JP2004233314A - 熱型赤外線固体撮像素子 - Google Patents
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Abstract
【課題】駆動線の抵抗による電圧降下の影響が少なく、素子温度変動や電源電圧変動による信号のドリフトの少ない熱型赤外線固体撮像素子を提供すること。
【解決手段】画素1に接続された第1の定電流源2の近傍に、バイアス線41で共通接続された第2の定電流源42を設け、第1の定電流源2と第2の定電流源42の両端電圧を減算器43で減算し、積分回路7によって一定時間積分して出力することにより、駆動線に現れる電圧分布をキャンセルする。また、画素電源6によって駆動される参照信号出力回路18から、素子全体の温度に応じた参照信号をバイアス線41に入力して、電源電圧変動と素子温度変動による信号のドリフトを減算器で減算し、外部に出力しないようにする。
【選択図】 図1
【解決手段】画素1に接続された第1の定電流源2の近傍に、バイアス線41で共通接続された第2の定電流源42を設け、第1の定電流源2と第2の定電流源42の両端電圧を減算器43で減算し、積分回路7によって一定時間積分して出力することにより、駆動線に現れる電圧分布をキャンセルする。また、画素電源6によって駆動される参照信号出力回路18から、素子全体の温度に応じた参照信号をバイアス線41に入力して、電源電圧変動と素子温度変動による信号のドリフトを減算器で減算し、外部に出力しないようにする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、入射赤外線による温度変化を2次元配列された半導体センサで検出する熱型赤外線固体撮像素子に関し、特に、半導体センサからの電気信号を信号処理回路にて積分処理した後に出力する熱型赤外線固体撮像素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般的な熱型赤外線固体撮像素子では、断熱構造を有する画素を2次元に配列し、入射した赤外線によって画素の温度が変化することを利用して赤外線像を撮像する。非冷却型の熱型赤外線固体撮像素子の場合、画素を構成する温度センサには、ポリシリコン、アモルファスシリコン、炭化ケイ素や酸化バナジウム等のボロメータの他、ダイオードやトランジスタ等の半導体素子を用いたものが知られている。ダイオード等の半導体素子は、電気特性や温度依存性のバラツキが固体間で非常に小さいため、各画素の特性を均一にする上で有利である。
【0003】
ダイオードを画素に用いた熱型赤外線固体撮像素子では、画素は2次元に配列されており、行ごとに駆動線によって接続され、列ごとに信号線によって接続されている。垂直走査回路とスイッチにより各駆動線が順番に選択され、選択された駆動線を介して電源から画素に通電される。画素の出力は信号線を介して積分回路に伝えられ、積分回路で積分及び増幅され、水平走査回路とスイッチによって順次出力端子へ出力される(例えば、非特許文献1参照)。
【0004】
【非特許文献1】石川等、「従来のシリコンICプロセスを用いた低コスト320×240非冷却IRFPA」、Part of the SPIE Conference on infrared Technology and Applications XXV、1999年4月発行、Vol.3698、p.556頁から564頁
【0005】
【解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の熱型赤外線固体撮像素子では以下のような問題があった。
まず、各画素は行毎に設置された駆動線を通じて駆動されるが、駆動線の抵抗によって生じる電圧降下のため、各画素から読み取られる電圧が駆動線の終端側にいくに従って小さくなる。このため、駆動線の抵抗に応じたオフセット分布が撮像した画像に発生してしまう。また、熱型赤外線固体撮像素子の赤外光に対するレスポンス、即ち画素を構成するダイオードの両端電圧の変化は、駆動線における電圧降下成分にくらべはるかに小さいため、駆動線による電圧降下分布によって増幅器が飽和等をおこし、必要な増幅度を確保できない問題もある。
【0006】
また、画素のレスポンスには赤外光のレスポンス以外に素子温度変化によるレスポンスも含まれる。そのため、素子温度制御を精密に行わないと、画像信号が素子温度変化とともにドリフトする現象が現れ、安定した画像取得ができない問題もある。即ち、画素を完全に断熱して赤外線による温度変化だけを検出することが理想であるが、実際には、基板の温度変化に伴って画素温度もある程度変化してしまう。このため、検出動作を行っているときに、赤外線撮像装置の環境温度が変化すると、その影響によって画素から読み取られる電圧も変化してしまう。この環境温度の変化による出力信号の変動は、入射赤外線による変化と区別がつかないため、赤外線の測定精度が低下し、安定した画像取得ができない、という問題が生じる。
【0007】
さらに、素子の最終的な出力信号が画素を駆動する電源の電圧変動の影響を直接受けるため、出力信号が不安定となり易い。例えば、画素を定電流駆動させて画素の両端電圧の変化を信号として積分回路に読み出す場合、画素を駆動している電源自身の電圧が変動すると読み出される電圧も同じだけ変動するため、最終的に出力される信号の大きさも変動してしまう。
【0008】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、駆動線の抵抗による電圧降下の影響の少ない熱型赤外線固体撮像素子を提供することを目的とする。
さらに、電源電圧変動や素子温度変動による出力変動が少なく、安定した画像取得が可能な熱型赤外線固体撮像素子を提供することも目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本件発明に係る熱型赤外線固体撮像素子は、少なくとも1個以上が直列接続されたダイオードを有すると共に断熱構造と赤外線吸収構造を備えた画素が、2次元状に配列されて成る画素エリアと、前記画素の陽極を行毎に共通接続した複数の駆動線と、前記画素の陰極を列毎に共通接続すると共に、列毎の終端に第1の定電流化手段を備えた複数の信号線と、前記駆動線を順次選択し、選択した駆動線に画素用電源を接続する垂直走査回路と、前記信号線を順次選択し、選択した信号線から出力された画素信号を積分回路を介して外部に出力する水平駆動回路と、を備えた熱型赤外線固体撮像素子であって、
前記第1の定電流化手段と実質的に同一の電流を流す第2の定電流化手段を、前記信号線毎に設けると共に、前記駆動線と略同一の抵抗を有するバイアス線によって、前記第2の定電流化手段の入力端を共通接続し、
前記第1の定電流化手段の両端電圧から前記第2の定電流化手段の両端電圧を減算器によって減算し、その減算器の出力を補正された画素信号として前記積分回路に入力することを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明する。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る熱型赤外線固体撮像素子の回路構成を示す回路図である。複数個が直列接続されたダイオードを有し、赤外線吸収構造と断熱構造を備えた画素1が、2次元状に配列されて画素エリアを構成している。画素1の各行ごとに駆動線3が共通して接続されている。また、画素1の各列ごとに信号線12が共通して接続され、各信号線12の終端には定電流源2(=第1の定電流源)が接続されている。垂直走査回路4とスイッチ5によって、各行の駆動線3に順次電圧が印加され、画素1が各行毎に順次駆動される。そして、1行分の画素1が駆動されている間に、水平駆動回路8とスイッチ9によって各列の画素が順次選択され、画素の出力が積分回路7を介して出力端子10に順次読み出される。
【0011】
画素1への通電は、選択された駆動線3を介して電源6によって行われる。画素1の陰極側に接続された信号線の終端には定電流源2が備えられているため、画素1は定電流駆動となる。定電流電源2の両端電圧は、電源6の電圧から画素1の両端の電圧と駆動線3での電圧降下を引いた値となる。このため、定電流源2の両端電圧を出力として読み出すことにより、画素1の両端電圧の変化、即ち、画素1に入射した赤外線量の変化を検出することができる。
