JP2004228368A - 直接変調方式を用いた波長可変光源制御回路及び方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】半導体レーザの出力光強度及び消光比を一定に保ちつつ、半導体レーザから出力される光信号を所望の波長に制御することを、簡単な回路構成で容易に実現できる直接変調方式を用いた波長可変光源制御回路を提供する。
【解決手段】半導体レーザ1は、駆動電流及びバイアス電流に応じて変調光信号を出力する。波長情報抽出部2は、出力される変調光信号の波長を検出する。温度制御部3は、検出された波長が所望の値になるように、半導体レーザ1の環境温度を制御する。温度算出部4は、検出された波長に基づいて半導体レーザ1のデバイス温度を算出する。電流設定値算出部5は、算出されたデバイス温度で所定の出力光強度及び消光比を得るために必要なバイアス電流及び駆動電流を算出する。バイアス電流制御部7は算出されたバイアス電流を、駆動電流制御部6は算出された駆動電流を変調信号に従って、各々半導体レーザ1に供給する。
【選択図】 図1
【解決手段】半導体レーザ1は、駆動電流及びバイアス電流に応じて変調光信号を出力する。波長情報抽出部2は、出力される変調光信号の波長を検出する。温度制御部3は、検出された波長が所望の値になるように、半導体レーザ1の環境温度を制御する。温度算出部4は、検出された波長に基づいて半導体レーザ1のデバイス温度を算出する。電流設定値算出部5は、算出されたデバイス温度で所定の出力光強度及び消光比を得るために必要なバイアス電流及び駆動電流を算出する。バイアス電流制御部7は算出されたバイアス電流を、駆動電流制御部6は算出された駆動電流を変調信号に従って、各々半導体レーザ1に供給する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、直接変調方式を用いた波長可変光源制御回路及び方法に関し、より特定的には、波長多重光通信等において用いられる波長可変光源を制御する回路及びその波長可変光源を制御する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、通信の分野においては、大容量データ通信の需要に対応するため、波長多重光通信システムの普及が急速に進んでいる。また、この普及と並行して、システム故障時の対策も様々考えられている。波長多重光通信システムでは、波長多重される信号光の数だけ、光源を必要とする。従って、最も簡単な故障対策としては、波長多重光通信システム内に、各波長に対応した予備光源をそれぞれ持っていればよい。しかしながら、波長多重される信号光の個々に対応した予備光源を複数備えることは、システム規模やコスト面で非効率である。このため、波長を可変できる光源を予備光源として使用することが、検討されている。
【0003】
波長可変光源に用いられる波長の制御方法としては、様々なものが提案されているが、最も簡易なものは、光源である半導体レーザの動作温度を変化させて波長を変化させる方法である。図9に、この波長制御方法による従来の外部変調方式を用いた波長可変光源制御回路の構成図を示す。
【0004】
図9において、従来の外部変調方式を用いた波長可変光源制御回路は、半導体レーザ91と、波長検出部92と、温度制御部93と、平均パワー検出部94と、バイアス電流制御部95と、外部変調器96とを備える。
【0005】
半導体レーザ91から出力された光は、3つに分岐されて、1つが外部変調器96に、残りの2つがモニタ用として波長検出部92及び平均パワー検出部94に、それぞれ入力される。外部変調器96は、半導体レーザ91から出力された光を、別途外部から与えられる変調信号で変調して出力する。波長検出部92は、半導体レーザ91から出力された光の波長を検出する。温度制御部93は、波長検出部92で検出された波長に基づいて、半導体レーザ91から出力される光の波長が所望の波長と一致するように、半導体レーザ91の動作温度(環境温度)を制御する。平均パワー検出部94は、半導体レーザ91から出力された光の平均パワー(平均出力光強度)を検出する。バイアス電流制御部95は、平均パワー検出部94で検出される光の平均パワーが所定値と一致するように、半導体レーザ91に供給するバイアス電流を制御する。
上記構成による従来の波長制御方式では、半導体レーザ91が動作可能な温度範囲が広いほど、波長可変範囲を広くできるという特徴がある。
【0006】
ところで、図9に示した従来の外部変調方式を用いた波長可変光源制御回路では、高価な外部変調器96の構成が必須となるため、回路の低コスト化が図れない。よって、回路の低コスト化を図るためには、外部変調方式よりも直接変調方式を採用するのが好ましい。
一方、波長を変化させるために半導体レーザ91の動作温度を大幅に変化させた場合、半導体レーザ91のしきい値電流及びスロープ効率も大きく変化する。このため、直接変調方式を用いた波長可変光源制御回路を考える場合には、半導体レーザ91の動作温度を変化させた時でも出力光強度及び消光比を一定に保つために、半導体レーザ91に供給するバイアス電流及び駆動電流を適切に制御する必要がある。
【0007】
そこで、これらの点を考慮した直接変調方式を用いた波長可変光源制御回路として、特許文献1に提案されている回路が存在する。図10に、この従来の直接変調方式を用いた波長可変光源制御回路の構成図を示す。
【0008】
図10において、従来の直接変調方式を用いた波長可変光源制御回路は、半導体レーザ101と、発振波長モニタ部102と、発振波長制御部103と、温調素子104と、光出力モニタ部105と、光出力安定化回路106とを備える。
【0009】
半導体レーザ101から出力された変調光信号は、外部に出力されると共に、モニタ用として発振波長モニタ部102及び光出力モニタ部105で受光される。発振波長モニタ部102は、半導体レーザ101から受けた光の波長を検出する。発振波長制御部103は、発振波長モニタ部102で検出された波長に基づいて、半導体レーザ101から出力される変調光信号の波長が所望の波長と一致するように、温調素子104を制御することで、半導体レーザ101の動作温度(環境温度)を制御する。光出力モニタ部105は、半導体レーザ101から受けた光の出力レベルを検出する。光出力安定化回路106は、別途外部から与えられる変調信号に従いつつ、光出力モニタ部105で検出される光の出力レベルの変動に応じて、半導体レーザ101に供給する駆動電流及びバイアス電流を制御する。
【0010】
【特許文献1】
特開平7−15078号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の直接変調方式を用いた波長可変光源制御回路では、半導体レーザ101から出力される変調光信号の波長をモニタするための構成(発振波長モニタ部102)と、半導体レーザ101に供給するバイアス電流及び駆動電流を制御するために、出力光の変調成分の振幅をモニタするための構成(光出力モニタ部105)とを、個別に備えている。このため、上記従来の直接変調方式を用いた波長可変光源制御回路では、波長を制御する回路の構成が複雑化するという問題がある。
【0012】
それ故に、本発明の目的は、半導体レーザの出力光強度及び消光比を一定に保ちつつ、半導体レーザから出力される光信号を所望の波長に制御することを、簡単な回路構成で容易に実現できる直接変調方式を用いた波長可変光源制御回路を提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
上記目的を達成するために、本発明は以下に示す特徴を有する。
第1の発明は、直接変調方式によって変調された光信号を出力する波長可変可能な光源を、制御する波長可変光源制御回路であって、
バイアス電流及び駆動電流に応じた変調光信号を出力する半導体レーザと、
半導体レーザから出力される変調光信号から、波長を特定できる波長情報を抽出する波長情報抽出部と、波長情報抽出部で抽出される波長情報が所定の波長情報と一致するように、半導体レーザの環境温度を制御する温度制御部と、波長情報抽出部から抽出される波長情報を用いて、半導体レーザのデバイス温度を算出する温度算出部と、温度算出部で算出されたデバイス温度に基づいて、半導体レーザから出力される変調光信号の光強度及び消光比が所定の値になるバイアス電流及び駆動電流を算出する電流算出部と、電流算出部で算出されたバイアス電流を、半導体レーザに供給するバイアス電流制御部と、電流算出部で算出された駆動電流を、別途与えられる変調信号に応じて半導体レーザに供給する駆動電流制御部とを備える。
【0014】
