JP2004229535A - 土質改良材および改良土 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の土質改良材は、繊維径が10μm〜2000μmの範囲で、繊維長が5mm〜150mmの範囲であり、かつ、繊維強度が10〜110mN/dtexの範囲内にある中空短繊維が、土を改質する養分または無機粒子を含有してなることを特徴とするものである。また、本発明の改良土は、かかる土質改良材が、乾燥質量割合で0.1重量%以上、被改良土に配合されていることを特徴とするものである。
【選択図】なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、土質が軟弱かつ肥沃でない場合、補強と養分供給とを同時に達成することができる土質改良材および土質改良土であって、特に造園・農業・林業土木を含む土木工事において好適な土質改良材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、土が軟弱である場合、セメントや生石灰など安定させる安定処理が一般的に施されていた。これらの安定処理に用いられる処理剤は、軟弱な土に添加、混合撹拌し転圧することで、土に強度を付与し、植樹・農園・菜園を造成する場合には、かかる安定処理を施した地盤に良質な扶養土を盛り土し、更に必要に応じて養分を適宜散布または混練されていた。
【0003】
また、短繊維を土に混入して、土の改質を図る公知例も存在する。例えば、土に異形断面の短繊維を混入し、土の内部摩擦力を向上させることで土壌を補強する方法(特許文献1参照)や土に生分解性繊維からなる短繊維を混入し、土の内部摩擦力を向上させることで土木工事における切土斜面の表層、のり面の表層を保護することを目的とした工法(特許文献2参照)などがあるが、いずれも土の内部摩擦力の向上を図ることによって、土壌を補強することを目的とするものであるが、繊維径が太く摩擦が得られ難いほか、後者の工法では、機械的能力の問題から、繊維繊度を低く抑える必要がるために、外圧に対して屈曲し易く、改良強度が得られ難い等の問題があった。
【0004】
【特許文献1】特開平08−143864号公報
【0005】
【特許文献2】特開平10−204882号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、土に安定処理材を添加する技術は、建築構造基礎、道路路床、宅地造成、圃場整備または建設発生残土の処理などに採用されているが、石灰やセメント系土質安定処理材は、運搬・保管など取り扱い上の煩雑さがあることや、安定処理施工中に発生する塵、安定処理材の固化反応時のアルカリ溶出による水質の汚染、固化反応後の土質の収縮によるひび割れや水分循環障害など、多くの課題を有しており、特に植樹・農園・菜園の土壌基盤に採用しても、二次的な施工が必要になるなどの問題が生じるなどの欠点があった。
【0007】
本発明は、かかる従来技術の背景に鑑み、土を補強すると共に、植物(果樹・野菜)が発芽、育成または繁茂する土壌に必要な養分を供給することができる土質改良材および改良土を提供せんとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、かかる課題を解決するために、次のような手段を採用するものである。すなわち、本発明の土質改良材は、繊維径が10μm〜2000μmの範囲で、繊維長が5mm〜150mmの範囲であり、かつ、繊維強度が10〜110mN/dtexの範囲内にある中空短繊維が、土を改質する養分または無機粒子を含有してなることを特徴とするものである。また、本発明の改良土は、かかる土質改良材が、乾燥質量割合で0.1重量%以上、被改良土に配合されていることを特徴とするものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明は、前記課題、つまり土を補強すると共に、植物(果樹・野菜)が発芽、育成または繁茂する土壌に必要な養分を供給することができる土質改良材について、鋭意検討し、特定な中空短繊維に土を改質する養分を含有させてみたところ、かかる課題を一挙に解決することを究明したものである。
【0010】