【0012】
従来の赤外線撮像素子では定電流源2の両端電圧を、そのまま積分回路7に入力して積分及び増幅を行っていた。ところが、駆動線3での電圧降下量は駆動線3の終端側になる程大きくなるため、定電流源2の両端電圧は各列毎に異なり、駆動線3の終端側になる程小さくなる。従って、定電流源2の両端電圧をそのまま積分回路7に出力すると、駆動線3の抵抗によるオフセット分布が撮像した画像に現れてしまう。
【0013】
そこで、本実施の形態では、定電流源2の近傍に、定電流源2と実質的に同一の電流を流す定電流源42(=第2の定電流化手段)を信号線毎に設け、定電流源42の入力端を駆動線3に平行に配置されたバイアス線41によって共通接続している。バイアス線41は、駆動線3と略同一の抵抗を持つように構成されている。そして、定電流源2と定電流源42の各々の両端電圧を減算器43に入力し、定電流源2の両端電圧から定電流源41の両端電圧を減算してから、その減算された出力を積分回路7に入力する。
【0014】
電流源2と電流源42の流す電流は実質的に同一であり、駆動線3とバイアス線41の抵抗は実質同じであるので、バイアス線41における電圧降下は駆動線3における電圧降下と同じになる。従って、駆動線3の抵抗による電圧降下分布は、減算器43で減算された後、積分回路7で積分されるので外部に出力されない。即ち、駆動線3の抵抗によって画像に現れるオフセット分布を解消することができる。また、駆動線3での電圧降下分布による増幅器の飽和を防止して必要な増幅度を容易に確保することができる。
【0015】
また、バイアス線41には、素子全体の温度に応じて変化する参照信号を出力する参照信号出力回路18が、バッファアンプと低域通過フィルタを有するバイアス電源回路21を介して接続されている。参照信号出力回路18には、参照画素18と、参照画素18の陰極側に直列接続された定電流源20(=第3の定電流源)が備えられている。参照画素18は、断熱構造と赤外線吸収構造の少なくとも一方を有しないことを除いて画素1と実質的に同一の構造を有し、素子温度の変化のみを検出できるようになっている。また、定電流源20は、定電流源2と実質的に等しい電流が流れるように構成されている。
【0016】
これにより、バイアス線41には、素子全体の温度変動による信号ドリフトを校正するための基準信号が入力される。即ち、素子全体の温度変動によって画素と定電流源2の接続点に現れる電圧変動は、参照画素19と定電流源20の接続点における電圧変動と略同一となる。従って、素子温度変動による画素両端電圧のドリフト分は、減算器43で減算されることになり、外部に出力されない。
【0017】
さらに、本実施の形態では、参照信号出力回路18が、画素1を駆動する電源6によって駆動されている。即ち、参照信号出力回路18中の参照画素19の陽極が画素1を駆動する電源6に接続されている。このため、バイアス線41への入力は、電源電圧の変動によるドリフトを校正するための基準信号ともなる。従って、電源6の電圧変動によるドリフト分も、減算器43で減算されることになり、外部に出力されない。
【0018】
以下、本実施の形態に係る熱型赤外線撮像素子の各構成部分について詳細に説明する。
〔減算器43〕
減算器43は、2入力間の差分を出力できるものであれば良く、種々のものを用いることができる。本実施の形態では、チョッパ型入力切替え回路を減算器43として用いる。図2に、チョッパ型入力切替え回路の一例を示す。この回路は、後段にインバータをつなぐことにより、A/D変換機等において基準信号との比較結果を1もしくは0のデジタル信号として出力する比較器としてよく用いられる。本実施の形態では、比較器としてではなく、2入力の差信号を形成し、その値を次段の積分回路に伝えるというアナログ減算器として用いている。
【0019】
図2において、入力端子50には、画素1に接続した定電流源2の両端電圧
Vpが入力され、入力端子51には、バイアス線41に接続した定電流源42の両端電圧Vrが入力される。そして、出力端子52から出力電圧Voが出力される。入力端子50、51から入力された信号は、MOSスイッチ53、55によって結合容量57に選択的に入力される。それぞれのMOSスイッチ53、55には、ゲート端子54、56から制御信号が入力される。結合容量57の出力端子側には、MOSスイッチ58を経由してバイアス端子59が接続され、バイアス電圧Vbが入力される。MOSスイッチ58のゲートに加えられる制御信号はMOSスイッチ55のそれと共通になっている。
【0020】
図2に示すチョッパ型入力切替え回路の動作を説明する。まず、積分時間開始前に端子56に制御信号を入力し、MOSスイッチ55と58を導通状態にする。その状態では結合容量57の出力端子側の電極には、
Q=C(Vb−Vr) −(1)
の電荷が発生する。ここでCは、結合容量57の容量値である。また、この状態で、出力端子52の電圧Voは、
Vo=Vb −(2)
となっている。
【0021】
次に、積分時間開始と同時にMOSスイッチ55と58をOFFにし、MOSスイッチ53を導通状態にする。そうすると、結合容量57の出力端子側の電極に発生する電荷Q’は
Q’=C(Vo’−Vp) −(3)
となる。このタイミングでは、出力端子52は開放状態であるので、結合容量57の電荷が保存される(即ち、Q=Q’)。従って、出力端子52に現れる電圧がVoからVo’に変化することになる。このとき、(3)式と(4)式から、Vo’は次式で表される。
Vo’=Vb+(Vp−Vr) −(4)
【0022】
(4)式に示すように、積分時間における出力端子52の電圧Vo’は、バイアス電圧Vbに、定電流源2の電圧Vpと定電流源42の電圧Vrの差信号を重畳したものになる。このようにして、減算器43からゲート変調積分回路7に入力される信号は、画素1に対応する信号から、配線抵抗によるオフセット成分と温度ドリフト・電源ドリフトが除去されたものとなる。
【0023】
このように、本発明におけるチョッパ型入力切替え回路では、2信号を選択的に入力可能な信号伝送経路において、信号伝送経路に直列に容量を入力すると共に、一方の信号の選択時に容量の出力側に所定のバイアス電圧を加え、他方の信号の選択時に容量の出力側を高インピーダンス状態とすることにより、2入力間の差信号を得る。このようなチョッパ型入力切替え回路によって減算器43を構成することにより、信号出力回路の構成が簡易となり、熱型赤外線固体撮像素子の素子サイズや製造コストの増加を抑えながら、オフセット除去や温度ドリフト除去を実現することができる。
【0024】
また、減算器43としてチョッパ型入力切替え回路を用いれば、そのバイアス電圧Vbを適切に選択することにより、積分回路7のバイアス電源を簡略化できる利点もある。即ち、従来の熱型赤外線固体撮像素子では、画素1と定電流源2によって積分回路7への入力電圧が決まるため、その入力電圧において積分回路7が適正に動作するように、積分回路7のバイアス電源を設計する必要があった。一方、本実施の形態によれば、積分回路7には、チョッパ型入力切替え回路43から電圧Vo’が入力されるが、そのVo’の大きさは、(4)式に示すように、チョッパ型入力切替え回路のバイアス電圧Vbによって自由に制御することができる。従って、積分回路7に最適な入力電圧となるようにVo’を制御すれば、積分回路7のバイアス電源の設計が容易となり、例えば、積分回路7のバイアス電源を省略してグランド接続することも可能となる。
【0025】
尚、本実施の形態では、チョッパ型入力切替え回路のスイッチ53、55、58としてN型MOSトランジスタを用いる場合を説明したが、N型MOSトランジスタに代えて、P型MOSトランジスタや両者を並列にした伝達ゲート構成を用いても良い。
【0026】
〔画素1〕
図3(a)及び(b)は、画素構造の一例を模式的に示す断面図及び斜視図である。温度センサとなるPN接合ダイオード902は、2本の長い支持脚1101によってシリコン基板1102に設けられた中空部1103の上に支持されており、ダイオード902の電極配線1104が支持脚1101に埋め込まれている。中空部1103は、ダイオード902とシリコン基板1102との間の熱抵抗を高めて、断熱構造を形成している。
