JP2004201632A - 屋上緑化用培土、屋上緑化設備、屋上緑化方法 - Google Patents
屋上緑化用培土、屋上緑化設備、屋上緑化方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004201632A JP2004201632A JP2002377410A JP2002377410A JP2004201632A JP 2004201632 A JP2004201632 A JP 2004201632A JP 2002377410 A JP2002377410 A JP 2002377410A JP 2002377410 A JP2002377410 A JP 2002377410A JP 2004201632 A JP2004201632 A JP 2004201632A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- soil
- shirasu
- rooftop greening
- chitosan
- roof greening
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Withdrawn
Links
Images
Classifications
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02A—TECHNOLOGIES FOR ADAPTATION TO CLIMATE CHANGE
- Y02A30/00—Adapting or protecting infrastructure or their operation
- Y02A30/24—Structural elements or technologies for improving thermal insulation
- Y02A30/254—Roof garden systems; Roof coverings with high solar reflectance
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02B—CLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO BUILDINGS, e.g. HOUSING, HOUSE APPLIANCES OR RELATED END-USER APPLICATIONS
- Y02B80/00—Architectural or constructional elements improving the thermal performance of buildings
- Y02B80/32—Roof garden systems
Abstract
【課題】軽量で、十分な排水性を有する屋上緑化用培土を提供すること。
【解決手段】屋上緑化設備100は、屋上のコンクリート地50の表面に防根シート40を敷設し、その上に排水層として排水性基盤材30が敷設され、排水性基盤材30の上には、セパレーター20が設けられ、さらにその上に培土層としてシラス培土10が盛土されている。植物60はシラス培土10に定植されている。シラス培土10は、シラス(または機能性有機物圧入シラス)を主成分とするものが好ましく、培土中において、シラスを40重量%以上含み、シラス以外の成分として、例えば鹿沼土、バーク堆肥、木炭等を配合することが好ましい。
【選択図】 図1
【解決手段】屋上緑化設備100は、屋上のコンクリート地50の表面に防根シート40を敷設し、その上に排水層として排水性基盤材30が敷設され、排水性基盤材30の上には、セパレーター20が設けられ、さらにその上に培土層としてシラス培土10が盛土されている。植物60はシラス培土10に定植されている。シラス培土10は、シラス(または機能性有機物圧入シラス)を主成分とするものが好ましく、培土中において、シラスを40重量%以上含み、シラス以外の成分として、例えば鹿沼土、バーク堆肥、木炭等を配合することが好ましい。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ビル、家屋等の屋上に植物生育環境を造成する際に用いる屋上緑化用培土、該培土を用いた屋上緑化設備および屋上緑化方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、都市部においてビルや家屋等の構造物の屋上(屋根を含む)に植物の生育環境を造成する屋上緑化が進められている。屋上緑化設備は、ビル等の屋上に敷設するものであるから、軽量であること、施工が容易であること、排水性が良好であること、培土の飛散が少ないこと等が要求される。これらの要求を満足するため、ボイラ内で生成されたクリンカアッシュと、やしがら繊維を生成する際に残渣として生じるやしがらダストと、を混合して形成される培土が提案されている(例えば、特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−176851号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特許文献1に記載の培土は、廃棄物であるクリンカアッシュや、やしがらダストの有効利用を図る上では有効な技術であるが、クリンカアッシュとやしがらダストとの配合比率を調整する必要がある上、屋上緑化用の培土としての機能を考えた場合、軽量化、保水能、透水性、植物栄養面などにおいて十分に満足できるものではない。
【0005】
すなわち、屋上緑化設備において最優先されるべきは軽量化であり、また排水性も重要な性質となる。排水機能が低いと、設備の荷重が大幅に増加して建造物にかかる負担が非常に大きくなるほか、植物や培土の腐敗を招き、屋上環境を台無しにしてしまうおそれもある。
【0006】
本発明は上記実情に鑑みてなさたものであり、軽量で、十分な排水性を有する屋上緑化用培土を提供することを課題とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明の第1の態様に係る屋上緑化用培土は、シラスを主成分として含有することを特徴とする。この特徴によれば、多孔質で軽いシラスを主成分とすることにより、十分な排水性を確保できるとともに、屋上緑化設備の軽量化を図ることができる。
【0008】
