JP2004230169A5 - - Google Patents

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安全スキービンディング
本発明は、請求項1に記載されているようなトウビンディングヒールビンディングと電子回路組立体とを有する安全スキービンディングに関する。
特許文献1には、調節されたセーフティ解放値用の電子表示装置を備えた安全スキービンディングが開示されている。ここでは、センサおよび電子評価装置によって検出され求められた調節値を視覚化するディスプレイが設けられている。さらに、バッテリの形の電気エネルギ供給装置が設けられており、ここでは、電気コンポーネントへのエネルギ供給がスイッチを用いて実行されたり停止されたりできる。また、調節されたセーフティ解放値を測定するセンサは、セーフティ解放値を調節する調節ねじの位置に応じて特有の電気センサ信号を提供する位置センサによって形成されている。また、センサとして、容量センサ、誘導センサ、または、多数のマイクロスイッチが設けられる。さらに、調節ねじの位置を電子的に検出するためにポテンショメータ(または、調節可能な抵抗器)が設けられている。ここでの欠点は、ほぼ静的な或いは絶対的な位置センサのアナログの信号評価が必要であることから、干渉感度が高く、あるいは、電子コンポーネントの出力範囲が小さいことである。さらに、トウビンディングの調節値とヒールビンディングの調節値とを視覚化するために、トウビンディング内にもヒールビンディング内にも、適当なセンサと表示装置とを備えた電子スイッチング回路が必要である。
特許文献2には、安全スキービンディングの調節された解放力を表示する電子表示装置が開示されている。ここでは、解放機構のばね応力が電気機械的なトランスデューサによって検出され、このトランスデューサは現在のばね弾性を電気的な情報に変換する。電子回路が、この情報を数値に変換し、この情報が数値的な表示装置に表示される。さらに、ビンディングのハウジングに対する調節ねじの移動量を測定するポテンショメータも提案されている。また、ここでも、絶対的に測定する力センサあるいは圧力センサまたは同様に提案されているオームポテンショメータのアナログの信号評価によって、信号調整時に、あるいは、電子システムの干渉強さに関して、困難が生じる可能性がある。
特許文献3およびそのパテントファミリーである特許文献4には、安全スキービンディングの様々な駆動状態を検出する多数の電気的なスイッチング素子を備えた安全スキービンディングが開示されている。ここでは、トウビンディング内にもヒールビンディング内にも電気的なスイッチング接点が配置され、これらスイッチング接点を介して、例えば、雪の過度の着、ソールの摩耗、不適なクランプ圧、ソールホルダ高さの誤調節、および、ヒールビンディングの開放または閉鎖といった種々の状態を求めることができる。また、この単極(または、多極)のスイッチング接点(特に、グループにまとめられた閉鎖接点、または、スイッチング接点)は、トウビンディングおよびヒールビンディング内に配置され、電気エネルギ供給装置および表示ランプと共に電子表示回路へ導かれている。スイッチング接点の1つが安全上危機的な、あるいは、適合しない状態がある中で作動された場合、表示ランプが点灯し、あるいは、ブザーが作動され、ビンディングの許容できない状態(または、安全上由々しき状態)のしるしとなる。ここでの欠点は、表示ランプが点灯し或いは点滅したときに、どのような許容できない駆動状態が存在するかを一義的に認識することができず、きちんとした状態をもたらすためには、ユーザーは多くの試みや試行を行って問題箇所を見いださなければならないことである。こうした意義に乏しい表示装置の他に、ここでの他の欠点は、トウビンディングのスイッチング素子とエネルギ供給装置(または、表示ランプ)との間、または、ヒールビンディングのスイッチング素子とエネルギ供給装置(または、表示ランプ)との間の電気的な導線接続が、スキービンディング部分の機械的な可変性を制限し、また、こうした導線接続に高い電気機械的な要請を課さなければならないことにある。
特許文献5には、2つのピースと、危険なほど高い力が発生したときに電気的に制御される安全解放部とを有する安全スキービンディングが開示されている。ここでは、ピースの少なくとも1つの中にセンサが設けられ、そのセンサは発生した力(または、負荷)を記録し、スキー本体内に収容されている信号処理回路へワイヤレスで伝達する。特に、ピース内のセンサとスキー本体内の信号処理回路との間には、電気化学的に或いは電気的に導通する接続はない。このために、送信・受信配置が形成されており、これは、例えば、誘導的に結合されたコイル(または、容量的に結合され且つ絶縁して配置された導電性のあるフィルムまたは面)によって形成することができる。こうした送信・受信装置を介して、センサ信号だけでなく、駆動に必要な、センサのため、あるいは、ピースボディ内の電気機械的な解放装置のために必要な電気エネルギもワイヤレスで伝達される。ここでの欠点は、僅か数センチメートルの伝送区間を介して保護された信号伝達またはエネルギ伝達をもたらすために、高い電気出力が必要なことである。重要な、あるいは、興味ある状態(または、調節)のための表示システムは、これら前に知られているビンディングからは与えられない。
特許文献6には、スキービンディング電子装置内の値を非接触で調節する調節手段が記載されている。ここでは、アクセスできず或いは封入されているビンディング電子装置における値を変化させるためのホール効果センサ、感光センサ、または、圧電装置が提案されている。したがって、ポテンショメータ(または、その他の電気機械的な調節機構)に、ガイドや回転軸承は不要である。これらは、水分が浸入したときに、短絡する危険性があったり、現在の実際に状況が歪曲される可能性があったりすることから、シール性に関して幾重にも問題となるものである。提案されている調節手段によって、非接触で、水分のような外部の影響に対して不感の調節(または、電子的な調節)の適合はできるが、提案されている形態によっては、安全スキービンディングの安全調節(または、実際の状態)を検査することはできない。
特許文献7には、電子表示装置とセンサとを有するスキービンディングが開示されており、ここでは、スキーに対するスキービンディングの相対変位(または、トウビンディングヒールビンディングとの間の間隔)を検出して表示することができる。さらに、距離センサや力測定装置も提案されており、これによれば、スキービンディングにおいて調節された解放力が測定され、導線を介して評価装置へ伝達され、位置値の場合と同様に、数値の形でディスプレイに表示することができる。ここでの欠点は、測定値発生器(または、センサ)と表示装置との間の導線接続が、スキービンディングの構造を複雑にし、確実な信号伝達(または、エネルギ伝達)のための構造的なコストが高いことから、提案されているスキービンディングの電子的な機能範囲が制限されていることである。さらに、構造的なコンポーネントによって予め定められている機能範囲は、もはや、後から拡張することはできない。さらに、電子コンポーネント間の導線接続は、負荷が発生したときに破断する危険性があり、また、複雑な電気機械的な補償措置が講じられ、それは、複雑さの増大やコストの上昇を意味する。
欧州特許出願公開第0469453号明細書 独国特許出願公開第3343047号明細書 独国特許出願公開第2926385号明細書 米国特許第4311321号明細書 独国特許出願公開第3216522号明細書 米国特許第4502146号明細書 オーストリア特許第404901号明細書
本発明の目的は、安全上重要な、あるいは、興味ある調節、または、駆動状態が電子的に検出され或いは監視され、機能性全体を向上したとしても、構造的に単純で、できるだけ安価で、長期に亘って確実に機能する構造を有する安全スキービンディングを提供することにある。
本発明の目的は、1番目の発明、すなわち、a)トウビンディングと、(b)ヒールビンディングと、(c)(1)上記トウビンディングまたは上記ヒールビンディングそれぞれの値または状態を視覚化する、上記トウビンディングまたは上記ヒールビンディングのいずれかに配置された単一の電子表示装置と、(2)安全スキービンディングの一組のセーフティ開放値を示すセンサシステムと、を内蔵する、電子回路と、(d)上記トウビンディングと上記ヒールビンディング内の電子評価装置であって、上記一組のセーフティ開放値を検出するセンサを有する、各々の電子評価装置と、(e)上記各々の電子評価装置の上記トウビンディングと上記ヒールビンディング内の別々のエネルギ供給システムと、(f)上記各々の電子評価装置がそれらの間をワイヤレスで一方向または双方向にデータまたは信号を伝達する、送信装置と受信装置と、を有することを特徴とする安全スキービンディングによって、達成される。
2番目の発明では、1番目の発明において、上記単一の電子表示装置は、グラフフィック能力を有する。
3番目の発明では、1番目の発明において、上記ヒールビンディング内にスリップオンスプリングシステムを有していて、上記ヒールビンディング内の上記電子評価装置は、上記ヒールビンディングによって保持されたスキーシューズに対して、上記スプリングシステムのクランプ圧を決定する、またはチェックするセンサに接続される。
