成するために、本発明の可変型光減衰装置は、光源と、平面上に前記光源からの光束が通過可能な複数の異なる種類のスリットを有し、その周縁部に平面コイルを有すると共に任意の対向位置がトーションバーを介して軸支された平面板であって、前記平面コイルに電流が流れた場合に、所定磁界中で回転自在な遮蔽板と、前記遮蔽板を磁界中で所定角度に回転させるために平面コイルに供給する電流値を制御する回転制御部と、前記光源または遮蔽板の少なくとも一方を前記光源からの光束の光軸と直交する方向に移動し、前記光源の光軸と初期状態の前記遮蔽板の任意の1つのスリットの幾何学上の中心を一致させる軸合わせ機構部と、前記光源の光束を通過させるスリットの選択及び遮蔽板の回転角を選択し、遮蔽板通過後の光束の光量の減衰制御を行う制御部と、を含むことを特徴とする。
【0011】
ここで、異なる種類のスリットとは、スリットの面積や形状、遮蔽板上における位置等が異なるスリットを意味する。また、軸合わせ機構部が軸合わせを行う遮蔽板の初期状態とは、光源からの光束の光軸と直交する面と平行な状態、すなわち回転角度「ゼロ」の状態を意味する。
【0012】
この構成によれば、1枚の遮蔽板上に異なる種類の複数のスリットが形成されているので、遮蔽板上で選択するスリットの面積や形状に応じた光量の減衰制御を行うことができる。また、スリットの位置が異なれば、すなわち、遮蔽板の回転軸からの距離によりスリットの変位量が異なるため、遮蔽板の回転角度が同じでも異なる減衰結果を得ることができる。その結果、減衰量の制御バリエーション(減衰分解能)を高精度の機器を用いることなく容易に増加することができる。
【0013】
上記のような目的を達成するために、本発明の可変型光減衰装置は、光源と、平面上に前記光源からの光束が通過可能なスリットを有し、その周縁部に平面コイルを有すると共に任意の対向位置がトーションバーを介して軸支された平面板であって、前記平面コイルに電流が流れた場合に、所定磁界中で回転自在な前記光源の光軸に沿って任意の間隔で配列される個々に異なる種類のスリットを有する複数の遮蔽板と、前記各遮蔽板を磁界中で所定角度に回転させるために平面コイルに供給する電流値を制御する回転制御部と、前記光源の光束を通過させる各遮蔽板の回転角を選択し、遮蔽板通過後の光束の光量の減衰制御を行う制御部と、を含むことを特徴とする。
【0014】
ここで、光束の光軸に沿って配列される各遮蔽板は、相互の回転が干渉されなければ、個々の間隔は異なっても同一でもよい。また、個々に異なる種類のスリットとは、各遮蔽板のスリットの面積や形状、遮蔽板上における位置等が異なるスリットを意味する。なお、この場合、配列する遮蔽板の枚数は任意であるが、各スリットの幾何学的な中心は光束の光軸に一致しているものとする。
【0015】
この構成によれば、複数配列された遮蔽板を選択的に制御することにより、各遮蔽板における光束の光量の減衰率を変化させることが可能である。個々の遮蔽板の変化を組み合わせることにより、減衰率のバリエーションを容易に高精度の機器を用いることなく、光束の減衰量の変化を詳細に行うことができる。
【0016】
上記のような目的を達成するために、本発明の可変型光減衰装置は、上記構成において、前記各遮蔽板は同一面上に、複数の異なる種類のスリットを有し、当該各遮蔽板を前記光軸に対して直交する平面に沿って移動させ、各遮蔽板上の任意の1つのスリットの幾何学上の中心を前記光軸に一致させる軸合わせ機構部を含むことを特徴とする。
【0017】
この構成によれば、スリットの選択及び遮蔽板の回転角度の選択のバリエーションの数だけ減衰分解能を得ることが可能となり、さらに詳細な光束の減衰制御を高精度の機器を用いることなく行うことができる。
【0018】
上記のような目的を達成するために、本発明の可変型光減衰装置は、上記構成において、前記制御部は、スリットの面積、形状、遮蔽板上における位置のうち少なくとも1つと、遮蔽板の回転角度と、光束の減衰量と、を関連付けた関連テーブルを有することを特徴とする。
【0019】
この構成によれば、所望の減衰量を得るためのスリットと回転角度の組み合わせを容易かつ迅速に得ることが可能であり、スムーズな光束の光量の減衰制御を行うことができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態(以下、実施形態という)を図面に基づき説明する。
【0021】
図1には、本実施形態の可変型光減衰装置に用いる遮蔽板10を含むガルバノメータ12の機構部の概念図が示されている。また、図2には、遮蔽板10のみの拡大図が示されている。ガルバノメータ12の基本構造は周知のものと同様である。すなわち、遮蔽板10は、基板14上で一対のトーションバー16で軸支され、基板14に形成された空間S内で回転(揺動)自在になっている。そして、トーションバー16の軸方向と平行な基板14の両側には、永久磁石18a,18bがS極とN極が対向し、所定の磁界を発生するように配置されている。
【0022】
一方、トーションバー16により軸支される遮蔽板10の表面には、図2(a)に示すように、その周縁部に平面コイル20が形成されている。また、平面コイル20の内周側には、スリット22(遮蔽板10を貫通する)が形成されている。図1,2の例では面積や形状の異なるスリット22が複数形成された例が示されている。具体的には、図2(b)に示すように、例えば、スリット22a1,22a2,22a3・・・は円形であり、スリット22b1,22b2,22b3・・・は正方形である。また、スリット22c1,22c2,22c3・・・は長方形である。この他、例えば、楕円、三角形や星形等任意の形状を採用してもよい。このスリット22の面積や形状は、後述するように遮蔽板10を通過させる光束の減衰量に応じて計算され決定されることが好ましい。
