JP2004233259A - 原子炉圧力容器保護装置および原子炉圧力容器保護方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】原子炉圧力容器底部に落下した溶融デブリを効率よく冷却できるような原子炉圧力容器保護装置を提供する。
【解決手段】原子炉圧力容器の底部に設けられ、炉心が溶融した場合に生じる溶融デブリを保持する原子炉圧力容器保護装置であって、原子炉圧力容器の底部に溶融デブリの融点よりも低い融点を持つ低融点金属の層を配置する。低融点金属の層は、複数の低融点金属の塊を並べたものでもよい。低融点金属の層は、複数の低融点金属の塊を並べた層を複数有してもよい。低融点金属の層は、原子炉圧力容器の底部に配置された低融点金属の容器と、低融点金属の容器内に充填された低融点金属の粉末とからなるものでもよい。
【選択図】 図1
【解決手段】原子炉圧力容器の底部に設けられ、炉心が溶融した場合に生じる溶融デブリを保持する原子炉圧力容器保護装置であって、原子炉圧力容器の底部に溶融デブリの融点よりも低い融点を持つ低融点金属の層を配置する。低融点金属の層は、複数の低融点金属の塊を並べたものでもよい。低融点金属の層は、複数の低融点金属の塊を並べた層を複数有してもよい。低融点金属の層は、原子炉圧力容器の底部に配置された低融点金属の容器と、低融点金属の容器内に充填された低融点金属の粉末とからなるものでもよい。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、原子炉圧力容器の保護装置および保護方法に関し、特に、炉心溶融を想定したときにも原子炉圧力容器の健全性を保ちうるような保護装置および保護方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の典型的な軽水炉では、例えば特許文献1に記載されているように、炉心が原子炉圧力容器内に収容され、この原子炉圧力容器が原子炉格納容器内に収容されている。ここで、何らかの原因(シビアアクシデント)によって炉心が過熱して溶融崩壊し、高温の溶融デブリ(炉心溶融物)が原子炉圧力容器内底部に落下することを想定する。この場合、溶融デブリは原子炉圧力容器底部に残存する原子炉冷却水によって自然循環冷却する。
なお、高速炉における高温の溶融デブリを炉心下方で受けとめて保持するコアキャッチャの構造例が特許文献2等に開示されている。
【0003】
【特許文献1】
特開平11−64565号公報
【特許文献2】
特開昭52−70294号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
溶融デブリの原子炉冷却材による冷却効率は、溶融デブリの表面形状や溶融デブリ内の空孔等に大きく依存する。また高温の溶融デブリが原子炉圧力容器内底部に落下した場合、原子炉圧力容器の溶融デブリに接する部分は局所的な熱負荷のために大きな熱応力が発生し、原子炉圧力容器の健全性を損なう可能性がある。こうした不確定要素のために炉心溶融時にも原子炉圧力容器の健全性を確保するためには原子炉圧力容器設計において大きな安全裕度が必要となる。
【0005】
本発明は、原子炉圧力容器底部に落下した溶融デブリを効率よく冷却できるような原子炉圧力容器のための保護装置および保護方法を提供し、これによって原子炉の安全性をより高めることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を達成するものであって、請求項1記載の発明は、炉心を収容して保持する原子炉圧力容器の底部に設けられ、前記炉心が溶融した場合に生じる溶融デブリを保持する原子炉圧力容器保護装置において、前記原子炉圧力容器の底部に前記溶融デブリの融点よりも低い融点を持つ低融点金属の層を配置することを特徴とする。
【0007】
また、請求項6の発明は、原子炉圧力容器の内部に炉心を収容し、また、原子炉圧力容器の底部に、低融点金属の層を有する原子炉圧力容器保護装置を配置する工程と、前記炉心が溶融する事故が発生した場合に、溶融デブリが落下して前記低融点金属の層に接触する接触工程と、前記接触工程に伴って、前記低融点金属が溶融する工程と、前記溶融した低融点金属中で前記落下した溶融デブリを保持する工程と、を有する原子炉圧力容器保護方法である。