上記第1の発明によれば、波長情報抽出部において得られる波長情報を、半導体レーザの波長制御のみならず、駆動電流及びバイアス電流の算出に用いる。従って、半導体レーザから出力される変調光信号の変調成分の振幅をモニタするための部品が不要であり、かつ簡易な回路構成で消光比管理を実現することができる。
【0015】
第2の発明は、第1の発明に従属する波長可変光源制御回路であって、
波長情報抽出部は、入力される光の波長に一意に対応して変化する透過率を有し、半導体レーザから出力される変調光信号を入力し、透過率に従って減衰させた光信号を出力する光フィルタと、光フィルタから出力される光信号を入力し、電気信号に変換するフォトダイオードと、フォトダイオードで変換された電気信号を入力し、当該電気信号の変調成分を除去して平均化し、波長情報として出力するローパスフィルタとを備える。
【0016】
上記第2の発明のような簡単な構成を用いることで、半導体レーザから出力される変調光信号から波長情報を容易に抽出することができる。
【0017】
第3の発明は、第1の発明に従属する波長可変光源制御回路であって、
波長情報抽出部は、入力される光の波長に一意に対応して変化する透過率を有し、半導体レーザから出力される変調光信号を分岐入力し、透過率に従って減衰させた光信号を出力する光フィルタと、半導体レーザから出力される変調光信号を分岐入力し、電気信号に変換する第1のフォトダイオードと、光フィルタから出力される光信号を入力し、電気信号に変換する第2のフォトダイオードと、第1のフォトダイオードで変換された電気信号を入力し、当該電気信号の変調成分を除去して平均化する第1のローパスフィルタと、第2のフォトダイオードで変換された電気信号を入力し、当該電気信号の変調成分を除去して平均化する第2のローパスフィルタと、第1のローパスフィルタの出力と第2のローパスフィルタの出力との比率に基づいて、波長情報を算出する波長算出部とを備える。
【0018】
上記第3の発明によれば、半導体レーザから出力される変調光信号の光強度変動の影響を相殺して、波長を検出することが可能である。従って、半導体レーザの温度変化に伴う大幅な出力光強度変動にも対応できる。
【0019】
第4の発明は、第1の発明に従属する波長可変光源制御回路であって、
電流算出部は、半導体レーザのデバイス温度に対応した、設定すべきバイアス電流及び駆動電流を記憶する記憶部と、温度算出部で算出されたデバイス温度に従って、該当するバイアス電流及び駆動電流を記憶部から読み出す読み出し部とを備える。
【0020】
第5の発明は、第1の発明に従属する波長可変光源制御回路であって、
電流算出部は、温度算出部で算出されたデバイス温度に基づいて、半導体レーザのしきい値電流を算出するしきい値電流算出部と、温度算出部で算出されたデバイス温度に基づいて、半導体レーザのスロープ効率を算出するスロープ効率算出部と、算出されたしきい値電流及びスロープ効率から、駆動電流及びバイアス電流をそれぞれ算出する駆動/バイアス電流算出部とを備える。
【0021】
上記第4又は第5の発明のような構成を用いることで、温度算出部で算出された半導体レーザのデバイス温度から所望の駆動電流及びバイアス電流をそれぞれ算出することができる。
【0022】
第6の発明は、直接変調方式によって変調された光信号を出力する波長可変可能な光源を制御する波長可変光源制御方法であって、
光源として用いる半導体レーザからバイアス電流及び駆動電流に応じて出力される変調光信号から、波長を特定できる波長情報を抽出するステップと、抽出される波長情報が所定の波長情報と一致するように、半導体レーザの環境温度を制御するステップと、抽出される波長情報を用いて、半導体レーザのデバイス温度を算出するステップと、算出されたデバイス温度に基づいて、半導体レーザから出力される変調光信号の光強度及び消光比が所定の値になるバイアス電流及び駆動電流を算出するステップと、算出されたバイアス電流を、半導体レーザに供給するステップと、算出された駆動電流を、別途与えられる変調信号に応じて半導体レーザに供給するステップとを備える。
【0023】
第7の発明は、第6の発明に従属する波長可変光源制御方法であって、
抽出するステップは、半導体レーザから出力される変調光信号を、入力される光の波長に一意に対応して変化する透過率に従って減衰させるステップと、減衰された光信号を電気信号に変換するステップと、変換された電気信号の変調成分を除去して平均化し、波長情報として出力するステップとを含む。
【0024】
第8の発明は、第6の発明に従属する波長可変光源制御方法であって、
抽出するステップは、半導体レーザから出力される変調光信号を、入力される光の波長に一意に対応して変化する透過率に従って減衰させるステップと、半導体レーザから出力される変調光信号を電気信号に変換するステップと、減衰された光信号を電気信号に変換するステップと、変換された2つの電気信号を、それぞれ変調成分を除去して平均化するステップと、平均化された2つの電気信号の比率に基づいて、波長情報を算出するステップとを含む。
【0025】
第9の発明は、第6の発明に従属する波長可変光源制御方法であって、
電流を算出するステップは、半導体レーザのデバイス温度に対応した、設定すべきバイアス電流及び駆動電流を所定の記憶部に記憶するステップと、算出されたデバイス温度に従って、該当するバイアス電流及び駆動電流を記憶部から読み出すステップとを含む。
【0026】
第10の発明は、第6の発明に従属する波長可変光源制御方法であって、
電流を算出するステップは、算出されたデバイス温度に基づいて、半導体レーザのしきい値電流及びスロープ効率を算出するステップと、算出されたしきい値電流及びスロープ効率から、駆動電流及びバイアス電流をそれぞれ算出するステップとを含む。
【0027】
【発明の実施の形態】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る直接変調方式を用いた波長可変光源制御回路の構成を示すブロック図である。図1において、第1の実施形態に係る波長可変光源制御回路は、半導体レーザ1と、波長情報抽出部2と、温度制御部3と、温度算出部4と、電流設定値算出部5と、駆動電流制御部6と、バイアス電流制御部7とを備える。
まず、図1を参照して、第1の実施形態に係る波長可変光源制御回路の各構成の概要を説明する。
【0028】
半導体レーザ1は、バイアス電流制御部7から供給される消光時のバイアス電流と、駆動電流制御部6から供給される発光時にバイアス電流に加算される駆動電流とに応じて、所定の変調信号によって変調された光信号(以下、変調光信号という)を出力する。波長情報抽出部2は、半導体レーザ1から出力される変調光信号を入力し、その変調光信号の波長を特定できる情報(以下、波長情報という)を検出する。温度制御部3は、波長情報抽出部2から出力される波長情報に基づいて、半導体レーザ1から出力される変調光信号の波長が所望する波長と一致するように、半導体レーザ1の動作温度(環境温度)を制御する。温度算出部4は、波長情報抽出部2から出力される波長情報に基づいて、半導体レーザ1の動作温度(デバイス温度)を算出する。電流設定値算出部5は、温度算出部4で算出されたデバイス温度において、半導体レーザ1で所定の出力光強度及び消光比を実現するために必要なバイアス電流及び駆動電流の設定値を算出する。駆動電流制御部6は、電流設定値算出部5で算出された駆動電流を、別途外部から入力される変調信号に従って半導体レーザ1に供給する。バイアス電流制御部7は、電流設定値算出部5で算出されたバイアス電流を、半導体レーザ1に供給する。
【0029】
次に、図2〜図7をさらに参照して、第1の実施形態に係る波長可変光源制御回路が行う制御方法を説明する。
図2は、波長情報抽出部2の詳細な構成の一例を示すブロック図である。図3は、光フィルタ21が有する波長−透過率特性の一例を示す図である。図4は、温度制御部3が有する電気信号−制御温度特性の一例を示す図である。図5は、温度算出部4が有する電気信号−デバイス温度特性の一例を示す図である。図6は、電流設定値算出部5の詳細な構成の一例を示すブロック図である。図7は、電流設定値算出部5が有する供給電流−出力光強度特性の一例を示す図である。
【0030】
半導体レーザ1から出力される変調光信号は、2つに分岐されて、一方が出力用として外部に出力され、他方が制御用として波長情報抽出部2に出力される。
波長情報抽出部2は、半導体レーザ1から出力される変調光信号を入力し、その変調光信号の波長情報を検出する。本実施形態で説明する波長情報抽出部2(図2)は、変調光信号から波長に関する情報を取得して、それに基づいて間接的に波長を検出する方法を用いるものであるが、検波制御等を利用して直接的に波長を検出する方法であっても構わない。
【0031】