【0027】
ダイオード902は、基板1102と独立した層にする必要があるので、SOI基板を用いてSOI層上に形成されており、SOI層下の埋め込み酸化膜は中空構造を支持する構造体の一部になっている。また、ダイオード部に熱的に接触している赤外線吸収構造1106が、図の上方から入射する赤外線を効率良く吸収できるように、支持脚1101の上方に張り出した構造となっている。尚、図2(b)では下部の構造を判りやすくするため、図の前方の部分での赤外線吸収構造を除いて描いてある。
【0028】
画素1に赤外線が入射すると、赤外線吸収構造1106を含めた画素1の全体によって吸収され、その吸収によって生じた熱がPN接合ダイオード902に伝わる。PN接合ダイオード902の電流電圧特性は温度によって変化するため、PN接合ダイオードを定電流駆動して両端電圧をモニタすることにより、赤外線吸収量に応じた出力を得ることができる。熱型赤外線固体撮像素子では、画素1が2次元に多数配列されており、それらを順にアクセスしていく構造となっている。
【0029】
このような素子では画素間の特性均一性が重要である。ダイオードの順方向電圧やその温度依存性は固体間のバラツキが非常に小さく、熱型赤外線撮像素子にとって温度センサにダイオードをもちいることは特性均一性を図る上で特に有効である。PN接合ダイオードは、感度を高めるために複数個が直列に接続することが好ましい。また、PN接合ダイオードにボロメータ膜等の適当な感温性の抵抗体を接続することによって感度を高めても良い。
【0030】
〔参照信号出力回路〕
図1に示すように、参照信号出力回路18は、画素エリア外に設けられた参照画素19とそれに定電流を流す定電流源20が直列接続された構成となっており、定電流源20の両端電圧の差が出力される。参照画素19は、赤外線が入射する画素エリアの外であって、画素エリアと実質的に同一基板上に形成されていることが好ましい。また、参照画素19は、入射する赤外線に関係無く環境等による素子の温度変化だけを検出することができるように赤外線吸収構造あるいは断熱構造の何れか一方または両方を除いた構造となっている。断熱構造を有しない画素を形成するには、例えば、図3(a)及び(b)に示した検出器の構造において、基板1102に中空部1103を形成しないか、あるいは支持脚1101の長さを画素1に比べ充分短くすれば良い。また、赤外線吸収構造を有しない画素を形成するには、例えば、図3(a)及び(b)の画素1において赤外線吸収構造1106の形成を省略すれば良い。また、定電流源20の電流は画素1に対する定電流源2と実質等しい電流とすることが好ましい。参照信号出力回路18からは、赤外線吸収によらない素子の温度ドリフトを校正するための基準信号を出力することができる。
【0031】
〔バイアス電源回路〕
参照信号出力回路18の出力は、バイアス電源回路21を介して、バイアス線41に入力される。図4に、バイアス電源回路2の構成例を示す。図3の例において、バイアス電源回路21は、バッファアンプ29とその前後に設けられた低域通過フィルタ28a及び28bとから成る。このバッファ電源回路21によって、参照信号出力回路18の出力は低域通過フィルタ28aで雑音除去され、バッファ29で電流駆動能力を上げ、再び低域通過フィルタ28bで雑音除去されたのち、バイアス線41に与えられる。
【0032】
2つの低域通過フィルタ28a及び28bは、参照画素19と定電流源20の雑音をカットし温度ドリフト成分のみを抽出するためのものである。即ち、低域通過フィルタは、参照信号出力回路19を設けることによる雑音の増大を防止する役割を果たしている。一般に、高S/Nを目指す赤外線検出器では、電源系の雑音は電源回路で充分低減されており、検出部からの雑音が装置の雑音主成分となる。従って、同一構成の画素1と参照画素19の出力を減算器43を通じて積分回路7に入力すると、両者の雑音は無相関であるので、雑音は従来の√2倍になる。一方、環境温度変化による検出部出力変化や、環境温度変化に伴う電源回路特性変動による電源電圧の変化は、その変動が一般に秒オーダ以上の緩やかなものである。したがって、それをモニタするバイアス電圧出力回路の帯域は、赤外線を検出する信号ラインに必要な帯域にくらべて充分狭くてもよい。そこで、参照信号出力回路18の出力と減算器43の入力端子の間に低域通過フィルタ28a及び28bを入れ、環境温度や電源回路のドリフト等による電圧変動のみを通過するようにすれば、参照信号出力回路18による雑音増加を抑制することができる。
【0033】
尚、このような赤外線固体撮像素子の画素にとっての雑音帯域幅の代表的な値は数KHzであるので、その1/100以下にカットオフ周波数をきめておけば良い。電源電圧変動及び温度変動の観点からは、その変動周期は早くて秒オーダであるから数Hzの帯域があれば十分である。また、本実施の形態では低域通過フィルタをバッファ29の前後に挿入しているが、何れか一方だけでもよい。
【0034】
低域通過フィルタ28a及び28bの回路構成例を、図5(a)及び(b)に示す。以下に示す構成は、バッファアンプ29の前後いずれの低域通過フィルタにも用いることができる。図5(a)の低域通過フィルタは、受動素子を用いたもので、抵抗もしくはリアクタンス30と容量31から成る。バッファアンプ29の後側に挿入する低域通過フィルタ28bとしては直流電圧降下がないリアクタンスの方が望ましい。一方、バッファアンプ29の手前側に設ける低域通過フィルタ28aとしては、フィルタとしての特性が得られ易い抵抗を用いる方が望ましい。また、抵抗30は、電源回路6の内部抵抗あるいはバッファアンプ29の内部抵抗で代用してもよい。
【0035】
図5(b)の低域通過フィルタは、能動素子である演算増幅器29を用いた積分回路であり、この回路構成も低域通過フィルタとして一般的であるので詳細な説明は省略する。
【0036】
本発明における低域通過フィルタ28a及び28bは、図5(a)及び(b)に例示するものに限定されるものではなく、他のフィルタ(例えば、スイッチトキャパシタ回路)を用いることもできる。また、低域通過フィルタは、バッファアンプ29の前後いずれか一方だけに設けても良いが、その場合はバッファアンプ29の前側のフィルタ(=フィルタ28a)を残すことが好ましい。バッファアンプ29の後側には大きな電流が流れるため、フィルタでの電圧降下がバイアス電圧の変動の原因となるからである。
【0037】
〔積分回路〕
画素1からの信号は、前述の減算器43によって参照信号出力回路18の信号が減算された後、積分回路7によって積分及び増幅される。積分回路7の一例を図6に示す。MOSトランジスタ13は、積分トランジスタでゲートが入力端子になる。積分容量14は、トランジスタ15に接続されており、周期的にトランジスタ15によりリセットされる。積分回路用バイアス線11からはトランジスタ13の動作点をきめるバイアス電圧が与えられる。MOSトランジスタ13と積分容量14とで、ゲート変調積分回路が構成されている。この積分回路の出力は、サンプルホールド(S/H)回路16でサンプリングされ、バッファアンプ17を介して出力される。
【0038】
尚、本実施の形態では、回路構成を簡易なものとするため、積分トランジスタ13のソースに接続されたバイアス線11をグランド接続している。即ち、ソース電圧が0Vでも適切に動作するように積分トランジスタ13のゲート電圧を設定することにより、積分トランジスタ13のソースに接続するバイアス電源を省略している。前述の通り、積分トランジスタ13へのゲート入力電圧(=積分回路7への入力電圧)は、減算器43の出力電圧Vo’によって決まる。そして減算器43としてチョッパ型入力切替え回路を用いれば、そのバイアス電圧Vbによって、出力電圧Vo’をある程度自由に制御することができる。そこで、積分トランジスタ13がソース電圧0Vでも適切に動作するように減算器43の出力Vo’を制御することにより、積分トランジスタ13のソースに接続するバイアス電源が省略できる。
【0039】
実施の形態2.