【0023】
このように構成されるガルバノメータ12は、周知の動作と同様に、平面コイル20に電流を流すと、遮蔽板10の両端にフレミングの左手の法則に従って電磁力が働き(図2(a)において紙面垂直方向)、遮蔽板10はトーションバー16を中心に回転する。この時、トーションバー16には、遮蔽板10を初期状態(図2(a)において紙面と平行状態)に復元しようとする復元力が作用するため、発生する電磁力とトーションバー16の復元力とが釣り合う位置まで、遮蔽板10が回転し、電流(直流電流)を流し続けている間、遮蔽板10は、電流値に応じた回転角度で静止する。
【0024】
上述したように、遮蔽板10が所望の角度で静止する場合、図3(a)〜(c)で示すように、スリット22の見かけの幅Xが変化する。つまり、スリット22の見かけの面積が変化する。図3(a)に示すように、遮蔽板10が初期状態(電磁力が作用せず、基板14の面と平行)の時、スリットの見かけの幅Xは、スリット22の現実の幅d1と同じである。次に、平面コイル20に所定値の電流を流すと、上述したように永久磁石18a,18bで形成される磁界中で電磁力が働き、遮蔽板10は角度θだけ傾く。この時、図3(b)から明らかなようにスリット22の見かけの幅Xは、角度θの増加に伴って減少する。図3(c)に示すように、スリット22の幅d1、スリットの厚み(遮蔽板10の厚み)d2とした場合、スリット22の見かけの幅Xは以下の関係式に基づいて変化する。
【0025】
X=(d1−d2・tanθ)・cosθ
このように、遮蔽板10を回転させることにより、スリット22の見かけの幅Xを変化させることが可能であり、図1に示すように、基板14の面に直交するような光束を照射する光源(例えば、パルスレーザ発振器)24を配置した場合、光源24からの光束(例えば、パルスレーザ光)は遮蔽板10のスリット22の見かけの幅Xに基づいて、一部遮蔽され、全体として光量の減衰が行われる。
すなわち、遮蔽板10の角度を制御することにより遮蔽板10を通過する光束の光量を減衰制御することができる。上述したように、この減衰量は遮蔽板10を回転させるために平面コイル20に流す電流量に比例する。
【0026】
また、光源24からの光束の光量は、スリット22の面積によっても変化する。従って、図2(b)に示すように、遮蔽板10に面積や形状の異なるスリット22を複数設けて、1枚の遮蔽板10上で光束を当てる位置を変化させることにより、遮蔽板10通過後の光束の光量の減衰量を大きく変化させることができる。従って、選択したスリット22に対し、上述したような角度制御を実施することにより、光束の減衰バリエーションを容易に増加することができる。
【0027】
ところで、回転軸であるトーションバー16を中心に遮蔽板10を回転させると、所定位置に固定された光源24に対するスリット22の相対的な位置も変化する。つまり、スリット22の位置の異なる遮蔽板10を同じ角度回転させた場合、回転軸Oに近い側に位置するスリット22の移動量が回転軸Oに遠い側に位置するスリット22の移動量より少なくなる。遮蔽板10を所定角度θだけ回転させたときのスリット22の位置の変化量yは、図4に示すように、回転軸O(トーションバー16による軸支位置)とし、スリット22の中心までの距離をLとすると、以下のようになる。
【0028】
y=L(1−cosθ)
つまり、図5(a)に示すように、スリット22が回転軸Oから離れた位置に形成されている場合(離れた位置のスリット22を選択した場合)、遮蔽板10が回転していない初期状態の時は、光束Pが完全にスリット22を通過するが、回転角θ=20°になると、光束Pの大部分が遮蔽され、光束Pの減衰量は「大」となる。一方、図5(b)に示すように、スリット22が回転軸Oに近い位置に形成されている場合(近い位置のスリット22を選択した場合)、図5(a)と同様に、遮蔽板10が回転角θ=20°になっても、光束Pの半分以上がスリット22を通過し光束Pの減衰量は「小」となる。つまり、スリット22の位置を回転軸Oに近づけることにより、同じ面積及び形状のスリット22でも、遮蔽板10の回転角度θに対する光量の減衰率を小さくすることができる。
【0029】
すなわち、同じ面積及び形状のスリット22を回転軸Oと直交する方向に複数配列した遮蔽板10を形成しておき、適宜、利用するスリット22の位置を選択することにより、遮蔽板10の回転制御を高精度化(例えば、電流を供給する回路の高精度化等)をしなくても、遮蔽板10の回転に基づく光量の減衰分解能を変化させることが可能となる。つまり、減衰調整を高精度に行いたい場合には、回転軸Oに近い側のスリット22を用いればよく、逆に、高精度をしない場合には、回転軸Oに遠い側のスリット22を用いればよい。
【0030】
なお、図5(c)に示すように、スリット22の面積を変化しても(図の例ではスリット22を小さくしている)、光束の通過量は調整可能なので、遮蔽板10上に形成するスリット22の面積を種々変化させることにより、光量の減衰調整のバリエーションを容易にさらに増加させることができる。
【0031】
上述したように、1枚の遮蔽板10上に複数のスリット22が形成されている場合、実際に光束の光量の減衰を行う時に使用するスリット22は、1つであり、その選択されたスリット22の幾何学的中心を遮蔽板10の非回転時に光源24が照射する光束の光軸に一致させる必要がある。本実施形態では、図6、図7に示すような軸合わせ機構を用いて、軸合わせを行うことができる。
【0032】