4番目の発明では、3番目の発明において、上記クランプ圧を決定するまたはチェックする上記センサは、磁場センサである。
5番目の発明では、4番目の発明において、上記磁場センサは、ジャイアント磁気抵抗センサである。
6番目の発明では、4番目の発明において、上記スリップオンスプリングシステムを含む、ヒールビンディングハウジングであって、上記磁場センサは、上記ハウジングに移動しないように接続されるヒールビンディングハウジングと、上記磁場センサに対して、移動可能な上記スリップオンスプリングシステムの一部に配置される、永久磁石または金属部分と、を有する。
7番目の発明では、6番目の発明において、上記磁場センサは、ホール効果センサであり、上記永久磁石は環状磁石であって、上記ホール効果センサは、上記環状磁石の円周方向に互いに少し離れていて、上記ホール効果センサは、調整ネジの回転でデジタルセンサ信号を生成し、上記電子評価装置は、上記センサ信号のパルスまたは周期を計算し、または登録するカウンタを有する。
8番目の発明では、1番目の発明において上記ヒールビンディング内の上記電子評価装置は、上記ヒールビンディングの開放状態および閉鎖状態を検出するセンサに接続される。
9番目の発明では、8番目の発明において、上記ヒールビンディングの上記解放状態および閉鎖状態を検出する上記センサは、上記開放状態の信号を発する第1のホール効果センサと、上記閉鎖状態の信号を発する、第2のホール効果センサとを有する。
10番目の発明では、8番目の発明において、不揮発性メモリーシステムに格納された、計算されたまたは登録されたパルスまたは周期を表す数値が、上記調整ネジの回転により、上記調整ネジが回転される方向に従って、増分され、または減分される。
11番目の発明では、1番目の発明において、上記一組のセーフティ開放値を検出する上記センサは、2つのホール効果センサと、上記ホール効果センサの検出領域に配置された、解放機構の上記解放値を調整する調整ネジに回転上接続される、多極の環状磁石を有する。
12番目の発明では、1番目の発明において、上記電子評価装置は、少なくとも一つのセンサのエネルギ供給を実行し、または停止するように設計される
13番目の発明では、1番目の発明において、各々の電子評価装置に接続された移動センサを有する。
14番目の発明では、1番目の発明において、上記トウビンディング内の上記電子評価装置または、上記ヒールビンディング内の上記電子評価装置に接続された移動センサを有する。
15番目の発明では、14番目の発明において、上記電子評価装置は、上記移動センサの信号状態が、所定の期間に渡って変化しない場合に、オフに切り替わるまたは、パワーセーブモードに切り替わるように設計される。
16番目の発明では、15番目の発明において、上記電子評価装置は、上記パワーセーブモード中の上記移動センサの上記信号状態を第一に評価し、上記電子評価装置の他の機能は、非作動にされまたは最小化されるように設計される。
17番目の発明では、14番目の発明において、上記電子表示装置は、上記移動センサの信号により、および、上記評価装置または上記動作センサによって、いかなる動作も検出されることなく、一定期間経過したときに、オフに切り替えられるように設計されている。
18番目の発明では、1番目の発明において、上記トウビンディング内の上記電子評価装置は、上記ヒールビンディングが、閉鎖状態から開放状態に変わる場合に、上記電子表示装置をオフに切り替え、または、上記電子表示装置をパワーセーブモードに切り替える。
19番目の発明では、1番目の発明において、上記送信装置および受信装置は、周辺の電子コンピュータユニットを有する。
20番目の発明では、19番目の発明において、上記コンピュータユニットは、リストトップコンピュータ、ハンドヘルドコンピュータ、またはモバイル電話を有する。
本発明のスキービンディング(以下単に「ビンディング」ともいう)の請求項1または2に記載の発明の効果の1つは、トウビンディングおよびヒールビンディングの安全調節(特に、いわゆるZ値)が電子的に記録され或いは登録され、トウビンディングに対する有効な調節もヒールビンディングに対する有効な調節も視覚化されていることにある。すなわち、トウビンディングの解放値(または、固定保持限界値)の調節が電子的に検出されるだけでなく、それに対して原則的に独立して調節可能なヒールビンディングの解放値(または、固定保持限界値)の調節も電子的に求められ、少なくとも視覚的に認識可能に表示される。したがって、この増大された機能範囲は、例えば、ビンディングのユーザーによって、トウビンディングヒールビンディングとからなる安全スキービンディング(以下単に「ビンディング」ともいう)全体の安全調節を簡単で且ついつでも実施可能に検査できるようにする。さらに、行うべき調節の精度を向上させることができ、ビンディングのトウビンディングヒールビンディングとの間の等しくない調節、あるいは、ペアで利用するビンディングの異なる調節を即座に認識することができる。したがって、電子的なビンディングの高められた機能性が、安全性を高め、読取りないし調節の快適性を向上させる。また、本発明のビンディングは、機能範囲が増大され、トウビンディングおよびヒールビンディング内の電子ユニットが構造的に独立して形成されているにも係わらず、使用駆動において不利な環境状況下でも、長期に亘って高い機能信頼性を有する。特に、トウビンディングヒールビンディングの独立し或いは自足した電子ユニットとの間にワイヤレス(または、非接触)の信号伝送区間(または、データ伝送区間)を形成することによって、電気的な接触が悪いことによる機能故障の危険が生じない。トウビンディングヒールビンディングとを電気的に導通する接続は、構造的に複雑になる。というのは、適切な措置(特に、電気的な短絡を防止するための複雑なシール)を行わなければならないからである。
さらに、ワイヤレスでの信号伝送(または、データ伝送)によって、互いに相対移動する部分間(特に、スキーまたはそのビンディングプレートとトウビンディングまたはヒールビンディングのハウジングとの間)に、例えば、摺り接触接続または破断の危険のある導体ストラップを設ける必要がなくなる。特に、トウビンディングヒールビンディングとの間で高周波無線信号をワイヤレスで伝送するようにしていることで、スキーに対するトウビンディングおよび/またはヒールビンディングの位置を様々に変えることができる。具体的には、スキーに対するビンディング全体の相対位置が変位した場合、または、大きさの異なるシューズに適合させるためにピース間隔が変化した場合に、ビンディングの電子システム内にマイナスの効果は発生しない。これが全体として、ビンディングが機械的に多様に調節可能ないし変位可能であっても、向上された機能確実性をもたらす。さらに、本発明のビンディングの利点は、1つの電子表示装置のみを配置することによって、ユーザーにとっての見やすさや判りやすさはそのままで、本発明のビンディングのコスト全体を低く抑えられることにある。さらに、トウビンディングおよびヒールビンディングの状態または値を中央で表示することによって、操作快適性が向上し、あるいは、興味ある、あるいは、システム上重要な状態または値の読取りが簡単になる。
請求項3に記載の発明も効果的である。というのは、これによれば、ビンディングのきちんとした機能のために同様に重要な挿入されているスキーシューズへのビンディングのクランプ圧をユーザーが問題なくコントロールすることができるからである。特に、支配的なクランプ圧の表示がトウビンディングの領域内で行われる場合、各調節値はビンディングのユーザーの視野内でよく見える。すなわち、ヒールビンディング内でクランプ圧を電子的に検出するにも係わらず、このクランプ圧を簡単な方法でトウビンディング内に表示することができる。特に、クランプ圧が正しくない場合には、ビンディングのユーザーにこの状況について注意を促し、例えば、スキーシューズやスキービンディングを清掃したり、スリップオンスプリングシステムを正しく調節したりと、それに対処することができる。
請求項4または5に記載の発明では、好ましくは、例えば、「OK」や「OKではない」といった形のほぼバイナリのクランプ圧検出を行うことができるだけでなく、中間値または目標クランプ圧からの様々な偏差のための多数の値領域または理想的なクランプ圧を検出し或いは評価することができる。
請求項6に記載の発明では、好ましくは、実の距離測定が行われ、様々な間隔状況に亘って簡単な方法で支配的なクランプ圧を推定することができる。好ましくは、さらに、磁場センサはハウジング固定で取り付けられ、あるいは、その電気的な接続端がビンディングハウジングによって支持されているので、相対的な変位が発生したとしても、ケーブルストラップまたは補償運動を可能にする導体接続が必要になることはない。
さらに、請求項7に記載の発明も効果的である。というのは、これによれば、検出センサの電流消費が少なく、したがって、長期間に亘って、ビンディングの保守が不要であり、あるいは、完全に機能する駆動が達成できるからである。さらに効果的なことは、インクリメンタルな距離測定システム(または、いわゆる増分検出器)が検出センサとして使用され、これにより、ビンディング電子装置の干渉に関する安全性が高められることである。