本発明において、土とは特に限定されないが、軟弱な土であり、かつ植物が繁茂しうる肥沃な土でない場合、本発明の効果が顕著である。ここで、軟弱な土とは、地盤工学会が定める「土質試験法」に解説される土の粒度試験(JIS A1204)、土のコンシステンシー試験(JIS A1205/1206)、突き固めによる土の締め固め試験(JIS A1210)、一軸圧縮強度試験(JIS A1216)などにより判定されるものであり、例えば、高含水粘性土やシルト質土、有機質土あるいはこれらの混成土または建設発生残土などが挙げられる。これらの軟弱な土は、一般的に、土木工事用途には適さないものであり、特に造園・農業・林業土木を含む土木工事および植樹・農園・菜園において使用される土には適さないものと考えられていた。
【0011】
本発明において、かかる中空短繊維を土に添加する方法は特に限定されず、例えば、土と該中空短繊維を混合する方法などを使用することができる。軟弱な土を使用した場合は、混合後に転圧するのが好ましい。ここで、転圧とは、例えば、土の靱性を向上させるなどの目的で、機械的に締め固めることを言う。かかる転圧に用いる機械は特に限定されず、汎用の機械を使用することができる。
【0012】
本発明でいう中空短繊維は、繊維径が10μm〜2000μmの範囲内にあり、かつ、繊維長が5mm〜150mmの範囲内にあり、さらに繊維強度が10〜110mN/dtexの範囲内にある中空短繊維であることが必要である。
【0013】
かかる中空短繊維の繊維径は、10μm〜2000μm、好ましくは10μm〜1000μmである必要がある。すなわち、繊維径が小さくなるほど、配合する繊維の本数を増す必要があるため、土への分散性が高まるとともに、内部摩擦力を高める効果を得ることができ、その結果、補強効果を高める傾向がある。しかし、10μm未満の繊維径である場合、軟弱な土を過剰に緻密化する傾向にあることから、植物が繁茂する上で根張りし難いため好ましくなく、さらに、混合撹拌が難しいなどの取り扱い上の問題があるため好ましくない。また、繊維径が2000μmを越えると、土の粒子と中空短繊維、または中空短繊維同士の絡み合いが不足する傾向があり、内部摩擦力を高める効果を期待しにくく、好ましくない。
【0014】
また、かかる中空短繊維は、繊維長が5mm〜150mm、好ましくは5mm〜100mm、特に好ましくは5mm〜80mmの範囲である必要がある。すなわち、繊維径が同一条件下では、繊維長が長くなるほど、土の粒子の拘束力が高まる傾向にあるものであるが、繊維長が5mm未満では、定量的に土の粘着力や内部摩擦力が高まる傾向にはあるが、得られる補強効果にバラツキが大きく好ましくない。また、繊維長が150mmを越えると、補強効果は横這いとなり、繊維同士の絡み合いから、土中における繊維の分散不良が生じるため好ましくない。
【0015】
かかる中空短繊維の繊維強度は、10〜110mN/dtexの範囲内にある必要がある。繊維強度が10mN/dtex未満では、補強効果が不足し、また110mN/dtexを越えると、繊維の剛軟度が高まりすぎて、外力に対する土の変位に追随できない上に、土の粘着力が得られない傾向があり、さらにあまりに高強度すぎると、該中空短繊維に含有された養分が効果的に放出・溶出または分解されにくくなるので好ましくない。ここで、繊維強度は、化学繊維フィラメント糸試験方法(JIS L 1013)に基づいて測定した値を言う。
【0016】
かかる中空短繊維は、たとえばオレフィン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、スチレン・ブダジエン系熱可塑性エラストマー、エチレン・プロピレン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマーなどの熱可塑性樹脂から選ばれた少なくとも1種が好ましく用いられる。かかる熱可塑性樹脂を使用することによって、生産性良く該中空短繊維を得ることができる。これらの中でも、コストや耐腐食性の点から、オレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、アクリル樹脂から選ばれた少なくとも1種がより好ましく用いられる。
【0017】
また、かかる中空短繊維は、前記熱可塑性樹脂の他に、生分解性を有する繊維で構成することもできる。かかる繊維としては、たとえば生分解性合成樹脂からなる中空短繊維、さらには麻や綿などの植物繊維からなるセルロース中空短繊維やアセテート中空短繊維を使用することができる。