図2において、波長情報抽出部2は、光フィルタ21と、フォトダイオード(PD)22と、ローパスフィルタ(LPF)23と、比較部24と、出力切り替え部25とを備える。
【0032】
光フィルタ21は、半導体レーザ1の動作可能波長範囲において、入力される光の波長に一意に対応して変化する透過率を有するフィルタである。本実施形態では、例えば図3のような、波長に対して線形に増加する透過率を有する光フィルタ21が予め用意される。半導体レーザ1から出力される変調光信号は、光フィルタ21を介して、その波長に応じた透過率で出力される。従って、光フィルタ21を介して出力される変調光信号の光強度は、半導体レーザ1から出力された時の変調光信号の波長、すなわち透過率に依存することになる。
なお、光フィルタ21の透過率特性は、図3に示すような波長に対して線形に増加するものに限られず、例えば波長に対して線形に減少するものでもよい。また、透過率と波長とが一意に対応していれば、非線形に変化しても構わない。
【0033】
フォトダイオード22は、光信号を受光して電気信号に変換して出力する素子であり、光フィルタ21を通過した後の変調光信号を電気信号に変換する。
ローパスフィルタ23は、入力される電気信号を平均化するフィルタである。このローパスフィルタ23は、フォトダイオード22で変換された電気信号を平均化することにより、電気信号から変調成分を除去する役割を果たす。
これらの光フィルタ21、フォトダイオード22及びローパスフィルタ23によって、半導体レーザ1から出力される変調光信号の波長情報を、変調光信号の光フィルタ透過率及び平均出力光強度に比例したレベルの電気信号として求めることができる。
【0034】
比較部24は、半導体レーザ1から出力されるべき変調光信号の波長である所望の波長に対応したレベルの基準電気信号を、予め保持している。そして、比較部24は、ローパスフィルタ23から出力される電気信号と、基準電気信号とをレベル比較し、その比較結果を出力切り替え部25へ通知する。
出力切り替え部25は、ローパスフィルタ23から出力される電気信号と、比較部24から通知される比較結果とを入力する。そして、出力切り替え部25は、電気信号と基準電気信号のレベルが、一致しないとの比較結果の場合には温度制御部3へ、一致するとの比較結果の場合には温度算出部4へ、出力先を切り替えて電気信号を出力する。
【0035】
電気信号と基準電気信号のレベルが一致しない場合とは、半導体レーザ1から出力されるべき変調光信号の波長が、所望の波長と一致しない場合である。この場合、2つの波長を一致させるため、温度制御部3によって、半導体レーザ1の環境温度を調整する制御が、以下のように行われる。
【0036】
温度制御部3は、半導体レーザ1の環境温度を上昇及び下降させて調整できる機能を備えた装置であり、好適にはペルチェ素子とその制御回路から構成される。このペルチェ素子は、半導体レーザ1の環境温度を可変できる位置に設置される。制御回路は、波長情報抽出部2から入力される電気信号と、予め定められた電気信号−制御温度特性(例えば図4)とに従って、半導体レーザ1の環境温度が所定の温度となるようにペルチェ素子の温度を制御する。
【0037】
上記半導体レーザ1、波長情報抽出部2及び温度制御部3からなる第1の帰還ループによる制御は、電気信号と基準電気信号のレベルが一致するまで、すなわち半導体レーザ1から出力される変調光信号の波長が、所望の波長と一致するまで、継続的に行われる。
そして、電気信号と基準電気信号のレベルが一致した場合、温度算出部4、電流設定値算出部5、駆動電流制御部6及びバイアス電流制御部7によって、半導体レーザ1のバイアス電流及び駆動電流を調整する制御が、以下のように行われる。
【0038】
温度算出部4は、予め定められた電気信号−デバイス温度特性(例えば図5)を有しており、この特性に従って波長情報抽出部2から入力される電気信号から、半導体レーザ1のデバイス温度を算出する。
電流設定値算出部5は、温度算出部4で算出されたデバイス温度において、半導体レーザ1で所定の出力光強度及び消光比を実現するために必要なバイアス電流及び駆動電流の設定値を算出する。この電流設定値算出部5に用いられる設定値算出方法としては、各デバイス温度において所定の出力光強度及び消光比を実現するために必要な駆動電流及びバイアス電流の設定値を予め算出してデータベース化して保持しておく方法や、半導体レーザ1のデバイス温度におけるしきい値電流及びスロープ効率に基づいて逐次算出する方法が考えられる。本実施形態では、しきい値電流及びスロープ効率に基づいて算出する方法による電流設定値算出部5を一例に挙げて説明する(図6)。
【0039】
図6において、電流設定値算出部5は、しきい値電流算出部51と、スロープ効率算出部52と、駆動電流算出部53と、バイアス電流算出部54とを備える。
【0040】
しきい値電流算出部51及びスロープ効率算出部52は、半導体レーザ1のデバイス温度に応じて、発光状態となるしきい値電流の変化及び出力光強度の変化を与える供給電流−出力光強度特性(例えば図7)を、それぞれ予め保持している。しきい値電流算出部51は、この供給電流−出力光強度特性を用いて、温度算出部4で算出されたデバイス温度におけるしきい値電流Ithを算出する。スロープ効率算出部52は、この供給電流−出力光強度特性を用いて、温度算出部4で算出されたデバイス温度におけるスロープ効率(出力光強度変化の傾き)aを算出する。
【0041】
駆動電流算出部53は、スロープ効率算出部52で算出されたスロープ効率aと、所定の出力光強度及び消光比を実現するために予め定められた発光時の出力光強度Ph 及び消光時の出力光強度Pl とから、半導体レーザ1に供給すべき駆動電流Id (=(Ph −Pl )/a)を算出する。
バイアス電流算出部54は、しきい値電流算出部51で算出されたしきい値電流Ith及びスロープ効率算出部52で算出されたスロープ効率aと、所定の出力光強度及び消光比を実現するために予め定められた消光時の出力光強度Pl とから、半導体レーザ1に供給すべきバイアス電流Ib (=Pl /a+Ith)を算出する。
【0042】
なお、電流設定値算出部5を実現するための方法は、上述した2通りの方法に限定されるものではなく、半導体レーザ1のデバイス温度に基づいて供給すべき駆動電流及びバイアス電流の設定値を算出できる方法であれば、他のいかなる方法を用いても構わない。
【0043】
駆動電流制御部6は、電流設定値算出部5で算出された駆動電流の設定値に基づき、別途外部から入力される変調信号に従って、駆動電流を半導体レーザ1に供給する。
バイアス電流制御部7は、電流設定値算出部5で算出されたバイアス電流の設定値に基づき、バイアス電流を半導体レーザ1に供給する。
【0044】
上記半導体レーザ1、波長情報抽出部2、温度算出部4、電流設定値算出部5、駆動電流制御部6及びバイアス電流制御部7からなる第2の帰還ループによる制御は、半導体レーザ1のデバイス温度が変動する毎に行われる。また、第2の帰還ループによる制御を行っている途中に、半導体レーザ1から出力される変調光信号の波長がずれた場合には、波長情報抽出部2の比較部24及び出力切り替え部25の動作により、再び第1の帰還ループによる制御に切り替わって処理が行われる。
【0045】
以上のように、本発明の第1の実施形態に係る直接変調方式を用いた波長可変光源制御回路及び方法によれば、波長情報抽出部2において得られる波長情報を、半導体レーザ1の波長制御だけでなく、駆動電流及びバイアス電流の制御にも用いる。従って、半導体レーザ1から出力される変調光信号の変調成分の振幅をモニタするための部品が不要であり、かつ簡易な回路構成で消光比管理を実現することができる。
【0046】
(第2の実施形態)
上記第1の実施形態では、光フィルタ21を通過させた後の変調光信号の平均出力光強度に基づいて、波長を判断している。このため、変調光信号の平均出力光強度が、半導体レーザ1の発光期間と消光期間の比率によって大きく変動してしまう。従って、変調光信号の波長が所望の波長からずれていても、場合によっては、ローパスフィルタ23から出力される電気信号のレベルが、所望の波長に対応する電気信号のレベルと一致する、という不具合が生じる。
そこで、第2の実施形態では、この不具合を解決させた波長可変光源制御回路を説明する。
【0047】
本発明の第2の実施形態に係る直接変調方式を用いた波長可変光源制御回路は、基本的なブロック構成は図1に示した第1の実施形態に係る波長可変光源制御回路と同じであり、波長情報抽出部2内の詳細な構成のみが異なる。
以下、この異なる波長情報抽出部2を中心に、第2の実施形態に係る波長可変光源制御回路を説明する。
【0048】
図8は、第2の実施形態における波長情報抽出部2の詳細な構成の一例を示すブロック図である。