本発明の第2の態様に係る屋上緑化用培土は、第1の態様において、前記シラスが機能性有機物を圧入した有機物圧入シラスであることを特徴とする。この特徴によれば、有機物圧入シラスを含有する培土層により、軽量化を図りつつ植物の生長を促すことができる。機能性有機物圧入シラスは、植物に対して有用な作用を持つ有機物が、シラスの細孔奥深くまで圧入されているため、第1に機能性有機物の担持量を多くすることが可能であり、第2に雨水等による培土からの機能性有機物の流出を遅くすることができる。従って、機能性有機物による作用を長期間に渡り持続的に維持することが可能になる。なお、本発明において「機能性有機物」とは、植物の栄養源となる有機物や、土壌改良作用を持つ有機物などの総称である。機能性有機物は、無機物が多く、有機物に乏しいシラスを主成分とする培土において補助的な役割を果たし、植物生育環境を良好な状態にする。
【0009】
本発明の第3の態様に係る屋上緑化用培土は、第2の態様において、前記機能性有機物がキトサンであることを特徴とする。この特徴によればキトサン圧入シラスを含有する培土層により、軽量化を図りつつ植物の生長を促すことができる。
【0010】
すなわち、キトサン圧入シラスは、植物に対する活力付与作用および土壌改良作用を有するキトサンが、シラスの細孔奥深くまで圧入されているため、第1にキトサンの担持量が高められており、第2に雨水等による培土からのキトサンの流出を遅くすることができる。従って、キトサンによる作用を長期間に渡り持続的に維持することが可能になる。
【0011】
本発明の第4の態様に係る屋上緑化用培土は、第1の態様から第3の態様のいずれか1つにおいて、前記培土は、さらに鹿沼土、バーク堆肥および木炭を含有するものであることを特徴とする。
【0012】
この特徴によれば、シラス(またはキトサン圧入シラス)と鹿沼土、バーク堆肥および木炭とを組合せることにより、排水性に優れ、かつ軽量な培土が得られる。
【0013】
本発明の第5の態様に係る屋上緑化設備の発明は、第1の態様から第4の態様のいずれか1つに記載の培土を土壌層とすることを特徴とする。この特徴によれば、屋上緑化設備において第1の態様から第4の態様のいずれか1つと同様の作用効果が得られる。
【0014】
本発明の第6の態様に係る屋上緑化方法の発明は、第1の態様から第4の態様のいずれか1つに記載の培土に植物を植え込み、生育させることを特徴とする。この特徴によれば、屋上緑化方法において、上記第1の態様から第4の態様のいずれか1つと同様の作用効果が得られる。また、本発明方法で使用する培土は、軽量であるため、運搬も容易で、施工地における充填・盛土作業も容易である。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づき本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明の一実施形態にかかる屋上緑化設備100の断面構造を模式的に示す図面である。この屋上緑化設備100は、屋上のコンクリート地50の表面に防根シート40を敷設し、その上に排水層として排水性基盤材30が敷設され、排水性基盤材30の上には、セパレーター20が設けられ、さらにその上に培土層としてシラス培土10が盛土されている。植物60はシラス培土10に定植されている。
【0016】
シラス培土10は、シラスを主成分として含有する培土組成物である。シラスは、日本国宮崎県南部から鹿児島県東部の大隈半島に至る地域に形成された、4700km2に及ぶ広大なシラス台地を構成する発泡性ケイ酸岩で、多孔質で比重が軽いという特徴を持つ土壌である。シラスを主成分とする培土組成物を用いることによって、後記するように屋上緑化設備の大幅な軽量化が可能になる。
【0017】
本実施形態では、シラスに、機能性有機物として、天然多糖類であるキトサンを圧入処理したキトサン圧入シラスを用いている。キトサンは、周知のとおりカニやエビなどの甲殻類、昆虫、貝類、きのこなどの菌類の細胞壁に多く含まれる多糖類の天然高分子であり、植物の発芽、生長を促し、健全な植物を育てる効果があるので、土壌改良材、活力促進剤として使用されている。
【0018】
キトサン圧入シラスは、例えば粒径3〜8mm程度のシラスに、減圧真空圧入法によりキトサンを圧入処理したものである。減圧真空圧入は以下に例示する方法により行われる。すなわち、注入用コンテナに500リットルのシラスを投入し、注入機本体にセットし、キトサン液を入れ、一気に減圧し真空状態にしてシラスの気孔中にキトサンを注入する。このとき、シラスの気孔から気泡が排出されて気孔自体が真空状態となるので、空気の替りに気孔の奥深くまでキトサンが侵入する。キトサンの圧入は、シラス500リットルに対し3〜4時間程度かけて行うことが好ましい。使用するキトサン溶液の濃度は、例えば0.002モル/リットル(原液の500倍に相当)程度が好ましい。
【0019】
キトサンを圧入処理することにより、シラスに乏しい有機物を補うことができるとともに、圧入によって多孔質のシラスの気孔中にキトサンが侵入し、粒子の中心部までキトサンが充填される。これにより、通常の浸漬処理に比べてキトサンの含有量を各段に高めることができるとともに、単にシラス培土中にキトサンを添加する場合に比べて徐放作用が得られ、雨水等により一度にキトサンが流出してしまう事態を防ぐことができる。つまり、キトサンを持続的に作用させることができる。
【0020】
キトサンと同様にしてシラスに圧入することができる機能性有機物としては、例えば窒素肥料等の肥料成分、各種pH調整剤(強制酸化促進剤、降下剤等)等の土壌改良成分、木酢液、発根促進剤、鉄イオン水溶液(商品名:メネデール)などの各種活力剤等の植物活性成分などを挙げることができる。
【0021】
シラス培土10は、シラス(または機能性有機物圧入シラス)を主成分とするものであればよい。すなわち、培土中において、シラスを40重量%以上、好ましくは50〜70重量%含むことが好ましい。また、シラス以外の成分として、例えば鹿沼土、バーク堆肥、木炭等を配合することが好ましい。これらの成分は、いずれも軽量でありなから植物体を支持する培土としての機能を果たし得るものであるため、軽量化が最優先課題である屋上緑化設備に適したものである。
【0022】
鹿沼土は、培土中で主として保水や軽量化の機能を担うものであり、粒径3〜6mm程度のものが好ましい。
【0023】
バーク堆肥は、培土中で主として鹿沼土の固結防止、保水機能、軽量化、微生物投入等の機能を担うものであり、粒径0〜50mm程度のものが好ましい。
【0024】
木炭は、培土中で主として微生物のコロニー、排水の水質浄化、pH変化に対する緩衝材などの機能を担うものであり、粒径5〜15mm程度のものが好ましい。木炭としては、例えばパルプ炭(通称エコ炭)や、前記粒度に破砕した破砕木炭などを使用できる。
