JP2004229071A - 匿名情報提供方法、システムおよびプログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】オニオンルーティングを用いた匿名通信路により従来のような信頼し得る第三者を用いることなく、匿名で情報を提供することができる匿名情報提供方法を提供する。
【解決手段】内部告発者装置1は内部告発者Aの仮名として用いる公開鍵pkAと秘密鍵skAを生成し(ステップS1)、提供情報Mと返信用のオニオンルーティング情報Rretに内部告発者Aの仮名pkAと署名σA=SigskA(M|Rret)を付与し、オニオンルーティングによる匿名通信路を用いて監査機関装置3に送信し(ステップS3)、監査機関装置3は返信情報M′とレシートとして内部告発者Aの秘密鍵skIによる署名σI=SigskI(M|Rret|pkA|σA|M′)を内部告発者Aへの返信用のオニオンルーティング情報Rretによりオニオンルーティングによる匿名通信路を用いて内部告発者装置1に返信し(ステップS5)、上記処理を繰り返す。
【選択図】 図1
【解決手段】内部告発者装置1は内部告発者Aの仮名として用いる公開鍵pkAと秘密鍵skAを生成し(ステップS1)、提供情報Mと返信用のオニオンルーティング情報Rretに内部告発者Aの仮名pkAと署名σA=SigskA(M|Rret)を付与し、オニオンルーティングによる匿名通信路を用いて監査機関装置3に送信し(ステップS3)、監査機関装置3は返信情報M′とレシートとして内部告発者Aの秘密鍵skIによる署名σI=SigskI(M|Rret|pkA|σA|M′)を内部告発者Aへの返信用のオニオンルーティング情報Rretによりオニオンルーティングによる匿名通信路を用いて内部告発者装置1に返信し(ステップS5)、上記処理を繰り返す。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、情報提供元が匿名性を保ったまま情報提供先に情報を提供することができる匿名情報提供方法に関し、更に詳しくは、オニオンルーティングを用いたP2P型の匿名通信路を使用して情報提供元からの情報提供元装置を介した情報を匿名で情報提供先装置に提供する匿名情報提供方法、システムおよびプログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
情報提供者が匿名性を保ったまま情報提供先である例えば捜査機関に情報を提供する匿名情報提供方法としては、従来、情報提供者の本人確認を行うための第三者として信頼性確認者を設定するとともに、また保存情報の公開サービスを行うBBS(保存情報公開サービス)を設定し、情報提供者から信頼性確認者に情報提供者の本人確認を依頼して本人確認を行った後、情報提供者が匿名通信路を介して捜査機関に情報を送信し、捜査機関では情報提供者からの情報を受信した後において、情報提供者を特定する必要がある場合、信頼性確認者に情報提供者の身元確認のための問い合わせを行い、これにより情報提供者を特定することができるものがある(例えば、非特許文献1参照)。
【0003】
【非特許文献1】
藤村明子、「刑事事件の解決に役立つ匿名の情報提供方式」、情報セキュリティシンポジウム2002,pp.79−84,2002.
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来の匿名情報提供方法では、信頼し得る第三者が必要であるが、信頼し得る第三者を実際に構築することは困難であり、実際に運用する際に大きな問題となっている。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、オニオンルーティングを用いた匿名通信路により従来のような信頼し得る第三者を用いることなく、匿名で情報を提供することができる匿名情報提供方法、システムおよびプログラムを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1記載の本発明は、匿名通信路を使用して情報提供元からの情報提供元装置を介した情報を匿名で情報提供先装置に提供する匿名情報提供方法であって、情報提供元装置において情報提供元の仮名として用いる公開鍵pkAと秘密鍵skAを生成する第1ステップと、情報提供元装置において情報提供元の提供する情報Mおよび情報提供元への返信用のオニオンルーティング情報Rretに対して情報提供元の仮名pkAと署名σA=SigskA(M|Rret)を付与して、オニオンルーティングによる匿名通信路を用いて情報提供先装置に送信する第2ステップと、情報提供先装置において情報提供元装置に返信する情報M′と、レシートとして情報提供先の、公開鍵基盤(PKI)で公開されている公開鍵pkIに対応する秘密鍵skIによる署名σI=SigskI(M|Rret|pkA|σA|M′)を情報提供元への返信用のオニオンルーティング情報Rretによりオニオンルーティングによる匿名通信路を用いて情報提供元装置に返信する第3ステップとを有することを要旨とする。
【0007】
請求項1記載の本発明にあっては、情報提供元装置は提供する情報Mおよび返信用のオニオンルーティング情報Rretに情報提供元の仮名pkAと署名σA=SigskA(M|Rret)を付与して、オニオンルーティングによる匿名通信路を用いて情報提供先装置に送信し、情報提供先装置は返信する情報M′とレシートとして情報提供先の秘密鍵skIによる署名σI=SigskI(M|Rret|pkA|σA|M′)を情報提供元への返信用のオニオンルーティング情報Rretによりオニオンルーティングによる匿名通信路を用いて情報提供元装置に返信するため、従来のように第三者を設けることなく、匿名性を保ちつつ例えば内部告発者などからの情報の提供を実現でき、内部告発者の個人情報や安全を確保できるとともに、また情報提供元はレシートσI=SigskI(M|Rret|pkA|σA|M′)を提示することにより情報提供先が情報提供元の情報提供を受けたことを証明することができ、情報の握り潰しや組織の怠惰を抑制することができ、更にレシートを提示させることにより、内部告発をしていないにも関わらず組織の怠惰を指摘する悪意の者による不当な訴えを退けることができる。
【0008】
また、請求項2記載の本発明は、請求項1記載の発明において、前記第1および第2ステップを繰り返すことにより情報提供元装置と情報提供先装置との間で情報の送受信を繰り返し行い、情報提供元は情報提供先に対話的に匿名で情報の提供を行うことを要旨とする。