図6には、遮蔽板10を含むガルバノメータ12を光源24の光束の光軸に対し直交する平面内で移動させる遮蔽板側の軸合わせ機構部26の一例を示す構成概念図が示されている。図1に示すような遮蔽板10を含むガルバノメータ12は、ガルバノメータ12の基板14と平行な基準壁28に沿って上下方向にスライド可能なスライダー30に支持されている。このスライダー30は、パルスモータ32によって精密に回転するボールネジ34の動作により、基準壁28に沿って上下移動する。なお、必要に応じてボールネジ34と平行にガイドバー36を設け、ガルバノメータ12がスムーズかつ高精度に移動できるようにすることが好ましい。
【0033】
前述した基準壁28、パルスモータ32、ガイドバー36等はベース板38に固定されている。このベース板38は、可変型光減衰装置の図示しないフレームに固定されたガイドレール40に沿って、スライダー30を搭載した状態で、スライダー30の移動方向と直交する方向、すなわち左右方向に移動する。このベース板38も例えば、フレーム上に固定されたパルスモータ42により精密に回転するボールネジ44を駆動することにより正確に移動させることができる。
【0034】
つまり、パルスモータ32,42を適宜制御することにより、ガルバノメータ12が支持する遮蔽板10上の任意のスリット22を光源24から照射される光束と直交する面内で所望の位置に正確に移動させることができる。その結果、スリット22と光束の軸合わせを行うことができる。
【0035】
図7は、光源24をガルバノメータ12と同様に、照射される光束と直交する面内で移動させる光源側の軸合わせ機構部46の一例を示す構成概念図である。
【0036】
光源24もガルバノメータ12と同様に、パルスモータ48,50によって精密に回転するボールネジ52,54の動作により、光束と直交する面内で任意の方向に正確に移動させることができる。なお、選択されたスリット22の幾何学的中心を光源24が照射する光束の光軸に一致させる場合、軸合わせ機構部26,46の両方を用いてもよいが、いずれか一方のみでもよい。すなわち、ガルバノメータ12または、光源24のいずれか一方は、可変型光減衰装置の図示しないフレームに固定してもよい。一方を固定してしまう方が光軸合わせ作業自体は容易となる。一方、両方で行う場合、ボールネジ34,44,52,54等を短くしても、移動動作の組み合わせにより、広い範囲の移動を行うことが可能となり、大きな動作をコンパクトな装置構成で実現することが可能となる。
【0037】
図8には、可変型光減衰装置56の全体の構成ブロック図が示されている。上述したように、可変型光減衰装置56は、光源24と光源24から照射される光束の光量を減衰させるガルバノメータ12で構成されている。この時、光源24とガルバノメータ12の相対的な位置関係は、制御部58で制御される。また、ガルバノメータ12の遮蔽板10の回転角度は、回転制御部60によって制御される。ここで、制御部58は、どのスリット22をどれだけ回転させることにより光源24からの光束をどれだけ減衰させるかを示すテーブルを有しており、例えば、操作者が「○○%の減衰」等を指示すると、制御部58により、最適なスリット22の選択が行われ、光源24と選択されたスリット22との光軸合わせが実施されると共に、遮蔽板10をどれだけ回転させたらよいかを示す指示信号が、回転制御部60に提供される。そして、回転制御部60は指示に従って平面コイル20に所定の電流を流す制御を行う。なお、図8において、制御部58は、光源24とガルバノメータ12の両方を移動制御する構成になっているが、上述したように、いずれか一方でもよい。
【0038】
このように、1枚の遮蔽板10上に面積の異なる複数のスリット22を形成しておき、遮蔽板10上で所望のスリット22を選択すると共に、光源24とスリット22との光軸を一致させた状態で、遮蔽板10を所定角度回転させることにより、スリット22の形状(面積)、位置、回転角度、に基づく、スリット22の見かけの幅に応じた光量の減衰制御を行うことが可能になり、減衰量の制御バリエーション(減衰分解能)を容易に増加することができる。また、スリット22の面積が異なれば、また、スリットの面積が同じでも位置が異なれば、遮蔽板10の回転角度が同じでも異なる減衰結果を得ることができるので、減衰量の制御バリエーション(減衰分解能)を高精度の機器を用いることなく容易に増加することができる。
【0039】
ところで、異なる種類のスリット22を有する遮蔽板10を複数枚、光軸に沿って配列して、個々の遮蔽板10のスリット22の幾何学的な中心を一致させた上で、各遮蔽板10を回転させると、容易な回転制御により様々な減衰量制御を行うことができる。前述したように、スリット22の大きさや形状が異なれば同一の回転角度制御を行ってもスリットの見かけの幅が変化する。また、当初合わせた光軸の位置からもずれる。スリットの見かけの幅の変化と光軸の位置ずれを組み合わせることにより単一の回転制御信号(電流値)の入力や少ない回転角度制御でも減衰分解能の高い制御を容易に行うことが可能となる。例えば、図9(a)に示すように、20°回転した第1遮蔽板10aのスリット22aで光束Pを例えば70%に減衰し、次に、同様に20°回転した第2遮蔽板10bのスリット22bで55%に減衰し、最後に、20°回転した第3遮蔽板10cのスリット22cで20%に減衰することができる。このように、遮蔽板10に対し、同じ回転角度制御を行っても、スリット22の選択により減衰率を個々に変化さえることができる。
【0040】
同様に、図9(b)に示すように、さらに遮蔽板10a,10b,10cに対し、個別に回転角度を選択することにより、異なる減衰状態を形成するすることが可能となる。もちろん、同じ各遮蔽板10a,10b,10cで同じスリット22aを用いても1枚の遮蔽板10aを用いた時の減衰状態とは異なる減衰状態を形成することができる。
【0041】