【0025】
シラス培土10における各成分の配合比は任意であるが、鹿沼土は、10〜30重量%程度が好ましく、バーク堆肥は、5〜20重量%程度が好ましく、木炭は、5〜20重量%程度が好ましい。軽量化と植物の生育状態とを比較考量した結果では、キトサン圧入シラスと鹿沼土とバーク堆肥と木炭とを重量比で6:2:1:1の割合で配合したものが特に好ましいことが判明している。かかる配合比において、シラス培土10の湿潤密度は0.67g/cm3、乾燥密度は0.39g/cm3となる。自然土壌の通常時密度は1.6〜1.8g/cm3、市販の軽量土でも0.6〜0.8g/cm3であるから、本発明のシラス培土10は、屋上緑化用の培土として望ましい軽量性を有していることが理解される。また、シラス培土10のpH(H2O)は6.89、有効水分量は165リットル/m3、透水係数は4.5×10−3cm/sec程度となり、培土として適度な保水/透水性能を持つものとなる。
【0026】
シラス培土10を用いた培土層の厚みは、育成する植物の種類により異なるが、概ね5〜50cm程度とすることができる。
【0027】
セパレーター20は、シラス培土10が排水用基盤材30の空隙へ落下し、排水層の目詰まりを引き起こすことを防止する役割を果たす網目状のシート部材であり、その材質は問わないが、腐蝕や劣化が起こり難い材質として一般に使用されているポリエステル、ナイロン、ポリエチレンもしくはポリプロピレンから構成されたもの、またはこれらの表面に被覆樹脂加工が施された合成樹脂製の材質が好ましい。セパレーター20の網目の目合いは、シラス培土10の粒径に応じて選択すればよい。セパレーター20の厚みは、0.15〜0.50mm程度とすることができる。
【0028】
排水用基盤材30は、表側または裏側の地組織のうち、少なくとも片面がメッシュ状もしくは溝状の空隙を形成し、かつ表側と裏側の地組織が連結糸で連結されて厚みを形成する三次元編織物である。この三次元編織物としては、図2〜図5に詳細を例示するように、表側および裏側の地組織が六角形のメッシュ状に形成され、連結糸が表裏の六角形の地組織を連結する構造のものが好ましく用いられる。
【0029】
図2は、排水用基盤材30の要部斜視図であり、図3は同要部平面図、図4は図3のIV−IV線矢視の断面図、図5は図3のV−V線矢視の断面図である。なお、図2および図3では、説明の便宜上、表裏の地組織31、32を架橋するように連結している連結糸33は、部分的にのみ図示している。
【0030】
表側の地組織31を構成する地糸311および地糸314は、主に裏側の地組織32を構成する地糸322との間で複数本の弓状の連結糸33により結ばれている(図4参照)。換言すれば、裏側の地糸322から連結糸33が二方向に延び、表側の地糸311および314に接続している(図5参照)。また、表側の地糸315と裏側の地糸325、表側の地糸316と裏側の地糸323が、それぞれ連結糸33により接続されている。同様にして、連結糸により表裏のメッシュ状の地組織31と32とが架橋されハニカム状の空隙を持つ複雑な立体網目構造が形成されている。かかる構造により、土壌や植物の荷重が加えられても、立体網目内部の空隙が十分に確保され排水性が損なわれることなく維持される。また、柔軟性を持つ立体網目構造により、踏圧に対する適度な弾性を与えることができるようになる。さらに、排水用基盤材30は空隙率が85〜98%と高いため、例えば0.5〜3.5cmの厚みで十分に排水機能を持ち、排水層を薄層化できるようになる。従って、所要の排水機能を維持しながら屋上緑化設備100を低層化することができるとともに、強風に対する耐久性も高めることができる。また、排水用基盤材30が柔軟性に富み、かつ薄型であれば、ロール状に巻回して屋上ヘ搬入し、そこで展延することにより容易に施工できるという利点もある。
【0031】
排水用基盤材30の材質は、腐蝕や劣化し難い合成樹脂繊維が好ましく、特にポリエステル繊維が好ましい。排水用基盤材30としての三次元編織物を構成する糸の径は、0.15〜0.5mm程度(220〜2,350デニール)が好ましく、地組織のメッシュの開口径(目合い)は10〜50mm程度が好ましい。また、三次元編織物の高さ(すなわち、表裏の地組織間の距離;厚さ)は、前記したように緑化設備の低層化や巻回のし易さを考慮すると8〜40cm程度、好ましくは10〜30cm程度とすることができる。
【0032】
また、本実施形態の排水用基盤材30においては、裏側の地組織32をバインダー繊維により溶融固着させている。より具体的には、裏側の地組織32を構成する繊維中に、バインダー繊維として、図6に示すように低融点のポリエステル繊維132を外周に有し、内側に通常の融点を持つポリエステル樹脂133を入れた芯鞘構造の繊維を挿入している。ここで、低融点のポリエステル樹脂132としては、例えば160℃程度の融点を有する共重合ポリエチレンテレフタレートを挙げることができ、通常の融点を有するポリエステル樹脂133としては、例えば260℃程度の融点を持つポリエチレンテレフタレートを挙げることができる。この芯鞘構造の複合繊維は、モノフィラメント、マルチフィラメントおよび短繊維糸条のいずれで構成されてもよい。複合繊維の太さは、100デニール以上〜1000デニール以下が編み立て性が良好で使用し易いこと、および交点部の接着力に優れている点で好適である。なお、芯鞘比は、期待する物性に応じて設定できるが、本発明においては1:4〜4:1の範囲とすることが好ましい。なお、バインダー繊維は裏側の地組織32だけでなく、表側の地組織31に導入してもよく、あるいは表裏両側に導入してもよい。
【0033】
かかる芯鞘構造の繊維を表側および/または裏側の地組織31、32に混入して三次元編織物を形成した後、例えば160℃以上の温度を加えた後冷却する熱セット加工を行うことにより、鞘の部分の低融点ポリエチレン樹脂132が一旦溶融し、周囲の繊維との接点において固着するので地組織が強固なものとなる。これにより踏圧に対する抵抗性を大幅に向上させることができる。これは、地組織が強固になると、三次元編織物への重力方向の押圧に対して連結糸33が横倒しにくくなり、適度な弾性を維持した状態で荷重に耐え得るようになるためである。また、排水用基盤材30が土圧や踏圧に対して十分な耐性を有する結果として、植物への悪影響(軽量土の崩れや移動による根の損傷など)も防ぐことができる。
【0034】
防根シート40は、排水層まで到達した植物根が屋上のコンクリート地50に定着することを防ぐ役割を果たすものであり、水分を透過しない合成樹脂等の材質のシート部材を用いることが好ましい。防根シート40の厚みは0.2〜1.5mm程度とすることができる。