本実施の形態では、参照信号出力回路18として、図7に示す構成を用いる他は、実施の形態1と同様にして熱型赤外線固体撮像素子を構成する。図7は、参照画素19を複数個並列にし、その個数分だけ電流をました定電流源22を直列接続したものである。即ち、N個の参照画素19を並列に配置した場合には、定電流源2のN倍の電流を定電流源22によって流すようにする。熱型赤外線固体撮像素子の温度は、有限の大きさをもつ素子領域内で分布をもつことがあるので、複数の参照画素19を素子領域内に適当に分布設置すれば、その平均温度に反映した出力をとりだすことができる。
【0040】
実施の形態3.
また、実施の形態2と同様の目的は、参照信号出力回路18として、図8に示す構成を用いても実現できる。図8では、参照画素19と定電流源20が直列接続されたものを一組として、その組み合わせた構成そのものを素子領域内に適当に分布設置し、各々の出力を平均化回路23で平均化するものである。尚、定電流源20は、定電流源2と実質的に同一の電流を流すことが好ましい。平均化回路23は、演算増幅器を用いた周知の回路である加算回路と除算回路の組み合わせで実現できる。
【0041】
実施の形態4.
本実施の形態では、参照信号出力回路18として、図9又は図10に示す構成を用いる他は、実施の形態1から3と同様にして熱型赤外線固体撮像素子を構成する。図9の参照信号出力回路18は、参照画素19の代わりに、温度により抵抗が変化するサーミスタ24を定電流源25で定電流駆動させた例である。この構成では、バイアス電源回路21内のバッファアンプ29の出力電圧が実施の形態1の場合と同様になるように、サーミスタ24の抵抗設定あるいは、定電流源25の電流設定をすることが好ましい。また、バッファアンプ29にレベルシフト動作を含めることによって、バッファ回路29の出力電圧が実施の形態1の場合と同様になるようにしても良い。
【0042】
また、図10の参照信号出力回路18は、図9の構成で定電流源25の代わりに負荷抵抗26を用い、サーミスタ24を定電流駆動させた例である。この例でも、バッファ回路29の出力電圧が実施の形態1の場合と同様になるように、サーミスタ24と負荷抵抗26の抵抗を設定し、あるいは、バッファアンプ29にレベルシフト動作を含めることが好ましい。
【0043】
実施の形態5.
図11は、本発明に係る熱型赤外線固体撮像素子の他の実施形態である。定電流源2、20及び42に代えて、負荷抵抗34、35及び36を用いた点を除けば、実施の形態1と同様である。負荷抵抗34、35及び36の抵抗を実質的に同じにしておけば、実施の形態1の場合と同様の効果を得ることができる。
【0044】
【発明の効果】
本発明によれば、画素に接続された第1の定電流源2近傍に、バイアス線で共通接続された第2の定電流源を設け、第1の定電流源と第2の定電流源の両端電圧を減算器43で減算してから、積分回路によって積分するため、駆動線抵抗による電圧降下分布がバイアス線での電圧降下分布によってキャンセルされ、外部に出力されない。従って、駆動線の抵抗によるオフセット分布を解消することができる。また、駆動線での電圧降下分布による増幅器の飽和を防止して必要な増幅度を容易に確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の実施の形態1に係る熱型赤外線固体撮像素子を示す回路図である。
【図2】図2は、減算器であるチョッパ型入力切替え回路の一例を示す回路図である。
【図3】図3(a)及び(b)は、本実施の形態に係る熱型赤外線固体撮像素子の画素構造を示す断面図及び斜視図である。
【図4】図4は、参照信号出力回路に接続されたバイアス電源回路の一例を示す回路図である。
【図5】図5(a)及び(b)は、低域通過フィルタの例を示す回路図である。
【図6】図6は、積分回路の例を示す回路図である。
【図7】図7は、実施の形態2で用いる参照信号出力回路を示す回路図である。
【図8】図8は、実施の形態3で用いる参照信号出力回路を示す回路図である。
【図9】図9は、実施の形態4で用いる参照信号出力回路を示す回路図である。
【図10】図10は、実施の形態4で用いる参照信号出力回路の別の例を示す回路図である。
【図11】本発明の実施の形態5に係る熱型赤外線固体撮像素子を示す回路図である。
【符号の説明】
1 画素、2、20,42 定電流源、3 駆動線、4 垂直走査回路、6 電源、7 積分回路、8 水平走査回路、9 スイッチ、10 出力端子、12 信号線、19 参照画素、21 バイアス電源回路、41 バイアス線、43 減算器。
【発明の属する技術分野】
この発明は、入射赤外線による温度変化を2次元配列された半導体センサで検出する熱型赤外線固体撮像素子に関し、特に、半導体センサからの電気信号を信号処理回路にて積分処理した後に出力する熱型赤外線固体撮像素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般的な熱型赤外線固体撮像素子では、断熱構造を有する画素を2次元に配列し、入射した赤外線によって画素の温度が変化することを利用して赤外線像を撮像する。非冷却型の熱型赤外線固体撮像素子の場合、画素を構成する温度センサには、ポリシリコン、アモルファスシリコン、炭化ケイ素や酸化バナジウム等のボロメータの他、ダイオードやトランジスタ等の半導体素子を用いたものが知られている。ダイオード等の半導体素子は、電気特性や温度依存性のバラツキが固体間で非常に小さいため、各画素の特性を均一にする上で有利である。
【0003】
ダイオードを画素に用いた熱型赤外線固体撮像素子では、画素は2次元に配列されており、行ごとに駆動線によって接続され、列ごとに信号線によって接続されている。垂直走査回路とスイッチにより各駆動線が順番に選択され、選択された駆動線を介して電源から画素に通電される。画素の出力は信号線を介して積分回路に伝えられ、積分回路で積分及び増幅され、水平走査回路とスイッチによって順次出力端子へ出力される(例えば、非特許文献1参照)。
【0004】
【非特許文献1】石川等、「従来のシリコンICプロセスを用いた低コスト320×240非冷却IRFPA」、Part of the SPIE Conference on infrared Technology and Applications XXV、1999年4月発行、Vol.3698、p.556頁から564頁
【0005】
【解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の熱型赤外線固体撮像素子では以下のような問題があった。
まず、各画素は行毎に設置された駆動線を通じて駆動されるが、駆動線の抵抗によって生じる電圧降下のため、各画素から読み取られる電圧が駆動線の終端側にいくに従って小さくなる。このため、駆動線の抵抗に応じたオフセット分布が撮像した画像に発生してしまう。また、熱型赤外線固体撮像素子の赤外光に対するレスポンス、即ち画素を構成するダイオードの両端電圧の変化は、駆動線における電圧降下成分にくらべはるかに小さいため、駆動線による電圧降下分布によって増幅器が飽和等をおこし、必要な増幅度を確保できない問題もある。