図8において、波長情報抽出部2は、光フィルタ21と、第1のフォトダイオード26と、第2のフォトダイオード22と、第1のローパスフィルタ27と、第2のローパスフィルタ23と、波長算出部28と、比較部24と、出力切り替え部25とを備える。
【0049】
光フィルタ21は、半導体レーザ1の動作可能波長範囲において、入力される光の波長に一意に対応して変化する透過率を有するフィルタであり、例えば図3のような光フィルタである。半導体レーザ1から出力される変調光信号の一部は、光フィルタ21を介して、その波長に応じた透過率で出力される。従って、光フィルタ21を介して出力される変調光信号の光強度は、半導体レーザ1から出力された時の変調光信号の波長、すなわち透過率に依存することになる。
【0050】
第1のフォトダイオード26及び第2のフォトダイオード22は、共に光信号を受光して電気信号に変換して出力する素子である。第1のフォトダイオード26は、半導体レーザ1から出力された変調光信号をそのまま電気信号に変換し、第2のフォトダイオード22は、光フィルタ21を通過した後の変調光信号を電気信号に変換する。
第1のローパスフィルタ27及び第2のローパスフィルタ23は、共に入力される電気信号を平均化するフィルタである。この第1のローパスフィルタ27及び第2のローパスフィルタ23は、それぞれ第1のフォトダイオード26及び第2のフォトダイオード22で変換された電気信号を平均化することにより、各電気信号から変調成分を除去する役割を果たす。
【0051】
これらの第1のフォトダイオード26及び第1のローパスフィルタ27によって、半導体レーザ1から出力される変調光信号の波長情報を、変調光信号の平均出力光強度に比例したレベルの電気信号として求めることができる。また、これらの光フィルタ21、第2のフォトダイオード22及び第2のローパスフィルタ23によって、半導体レーザ1から出力される変調光信号の波長情報を、変調光信号の光フィルタ透過率及び平均出力光強度に比例したレベルの電気信号として求めることができる。
【0052】
波長算出部28は、第1のローパスフィルタ27から出力される電気信号に対する第2のローパスフィルタ23から出力される電気信号の減衰率を求める。この減衰率は、光フィルタの透過率に相当する。よって、この処理により、半導体レーザ1から出力される変調光信号の平均出力光強度、すなわち発光期間及び消光期間の比率に比例したレベル成分が相殺され、光フィルタ21の透過率に比例したレベル成分のみ、すなわち変調光信号の波長の所望の波長からのずれを判断することができる。
なお、第1のフォトダイオード26及び第2のフォトダイオード22が温度特性を有する場合においても、双方に温度特性が同じものを用いることにより、同様の理由で温度特性の影響を相殺させることができる。
【0053】
そして、波長算出部28は、求めた減衰率から、半導体レーザ1から出力された変調光信号の波長及び出力光強度を判断し、この判断した波長及び出力光強度に対応するレベルの新たな電気信号を、波長情報として算出する。
【0054】
比較部24は、半導体レーザ1から出力されるべき変調光信号の波長である所望の波長に対応したレベルの基準電気信号を、予め保持している。そして、比較部24は、波長算出部28で算出された新たな電気信号と基準電気信号とをレベル比較し、その比較結果を出力切り替え部25へ通知する。
出力切り替え部25は、波長算出部28で算出された新たな電気信号と、比較部24から通知される比較結果とを入力する。そして、出力切り替え部25は、電気信号と基準電気信号のレベルが、一致しないとの比較結果の場合には温度制御部3へ、一致するとの比較結果の場合には温度算出部4へ、出力先を切り替えて電気信号を出力する。
【0055】
以上のように、本発明の第2の実施形態に係る直接変調方式を用いた波長可変光源制御回路及び方法によれば、半導体レーザ1から出力される変調光信号の光強度変動の影響を相殺して、波長を検出することが可能である。従って、上記第1の実施形態による効果に加え、半導体レーザ1の温度変化に伴う大幅な出力光強度変動にも対応できるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1及び第2の実施形態に係る直接変調方式を用いた波長可変光源制御回路の構成を示すブロック図である。
【図2】第1の実施形態に対応した波長情報抽出部2の詳細な構成の一例を示すブロック図である。
【図3】光フィルタ21が有する波長−透過率特性の一例を示す図である。
【図4】温度制御部3が有する電気信号−制御温度特性の一例を示す図である。
【図5】温度算出部4が有する電気信号−デバイス温度特性の一例を示す図である。
【図6】電流設定値算出部5の詳細な構成の一例を示すブロック図である。
【図7】電流設定値算出部5が有する供給電流−出力光強度特性の一例を示す図である。
【図8】第2の実施形態に対応した波長情報抽出部2の詳細な構成の一例を示すブロック図である。
【図9】従来の外部変調方式を用いた波長可変光源制御回路の構成を示すブロック図である。
【図10】従来の直接変調方式を用いた波長可変光源制御回路の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
1,91,101…半導体レーザ
2…波長情報抽出部
3,93…温度制御部
4…温度算出部
5…電流設定値算出部
6…駆動電流制御部
7,95…バイアス電流制御部
21…光フィルタ
22,26…フォトダイオード(PD)
23,27…ローパスフィルタ(LPF)
24…比較部
25…出力切り替え部
28…波長算出部
51…しきい値電流算出部
52…スロープ効率算出部
53…駆動電流算出部
54…バイアス電流算出部
92…波長検出部
94…平均パワー検出部
96…外部変調器
102…発振波長モニタ部
103…発振波長制御部
104…温調素子
105…光出力モニタ部
106…光出力安定化回路
【発明の属する技術分野】
本発明は、直接変調方式を用いた波長可変光源制御回路及び方法に関し、より特定的には、波長多重光通信等において用いられる波長可変光源を制御する回路及びその波長可変光源を制御する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、通信の分野においては、大容量データ通信の需要に対応するため、波長多重光通信システムの普及が急速に進んでいる。また、この普及と並行して、システム故障時の対策も様々考えられている。波長多重光通信システムでは、波長多重される信号光の数だけ、光源を必要とする。従って、最も簡単な故障対策としては、波長多重光通信システム内に、各波長に対応した予備光源をそれぞれ持っていればよい。しかしながら、波長多重される信号光の個々に対応した予備光源を複数備えることは、システム規模やコスト面で非効率である。このため、波長を可変できる光源を予備光源として使用することが、検討されている。
【0003】
波長可変光源に用いられる波長の制御方法としては、様々なものが提案されているが、最も簡易なものは、光源である半導体レーザの動作温度を変化させて波長を変化させる方法である。図9に、この波長制御方法による従来の外部変調方式を用いた波長可変光源制御回路の構成図を示す。
【0004】
図9において、従来の外部変調方式を用いた波長可変光源制御回路は、半導体レーザ91と、波長検出部92と、温度制御部93と、平均パワー検出部94と、バイアス電流制御部95と、外部変調器96とを備える。
【0005】
半導体レーザ91から出力された光は、3つに分岐されて、1つが外部変調器96に、残りの2つがモニタ用として波長検出部92及び平均パワー検出部94に、それぞれ入力される。外部変調器96は、半導体レーザ91から出力された光を、別途外部から与えられる変調信号で変調して出力する。波長検出部92は、半導体レーザ91から出力された光の波長を検出する。温度制御部93は、波長検出部92で検出された波長に基づいて、半導体レーザ91から出力される光の波長が所望の波長と一致するように、半導体レーザ91の動作温度(環境温度)を制御する。平均パワー検出部94は、半導体レーザ91から出力された光の平均パワー(平均出力光強度)を検出する。バイアス電流制御部95は、平均パワー検出部94で検出される光の平均パワーが所定値と一致するように、半導体レーザ91に供給するバイアス電流を制御する。
上記構成による従来の波長制御方式では、半導体レーザ91が動作可能な温度範囲が広いほど、波長可変範囲を広くできるという特徴がある。
【0006】
ところで、図9に示した従来の外部変調方式を用いた波長可変光源制御回路では、高価な外部変調器96の構成が必須となるため、回路の低コスト化が図れない。よって、回路の低コスト化を図るためには、外部変調方式よりも直接変調方式を採用するのが好ましい。