請求項8に記載の発明も効果的である。というのは、これによれば、ビンディングのユーザーに、ビンディングが正しく閉鎖されているか、あるいは、スキーシューズで正しくビンディング内へ乗り込んだと思ったにも係わらず、安全上問題となる中間位置または部分的な開放位置が存在するかについて、誤解しようのない方法で伝達できるからである。したがって、本発明のビンディングを使用した場合に得られる安全性は、この形態によってさらに向上させることができる。さらに、これによれば、セーフティ解放値を求めるために設けられている電子コンポーネントに、より高い利用度が与えられる。
請求項9に記載の発明も効果的である。というのは、これによれば、機能が確実で特に干渉に敏感でないセンサが形成され、このセンサは、さらに、それぞれ別体のセンサによって2つの終端位置が監視され或いは検出されるので、許容できない中間位置も簡単な方法で認識できることにより、現在の状態の検出の正しさを向上させるからである。
請求項10に記載の発明も効果的である。というのは、これによれば、デジタル信号処理、したがって、高度に干渉に不感の信号処理を行うことができ、測定量(特に、調節ねじの変位距離または移動した回転角度の増加と減少)を確実な方法で認識することができるからである。
請求項11には、セーフティ解放値を検出するためのセンサの好適な実施形態が記載されている。ここで効果的なのは、このセンサは発生した熱的な影響や機械的な影響に対して特に干渉不感であって、調節されたセーフティ解放値の良好な測定技術的な解像を得ることができることである。さらに効果的なことは、測定量または調節領域の高い解像度または十分に細かい段階を得るために、機械的な変換器や変換伝導機構を必要としないことである。さらに、こうした形成は、湿気や液体の侵入に対して長期に亘っても比較的不感である。
請求項12に記載の発明によれば、電気エネルギ消費が削減され或いは最小限に抑える。
請求項13または14に記載の発明によれば、電子コンポーネントをオフ状態(または、エネルギ節約モード)へ自動的に移行させることにより、エネルギ消費が減少される。
請求項15に記載の発明によれば、電子コンポーネントのエネルギ消費が著しく削減される。というのは、例えば、夏季に、長期間の静止時間に亘って、あるいは、夜間、エネルギ消費は無視できるほど小さく或いはゼロになるからである。
請求項16に記載の発明も効果的である。というのは、これによれば、ビンディング電子装置の機能が必要とされない間、特に僅かなエネルギしか消費されず、したがって、バッテリ(または、アキュムレータ)の最大で提供される容量が制限されているにも係わらず、ビンディング(または、ビンディング電子装置)の長期間に亘る保守のいらない使用期間が得られるからである。さらに、ビンディング電子装置は、最初に移動した場合に簡単な方法で自動的に再び作動され、それによって該当する課題を満たすことができる。
請求項17に記載の発明も効果的である。というのは、これによれば、表示装置の電流消費をそれが必要とされない間、最低限に抑え或いはゼロにすることができるので、エネルギ供給装置(特に、電気化学的な電流源)ができるだけ長期間に亘って電子コンポーネントの必要なエネルギ供給を引き受けることができるからである。
請求項18に記載の発明も効果的である。というのは、これによれば、ビンディングから降り、あるいは、ビンディングがその他の方法で、例えば、スキー安全解放によって開放されたときに、表示装置が即座にオフにされるので、ビンディング内の電子コンポーネントのエネルギ消費を低下させることができるからである。
そして、請求項19または20に記載の発明も効果的である。というのは、これによれば、電子的なビンディングにおいて、構造的に複雑でコストのかかる入力手段を省くことができるからである。特に、それによって独立した電子計算ユニットをビンディング内の電子システムのためのプログラミング手段および/または操作手段および/または表示手段として利用することができる。したがって、入力手段は必要ないか、あるいは、極めて僅かな簡単な入力手段しか必要とされないので、例えば、水分、振動、機械的負荷のような外部の干渉影響に関する問題も発生しない。さらに、それによって、ビンディングの電子システムにおける保守、サービスおよび適合作業の際の機能多様性または操作快適性を特に高く見積もることができる。
以下、図示した実施例を用いて本発明を詳細に説明する。
始めに、異なる実施形態においても、同じ部分には、同じ参照符号(または、同じ構成部品名)を付し、説明全体に含まれている開示は、その主旨に従って、同じ参照符号(または、同じ構成部品名)を付された同じ部分に置き換えることができる。また、説明で用いられる位置に関する表記(例えば、上、下、側方など)は、直接説明され図示された図に関するものであって、位置が変わった場合、その主旨に従って新たな位置に変わる。さらに、図示され説明されている様々な実施例の個々の特徴またはこれら特徴の組合わせも、独立した発明的な解決または発明に基づく解決を表すことができる。
図1には、本発明の安全スキービンディング1の可能な実施形態が、極めて簡略化されて象徴的な形で示されている。こうしたビンディング1は、一般に知られているように、ペアで使用され、必要に応じてスポーツシューズ(特に、いわゆるスキーシューズ)を板状の滑走装置2(特に、ペアで使用されるスキー3)に結合するために用いられる。
ビンディング1は、概して、スポーツシューズの尖端の領域を保持するトウビンディング4と、ビンディング1内へ挿入されたスポーツシューズの踵の領域を保持するヒールビンディング5とからなる。場合によっては、トウビンディング4および/またはヒールビンディング5とスキー3との間に、概略的に示唆されている、いわゆるビンディング支持プレートを配置することもできる。
また、場合によっては、ビンディング1に、概略的に示唆されているように、トウビンディング4および/またはヒールビンディング5の互いに対する位置、および/または、スキー3の長手方向において該スキー3に対するトウビンディング4とヒールビンディング5とからなるユニットの位置を個別に調節するための変位機構(または、調節機構)も設けられる。従来技術から様々な形式で知られているこうした変位機構(または、調節機構)によって、予め定められた範囲内で、労なく、ビンディング1を各シューズの大きさや長さに適合させ、および/または、ビンディング1とスキー3またはビンディング支持プレートとの間の力導入点を個々に移動させることができる。
さらに、ビンディング1は電子回路組立体(以下単に「回路組立体」ともいう)6を有する。回路組立体6には、表示装置7と少なくとも1つのセンサ構成8とが接続されている。回路組立体6は、少なくとも、ビンディング1の調節されたセーフティ解放値を検出して表示するために設けられている。また、ビンディング1は、公知のように、1つのビンディングタイプによって多数の異なる条件(または、ユーザー)をカバーすることができるように、セーフティ解放値のための予め定められた調節領域、または、スキーシューズの最大の固定保持値を有する。ここで、セーフティ解放値(または、いわゆるZ値)は、トウビンディング4内の解放機構10に設けられた調節ねじ9によって、現在のユーザーの個別の要請や安全上の要請に適合させることができる。同様に、ヒールビンディング5内の独立した解放機構12に設けられている調節ねじ11を介しても、セーフティ解放値(または、Z値)を変更し或いは調節することができる。トウビンディング4またはヒールビンディング5内の解放機構10、12(または、可変に調節可能なリリース機構)は、公知のように、ユーザーが怪我をする危険性が高い過度の負荷が発生したときに、滑走装置2に対してスポーツシューズをコントロールしつつ解放するために用いられる。ここで、解放機構10、12が原則的に互いに独立していることから、セーフティ解放値を互いに異なる形で調節可能である。
トウビンディング4およびヒールビンディング5それぞれの調節されたセーフティ解放値は、表示装置7において視覚化することができる。そのために、トウビンディング4内にもヒールビンディング5内にも、それぞれ独立して構成された電子評価装置(以下単に「評価装置」ともいう)13、14が形成され、あるいは、トウビンディング4に対応した評価装置13とヒールビンディング5に対応した評価装置14とが実装されている。トウビンディング4に対応した評価装置13とそこから離れた場所にあるヒールビンディング5に対応した評価装置14とは、それぞれ、少なくとも調節されたセーフティ解放値を検出するために、少なくとも1つのセンサ15、16に接続されている。特に、トウビンディング4内で実施される電気導線接続17が、センサ15と評価装置13との間に形成され、ヒールビンディング5内では、センサ16と評価装置14との間に独立した導線接続18が形成されている。ここで、センサ15、16は、力の絶対値(または、付勢力の絶対値)を検出する位置センサ(または、圧力センサ)として形成されているのではなく、解放機構10、12における変位プロセス(または、調節プロセス)を増分検出するパルス発生器(または、増分検出器)として形成されており、これについては、以下で、詳細に説明する。すなわち、センサ15、16は、解放機構10、12の変位(特に、調節ねじ9、11の変位または回転)を監視し或いは検出する。後に詳述するが、行われた操作距離と操作方向または移動された回転角度(この回転角度は調節ねじ9、11の多数の回転も含む)を電子的に検出することによって、その後、各評価装置13、14によって、最後に有効だった調節値を考慮して、セーフティ解放値の実際に有効な調節を計算し、これについては、以下で、詳細に説明する。