【0009】
請求項2記載の本発明にあっては、第1および第2ステップを繰り返すことにより情報提供元装置と情報提供先装置との間で情報の送受信を繰り返し行い、情報提供元は情報提供先に対話的に匿名で情報の提供を行うため、情報提供者である例えば内部告発者から内部告発を受けて調査する場合、内部告発者の匿名性を確保したまま内部告発者と複数回情報のやり取りを行い、内部告発者の証言を複数回得ることができる。
【0010】
更に、請求項3記載の本発明は、請求項1記載の発明において、情報提供元が真の情報提供元であることを証明するために情報提供元が仮名pkAに対応する秘密鍵skAを知っていることをゼロ知識証明することを要旨とする。
【0011】
請求項3記載の本発明にあっては、情報提供元が仮名pkAに対応する秘密鍵skAを知っていることをゼロ知識証明することにより情報提供元が真の情報提供元であることを証明するため、例えば情報提供元である匿名の例えば内部告発者に対して懸賞金を支払うなどのインセンティブが付与されて、内部告発者が名乗り出た場合、秘密鍵のゼロ知識証明を用いて内部告発者を特定することができる。
【0012】
請求項4記載の本発明は、請求項1記載の発明において、前記第2ステップにおいて情報提供元の提供する情報Mの代わりに情報Mと情報提供元の所属するグループの署名生成のための秘密鍵gskAによるグループ署名GSig(M)を生成し、オニオンルーティングによる匿名通信路を用いて情報提供元装置に送信することを要旨とする。
【0013】
請求項4記載の本発明にあっては、提供する情報Mの代わりに情報Mと情報提供元の所属するグループの署名生成のための秘密鍵gskAによるグループ署名GSig(M)を生成し、オニオンルーティングによる匿名通信路を用いて情報提供元装置に送信するため、匿名性を保ちつつ情報提供者である内部告発者が所属する会社の社員であることを示すことができ、提供する情報Mの信憑性を高めることができる。
【0014】
また、請求項5記載の本発明は、匿名通信路を使用して情報提供元からの情報提供元装置を介した情報を匿名で情報提供先装置に提供する匿名情報提供システムであって、情報提供元装置において情報提供元の仮名として用いる公開鍵pkAと秘密鍵skAを生成する鍵生成手段と、情報提供元装置において情報提供元の提供する情報Mおよび情報提供元への返信用のオニオンルーティング情報Rretに対して情報提供元の仮名pkAと署名σA=SigskA(M|Rret)を付与して、オニオンルーティングによる匿名通信路を用いて情報提供先装置に送信する送信手段と、情報提供先装置において情報提供元装置に返信する情報M′と、レシートとして情報提供先の、公開鍵基盤(PKI)で公開されている公開鍵pkIに対応する秘密鍵skIによる署名σI=SigskI(M|Rret|pkA|σA|M′)を情報提供元への返信用のオニオンルーティング情報Rretによりオニオンルーティングによる匿名通信路を用いて情報提供元装置に返信する返信手段とを有することを要旨とする。
【0015】
請求項5記載の本発明にあっては、情報提供元装置は提供する情報Mおよび返信用のオニオンルーティング情報Rretに情報提供元の仮名pkAと署名σA=SigskA(M|Rret)を付与して、オニオンルーティングによる匿名通信路を用いて情報提供先装置に送信し、情報提供先装置は返信する情報M′とレシートとして情報提供先の秘密鍵skIによる署名σI=SigskI(M|Rret|pkA|σA|M′)を情報提供元への返信用のオニオンルーティング情報Rretによりオニオンルーティングによる匿名通信路を用いて情報提供元装置に返信するため、従来のように第三者を設けることなく、匿名性を保ちつつ例えば内部告発者などからの情報の提供を実現でき、内部告発者の個人情報や安全を確保できるとともに、また情報提供元はレシートσI=SigskI(M|Rret|pkA|σA|M′)を提示することにより情報提供先が情報提供元の情報提供を受けたことを証明することができ、情報の握り潰しや組織の怠惰を抑制することができ、更にレシートを提示させることにより、内部告発をしていないにも関わらず組織の怠惰を指摘する悪意の者よる不当な訴えを退けることができる。
【0016】
更に、請求項6記載の本発明は、匿名通信路を使用して情報提供元からの情報提供元装置を介した情報を匿名で情報提供先装置に提供する匿名情報提供プログラムであって、情報提供元装置における匿名情報提供プログラムでは、情報提供元の仮名として用いる公開鍵pkAと秘密鍵skAを生成し、提供する情報Mおよび情報提供元への返信用のオニオンルーティング情報Rretに対して情報提供元の仮名pkAと署名σA=SigskA(M|Rret)を付与して、オニオンルーティングによる匿名通信路を用いて情報提供先装置に送信し、情報提供先装置における匿名情報提供プログラムでは、情報提供元装置に返信する情報M′と、レシートとして情報提供先の、公開鍵基盤(PKI)で公開されている公開鍵pkIに対応する秘密鍵skIによる署名σI=SigskI(M|Rret|pkA|σA|M′)を情報提供元への返信用のオニオンルーティング情報Rretによりオニオンルーティングによる匿名通信路を用いて情報提供元装置に返信することを要旨とする。
【0017】
請求項6記載の本発明にあっては、情報提供元装置は提供する情報Mおよび返信用のオニオンルーティング情報Rretに情報提供元の仮名pkAと署名σA=SigskA(M|Rret)を付与して、オニオンルーティングによる匿名通信路を用いて情報提供先装置に送信し、情報提供先装置は返信する情報M′とレシートとして情報提供先の秘密鍵skIによる署名σI=SigskI(M|Rret|pkA|σA|M′)を情報提供元への返信用のオニオンルーティング情報Rretによりオニオンルーティングによる匿名通信路を用いて情報提供元装置に返信するため、従来のように第三者を設けることなく、匿名性を保ちつつ例えば内部告発者などからの情報の提供を実現でき、内部告発者の個人情報や安全を確保できるとともに、また情報提供元はレシートσI=SigskI(M|Rret|pkA|σA|M′)を提示することにより情報提供先が情報提供元の情報提供を受けたことを証明することができ、情報の握り潰しや組織の怠惰を抑制することができ、更にレシートを提示させることにより、内部告発をしていないにも関わらず組織の怠惰を指摘する悪意の者よる不当な訴えを退けることができる。