【0008】
【発明の実施の形態】
図1から図3を参照して、本発明に係る原子炉圧力容器保護装置の第1の実施の形態を説明する。図1は本発明が適用される原子炉圧力容器およびこれを格納する原子炉格納容器の例を示す縦断面図である。また、図2は、図1の原子炉圧力容器保護装置付近を拡大して示す縦断面図である。
【0009】
図1は、沸騰水型原子炉のいわゆるMark−II型原子炉格納容器20を示している。この原子炉格納容器20は、炉心8を内包する原子炉圧力容器1と、この原子炉圧力容器1を包囲するドライウェル2と、ドライウェル2の下方に設けられた圧力抑制室4とから構成されている。圧力抑制室4内部には圧力抑制プール3がある。
【0010】
ドライウェル2と圧力抑制室4とはダイアフラムフロア6によって仕切られている。ダイアフラムフロア6には垂直ベント管5が連通して設けられており、垂直ベント管5の上端はドライウェル2内に開口され、垂直ベント管5の下端は圧力抑制プール3中に没している。垂直ベント管5によって、ドライウェル2と圧力抑制室4が連絡している。
【0011】
垂直ベント管5の気相部には真空破壊弁7が取り付けられている。真空破壊弁7は、通常は閉状態で、ドライウェル内圧力が急激に上昇して設定値以上となった場合に開く。なお、図中の矢印は、凝縮されていない蒸気や非凝縮性ガスの流れを示している。
【0012】
原子炉圧力容器1の底部9内面には、図2にも示すように、原子炉圧力容器保護装置としての低融点金属層(タイル)10が貼り付けられている。低融点金属層の材料は、溶融デブリ(2800K程度)よりも融点が低いものであり、例えば銅あるいは鉛等である。銅の融点は1357K、銅の熱伝導度は398W/m/Kであり、鉛の融点は600K、鉛の熱伝導度は35W/m/Kである。
【0013】
原子炉の通常運転時は、図2に示すように、低融点金属のタイル10は原子炉圧力容器1の底部9内面に貼り付けられた状態になっている。シビアアクシデント時には、図3に示すように、炉心8から落下する溶融デブリ12により低融点金属のタイル10は溶融金属11となる。
【0014】
低融点金属の密度が大きいものを選定すれば、デブリ12が少量であればデブリ12はこれに浮いた状態で保持される。デブリ12が大量であれば図3のようになるが、デブリ12の熱エネルギーは、溶融金属11により原子炉圧力容器1の底部9に伝熱され、原子炉圧力容器1の底部9が非常用炉心冷却系等により冷却されることにより、効率良く除熱される。
さらに、原子炉圧力容器底部9は一様な温度になるため、局所熱応力の発生を防ぐことができる。
【0015】
低融点金属タイル10は、シビアアクシデント時には図3のように溶融デブリ12からの伝熱により溶融金属11となり原子炉圧力容器内部底面9aに拡がる。効率的な除熱によって短時間に溶融デブリ12が冷却されることにより、核分裂生成物の拡散を最低限にとどめることができるとともに、溶融デブリ12が溶融金属11に覆われることにより放射能の遮蔽効果を高めることができる。
【0016】
次に、図4〜6を参照して、本発明に係る原子炉圧力容器保護装置の他の実施の形態を説明する。ただし、第1の実施の形態と共通または類似の部分には同一の符号を付して重複説明は省略する。
【0017】
図4は、本発明に係る原子炉圧力容器保護装置の第2の実施の形態を示す。この実施の形態では、低融点金属13を複数個の球状のものとして、これらを原子炉圧力容器1の底部9の内面9aに敷き詰める。これにより、低融点金属13とデブリ(図示せず)との接触面積を増加させ、その溶融時間を速めることができる。なお、低融点金属13は必ずしも球状でなくともよく、種々の塊形状がありうる。
【0018】
図5は、本発明に係る原子炉圧力容器保護装置の第3の実施の形態を示す。この実施の形態では、複数の球状の低融点金属13を原子炉圧力容器1の底部9の内面9a上に複数の層状に積み重ねる。これにより、低融点金属13とデブリ(図示せず)との接触面積を増加させその溶融時間を速めることができるとともに、デブリ落下とともにデブリが低融点金属層の間隙を水平方向に広がっていくので、デブリの持つ熱エネルギーを拡散させることができる。