一方、波長を変化させるために半導体レーザ91の動作温度を大幅に変化させた場合、半導体レーザ91のしきい値電流及びスロープ効率も大きく変化する。このため、直接変調方式を用いた波長可変光源制御回路を考える場合には、半導体レーザ91の動作温度を変化させた時でも出力光強度及び消光比を一定に保つために、半導体レーザ91に供給するバイアス電流及び駆動電流を適切に制御する必要がある。
【0007】
そこで、これらの点を考慮した直接変調方式を用いた波長可変光源制御回路として、特許文献1に提案されている回路が存在する。図10に、この従来の直接変調方式を用いた波長可変光源制御回路の構成図を示す。
【0008】
図10において、従来の直接変調方式を用いた波長可変光源制御回路は、半導体レーザ101と、発振波長モニタ部102と、発振波長制御部103と、温調素子104と、光出力モニタ部105と、光出力安定化回路106とを備える。
【0009】
半導体レーザ101から出力された変調光信号は、外部に出力されると共に、モニタ用として発振波長モニタ部102及び光出力モニタ部105で受光される。発振波長モニタ部102は、半導体レーザ101から受けた光の波長を検出する。発振波長制御部103は、発振波長モニタ部102で検出された波長に基づいて、半導体レーザ101から出力される変調光信号の波長が所望の波長と一致するように、温調素子104を制御することで、半導体レーザ101の動作温度(環境温度)を制御する。光出力モニタ部105は、半導体レーザ101から受けた光の出力レベルを検出する。光出力安定化回路106は、別途外部から与えられる変調信号に従いつつ、光出力モニタ部105で検出される光の出力レベルの変動に応じて、半導体レーザ101に供給する駆動電流及びバイアス電流を制御する。
【0010】
【特許文献1】
特開平7−15078号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の直接変調方式を用いた波長可変光源制御回路では、半導体レーザ101から出力される変調光信号の波長をモニタするための構成(発振波長モニタ部102)と、半導体レーザ101に供給するバイアス電流及び駆動電流を制御するために、出力光の変調成分の振幅をモニタするための構成(光出力モニタ部105)とを、個別に備えている。このため、上記従来の直接変調方式を用いた波長可変光源制御回路では、波長を制御する回路の構成が複雑化するという問題がある。
【0012】
それ故に、本発明の目的は、半導体レーザの出力光強度及び消光比を一定に保ちつつ、半導体レーザから出力される光信号を所望の波長に制御することを、簡単な回路構成で容易に実現できる直接変調方式を用いた波長可変光源制御回路を提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
上記目的を達成するために、本発明は以下に示す特徴を有する。
第1の発明は、直接変調方式によって変調された光信号を出力する波長可変可能な光源を、制御する波長可変光源制御回路であって、
バイアス電流及び駆動電流に応じた変調光信号を出力する半導体レーザと、
半導体レーザから出力される変調光信号から、波長を特定できる波長情報を抽出する波長情報抽出部と、波長情報抽出部で抽出される波長情報が所定の波長情報と一致するように、半導体レーザの環境温度を制御する温度制御部と、波長情報抽出部から抽出される波長情報を用いて、半導体レーザのデバイス温度を算出する温度算出部と、温度算出部で算出されたデバイス温度に基づいて、半導体レーザから出力される変調光信号の光強度及び消光比が所定の値になるバイアス電流及び駆動電流を算出する電流算出部と、電流算出部で算出されたバイアス電流を、半導体レーザに供給するバイアス電流制御部と、電流算出部で算出された駆動電流を、別途与えられる変調信号に応じて半導体レーザに供給する駆動電流制御部とを備える。
【0014】
上記第1の発明によれば、波長情報抽出部において得られる波長情報を、半導体レーザの波長制御のみならず、駆動電流及びバイアス電流の算出に用いる。従って、半導体レーザから出力される変調光信号の変調成分の振幅をモニタするための部品が不要であり、かつ簡易な回路構成で消光比管理を実現することができる。
【0015】
第2の発明は、第1の発明に従属する波長可変光源制御回路であって、
波長情報抽出部は、入力される光の波長に一意に対応して変化する透過率を有し、半導体レーザから出力される変調光信号を入力し、透過率に従って減衰させた光信号を出力する光フィルタと、光フィルタから出力される光信号を入力し、電気信号に変換するフォトダイオードと、フォトダイオードで変換された電気信号を入力し、当該電気信号の変調成分を除去して平均化し、波長情報として出力するローパスフィルタとを備える。
【0016】
上記第2の発明のような簡単な構成を用いることで、半導体レーザから出力される変調光信号から波長情報を容易に抽出することができる。
【0017】
第3の発明は、第1の発明に従属する波長可変光源制御回路であって、
波長情報抽出部は、入力される光の波長に一意に対応して変化する透過率を有し、半導体レーザから出力される変調光信号を分岐入力し、透過率に従って減衰させた光信号を出力する光フィルタと、半導体レーザから出力される変調光信号を分岐入力し、電気信号に変換する第1のフォトダイオードと、光フィルタから出力される光信号を入力し、電気信号に変換する第2のフォトダイオードと、第1のフォトダイオードで変換された電気信号を入力し、当該電気信号の変調成分を除去して平均化する第1のローパスフィルタと、第2のフォトダイオードで変換された電気信号を入力し、当該電気信号の変調成分を除去して平均化する第2のローパスフィルタと、第1のローパスフィルタの出力と第2のローパスフィルタの出力との比率に基づいて、波長情報を算出する波長算出部とを備える。
【0018】
上記第3の発明によれば、半導体レーザから出力される変調光信号の光強度変動の影響を相殺して、波長を検出することが可能である。従って、半導体レーザの温度変化に伴う大幅な出力光強度変動にも対応できる。
【0019】
第4の発明は、第1の発明に従属する波長可変光源制御回路であって、
電流算出部は、半導体レーザのデバイス温度に対応した、設定すべきバイアス電流及び駆動電流を記憶する記憶部と、温度算出部で算出されたデバイス温度に従って、該当するバイアス電流及び駆動電流を記憶部から読み出す読み出し部とを備える。
【0020】
第5の発明は、第1の発明に従属する波長可変光源制御回路であって、
電流算出部は、温度算出部で算出されたデバイス温度に基づいて、半導体レーザのしきい値電流を算出するしきい値電流算出部と、温度算出部で算出されたデバイス温度に基づいて、半導体レーザのスロープ効率を算出するスロープ効率算出部と、算出されたしきい値電流及びスロープ効率から、駆動電流及びバイアス電流をそれぞれ算出する駆動/バイアス電流算出部とを備える。
【0021】
上記第4又は第5の発明のような構成を用いることで、温度算出部で算出された半導体レーザのデバイス温度から所望の駆動電流及びバイアス電流をそれぞれ算出することができる。
【0022】
第6の発明は、直接変調方式によって変調された光信号を出力する波長可変可能な光源を制御する波長可変光源制御方法であって、
光源として用いる半導体レーザからバイアス電流及び駆動電流に応じて出力される変調光信号から、波長を特定できる波長情報を抽出するステップと、抽出される波長情報が所定の波長情報と一致するように、半導体レーザの環境温度を制御するステップと、抽出される波長情報を用いて、半導体レーザのデバイス温度を算出するステップと、算出されたデバイス温度に基づいて、半導体レーザから出力される変調光信号の光強度及び消光比が所定の値になるバイアス電流及び駆動電流を算出するステップと、算出されたバイアス電流を、半導体レーザに供給するステップと、算出された駆動電流を、別途与えられる変調信号に応じて半導体レーザに供給するステップとを備える。
【0023】
第7の発明は、第6の発明に従属する波長可変光源制御方法であって、
抽出するステップは、半導体レーザから出力される変調光信号を、入力される光の波長に一意に対応して変化する透過率に従って減衰させるステップと、減衰された光信号を電気信号に変換するステップと、変換された電気信号の変調成分を除去して平均化し、波長情報として出力するステップとを含む。
【0024】
第8の発明は、第6の発明に従属する波長可変光源制御方法であって、