【0018】
請求項7記載の本発明は、請求項6記載の発明において、請求項2乃至4のいずれか1項に記載の匿名情報提供方法を匿名情報提供プログラムで実行することを要旨とする。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、図面を用いて本発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る匿名情報提供方法を説明するためのシーケンスチャートである。
【0020】
図1に示す本実施形態の匿名情報提供方法は、情報提供元である内部告発者Aからの情報Mを内部告発者装置1からオニオンルーティングを用いたP2P型の匿名通信路を介して情報提供先である監査機関Iの監査機関装置3に送信するものであり、本実施形態の匿名情報提供方法では従来のように信頼し得る第三者を用いずに匿名で情報の提供を行うことができる。
【0021】
図1に示す実施形態を説明する前に、まずオニオンルーティング(Paul F.Syverson and David M.Goldschlag and Michael G.Reed,“Anonymous connections and onion routing”, Annual Symposium on Security and Privacy,pp.44−54,IEEE CS Press,1997参照)について説明する。オニオンルーティングは、複数のサーバを経由してメッセージを送信して、ルーティング情報を秘匿することにより、匿名通信路を実現する手法である。
【0022】
まず、送信者は、経由するサーバ1,2,…,nのアドレスad1,ad2,…,adnをこれらのサーバの公開鍵pk1,pk2,…,pknを用いて公開鍵暗号Eで多重暗号化してオニオンルーティング情報を次式のように生成する。
【0023】
【数1】
R=Epk1(Epk2(…Epkn−1(adn)…)|ad2)|ad1
そして、このオニオンルーティング情報をメッセージとともにサーバ1のアドレスad1に送信する。このようにオニオンルーティング情報をメッセージとともにサーバ1のアドレスを始めとして各サーバに送信する場合において、各サーバiは、オニオンルーティング情報Epki(Epki+1(…)|adi+1)|adiをメッセージとともに受信すると、これを自分の秘密鍵skiを用いて復号化して、次のサービスi+1のアドレスadi+1を知り、オニオンルーティング情報Epki+1(…)|adi+1をメッセージとともにサーバi+1のアドレスadi+1に送信する。
【0024】
このようにして各サーバをサーバ1,2,…,n−1の順で順次を経由した後、受信者であるサーバnは、メッセージを受信することができる。
【0025】
上述したメッセージの送信過程において、各サーバiは、自分の前後のサーバi−1とサーバi+1しかわからないため、サーバ1,2,…,n−1の少なくとも1つのサーバが自分の前のサーバを秘匿にする限りにおいては、受信者は経路を逆に辿って送信者、すなわち情報提供者を特定することができず、匿名通信路を実現することができるものである。
【0026】
次に、図1を参照して、上述したオニオンルーティングによる匿名通信路を用いた本実施形態の匿名情報提供方法について説明する。ここでは、情報提供者である内部告発者Aは、情報提供元装置である内部告発者装置1からオニオンルーティングによる匿名通信路を用いて情報Mを匿名で情報提供先である監査機関Iの情報提供先装置である監査機関装置3に送信する。
【0027】
図1では、まず内部告発者Aは、内部告発者装置1において内部告発者Aの仮名として用いる公開鍵pkAと秘密鍵skAを生成する(ステップS1)。それから、内部告発者Aは、内部告発者装置1において内部告発者Aの提供する情報Mおよび内部告発者Aへの返信用のオニオンルーティング情報Rretに対して内部告発者Aの仮名pkAと署名σA=SigskA(M|Rret)を付与して、オニオンルーティングによる匿名通信路を用いて監査機関装置3に送信する(ステップS3)。
【0028】
監査機関装置3は、内部告発者装置1から上記情報を受信すると、内部告発者装置1に返信する情報M′と、レシートとして監査機関Iの、公開鍵基盤(PKI)で公開されている公開鍵pkIに対応する秘密鍵skIによる署名σI=SigskI(M|Rret|pkA|σA|M′)を内部告発者装置1への返信用のオニオンルーティング情報Rretによりオニオンルーティングによる匿名通信路を用いて内部告発者装置1に送信する(ステップS5)。
【0029】
以降は、上記ステップS3およびS5を繰り返すことにより内部告発者装置1と監査機関装置3との間で情報の送受信を行い、内部告発者Aは監査機関Iに対話的に匿名で(仮名pkAで)情報の提供を行うことができる(ステップS7)。
【0030】
上述したように、本実施形態では、従来のように第三者を設けることなく、匿名性を保ちつつ内部告発者Aからの情報の提供を実現でき、内部告発者Aの個人情報や安全を確保できる。また、内部告発者AはレシートσI=SigskI(M|Rret|pkA|σA|M′)を提示することにより監査機関Iが内部告発者の情報提供を受けたことを証明することができ、組織である監査機関Iの怠惰や情報の握り潰しを抑制することができる。
【0031】
更に、レシートを提示させることにより、内部告発をしていないにも関わらず組織の怠惰を指摘する悪意の者による不当な訴えを退けることができる。また、ステップS3とS5を繰り返すことにより内部告発者装置1と監査機関装置3との間でオニオンルーティングによる匿名通信路を用いて情報の送受信を繰り返し行い、内部告発者Aは監査機関Iに対話的に匿名で情報の提供を行うことができ、内部告発者Aから内部告発を受けて調査する場合、内部告発者Aの匿名性を確保したまま内部告発者Aと複数回情報のやり取りを行い、内部告発者Aの証言を複数回得ることができる。
【0032】
また、上記実施形態において、内部告発者Aは、仮名pkAに対応する秘密鍵skAを知っていることをゼロ知識証明することにより、自分が真の情報提供者であることを証明することができる。すなわち、ある内部告発によって不正行為が解決できた場合、匿名であった内部告発者に対してインセンティブとして懸賞金を支払う必要が発生した場合に相手が誰であったかを確認する手段が必要であるが、このような場合、個人情報保護の観点から本人が名乗り出ることを希望した場合のみ、秘密鍵のゼロ知識証明を用いて内部告発者本人を特定することができる。