トウビンディング4内に配置された評価装置13も、ヒールビンディング5内に配置された評価装置14も、高周波、電磁波、または、無線信号用の送信および/または受信装置(以下「送受信装置」という)19、20を有する。送受信装置19、20の周波数領域は、好ましくは、いわゆるISM(Industrial Scientificial Medical)周波数領域内にあり、これは、MHz(メガヘルツ)領域からGHz(ギガヘルツ)領域に達する。特に、例えば、13.56MHzないし27.125MHzのHF領域内、または、400から約950MHzのUHF領域内の信号伝送(または、データ伝送)が好ましい。
HFモジュールと称することもできるこれら送受信装置19、20によって、少なくとも、トウビンディング4に対応した評価装置13とヒールビンディング5に対応した評価装置14との間で、ワイヤレスでの一方向(または、双方向)のデータ通信(または、信号伝送)が可能である。すなわち、送受信装置19、20は、高周波の電磁波をワイヤレス(または、非接触)で受信および/または送信するために用いられる。特に、送受信装置19、20によって、少なくとも、互いに距離を開けているトウビンディング4内の評価装置13とヒールピース5内の評価装置14との間で無線信号を一方向(または、双方向)で伝送することが可能である。
トウビンディング側、または、ヒールビンディング側の電気コンポーネントを駆動するために、トウビンディング4にもヒールビンディング5にも、電気エネルギ供給装置21、22が付設されている。これらエネルギ供給装置21、22は、好ましくは、電気化学的な電圧源、特に、バッテリ(または、アキュムレータ)によって形成されており、これらは、好ましくは、ピース本体(あるいは、その中)に取り付けられている。また、これらエネルギ供給装置21、22は、その近傍の評価装置13、14に接続され、好ましくは、トウビンディング4のハウジング23またはヒールビンディング5のハウジング24内に収容されている。
上述した構成によれば、好ましい方法で、互いに相対変位するコンポーネント間に電気導線接続が必要なくなる。特に、例えば、ビンディング1のピースと滑走装置2(または、ビンディングプレート)といった互いに相対移動する部材間、あるいは、滑走装置2のアクティブな走行駆動中に、好ましくは、互いに少なくとも僅かに相対移動するトウビンディング4とヒールビンディング5との間に、フレックス導体接続(または、摺り接触接続、または、エネルギ伝達機構)は不要となる。トウビンディング4とヒールビンディング5との間、あるいは、これらピースボディの少なくとも1つとスキー3との間のこの僅かな相対移動は、通常は、ヒールビンディング5内に収容されているいわゆるスリップオンスプリングシステム(または、長さ補償ばね部)によって許容され或いは制御される。したがって、トウビンディング4またはヒールビンディング5内に内蔵されている電子ユニットには、長期間に亘って、あるいは、使用中にしばしば周囲条件が不利な場合でも、高い機能信頼性があり、機能故障に対する高い安全性がある。
トウビンディング4とヒールビンディング5それぞれの値(または、ビンディング1の状態)を少なくとも視覚化するために、ビンディング1には、トウビンディング4またはヒールビンディング5に配置された形で、単一の表示装置7が形成されている。同様に、表示装置7は、その表示面がビンディング1のユーザーに良く見えるように、トウビンディング4のハウジング23(または、代替的には、ヒールビンディング5のハウジング24)に結合されている。したがって、好ましくは、表示装置7は、トウビンディング4の上側に配置されている。場合によっては、表示装置7を対応の評価装置13と共に構造的に1つのユニットを形成してもよい。さもなければ、表示装置7(または、コントローラ)と評価装置13との間に、いわゆる別体の導線接続を形成してもよい。これは、特に、ピース本体内のスペースが狭いために、例えば、評価装置13がトウビンディング4の下側の領域に形成され、表示装置7がトウビンディング4のハウジング23の上方の領域に配置されている場合に採用される。
重要なことは、表示手段を持たない側のピースの興味ある値(または、調節)が、該当する表示可能性(または、視覚化可能性)のある側のピースにワイヤレスで伝達されることである。好ましくは、ヒールビンディング5(または、その中)において、センサにより検出されたヒールビンディング5の値(または、調節)は、評価装置14(または、送受信装置20)を介してワイヤレス(または、非接触)でトウビンディング4内の送受信装置19へ伝達され、直接または評価装置13を介して表示装置7において、表示値がトウビンディング4について有効なのか、ヒールビンディング5についてなのかを一義的に認識できるように視覚化される(必ずしもこれに限定されない)。場合によっては、ユーザーが常にどの値がトウビンディングに関するものであり、どの値がヒールビンディングに関するものであるかを一義的に認識可能なようにして、共通の表示装置7にトウビンディング4とヒールビンディング5の値(または、データ)を同時に表示してもよい。
トウビンディング4とヒールビンディング5とによってほぼ共通に利用される表示装置7の表示面がある程度小さく形成されている場合には、トウビンディング4の値とヒールビンディング5の値とを一義的に特徴づけて時間的に互いに相前後して視覚化してもよい。
好ましくは、表示装置7は、グラフィック能力を有するディスプレイ25(特に、多数のグラフィックの自由にプログラミング可能なシンボル、グラフまたはテキストないし数値を表示できるLCDディスプレイ)によって形成されている。好ましくは、ディスプレイ25を介して様々なグラフィックシンボルが視覚化され、これらグラフィックシンボルによって各情報(または、報告)をユーザーはできるだけ一義的に認識することができる。特に、ディスプレイ25においてグラフィックシンボルで視覚化することによって、少なくとも幾つかのテキスト出力を省くことができ、これによれば、ビンディングの種々のユーザーの異なる言語による表示の困難さや問題は生じなくなる。したがって、評価装置13または評価装置14によって制御して、好ましくは、例えば、「Z」といったような数値、または、個々の文字、および/または、普遍的に理解されるグラフィックシンボル、あるいは、「OK」や「OPEN」といったテキストのみがディスプレイ25に出力される。
好適な実施形態によれば、評価装置13、14の少なくとも1つによって制御されて、ビンディング1(または、滑走装置2)のメーカーのロゴ(または、商標)、および/または、ビンディング1のタイプ(または、マーク名)もディスプレイ25に視覚化される。同様に、多数の画素(または、ピクセル)を有するディスプレイ25によって、グラフィックアニメーションを表示してもよい。
さらに、好ましくは、トウビンディング5内に配置された評価装置14は、ヒールビンディング5のスリップオンスプリングシステム27のクランプ圧を検出するための少なくとも1つの他のセンサ26に接続されている。
公知のように、スリップオンスプリングシステム27は、ビンディング1内へ挿入されたスキーシューズをトウビンディング4とヒールビンディング5との間でできるだけあそびがないように保持する。また、スリップオンスプリング27は、スキー3が曲がったときに発生するトウビンディング4またはヒールビンディング5とスキー3またはビンディング支持プレートとの間の角度変化(または、間隔変化)を少なくとも部分的に補償し或いは吸収するためにも用いられる。こうしたスリップオンスプリングシステム27は、例えば、スキーに固定された軸受台28、あるいは、トウビンディング4とヒールビンディング5との間の1つ(または、複数)の部材のバンド状の結合部材上に固定された軸受台を有する。この位置固定された軸受台に、弾性的に撓む部材、例えば、コイルばね29が付設されており、このコイルばねはトウビンディング4のハウジング24とスキー3(または、スキーに固定されたヒールビンディング5用の長手ガイド)との間の制限された相対変位を許す。好ましくは、弾性的な軸受台、特に、コイルばね29の付勢力と、それに伴うスリップオンスプリングシステム27の特性とは、調節ねじ31を介して調節可能であり、および/または、こうした調節ねじ31によって、長手ガイド30(または、スキー3)に対するヒールビンディング5の相対位置を必要に応じて変化させることができ、それによって、大きさの異なるシューズへの適合やクランプ圧の調節を行うことができる。ビンディング1内へスキーシューズが挿入されたときに、いずれにしても弾性的な部材(特に、スリップオンスプリングシステム27のコイルばね29)が負荷を受け、好ましくは、幾分か圧縮されて、ヒールビンディング5が長手ガイド30内でスキー端部方向へ僅かに移動せしめられるので、スキーシューズはスリップオンスプリングシステム27の作用によってスキー3に対して長手方向にトウビンディング4とヒールビンディング5との間にあそびなしに取り付けられることになる。