【0035】
本発明の屋上緑化設備100において生育させ得る植物は、特に限定されるものではないが、例えば、芝などの低草類、セダムなどの多肉植物、本格緑化用の中低木類などから、目的に応じて選択することができる。
【0036】
本発明の屋上緑化方法は、例えばロール状に巻回した状態の防根シート40、排水性基盤材30、セパレーター20を屋上面で順次展開、積層していき、セパレーター20の上にシラス培土10を盛土、あるいは充填した後、植物を植え込むことにより行うことができる。
【0037】
また、栽培する植物種が芝の場合は、別の栽培地でシラス培土10と一体に育成したマット状の芝をロール状に巻回して搬入し、セパレーター20上に展開することによって施工することもできる。
【0038】
以上、本発明を種々の実施形態に関して述べたが、本発明は上記実施形態に制約されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で、他の実施形態についても適用可能である。
【0039】
例えば、図1の屋上緑化設備100では、培土層であるシラス培土10が表層を形成しているが、例えば低木植物61などを植える本格緑化の場合には、図7に例示するように、シラス培土10の上に、さらに水分蒸発抑制や雑草の発芽抑制の目的で砂利やバークチップ等で覆うマルチング層70を設けることができる。
【0040】
また、排水層は、培土層と積層する構成とは限らず、図7のように排水用基盤材30の側部をシラス培土10で覆うようにしてもよい。図7では、排水用基盤材30は、シラス培土10中に水の排出路が形成できるように勾配方向に沿って複数並列配備されている。この場合、排水性基盤材30内への培土の侵入を防ぐため、排水性基盤材30の上部だけでなく側部もセパレーター20で覆うことが好ましい。
【0041】
【実施例】
次に、実施例、試験例により、本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらによって制約されるものではない。
【0042】
実施例1
キトサン圧入シラスの製造:
粒径3〜8mmのシラス500リットルを注入用コンテナに投入し、注入機本体にセットした。コンテナに0.002モル/リットルのキトサン液を入れ、一気に−0.08MPaまで減圧し、そのまま3時間放置してシラスの気孔中にキトサンを注入することにより、キトサン圧入シラスを得た。
【0043】
実施例2
配合比の検討:
市販の60cmプランターを12個用意し、表1に示す12通りの配合比率で各成分をブレンドし、培土を調製した。キトサン圧入シラスとしては、実施例1で製造したものを使用した。
【0044】
【表1】
【0045】
全く同じ条件で栽培された同程度の生長具合のパンジー48ポットを各プランターにそれぞれ4ポットずつ植え込んだ。
【0046】
各プランターは、通常の屋上を想定して、直射日光が当り、夜露の降りる完全な屋外に配置した。後記する観察項目を2週間毎に検証し、それぞれ検証結果を判別できるように記録した。その結果を表2に示した。
【0047】
<観察項目>
▲1▼植物体の高さ
▲2▼植物体の幅(葉張)
▲3▼葉の数
▲4▼花・花芽の数(開花後の花ガラ、開花前の花芽も含む)
▲5▼総合評価
上記▲1▼〜▲4▼に視覚的所見(葉緑素の濃さ、前回からの伸び具合、みずみずしさ、元気さ、花の大きさ等)を加えた総合判定を、「優」、「良」、「可」、「不可」の4段階で評価した。
【0048】
【表2】
【0049】
【発明の効果】
本発明培土によれば、屋上緑化設備において、シラスを主成分とする培土により十分な排水性を確保できるとともに、設備の軽量化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る屋上緑化設備の断面構造を示す模式図。
【図2】排水性基盤材の要部斜視図。
【図3】排水性基盤材の要部平面図。
【図4】排水性基盤材の要部断面図。
【図5】排水性基盤材の要部断面図。
【図6】芯鞘型複合繊維の断面構造を示す模式図。
【図7】本発明の別の実施形態に係る屋上緑化設備の断面構造を示す模式図。
【符号の説明】
10 シラス培土
20 セパレーター
30 排水性基盤材
40 防根シート
50 コンクリート
60 植物
70 マルチング層
100、101 屋上緑化設備
【発明の属する技術分野】
本発明は、ビル、家屋等の屋上に植物生育環境を造成する際に用いる屋上緑化用培土、該培土を用いた屋上緑化設備および屋上緑化方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、都市部においてビルや家屋等の構造物の屋上(屋根を含む)に植物の生育環境を造成する屋上緑化が進められている。屋上緑化設備は、ビル等の屋上に敷設するものであるから、軽量であること、施工が容易であること、排水性が良好であること、培土の飛散が少ないこと等が要求される。これらの要求を満足するため、ボイラ内で生成されたクリンカアッシュと、やしがら繊維を生成する際に残渣として生じるやしがらダストと、を混合して形成される培土が提案されている(例えば、特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−176851号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特許文献1に記載の培土は、廃棄物であるクリンカアッシュや、やしがらダストの有効利用を図る上では有効な技術であるが、クリンカアッシュとやしがらダストとの配合比率を調整する必要がある上、屋上緑化用の培土としての機能を考えた場合、軽量化、保水能、透水性、植物栄養面などにおいて十分に満足できるものではない。
【0005】
すなわち、屋上緑化設備において最優先されるべきは軽量化であり、また排水性も重要な性質となる。排水機能が低いと、設備の荷重が大幅に増加して建造物にかかる負担が非常に大きくなるほか、植物や培土の腐敗を招き、屋上環境を台無しにしてしまうおそれもある。
【0006】
本発明は上記実情に鑑みてなさたものであり、軽量で、十分な排水性を有する屋上緑化用培土を提供することを課題とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明の第1の態様に係る屋上緑化用培土は、シラスを主成分として含有することを特徴とする。この特徴によれば、多孔質で軽いシラスを主成分とすることにより、十分な排水性を確保できるとともに、屋上緑化設備の軽量化を図ることができる。