【0033】
更に、内部告発者Aは、内部告発者装置1を用いてレシートσI=Sigsk I(M|Rret|pkA|σA|M′)を提示することにより、監査機関Iが内部告発者Aの情報提供を受けたことを証明することができ、情報の握り潰しや組織の怠惰を抑制することができる。また、レシートを提示させることにより、内部告発をしていないにも関わらず組織の怠惰を指摘する悪意の者による不当な訴えを退けることができる。
【0034】
また更に、グループ署名(D.Chaum and E.van Heyst,“Group signatures”,Eurocrypt ’91,pp.257−265,Springer−Verlag LNCS 547,1991参照)を用いることにより、属性証明機能を追加することができる。
【0035】
例えば、社内で用いているグループ署名GSigがあり、社員である内部告発者Aはグループ署名生成のための秘密鍵gskAを所有しており、グループ署名検証のための会社の公開鍵gpkが公開鍵基盤(PKI)で公開されているとする。
【0036】
このような場合、内部告発者Aは、前記情報Mの代わりに、情報Mと秘密鍵gskAによるグループ署名GSig(M)を生成し、オニオンルーティングによる匿名通信路を用いて監査機関装置3に送信することにより、匿名性を保ちつつ内部告発者Aがその会社の社員であることを示せ、提供する情報Mの信憑性を高めることができる。
【0037】
なお、上記実施形態の匿名情報提供方法の処理手順をプログラムとして例えばCDやFDなどの記録媒体に記録して、この記録媒体をコンピュータシステムに組み込んだり、または記録媒体に記録されたプログラムを通信回線を介してコンピュータシステムにダウンロードしたり、または記録媒体からインストールし、該プログラムでコンピュータシステムを作動させることにより、匿名情報提供方法を実施する匿名情報提供システムとして機能させることができることは勿論であり、このような記録媒体を用いることにより、その流通性を高めることができるものである。
【0038】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、情報提供元装置は提供する情報Mおよび返信用のオニオンルーティング情報Rretに情報提供元の仮名pkAと署名σA=SigskA(M|Rret)を付与して、オニオンルーティングによる匿名通信路を用いて情報提供先装置に送信し、情報提供先装置は返信する情報M′とレシートとして情報提供先の秘密鍵skIによる署名σI=SigskI(M|Rret|pkA|σA|M′)を情報提供元への返信用のオニオンルーティング情報Rretによりオニオンルーティングによる匿名通信路を用いて情報提供元装置に返信するので、従来のように第三者を設けることなく、匿名性を保ちつつ例えば内部告発者などからの情報の提供を実現でき、内部告発者の個人情報や安全を確保できるとともに、また情報提供元はレシートσI=SigskI(M|Rret|pkA|σA|M′)を提示することにより情報提供先が情報提供元の情報提供を受けたことを証明することができ、組織の怠惰や情報の握り潰しを抑制することができ、更にレシートを提示させることにより、内部告発をしていないにも関わらず組織の怠惰を指摘する悪意の者による不当な訴えを退けることができる。
【0039】
また、本発明によれば、第1および第2ステップを繰り返すことにより情報提供元装置と情報提供先装置との間で情報の送受信を繰り返し行い、情報提供元は情報提供先に対話的に匿名で情報の提供を行うので、情報提供者である例えば内部告発者から内部告発を受けて調査する場合、内部告発者の匿名性を確保したまま内部告発者と複数回情報のやり取りを行い、内部告発者の証言を複数回得ることができる。
【0040】
更に、本発明によれば、情報提供元が仮名pkAに対応する秘密鍵skAを知っていることをゼロ知識証明することにより情報提供元が真の情報提供元であることを証明するので、例えば情報提供元である匿名の例えば内部告発者に対して懸賞金を支払うなどのインセンティブが付与されて、内部告発者が名乗り出た場合、秘密鍵のゼロ知識証明を用いて内部告発者を特定することができる。
【0041】
本発明によれば、提供する情報Mの代わりに情報Mと情報提供元の所属するグループの署名生成のための秘密鍵gskAによるグループ署名GSig(M)を生成し、オニオンルーティングによる匿名通信路を用いて情報提供元装置に送信するので、匿名性を保ちつつ情報提供者である内部告発者が所属する会社の社員であることを示すことができ、提供する情報Mの信憑性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る匿名情報提供方法を説明するためのシーケンスチャートである。
【符号の説明】
1 内部告発者装置
3 監査機関装置
【発明の属する技術分野】
本発明は、情報提供元が匿名性を保ったまま情報提供先に情報を提供することができる匿名情報提供方法に関し、更に詳しくは、オニオンルーティングを用いたP2P型の匿名通信路を使用して情報提供元からの情報提供元装置を介した情報を匿名で情報提供先装置に提供する匿名情報提供方法、システムおよびプログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
情報提供者が匿名性を保ったまま情報提供先である例えば捜査機関に情報を提供する匿名情報提供方法としては、従来、情報提供者の本人確認を行うための第三者として信頼性確認者を設定するとともに、また保存情報の公開サービスを行うBBS(保存情報公開サービス)を設定し、情報提供者から信頼性確認者に情報提供者の本人確認を依頼して本人確認を行った後、情報提供者が匿名通信路を介して捜査機関に情報を送信し、捜査機関では情報提供者からの情報を受信した後において、情報提供者を特定する必要がある場合、信頼性確認者に情報提供者の身元確認のための問い合わせを行い、これにより情報提供者を特定することができるものがある(例えば、非特許文献1参照)。
【0003】
【非特許文献1】
藤村明子、「刑事事件の解決に役立つ匿名の情報提供方式」、情報セキュリティシンポジウム2002,pp.79−84,2002.