もちろん、本発明の範囲内において、こうしたスリップオンスプリングシステム27(または、適当な補償機構)をトウビンディング4またはヒールビンディング5内に形成してもよい。
挿入されたスキーシューズに対するこの変位、または、スリップオンスプリングシステム27によってもたらされるクランプ圧の程度は、適切で整然とした機能や安全性のためにも、ビンディング1から得られる性能にとっても重要である。特に、クランプ圧が小さすぎると、ビンディング1とスキーシューズとの間に望ましくない相対移動がもたらされ、クランプ圧が高すぎると、スキー3の性能や曲げ特性が悪影響を受け、それによって、トウビンディング4またはヒールビンディング5の調節されたセーフティ解放値が著しく損なわれたり、歪曲されたりする。
したがって、センサ26は、スキーに固定された点(例えば、長手ガイド30)に対する、あるいは、バンド形状の結合部材に形成された軸受台28に対する、あるいは、スキー3(または、ビンディング支持プレート)に形成された軸受台28に対する、ヒールビンディング5(特に、そのハウジング24)の相対変位を記録し或いは監視することによって、スリップオンスプリングシステム27のクランプ圧をコントロールし或いは検出することに用いられる。
また、スリップオンスプリングシステム27のセンサ26は、圧力センサ(または、力センサ)として形成されているのではなく、距離センサ(または、間隔センサ)として作用する。特に、センサ26は、そのセンサ面(または、その検出領域)に対する検出対象(例えば、金属部分、または、永久磁石)の存在を検出する。センサ26とスキーに固定された検出対象(例えば、軸受台28)との間の相対変位に応じて特有の電気センサ信号が、少なくとも1つの導線接続32を介して評価装置14へ伝達される。好ましくは、センサ26は、ヒールビンディング5のハウジング24に堅固に結合されているので、評価装置14とセンサ26との間の導線接続32は簡単で且つ長期的に機能するように構成することができる。もちろん、評価装置14の電子基板が然るべく配置されている場合には、センサ26(または、上述したZ値を検出するためのセンサ16)を別体の導線接続18、32なしで評価装置14の電子基板に直接配置してもよい。
さらに、好適な実施形態によれば、ヒールビンディング5内に配置された評価装置14は、ヒールビンディング5の保持爪34の開放状態および/または閉鎖状態を検出するための少なくとも1つの他のセンサ33に接続されていてもよい。センサ33は、上述したセンサ15、16、26と同様に、好ましくは、非接触で調節可能な検出器(または、非接触で検出するセンサ素子)によって形成されている。同様に、センサ33は、ヒールビンディング5内の評価装置14にも接続されている。現在の配置状況に応じて、センサ33と評価装置14との間に、破線で示すように、少なくとも1つの導線接続35を形成することができる。また、保持爪34の位置(すなわち、ヒールビンディング5が開放された状態にあるか閉鎖された状態にあるか)に応じて、これに関して特有の異なるセンサ信号が少なくとも1つのセンサ33から出力され或いは提供される。これら典型的なセンサ信号は、評価装置14によって評価され、あるいは、センサ特性の状態が求められ、それに基づいてビンディング1(または、ヒールビンディング5)の現在のカップリング状態を推定することができる。
センサ33は、特に、きちんと閉鎖されているヒールビンディング5を管理するために用いられる。特に、例えば、スキーシューズに氷や雪が著しく付着している場合に発生するように、保持爪34が開放されている場合、あるいは、保持爪34が部分的にだけ閉鎖されている場合、それに応じた報告、または、例えば、「OPEN」のような警告指示、あるいは、適当な警告シンボルを表示装置7に出力することができる。これにより、保持爪34が部分的にしか閉鎖位置にないことから生じるヒールビンディング5の早期の解放や誤った解放を回避することができる。というのは、ビンディング1のユーザーは、きちんとしていない状態について知らされ或いは警告されるからである。これによれば、スキースポーツをする場合に、ビンディングのユーザーにとっても、その周りにいる人々にとっても、安全性を向上させることができる。
少なくとも、ヒールビンディング側の評価装置14によってセンサ的に検出された値および/またはヒールビンディング5の実際の状態は、送受信装置20を経由してワイヤレスのデータ伝送区間を介して、あるいは、高周波無線信号によって送出され、他方のカップリング部分(特に、トウビンディング4の送受信装置19)によって受信され、場合によっては、適当な形で表示装置7に表示される。その代わりに、あるいは、それに加えて、評価装置13に達した信号(または、データ)をさらに処理し或いは記憶することもできる。
送受信装置19および/または20は、外部コンポーネント(特に、独立して外部に形成された電子ユニット36)に対する信号伝送(または、データ伝送)をもたらすために利用することもできる。この構造的に独立した電子ユニット36は、例えば、概略的に示したリストトップコンピュータ37、したがって、マルチ機能腕時計、パーソナルデータアシスタント(PDA)、固定型のコントロール装置、または、その他のモバイル計算ユニットによって形成される。場合によっては、同様に、ビンディング1の種々の状態(または、調節値)を電子ユニット36に表示することができ、あるいは、電子ユニット36を介して種々の調節または駆動コンフィグレーションを変更することができるので、電子ユニット36は、場合によっては、ビンディング電子装置(または、回路組立体6)のためのプログラミング装置(または、保守装置)として使用することもできる。回路組立体6とモバイル電子ユニット36との間の通信は、好ましくは、同様に、双方向矢印で示したように、ワイヤレスの信号伝送区間(または、データ伝送区間)を介して行われる。
送受信装置19、20は、適当な周波数領域の電磁波を受信および/または送信することができるように、例えば、ヘリカルアンテナ、ダイポールなどのような適切なアンテナ構成を有する。もちろん、これら送受信装置19、20は、従来技術から十分に知られているように、適当な増幅器および/または変調回路または復調回路も有する。送受信装置19、20は、概して、ビンディング電子装置のHFモジュールであって、例えば、いわゆるブルートゥーステクノロジーの電子モジュールによって形成することもできる。特に、送受信装置19、20としてブルートゥースモジュールを使用することによって、ビンディング電子装置を既にあるブルートゥースシステム(または、ブルートゥースアプリケーション)内に簡単に組み込むことができる。
また、評価装置13および/または14が、適当な外部の電子ユニット36に導線(または、ワイヤ)で接続するための接点を備えたインターフェイス38を有することもできる。このインターフェイス38は、例えば、ソフトウェアアップデート(または、いわゆるファームウェアアップデート)を評価装置13、14へロードし、および/または、評価装置13、14に記録され或いは格納されている特性値(または、いわゆるヒストリーデータ)を呼び出すために利用することができる。
図2および図3には、少なくとも1つのピースボディのために調節されたセーフティ解放値を電子的に検出し或いは測定するためのセンサ構成8の好適な実施形態が示されている。
以下では、説明を簡単にするために、後方のビンディング部分(すなわち、ヒールビンディング5)内の構成のみに触れる。もちろん、こうしたセンサ構成8を前方のピースボディ内に実装することもできる。
センサ構成8は、セーフティ解放値(または、それぞれ調節されたZ値)の調節を電子的に記録するために、解放機構12に対応づけられている。解放機構12は、好ましくは、弾性的な部材(好ましくは、ピースボディのセーフティ解放値を定めるコイルばね41)用の位置変化可能な軸受台40として、調節ねじ11上に変位可能に軸承されたねじナット39を有する。したがって、解放ばね(または、コイルばね)41は、調節ねじ11を介して調節可能な可変の付勢力をもって、変位可能に軸承されているピストン42に押し付けられ、このピストンはスポーツシューズ用の機械的なカップリング部分(特に、シューズホルダ)に結合されている。
