JP2004224304A - 飛行機運搬台車及び飛行機運搬方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】格納庫により多くの飛行機を簡単に格納することができる飛行機運搬台車を提供すること。
【解決手段】飛行機100のランディングギヤ全てについて台車2,3,3を有し、全ての台車2,3,3には、ランディングギヤを載せる載置板21,41,41を昇降する昇降装置(27,47など)が設けられ、また少なくともメインランディングギヤに対応する台車3,3には、走行車輪を独立して操舵及び駆動させる複数の走行装置11,31,31が設けられた飛行機運搬台車1。
【選択図】 図1
【解決手段】飛行機100のランディングギヤ全てについて台車2,3,3を有し、全ての台車2,3,3には、ランディングギヤを載せる載置板21,41,41を昇降する昇降装置(27,47など)が設けられ、また少なくともメインランディングギヤに対応する台車3,3には、走行車輪を独立して操舵及び駆動させる複数の走行装置11,31,31が設けられた飛行機運搬台車1。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、飛行機を移動させるための飛行機運搬台車に関し、特に限られたスペースにより多くの航空機を効率よく格納するための飛行機運搬台車に関する。
【0002】
【従来の技術】
飛行機は定期的なメンテナンスを行うような場合、複数機の飛行機を一度に格納庫に入れる場合が多く、飛行機の形状は前後左右に大きく、格納するには広い面積の格納庫を必要とするため、格納できる機数も限定される。その一方で、飛行機は翼や胴体が縦横に長く、格納する面積に比べて実際の投影面積は小さいため、翼同士が干渉しないように前後に少しずらしたり、前後互い違いにしたりして工夫することにより格納可能な数を増やすことは可能であると考えられる。
【0003】
一方、飛行機は横行ができないため、例えば飛行場においてエプロンから格納庫へ格納させるような場合には、牽引車両が飛行機を引っ張ったり、後方に押したりして移動させる。そうした牽引車両には、従来から大きく分けて2つのタイプがあり、一つは牽引棒をノーズランディングギヤ(前脚)に連結して飛行機を移動させるトーイングトラクタといわれるタイプのものであり、もう一つは、例えば特開平5−193589号公報に記載されるように、牽引棒を用いることなくノーズランディングギヤのタイヤを挟み込んで持ち上げた状態で移動させるタイプのものである。
【0004】
【特許文献1】
特開平5−193589号公報(第3−4頁、図1)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、トーイングトラクタで牽引して飛行機を移動させる場合、例えば図15に示す格納庫へは、飛行機の投影面積からすれば更に多くの飛行機を格納できるはずであるが、現実には4機の飛行機しか入れることができなかった。これは、トーイングトラクタ150で牽引する場合、飛行機100自体の小回りが利かず、また飛行機100を前後方向にしか移動させることができないため、格納位置までの進入コースや飛行機自身の向きが制限されてしまい、希望するような位置や方向を向けて配置させることができないからである。また、トーイングトラクタ150は、飛行機100の前方を走行するため、格納時にも飛行機前方にスペースが必要になり、それがデッドスペースになっていた。
【0006】
一方、タイヤを挟んで持ち上げる前記特許文献1に記載するタイプの牽引車両の場合、トーイングトラクタほど飛行機前方を走行しないためデッドスペースは問題にならないが、トーイングトラクタと同様に小回りが利かず、飛行機100を前後方向にしか移動させることができないので多くを格納することは困難であった。また、タイヤを挟み込んで牽引するのは、タイヤを傷付けるおそれもあるため好ましい牽引方法ではなかった。
更に、両タイプの牽引車両とも飛行機を後退させるこは難しく、特に狭い格納庫から飛行機を後ろ向きに出すような場合は、飛行機同士を接触させないようにするなどの配慮が必要になり、高度な技量と経験が要求された。
【0007】
そこで本発明は、かかる課題を解決すべく、格納庫により多くの飛行機を簡単に格納することができる飛行機運搬台車を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の飛行機運搬台車は、飛行機のランディングギヤ全てについて台車を有し、全ての台車には、ランディングギヤを載せる載置板を昇降する昇降装置が設けられ、また少なくともメインランディングギヤに対応する台車には、走行車輪を独立して操舵及び駆動させる複数の走行装置が設けられたものであることを特徴とする。
【0009】