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来の匿名情報提供方法では、信頼し得る第三者が必要であるが、信頼し得る第三者を実際に構築することは困難であり、実際に運用する際に大きな問題となっている。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、オニオンルーティングを用いた匿名通信路により従来のような信頼し得る第三者を用いることなく、匿名で情報を提供することができる匿名情報提供方法、システムおよびプログラムを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1記載の本発明は、匿名通信路を使用して情報提供元からの情報提供元装置を介した情報を匿名で情報提供先装置に提供する匿名情報提供方法であって、情報提供元装置において情報提供元の仮名として用いる公開鍵pkAと秘密鍵skAを生成する第1ステップと、情報提供元装置において情報提供元の提供する情報Mおよび情報提供元への返信用のオニオンルーティング情報Rretに対して情報提供元の仮名pkAと署名σA=SigskA(M|Rret)を付与して、オニオンルーティングによる匿名通信路を用いて情報提供先装置に送信する第2ステップと、情報提供先装置において情報提供元装置に返信する情報M′と、レシートとして情報提供先の、公開鍵基盤(PKI)で公開されている公開鍵pkIに対応する秘密鍵skIによる署名σI=SigskI(M|Rret|pkA|σA|M′)を情報提供元への返信用のオニオンルーティング情報Rretによりオニオンルーティングによる匿名通信路を用いて情報提供元装置に返信する第3ステップとを有することを要旨とする。
【0007】
請求項1記載の本発明にあっては、情報提供元装置は提供する情報Mおよび返信用のオニオンルーティング情報Rretに情報提供元の仮名pkAと署名σA=SigskA(M|Rret)を付与して、オニオンルーティングによる匿名通信路を用いて情報提供先装置に送信し、情報提供先装置は返信する情報M′とレシートとして情報提供先の秘密鍵skIによる署名σI=SigskI(M|Rret|pkA|σA|M′)を情報提供元への返信用のオニオンルーティング情報Rretによりオニオンルーティングによる匿名通信路を用いて情報提供元装置に返信するため、従来のように第三者を設けることなく、匿名性を保ちつつ例えば内部告発者などからの情報の提供を実現でき、内部告発者の個人情報や安全を確保できるとともに、また情報提供元はレシートσI=SigskI(M|Rret|pkA|σA|M′)を提示することにより情報提供先が情報提供元の情報提供を受けたことを証明することができ、情報の握り潰しや組織の怠惰を抑制することができ、更にレシートを提示させることにより、内部告発をしていないにも関わらず組織の怠惰を指摘する悪意の者による不当な訴えを退けることができる。
【0008】
また、請求項2記載の本発明は、請求項1記載の発明において、前記第1および第2ステップを繰り返すことにより情報提供元装置と情報提供先装置との間で情報の送受信を繰り返し行い、情報提供元は情報提供先に対話的に匿名で情報の提供を行うことを要旨とする。
【0009】
請求項2記載の本発明にあっては、第1および第2ステップを繰り返すことにより情報提供元装置と情報提供先装置との間で情報の送受信を繰り返し行い、情報提供元は情報提供先に対話的に匿名で情報の提供を行うため、情報提供者である例えば内部告発者から内部告発を受けて調査する場合、内部告発者の匿名性を確保したまま内部告発者と複数回情報のやり取りを行い、内部告発者の証言を複数回得ることができる。
【0010】
更に、請求項3記載の本発明は、請求項1記載の発明において、情報提供元が真の情報提供元であることを証明するために情報提供元が仮名pkAに対応する秘密鍵skAを知っていることをゼロ知識証明することを要旨とする。
【0011】
請求項3記載の本発明にあっては、情報提供元が仮名pkAに対応する秘密鍵skAを知っていることをゼロ知識証明することにより情報提供元が真の情報提供元であることを証明するため、例えば情報提供元である匿名の例えば内部告発者に対して懸賞金を支払うなどのインセンティブが付与されて、内部告発者が名乗り出た場合、秘密鍵のゼロ知識証明を用いて内部告発者を特定することができる。
【0012】
請求項4記載の本発明は、請求項1記載の発明において、前記第2ステップにおいて情報提供元の提供する情報Mの代わりに情報Mと情報提供元の所属するグループの署名生成のための秘密鍵gskAによるグループ署名GSig(M)を生成し、オニオンルーティングによる匿名通信路を用いて情報提供元装置に送信することを要旨とする。
【0013】
請求項4記載の本発明にあっては、提供する情報Mの代わりに情報Mと情報提供元の所属するグループの署名生成のための秘密鍵gskAによるグループ署名GSig(M)を生成し、オニオンルーティングによる匿名通信路を用いて情報提供元装置に送信するため、匿名性を保ちつつ情報提供者である内部告発者が所属する会社の社員であることを示すことができ、提供する情報Mの信憑性を高めることができる。
【0014】
また、請求項5記載の本発明は、匿名通信路を使用して情報提供元からの情報提供元装置を介した情報を匿名で情報提供先装置に提供する匿名情報提供システムであって、情報提供元装置において情報提供元の仮名として用いる公開鍵pkAと秘密鍵skAを生成する鍵生成手段と、情報提供元装置において情報提供元の提供する情報Mおよび情報提供元への返信用のオニオンルーティング情報Rretに対して情報提供元の仮名pkAと署名σA=SigskA(M|Rret)を付与して、オニオンルーティングによる匿名通信路を用いて情報提供先装置に送信する送信手段と、情報提供先装置において情報提供元装置に返信する情報M′と、レシートとして情報提供先の、公開鍵基盤(PKI)で公開されている公開鍵pkIに対応する秘密鍵skIによる署名σI=SigskI(M|Rret|pkA|σA|M′)を情報提供元への返信用のオニオンルーティング情報Rretによりオニオンルーティングによる匿名通信路を用いて情報提供元装置に返信する返信手段とを有することを要旨とする。
【0015】