【0008】
本発明の第2の態様に係る屋上緑化用培土は、第1の態様において、前記シラスが機能性有機物を圧入した有機物圧入シラスであることを特徴とする。この特徴によれば、有機物圧入シラスを含有する培土層により、軽量化を図りつつ植物の生長を促すことができる。機能性有機物圧入シラスは、植物に対して有用な作用を持つ有機物が、シラスの細孔奥深くまで圧入されているため、第1に機能性有機物の担持量を多くすることが可能であり、第2に雨水等による培土からの機能性有機物の流出を遅くすることができる。従って、機能性有機物による作用を長期間に渡り持続的に維持することが可能になる。なお、本発明において「機能性有機物」とは、植物の栄養源となる有機物や、土壌改良作用を持つ有機物などの総称である。機能性有機物は、無機物が多く、有機物に乏しいシラスを主成分とする培土において補助的な役割を果たし、植物生育環境を良好な状態にする。
【0009】
本発明の第3の態様に係る屋上緑化用培土は、第2の態様において、前記機能性有機物がキトサンであることを特徴とする。この特徴によればキトサン圧入シラスを含有する培土層により、軽量化を図りつつ植物の生長を促すことができる。
【0010】
すなわち、キトサン圧入シラスは、植物に対する活力付与作用および土壌改良作用を有するキトサンが、シラスの細孔奥深くまで圧入されているため、第1にキトサンの担持量が高められており、第2に雨水等による培土からのキトサンの流出を遅くすることができる。従って、キトサンによる作用を長期間に渡り持続的に維持することが可能になる。
【0011】
本発明の第4の態様に係る屋上緑化用培土は、第1の態様から第3の態様のいずれか1つにおいて、前記培土は、さらに鹿沼土、バーク堆肥および木炭を含有するものであることを特徴とする。
【0012】
この特徴によれば、シラス(またはキトサン圧入シラス)と鹿沼土、バーク堆肥および木炭とを組合せることにより、排水性に優れ、かつ軽量な培土が得られる。
【0013】
本発明の第5の態様に係る屋上緑化設備の発明は、第1の態様から第4の態様のいずれか1つに記載の培土を土壌層とすることを特徴とする。この特徴によれば、屋上緑化設備において第1の態様から第4の態様のいずれか1つと同様の作用効果が得られる。
【0014】
本発明の第6の態様に係る屋上緑化方法の発明は、第1の態様から第4の態様のいずれか1つに記載の培土に植物を植え込み、生育させることを特徴とする。この特徴によれば、屋上緑化方法において、上記第1の態様から第4の態様のいずれか1つと同様の作用効果が得られる。また、本発明方法で使用する培土は、軽量であるため、運搬も容易で、施工地における充填・盛土作業も容易である。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づき本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明の一実施形態にかかる屋上緑化設備100の断面構造を模式的に示す図面である。この屋上緑化設備100は、屋上のコンクリート地50の表面に防根シート40を敷設し、その上に排水層として排水性基盤材30が敷設され、排水性基盤材30の上には、セパレーター20が設けられ、さらにその上に培土層としてシラス培土10が盛土されている。植物60はシラス培土10に定植されている。
【0016】
シラス培土10は、シラスを主成分として含有する培土組成物である。シラスは、日本国宮崎県南部から鹿児島県東部の大隈半島に至る地域に形成された、4700km2に及ぶ広大なシラス台地を構成する発泡性ケイ酸岩で、多孔質で比重が軽いという特徴を持つ土壌である。シラスを主成分とする培土組成物を用いることによって、後記するように屋上緑化設備の大幅な軽量化が可能になる。
【0017】
本実施形態では、シラスに、機能性有機物として、天然多糖類であるキトサンを圧入処理したキトサン圧入シラスを用いている。キトサンは、周知のとおりカニやエビなどの甲殻類、昆虫、貝類、きのこなどの菌類の細胞壁に多く含まれる多糖類の天然高分子であり、植物の発芽、生長を促し、健全な植物を育てる効果があるので、土壌改良材、活力促進剤として使用されている。
【0018】
キトサン圧入シラスは、例えば粒径3〜8mm程度のシラスに、減圧真空圧入法によりキトサンを圧入処理したものである。減圧真空圧入は以下に例示する方法により行われる。すなわち、注入用コンテナに500リットルのシラスを投入し、注入機本体にセットし、キトサン液を入れ、一気に減圧し真空状態にしてシラスの気孔中にキトサンを注入する。このとき、シラスの気孔から気泡が排出されて気孔自体が真空状態となるので、空気の替りに気孔の奥深くまでキトサンが侵入する。キトサンの圧入は、シラス500リットルに対し3〜4時間程度かけて行うことが好ましい。使用するキトサン溶液の濃度は、例えば0.002モル/リットル(原液の500倍に相当)程度が好ましい。
【0019】
キトサンを圧入処理することにより、シラスに乏しい有機物を補うことができるとともに、圧入によって多孔質のシラスの気孔中にキトサンが侵入し、粒子の中心部までキトサンが充填される。これにより、通常の浸漬処理に比べてキトサンの含有量を各段に高めることができるとともに、単にシラス培土中にキトサンを添加する場合に比べて徐放作用が得られ、雨水等により一度にキトサンが流出してしまう事態を防ぐことができる。つまり、キトサンを持続的に作用させることができる。
【0020】
キトサンと同様にしてシラスに圧入することができる機能性有機物としては、例えば窒素肥料等の肥料成分、各種pH調整剤(強制酸化促進剤、降下剤等)等の土壌改良成分、木酢液、発根促進剤、鉄イオン水溶液(商品名:メネデール)などの各種活力剤等の植物活性成分などを挙げることができる。
【0021】
シラス培土10は、シラス(または機能性有機物圧入シラス)を主成分とするものであればよい。すなわち、培土中において、シラスを40重量%以上、好ましくは50〜70重量%含むことが好ましい。また、シラス以外の成分として、例えば鹿沼土、バーク堆肥、木炭等を配合することが好ましい。これらの成分は、いずれも軽量でありなから植物体を支持する培土としての機能を果たし得るものであるため、軽量化が最優先課題である屋上緑化設備に適したものである。
【0022】
鹿沼土は、培土中で主として保水や軽量化の機能を担うものであり、粒径3〜6mm程度のものが好ましい。
【0023】
バーク堆肥は、培土中で主として鹿沼土の固結防止、保水機能、軽量化、微生物投入等の機能を担うものであり、粒径0〜50mm程度のものが好ましい。
【0024】
