JP2004228520A - 磁性体線状ナノ構造物、磁性体線状マイクロ構造物、及び、磁性体線状ナノ構造物の製造方法 - Google Patents

磁性体線状ナノ構造物、磁性体線状マイクロ構造物、及び、磁性体線状ナノ構造物の製造方法 Download PDF

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Katsunori Kyo
勝憲 許
Atsushi Nakajima
敦 中嶋
Koji Kaya
幸二 茅
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Abstract

【課題】磁性体線状ナノ構造物、磁性体線状マイクロ構造物、及び、磁性体線状ナノ構造物の製造方法に関し、簡単な構成により多成分系を含む各種の新規な構造の磁性体線状ナノ構造物を純度良く製造する。
【解決手段】少なくとも一部にナノクラスタ構造2を含むように磁性体線状ナノ構造物3を構成する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は磁性体線状ナノ構造物、磁性体線状マイクロ構造物、及び、磁性体線状ナノ構造物の製造方法に関し、特に、磁性ナノワイヤ或いは磁性ナノロッド等の磁性体線状ナノ構造物の構造自体及びこの構造を有する磁性体線状ナノ構造物を一度に高純度に製造するための構成に特徴のある磁性体線状ナノ構造物、磁性体線状マイクロ構造物、及び、磁性体線状ナノ構造物の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、金属、セラミック、或いは、半導体を中心とするナノ結晶材料により新機能を実現しようとするナノテクノロジーが注目を集めており、この様なナノスケールレベルにおいて科学的・工業的に実用化可能な新材料或いは新構造の開発に対する要求が急速に増大している。
【0003】
この様なナノ材料は、触媒機能、光応答機能或いは磁性等の特性において特異性を持つと予想され、新たな素材や化学物質の供給源になると考えられている。
【0004】
従来、この様なナノ材料は、フラーレンをはじめとしてナノ粉体として作られることが多く、実用上の潜在力が非常に高いと考えられるナノワイヤやナノロッド等の線状ナノ構造物についてはあまり研究がなされていないのが現状であった。
【0005】
しかし、最近10年位の間にナノワイヤを製造する方法がいくつか提案されるようになっており、これらの提案は主に中空多孔性のテンプレート(template)を用いた方法に限られている(例えば、非特許文献1乃至非特許文献3参照)。
【0006】
このテンプレート法は、溶液中の陰極上にポリカルボネートや陽極化成により多孔質化したAl等の中空多孔性のテンプレートを取付け、金属の陽イオンを電気的に中空多孔性のテンプレートに穴内に単結晶状のナノワイヤ構造物を成長させるものである。
【0007】
また、最近、磁気場下で無機化合物を熱分解させてナノワイヤを製造する方法も提案されている(例えば、非特許文献4参照)。
【0008】
【非特許文献1】
The Journal of Applied Physics,vol.69,p.5150,1991
【非特許文献2】
IEEE Transaction on Magnetism,vol.33,p.3715,1997
【非特許文献3】
The Journal of Applied Physics,vol.86,p.5141,1991
【非特許文献4】
The Journal of Physical Chemistry,Vol.B106,p.2123,2002
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述のテンプレート法はナノワイヤの直径と長さは、テンプレートに形成した穴の状態に依存するが、陽極化成で中空状の穴を形成するため、直径が10nm以下の穴を均一に形成することが困難であり、したがって、均一なナノワイヤを形成するのが困難であるという問題がある。