このように、複数の遮蔽板10a,10b,10c,・・・を組み合わせ、それぞれスリット22の選択や回転角度の選択を行うことにより、種々の減衰状態の形成が可能であり、容易に減衰分解能の増加を行うことができる。
【0042】
【発明の効果】
本発明によれば、1枚の遮蔽板上に異なる種類の複数のスリットが形成されているので、遮蔽板上で選択するスリットの面積や形状に応じた光量の減衰制御を行うことができる。また、遮蔽板の回転軸に対し、スリットの位置が異なれば、遮蔽板の回転角度が同じでも異なる見かけのスリットの面積を得ることができるので、減衰結果を変化させることができる。その結果、減衰量の制御バリエーション(減衰分解能)を高精度の機器を用いることなく容易に増加することができる。また、複数配列された遮蔽板を選択的に制御することにより、各遮蔽板における光束の光量の減衰率を変化させることが可能であり、個々の変化を複数組み合わせることにより、高精度の機器を用いることなく、光束の減衰量の変化を詳細に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る可変型光減衰装置に用いる遮蔽板を含むガルバノメータの機構部の概念図である。
【図2】図1の可変型光減衰装置に用いる遮蔽板の拡大図である。
【図3】本発明の実施形態に係る可変型光減衰装置に用いる遮蔽板において、回転することによりスリットの見かけの幅が変化することを説明する説明図である。
【図4】本発明の実施形態に係る可変型光減衰装置に用いる遮蔽板において、回転することによりスリットの位置が変化することを説明する説明図である。
【図5】本発明の実施形態に係る可変型光減衰装置に用いる遮蔽板において、回転することによりスリットの位置が変化することを説明する説明図である。
【図6】本発明の実施形態に係る可変型光減衰装置の軸合わせ機構であり、遮蔽板側の軸合わせ機構部の概略斜視図である。
【図7】本発明の実施形態に係る可変型光減衰装置の軸合わせ機構であり、光源側の軸合わせ機構部の概略斜視図である。
【図8】本発明の実施形態に係る可変型光減衰装置の全体の構成ブロック図である。
【図9】本発明の実施形態に係る可変型光減衰装置において遮蔽板を複数枚組み合わせて使用する場合を説明する説明図である。
【符号の説明】
10 遮蔽板、12 ガルバノメータ、14 基板、16 トーションバー、18a,18b 永久磁石、20 平面コイル、22 スリット、24 光源、26 遮蔽板側の軸合わせ機構部、28 基準壁、30 スライダー、32,42,48,50 パルスモータ、34,44,52,54 ボールネジ、36 ガイドバー、38 ベース板、40 ガイドレール、46 光源側の軸合わせ機構部、56 可変型光減衰装置、58 制御部、60 回転制御部。
【発明の属する技術分野】
本発明は、可変型光減衰装置、特に、光源からの光量を高精度に減衰制御することのできる可変型光減衰装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来からパルスレーザ発振器等の光源からの光束(例えばパルスレーザ光)の光量を遮蔽板を用いて部分的に遮蔽することにより光量を減衰変化させる減衰装置がある。
【0003】
例えば、光源から照射される光束の光軸上に、光束の断面と略同じ大きさのスリットを有する遮蔽板を前記光軸と直交する直交面と平行に配置する。この遮蔽板には、前記直交面に対し所定の角度で遮蔽板を回転(揺動)させる駆動装置が接続されている。この駆動装置は、例えば遮蔽板の回転軸にガルバノメータを接続したり、パルスモータ等を接続することにより構成することができる。
【0004】
光源からの光量の減衰制御を行わない場合には、遮蔽板を光軸に対し直交するように駆動装置を制御する。すなわち駆動装置による回転角度を「ゼロ」になるように遮蔽板を位置決めする。この場合、遮蔽板には、光束の断面積と略同一のスリットが形成されているので、光束は光量を減衰することなく通過する。すなわち、出力側(通過後)は、減衰の無い状態の光量で光束を出力することができる。
【0005】
一方、光量の減衰制御を行いたい場合、遮蔽板を前記直交面に対し回転させる。その結果、光源側から見た場合のスリットの見かけの面積が回転角度に応じて減少する。すなわち、スリットを通過する光束の一部が傾いた遮蔽板によって遮らる。その結果、出力側(通過後)は、回転角度に応じて減衰した光量の光束を出力することができる(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開平10−137966号公報(図1、図2)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の減衰装置は、遮蔽板の回転角度のみにより光の減衰量が決定されるため、減衰制御量には限界があるという問題があった。
【0008】
光の減衰量をより高精度に制御しようとする場合、異なるスリットを有する専用の遮蔽板を新たに作成し光軸上にセットする必要がある。この場合、専用の遮蔽板の光軸へのセッティング、調整、複数存在する遮蔽板の管理等に必要な工数の増加等が生じ、新たな問題を誘発する。また、遮蔽板の回転角度は、それを駆動する駆動装置の性能に支配されるため、回転角度を高精度に制御できる高精度の駆動装置を採用すれば、専用のスリットを有する遮蔽板を用いること無く高精度の減衰量制御を行うことができるが、やはり高精度の機器(駆動装置)の採用は装置コストの増加を招くという問題を生じる。