【0019】
図6は、本発明に係る原子炉圧力容器保護装置の第4の実施の形態を示す。この実施の形態では、原子炉圧力容器1の底部9の内面9a上に、低融点金属板で形成された容器14を設け、その容器14の内側に粉末状の低融点金属15を充填する。シビアアクシデント時、容器14と溶融デブリ(図示せず)との接触によって、その容器14が溶融し、これにより、容器14の内側にあった粉末状の低融点金属15が流出する。これによって、溶融デブリと粉末状の低融点金属15が接触し、その溶融速度を速めることができる。
【0020】
なお、図6では低融点金属容器14を、原子炉圧力容器1の底部9内面の形状に適合する一つの容器として示しているが、これを複数の容器としてもよい。さらに、図4または図5に示す複数個の球状(塊状)の低融点金属13それぞれを、殻状の低融点金属容器とその内部に充填した粉末状の低融点金属から構成することも可能である。
【0021】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば原子炉の炉心溶融時に炉心から原子炉圧力容器底部に溶融デブリが落下した場合に、溶融デブリと原子炉圧力容器底部内面の間に低融点金属を介在させることにより溶融デブリの熱を低融点金属全体に拡散し効率よく溶融デブリを冷却することができる。また溶融デブリの熱は低融点金属によって原子炉圧力容器底部全体に一様に伝わるため、原子炉圧力容器底部に局所的な熱の集中による熱応力の発生を抑制することができる。
【0022】
さらに溶融デブリを効率よく冷却できるため溶融デブリからの核分裂生成物の発生を抑制できる。さらにまた、溶融デブリを低融点金属中に保持することにより溶融デブリからの放射線を遮蔽することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る原子炉圧力容器保護装置の第1の実施の形態を配置した原子炉格納容器の全体縦断面図。
【図2】図1の原子炉圧力容器保護装置付近の拡大縦断面図。
【図3】溶融デブリが落下した状態における図2に対応する縦断面図。
【図4】本発明に係る原子炉圧力容器保護装置の第2の実施の形態を示す縦断面図。
【図5】本発明に係る原子炉圧力容器保護装置の第3の実施の形態を示す縦断面図。
【図6】本発明に係る原子炉圧力容器保護装置の第4の実施の形態を示す縦断面図。
【符号の説明】
1…原子炉圧力容器、2…ドライウェル、3…圧力抑制プール、4…ウエットウェル、5…ベント管、6…ダイアフロムフロア、7…真空破壊弁、8…原子炉炉心、9…原子炉圧力容器の底部、9a…底部内面、10…低融点金属タイル、11…溶融金属、12…溶融デブリあるいは固化したクラスト、13…球状の低融点金属、14…低融点金属容器、15…粉末状の低融点金属、20…原子炉格納容器。
【発明の属する技術分野】
本発明は、原子炉圧力容器の保護装置および保護方法に関し、特に、炉心溶融を想定したときにも原子炉圧力容器の健全性を保ちうるような保護装置および保護方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の典型的な軽水炉では、例えば特許文献1に記載されているように、炉心が原子炉圧力容器内に収容され、この原子炉圧力容器が原子炉格納容器内に収容されている。ここで、何らかの原因(シビアアクシデント)によって炉心が過熱して溶融崩壊し、高温の溶融デブリ(炉心溶融物)が原子炉圧力容器内底部に落下することを想定する。この場合、溶融デブリは原子炉圧力容器底部に残存する原子炉冷却水によって自然循環冷却する。
なお、高速炉における高温の溶融デブリを炉心下方で受けとめて保持するコアキャッチャの構造例が特許文献2等に開示されている。
【0003】
【特許文献1】
特開平11−64565号公報
【特許文献2】
特開昭52−70294号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