【0010】
また、溶液中で金属イオンを用いて形成するため、耐酸化性に優れている等の特性が必要になるため使用できる金属の種類に制限があるという問題がある。
【0011】
さらに、二成分のナノワイヤを形成する場合には、質量の異なる二種類の金属イオンを同じ場所に析出させるために二段階の電気的ポテンシャルをかける必要があるため、装置構成が複雑化するとともに、得られたナノワイヤの組成が均一ではないという問題がある。
【0012】
一方、磁気場下で無機化合物を熱分解させる方法は、材料として蒸気圧の高い有機金属材料を用いる必要があるため、やはり、使用できる金属の種類に制限があるという問題がある。
【0013】
さらに、いずれの方法においても、得られたナノワイヤ中に溶媒成分や有機物の残渣が混入し、現状では98%以上の純度のナノワイヤを製造することができないという問題がある。
【0014】
したがって、本発明は、簡単な構成により多成分系を含む各種の新規な構造の磁性体線状ナノ構造物を純度良く製造することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
図1は本発明の原理的構成の説明図であり、この図1を参照して本発明における課題を解決するための手段を説明する。
図1参照
(1)本発明は、磁性体線状ナノ構造物3において、少なくとも一部にナノクラスタ構造2を含んでいることを特徴とする。
【0016】
このように、ナノクラスタを堆積させた構造、或いは、その一部において溶融させた構造、即ち、少なくとも一部にナノクラスタ構造2を含む構造によって、グレインバウンダリ(結晶粒界)を有する多結晶状の新規な磁性体線状ナノ構造物3を実現することができる。
なお、線状ナノ構造物3とは、所謂ナノワイヤ及びナノロッドのいずれも含むものである。
【0017】
(2)また、本発明は、上記(1)において、磁性体線状ナノ構造物3が枝状に分岐した分岐部を有することを特徴とする。
【0018】
このように、ナノクラスタ構造2を利用することによって、従来の単結晶状のナノワイヤでは得られなかった枝状に分岐した分岐構造を有する新規な磁性体線状ナノ構造物3を実現することができる。
【0019】
(3)また、本発明は、磁性体線状マイクロ構造物において、上記(1)または(2)の磁性体線状ナノ構造物3を繊維状にからませて成長させたことを特徴とする。
【0020】
このように、磁性体線状ナノ構造物3を繊維状にからませて成長させることによって、直径がマイクロメートルオーダーの磁性体線状マイクロ構造物を得ることができ、体積に対する表面積が非常に大きくなるので触媒等に好適な構造となる。
【0021】
(4)また、本発明は、磁性体線状マイクロ構造物において、一部にナノクラスタ構造2を含んでいるマイクロメートルオーダーの球状部を鎖状に連鎖させたことを特徴とする。
【0022】
このように、ナノクラスタ構造2を利用することによって、従来の単結晶状のナノワイヤでは得られなかった一部にナノクラスタ構造2を含んでいるマイクロメートルオーダーの球状部を鎖状に連鎖させた磁性体線状マイクロ構造物を得ることができる。
【0023】
(5)また、本発明は、磁性体線状ナノ構造物3の製造方法において、少なくとも磁性金属元素を含むバルク試料にエネルギービームを照射してナノクラスタを生成する工程、前記ナノクラスタをキャリアガスによって磁場を印加した成長領域へ搬送する工程、前記成長領域において磁界による磁力線に沿って成長用基板1上にナノ構造物を線状に成長させる工程とを含むことを特徴とする。
【0024】
このように、バルク試料を用いることによって、成長するナノ構造物の組成をバルク試料の組成とほぼ一致した組成とすることができ、それによって、従来困難であった多成分系のナノ構造物を一度の製造工程で再現性良く簡単に製造することができる。