【0009】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、高精度の機器を用いることなく、コストの増加を抑制しつつ、容易に光源からの光量の減衰制御を高精度に行うことのできる可変型光減衰装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記のような目的を達成するために、本発明の可変型光減衰装置は、光源と、平面上に前記光源からの光束が通過可能な複数の異なる種類のスリットを有し、その周縁部に平面コイルを有すると共に任意の対向位置がトーションバーを介して軸支された平面板であって、前記平面コイルに電流が流れた場合に、所定磁界中で回転自在な遮蔽板と、前記遮蔽板を磁界中で所定角度に回転させるために平面コイルに供給する電流値を制御する回転制御部と、前記光源または遮蔽板の少なくとも一方を前記光源からの光束の光軸と直交する方向に移動し、前記光源の光軸と初期状態の前記遮蔽板の任意の1つのスリットの幾何学上の中心を一致させる軸合わせ機構部と、前記光源の光束を通過させるスリットの選択及び遮蔽板の回転角を選択し、遮蔽板通過後の光束の光量の減衰制御を行う制御部と、を含むことを特徴とする。
【0011】
ここで、異なる種類のスリットとは、スリットの面積や形状、遮蔽板上における位置等が異なるスリットを意味する。また、軸合わせ機構部が軸合わせを行う遮蔽板の初期状態とは、光源からの光束の光軸と直交する面と平行な状態、すなわち回転角度「ゼロ」の状態を意味する。
【0012】
この構成によれば、1枚の遮蔽板上に異なる種類の複数のスリットが形成されているので、遮蔽板上で選択するスリットの面積や形状に応じた光量の減衰制御を行うことができる。また、スリットの位置が異なれば、すなわち、遮蔽板の回転軸からの距離によりスリットの変位量が異なるため、遮蔽板の回転角度が同じでも異なる減衰結果を得ることができる。その結果、減衰量の制御バリエーション(減衰分解能)を高精度の機器を用いることなく容易に増加することができる。
【0013】
上記のような目的を達成するために、本発明の可変型光減衰装置は、光源と、平面上に前記光源からの光束が通過可能なスリットを有し、その周縁部に平面コイルを有すると共に任意の対向位置がトーションバーを介して軸支された平面板であって、前記平面コイルに電流が流れた場合に、所定磁界中で回転自在な前記光源の光軸に沿って任意の間隔で配列される個々に異なる種類のスリットを有する複数の遮蔽板と、前記各遮蔽板を磁界中で所定角度に回転させるために平面コイルに供給する電流値を制御する回転制御部と、前記光源の光束を通過させる各遮蔽板の回転角を選択し、遮蔽板通過後の光束の光量の減衰制御を行う制御部と、を含むことを特徴とする。
【0014】
ここで、光束の光軸に沿って配列される各遮蔽板は、相互の回転が干渉されなければ、個々の間隔は異なっても同一でもよい。また、個々に異なる種類のスリットとは、各遮蔽板のスリットの面積や形状、遮蔽板上における位置等が異なるスリットを意味する。なお、この場合、配列する遮蔽板の枚数は任意であるが、各スリットの幾何学的な中心は光束の光軸に一致しているものとする。
【0015】
この構成によれば、複数配列された遮蔽板を選択的に制御することにより、各遮蔽板における光束の光量の減衰率を変化させることが可能である。個々の遮蔽板の変化を組み合わせることにより、減衰率のバリエーションを容易に高精度の機器を用いることなく、光束の減衰量の変化を詳細に行うことができる。
【0016】
上記のような目的を達成するために、本発明の可変型光減衰装置は、上記構成において、前記各遮蔽板は同一面上に、複数の異なる種類のスリットを有し、当該各遮蔽板を前記光軸に対して直交する平面に沿って移動させ、各遮蔽板上の任意の1つのスリットの幾何学上の中心を前記光軸に一致させる軸合わせ機構部を含むことを特徴とする。
【0017】
この構成によれば、スリットの選択及び遮蔽板の回転角度の選択のバリエーションの数だけ減衰分解能を得ることが可能となり、さらに詳細な光束の減衰制御を高精度の機器を用いることなく行うことができる。
【0018】
上記のような目的を達成するために、本発明の可変型光減衰装置は、上記構成において、前記制御部は、スリットの面積、形状、遮蔽板上における位置のうち少なくとも1つと、遮蔽板の回転角度と、光束の減衰量と、を関連付けた関連テーブルを有することを特徴とする。
【0019】
この構成によれば、所望の減衰量を得るためのスリットと回転角度の組み合わせを容易かつ迅速に得ることが可能であり、スムーズな光束の光量の減衰制御を行うことができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態(以下、実施形態という)を図面に基づき説明する。
【0021】
図1には、本実施形態の可変型光減衰装置に用いる遮蔽板10を含むガルバノメータ12の機構部の概念図が示されている。また、図2には、遮蔽板10のみの拡大図が示されている。ガルバノメータ12の基本構造は周知のものと同様である。すなわち、遮蔽板10は、基板14上で一対のトーションバー16で軸支され、基板14に形成された空間S内で回転(揺動)自在になっている。そして、トーションバー16の軸方向と平行な基板14の両側には、永久磁石18a,18bがS極とN極が対向し、所定の磁界を発生するように配置されている。
【0022】
一方、トーションバー16により軸支される遮蔽板10の表面には、図2(a)に示すように、その周縁部に平面コイル20が形成されている。また、平面コイル20の内周側には、スリット22(遮蔽板10を貫通する)が形成されている。図1,2の例では面積や形状の異なるスリット22が複数形成された例が示されている。具体的には、図2(b)に示すように、例えば、スリット22a1,22a2,22a3・・・は円形であり、スリット22b1,22b2,22b3・・・は正方形である。また、スリット22c1,22c2,22c3・・・は長方形である。この他、例えば、楕円、三角形や星形等任意の形状を採用してもよい。このスリット22の面積や形状は、後述するように遮蔽板10を通過させる光束の減衰量に応じて計算され決定されることが好ましい。