請求項5記載の本発明にあっては、情報提供元装置は提供する情報Mおよび返信用のオニオンルーティング情報Rretに情報提供元の仮名pkAと署名σA=SigskA(M|Rret)を付与して、オニオンルーティングによる匿名通信路を用いて情報提供先装置に送信し、情報提供先装置は返信する情報M′とレシートとして情報提供先の秘密鍵skIによる署名σI=SigskI(M|Rret|pkA|σA|M′)を情報提供元への返信用のオニオンルーティング情報Rretによりオニオンルーティングによる匿名通信路を用いて情報提供元装置に返信するため、従来のように第三者を設けることなく、匿名性を保ちつつ例えば内部告発者などからの情報の提供を実現でき、内部告発者の個人情報や安全を確保できるとともに、また情報提供元はレシートσI=SigskI(M|Rret|pkA|σA|M′)を提示することにより情報提供先が情報提供元の情報提供を受けたことを証明することができ、情報の握り潰しや組織の怠惰を抑制することができ、更にレシートを提示させることにより、内部告発をしていないにも関わらず組織の怠惰を指摘する悪意の者よる不当な訴えを退けることができる。
【0016】
更に、請求項6記載の本発明は、匿名通信路を使用して情報提供元からの情報提供元装置を介した情報を匿名で情報提供先装置に提供する匿名情報提供プログラムであって、情報提供元装置における匿名情報提供プログラムでは、情報提供元の仮名として用いる公開鍵pkAと秘密鍵skAを生成し、提供する情報Mおよび情報提供元への返信用のオニオンルーティング情報Rretに対して情報提供元の仮名pkAと署名σA=SigskA(M|Rret)を付与して、オニオンルーティングによる匿名通信路を用いて情報提供先装置に送信し、情報提供先装置における匿名情報提供プログラムでは、情報提供元装置に返信する情報M′と、レシートとして情報提供先の、公開鍵基盤(PKI)で公開されている公開鍵pkIに対応する秘密鍵skIによる署名σI=SigskI(M|Rret|pkA|σA|M′)を情報提供元への返信用のオニオンルーティング情報Rretによりオニオンルーティングによる匿名通信路を用いて情報提供元装置に返信することを要旨とする。
【0017】
請求項6記載の本発明にあっては、情報提供元装置は提供する情報Mおよび返信用のオニオンルーティング情報Rretに情報提供元の仮名pkAと署名σA=SigskA(M|Rret)を付与して、オニオンルーティングによる匿名通信路を用いて情報提供先装置に送信し、情報提供先装置は返信する情報M′とレシートとして情報提供先の秘密鍵skIによる署名σI=SigskI(M|Rret|pkA|σA|M′)を情報提供元への返信用のオニオンルーティング情報Rretによりオニオンルーティングによる匿名通信路を用いて情報提供元装置に返信するため、従来のように第三者を設けることなく、匿名性を保ちつつ例えば内部告発者などからの情報の提供を実現でき、内部告発者の個人情報や安全を確保できるとともに、また情報提供元はレシートσI=SigskI(M|Rret|pkA|σA|M′)を提示することにより情報提供先が情報提供元の情報提供を受けたことを証明することができ、情報の握り潰しや組織の怠惰を抑制することができ、更にレシートを提示させることにより、内部告発をしていないにも関わらず組織の怠惰を指摘する悪意の者よる不当な訴えを退けることができる。
【0018】
請求項7記載の本発明は、請求項6記載の発明において、請求項2乃至4のいずれか1項に記載の匿名情報提供方法を匿名情報提供プログラムで実行することを要旨とする。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、図面を用いて本発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る匿名情報提供方法を説明するためのシーケンスチャートである。
【0020】
図1に示す本実施形態の匿名情報提供方法は、情報提供元である内部告発者Aからの情報Mを内部告発者装置1からオニオンルーティングを用いたP2P型の匿名通信路を介して情報提供先である監査機関Iの監査機関装置3に送信するものであり、本実施形態の匿名情報提供方法では従来のように信頼し得る第三者を用いずに匿名で情報の提供を行うことができる。
【0021】
図1に示す実施形態を説明する前に、まずオニオンルーティング(Paul F.Syverson and David M.Goldschlag and Michael G.Reed,“Anonymous connections and onion routing”, Annual Symposium on Security and Privacy,pp.44−54,IEEE CS Press,1997参照)について説明する。オニオンルーティングは、複数のサーバを経由してメッセージを送信して、ルーティング情報を秘匿することにより、匿名通信路を実現する手法である。
【0022】
まず、送信者は、経由するサーバ1,2,…,nのアドレスad1,ad2,…,adnをこれらのサーバの公開鍵pk1,pk2,…,pknを用いて公開鍵暗号Eで多重暗号化してオニオンルーティング情報を次式のように生成する。
【0023】
【数1】
R=Epk1(Epk2(…Epkn−1(adn)…)|ad2)|ad1
そして、このオニオンルーティング情報をメッセージとともにサーバ1のアドレスad1に送信する。このようにオニオンルーティング情報をメッセージとともにサーバ1のアドレスを始めとして各サーバに送信する場合において、各サーバiは、オニオンルーティング情報Epki(Epki+1(…)|adi+1)|adiをメッセージとともに受信すると、これを自分の秘密鍵skiを用いて復号化して、次のサービスi+1のアドレスadi+1を知り、オニオンルーティング情報Epki+1(…)|adi+1をメッセージとともにサーバi+1のアドレスadi+1に送信する。
【0024】
このようにして各サーバをサーバ1,2,…,n−1の順で順次を経由した後、受信者であるサーバnは、メッセージを受信することができる。
【0025】
上述したメッセージの送信過程において、各サーバiは、自分の前後のサーバi−1とサーバi+1しかわからないため、サーバ1,2,…,n−1の少なくとも1つのサーバが自分の前のサーバを秘匿にする限りにおいては、受信者は経路を逆に辿って送信者、すなわち情報提供者を特定することができず、匿名通信路を実現することができるものである。