抽出するステップは、半導体レーザから出力される変調光信号を、入力される光の波長に一意に対応して変化する透過率に従って減衰させるステップと、半導体レーザから出力される変調光信号を電気信号に変換するステップと、減衰された光信号を電気信号に変換するステップと、変換された2つの電気信号を、それぞれ変調成分を除去して平均化するステップと、平均化された2つの電気信号の比率に基づいて、波長情報を算出するステップとを含む。
【0025】
第9の発明は、第6の発明に従属する波長可変光源制御方法であって、
電流を算出するステップは、半導体レーザのデバイス温度に対応した、設定すべきバイアス電流及び駆動電流を所定の記憶部に記憶するステップと、算出されたデバイス温度に従って、該当するバイアス電流及び駆動電流を記憶部から読み出すステップとを含む。
【0026】
第10の発明は、第6の発明に従属する波長可変光源制御方法であって、
電流を算出するステップは、算出されたデバイス温度に基づいて、半導体レーザのしきい値電流及びスロープ効率を算出するステップと、算出されたしきい値電流及びスロープ効率から、駆動電流及びバイアス電流をそれぞれ算出するステップとを含む。
【0027】
【発明の実施の形態】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る直接変調方式を用いた波長可変光源制御回路の構成を示すブロック図である。図1において、第1の実施形態に係る波長可変光源制御回路は、半導体レーザ1と、波長情報抽出部2と、温度制御部3と、温度算出部4と、電流設定値算出部5と、駆動電流制御部6と、バイアス電流制御部7とを備える。
まず、図1を参照して、第1の実施形態に係る波長可変光源制御回路の各構成の概要を説明する。
【0028】
半導体レーザ1は、バイアス電流制御部7から供給される消光時のバイアス電流と、駆動電流制御部6から供給される発光時にバイアス電流に加算される駆動電流とに応じて、所定の変調信号によって変調された光信号(以下、変調光信号という)を出力する。波長情報抽出部2は、半導体レーザ1から出力される変調光信号を入力し、その変調光信号の波長を特定できる情報(以下、波長情報という)を検出する。温度制御部3は、波長情報抽出部2から出力される波長情報に基づいて、半導体レーザ1から出力される変調光信号の波長が所望する波長と一致するように、半導体レーザ1の動作温度(環境温度)を制御する。温度算出部4は、波長情報抽出部2から出力される波長情報に基づいて、半導体レーザ1の動作温度(デバイス温度)を算出する。電流設定値算出部5は、温度算出部4で算出されたデバイス温度において、半導体レーザ1で所定の出力光強度及び消光比を実現するために必要なバイアス電流及び駆動電流の設定値を算出する。駆動電流制御部6は、電流設定値算出部5で算出された駆動電流を、別途外部から入力される変調信号に従って半導体レーザ1に供給する。バイアス電流制御部7は、電流設定値算出部5で算出されたバイアス電流を、半導体レーザ1に供給する。
【0029】
次に、図2〜図7をさらに参照して、第1の実施形態に係る波長可変光源制御回路が行う制御方法を説明する。
図2は、波長情報抽出部2の詳細な構成の一例を示すブロック図である。図3は、光フィルタ21が有する波長−透過率特性の一例を示す図である。図4は、温度制御部3が有する電気信号−制御温度特性の一例を示す図である。図5は、温度算出部4が有する電気信号−デバイス温度特性の一例を示す図である。図6は、電流設定値算出部5の詳細な構成の一例を示すブロック図である。図7は、電流設定値算出部5が有する供給電流−出力光強度特性の一例を示す図である。
【0030】
半導体レーザ1から出力される変調光信号は、2つに分岐されて、一方が出力用として外部に出力され、他方が制御用として波長情報抽出部2に出力される。
波長情報抽出部2は、半導体レーザ1から出力される変調光信号を入力し、その変調光信号の波長情報を検出する。本実施形態で説明する波長情報抽出部2(図2)は、変調光信号から波長に関する情報を取得して、それに基づいて間接的に波長を検出する方法を用いるものであるが、検波制御等を利用して直接的に波長を検出する方法であっても構わない。
【0031】
図2において、波長情報抽出部2は、光フィルタ21と、フォトダイオード(PD)22と、ローパスフィルタ(LPF)23と、比較部24と、出力切り替え部25とを備える。
【0032】
光フィルタ21は、半導体レーザ1の動作可能波長範囲において、入力される光の波長に一意に対応して変化する透過率を有するフィルタである。本実施形態では、例えば図3のような、波長に対して線形に増加する透過率を有する光フィルタ21が予め用意される。半導体レーザ1から出力される変調光信号は、光フィルタ21を介して、その波長に応じた透過率で出力される。従って、光フィルタ21を介して出力される変調光信号の光強度は、半導体レーザ1から出力された時の変調光信号の波長、すなわち透過率に依存することになる。
なお、光フィルタ21の透過率特性は、図3に示すような波長に対して線形に増加するものに限られず、例えば波長に対して線形に減少するものでもよい。また、透過率と波長とが一意に対応していれば、非線形に変化しても構わない。
【0033】
フォトダイオード22は、光信号を受光して電気信号に変換して出力する素子であり、光フィルタ21を通過した後の変調光信号を電気信号に変換する。
ローパスフィルタ23は、入力される電気信号を平均化するフィルタである。このローパスフィルタ23は、フォトダイオード22で変換された電気信号を平均化することにより、電気信号から変調成分を除去する役割を果たす。
これらの光フィルタ21、フォトダイオード22及びローパスフィルタ23によって、半導体レーザ1から出力される変調光信号の波長情報を、変調光信号の光フィルタ透過率及び平均出力光強度に比例したレベルの電気信号として求めることができる。
【0034】
比較部24は、半導体レーザ1から出力されるべき変調光信号の波長である所望の波長に対応したレベルの基準電気信号を、予め保持している。そして、比較部24は、ローパスフィルタ23から出力される電気信号と、基準電気信号とをレベル比較し、その比較結果を出力切り替え部25へ通知する。
出力切り替え部25は、ローパスフィルタ23から出力される電気信号と、比較部24から通知される比較結果とを入力する。そして、出力切り替え部25は、電気信号と基準電気信号のレベルが、一致しないとの比較結果の場合には温度制御部3へ、一致するとの比較結果の場合には温度算出部4へ、出力先を切り替えて電気信号を出力する。
【0035】
電気信号と基準電気信号のレベルが一致しない場合とは、半導体レーザ1から出力されるべき変調光信号の波長が、所望の波長と一致しない場合である。この場合、2つの波長を一致させるため、温度制御部3によって、半導体レーザ1の環境温度を調整する制御が、以下のように行われる。
【0036】
温度制御部3は、半導体レーザ1の環境温度を上昇及び下降させて調整できる機能を備えた装置であり、好適にはペルチェ素子とその制御回路から構成される。このペルチェ素子は、半導体レーザ1の環境温度を可変できる位置に設置される。制御回路は、波長情報抽出部2から入力される電気信号と、予め定められた電気信号−制御温度特性(例えば図4)とに従って、半導体レーザ1の環境温度が所定の温度となるようにペルチェ素子の温度を制御する。
【0037】
上記半導体レーザ1、波長情報抽出部2及び温度制御部3からなる第1の帰還ループによる制御は、電気信号と基準電気信号のレベルが一致するまで、すなわち半導体レーザ1から出力される変調光信号の波長が、所望の波長と一致するまで、継続的に行われる。
そして、電気信号と基準電気信号のレベルが一致した場合、温度算出部4、電流設定値算出部5、駆動電流制御部6及びバイアス電流制御部7によって、半導体レーザ1のバイアス電流及び駆動電流を調整する制御が、以下のように行われる。
【0038】
温度算出部4は、予め定められた電気信号−デバイス温度特性(例えば図5)を有しており、この特性に従って波長情報抽出部2から入力される電気信号から、半導体レーザ1のデバイス温度を算出する。
電流設定値算出部5は、温度算出部4で算出されたデバイス温度において、半導体レーザ1で所定の出力光強度及び消光比を実現するために必要なバイアス電流及び駆動電流の設定値を算出する。この電流設定値算出部5に用いられる設定値算出方法としては、各デバイス温度において所定の出力光強度及び消光比を実現するために必要な駆動電流及びバイアス電流の設定値を予め算出してデータベース化して保持しておく方法や、半導体レーザ1のデバイス温度におけるしきい値電流及びスロープ効率に基づいて逐次算出する方法が考えられる。本実施形態では、しきい値電流及びスロープ効率に基づいて算出する方法による電流設定値算出部5を一例に挙げて説明する(図6)。
【0039】
図6において、電流設定値算出部5は、しきい値電流算出部51と、スロープ効率算出部52と、駆動電流算出部53と、バイアス電流算出部54とを備える。