【0025】
また、成長領域に磁場を印加することによって磁界による磁力線に沿ってナノ構造物を線状に成長させることができ、成長時間或いは成長気圧等の成長条件を制御することによって、従来の中空多孔性のテンプレートを用いた場合に比べて均一な径の線状ナノ構造物3を任意の長さに成長させることができる。
【0026】
また、成長雰囲気に含まれるのはバルク試料の成分とキャリアガスだけであるので、高純度のバルク試料を用いることによって、99.99%以上の高純度の線状ナノ構造物3を製造することができる。
【0027】
【発明の実施の形態】
ここで、図2乃至図6を参照して、本発明の実施の形態の磁性体ナノクラスタワイヤの製造工程を説明する。
図2参照
図2は、本発明の実施の形態に用いる製造装置の概念的構成図であり、ナノクラスタ生成部10とナノクラスタ堆積部40とから構成される。
【0028】
ナノクラスタ生成部10は、パイレックス(登録商標)製のチャンバー11、チャンバー11に設けられたキャリアガス導入用ポート12、キャリアガス導入用ポート12を封止するフランジ13を挿通するとともにバルブ15を有するガス導入管14、チャンバー11に設けられたバルクターゲット導入用ポート16、バルクターゲット導入用ポート16を封止するフランジ17に取り付けられたターゲット保持部材18、及び、チャンバー11に設けられ透過窓部材20で封止されたレーザ光導入用ポート19からなり、ターゲット保持部材18には、生成するナノクラスタに応じたバルクターゲット21が固定・保持される。
なお、ここでは、チャンバー11の内容積を、例えば、約2200ccとする。
【0029】
また、ナノクラスタ堆積部40は、チャンバー11と一体成形され、内部に成長用基板42を挿入する成長室41、成長室41の端部を封止するフランジ43を挿通するとともに気圧ゲージ45及びバルブ46が取り付けられた排気管44、及び、成長室41の上下に一対の磁極が対向するように配置された永久磁石47から構成される。
なお、成長室41は、例えば、20mm×40mm×80mmの大きさとし、また、永久磁石47による磁束強度は、中央部の強度を3000〜5000ガウス(gauss)とする。
【0030】
この製造装置を用いて磁性ナノワイヤを成長させる場合、チャンバー11内にガス導入管14からAr等のキャリアガス22を連続的に流した状態でバルクターゲット21にレーザ光導入用ポート19からレーザ光23を照射し、レーザプラズマ24を発生させ、この発生したレーザプラズマ24から気相中において磁性体ナノクラスタ25が生成され、生成された磁性体ナノクラスタ25はキャリアガス22によってナノクラスタ堆積部40に搬送される。
この搬送過程において、生成時には励起状態であった磁性体ナノクラスタ25はキャリアガス22との衝突等によりエネルギーを失い安定状態となる。
【0031】
なお、ここでは、目視による確認を可能にするために可視レーザ光を用いるものであり、例えば、532nmの波長のNd3+:YAGレーザの2次高調波を用い、典型的には1パルス当り25mJ(試料面上で3000〜4000mJ/mm)のパルスレーザ光を10Hzの周期で照射する。
【0032】
また、キャリアガス22の流量は、チャンバー11内の圧力が、例えば、50〜750Torrになるように、100〜200sccmの流量とする。
この場合、キャリアガス22の流量が大きすぎると、生成した磁性体ナノクラスタ25の流速が大きくなり磁力線に捕獲されにくくなるので、後述するナノクラスタロッド或いはナノクラスタワイヤが良好に成長しなくなる。
【0033】
一方、キャリアガス22の流量が小さすぎると、生成した磁性体ナノクラスタ25がキャリアガス22の流れから逸脱してナノクラスタ堆積部40に充分搬送されなくなる。
【0034】
図3(a)参照