【0006】
また、画素のレスポンスには赤外光のレスポンス以外に素子温度変化によるレスポンスも含まれる。そのため、素子温度制御を精密に行わないと、画像信号が素子温度変化とともにドリフトする現象が現れ、安定した画像取得ができない問題もある。即ち、画素を完全に断熱して赤外線による温度変化だけを検出することが理想であるが、実際には、基板の温度変化に伴って画素温度もある程度変化してしまう。このため、検出動作を行っているときに、赤外線撮像装置の環境温度が変化すると、その影響によって画素から読み取られる電圧も変化してしまう。この環境温度の変化による出力信号の変動は、入射赤外線による変化と区別がつかないため、赤外線の測定精度が低下し、安定した画像取得ができない、という問題が生じる。
【0007】
さらに、素子の最終的な出力信号が画素を駆動する電源の電圧変動の影響を直接受けるため、出力信号が不安定となり易い。例えば、画素を定電流駆動させて画素の両端電圧の変化を信号として積分回路に読み出す場合、画素を駆動している電源自身の電圧が変動すると読み出される電圧も同じだけ変動するため、最終的に出力される信号の大きさも変動してしまう。
【0008】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、駆動線の抵抗による電圧降下の影響の少ない熱型赤外線固体撮像素子を提供することを目的とする。
さらに、電源電圧変動や素子温度変動による出力変動が少なく、安定した画像取得が可能な熱型赤外線固体撮像素子を提供することも目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本件発明に係る熱型赤外線固体撮像素子は、少なくとも1個以上が直列接続されたダイオードを有すると共に断熱構造と赤外線吸収構造を備えた画素が、2次元状に配列されて成る画素エリアと、前記画素の陽極を行毎に共通接続した複数の駆動線と、前記画素の陰極を列毎に共通接続すると共に、列毎の終端に第1の定電流化手段を備えた複数の信号線と、前記駆動線を順次選択し、選択した駆動線に画素用電源を接続する垂直走査回路と、前記信号線を順次選択し、選択した信号線から出力された画素信号を積分回路を介して外部に出力する水平駆動回路と、を備えた熱型赤外線固体撮像素子であって、
前記第1の定電流化手段と実質的に同一の電流を流す第2の定電流化手段を、前記信号線毎に設けると共に、前記駆動線と略同一の抵抗を有するバイアス線によって、前記第2の定電流化手段の入力端を共通接続し、
前記第1の定電流化手段の両端電圧から前記第2の定電流化手段の両端電圧を減算器によって減算し、その減算器の出力を補正された画素信号として前記積分回路に入力することを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明する。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る熱型赤外線固体撮像素子の回路構成を示す回路図である。複数個が直列接続されたダイオードを有し、赤外線吸収構造と断熱構造を備えた画素1が、2次元状に配列されて画素エリアを構成している。画素1の各行ごとに駆動線3が共通して接続されている。また、画素1の各列ごとに信号線12が共通して接続され、各信号線12の終端には定電流源2(=第1の定電流源)が接続されている。垂直走査回路4とスイッチ5によって、各行の駆動線3に順次電圧が印加され、画素1が各行毎に順次駆動される。そして、1行分の画素1が駆動されている間に、水平駆動回路8とスイッチ9によって各列の画素が順次選択され、画素の出力が積分回路7を介して出力端子10に順次読み出される。
【0011】
画素1への通電は、選択された駆動線3を介して電源6によって行われる。画素1の陰極側に接続された信号線の終端には定電流源2が備えられているため、画素1は定電流駆動となる。定電流電源2の両端電圧は、電源6の電圧から画素1の両端の電圧と駆動線3での電圧降下を引いた値となる。このため、定電流源2の両端電圧を出力として読み出すことにより、画素1の両端電圧の変化、即ち、画素1に入射した赤外線量の変化を検出することができる。
【0012】
従来の赤外線撮像素子では定電流源2の両端電圧を、そのまま積分回路7に入力して積分及び増幅を行っていた。ところが、駆動線3での電圧降下量は駆動線3の終端側になる程大きくなるため、定電流源2の両端電圧は各列毎に異なり、駆動線3の終端側になる程小さくなる。従って、定電流源2の両端電圧をそのまま積分回路7に出力すると、駆動線3の抵抗によるオフセット分布が撮像した画像に現れてしまう。
【0013】
そこで、本実施の形態では、定電流源2の近傍に、定電流源2と実質的に同一の電流を流す定電流源42(=第2の定電流化手段)を信号線毎に設け、定電流源42の入力端を駆動線3に平行に配置されたバイアス線41によって共通接続している。バイアス線41は、駆動線3と略同一の抵抗を持つように構成されている。そして、定電流源2と定電流源42の各々の両端電圧を減算器43に入力し、定電流源2の両端電圧から定電流源41の両端電圧を減算してから、その減算された出力を積分回路7に入力する。
【0014】
電流源2と電流源42の流す電流は実質的に同一であり、駆動線3とバイアス線41の抵抗は実質同じであるので、バイアス線41における電圧降下は駆動線3における電圧降下と同じになる。従って、駆動線3の抵抗による電圧降下分布は、減算器43で減算された後、積分回路7で積分されるので外部に出力されない。即ち、駆動線3の抵抗によって画像に現れるオフセット分布を解消することができる。また、駆動線3での電圧降下分布による増幅器の飽和を防止して必要な増幅度を容易に確保することができる。
【0015】
また、バイアス線41には、素子全体の温度に応じて変化する参照信号を出力する参照信号出力回路18が、バッファアンプと低域通過フィルタを有するバイアス電源回路21を介して接続されている。参照信号出力回路18には、参照画素18と、参照画素18の陰極側に直列接続された定電流源20(=第3の定電流源)が備えられている。参照画素18は、断熱構造と赤外線吸収構造の少なくとも一方を有しないことを除いて画素1と実質的に同一の構造を有し、素子温度の変化のみを検出できるようになっている。また、定電流源20は、定電流源2と実質的に等しい電流が流れるように構成されている。
【0016】
これにより、バイアス線41には、素子全体の温度変動による信号ドリフトを校正するための基準信号が入力される。即ち、素子全体の温度変動によって画素と定電流源2の接続点に現れる電圧変動は、参照画素19と定電流源20の接続点における電圧変動と略同一となる。従って、素子温度変動による画素両端電圧のドリフト分は、減算器43で減算されることになり、外部に出力されない。
【0017】