【0040】
しきい値電流算出部51及びスロープ効率算出部52は、半導体レーザ1のデバイス温度に応じて、発光状態となるしきい値電流の変化及び出力光強度の変化を与える供給電流−出力光強度特性(例えば図7)を、それぞれ予め保持している。しきい値電流算出部51は、この供給電流−出力光強度特性を用いて、温度算出部4で算出されたデバイス温度におけるしきい値電流Ithを算出する。スロープ効率算出部52は、この供給電流−出力光強度特性を用いて、温度算出部4で算出されたデバイス温度におけるスロープ効率(出力光強度変化の傾き)aを算出する。
【0041】
駆動電流算出部53は、スロープ効率算出部52で算出されたスロープ効率aと、所定の出力光強度及び消光比を実現するために予め定められた発光時の出力光強度Ph 及び消光時の出力光強度Pl とから、半導体レーザ1に供給すべき駆動電流Id (=(Ph −Pl )/a)を算出する。
バイアス電流算出部54は、しきい値電流算出部51で算出されたしきい値電流Ith及びスロープ効率算出部52で算出されたスロープ効率aと、所定の出力光強度及び消光比を実現するために予め定められた消光時の出力光強度Pl とから、半導体レーザ1に供給すべきバイアス電流Ib (=Pl /a+Ith)を算出する。
【0042】
なお、電流設定値算出部5を実現するための方法は、上述した2通りの方法に限定されるものではなく、半導体レーザ1のデバイス温度に基づいて供給すべき駆動電流及びバイアス電流の設定値を算出できる方法であれば、他のいかなる方法を用いても構わない。
【0043】
駆動電流制御部6は、電流設定値算出部5で算出された駆動電流の設定値に基づき、別途外部から入力される変調信号に従って、駆動電流を半導体レーザ1に供給する。
バイアス電流制御部7は、電流設定値算出部5で算出されたバイアス電流の設定値に基づき、バイアス電流を半導体レーザ1に供給する。
【0044】
上記半導体レーザ1、波長情報抽出部2、温度算出部4、電流設定値算出部5、駆動電流制御部6及びバイアス電流制御部7からなる第2の帰還ループによる制御は、半導体レーザ1のデバイス温度が変動する毎に行われる。また、第2の帰還ループによる制御を行っている途中に、半導体レーザ1から出力される変調光信号の波長がずれた場合には、波長情報抽出部2の比較部24及び出力切り替え部25の動作により、再び第1の帰還ループによる制御に切り替わって処理が行われる。
【0045】
以上のように、本発明の第1の実施形態に係る直接変調方式を用いた波長可変光源制御回路及び方法によれば、波長情報抽出部2において得られる波長情報を、半導体レーザ1の波長制御だけでなく、駆動電流及びバイアス電流の制御にも用いる。従って、半導体レーザ1から出力される変調光信号の変調成分の振幅をモニタするための部品が不要であり、かつ簡易な回路構成で消光比管理を実現することができる。
【0046】
(第2の実施形態)
上記第1の実施形態では、光フィルタ21を通過させた後の変調光信号の平均出力光強度に基づいて、波長を判断している。このため、変調光信号の平均出力光強度が、半導体レーザ1の発光期間と消光期間の比率によって大きく変動してしまう。従って、変調光信号の波長が所望の波長からずれていても、場合によっては、ローパスフィルタ23から出力される電気信号のレベルが、所望の波長に対応する電気信号のレベルと一致する、という不具合が生じる。
そこで、第2の実施形態では、この不具合を解決させた波長可変光源制御回路を説明する。
【0047】
本発明の第2の実施形態に係る直接変調方式を用いた波長可変光源制御回路は、基本的なブロック構成は図1に示した第1の実施形態に係る波長可変光源制御回路と同じであり、波長情報抽出部2内の詳細な構成のみが異なる。
以下、この異なる波長情報抽出部2を中心に、第2の実施形態に係る波長可変光源制御回路を説明する。
【0048】
図8は、第2の実施形態における波長情報抽出部2の詳細な構成の一例を示すブロック図である。
図8において、波長情報抽出部2は、光フィルタ21と、第1のフォトダイオード26と、第2のフォトダイオード22と、第1のローパスフィルタ27と、第2のローパスフィルタ23と、波長算出部28と、比較部24と、出力切り替え部25とを備える。
【0049】
光フィルタ21は、半導体レーザ1の動作可能波長範囲において、入力される光の波長に一意に対応して変化する透過率を有するフィルタであり、例えば図3のような光フィルタである。半導体レーザ1から出力される変調光信号の一部は、光フィルタ21を介して、その波長に応じた透過率で出力される。従って、光フィルタ21を介して出力される変調光信号の光強度は、半導体レーザ1から出力された時の変調光信号の波長、すなわち透過率に依存することになる。
【0050】
第1のフォトダイオード26及び第2のフォトダイオード22は、共に光信号を受光して電気信号に変換して出力する素子である。第1のフォトダイオード26は、半導体レーザ1から出力された変調光信号をそのまま電気信号に変換し、第2のフォトダイオード22は、光フィルタ21を通過した後の変調光信号を電気信号に変換する。
第1のローパスフィルタ27及び第2のローパスフィルタ23は、共に入力される電気信号を平均化するフィルタである。この第1のローパスフィルタ27及び第2のローパスフィルタ23は、それぞれ第1のフォトダイオード26及び第2のフォトダイオード22で変換された電気信号を平均化することにより、各電気信号から変調成分を除去する役割を果たす。
【0051】
これらの第1のフォトダイオード26及び第1のローパスフィルタ27によって、半導体レーザ1から出力される変調光信号の波長情報を、変調光信号の平均出力光強度に比例したレベルの電気信号として求めることができる。また、これらの光フィルタ21、第2のフォトダイオード22及び第2のローパスフィルタ23によって、半導体レーザ1から出力される変調光信号の波長情報を、変調光信号の光フィルタ透過率及び平均出力光強度に比例したレベルの電気信号として求めることができる。
【0052】
波長算出部28は、第1のローパスフィルタ27から出力される電気信号に対する第2のローパスフィルタ23から出力される電気信号の減衰率を求める。この減衰率は、光フィルタの透過率に相当する。よって、この処理により、半導体レーザ1から出力される変調光信号の平均出力光強度、すなわち発光期間及び消光期間の比率に比例したレベル成分が相殺され、光フィルタ21の透過率に比例したレベル成分のみ、すなわち変調光信号の波長の所望の波長からのずれを判断することができる。
なお、第1のフォトダイオード26及び第2のフォトダイオード22が温度特性を有する場合においても、双方に温度特性が同じものを用いることにより、同様の理由で温度特性の影響を相殺させることができる。
【0053】
そして、波長算出部28は、求めた減衰率から、半導体レーザ1から出力された変調光信号の波長及び出力光強度を判断し、この判断した波長及び出力光強度に対応するレベルの新たな電気信号を、波長情報として算出する。
【0054】
比較部24は、半導体レーザ1から出力されるべき変調光信号の波長である所望の波長に対応したレベルの基準電気信号を、予め保持している。そして、比較部24は、波長算出部28で算出された新たな電気信号と基準電気信号とをレベル比較し、その比較結果を出力切り替え部25へ通知する。
出力切り替え部25は、波長算出部28で算出された新たな電気信号と、比較部24から通知される比較結果とを入力する。そして、出力切り替え部25は、電気信号と基準電気信号のレベルが、一致しないとの比較結果の場合には温度制御部3へ、一致するとの比較結果の場合には温度算出部4へ、出力先を切り替えて電気信号を出力する。
【0055】
以上のように、本発明の第2の実施形態に係る直接変調方式を用いた波長可変光源制御回路及び方法によれば、半導体レーザ1から出力される変調光信号の光強度変動の影響を相殺して、波長を検出することが可能である。従って、上記第1の実施形態による効果に加え、半導体レーザ1の温度変化に伴う大幅な出力光強度変動にも対応できるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1及び第2の実施形態に係る直接変調方式を用いた波長可変光源制御回路の構成を示すブロック図である。
【図2】第1の実施形態に対応した波長情報抽出部2の詳細な構成の一例を示すブロック図である。
【図3】光フィルタ21が有する波長−透過率特性の一例を示す図である。
【図4】温度制御部3が有する電気信号−制御温度特性の一例を示す図である。
【図5】温度算出部4が有する電気信号−デバイス温度特性の一例を示す図である。