ナノクラスタ堆積部40に搬送された磁性体ナノクラスタ25は、非磁性体からなる成長用基板42上にランダムに堆積するが、この時、磁気モメントを有している磁性体ナノクラスタ25は、永久磁石47により図において縦方向に印加されている磁場により加速され、磁界による磁力線48に沿って移動して堆積することになる。
【0035】
図3(b)参照
引き続いて搬送されてきた磁性体ナノクラスタ25は、初期堆積した磁性体ナノクラスタ25の磁気モメントにより引き寄せられて集合して所定の直径、例えば、1nm〜10nm程度の成長核となる集合クラスタ26を構成する。
【0036】
図4(c)参照
引き続いて搬送されてきた磁性体ナノクラスタ25は、集合クラスタ26の磁気モメントにより引き寄せられるとともに、永久磁石47による磁場により加速されて磁力線48に沿って移動して集合クラスタ26に衝突しながら堆積し、次第に成長して磁性体ナノクラスタロッド27を構成する。
この時、衝突エネルギーが大きいと堆積した磁性体ナノクラスタ25の一部は溶融したり、表面が溶融したりして成長した磁性体ナノクラスタロッド27中に埋め込まれた状態となる。
【0037】
図4(d)参照
この様な磁性体ナノクラスタ25の堆積工程を続けることによって、堆積時間に応じた長さの磁性体ナノクラスタワイヤ28が形成される。
【0038】
図5(e)参照
この磁性体ナノクラスタワイヤ28の成長工程において、成長した磁性体ナノクラスタワイヤ28は磁性体ナノクラスタ25を搬送してくるキャリアガス22の影響を受けて揺さぶられる。
【0039】
図5(f)参照
このような揺さぶり(Shaking)を受けながら成長することによって、磁力線48から若干傾いた磁性体ナノクラスタワイヤ28が得られる。
この時、磁性体ナノクラスタワイヤ28の直径dは成長時間tによらずほぼ一定であり、長さLは成長時間とともに増大することになる。
【0040】
図6(g)参照
また、磁性体ナノクラスタワイヤ28の成長をさらに続けると、上述の揺さぶり現象に起因して、磁性体ナノクラスタワイヤ28が長くなるに連れて揺さぶりが大きくなるので、搬送されてきた磁性体ナノクラスタ25の一部は磁性体ナノクラスタワイヤ28の側壁に衝突し、そこを成長核として磁性体ナノクラスタ25が堆積して分岐部29が形成され、枝分かれ状の磁性体ナノクラスタワイヤ30が成長する。
【0041】
図6(h)参照
さらに成長を続けると、成長用基板42上に成長した複数の磁性体ナノクラスタワイヤ28及び枝分かれ状の磁性体ナノクラスタワイヤ30が互いに繊維状にからまってネットワーク状に成長を続け、直径が1〜5μmの磁性体マイクロワイヤ31に成長する。
【0042】
以上を前提として、以下において、本発明の具体的実施例を説明する。
(実施例1)
バルクターゲット21として、99.999%の高純度のコバルト金属を用い、キャリアガス22としてArガスを用い、流入速度を100〜200sccmに調節して、チャンバー11内の圧力を600〜750Torrとし、レーザ光23として20〜30mJ/パルスのレーザ光をコバルト金属に照射してガラスからなる成長用基板42上にCoナノクラスタワイヤ32を成長させた。
この場合、成長時間により、10nmから100nmを超える長さのCoナノクラスタワイヤ32を得ることができる。
【0043】
図7参照
図7は、成長させたCoナノクラスタワイヤ32を高分解能透過型電子顕微鏡(HRTEM)によって撮影した顕微鏡写真を模写したものであり、Coナノクラスタが一部溶融しながら積み重なっている状態を把握することができる。
【0044】
このCoナノクラスタワイヤ32の結晶構造を解析するために、成長用基板としてTEMのグリッドを構成するカーボンフィルムを用い、このカーボンフィルム上にCoナノクラスタワイヤ32を成長させ、このCoナノクラスタワイヤ32の電子顕微鏡像を観察すると、1.75Åと2.50Åの格子間隔がみられ、これらはfcc構造のCo単結晶の(200)面と(110)面と良く一致している。
【0045】