さらに、本実施の形態では、参照信号出力回路18が、画素1を駆動する電源6によって駆動されている。即ち、参照信号出力回路18中の参照画素19の陽極が画素1を駆動する電源6に接続されている。このため、バイアス線41への入力は、電源電圧の変動によるドリフトを校正するための基準信号ともなる。従って、電源6の電圧変動によるドリフト分も、減算器43で減算されることになり、外部に出力されない。
【0018】
以下、本実施の形態に係る熱型赤外線撮像素子の各構成部分について詳細に説明する。
〔減算器43〕
減算器43は、2入力間の差分を出力できるものであれば良く、種々のものを用いることができる。本実施の形態では、チョッパ型入力切替え回路を減算器43として用いる。図2に、チョッパ型入力切替え回路の一例を示す。この回路は、後段にインバータをつなぐことにより、A/D変換機等において基準信号との比較結果を1もしくは0のデジタル信号として出力する比較器としてよく用いられる。本実施の形態では、比較器としてではなく、2入力の差信号を形成し、その値を次段の積分回路に伝えるというアナログ減算器として用いている。
【0019】
図2において、入力端子50には、画素1に接続した定電流源2の両端電圧
Vpが入力され、入力端子51には、バイアス線41に接続した定電流源42の両端電圧Vrが入力される。そして、出力端子52から出力電圧Voが出力される。入力端子50、51から入力された信号は、MOSスイッチ53、55によって結合容量57に選択的に入力される。それぞれのMOSスイッチ53、55には、ゲート端子54、56から制御信号が入力される。結合容量57の出力端子側には、MOSスイッチ58を経由してバイアス端子59が接続され、バイアス電圧Vbが入力される。MOSスイッチ58のゲートに加えられる制御信号はMOSスイッチ55のそれと共通になっている。
【0020】
図2に示すチョッパ型入力切替え回路の動作を説明する。まず、積分時間開始前に端子56に制御信号を入力し、MOSスイッチ55と58を導通状態にする。その状態では結合容量57の出力端子側の電極には、
Q=C(Vb−Vr) −(1)
の電荷が発生する。ここでCは、結合容量57の容量値である。また、この状態で、出力端子52の電圧Voは、
Vo=Vb −(2)
となっている。
【0021】
次に、積分時間開始と同時にMOSスイッチ55と58をOFFにし、MOSスイッチ53を導通状態にする。そうすると、結合容量57の出力端子側の電極に発生する電荷Q’は
Q’=C(Vo’−Vp) −(3)
となる。このタイミングでは、出力端子52は開放状態であるので、結合容量57の電荷が保存される(即ち、Q=Q’)。従って、出力端子52に現れる電圧がVoからVo’に変化することになる。このとき、(3)式と(4)式から、Vo’は次式で表される。
Vo’=Vb+(Vp−Vr) −(4)
【0022】
(4)式に示すように、積分時間における出力端子52の電圧Vo’は、バイアス電圧Vbに、定電流源2の電圧Vpと定電流源42の電圧Vrの差信号を重畳したものになる。このようにして、減算器43からゲート変調積分回路7に入力される信号は、画素1に対応する信号から、配線抵抗によるオフセット成分と温度ドリフト・電源ドリフトが除去されたものとなる。
【0023】
このように、本発明におけるチョッパ型入力切替え回路では、2信号を選択的に入力可能な信号伝送経路において、信号伝送経路に直列に容量を入力すると共に、一方の信号の選択時に容量の出力側に所定のバイアス電圧を加え、他方の信号の選択時に容量の出力側を高インピーダンス状態とすることにより、2入力間の差信号を得る。このようなチョッパ型入力切替え回路によって減算器43を構成することにより、信号出力回路の構成が簡易となり、熱型赤外線固体撮像素子の素子サイズや製造コストの増加を抑えながら、オフセット除去や温度ドリフト除去を実現することができる。
【0024】
また、減算器43としてチョッパ型入力切替え回路を用いれば、そのバイアス電圧Vbを適切に選択することにより、積分回路7のバイアス電源を簡略化できる利点もある。即ち、従来の熱型赤外線固体撮像素子では、画素1と定電流源2によって積分回路7への入力電圧が決まるため、その入力電圧において積分回路7が適正に動作するように、積分回路7のバイアス電源を設計する必要があった。一方、本実施の形態によれば、積分回路7には、チョッパ型入力切替え回路43から電圧Vo’が入力されるが、そのVo’の大きさは、(4)式に示すように、チョッパ型入力切替え回路のバイアス電圧Vbによって自由に制御することができる。従って、積分回路7に最適な入力電圧となるようにVo’を制御すれば、積分回路7のバイアス電源の設計が容易となり、例えば、積分回路7のバイアス電源を省略してグランド接続することも可能となる。
【0025】
尚、本実施の形態では、チョッパ型入力切替え回路のスイッチ53、55、58としてN型MOSトランジスタを用いる場合を説明したが、N型MOSトランジスタに代えて、P型MOSトランジスタや両者を並列にした伝達ゲート構成を用いても良い。
【0026】
〔画素1〕
図3(a)及び(b)は、画素構造の一例を模式的に示す断面図及び斜視図である。温度センサとなるPN接合ダイオード902は、2本の長い支持脚1101によってシリコン基板1102に設けられた中空部1103の上に支持されており、ダイオード902の電極配線1104が支持脚1101に埋め込まれている。中空部1103は、ダイオード902とシリコン基板1102との間の熱抵抗を高めて、断熱構造を形成している。
【0027】
ダイオード902は、基板1102と独立した層にする必要があるので、SOI基板を用いてSOI層上に形成されており、SOI層下の埋め込み酸化膜は中空構造を支持する構造体の一部になっている。また、ダイオード部に熱的に接触している赤外線吸収構造1106が、図の上方から入射する赤外線を効率良く吸収できるように、支持脚1101の上方に張り出した構造となっている。尚、図2(b)では下部の構造を判りやすくするため、図の前方の部分での赤外線吸収構造を除いて描いてある。
【0028】
画素1に赤外線が入射すると、赤外線吸収構造1106を含めた画素1の全体によって吸収され、その吸収によって生じた熱がPN接合ダイオード902に伝わる。PN接合ダイオード902の電流電圧特性は温度によって変化するため、PN接合ダイオードを定電流駆動して両端電圧をモニタすることにより、赤外線吸収量に応じた出力を得ることができる。熱型赤外線固体撮像素子では、画素1が2次元に多数配列されており、それらを順にアクセスしていく構造となっている。
【0029】
このような素子では画素間の特性均一性が重要である。ダイオードの順方向電圧やその温度依存性は固体間のバラツキが非常に小さく、熱型赤外線撮像素子にとって温度センサにダイオードをもちいることは特性均一性を図る上で特に有効である。PN接合ダイオードは、感度を高めるために複数個が直列に接続することが好ましい。また、PN接合ダイオードにボロメータ膜等の適当な感温性の抵抗体を接続することによって感度を高めても良い。
【0030】
〔参照信号出力回路〕