【図6】電流設定値算出部5の詳細な構成の一例を示すブロック図である。
【図7】電流設定値算出部5が有する供給電流−出力光強度特性の一例を示す図である。
【図8】第2の実施形態に対応した波長情報抽出部2の詳細な構成の一例を示すブロック図である。
【図9】従来の外部変調方式を用いた波長可変光源制御回路の構成を示すブロック図である。
【図10】従来の直接変調方式を用いた波長可変光源制御回路の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
1,91,101…半導体レーザ
2…波長情報抽出部
3,93…温度制御部
4…温度算出部
5…電流設定値算出部
6…駆動電流制御部
7,95…バイアス電流制御部
21…光フィルタ
22,26…フォトダイオード(PD)
23,27…ローパスフィルタ(LPF)
24…比較部
25…出力切り替え部
28…波長算出部
51…しきい値電流算出部
52…スロープ効率算出部
53…駆動電流算出部
54…バイアス電流算出部
92…波長検出部
94…平均パワー検出部
96…外部変調器
102…発振波長モニタ部
103…発振波長制御部
104…温調素子
105…光出力モニタ部
106…光出力安定化回路
Claims (10)
- 直接変調方式によって変調された光信号を出力する波長可変可能な光源を、制御する波長可変光源制御回路であって、
バイアス電流及び駆動電流に応じた変調光信号を出力する半導体レーザと、
前記半導体レーザから出力される変調光信号から、波長を特定できる波長情報を抽出する波長情報抽出部と、
前記波長情報抽出部で抽出される波長情報が所定の波長情報と一致するように、前記半導体レーザの環境温度を制御する温度制御部と、
前記波長情報抽出部から抽出される波長情報を用いて、前記半導体レーザのデバイス温度を算出する温度算出部と、
前記温度算出部で算出されたデバイス温度に基づいて、前記半導体レーザから出力される変調光信号の光強度及び消光比が所定の値になるバイアス電流及び駆動電流を算出する電流算出部と、
前記電流算出部で算出されたバイアス電流を、前記半導体レーザに供給するバイアス電流制御部と、
前記電流算出部で算出された駆動電流を、別途与えられる変調信号に応じて前記半導体レーザに供給する駆動電流制御部とを備える、波長可変光源制御回路。 - 前記波長情報抽出部は、
入力される光の波長に一意に対応して変化する透過率を有し、前記半導体レーザから出力される変調光信号を入力し、透過率に従って減衰させた光信号を出力する光フィルタと、
前記光フィルタから出力される光信号を入力し、電気信号に変換するフォトダイオードと、
前記フォトダイオードで変換された電気信号を入力し、当該電気信号の変調成分を除去して平均化し、前記波長情報として出力するローパスフィルタとを備える、請求項1に記載の波長可変光源制御回路。 - 前記波長情報抽出部は、
入力される光の波長に一意に対応して変化する透過率を有し、前記半導体レーザから出力される変調光信号を分岐入力し、透過率に従って減衰させた光信号を出力する光フィルタと、
前記半導体レーザから出力される変調光信号を分岐入力し、電気信号に変換する第1のフォトダイオードと、
前記光フィルタから出力される光信号を入力し、電気信号に変換する第2のフォトダイオードと、
前記第1のフォトダイオードで変換された電気信号を入力し、当該電気信号の変調成分を除去して平均化する第1のローパスフィルタと、
前記第2のフォトダイオードで変換された電気信号を入力し、当該電気信号の変調成分を除去して平均化する第2のローパスフィルタと、
前記第1のローパスフィルタの出力と第2のローパスフィルタの出力との比率に基づいて、前記波長情報を算出する波長算出部とを備える、請求項1に記載の波長可変光源制御回路。 - 前記電流算出部は、
前記半導体レーザのデバイス温度に対応した、設定すべきバイアス電流及び駆動電流を記憶する記憶部と、
前記温度算出部で算出されたデバイス温度に従って、該当するバイアス電流及び駆動電流を前記記憶部から読み出す読み出し部とを備える、請求項1に記載の波長可変光源制御回路。 - 前記電流算出部は、
前記温度算出部で算出されたデバイス温度に基づいて、前記半導体レーザのしきい値電流を算出するしきい値電流算出部と、
前記温度算出部で算出されたデバイス温度に基づいて、前記半導体レーザのスロープ効率を算出するスロープ効率算出部と、
算出された前記しきい値電流及び前記スロープ効率から、駆動電流及びバイアス電流をそれぞれ算出する駆動/バイアス電流算出部とを備える、請求項1に記載の波長可変光源制御回路。 - 直接変調方式によって変調された光信号を出力する波長可変可能な光源を制御する波長可変光源制御方法であって、
光源として用いる半導体レーザからバイアス電流及び駆動電流に応じて出力される変調光信号から、波長を特定できる波長情報を抽出するステップと、
抽出される前記波長情報が所定の波長情報と一致するように、前記半導体レーザの環境温度を制御するステップと、
抽出される前記波長情報を用いて、前記半導体レーザのデバイス温度を算出するステップと、
算出された前記デバイス温度に基づいて、前記半導体レーザから出力される変調光信号の光強度及び消光比が所定の値になるバイアス電流及び駆動電流を算出するステップと、
算出された前記バイアス電流を、前記半導体レーザに供給するステップと、
算出された前記駆動電流を、別途与えられる変調信号に応じて前記半導体レーザに供給するステップとを備える、波長可変光源制御方法。 - 前記抽出するステップは、
前記半導体レーザから出力される変調光信号を、入力される光の波長に一意に対応して変化する透過率に従って減衰させるステップと、
減衰された前記光信号を電気信号に変換するステップと、
変換された前記電気信号の変調成分を除去して平均化し、前記波長情報として出力するステップとを含む、請求項6に記載の波長可変光源制御方法。 - 前記抽出するステップは、
前記半導体レーザから出力される変調光信号を、入力される光の波長に一意に対応して変化する透過率に従って減衰させるステップと、
前記半導体レーザから出力される変調光信号を電気信号に変換するステップと、
減衰された前記光信号を電気信号に変換するステップと、
変換された前記2つの電気信号を、それぞれ変調成分を除去して平均化するステップと、
平均化された前記2つの電気信号の比率に基づいて、前記波長情報を算出するステップとを含む、請求項6に記載の波長可変光源制御方法。 - 前記電流を算出するステップは、
前記半導体レーザのデバイス温度に対応した、設定すべきバイアス電流及び駆動電流を所定の記憶部に記憶するステップと、
算出された前記デバイス温度に従って、該当するバイアス電流及び駆動電流を前記記憶部から読み出すステップとを含む、請求項6に記載の波長可変光源制御方法。 - 前記電流を算出するステップは、
算出された前記デバイス温度に基づいて、前記半導体レーザのしきい値電流及びスロープ効率を算出するステップと、
算出された前記しきい値電流及び前記スロープ効率から、駆動電流及びバイアス電流をそれぞれ算出するステップとを含む、請求項6に記載の波長可変光源制御方法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2003014936A JP2004228368A (ja) | 2003-01-23 | 2003-01-23 | 直接変調方式を用いた波長可変光源制御回路及び方法 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006351857A (ja) * | 2005-06-16 | 2006-12-28 | Sony Corp | 半導体発光装置 |
JP2012119482A (ja) * | 2010-11-30 | 2012-06-21 | Sumitomo Electric Ind Ltd | 波長可変レーザ装置およびその制御方法 |
US10712200B2 (en) | 2018-02-26 | 2020-07-14 | Seiko Epson Corporation | Spectroscopic apparatus, temperature characteristic derivation apparatus, spectroscopic system, spectroscopy method, and temperature characteristic derivation method |
-
2003
- 2003-01-23 JP JP2003014936A patent/JP2004228368A/ja active Pending
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