センサ16は、好ましくは、磁場を感知する検出器(または、磁場センサ)として形成されている。特に、それぞれ調節されたセーフティ解放値を検出するためのセンサ16は、少なくとも2つのホール効果センサ43、44によって形成されている。検出領域内には、多極で環状の磁石45が配置されている。環状磁石45は、特に、調節ねじ11が回動したときに環状磁石45が同様に同じ程度回動するように、調節ねじ11に移動結合されている。好ましくは、環状磁石45は、調節ねじ11のフランジ(または、カラー)46に対応づけられている。ここで、調節ねじ11は、ピースボディの対応する収容ハウジング(例えば、ハウジング24)内に回動可能に収容されている。また、調節ねじ11は、回転はするが一定の位置に留まるよう、あるいは、その位置が変わらないように収容ハウジング内で軸承されている。特に、調節ねじ11はカラー46を介してピースボディのハウジング24に支持され、コイルばね41の可変に調節可能な付勢力は、調節ねじ11のねじに接して相対移動可能なねじナット39を介してもたらされる。
したがって、調節ねじ11が回動すると、環状磁石45がこれに連動し、これにより、多重に形成された永久磁石の磁場の向き(または、方位、特に、極性)が変化する。好ましくは、永久磁石部材は、環状磁石45の周面領域に亘ってN極とS極とが交互に連続するように配置されている。調節ねじ11が回動したときにもたらされる環状磁石45の磁場(または、極性)の変化は、2つのホール効果センサ43、44によって検出可能であり、あるいは、環状磁石45はホール効果センサ43、44に対するその相対位置に従ってその電気信号状態を調節する。
また、ホール効果センサ43、44は、環状磁石45の周方向に互いに間を開けて配置されている。特に、ホール効果センサ43、44間のずれは、一方のセンサが環状磁石45の一方の極(例えば、N極)と重なり、他方のセンサがN極とS極との間の移行領域に対応するように選択される。環状磁石45の周方向における第1のホール効果センサ43と第2のホール効果センサ44との間の空間的なずれ(または、隔たり)によって、図4を参照すると容易に理解できるように、互いに位相のずれたセンサ信号47、48が生じる。その後、第2のホール効果センサ44からのセンサ信号48の位相に対する第1のホール効果センサ43からのセンサ信号47の位相に基づいて、調節ねじ11の回転方向を推定することができる。特に、2つのホール効果センサ43、44の配置によって、回転方向を認識することができるので、セーフティ解放値の増大もセーフティ解放値の減少もセンサ構成8を介して認識することができる。
もちろん、構造的に独立した2つのホール効果センサ43、44を配置する代わりに、組み合わされたホール効果検出器(特に、内蔵型の方向認識手段を備えたいわゆるデュアルホール効果センサ)を設けてもよい。同様に、多極の環状磁石45の代わりに、調節ねじ11の回転周面に多数の個別の永久磁石を設けてもよい。
図2〜図4をまとめて参照すると明らかなように、ホール効果センサ43、44は、好ましくは、いわゆるホール効果スイッチ(または、ホール効果ラッチ)によって形成され、それらはデジタル出力信号(または、デジタルセンサ信号)47、48を提供し或いは生成する。したがって、ホール効果センサ43、44は、デジタル磁場センサと称することもできる。さらに、図4を参照すれば、第1のセンサ信号47と第2のセンサ信号48との間の時間的なずれ(または、位相シフト)49が明らかに認識できる。
評価装置14の少なくとも1つの電子的なカウンタ50(または、いわゆるパルスカウンタ)によって、少なくとも1つのセンサ信号47、48のパルス51が計数される。ここで、調節ねじ11の回転方向(または、第2のホール効果センサ44のセンサ信号48に対する第1のホール効果センサ43のセンサ信号47の位相)に従って、不揮発性メモリ装置52に格納されている調節ねじ11のこれまでの回転数の値53がそれに応じてインクリメントされ或いはデクリメントされる。その後、調節ねじ11が回転すると、それに応じて更新されたセンサ信号47および/または48のパルス51の計数値53に従って評価装置14によってそれぞれ調節されたセーフティ解放値(または、Z値)が計算されて視覚化に備えられる。
好ましくは、高い干渉安全性、あるいは、機能確実性を得るために、磁場を感じるセンサ16のセンサ信号47、48は、デジタル電圧信号によって形成される。しかしながら、例えば、A/D変換や信号調整などを必要とするといった所定の欠点を甘受し、センサ信号47、48を、例えば、アナログホールセンサの、例えば、ほぼサイン形状の電圧信号によって形成することもできる。こうした信号においても、アナログセンサ信号のパルス(または、半波、または、周期)を計数し或いは評価することができる。
したがって、セーフティ解放値を検出するためのセンサ16は、力センサあるいは圧力センサまたは絶対的な測定値発生器または位置発生器ではなく、いわゆるインクリメンタルセンサ(または、インクリメンタル検出器)による増分測定方法が使用される。特に、それぞれ調節されたZ数は、調節ねじ11の回転の登録によって認識され、それぞれの調節値は次の更新(または、変化)まで、メモリ装置52(または、評価装置14)に格納される。ここで、少なくとも1つの計数値53用のメモリ装置52は、バッテリ(または、エネルギ供給装置)22が故障したとしても、そのメモリ内容が長期的に保持されるEEPROMメモリによって形成することができる。
いわゆるゼロ校正(あるいは、計数値53を調節ねじ11の位置またはセーフティ解放値に適合させること)は、好ましくは、工場側で行われる。あるいは、電子装置を機構に適合させること(または、ゼロ点の校正、または、基準点の校正)は、例えば価装置14のエネルギ供給期間をビンディング1の平均の製品寿命よりも長く設計することができることから、エネルギ供給が健全であれば、センサ信号47および/または48のパルス51が評価されないままになることはなく、また、対応する電子評価装置14、13による登録を伴わない調節ねじ11、9の回転が発生することもない。
評価装置14、13は、好ましくは、ソフトウェア制御されるプログラミング可能なマイクロコントローラを有する。特に、デジタル評価装置14、13が形成されており、用いられるマイクロコントローラは、内部および/または外部のメモリ装置(特に、プログラムメモリ)、および、例えば、RAMメモリ素子、EEPROMメモリ素子、PROMメモリ素子、および/または、フラッシュメモリ素子のような揮発性および/または不揮発性のデータメモリへのアクセスを有する。
トウビンディング4内の電子評価装置13またはヒールビンディング5内の電子評価装置14(図1参照)のエネルギ消費をできるだけ小さく抑えるために、好適な実施形態では、評価装置13および/または14に移動センサ54を付設してもよい。移動センサ54は、ビンディング1に移動があったときに、それを検出し、その情報を該当する信号を用いて評価装置13、14へ伝達するために用いられる。また、移動センサ54によって予め定められた期間、移動が登録されない場合、評価装置13および/または14(または、電子回路組立体6のその他の電気コンポーネント)がオフにされ或いはエネルギ消費が少ない駆動モード(特に、いわゆる「スリープモード」または「スタンバイモード」)へ移行される。「スリープモード」または「スタンバイモード」では、評価装置13、14は、移動センサ54の信号状態を優先的に検出するように形成されており、そして、その間は、評価装置13、14の他の機能は非作動とされ或いは減少される。移動センサを介してビンディング1の十分な移動が登録されるとすぐに、回路組立体6(または、少なくとも、電子評価装置13、14)が再びオンとされ或いはアクティブな駆動状態に移行する。特に、これによれば、夏休みの間やビンディング1が通常利用されないままとなる間、電子評価装置13、14のエネルギ消費を著しく削減し或いはゼロにまで下げることができる。
また、移動センサ54は、評価装置13および/または14の構成部品基板(または、ビンディング1のピースのハウジング24および/または25)に直接固定可能である。こうした移動センサ54は、従来技術から様々な仕様で知られている。特に、弾性的に軸承された少なくとも1つの電気的なスイッチング舌片(および/または、液体スイッチ、特に、水銀スイッチ)によって移動センサ54を形成することができる。
好適な実施形態によれば、表示装置7(図1参照)は、表示装置7のエネルギ消費を最小限に抑えるために、移動センサ54の信号(または、移動が記録されずに経過した期間)に従って、評価装置13、14に基づいて、あるいは、移動センサ54によって直接制御される形でオフにされることが可能である。アクティブな状態ではなく、表示機能を必要としない間は、表示装置7は、自動的にオフにされ或いはエネルギ節約モードへ移行される。同様に、所定の期間に亘って少なくとも1つの移動センサ54の信号状態が変化しない場合にも、電子評価装置13、14をオフにし或いはエネルギ節約モードへ移行することができる。回路組立体6のその他のコンポーネントにも同様なことが当てはまる。
しかしながら、ビンディング1(または、ヒールビンディング5)が閉鎖された状態(または、駆動せしめられている状態)から開放された状態へ変わったときに、トウビンディング4(図1参照)内の評価装置13を介してオフにすることによって、電気回路組立体6のエネルギ消費を減少させることもできる。すなわち、表示装置7のエネルギ消費を最小限に抑え或いはゼロにするために、ユーザーのスキーシューズがビンディングから降ろされたときに、表示装置7を瞬時に或いは所定の遅延をもってオフにしてもよい。