【0026】
次に、図1を参照して、上述したオニオンルーティングによる匿名通信路を用いた本実施形態の匿名情報提供方法について説明する。ここでは、情報提供者である内部告発者Aは、情報提供元装置である内部告発者装置1からオニオンルーティングによる匿名通信路を用いて情報Mを匿名で情報提供先である監査機関Iの情報提供先装置である監査機関装置3に送信する。
【0027】
図1では、まず内部告発者Aは、内部告発者装置1において内部告発者Aの仮名として用いる公開鍵pkAと秘密鍵skAを生成する(ステップS1)。それから、内部告発者Aは、内部告発者装置1において内部告発者Aの提供する情報Mおよび内部告発者Aへの返信用のオニオンルーティング情報Rretに対して内部告発者Aの仮名pkAと署名σA=SigskA(M|Rret)を付与して、オニオンルーティングによる匿名通信路を用いて監査機関装置3に送信する(ステップS3)。
【0028】
監査機関装置3は、内部告発者装置1から上記情報を受信すると、内部告発者装置1に返信する情報M′と、レシートとして監査機関Iの、公開鍵基盤(PKI)で公開されている公開鍵pkIに対応する秘密鍵skIによる署名σI=SigskI(M|Rret|pkA|σA|M′)を内部告発者装置1への返信用のオニオンルーティング情報Rretによりオニオンルーティングによる匿名通信路を用いて内部告発者装置1に送信する(ステップS5)。
【0029】
以降は、上記ステップS3およびS5を繰り返すことにより内部告発者装置1と監査機関装置3との間で情報の送受信を行い、内部告発者Aは監査機関Iに対話的に匿名で(仮名pkAで)情報の提供を行うことができる(ステップS7)。
【0030】
上述したように、本実施形態では、従来のように第三者を設けることなく、匿名性を保ちつつ内部告発者Aからの情報の提供を実現でき、内部告発者Aの個人情報や安全を確保できる。また、内部告発者AはレシートσI=SigskI(M|Rret|pkA|σA|M′)を提示することにより監査機関Iが内部告発者の情報提供を受けたことを証明することができ、組織である監査機関Iの怠惰や情報の握り潰しを抑制することができる。
【0031】
更に、レシートを提示させることにより、内部告発をしていないにも関わらず組織の怠惰を指摘する悪意の者による不当な訴えを退けることができる。また、ステップS3とS5を繰り返すことにより内部告発者装置1と監査機関装置3との間でオニオンルーティングによる匿名通信路を用いて情報の送受信を繰り返し行い、内部告発者Aは監査機関Iに対話的に匿名で情報の提供を行うことができ、内部告発者Aから内部告発を受けて調査する場合、内部告発者Aの匿名性を確保したまま内部告発者Aと複数回情報のやり取りを行い、内部告発者Aの証言を複数回得ることができる。
【0032】
また、上記実施形態において、内部告発者Aは、仮名pkAに対応する秘密鍵skAを知っていることをゼロ知識証明することにより、自分が真の情報提供者であることを証明することができる。すなわち、ある内部告発によって不正行為が解決できた場合、匿名であった内部告発者に対してインセンティブとして懸賞金を支払う必要が発生した場合に相手が誰であったかを確認する手段が必要であるが、このような場合、個人情報保護の観点から本人が名乗り出ることを希望した場合のみ、秘密鍵のゼロ知識証明を用いて内部告発者本人を特定することができる。
【0033】
更に、内部告発者Aは、内部告発者装置1を用いてレシートσI=Sigsk I(M|Rret|pkA|σA|M′)を提示することにより、監査機関Iが内部告発者Aの情報提供を受けたことを証明することができ、情報の握り潰しや組織の怠惰を抑制することができる。また、レシートを提示させることにより、内部告発をしていないにも関わらず組織の怠惰を指摘する悪意の者による不当な訴えを退けることができる。
【0034】
また更に、グループ署名(D.Chaum and E.van Heyst,“Group signatures”,Eurocrypt ’91,pp.257−265,Springer−Verlag LNCS 547,1991参照)を用いることにより、属性証明機能を追加することができる。
【0035】
例えば、社内で用いているグループ署名GSigがあり、社員である内部告発者Aはグループ署名生成のための秘密鍵gskAを所有しており、グループ署名検証のための会社の公開鍵gpkが公開鍵基盤(PKI)で公開されているとする。
【0036】
このような場合、内部告発者Aは、前記情報Mの代わりに、情報Mと秘密鍵gskAによるグループ署名GSig(M)を生成し、オニオンルーティングによる匿名通信路を用いて監査機関装置3に送信することにより、匿名性を保ちつつ内部告発者Aがその会社の社員であることを示せ、提供する情報Mの信憑性を高めることができる。
【0037】
なお、上記実施形態の匿名情報提供方法の処理手順をプログラムとして例えばCDやFDなどの記録媒体に記録して、この記録媒体をコンピュータシステムに組み込んだり、または記録媒体に記録されたプログラムを通信回線を介してコンピュータシステムにダウンロードしたり、または記録媒体からインストールし、該プログラムでコンピュータシステムを作動させることにより、匿名情報提供方法を実施する匿名情報提供システムとして機能させることができることは勿論であり、このような記録媒体を用いることにより、その流通性を高めることができるものである。
【0038】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、情報提供元装置は提供する情報Mおよび返信用のオニオンルーティング情報Rretに情報提供元の仮名pkAと署名σA=SigskA(M|Rret)を付与して、オニオンルーティングによる匿名通信路を用いて情報提供先装置に送信し、情報提供先装置は返信する情報M′とレシートとして情報提供先の秘密鍵skIによる署名σI=SigskI(M|Rret|pkA|σA|M′)を情報提供元への返信用のオニオンルーティング情報Rretによりオニオンルーティングによる匿名通信路を用いて情報提供元装置に返信するので、従来のように第三者を設けることなく、匿名性を保ちつつ例えば内部告発者などからの情報の提供を実現でき、内部告発者の個人情報や安全を確保できるとともに、また情報提供元はレシートσI=SigskI(M|Rret|pkA|σA|M′)を提示することにより情報提供先が情報提供元の情報提供を受けたことを証明することができ、組織の怠惰や情報の握り潰しを抑制することができ、更にレシートを提示させることにより、内部告発をしていないにも関わらず組織の怠惰を指摘する悪意の者による不当な訴えを退けることができる。