木炭は、培土中で主として微生物のコロニー、排水の水質浄化、pH変化に対する緩衝材などの機能を担うものであり、粒径5〜15mm程度のものが好ましい。木炭としては、例えばパルプ炭(通称エコ炭)や、前記粒度に破砕した破砕木炭などを使用できる。
【0025】
シラス培土10における各成分の配合比は任意であるが、鹿沼土は、10〜30重量%程度が好ましく、バーク堆肥は、5〜20重量%程度が好ましく、木炭は、5〜20重量%程度が好ましい。軽量化と植物の生育状態とを比較考量した結果では、キトサン圧入シラスと鹿沼土とバーク堆肥と木炭とを重量比で6:2:1:1の割合で配合したものが特に好ましいことが判明している。かかる配合比において、シラス培土10の湿潤密度は0.67g/cm3、乾燥密度は0.39g/cm3となる。自然土壌の通常時密度は1.6〜1.8g/cm3、市販の軽量土でも0.6〜0.8g/cm3であるから、本発明のシラス培土10は、屋上緑化用の培土として望ましい軽量性を有していることが理解される。また、シラス培土10のpH(H2O)は6.89、有効水分量は165リットル/m3、透水係数は4.5×10−3cm/sec程度となり、培土として適度な保水/透水性能を持つものとなる。
【0026】
シラス培土10を用いた培土層の厚みは、育成する植物の種類により異なるが、概ね5〜50cm程度とすることができる。
【0027】
セパレーター20は、シラス培土10が排水用基盤材30の空隙へ落下し、排水層の目詰まりを引き起こすことを防止する役割を果たす網目状のシート部材であり、その材質は問わないが、腐蝕や劣化が起こり難い材質として一般に使用されているポリエステル、ナイロン、ポリエチレンもしくはポリプロピレンから構成されたもの、またはこれらの表面に被覆樹脂加工が施された合成樹脂製の材質が好ましい。セパレーター20の網目の目合いは、シラス培土10の粒径に応じて選択すればよい。セパレーター20の厚みは、0.15〜0.50mm程度とすることができる。
【0028】
排水用基盤材30は、表側または裏側の地組織のうち、少なくとも片面がメッシュ状もしくは溝状の空隙を形成し、かつ表側と裏側の地組織が連結糸で連結されて厚みを形成する三次元編織物である。この三次元編織物としては、図2〜図5に詳細を例示するように、表側および裏側の地組織が六角形のメッシュ状に形成され、連結糸が表裏の六角形の地組織を連結する構造のものが好ましく用いられる。
【0029】
図2は、排水用基盤材30の要部斜視図であり、図3は同要部平面図、図4は図3のIV−IV線矢視の断面図、図5は図3のV−V線矢視の断面図である。なお、図2および図3では、説明の便宜上、表裏の地組織31、32を架橋するように連結している連結糸33は、部分的にのみ図示している。
【0030】
表側の地組織31を構成する地糸311および地糸314は、主に裏側の地組織32を構成する地糸322との間で複数本の弓状の連結糸33により結ばれている(図4参照)。換言すれば、裏側の地糸322から連結糸33が二方向に延び、表側の地糸311および314に接続している(図5参照)。また、表側の地糸315と裏側の地糸325、表側の地糸316と裏側の地糸323が、それぞれ連結糸33により接続されている。同様にして、連結糸により表裏のメッシュ状の地組織31と32とが架橋されハニカム状の空隙を持つ複雑な立体網目構造が形成されている。かかる構造により、土壌や植物の荷重が加えられても、立体網目内部の空隙が十分に確保され排水性が損なわれることなく維持される。また、柔軟性を持つ立体網目構造により、踏圧に対する適度な弾性を与えることができるようになる。さらに、排水用基盤材30は空隙率が85〜98%と高いため、例えば0.5〜3.5cmの厚みで十分に排水機能を持ち、排水層を薄層化できるようになる。従って、所要の排水機能を維持しながら屋上緑化設備100を低層化することができるとともに、強風に対する耐久性も高めることができる。また、排水用基盤材30が柔軟性に富み、かつ薄型であれば、ロール状に巻回して屋上ヘ搬入し、そこで展延することにより容易に施工できるという利点もある。
【0031】
排水用基盤材30の材質は、腐蝕や劣化し難い合成樹脂繊維が好ましく、特にポリエステル繊維が好ましい。排水用基盤材30としての三次元編織物を構成する糸の径は、0.15〜0.5mm程度(220〜2,350デニール)が好ましく、地組織のメッシュの開口径(目合い)は10〜50mm程度が好ましい。また、三次元編織物の高さ(すなわち、表裏の地組織間の距離;厚さ)は、前記したように緑化設備の低層化や巻回のし易さを考慮すると8〜40cm程度、好ましくは10〜30cm程度とすることができる。
【0032】
また、本実施形態の排水用基盤材30においては、裏側の地組織32をバインダー繊維により溶融固着させている。より具体的には、裏側の地組織32を構成する繊維中に、バインダー繊維として、図6に示すように低融点のポリエステル繊維132を外周に有し、内側に通常の融点を持つポリエステル樹脂133を入れた芯鞘構造の繊維を挿入している。ここで、低融点のポリエステル樹脂132としては、例えば160℃程度の融点を有する共重合ポリエチレンテレフタレートを挙げることができ、通常の融点を有するポリエステル樹脂133としては、例えば260℃程度の融点を持つポリエチレンテレフタレートを挙げることができる。この芯鞘構造の複合繊維は、モノフィラメント、マルチフィラメントおよび短繊維糸条のいずれで構成されてもよい。複合繊維の太さは、100デニール以上〜1000デニール以下が編み立て性が良好で使用し易いこと、および交点部の接着力に優れている点で好適である。なお、芯鞘比は、期待する物性に応じて設定できるが、本発明においては1:4〜4:1の範囲とすることが好ましい。なお、バインダー繊維は裏側の地組織32だけでなく、表側の地組織31に導入してもよく、あるいは表裏両側に導入してもよい。
【0033】
かかる芯鞘構造の繊維を表側および/または裏側の地組織31、32に混入して三次元編織物を形成した後、例えば160℃以上の温度を加えた後冷却する熱セット加工を行うことにより、鞘の部分の低融点ポリエチレン樹脂132が一旦溶融し、周囲の繊維との接点において固着するので地組織が強固なものとなる。これにより踏圧に対する抵抗性を大幅に向上させることができる。これは、地組織が強固になると、三次元編織物への重力方向の押圧に対して連結糸33が横倒しにくくなり、適度な弾性を維持した状態で荷重に耐え得るようになるためである。また、排水用基盤材30が土圧や踏圧に対して十分な耐性を有する結果として、植物への悪影響(軽量土の崩れや移動による根の損傷など)も防ぐことができる。