したがって、この場合のCoナノクラスタワイヤ32は、結晶粒界を有する多結晶状のクラスタの集合したものと考えられ、従来のテンプレート法等による単結晶ナノワイヤとは異なった結晶構造になっている。
【0046】
さらに、Coナノクラスタワイヤ32の成長をつづけると、7時間を超えた時点で分岐構造ができ始め3次元的な構造となる。
これは、上述のキャリアガス22によるCoナノクラスタワイヤ32の揺れが原因であると考えられる。
【0047】
図8参照
図8は、カーボンフィルム上に10時間成長を行ったCoナノクラスタワイヤ32のTEM像を模写したものであり、分岐構造が確認できる。
【0048】
さらに成長を続けると、15時間程度で3次元的な構造のCoナノクラスタワイヤ32が互いに絡み合って直径が1〜5μmのマイクロメータオーダーの繊維状構造を示すCoマイクロワイヤに成長する。
【0049】
(実施例2)
バルクターゲット21として、Fe66Nd28Dy組成(モル組成比)の99%の純度の永久磁石(Edmund製)を用い、キャリアガス22としてArガスを用い、流入速度を100〜200sccmに調節して、チャンバー11内の圧力を600〜750Torrとし、レーザ光23として20〜30mJ/パルスのレーザ光をコバルト金属に照射してガラスからなる成長用基板42上にFeNdDyBナノクラスタワイヤ33を成長させた。
【0050】
図9参照
図9は、成長させたFeNdDyBナノクラスタワイヤ33を高分解能透過型電子顕微鏡(HRTEM)によって撮影した顕微鏡写真を模写したものであり、この場合も直径が4〜8nmのFeNdDyBナノクラスタが一部溶融しながら積み重なっている状態を把握することができる。
【0051】
このFeNdDyBナノクラスタの結晶構造を解析するために、成長用基板としてTEMのグリッドを構成するカーボンフィルムを用い、このカーボンフィルム上にFeNdDyBナノクラスタワイヤ33を成長させ、このFeNdDyBナノクラスタワイヤ33の電子線回折像を観察すると、完全にアモルファスであることが分かった。
【0052】
このようにFeNdDyBナノクラスタワイヤ33はアモルファスであるが、強磁性体の特性を有していることは明らかである。
即ち、FeNdDyBナノクラスタワイヤ33が強磁性を有していないと線状の成長が起こらないためである。
【0053】
また、得られたFeNdDyBナノクラスタワイヤ33のモル組成比を電子プローブマイクロ分析計(EPMA:Electron Probe Micro−Analyzer)を用いて測定したところFe67.6Nd26.8Dy3.2 2.3 であり、バルクターゲット21として用いた永久磁石のFe66Nd28Dyのモル組成比と極めて良好な一致が見られた。
【0054】
図10参照
図10は、上述のようにカーボンフィルム上に成長させたFeNdDyBナノクラスタワイヤ33の直径D及び長さLの成長時間依存性及びL/D比の成長時間依存性を示したものである。
【0055】
図から明らかなように、直径Dは5〜15nm程度で成長時間依存性は見られないものの、長さLは時間とともに増大しているのが分かり、例えば、成長時間が3時間の場合にはD=5〜10nmであり、L=30〜50nmである。
また、L/D比も時間とともに増大しているのが分かる。
したがって、上述の製造条件は、ナノクラスタワイヤの直径の増大には寄与せず、ナノクラスタワイヤの長さの増大に寄与することが理解される。
【0056】
このように、バルクターゲットを用いることによって、B等の非金属的な元素を含んだ所望の組成比の複合ナノクラスタワイヤを再現性良く製造することができ、バルクターゲットとして強力な磁性を有するFe66Nd28Dy永久磁石を用いた場合には、強力な磁性を有する複合ナノクラスタワイヤを作製することができる。
【0057】