図1に示すように、参照信号出力回路18は、画素エリア外に設けられた参照画素19とそれに定電流を流す定電流源20が直列接続された構成となっており、定電流源20の両端電圧の差が出力される。参照画素19は、赤外線が入射する画素エリアの外であって、画素エリアと実質的に同一基板上に形成されていることが好ましい。また、参照画素19は、入射する赤外線に関係無く環境等による素子の温度変化だけを検出することができるように赤外線吸収構造あるいは断熱構造の何れか一方または両方を除いた構造となっている。断熱構造を有しない画素を形成するには、例えば、図3(a)及び(b)に示した検出器の構造において、基板1102に中空部1103を形成しないか、あるいは支持脚1101の長さを画素1に比べ充分短くすれば良い。また、赤外線吸収構造を有しない画素を形成するには、例えば、図3(a)及び(b)の画素1において赤外線吸収構造1106の形成を省略すれば良い。また、定電流源20の電流は画素1に対する定電流源2と実質等しい電流とすることが好ましい。参照信号出力回路18からは、赤外線吸収によらない素子の温度ドリフトを校正するための基準信号を出力することができる。
【0031】
〔バイアス電源回路〕
参照信号出力回路18の出力は、バイアス電源回路21を介して、バイアス線41に入力される。図4に、バイアス電源回路2の構成例を示す。図3の例において、バイアス電源回路21は、バッファアンプ29とその前後に設けられた低域通過フィルタ28a及び28bとから成る。このバッファ電源回路21によって、参照信号出力回路18の出力は低域通過フィルタ28aで雑音除去され、バッファ29で電流駆動能力を上げ、再び低域通過フィルタ28bで雑音除去されたのち、バイアス線41に与えられる。
【0032】
2つの低域通過フィルタ28a及び28bは、参照画素19と定電流源20の雑音をカットし温度ドリフト成分のみを抽出するためのものである。即ち、低域通過フィルタは、参照信号出力回路19を設けることによる雑音の増大を防止する役割を果たしている。一般に、高S/Nを目指す赤外線検出器では、電源系の雑音は電源回路で充分低減されており、検出部からの雑音が装置の雑音主成分となる。従って、同一構成の画素1と参照画素19の出力を減算器43を通じて積分回路7に入力すると、両者の雑音は無相関であるので、雑音は従来の√2倍になる。一方、環境温度変化による検出部出力変化や、環境温度変化に伴う電源回路特性変動による電源電圧の変化は、その変動が一般に秒オーダ以上の緩やかなものである。したがって、それをモニタするバイアス電圧出力回路の帯域は、赤外線を検出する信号ラインに必要な帯域にくらべて充分狭くてもよい。そこで、参照信号出力回路18の出力と減算器43の入力端子の間に低域通過フィルタ28a及び28bを入れ、環境温度や電源回路のドリフト等による電圧変動のみを通過するようにすれば、参照信号出力回路18による雑音増加を抑制することができる。
【0033】
尚、このような赤外線固体撮像素子の画素にとっての雑音帯域幅の代表的な値は数KHzであるので、その1/100以下にカットオフ周波数をきめておけば良い。電源電圧変動及び温度変動の観点からは、その変動周期は早くて秒オーダであるから数Hzの帯域があれば十分である。また、本実施の形態では低域通過フィルタをバッファ29の前後に挿入しているが、何れか一方だけでもよい。
【0034】
低域通過フィルタ28a及び28bの回路構成例を、図5(a)及び(b)に示す。以下に示す構成は、バッファアンプ29の前後いずれの低域通過フィルタにも用いることができる。図5(a)の低域通過フィルタは、受動素子を用いたもので、抵抗もしくはリアクタンス30と容量31から成る。バッファアンプ29の後側に挿入する低域通過フィルタ28bとしては直流電圧降下がないリアクタンスの方が望ましい。一方、バッファアンプ29の手前側に設ける低域通過フィルタ28aとしては、フィルタとしての特性が得られ易い抵抗を用いる方が望ましい。また、抵抗30は、電源回路6の内部抵抗あるいはバッファアンプ29の内部抵抗で代用してもよい。
【0035】
図5(b)の低域通過フィルタは、能動素子である演算増幅器29を用いた積分回路であり、この回路構成も低域通過フィルタとして一般的であるので詳細な説明は省略する。
【0036】
本発明における低域通過フィルタ28a及び28bは、図5(a)及び(b)に例示するものに限定されるものではなく、他のフィルタ(例えば、スイッチトキャパシタ回路)を用いることもできる。また、低域通過フィルタは、バッファアンプ29の前後いずれか一方だけに設けても良いが、その場合はバッファアンプ29の前側のフィルタ(=フィルタ28a)を残すことが好ましい。バッファアンプ29の後側には大きな電流が流れるため、フィルタでの電圧降下がバイアス電圧の変動の原因となるからである。
【0037】
〔積分回路〕
画素1からの信号は、前述の減算器43によって参照信号出力回路18の信号が減算された後、積分回路7によって積分及び増幅される。積分回路7の一例を図6に示す。MOSトランジスタ13は、積分トランジスタでゲートが入力端子になる。積分容量14は、トランジスタ15に接続されており、周期的にトランジスタ15によりリセットされる。積分回路用バイアス線11からはトランジスタ13の動作点をきめるバイアス電圧が与えられる。MOSトランジスタ13と積分容量14とで、ゲート変調積分回路が構成されている。この積分回路の出力は、サンプルホールド(S/H)回路16でサンプリングされ、バッファアンプ17を介して出力される。
【0038】
尚、本実施の形態では、回路構成を簡易なものとするため、積分トランジスタ13のソースに接続されたバイアス線11をグランド接続している。即ち、ソース電圧が0Vでも適切に動作するように積分トランジスタ13のゲート電圧を設定することにより、積分トランジスタ13のソースに接続するバイアス電源を省略している。前述の通り、積分トランジスタ13へのゲート入力電圧(=積分回路7への入力電圧)は、減算器43の出力電圧Vo’によって決まる。そして減算器43としてチョッパ型入力切替え回路を用いれば、そのバイアス電圧Vbによって、出力電圧Vo’をある程度自由に制御することができる。そこで、積分トランジスタ13がソース電圧0Vでも適切に動作するように減算器43の出力Vo’を制御することにより、積分トランジスタ13のソースに接続するバイアス電源が省略できる。
【0039】
実施の形態2.
本実施の形態では、参照信号出力回路18として、図7に示す構成を用いる他は、実施の形態1と同様にして熱型赤外線固体撮像素子を構成する。図7は、参照画素19を複数個並列にし、その個数分だけ電流をました定電流源22を直列接続したものである。即ち、N個の参照画素19を並列に配置した場合には、定電流源2のN倍の電流を定電流源22によって流すようにする。熱型赤外線固体撮像素子の温度は、有限の大きさをもつ素子領域内で分布をもつことがあるので、複数の参照画素19を素子領域内に適当に分布設置すれば、その平均温度に反映した出力をとりだすことができる。
【0040】
実施の形態3.