【0018】
かかる生分解性合成樹脂からなる中空短繊維としては、脂肪族ポリエステル系やポリアミド系やビニル系などの合成樹脂からなる合成繊維が好ましく用いられる。かかる脂肪族ポリエステル系樹脂としては、脂肪族ポリエステル系のポリヒドロキシブチレート、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネート、ポリアミド系樹脂としては、ポリエーテルアミド、ビニル系樹脂としては、ポリビニルアルコールなどをそれぞれ使用することができる。
【0019】
かかる生分解性を有する中空短繊維を、高い含水率を有する土質に添加し、植物の生育基盤として用いる場合においては、土が余剰水を排水し、土の圧密が促進されるとともに、植物の生育・繁茂に伴う根張りが進んだ後は、土自体の強度が増加するので、中空短繊維による土の補強効果は必要でなくなる。従って、このケースにおいては、中空短繊維は生分解性を有していることが望ましく、特に長期間にわたり、肥沃な土に改質するために必要な養分を供給する場合、異なる分解期間を有する少なくとも2種類以上の中空短繊維を含むのが好ましく用いられる態様である。
【0020】
ただし、土そのものの滑動、崩壊、浸食が懸念される箇所など、過大な外力や応力が常時加えられることが考えられる場合おいては、生分解性を有する中空短繊維を使用するよりは、熱可塑性樹脂からなる中空短繊維を選択して使用することで好ましい。また、種々の土に適合させたいものを望む場合には、かかる2種の中空短繊維、つまり生分解性を有する中空短繊維と熱可塑性樹脂からなる中空短繊維とを混合・併用するのが好ましい。かかる混合比率は、対象土によって適宜選択して採用するのがよい。
【0021】
かかる中空短繊維の断面形状は、特に限定されず、円状、楕円状の他、多角形または不定形および扁平形のものを使用することができる。また、中空短繊維の断面形状を、中空短繊維の長さ方向に変えることもできる。この場合、中空短繊維の断面積が繊維の長さ方向で3%以上異なることが好ましい。断面形状を工夫することで、土の粒子との噛み合わせによる摩擦を向上することができ、より高い補強効果を得ることができる。
【0022】
また、かかる中空短繊維は、例えば肥沃な土に改質するために必要な養分を該中空短繊維内外に、機械的方法または化学的方法を用いて、吸着、封入させることができるので、かかる養分を土中に放出または溶出・分散させて、植物の生育および農業、林業に好適な土壌環境を提供する効果を奏するものである。
【0023】
かかる肥沃な土に改質するために必要な養分は多量に必要な養分として酸素・炭素・水素以外に窒素・燐酸・カリウム・カルシウム・マグネシウム・硫黄の中から選ばれ、また、微量でよい養分は塩素・ホウ素・鉄・マンガン・亜鉛・銅・モリブデンの中から選ばれるものである。多量に必要な上記の養分は植物の細胞壁やタンパク質、でんぷんなど、主に植物体を形成するために使用され、このうち肥料養分として施用するのは窒素・燐酸・カリの3要素であり、該3要素を主たる養分として液状・粉末・顆粒状の形態に加工して好適に用いられる。また、微量でよい上記の養分は主として細胞内の化学反応を行う酵素(タンパク質)の構成成分あるいは補助成分であり、砂で構成される土質を除く土質では、土質より自然に供給される程度の量で充分であるため、肥料養分として施用しなくても欠乏はしないものである。
【0024】
また、カルシウムとマグネシウムは土質の酸性を中和する効果があり、硫黄(硫酸塩)には土のアルカリ性を中和する効果がある。特に雨が多く土壌が酸性になり易い地域では、該カルシウムやマグネシウムを主たる養分として液体・粉末・顆粒状の形態に加工して好ましく用いられる。
【0025】
本発明に用いられる中空短繊維として、捲縮を有するものも土木用の土質改良材においては好ましく用いられる。機械的に捲縮された中空短繊維を任意に採取し、ガラス板に挟み波形の山の数が3〜12山/インチの範囲にある捲縮数が好ましい態様である。捲縮数が3山/インチ未満である場合、土の粒子との摩擦が得難くなるために好ましくなく、捲縮数が13山/インチ以上である場合、圧縮バネ効果がたかまり、土の粒子の拘束効果は大きくなるが、土への均質な分散混合が困難になることと、中空糸内部への養分の封入が困難になり、かつ封入された養分が放出・拡散し難くなるため好ましくない。