溶融デブリの原子炉冷却材による冷却効率は、溶融デブリの表面形状や溶融デブリ内の空孔等に大きく依存する。また高温の溶融デブリが原子炉圧力容器内底部に落下した場合、原子炉圧力容器の溶融デブリに接する部分は局所的な熱負荷のために大きな熱応力が発生し、原子炉圧力容器の健全性を損なう可能性がある。こうした不確定要素のために炉心溶融時にも原子炉圧力容器の健全性を確保するためには原子炉圧力容器設計において大きな安全裕度が必要となる。
【0005】
本発明は、原子炉圧力容器底部に落下した溶融デブリを効率よく冷却できるような原子炉圧力容器のための保護装置および保護方法を提供し、これによって原子炉の安全性をより高めることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を達成するものであって、請求項1記載の発明は、炉心を収容して保持する原子炉圧力容器の底部に設けられ、前記炉心が溶融した場合に生じる溶融デブリを保持する原子炉圧力容器保護装置において、前記原子炉圧力容器の底部に前記溶融デブリの融点よりも低い融点を持つ低融点金属の層を配置することを特徴とする。
【0007】
また、請求項6の発明は、原子炉圧力容器の内部に炉心を収容し、また、原子炉圧力容器の底部に、低融点金属の層を有する原子炉圧力容器保護装置を配置する工程と、前記炉心が溶融する事故が発生した場合に、溶融デブリが落下して前記低融点金属の層に接触する接触工程と、前記接触工程に伴って、前記低融点金属が溶融する工程と、前記溶融した低融点金属中で前記落下した溶融デブリを保持する工程と、を有する原子炉圧力容器保護方法である。
【0008】
【発明の実施の形態】
図1から図3を参照して、本発明に係る原子炉圧力容器保護装置の第1の実施の形態を説明する。図1は本発明が適用される原子炉圧力容器およびこれを格納する原子炉格納容器の例を示す縦断面図である。また、図2は、図1の原子炉圧力容器保護装置付近を拡大して示す縦断面図である。
【0009】
図1は、沸騰水型原子炉のいわゆるMark−II型原子炉格納容器20を示している。この原子炉格納容器20は、炉心8を内包する原子炉圧力容器1と、この原子炉圧力容器1を包囲するドライウェル2と、ドライウェル2の下方に設けられた圧力抑制室4とから構成されている。圧力抑制室4内部には圧力抑制プール3がある。
【0010】
ドライウェル2と圧力抑制室4とはダイアフラムフロア6によって仕切られている。ダイアフラムフロア6には垂直ベント管5が連通して設けられており、垂直ベント管5の上端はドライウェル2内に開口され、垂直ベント管5の下端は圧力抑制プール3中に没している。垂直ベント管5によって、ドライウェル2と圧力抑制室4が連絡している。
【0011】
垂直ベント管5の気相部には真空破壊弁7が取り付けられている。真空破壊弁7は、通常は閉状態で、ドライウェル内圧力が急激に上昇して設定値以上となった場合に開く。なお、図中の矢印は、凝縮されていない蒸気や非凝縮性ガスの流れを示している。
【0012】
原子炉圧力容器1の底部9内面には、図2にも示すように、原子炉圧力容器保護装置としての低融点金属層(タイル)10が貼り付けられている。低融点金属層の材料は、溶融デブリ(2800K程度)よりも融点が低いものであり、例えば銅あるいは鉛等である。銅の融点は1357K、銅の熱伝導度は398W/m/Kであり、鉛の融点は600K、鉛の熱伝導度は35W/m/Kである。
【0013】
原子炉の通常運転時は、図2に示すように、低融点金属のタイル10は原子炉圧力容器1の底部9内面に貼り付けられた状態になっている。シビアアクシデント時には、図3に示すように、炉心8から落下する溶融デブリ12により低融点金属のタイル10は溶融金属11となる。
【0014】
低融点金属の密度が大きいものを選定すれば、デブリ12が少量であればデブリ12はこれに浮いた状態で保持される。デブリ12が大量であれば図3のようになるが、デブリ12の熱エネルギーは、溶融金属11により原子炉圧力容器1の底部9に伝熱され、原子炉圧力容器1の底部9が非常用炉心冷却系等により冷却されることにより、効率良く除熱される。