可能な好適な実施形態によれば、上述で説明し挙げたセンサ15、16、26、33の少なくとも1つを周期的に作動したり非作動としたりすることによって、電気的なエネルギ消費をさらに削減することができる。特に、少なくとも1つのセンサ15、16、26、33を、例えば、0.1秒のインターバルで短時間作動したり再び非作動したりすることができる。特に、センサ15、16、26、33の少なくとも1つを、いわゆるスキャン駆動することが好ましい。このとき、オン長さとオフ長さとの間で、例えば、1:500の高いパルスデューティー比を選択することもできる。この場合、電流消費は、それぞれの係数だけ(例えば、1:500のパルスデューティー比における係数500)だけ削減される。これにより、回路組立体6の電流消費が極めて少なく、また、著しく減少せしめられるので、長期間保守が要らない駆動を得ることができ、あるいは、容量が小さく、したがって、組立て大きさにおいてもずっと小さいエネルギ供給装置で間に合わせることができる。スキャンレートが十分に高い場合、または、評価装置13、14を介したセンサ15、16、26、33のスキャン駆動がそれに応じて速い場合には、データ(または、情報)の損失も排除することができる。
ここで、図2に示した解放機構12の実施形態は、限定するものと見るべきではなく、上述したセンサ構成8またはセンサによって、それぞれ調節されたセーフティ解放値を他のように形成された解放機構によって検出することもできる。
いわゆるホール効果スイッチ(または、ホール効果ラッチ)を使用する代わりに、ホール効果センサ43、44をいわゆるリードスイッチによって代用することも考えられ、これらリードスイッチは調節ねじ11(または、永久磁石リング、または、環状磁石)の位置(または、回動)に従って閉鎖され或いは開放され、これにより、同様に、デジタル出力信号を生成し或いは提供することができ、これら出力信号は、該当する信号パルス(または、スイッチング信号)の周期を計数することによって、電子評価装置13、14によって簡単な方法で処理することができる。したがって、このようにしても、調節ねじ11または調節ねじ9の変位距離(または、場合によっては、360°を越える回転角度)および回転方向を登録し、これらを考慮して評価装置14、13によってセーフティ解放値(または、Z値)を推定することができる。
図5には、挿入されたスキーシューズへのビンディング1(特に、ヒールビンディング5)のクランプ圧を検出するセンサが概略的に示されている。特に、ハウジング24の内部にクランプ圧を求めるセンサ26が配置されている。センサ26は、好ましくは、ハウジング24に相対移動しないように結合され、少なくとも1つの導線接続32を介して電子評価装置14に信号技術的に接続されている。
センサ26は、好ましくは、磁場センサ55(特に、ジャイアント磁気抵抗センサ56)によって形成される。こうした磁場センサ55(または、いわゆるジャイアント磁気抵抗センサ56)によって、ビンディング(または、ボード状のスポーツ装置の位置固定部分)に対するハウジング24の線形の位置決定が可能である。こうした位置が固定された部分は、例えば、ビンディングの金属部分57(および/または、少なくとも1つの永久磁石58)によって形成することができる。ここで、永久磁石58は、棒状またはディスク状に形成することができる。それぞれ検出すべき金属部分57(または、永久磁石58)と磁場センサ55との間に存在する間隔59に従って、特有のセンサ信号が磁場センサ55に生じ、それが導線接続32を介して評価装置14へ伝達される。したがって、磁場センサ55(または、ジャイアント磁気抵抗センサ56)は、ヒールビンディング5内のスリップオンスプリングシステムの実の距離測定を可能にし、したがって、スリップオンスプリングシステムの正しい或いは最適なクランプ圧の少なくとも存在ないし不在を推定することができる。
略示されているように、スキービンディングに乗り込んだとき、ハウジング24は、対応する或いは検出領域内にある金属部分57(または、永久磁石58)に対して図の矢印の方向へ移動し、これにより、磁場センサ55の電磁特性が変化する。そして、この場合、磁場センサ55の測定領域(または、最大測定区間)は、約20mm(好ましくは、約10mm)である。この場合、磁場センサ55の最大測定領域は、好ましくは、半分にされ、最大の距離測定領域の中央領域内にゼロ点60が定められ、このゼロ点で、クランプ圧が最適となる。ゼロ点60よりも下あるいは左の値または上あるいは右の値では、クランプ圧が低すぎ或いは高すぎる。
好ましくは、磁場センサ55によって、最適または最適でないクランプ圧を求めることができるだけでなく、圧接状況の中間段階を検出することも可能である。特に、低すぎるクランプ圧のための測定領域61が存在し、さらに、高すぎるクランプ圧を検出するための測定領域62が与えられている。また、各測定領域61、62を低、中、高の領域に分割することができるので、ゼロ点60によって象徴されている最も好ましいクランプ圧調節からの偏差を検出して、表示装置7(図1参照)に視覚化することができる。この場合、何の意味もない表示変動を防止するために、ゼロ点60を中心として、クランプ圧が最適または正しいと言える所定の値領域が定められていることが重要である。
このように、磁場センサ55(または、ジャイアント磁気抵抗センサ56)を介して距離測定が可能であることによって、例えば、クランプ圧について、例えば、6または7の異なる値領域が定められ、圧接状況がほぼ間接的に求められ、次に適当な形式で表示装置7に表示される。そのために、磁場センサ55(または、ジャイアント磁気抵抗センサ56)の信号が評価されて、評価装置14からワイヤレスで表示装置7(または、その前段に配置されている評価装置13(図1参照))へ伝達される。
こうしたデジタルの磁場センサ55(または、ジャイアント磁気抵抗センサ56)においては、検出すべき金属部分57(または、永久磁石58)に対するセンサ面の距離に従って、ほぼ線形の電圧上昇または電圧降下が生じる。特に、1mmの距離変化当たりの電圧上昇または電圧降下が30〜80mV(ミリボルト)でることから、距離測定区間、あるいは、それに伴って生じるスリップオンスプリングシステムのばね力(または、クランプ圧)の良好な、あるいは、比較的高い解像が可能である。
図6には、ビンディング部分(特に、ヒールビンディング)の開放された状態または閉鎖された状態を検出するためのセンサの好適な実施形態が示されている。ピースボディの閉鎖位置または開放位置を検出するセンサ33は、好ましくは、第1のホールセンサ63と第2のホールセンサ64とによって形成される。図6に象徴的に示されている開放位置において、検出すべき検出対象65は第1のホールセンサ63の検出領域内にあり、一方、ビンディングの他の検出対象66は他のホールセンサ64の検出領域外にある。検出対象65、66は、好ましくは、適当な永久磁石67、68によって形成される。ビンディング内へのスキーシューズの乗込みが行われてビンディングが閉鎖されるとき、検出対象65、66は図の双方向矢印に示すように下方へ移動される。ここで、ビンディングが正しく閉鎖されている状態では、検出対象66(特に、永久磁石68)が第2のホールセンサ64の検出領域内にあり、一方、検出対象65がホールセンサ63の検出領域外にあり、あるいは、ホールセンサ63は、それについて典型的な他のセンサ信号を出力し或いはもたらす。
2つのホールセンサ63、64を用いて開放状態と閉鎖状態とを、このようにほぼ冗長に或いは二重に検出することによって、認識の信頼性や正確さを向上させることができる。特に、それによって、開放状態と閉鎖状態との間の許容できない或いは安全上由々しい中間位置も検出することができる。検出対象65、66に対応するホールセンサ63、64間の相対位置に従って異なるホールセンサ63、64の電気的な特性(または、信号)は、評価装置13によって評価され、これにより、ヒールビンディング5、または、その保持爪34(図1参照)の該当する位置を推定することができる。
相対移動検出対象65、66として永久磁石67、68を使用する代わりに、所定の相対移動する金属部分を設けてもよい。この場合、永久磁石65、66は直接ホールセンサ63、64に、あるいは、その上に配置される。
もちろん、ホールセンサ63、64を使用する代わりに、少なくとも2つのリードスイッチを使用してもよく、これらリードスイッチはそれぞれ対応する永久磁石に対する相対位置に応じて開放される電気的接点または閉鎖される電気的接点を有する。
スキービンディング(または、ヒールビンディング)が開放された状態または閉鎖された状態を検出するために、磁場を感じる少なくとも1つ(好ましくは、2つ)のセンサが使用されることが重要である。