なお、このFeNdDyBナノクラスタワイヤ33の場合も、上述のCoナノクラスタワイヤ32と同様に、成長時間が長くなると分岐構造を有する3次元的構造となり、さらに成長を続けると、直径がマイクロメータオーダーのFeNdDyBマイクロワイヤとなる。
【0058】
(実施例3)
バルクターゲット21として、純度が99.999%の高純度の鉄を用い、キャリアガス22としてArガスを用い、流入速度を100〜200sccmに調節して、チャンバー11内の圧力を50〜200Torrとし、レーザ光23として20〜30mJ/パルスのレーザ光を鉄に照射してガラスからなる成長用基板42上にFeナノクラスタワイヤを成長させた。
【0059】
成長時間を長く、例えば、1〜3時間とした場合、上述の繊維が絡み合った状態のマイクロワイヤではなく、マイクロメータオーダーの球状構造物が鎖状に連鎖したマイクロ球状連鎖ワイヤ(Micro−Sphere−Chain)が得られた。
【0060】
図11参照
図11は、長時間成長させた場合に成長するマイクロ球状連鎖ワイヤ34を高分解能透過型電子顕微鏡(HRTEM)によって撮影した顕微鏡写真を模写したものであり、直径が〜3μmの球状構造物が直線状に連鎖している状態を把握することができる。
【0061】
この様に、チャンバー11内の圧力を低下させることによって、繊維が絡み合った状態のマイクロワイヤではなく、マイクロメータオーダーの球状構造物が鎖状に連鎖したマイクロ球状連鎖ワイヤとすることができる。
【0062】
以上、本発明の実施の形態及び具体的実施例を説明してきたが、本発明は実施の形態或いは実施例に記載された構成・条件に限られるものではなく、各種の変更が可能である。
例えば、上記の実施の形態においては、バルクターゲットとしてCo,FeNdDyB,Feを用いているが、この様な材料に限られるものではなく、ターゲット全体として磁性を有していれば、各種の磁性材料を用いることができるものである。
【0063】
また、上記の実施の形態の説明においては、レーザ蒸発に用いるレーザ光として目視を可能にするためにNd+3:YAGレーザの二次高調波を用いているが、二次高調波に限られるものではなく、Nd+3:YAGレーザの基本波、三次高調波、或いは、四次高調波を用いても良いものであり、さらには、エキシマレーザ等の他のレーザ光源を用いても良いものである。
【0064】
また、上記の各実施例の説明においては、生成したナノクラスタを搬送するキャリアガスとしてArガスを用いているが、Arガスに限られるものではなく、He等の他の希ガスを用いても良いものである。
【0065】
さらには、キャリアガスとして反応性ガスを用いることによって、レーザプラズマで発生させたターゲット蒸発物と反応性ガスとの反応生成物をクラスタとして用いても良いものである。
【0066】
また、上記の各実施例の説明においては、成長用基板としてガラス基板を用い、或いは、顕微鏡写真を取得するためにグリッドを構成するカーボンフィルムを用いているが、成長用基板はガラス基板或いはカーボン基板に限られるものではなく、永久磁石からの磁束を透過することができるものであれば、どの様な材料を用いても良いものである。
【0067】
また、上記の実施の形態は、新規なナノクラスタ構造物を含むナノワイヤ或いはナノロッド、さらには、それらが集合したマイクロ構造物を提供するものであるので、用途については特に言及していないが、磁性或いはナノ構造を利用する各種の用途に用いられるものであり、特定の用途に限られるものではない。
【0068】
例えば、CoCrPt或いはFePtからなるバルクターゲットを用いて磁性体ナノクラスタワイヤを製造し、これらをグラニュラ磁性粒子と同様に非磁性材料で被覆して磁気記録層としてディスク上に塗布しても良いものであり、それによって、磁気ディスクのノイズを低減することができる。
【0069】
或いは、Ni等の触媒作用のある元素を含んだバルクターゲットを用いて磁性体ナノクラスタワイヤ或いは磁性体マイクロワイヤを製造することによって、体積に対する表面積を極端に大きくすることができ、それによって、優れた触媒を実現することができる。