【0023】
このように構成されるガルバノメータ12は、周知の動作と同様に、平面コイル20に電流を流すと、遮蔽板10の両端にフレミングの左手の法則に従って電磁力が働き(図2(a)において紙面垂直方向)、遮蔽板10はトーションバー16を中心に回転する。この時、トーションバー16には、遮蔽板10を初期状態(図2(a)において紙面と平行状態)に復元しようとする復元力が作用するため、発生する電磁力とトーションバー16の復元力とが釣り合う位置まで、遮蔽板10が回転し、電流(直流電流)を流し続けている間、遮蔽板10は、電流値に応じた回転角度で静止する。
【0024】
上述したように、遮蔽板10が所望の角度で静止する場合、図3(a)〜(c)で示すように、スリット22の見かけの幅Xが変化する。つまり、スリット22の見かけの面積が変化する。図3(a)に示すように、遮蔽板10が初期状態(電磁力が作用せず、基板14の面と平行)の時、スリットの見かけの幅Xは、スリット22の現実の幅d1と同じである。次に、平面コイル20に所定値の電流を流すと、上述したように永久磁石18a,18bで形成される磁界中で電磁力が働き、遮蔽板10は角度θだけ傾く。この時、図3(b)から明らかなようにスリット22の見かけの幅Xは、角度θの増加に伴って減少する。図3(c)に示すように、スリット22の幅d1、スリットの厚み(遮蔽板10の厚み)d2とした場合、スリット22の見かけの幅Xは以下の関係式に基づいて変化する。
【0025】
X=(d1−d2・tanθ)・cosθ
このように、遮蔽板10を回転させることにより、スリット22の見かけの幅Xを変化させることが可能であり、図1に示すように、基板14の面に直交するような光束を照射する光源(例えば、パルスレーザ発振器)24を配置した場合、光源24からの光束(例えば、パルスレーザ光)は遮蔽板10のスリット22の見かけの幅Xに基づいて、一部遮蔽され、全体として光量の減衰が行われる。
すなわち、遮蔽板10の角度を制御することにより遮蔽板10を通過する光束の光量を減衰制御することができる。上述したように、この減衰量は遮蔽板10を回転させるために平面コイル20に流す電流量に比例する。
【0026】
また、光源24からの光束の光量は、スリット22の面積によっても変化する。従って、図2(b)に示すように、遮蔽板10に面積や形状の異なるスリット22を複数設けて、1枚の遮蔽板10上で光束を当てる位置を変化させることにより、遮蔽板10通過後の光束の光量の減衰量を大きく変化させることができる。従って、選択したスリット22に対し、上述したような角度制御を実施することにより、光束の減衰バリエーションを容易に増加することができる。
【0027】
ところで、回転軸であるトーションバー16を中心に遮蔽板10を回転させると、所定位置に固定された光源24に対するスリット22の相対的な位置も変化する。つまり、スリット22の位置の異なる遮蔽板10を同じ角度回転させた場合、回転軸Oに近い側に位置するスリット22の移動量が回転軸Oに遠い側に位置するスリット22の移動量より少なくなる。遮蔽板10を所定角度θだけ回転させたときのスリット22の位置の変化量yは、図4に示すように、回転軸O(トーションバー16による軸支位置)とし、スリット22の中心までの距離をLとすると、以下のようになる。
【0028】
y=L(1−cosθ)
つまり、図5(a)に示すように、スリット22が回転軸Oから離れた位置に形成されている場合(離れた位置のスリット22を選択した場合)、遮蔽板10が回転していない初期状態の時は、光束Pが完全にスリット22を通過するが、回転角θ=20°になると、光束Pの大部分が遮蔽され、光束Pの減衰量は「大」となる。一方、図5(b)に示すように、スリット22が回転軸Oに近い位置に形成されている場合(近い位置のスリット22を選択した場合)、図5(a)と同様に、遮蔽板10が回転角θ=20°になっても、光束Pの半分以上がスリット22を通過し光束Pの減衰量は「小」となる。つまり、スリット22の位置を回転軸Oに近づけることにより、同じ面積及び形状のスリット22でも、遮蔽板10の回転角度θに対する光量の減衰率を小さくすることができる。
【0029】
すなわち、同じ面積及び形状のスリット22を回転軸Oと直交する方向に複数配列した遮蔽板10を形成しておき、適宜、利用するスリット22の位置を選択することにより、遮蔽板10の回転制御を高精度化(例えば、電流を供給する回路の高精度化等)をしなくても、遮蔽板10の回転に基づく光量の減衰分解能を変化させることが可能となる。つまり、減衰調整を高精度に行いたい場合には、回転軸Oに近い側のスリット22を用いればよく、逆に、高精度をしない場合には、回転軸Oに遠い側のスリット22を用いればよい。
【0030】
なお、図5(c)に示すように、スリット22の面積を変化しても(図の例ではスリット22を小さくしている)、光束の通過量は調整可能なので、遮蔽板10上に形成するスリット22の面積を種々変化させることにより、光量の減衰調整のバリエーションを容易にさらに増加させることができる。
【0031】
上述したように、1枚の遮蔽板10上に複数のスリット22が形成されている場合、実際に光束の光量の減衰を行う時に使用するスリット22は、1つであり、その選択されたスリット22の幾何学的中心を遮蔽板10の非回転時に光源24が照射する光束の光軸に一致させる必要がある。本実施形態では、図6、図7に示すような軸合わせ機構を用いて、軸合わせを行うことができる。
【0032】