よって、本発明によれば、従来のように牽引するものではなく、ランディングギヤを載せた台車について走行車輪を独立して操舵及び駆動させるので、飛行機自身を前後方向に移動させるだけでなく、横行やスピンターンなどさせることができるようになった。そのため、狭いスペースにも飛行機の向きやコースを自在に変えながら進入させることができ、格納庫により多くの飛行機を簡単に格納することができる。
【0010】
また、本発明の飛行機運搬台車は、前記昇降装置が、前記載置板と台車の固定部側との間に長さの等しいリンクバーを平行に軸着してなる平行リンクが構成され、油圧シリンダの伸縮作動によって当該リンクバーを揺動させることによって前記載置板を昇降させるようにしたものであることを特徴とする。
よって、本発明によれば、平行リンクによって載置板が昇降可能になっているため、昇降の際に載置板をほぼ水平な状態に保って飛行機のバランスを崩すことなく持ち上げることができる。また、リンク機構によってバランス良く載置板を昇降させるようにしたことで、油圧シリンダの数を減らすことができる。
【0011】
また、本発明の飛行機運搬台車は、前記昇降装置が、前記載置板の上昇時にリンクバーが起立し、油圧シリンダの支持力が失われても荷重が当該リンクバーに支持されて落下しないようにしたものであることを特徴とする。
よって、本発明によれば、載置板を上昇させて飛行機を持ち上げた状態のときに万一油圧シリンダの支持力がなくなっても、起立したリンクバーが支持棒になって急な落下を防止することができる。
【0012】
また、本発明の飛行機運搬台車は、前記走行装置が、一対の走行車輪がアクスルケースを挟んでアクスル軸に軸支され、そのアクスルケースを回転させる操舵モータと、アクスルケースに設けられてアクスル軸を介し走行車輪に回転を与える走行モータとを有することを特徴とする。
更に、本発明の飛行機運搬台車は、走行路に敷設された誘導体を検出するガイドセンサと、そのガイドセンサからの検知信号に基づいて前記操舵モータ及び走行モータの駆動を制御するコントローラとを有し、誘導体をガイドセンサによって検知しながら所定のルートに従って走行するものであることを特徴とする。
【0013】
よって、本発明によれば、飛行機自身を前後方向に移動させるだけでなく、横行やスピンターンなどさせる操舵モータや走行モータを、台車自身がコントローラによって制御することで、無人で飛行機の格納を行わせることもできる。従って、牽引していた従来の場合と比べて経験や技量を必要とせず、格納庫により多くの飛行機を簡単に格納することができる。
【0014】
一方、本発明の飛行機運搬方法は、飛行機のランディングギヤ全てを台車に載せ、少なくともメインランディングギヤに対応する台車の走行車輪について操舵及び駆動を制御することにより飛行機を移動させることを特徴とする。
また、本発明の飛行機運搬方法は、移動する飛行機運搬台車側に設けられたガイドセンサによって検出可能な誘導体を走行路に敷設し、そのガイドセンサからの検知信号に基づいて前記操舵モータ及び走行モータの駆動を制御することによって、誘導体をガイドセンサで検知しながら所定のルートに従った走行を行うようにしたことを特徴とする。
【0015】
よって、本発明によれば、走行車輪を独立して操舵及び駆動させるので、飛行機自身を前後方向に移動させるだけでなく、横行やスピンターンなどさせることができるようになり、格納場所への進入方法が多様になったことで格納庫により多くの飛行機を簡単に格納することができる。また、操舵モータや走行モータを、台車自身がコントローラによって制御しながら走行すれば、飛行機を格納庫へ正確に且つ簡単に格納させることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
次に、本発明に係る飛行機運搬台車の一実施形態について図面を参照しながら以下に説明する。ここで図1は、第1実施形態の飛行機運搬台車に飛行機を載せた状態を示したで平面図ある。飛行機100は、胴体と両主翼にランディングギヤ(車輪装置)を備えており、これによって機体が支えられ離着陸時などの走行が可能になっている。本実施形態の飛行機運搬台車1は、このランディングギヤを介して飛行機全体を持ち上げ、牽引するのではなく搭載した状態で飛行機100を移動させるようにしたものでる。
【0017】
飛行機運搬台車1は、各ランディングギヤに1台ずつ走行台車2,3,3を備え、図示するように連結フレーム5によって連結され一つになっている。ただし、走行台車2,3,3は、それぞれ独自に駆動及び操舵の制御が可能な走行装置を有しているため、連結フレーム5をなくして走行台車2,3,3を独立させたものとしてもよい。
【0018】
走行台車2,3,3は、ランディングギヤの大きさ(タイヤ101,102,102の大きさ)に合わせてサイズが異なっており、両主翼のタイヤ102,102に対応する走行台車3,3は同じサイズ及び同じ構造で構成されているが、ノーズランディングギヤのタイヤ101に対応する走行台車2はサイズが小さく、構造も異なっている。しかし、いずれも図示するようにコの字形をした台車本体内にタイヤを載せる載置板が昇降可能に設けられたバケット形状をしたものである。そこで次に、この走行台車2及び走行台車3について具体的に説明する。