【0034】
防根シート40は、排水層まで到達した植物根が屋上のコンクリート地50に定着することを防ぐ役割を果たすものであり、水分を透過しない合成樹脂等の材質のシート部材を用いることが好ましい。防根シート40の厚みは0.2〜1.5mm程度とすることができる。
【0035】
本発明の屋上緑化設備100において生育させ得る植物は、特に限定されるものではないが、例えば、芝などの低草類、セダムなどの多肉植物、本格緑化用の中低木類などから、目的に応じて選択することができる。
【0036】
本発明の屋上緑化方法は、例えばロール状に巻回した状態の防根シート40、排水性基盤材30、セパレーター20を屋上面で順次展開、積層していき、セパレーター20の上にシラス培土10を盛土、あるいは充填した後、植物を植え込むことにより行うことができる。
【0037】
また、栽培する植物種が芝の場合は、別の栽培地でシラス培土10と一体に育成したマット状の芝をロール状に巻回して搬入し、セパレーター20上に展開することによって施工することもできる。
【0038】
以上、本発明を種々の実施形態に関して述べたが、本発明は上記実施形態に制約されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で、他の実施形態についても適用可能である。
【0039】
例えば、図1の屋上緑化設備100では、培土層であるシラス培土10が表層を形成しているが、例えば低木植物61などを植える本格緑化の場合には、図7に例示するように、シラス培土10の上に、さらに水分蒸発抑制や雑草の発芽抑制の目的で砂利やバークチップ等で覆うマルチング層70を設けることができる。
【0040】
また、排水層は、培土層と積層する構成とは限らず、図7のように排水用基盤材30の側部をシラス培土10で覆うようにしてもよい。図7では、排水用基盤材30は、シラス培土10中に水の排出路が形成できるように勾配方向に沿って複数並列配備されている。この場合、排水性基盤材30内への培土の侵入を防ぐため、排水性基盤材30の上部だけでなく側部もセパレーター20で覆うことが好ましい。
【0041】
【実施例】
次に、実施例、試験例により、本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらによって制約されるものではない。
【0042】
実施例1
キトサン圧入シラスの製造:
粒径3〜8mmのシラス500リットルを注入用コンテナに投入し、注入機本体にセットした。コンテナに0.002モル/リットルのキトサン液を入れ、一気に−0.08MPaまで減圧し、そのまま3時間放置してシラスの気孔中にキトサンを注入することにより、キトサン圧入シラスを得た。
【0043】
実施例2
配合比の検討:
市販の60cmプランターを12個用意し、表1に示す12通りの配合比率で各成分をブレンドし、培土を調製した。キトサン圧入シラスとしては、実施例1で製造したものを使用した。
【0044】
【表1】
【0045】
全く同じ条件で栽培された同程度の生長具合のパンジー48ポットを各プランターにそれぞれ4ポットずつ植え込んだ。
【0046】
各プランターは、通常の屋上を想定して、直射日光が当り、夜露の降りる完全な屋外に配置した。後記する観察項目を2週間毎に検証し、それぞれ検証結果を判別できるように記録した。その結果を表2に示した。
【0047】
<観察項目>
▲1▼植物体の高さ
▲2▼植物体の幅(葉張)
▲3▼葉の数
▲4▼花・花芽の数(開花後の花ガラ、開花前の花芽も含む)
▲5▼総合評価
上記▲1▼〜▲4▼に視覚的所見(葉緑素の濃さ、前回からの伸び具合、みずみずしさ、元気さ、花の大きさ等)を加えた総合判定を、「優」、「良」、「可」、「不可」の4段階で評価した。
【0048】
【表2】
【0049】
【発明の効果】
本発明培土によれば、屋上緑化設備において、シラスを主成分とする培土により十分な排水性を確保できるとともに、設備の軽量化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る屋上緑化設備の断面構造を示す模式図。
【図2】排水性基盤材の要部斜視図。
【図3】排水性基盤材の要部平面図。
【図4】排水性基盤材の要部断面図。
【図5】排水性基盤材の要部断面図。
【図6】芯鞘型複合繊維の断面構造を示す模式図。
【図7】本発明の別の実施形態に係る屋上緑化設備の断面構造を示す模式図。
【符号の説明】
10 シラス培土
20 セパレーター
30 排水性基盤材
40 防根シート
50 コンクリート
60 植物
70 マルチング層
100、101 屋上緑化設備
Claims (6)
- シラスを主成分として含有することを特徴とする、屋上緑化用培土。
- 請求項1において、前記シラスが機能性有機物を圧入した有機物圧入シラスであることを特徴とする、屋上緑化用培土。
- 請求項2において、前記機能性有機物が、キトサンであることを特徴とする、屋上緑化用培土。
- 請求項1から請求項3のいずれか1項において、前記培土は、さらに鹿沼土、バーク堆肥および木炭を含有するものである、屋上緑化用培土。
- 請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の培土を土壌層とする屋上緑化設備。
- 請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の培土に植物を植え込み、生育させることを特徴とする、屋上緑化方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002377410A JP2004201632A (ja) | 2002-12-26 | 2002-12-26 | 屋上緑化用培土、屋上緑化設備、屋上緑化方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002377410A JP2004201632A (ja) | 2002-12-26 | 2002-12-26 | 屋上緑化用培土、屋上緑化設備、屋上緑化方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004201632A true JP2004201632A (ja) | 2004-07-22 |
Family
ID=32814591