図6には、遮蔽板10を含むガルバノメータ12を光源24の光束の光軸に対し直交する平面内で移動させる遮蔽板側の軸合わせ機構部26の一例を示す構成概念図が示されている。図1に示すような遮蔽板10を含むガルバノメータ12は、ガルバノメータ12の基板14と平行な基準壁28に沿って上下方向にスライド可能なスライダー30に支持されている。このスライダー30は、パルスモータ32によって精密に回転するボールネジ34の動作により、基準壁28に沿って上下移動する。なお、必要に応じてボールネジ34と平行にガイドバー36を設け、ガルバノメータ12がスムーズかつ高精度に移動できるようにすることが好ましい。
【0033】
前述した基準壁28、パルスモータ32、ガイドバー36等はベース板38に固定されている。このベース板38は、可変型光減衰装置の図示しないフレームに固定されたガイドレール40に沿って、スライダー30を搭載した状態で、スライダー30の移動方向と直交する方向、すなわち左右方向に移動する。このベース板38も例えば、フレーム上に固定されたパルスモータ42により精密に回転するボールネジ44を駆動することにより正確に移動させることができる。
【0034】
つまり、パルスモータ32,42を適宜制御することにより、ガルバノメータ12が支持する遮蔽板10上の任意のスリット22を光源24から照射される光束と直交する面内で所望の位置に正確に移動させることができる。その結果、スリット22と光束の軸合わせを行うことができる。
【0035】
図7は、光源24をガルバノメータ12と同様に、照射される光束と直交する面内で移動させる光源側の軸合わせ機構部46の一例を示す構成概念図である。
【0036】
光源24もガルバノメータ12と同様に、パルスモータ48,50によって精密に回転するボールネジ52,54の動作により、光束と直交する面内で任意の方向に正確に移動させることができる。なお、選択されたスリット22の幾何学的中心を光源24が照射する光束の光軸に一致させる場合、軸合わせ機構部26,46の両方を用いてもよいが、いずれか一方のみでもよい。すなわち、ガルバノメータ12または、光源24のいずれか一方は、可変型光減衰装置の図示しないフレームに固定してもよい。一方を固定してしまう方が光軸合わせ作業自体は容易となる。一方、両方で行う場合、ボールネジ34,44,52,54等を短くしても、移動動作の組み合わせにより、広い範囲の移動を行うことが可能となり、大きな動作をコンパクトな装置構成で実現することが可能となる。
【0037】
図8には、可変型光減衰装置56の全体の構成ブロック図が示されている。上述したように、可変型光減衰装置56は、光源24と光源24から照射される光束の光量を減衰させるガルバノメータ12で構成されている。この時、光源24とガルバノメータ12の相対的な位置関係は、制御部58で制御される。また、ガルバノメータ12の遮蔽板10の回転角度は、回転制御部60によって制御される。ここで、制御部58は、どのスリット22をどれだけ回転させることにより光源24からの光束をどれだけ減衰させるかを示すテーブルを有しており、例えば、操作者が「○○%の減衰」等を指示すると、制御部58により、最適なスリット22の選択が行われ、光源24と選択されたスリット22との光軸合わせが実施されると共に、遮蔽板10をどれだけ回転させたらよいかを示す指示信号が、回転制御部60に提供される。そして、回転制御部60は指示に従って平面コイル20に所定の電流を流す制御を行う。なお、図8において、制御部58は、光源24とガルバノメータ12の両方を移動制御する構成になっているが、上述したように、いずれか一方でもよい。
【0038】
このように、1枚の遮蔽板10上に面積の異なる複数のスリット22を形成しておき、遮蔽板10上で所望のスリット22を選択すると共に、光源24とスリット22との光軸を一致させた状態で、遮蔽板10を所定角度回転させることにより、スリット22の形状(面積)、位置、回転角度、に基づく、スリット22の見かけの幅に応じた光量の減衰制御を行うことが可能になり、減衰量の制御バリエーション(減衰分解能)を容易に増加することができる。また、スリット22の面積が異なれば、また、スリットの面積が同じでも位置が異なれば、遮蔽板10の回転角度が同じでも異なる減衰結果を得ることができるので、減衰量の制御バリエーション(減衰分解能)を高精度の機器を用いることなく容易に増加することができる。
【0039】
ところで、異なる種類のスリット22を有する遮蔽板10を複数枚、光軸に沿って配列して、個々の遮蔽板10のスリット22の幾何学的な中心を一致させた上で、各遮蔽板10を回転させると、容易な回転制御により様々な減衰量制御を行うことができる。前述したように、スリット22の大きさや形状が異なれば同一の回転角度制御を行ってもスリットの見かけの幅が変化する。また、当初合わせた光軸の位置からもずれる。スリットの見かけの幅の変化と光軸の位置ずれを組み合わせることにより単一の回転制御信号(電流値)の入力や少ない回転角度制御でも減衰分解能の高い制御を容易に行うことが可能となる。例えば、図9(a)に示すように、20°回転した第1遮蔽板10aのスリット22aで光束Pを例えば70%に減衰し、次に、同様に20°回転した第2遮蔽板10bのスリット22bで55%に減衰し、最後に、20°回転した第3遮蔽板10cのスリット22cで20%に減衰することができる。このように、遮蔽板10に対し、同じ回転角度制御を行っても、スリット22の選択により減衰率を個々に変化さえることができる。
【0040】
同様に、図9(b)に示すように、さらに遮蔽板10a,10b,10cに対し、個別に回転角度を選択することにより、異なる減衰状態を形成するすることが可能となる。もちろん、同じ各遮蔽板10a,10b,10cで同じスリット22aを用いても1枚の遮蔽板10aを用いた時の減衰状態とは異なる減衰状態を形成することができる。