また、実施の形態2と同様の目的は、参照信号出力回路18として、図8に示す構成を用いても実現できる。図8では、参照画素19と定電流源20が直列接続されたものを一組として、その組み合わせた構成そのものを素子領域内に適当に分布設置し、各々の出力を平均化回路23で平均化するものである。尚、定電流源20は、定電流源2と実質的に同一の電流を流すことが好ましい。平均化回路23は、演算増幅器を用いた周知の回路である加算回路と除算回路の組み合わせで実現できる。
【0041】
実施の形態4.
本実施の形態では、参照信号出力回路18として、図9又は図10に示す構成を用いる他は、実施の形態1から3と同様にして熱型赤外線固体撮像素子を構成する。図9の参照信号出力回路18は、参照画素19の代わりに、温度により抵抗が変化するサーミスタ24を定電流源25で定電流駆動させた例である。この構成では、バイアス電源回路21内のバッファアンプ29の出力電圧が実施の形態1の場合と同様になるように、サーミスタ24の抵抗設定あるいは、定電流源25の電流設定をすることが好ましい。また、バッファアンプ29にレベルシフト動作を含めることによって、バッファ回路29の出力電圧が実施の形態1の場合と同様になるようにしても良い。
【0042】
また、図10の参照信号出力回路18は、図9の構成で定電流源25の代わりに負荷抵抗26を用い、サーミスタ24を定電流駆動させた例である。この例でも、バッファ回路29の出力電圧が実施の形態1の場合と同様になるように、サーミスタ24と負荷抵抗26の抵抗を設定し、あるいは、バッファアンプ29にレベルシフト動作を含めることが好ましい。
【0043】
実施の形態5.
図11は、本発明に係る熱型赤外線固体撮像素子の他の実施形態である。定電流源2、20及び42に代えて、負荷抵抗34、35及び36を用いた点を除けば、実施の形態1と同様である。負荷抵抗34、35及び36の抵抗を実質的に同じにしておけば、実施の形態1の場合と同様の効果を得ることができる。
【0044】
【発明の効果】
本発明によれば、画素に接続された第1の定電流源2近傍に、バイアス線で共通接続された第2の定電流源を設け、第1の定電流源と第2の定電流源の両端電圧を減算器43で減算してから、積分回路によって積分するため、駆動線抵抗による電圧降下分布がバイアス線での電圧降下分布によってキャンセルされ、外部に出力されない。従って、駆動線の抵抗によるオフセット分布を解消することができる。また、駆動線での電圧降下分布による増幅器の飽和を防止して必要な増幅度を容易に確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の実施の形態1に係る熱型赤外線固体撮像素子を示す回路図である。
【図2】図2は、減算器であるチョッパ型入力切替え回路の一例を示す回路図である。
【図3】図3(a)及び(b)は、本実施の形態に係る熱型赤外線固体撮像素子の画素構造を示す断面図及び斜視図である。
【図4】図4は、参照信号出力回路に接続されたバイアス電源回路の一例を示す回路図である。
【図5】図5(a)及び(b)は、低域通過フィルタの例を示す回路図である。
【図6】図6は、積分回路の例を示す回路図である。
【図7】図7は、実施の形態2で用いる参照信号出力回路を示す回路図である。
【図8】図8は、実施の形態3で用いる参照信号出力回路を示す回路図である。
【図9】図9は、実施の形態4で用いる参照信号出力回路を示す回路図である。
【図10】図10は、実施の形態4で用いる参照信号出力回路の別の例を示す回路図である。
【図11】本発明の実施の形態5に係る熱型赤外線固体撮像素子を示す回路図である。
【符号の説明】
1 画素、2、20,42 定電流源、3 駆動線、4 垂直走査回路、6 電源、7 積分回路、8 水平走査回路、9 スイッチ、10 出力端子、12 信号線、19 参照画素、21 バイアス電源回路、41 バイアス線、43 減算器。
Claims (10)
- 少なくとも1個以上が直列接続されたダイオードを有すると共に断熱構造と赤外線吸収構造を備えた画素が、2次元状に配列されて成る画素エリアと、前記画素の陽極を行毎に共通接続した複数の駆動線と、前記画素の陰極を列毎に共通接続すると共に、列毎の終端に第1の定電流化手段を備えた複数の信号線と、前記駆動線を順次選択し、選択した駆動線に画素用電源を接続する垂直走査回路と、前記信号線を順次選択し、選択した信号線から出力された画素信号を積分回路を介して外部に出力する水平駆動回路と、を備えた熱型赤外線固体撮像素子であって、
前記第1の定電流化手段と実質的に同一の電流を流す第2の定電流化手段を、前記信号線毎に設けると共に、
前記駆動線と略同一の抵抗を有するバイアス線によって、前記第2の定電流化手段の入力端を共通接続し、
前記第1の定電流化手段の両端電圧から前記第2の定電流化手段の両端電圧を減算器によって減算し、その減算器の出力を補正された画素信号として前記積分回路に入力することを特徴とする熱型赤外線固体撮像素子。 - 前記減算器が、チョッパ型入力切替え回路から成ることを特徴とする請求項1に記載の熱型赤外線固体撮像素子。
- 素子全体の温度に応じて変化する参照信号を前記バイアス線に出力する参照信号出力回路を備えたことを特徴とする請求項1又は2に熱型赤外線固体撮像素子。
- 前記参照信号出力回路が、前記画素電源によって駆動されていることを特徴とする請求項3に記載の熱型赤外線固体撮像素子。
- 前記参照信号出力回路と前記バイアス線の間に低域通過フィルタを備えたことを特徴とする請求項3又は4記載の熱型赤外線固体撮像素子。
- 前記参照信号出力回路が、温度に応じて電気特性が変化する感温素子と、前記感温素子の陰極側に接続された第3の定電流化手段とを有し、前記第3の定電流化手段の両端電圧を参照信号として出力することを特徴とする請求項3乃至5のいずれか1項に記載の熱型赤外線固体撮像素子。
- 前記参照信号出力回路が、N個(Nは自然数)の前記感温素子と、前記N個の感温素子の陰極側に共通に接続された1つの前記第3の定電流化手段とを有し、前記第3の定電流化手段が前記第1の定電流化手段のN倍の電流を流すことを特徴とする請求項6記載の熱型赤外線固体撮像素子。
- 前記参照信号出力回路が、N個(Nは自然数)の前記感温素子と、前記感温素子の個々の陰極側に接続されたN個の前記第3の定電流化手段と、前記N個の第3の定電流化手段の両端電圧を平均化して参照信号として出力する平均化回路とを有することを特徴とする請求項6記載の熱型赤外線固体撮像素子。
- 前記感温素子が、断熱構造と赤外線吸収構造の少なくとも一方を有しないことを除いて前記画素と実質同一構造の参照画素であることを特徴とする請求項6乃至8のいずれか1項に記載の熱型赤外線固体撮像素子。
- 前記感温素子が、サーミスタであることを特徴とする請求項6乃至8のいずれか1項に記載の熱型赤外線固体撮像素子。
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