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002377410A Withdrawn JP2004201632A (ja) | 2002-12-26 | 2002-12-26 | 屋上緑化用培土、屋上緑化設備、屋上緑化方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004201632A (ja) |
Cited By (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006204112A (ja) * | 2005-01-25 | 2006-08-10 | Shin Nippon Core Co Ltd | 植生用基層マット |
JP2008237056A (ja) * | 2007-03-26 | 2008-10-09 | Toho Leo Co | 緑化及び雑草抑制のための施工用パネルと、緑化及び雑草抑制のための施工方法 |
CN102587592A (zh) * | 2012-03-30 | 2012-07-18 | 中国建筑股份有限公司 | 屋顶绿化排水结构及其施工方法 |
JP2012244934A (ja) * | 2011-05-27 | 2012-12-13 | Kumagai Gumi Co Ltd | 屋上緑化のための植物生育材料 |
CN105165314A (zh) * | 2015-07-30 | 2015-12-23 | 葛加君 | 屋面长根植物栽植方法 |
CN109403559A (zh) * | 2018-11-30 | 2019-03-01 | 中国冶集团有限公司 | 一种种植屋面保温系统及其施工方法 |
JP6837692B1 (ja) * | 2020-01-14 | 2021-03-03 | 株式会社大晃 | ハイブリッド芝形成具およびハイブリッド芝形成方法 |
-
2002
- 2002-12-26 JP JP2002377410A patent/JP2004201632A/ja not_active Withdrawn
Cited By (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006204112A (ja) * | 2005-01-25 | 2006-08-10 | Shin Nippon Core Co Ltd | 植生用基層マット |
JP2008237056A (ja) * | 2007-03-26 | 2008-10-09 | Toho Leo Co | 緑化及び雑草抑制のための施工用パネルと、緑化及び雑草抑制のための施工方法 |
JP2012244934A (ja) * | 2011-05-27 | 2012-12-13 | Kumagai Gumi Co Ltd | 屋上緑化のための植物生育材料 |
CN102587592A (zh) * | 2012-03-30 | 2012-07-18 | 中国建筑股份有限公司 | 屋顶绿化排水结构及其施工方法 |
CN102587592B (zh) * | 2012-03-30 | 2014-03-26 | 中国建筑股份有限公司 | 屋顶绿化排水结构及其施工方法 |
CN105165314A (zh) * | 2015-07-30 | 2015-12-23 | 葛加君 | 屋面长根植物栽植方法 |
CN109403559A (zh) * | 2018-11-30 | 2019-03-01 | 中国冶集团有限公司 | 一种种植屋面保温系统及其施工方法 |
JP6837692B1 (ja) * | 2020-01-14 | 2021-03-03 | 株式会社大晃 | ハイブリッド芝形成具およびハイブリッド芝形成方法 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
CN104542220B (zh) | 一种边坡修复用植生网毯及边坡修复方法 | |
CN109006111A (zh) | 生态文明建设的方法 | |
CN101507391B (zh) | 岩石坡面生态化治理方法 | |
CN110089353A (zh) | 一种硬质边坡绿化修复方法 | |
CN208266847U (zh) | 适用于黄土地区的沟壑区快速修复结构 | |
CN204539762U (zh) | 一种用于边坡修复的麻椰土工格室植生网毯 | |
CN108476649A (zh) | 一种园林陡坡植物绿化方法 | |
CN107135802A (zh) | 一种混凝土坡面绿化方法以及混凝土坡面绿化种植毯 | |
CN109328805A (zh) | 一种石漠化地区边坡生态治理方法 | |
CN110463470A (zh) | 一种利用园林废弃物构建的屋顶绿化结构 | |
RU2751851C1 (ru) | Способ интенсивного выращивания газона с обогащением почвы водой с помощью суперабсорбента при орошении | |
JP2006204190A (ja) | 緑化用苗芝ピース | |
JP2004201632A (ja) | 屋上緑化用培土、屋上緑化設備、屋上緑化方法 | |
US6012251A (en) | Pourable vegetation soil substrate process for the production thereof and the use thereof | |
KR100989449B1 (ko) | 식생 카페트를 사용한 사면녹화 공법 | |
CN110761302A (zh) | 一种用于岩质边坡复绿的营养基质及其施工工艺 | |
KR100580927B1 (ko) | 다공질 필름을 이용한 식생매트 제조방법 | |
CN114128556A (zh) | 生长床及其制作方法、边坡修护方法 | |
CN207040411U (zh) | 一种混凝土坡面绿化种植毯 | |
CN111990113A (zh) | 植生袋、人工灌丛沙堆、阻沙固沙带及其构建方法与应用 | |
JP2004201631A (ja) | 排水用基盤材、屋上緑化設備および屋上緑化方法 | |
KR100687584B1 (ko) | 식생 환경매트 및 그 제조 방법 | |
KR101415965B1 (ko) | 친환경 법면 녹화용 유기 혼합토 조성물 및 이를 이용한 법면녹화방법 | |
CN108867667A (zh) | 滨岸带砂质岸坡生态固护方法 | |
CN217446089U (zh) | 一种快速复绿的种植毯 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20060307 |