【0041】
このように、複数の遮蔽板10a,10b,10c,・・・を組み合わせ、それぞれスリット22の選択や回転角度の選択を行うことにより、種々の減衰状態の形成が可能であり、容易に減衰分解能の増加を行うことができる。
【0042】
【発明の効果】
本発明によれば、1枚の遮蔽板上に異なる種類の複数のスリットが形成されているので、遮蔽板上で選択するスリットの面積や形状に応じた光量の減衰制御を行うことができる。また、遮蔽板の回転軸に対し、スリットの位置が異なれば、遮蔽板の回転角度が同じでも異なる見かけのスリットの面積を得ることができるので、減衰結果を変化させることができる。その結果、減衰量の制御バリエーション(減衰分解能)を高精度の機器を用いることなく容易に増加することができる。また、複数配列された遮蔽板を選択的に制御することにより、各遮蔽板における光束の光量の減衰率を変化させることが可能であり、個々の変化を複数組み合わせることにより、高精度の機器を用いることなく、光束の減衰量の変化を詳細に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る可変型光減衰装置に用いる遮蔽板を含むガルバノメータの機構部の概念図である。
【図2】図1の可変型光減衰装置に用いる遮蔽板の拡大図である。
【図3】本発明の実施形態に係る可変型光減衰装置に用いる遮蔽板において、回転することによりスリットの見かけの幅が変化することを説明する説明図である。
【図4】本発明の実施形態に係る可変型光減衰装置に用いる遮蔽板において、回転することによりスリットの位置が変化することを説明する説明図である。
【図5】本発明の実施形態に係る可変型光減衰装置に用いる遮蔽板において、回転することによりスリットの位置が変化することを説明する説明図である。
【図6】本発明の実施形態に係る可変型光減衰装置の軸合わせ機構であり、遮蔽板側の軸合わせ機構部の概略斜視図である。
【図7】本発明の実施形態に係る可変型光減衰装置の軸合わせ機構であり、光源側の軸合わせ機構部の概略斜視図である。
【図8】本発明の実施形態に係る可変型光減衰装置の全体の構成ブロック図である。
【図9】本発明の実施形態に係る可変型光減衰装置において遮蔽板を複数枚組み合わせて使用する場合を説明する説明図である。
【符号の説明】
10 遮蔽板、12 ガルバノメータ、14 基板、16 トーションバー、18a,18b 永久磁石、20 平面コイル、22 スリット、24 光源、26 遮蔽板側の軸合わせ機構部、28 基準壁、30 スライダー、32,42,48,50 パルスモータ、34,44,52,54 ボールネジ、36 ガイドバー、38 ベース板、40 ガイドレール、46 光源側の軸合わせ機構部、56 可変型光減衰装置、58 制御部、60 回転制御部。
Claims (4)
- 光源と、
平面上に前記光源からの光束が通過可能な複数の異なる種類のスリットを有し、その周縁部に平面コイルを有すると共に任意の対向位置がトーションバーを介して軸支された平面板であって、前記平面コイルに電流が流れた場合に、所定磁界中で回転自在な遮蔽板と、
前記遮蔽板を磁界中で所定角度に回転させるために平面コイルに供給する電流値を制御する回転制御部と、
前記光源または遮蔽板の少なくとも一方を前記光源からの光束の光軸と直交する方向に移動し、前記光源の光軸と初期状態の前記遮蔽板の任意の1つのスリットの幾何学上の中心を一致させる軸合わせ機構部と、
前記光源の光束を通過させるスリットの選択及び遮蔽板の回転角を選択し、遮蔽板通過後の光束の光量の減衰制御を行う制御部と、を含むことを特徴とする可変型光減衰装置。 - 光源と、
平面上に前記光源からの光束が通過可能なスリットを有し、その周縁部に平面コイルを有すると共に任意の対向位置がトーションバーを介して軸支された平面板であって、前記平面コイルに電流が流れた場合に、所定磁界中で回転自在な前記光源の光軸に沿って任意の間隔で配列される個々に異なる種類のスリットを有する複数の遮蔽板と、
前記各遮蔽板を磁界中で所定角度に回転させるために平面コイルに供給する電流値を制御する回転制御部と、
前記光源の光束を通過させる各遮蔽板の回転角を選択し、遮蔽板通過後の光束の光量の減衰制御を行う制御部と、を含むことを特徴とする可変型光減衰装置。 - 請求項2記載の装置において、
前記各遮蔽板は同一面上に、複数の異なる種類のスリットを有し、
当該各遮蔽板を前記光軸に対して直交する平面に沿って移動させ、各遮蔽板上の任意の1つのスリットの幾何学上の中心を前記光軸に一致させる軸合わせ機構部を含むことを特徴とする可変型光減衰装置。 - 請求項1から請求項3のいずれか1に記載の装置において、前記制御部は、スリットの面積、形状、遮蔽板上における位置のうち少なくとも1つと、遮蔽板の回転角度と、光束の減衰量と、を関連付けた関連テーブルを有することを特徴とする可変型光減衰装置。
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JP2010264501A (ja) * | 2009-05-18 | 2010-11-25 | Shibaura Mechatronics Corp | レーザシャッタユニットおよびレーザ加工装置 |
CN102636478A (zh) * | 2012-02-22 | 2012-08-15 | 江阴极光仪器科技有限公司 | 共焦拉曼光谱仪的连续可调激光衰减装置及连续可调方法 |
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2003
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