【0026】
また、かかる中空短繊維として、その繊維長が10mm以上異なる少なくとも2種類の中空短繊維を含むことも好ましい態様である。これらの中空短繊維を使用することで、例えば緑化植生を必要とするような宅地の表層部や河川が本来有している生物・動植物の良好な生育環境(ビオトープ)を醸成し、美しい自然景観を再現した多自然護岸などに用いた場合、土のひび割れや流水による浸食の抑制効果が向上し、かつ植物根の引き抜き抵抗力を向上させることができる。
【0027】
かかる中空短繊維は、その繊維径の1/2以下の粒径を有する無機粒子を含有していることが好ましい。具体的には該無機粒子の粒径は0.05μ〜1mmであることが好ましい。かかる無機粒子の含有形態は特に限定されず、例えば、中空短繊維内部に分散していてもよく、また中空短繊維表面に付着していてもよい。かかる無機粒子を含有することで、土の粒子を内部から拘束し、より一層の土の粒子との噛み合わせによる摩擦を奏させることができる。
【0028】
かかる無機粒子の種類は特に限定されないが、好ましくは活性炭粒子である。かかる活性炭粒子は、中空短繊維により補強された補強土の表層部または内部を通・排水する水分を効果的に浄化することができる。かかる活性炭粒子を使用する場合、活性炭の粒径は5μm〜1mmであるのが好ましい。
【0029】
本発明の改良土は、かかる土質改良材が、乾燥質量割合で0.1重量%以上、好ましくは0.1重量%以上5重量%以下添加・配合されていることが重要である。すなわち、かかる土質改良材の添加量が0.1重量%未満では補強効果が十分でなく、肥沃土化も十分ではなくなることがあり、また、5重量%を越えると、土の内部が緻密になりすぎて、土本来の保湿性能や、植物の根張り効果が減退する可能性が生じる。
【0030】
本発明の土質改良材用の好ましい中空短繊維の具体例としては、中空短繊維の外径が10μm〜2000μm、中空内径が5μm〜1900μmの範囲で、繊維長が5mm〜150mmの範囲であり、かつ、繊維強度が10〜110mN/dtexの範囲内にあるものが使用される。かかる土質改良用中空短繊維としては、好ましくは異形断面が円形・多角形・不定形および扁平系である異形断面繊維であるのが養分保持性の上からよい。かかる中空短繊維のさらに好ましい携帯としては、捲縮を有するものが、養分または無機粒子の保持性の上からよい。
【0031】
【実施例】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。なお、実施例の土質改良材の評価は以下の方法によった。
(中空短繊維による補強土の調整、評価の概要)
評価用の土質材料に肥沃な土に改質するために必要な養分が封入された分解期間の異なるポリ乳酸からなる中空短繊維を添加、充分に混合撹拌することで得た改良土に植物種子を埋め込み、発芽・生育の状態と、ポリ乳酸からなる中空短繊維の分解状況、および改良土の耐浸食性と保湿性を測定し、該中空短繊維による土の改良効果を確認した。
(評価に用いた土質材料)
JH/日本道路公団「日本道路公団設計要領」に解説される「粘土およびシルト質土」に近い性状に調整した土質材料を用い評価材料とした。以下に用いた土質材料の性状を以下に記す。
土の内部摩擦角:φ=29.2°
土の粘着力:C=11.7kN/m2
土の単位体積重量:γt=1.462tf/m3
土の含水比:Wn=46.5%
ここで言う土の内部摩擦角はすなわち土のせん断抵抗角であって、土のせん断強さの内、摩擦成分を表すものを言い、JGS−0527「不飽和土の三軸圧縮試験」方法によって求められる。土の粘着力は土のせん断強さの内、土の粒子の粘着成分を言い、JIS A1216「土の粘着力試験」方法によって求められる。また、土の単位体積重量とは土の単位体積あたりの重量を言い、JIS A1225「土の密度試験」方法によって求められる。土の含水比とは湿潤状態にある土質の土粒子の絶対乾燥状態の重量との比を言い、JIS A1203「土の含水量試験」方法によって求められる。上記土の物性値は通常土の性状を簡易に判断する指標とされるものであり、該物性値はJH/日本道路公団「日本道路公団設計要領」に解説される土の材料として好適な範囲にあるものである。ここで、試験方法は地盤工学会「土質試験法解説」に規定されているものを用いた。