【0039】
また、本発明によれば、第1および第2ステップを繰り返すことにより情報提供元装置と情報提供先装置との間で情報の送受信を繰り返し行い、情報提供元は情報提供先に対話的に匿名で情報の提供を行うので、情報提供者である例えば内部告発者から内部告発を受けて調査する場合、内部告発者の匿名性を確保したまま内部告発者と複数回情報のやり取りを行い、内部告発者の証言を複数回得ることができる。
【0040】
更に、本発明によれば、情報提供元が仮名pkAに対応する秘密鍵skAを知っていることをゼロ知識証明することにより情報提供元が真の情報提供元であることを証明するので、例えば情報提供元である匿名の例えば内部告発者に対して懸賞金を支払うなどのインセンティブが付与されて、内部告発者が名乗り出た場合、秘密鍵のゼロ知識証明を用いて内部告発者を特定することができる。
【0041】
本発明によれば、提供する情報Mの代わりに情報Mと情報提供元の所属するグループの署名生成のための秘密鍵gskAによるグループ署名GSig(M)を生成し、オニオンルーティングによる匿名通信路を用いて情報提供元装置に送信するので、匿名性を保ちつつ情報提供者である内部告発者が所属する会社の社員であることを示すことができ、提供する情報Mの信憑性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る匿名情報提供方法を説明するためのシーケンスチャートである。
【符号の説明】
1 内部告発者装置
3 監査機関装置
Claims (7)
- 匿名通信路を使用して情報提供元からの情報提供元装置を介した情報を匿名で情報提供先装置に提供する匿名情報提供方法であって、
情報提供元装置において情報提供元の仮名として用いる公開鍵pkAと秘密鍵skAを生成する第1ステップと、
情報提供元装置において情報提供元の提供する情報Mおよび情報提供元への返信用のオニオンルーティング情報Rretに対して情報提供元の仮名pkAと署名σA=SigskA(M|Rret)を付与して、オニオンルーティングによる匿名通信路を用いて情報提供先装置に送信する第2ステップと、
情報提供先装置において情報提供元装置に返信する情報M′と、レシートとして情報提供先の、公開鍵基盤(PKI)で公開されている公開鍵pkIに対応する秘密鍵skIによる署名σI=SigskI(M|Rret|pkA|σA|M′)を情報提供元への返信用のオニオンルーティング情報Rretによりオニオンルーティングによる匿名通信路を用いて情報提供元装置に返信する第3ステップと
を有することを特徴とする匿名情報提供方法。 - 前記第1および第2ステップを繰り返すことにより情報提供元装置と情報提供先装置との間で情報の送受信を繰り返し行い、情報提供元は情報提供先に対話的に匿名で情報の提供を行うことを特徴とする請求項1記載の匿名情報提供方法。
- 情報提供元が真の情報提供元であることを証明するために情報提供元が仮名pkAに対応する秘密鍵skAを知っていることをゼロ知識証明することを特徴とする請求項1記載の匿名情報提供方法。
- 前記第2ステップにおいて情報提供元の提供する情報Mの代わりに情報Mと情報提供元の所属するグループの署名生成のための秘密鍵gskAによるグループ署名GSig(M)を生成し、オニオンルーティングによる匿名通信路を用いて情報提供元装置に送信することを特徴とする請求項1記載の匿名情報提供方法。
- 匿名通信路を使用して情報提供元からの情報提供元装置を介した情報を匿名で情報提供先装置に提供する匿名情報提供システムであって、
情報提供元装置において情報提供元の仮名として用いる公開鍵pkAと秘密鍵skAを生成する鍵生成手段と、
情報提供元装置において情報提供元の提供する情報Mおよび情報提供元への返信用のオニオンルーティング情報Rretに対して情報提供元の仮名pkAと署名σA=SigskA(M|Rret)を付与して、オニオンルーティングによる匿名通信路を用いて情報提供先装置に送信する送信手段と、
情報提供先装置において情報提供元装置に返信する情報M′と、レシートとして情報提供先の、公開鍵基盤(PKI)で公開されている公開鍵pkIに対応する秘密鍵skIによる署名σI=SigskI(M|Rret|pkA|σA|M′)を情報提供元への返信用のオニオンルーティング情報Rretによりオニオンルーティングによる匿名通信路を用いて情報提供元装置に返信する返信手段と
を有することを特徴とする匿名情報提供システム。 - 匿名通信路を使用して情報提供元からの情報提供元装置を介した情報を匿名で情報提供先装置に提供する匿名情報提供プログラムであって、情報提供元装置における匿名情報提供プログラムでは、情報提供元の仮名として用いる公開鍵pkAと秘密鍵skAを生成し、提供する情報Mおよび情報提供元への返信用のオニオンルーティング情報Rretに対して情報提供元の仮名pkAと署名σA=SigskA(M|Rret)を付与して、オニオンルーティングによる匿名通信路を用いて情報提供先装置に送信し、
情報提供先装置における匿名情報提供プログラムでは、情報提供元装置に返信する情報M′と、レシートとして情報提供先の、公開鍵基盤(PKI)で公開されている公開鍵pkIに対応する秘密鍵skIによる署名σI=SigskI(M|Rret|pkA|σA|M′)を情報提供元への返信用のオニオンルーティング情報Rretによりオニオンルーティングによる匿名通信路を用いて情報提供元装置に返信すること
を特徴とする匿名情報提供プログラム。 - 請求項2乃至4のいずれか1項に記載の匿名情報提供方法を実行することを特徴とする請求項6記載の匿名情報提供プログラム。
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- 2003-01-24 JP JP2003016125A patent/JP2004229071A/ja active Pending
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