さらに、原子炉圧力容器底部9は一様な温度になるため、局所熱応力の発生を防ぐことができる。
【0015】
低融点金属タイル10は、シビアアクシデント時には図3のように溶融デブリ12からの伝熱により溶融金属11となり原子炉圧力容器内部底面9aに拡がる。効率的な除熱によって短時間に溶融デブリ12が冷却されることにより、核分裂生成物の拡散を最低限にとどめることができるとともに、溶融デブリ12が溶融金属11に覆われることにより放射能の遮蔽効果を高めることができる。
【0016】
次に、図4〜6を参照して、本発明に係る原子炉圧力容器保護装置の他の実施の形態を説明する。ただし、第1の実施の形態と共通または類似の部分には同一の符号を付して重複説明は省略する。
【0017】
図4は、本発明に係る原子炉圧力容器保護装置の第2の実施の形態を示す。この実施の形態では、低融点金属13を複数個の球状のものとして、これらを原子炉圧力容器1の底部9の内面9aに敷き詰める。これにより、低融点金属13とデブリ(図示せず)との接触面積を増加させ、その溶融時間を速めることができる。なお、低融点金属13は必ずしも球状でなくともよく、種々の塊形状がありうる。
【0018】
図5は、本発明に係る原子炉圧力容器保護装置の第3の実施の形態を示す。この実施の形態では、複数の球状の低融点金属13を原子炉圧力容器1の底部9の内面9a上に複数の層状に積み重ねる。これにより、低融点金属13とデブリ(図示せず)との接触面積を増加させその溶融時間を速めることができるとともに、デブリ落下とともにデブリが低融点金属層の間隙を水平方向に広がっていくので、デブリの持つ熱エネルギーを拡散させることができる。
【0019】
図6は、本発明に係る原子炉圧力容器保護装置の第4の実施の形態を示す。この実施の形態では、原子炉圧力容器1の底部9の内面9a上に、低融点金属板で形成された容器14を設け、その容器14の内側に粉末状の低融点金属15を充填する。シビアアクシデント時、容器14と溶融デブリ(図示せず)との接触によって、その容器14が溶融し、これにより、容器14の内側にあった粉末状の低融点金属15が流出する。これによって、溶融デブリと粉末状の低融点金属15が接触し、その溶融速度を速めることができる。
【0020】
なお、図6では低融点金属容器14を、原子炉圧力容器1の底部9内面の形状に適合する一つの容器として示しているが、これを複数の容器としてもよい。さらに、図4または図5に示す複数個の球状(塊状)の低融点金属13それぞれを、殻状の低融点金属容器とその内部に充填した粉末状の低融点金属から構成することも可能である。
【0021】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば原子炉の炉心溶融時に炉心から原子炉圧力容器底部に溶融デブリが落下した場合に、溶融デブリと原子炉圧力容器底部内面の間に低融点金属を介在させることにより溶融デブリの熱を低融点金属全体に拡散し効率よく溶融デブリを冷却することができる。また溶融デブリの熱は低融点金属によって原子炉圧力容器底部全体に一様に伝わるため、原子炉圧力容器底部に局所的な熱の集中による熱応力の発生を抑制することができる。
【0022】
さらに溶融デブリを効率よく冷却できるため溶融デブリからの核分裂生成物の発生を抑制できる。さらにまた、溶融デブリを低融点金属中に保持することにより溶融デブリからの放射線を遮蔽することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る原子炉圧力容器保護装置の第1の実施の形態を配置した原子炉格納容器の全体縦断面図。
【図2】図1の原子炉圧力容器保護装置付近の拡大縦断面図。
【図3】溶融デブリが落下した状態における図2に対応する縦断面図。
【図4】本発明に係る原子炉圧力容器保護装置の第2の実施の形態を示す縦断面図。
【図5】本発明に係る原子炉圧力容器保護装置の第3の実施の形態を示す縦断面図。
【図6】本発明に係る原子炉圧力容器保護装置の第4の実施の形態を示す縦断面図。
【符号の説明】