【0070】
さらには、成長用基板上に成長した磁性体ナノクラスタワイヤ或いは磁性体ナノクラスタロッドはそれ自体が1ビットのメモリ素子となるので、超高密度磁気メモリとしても期待されるものである。
【0071】
【発明の効果】
本発明によれば、バルクターゲットを選択するだけで簡単な構成により、ほとんどの磁性体の純金属、合金、或いは、3次元系以上の複合材料からなる高純度の磁性体ナノクラスタワイヤ或いは磁性体ナノクラスタロッドを製造することができ、また、成長時間等の製造条件を制御することによって磁性体ナノクラスタワイヤ或いは磁性体ナノクラスタロッドの長さ或いは直径を制御することができ、さらには、雰囲気圧力等の製造条件を制御することによってマイクロ球状連鎖ワイヤ等の磁性体マイクロ構造物を構成することができ、新たな素材、化学物質の供給源として期待するところが大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の原理的構成の説明図である。
【図2】本発明の実施の形態に用いる製造装置の概念的構成図である。
【図3】本発明の実施の形態の途中までの製造工程の説明図である。
【図4】本発明の実施の形態の図3以降の途中までの製造工程の説明図である。
【図5】本発明の実施の形態の図4以降の途中までの製造工程の説明図である。
【図6】本発明の実施の形態の図5以降の製造工程の説明図である。
【図7】Coナノクラスタワイヤの構造説明図である。
【図8】10時間成長を行ったCoナノクラスタワイヤの構造説明図である。
【図9】FeNdDyBナノクラスタワイヤの構造説明図である。
【図10】FeNdDyBナノクラスタワイヤの直径D及び長さLの成長時間依存性及びL/D比の成長時間依存性の説明図である。
【図11】マイクロ球状連鎖ワイヤの構造説明図である。
【符号の説明】
1 成長用基板
2 ナノクラスタ構造
3 磁性体線状ナノ構造物
10 ナノクラスタ生成部
11 チャンバー
12 キャリアガス導入用ポート
13 フランジ
14 ガス導入管
15 バルブ
16 バルクターゲット導入用ポート
17 フランジ
18 ターゲット保持部材
19 レーザ光導入用ポート
20 透過窓部材
21 バルクターゲット
22 キャリアガス
23 レーザ光
24 レーザプラズマ
25 磁性体ナノクラスタ
26 集合クラスタ
27 磁性体ナノクラスタロッド
28 磁性体ナノクラスタワイヤ
29 分岐部
30 磁性体ナノクラスタワイヤ
31 磁性体マイクロワイヤ
32 Coナノクラスタワイヤ
33 FeNdDyBナノクラスタワイヤ
34 マイクロ球状連鎖ワイヤ
40 ナノクラスタ堆積部
41 成長室
42 成長用基板
43 フランジ
44 排気管
45 気圧ゲージ
46 バルブ
47 永久磁石
48 磁力線

Claims (5)

  1. 少なくとも一部にナノクラスタ構造を含んでいることを特徴とする磁性体線状ナノ構造物。
  2. 上記磁性体線状ナノ構造物が枝状に分岐した分岐部を有することを特徴とする請求項1記載の磁性体線状ナノ構造物。
  3. 請求項1または2に記載の磁性体線状ナノ構造物を繊維状にからませて成長させたことを特徴とする磁性体線状マイクロ構造物。
  4. 一部にナノクラスタ構造を含んでいるマイクロメートルオーダーの球状部を鎖状に連鎖させたことを特徴とする磁性体線状マイクロ構造物。
  5. 少なくとも磁性金属元素を含むバルク試料にエネルギービームを照射してナノクラスタを生成する工程、前記ナノクラスタをキャリアガスによって磁場を印加した成長領域へ搬送する工程、前記成長領域において磁界による磁力線に沿って成長用基板上にナノ構造物を線状に成長させる工程とを含むことを特徴とする磁性体線状ナノ構造物の製造方法。
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