【0032】
実施例1
融点168℃で、260℃1000sec−1における溶融粘度が1350poiseである、ポリL−乳酸チップ(重量平均分子量18.5万、L体比率95重量%、D体比率5重量%)を、60℃に設定した真空乾燥機で48hr乾燥した。乾燥したチップを用いて紡糸機にて紡糸温度260℃で中空に紡糸し、1700m/分の速度で未延伸糸を巻き取った。続いて、得られた未延伸糸を通常のホットロール−ホットロール系延伸機を用いて延伸温度80℃、熱セット温度118℃で延伸糸の伸度が40%になるように延伸倍率を併せて延伸を行い、2.2dtexの中空の延伸糸を得た。
【0033】
続いて、押し込みにより機械的座屈を付与する方式の通常のクリンパーを用いて捲縮を付与し、1インチあたりの平均捲縮数を4山に調整し、10〜50mmの長さの範囲内でランダムにカットすることによって、ポリ乳酸の中空短繊維を得た。
【0034】
かくして得られたポリ乳酸の中空短繊維を、肥沃な土質に改質するために必要な液状をなす主として窒素・燐酸・カリが配合された液体肥料(株式会社フローラ製の植物用栄養活力液「HB−101」が例示される。この活力肥料の内訳は、ナトリウム:41mg/L、カルシウム:33mg/L、鉄:1.8mg/L、マグネシウム:3.3mg/L、ケイ素:7.4mg/L、窒素:97mg/L、カドミウム:不検出、ヒ素:不検出の無機質肥料であって、該肥料の1000倍稀釈時の水素イオン濃度はPH=6.5前後の弱酸性を示し、急性毒性無し、長期連用毒性無しとされるもの。)養分で満たされた圧力水槽に浸漬させ、10kgf/cm2 の圧力で60分間水槽内部を加圧後、10分間に1kgf/cm2 の割合で減圧することによって得られた肥沃な土質に改質するために必要な養分が封入された土質改良材を得た。
【0035】
上記土質材料を縦50cm×横100cm×深さ30cmの木箱に締め固めながら充填したのち、いずれも土木用途に於いて一般的に緑化に用いられるケンタッキー芝の種子を20個、バミューダグラスの種子20個を表層2cmの深さに埋め込んだ植生サンプル1につき、12ヶ月間、3ヶ月毎に生育・植生状態を評価した。評価結果を表1に示す。
【0036】
実施例2
実施例1で得た土質改良材を乾燥質量割合で1%添加、計6分間の混合撹拌を施してなる改良土を縦50cm×横100cm×深さ30cmの木箱に締め固めながら充填したのち、いずれも土木用途に於いて一般的に緑化に用いられるケンタッキー芝の種子を20個、バミューダグラスの種子20個を表層2cmの深さに埋め込んだ植生サンプル2について、12ヶ月間3ヶ月毎に生育・植生状態および土質改良材の分解状況を評価した。評価結果を表1に示す。
【0037】
【表1】
【0038】
表1から明らかなように実施例は土を補強する繊維でありながら、肥沃な土に改質するとともに、植物の根が張る成長過程と並行して分解していく土質改良材であり、植生繁茂に好適な環境を提供できることがわかる。
【0039】
実施例3
実施例1、実施例2で得た植生サンプル1および2に対し、JIS A1222「現場CBR試験」に解説される路床土支持力比の測定方法に準じて支持力(CBR値:%)を測定した後、植生サンプルの木箱底面の50%を外して、かつ、30度の角度に傾けて設置したものに、高さ3mの位置に設置した散水ノズルを用いて1時間に20mmの降雨強度で均等に連続散水し、散水後3時間までは1時間毎、以降は3時間毎、降雨後9時間までに浸食され流出した土量を測定して実施例1、実施例2で得た植生サンプルの耐浸食性を評価した。
【0040】
また、耐浸食性評価を終了した植生サンプルの土の含水比:Wn(%)を測定して比較することで保水性の効果を評価した。評価結果を表2に示す。
【0041】
【表2】
【0042】
表2からも明らかなように実施例は該土質改良材により改良された土は改良されていない土に比べCBR値にあらわされる支持力が増加し、降雨に伴う流出土量も少なく耐浸食性が改善されている。また、降雨により水を含んだ後の支持力も大きく低下することもなく試験前の土の含水比に比べて水分量が増えていることから保湿性も改善されたことがわかる。
【0043】
【発明の効果】
本発明によれば、特に造園・農業・林業土木を含む土木工事において周辺環境に与える影響を極小化し、ハンドリング性を向上させるとともに、土を補強しながらも植樹・農園・菜園の土壌に必要な養分を供給することができる土質改良材を提供することができる。