1…原子炉圧力容器、2…ドライウェル、3…圧力抑制プール、4…ウエットウェル、5…ベント管、6…ダイアフロムフロア、7…真空破壊弁、8…原子炉炉心、9…原子炉圧力容器の底部、9a…底部内面、10…低融点金属タイル、11…溶融金属、12…溶融デブリあるいは固化したクラスト、13…球状の低融点金属、14…低融点金属容器、15…粉末状の低融点金属、20…原子炉格納容器。
Claims (6)
- 炉心を収容して保持する原子炉圧力容器の底部に設けられ、前記炉心が溶融した場合に生じる溶融デブリを保持する原子炉圧力容器保護装置において、
前記原子炉圧力容器の底部に前記溶融デブリの融点よりも低い融点を持つ低融点金属の層を配置することを特徴とする原子炉圧力容器保護装置。 - 請求項1記載の原子炉圧力容器保護装置において、前記低融点金属の層の少なくとも一部は、複数の低融点金属の塊を並べたものであることを特徴とする原子炉圧力容器保護装置。
- 請求項2記載の原子炉圧力容器保護装置において、前記低融点金属の層は、複数の低融点金属の塊を並べた層を複数有することを特徴とする原子炉圧力容器保護装置。
- 請求項1記載の原子炉圧力容器保護装置において、前記低融点金属の層は、前記原子炉圧力容器の底部に配置された低融点金属の容器と、この低融点金属の容器内に充填された低融点金属の粉末とを有することを特徴とする原子炉圧力容器保護装置。
- 請求項4記載の原子炉圧力容器保護装置において、前記低融点金属の容器は、前記原子炉圧力容器の底部に敷き詰められた複数個の容器であることを特徴とする原子炉圧力容器保護装置。
- 原子炉圧力容器の内部に炉心を収容し、また、原子炉圧力容器の底部に、低融点金属の層を有する原子炉圧力容器保護装置を配置する工程と、
前記炉心が溶融する事故が発生した場合に、溶融デブリが落下して前記低融点金属の層に接触する接触工程と、
前記接触工程に伴って、前記低融点金属が溶融する工程と、
前記溶融した低融点金属中で前記落下した溶融デブリを保持する工程と、
を有する原子炉圧力容器保護方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003024171A JP2004233259A (ja) | 2003-01-31 | 2003-01-31 | 原子炉圧力容器保護装置および原子炉圧力容器保護方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2003024171A JP2004233259A (ja) | 2003-01-31 | 2003-01-31 | 原子炉圧力容器保護装置および原子炉圧力容器保護方法 |
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JP2004233259A true JP2004233259A (ja) | 2004-08-19 |
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ID=32952774
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---|---|---|---|---|
CN104992045A (zh) * | 2015-05-27 | 2015-10-21 | 中国核动力研究设计院 | 反应堆严重事故压力容器下封头内熔池结构计算方法 |
CN105023619A (zh) * | 2015-07-06 | 2015-11-04 | 中科华核电技术研究院有限公司 | 一种用于安全壳的抵压水池系统及核岛安全壳 |
JP2016001164A (ja) * | 2014-06-12 | 2016-01-07 | 一般財団法人電力中央研究所 | 炉心溶融物の分散構造 |
-
2003
- 2003-01-31 JP JP2003024171A patent/JP2004233259A/ja not_active Withdrawn
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