好ましくは、これらホールセンサ63、64(または、リードスイッチ)は、ヒールビンディング内の固定位置に保持されている。一方、検出対象65、66(したがって、永久磁石67、68、または、センサを中心とする永久的な磁場を調節する少なくとも1つの金属部分)は、これらが、例えば、保持爪34用の揺動軸の回転軸線上に、あるいは、揺動可能に軸承されている保持爪34(図1参照)上に直接配置されていることによって、好ましくは、相対移動可能に配置されている。
磁石の位置が測定されるのか、金属部分の位置が測定されるのかは、単に磁石がホールセンサ63、64に対して相対移動可能であるのか、あるいは、直接固定のホールセンサ63、64に配置されており、適当な金属部分の接近や離間によって永久磁石67、68の磁場が変化せしめられるのかということのみに関係する。すなわち、この変化がホールセンサ63、64によって同様に検出可能であり、あるいは、その電気的な特性が調節され、それに基づいて評価装置14によって、ホールセンサ63、64(または、それに応じた磁場センサ)と金属部分67(または、永久磁石68)との間の相対移動を推定することができる。
なお、ビンディング1の構造を理解しやすくするために、ビンディングまたはその構成部分は、一部寸法を無視したり拡大したり縮小したり著しく概略的に表示したりされている。
独立した解決の基礎となる課題は、明細書から理解することができる。
特に、図1〜図6に示されている個々の形態は、独立した発明に基づく解決の対象を形成することができる。これに関する、発明に基づく課題と解決は、これらの図の詳細な説明から明らかにされる。
本発明の安全スキービンディングの可能な実施形態を選択的な外部の計算ユニットまたは電子ユニットと組み合わせて極めて簡略化して概略的に示した側面図である。 トウビンディングまたはヒールビンディングのセーフティ解放値を電子的に検出するためのセンサの好適な実施形態を極めて簡略化して概略的に示している。 図2に示したセンサの一部を簡略化して概略的に示している。 図2および図3に示したセンサのデジタル出力信号を簡略化して示すグラフである。 スキービンディングによってスキーシューズへもたらされるスリップオンスプリングシステムクランプ圧を検出するセンサの好適な実施形態を極めて簡略化して概略的に示している。 安全スキービンディングの開放状態または閉鎖状態を検出するセンサの好適な実施形態を極めて簡略化して示すグラフである。
符号の説明
1…安全スキービンディング
2…滑走装置
3…スキー
4…トウビンディング
5…ヒールビンディング
6…回路組立体
7…表示装置
8…センサ構成
9、11、31…調節ねじ
10、12…解放機構
13、14…評価装置
15、16、26、33…センサ
17、18、32、35…導線接続
19、20…送受信装置
21、22…エネルギ供給装置
23、24…ハウジング
25…ディスプレイ
27…スリップオンスプリングシステム
28、40…軸受台
29、41…コイルばね
30…長手ガイド
34…保持爪
36…電子ユニット
37…リストトップコンピュータ
38…インターフェイス
39…ねじナット
42…ピストン
43、44…ホール効果センサ
45…環状磁石
46…カラー
47、48…センサ信号
49…位相シフト
50…カウンタ
51…パルス
52…メモリ装置
53…計数値
54…移動センサ
55…磁場センサ
56…ジャイアント磁気抵抗センサ
57…金属部分
58、67、68…永久磁石
59…間隔
60…ゼロ点
61、62…測定領域
63、64…ホールセンサ
65、66…検出対象

Claims (21)

  1. (a)トウビンディングと、
    (b)ヒールビンディングと、
    (c)(1)前記トウビンディングまたは前記ヒールビンディングそれぞれの値または状態を視覚化する、前記トウビンディングまたは前記ヒールビンディングのいずれかに配置された単一の電子表示装置と、(2)安全スキービンディングの一組のセーフティ開放値を示すセンサシステムと、を内蔵する、電子回路と、
    (d)前記トウビンディングと前記ヒールビンディング内の電子評価装置であって、前記一組のセーフティ開放値を検出するセンサを有する、各々の電子評価装置と、
    (e)前記各々の電子評価装置の前記トウビンディングと前記ヒールビンディング内の別々のエネルギ供給システムと、
    (f)前記各々の電子評価装置がそれらの間をワイヤレスで一方向または双方向にデータまたは信号を伝達する、送信装置と受信装置と、
    を有する、安全スキービンディング。
  2. 前記単一の電子表示装置は、グラフフィック能力を有する、請求項1に記載の安全スキービンディング。
  3. 前記ヒールビンディング内にスリップオンスプリングシステムを有していて、前記ヒールビンディング内の前記電子評価装置は、前記ヒールビンディングによって保持されたスキーシューズに対して、前記スプリングシステムのクランプ圧を決定する、またはチェックするセンサに接続される、請求項1に記載の安全スキービンディング。
  4. 前記クランプ圧を決定するまたはチェックする前記センサは、磁場センサである、請求項3に記載の安全スキービンディング。
  5. 前記磁場センサは、ジャイアント磁気抵抗センサである、請求項4に記載の安全スキービンディング。
  6. 前記スリップオンスプリングシステムを含む、ヒールビンディングハウジングであって、前記磁場センサは、前記ハウジングに移動しないように接続されるヒールビンディングハウジングと、前記磁場センサに対して、移動可能な前記スリップオンスプリングシステムの一部に配置される、永久磁石または金属部分と、を有する請求項4に記載の安全スキービンディング。
  7. 前記磁場センサは、ホール効果センサであり、前記永久磁石は環状磁石であって、前記ホール効果センサは、前記環状磁石の円周方向に互いに少し離れていて、前記ホール効果センサは、調整ねじの回転でデジタルセンサ信号を生成し、前記電子評価装置は、前記センサ信号のパルスまたは周期を計算し、または登録するカウンタを有する、請求項6に記載の安全スキービンディング。
  8. 前記ヒールビンディング内の前記電子評価装置は、前記ヒールビンディングの開放状態および閉鎖状態を検出するセンサに接続される、請求項1に記載の安全スキービンディング。
  9. 前記ヒールビンディングの前記解放状態および閉鎖状態を検出する前記センサは、前記開放状態の信号を発する第1のホール効果センサと、前記閉鎖状態の信号を発する、第2のホール効果センサとを有する、請求項8に記載の安全スキービンディング。
  10. 不揮発性メモリーシステムに格納された、計算されたまたは登録されたパルスまたは周期を表す数値が、前記調整ねじの回転により、前記調整ねじが回転される方向に従って、増分され、または減分される、請求項8に記載の安全スキービンディング。
  11. 前記ヒールビンディング内の前記電子評価装置は、前記ヒールビンディングの開放状態または閉鎖状態を検出するセンサに接続される、請求項1に記載の安全スキービンディング。
  12. 前記一組のセーフティ開放値を検出する前記センサは、2つのホール効果センサと、前記ホール効果センサの検出領域に配置された、解放機構の前記解放値を調整する調整ねじに回転上接続される、多極の環状磁石を有する、請求項1に記載の安全スキービンディング。
  13. 前記電子評価装置は、少なくとも一つのセンサのエネルギ供給を実行し、または停止するように設計された、請求項1に記載の安全スキービンディング。
  14. 各々の電子評価装置に接続された移動センサを有する、請求項1に記載の安全スキービンディング。
  15. 前記トウビンディング内の前記電子評価装置または、前記ヒールビンディング内の前記電子評価装置に接続された移動センサを有する、請求項1に記載の安全スキービンディング。
  16. 前記電子評価装置は、前記移動センサの信号状態が、所定の期間に渡って変化しない場合に、オフに切り替わるまたは、パワーセーブモードに切り替わるように設計される、請求項15に記載の安全スキービンディング。
  17. 前記電子評価装置は、前記パワーセーブモード中の前記移動センサの前記信号状態を第一に評価し、前記電子評価装置の他の機能は、非作動にされまたは最小化されるように設計される、請求項16に記載の安全スキービンディング。
  18. 前記電子表示装置は、前記移動センサの信号により、および、前記評価装置または前記動作センサによって、いかなる動作も検出されることなく、一定期間経過したときに、オフに切り替えられるように設計されている、請求項15に記載の安全スキービンディング。
  19. 前記トウビンディング内の前記電子評価装置は、前記ヒールビンディングが、閉鎖状態から開放状態に変わる場合に、前記電子表示装置をオフに切り替え、または、前記電子表示装置をパワーセーブモードに切り替える、請求項1に記載の安全スキービンディング。
  20. 前記送信装置および受信装置は、周辺の電子コンピュータユニットを有する、請求項1に記載の安全スキービンディング。
  21. 前記コンピュータユニットは、リストトップコンピュータ、ハンドヘルドコンピュータ、またはモバイル電話を有する、請求項20に記載の安全スキービンディング。
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