Claims (19)
- 繊維径が10μm〜2000μmの範囲で、繊維長が5mm〜150mmの範囲であり、かつ、繊維強度が10〜110mN/dtexの範囲内にある中空短繊維が、土質を改質する養分を含有してなることを特徴とする土質改良材。
- 該含有の形態が、封入および付着から選ばれた少なくとも1種である請求項1に記載の土質改良材。
- 該中空短繊維が、オレフィン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、アクリル系樹脂およびポリカーボネート系樹脂から選ばれた少なくとも1種の熱可塑性樹脂である請求項1または2に記載の土質改良材。
- 該熱可塑性樹脂が、エラストマーである請求項3に記載の土質改良材。
- 該エラストマーが、スチレン・ブタジエン系エラストマー、エチレン・プロピレン系エラストマー、ポリエステル系エラストマーおよびポリアミド系エラストマーから選ばれた少なくとも1種である請求項4に記載の土質改良材。
- 該中空短繊維が、生分解性樹脂である請求項1または2に記載の土質改良材。
- 該生分解性樹脂が、ポリブチレンサクシネート、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリカプロラクトン、ポリエーテルアミドおよびポリビニルアルコールから選ばれた少なくとも1種である請求項6に記載の土質改良材。
- 該生分解性合成樹脂が、分解期間の異なる樹脂を含む構成からなるものである請求項6または7に記載の土質改良材。
- 該土質改良材が、該熱可塑性樹脂製中空短繊維と該生分解性樹脂製中空短繊維との混合・配合されたもので構成されている請求項1〜8のいずれかに記載の土質改良材。
- 該中空短繊維が、異形断面繊維である請求項1〜9のいずれかに記載の土質改良材。
- 該異形断面繊維が、多角形、不定形および扁平形から選ばれた少なくとも1種である請求項10に記載の土質改良材。
- 該中空短繊維が、捲縮を有するものである請求項1〜11のいずれかに記載の土質改良材。
- 該中空短繊維が、繊維長の異なるものを含むものである請求項1〜12のいずれかに記載の土質改良材。
- 該中空短繊維が、繊維径および中空径から選ばれた少なくとも1つが異なるものを含むものである請求項1〜13のいずれかに記載の土質改良材。
- 該土質を改質する養分が、植物の発芽・育成繁茂に必要不可欠な窒素・燐酸・カリウムを主たる成分とする養分であることを特徴とする請求項1〜14の何れかに記載の土質改良材。
- 該中空短繊維が、該中空短繊維径の1/2以下の粒径を有する無機粒子を含有することを特徴とする請求項1〜15のいずれかに記載の土質改良材。
- 該無機粒子の粒径が、0.05μm〜1000μmの範囲内にあることを特徴とする請求項16に記載の土質改良材。
- 該無機粒子が、活性炭粒子である請求項16または17に記載の土質改良材。
- 請求項1〜18のいずれかに記載の土質改良材を、乾燥質量割合で0.1重量%以上、被改良土に配合されていることを特徴とする改良土。
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Cited By (1)
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JP2013174073A (ja) * | 2012-02-24 | 2013-09-05 | Penta Ocean Construction Co Ltd | 圧密地盤改良工法 |
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- 2003-01-29 JP JP2003020102A patent/JP2004229535A/ja active Pending
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JP2013174073A (ja) * | 2012-02-24 | 2013-09-05 | Penta Ocean Construction Co Ltd | 圧密地盤改良工法 |
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