【0019】
先ず図2は、走行台車2を示した拡大図であり、図3は、その正面図である。走行台車2は、4台の走行装置11,11…が配置されており、この走行装置11,11…をそれぞれ前後に2台ずつ備えたボディ12,12が角パイプ13によって連結され、一つの台車が構成されている。図4は、この走行装置11を示した図2のA矢視図である。この走行装置11は、操舵用サーボモータ(操舵モータ)15を有し、その回転出力が減速歯車機構16を介して垂設されたフレーム17に伝達されるようになっている。フレーム17には不図示のアクスルケースが一体に形成され、そのアクスルケースを挟んでアクスル軸に軸支された2本の走行車輪18,18には、回転差を吸収できるように差動歯車機構を介して駆動用サーボモータ(走行モータ)19の回転が伝えられるように構成されている。
【0020】
続いて走行台車2は、図2及び図3に示すように、ボディ12,12の間に載置板21を有し、これが昇降可能に構成されている。図5は、その昇降機構を示した図2のB−B断面図である。載置板21は、図2に示すように両側のボディ12,12の内側に配置された昇降枠22,22と一体になって、タイヤ101を載せるバケット形をした載置部が構成されている。そして、昇降枠22,22には、図5に示すような昇降機構が対称的に構成されている。
【0021】
昇降枠22は、前後2本のリンクバー23a,23bによって走行台車2の固定部側に連結されている。すなわち、リンクバー23a,23bは、下端側がボディ12と角パイプ13に固定されたブラケット24a,24bに軸着され、上端側が昇降枠22側のブラケット25a,25bに軸着されている。ここでは、前後のリンクバー23a,23bは、長さが等しく且つ平行に軸着され、昇降枠22とともに平行リンクが構成されている。なお、ボディ12には昇降枠22側に突き出すようにして溶接固定された固定部26が形成され、ブラケット24aは、この固定部26に設けられている。
【0022】
その固定部26には油圧シリンダ27がシリンダチューブ側で軸着され、ピストンロッド先端が昇降枠22に軸着されている。リンク機構によって揺動自在な昇降枠22は、この油圧シリンダ27が伸長作動した場合は図5の実線で示す位置に上昇し、収縮作動した場合はリンクバー23a,23bが前方に傾倒し、二点鎖線で示すように路面Gに着くよう構成されている。従って、昇降枠22,22が下降するとき、一体に形成された載置板21が路面Gに着き、タイヤ101がスムーズに乗り入れられるようになっている。
【0023】
続いて、左右両主翼のメインランディングギヤに対して設けられた走行台車3,3の走行装置と昇降機構とについて説明する。なお、左右のメインランディングギヤは対称的に構成されているため、走行台車3,3も同じ構造をしている。そこで一方の走行台車3のみを示して説明する。ここで、図7は、走行台車3の平面を示した図1の拡大図であり、図8は、走行台車3を図7右側の後方から示したC矢視図であり、更に図9は、走行台車3を示した図7のD矢視図である。
【0024】
走行台車3は、4台の走行装置31,31…が配置されており、この走行装置31,31…をそれぞれ前後に2台ずつ備えたボディ32,32が角パイプ33によって連結され、一つの台車が構成されている。先ず、図9に示すように、この走行台車3に設けられた走行装置31は、操舵用サーボモータ(操舵モータ)35を有し、その回転出力が減速歯車機構36を介して垂設されたフレーム37に伝達されるようになっている。フレーム37にはアクスルケース40(図8参照)が一体に形成され、そのアクスルケースを挟んでアクスル軸に軸支された2本の走行車輪38,38には、回転差を吸収できるように差動歯車機構を介して駆動用サーボモータ(走行モータ)39の回転が伝えられるように構成されている。
【0025】
次に、走行台車3は、ボディ32,32の間に載置板41を有し、これが昇降機構によって昇降するよう構成されてる。ここで、図10は、図7のE−E断面図である。載置板41は、図7に示すようにボディ32,32の内側に配置された昇降枠42,42と一体になり、飛行機のタイヤ102を載せるバケット形をした載置部を構成している。そして、その昇降枠42,42には対称的に図10に示す昇降機構が構成されている。
【0026】
昇降枠42は、前後2本のリンクバー43a,43bによって走行台車3の固定部側に連結されている。すなわち、リンクバー43a,43bは、下端側がボディ32と角パイプ33に固定されたブラケット44a,44bに軸着され、上端側が昇降枠42側のブラケット45a,45bに軸着されている。そして、ここでも前後のリンクバー43a,43bは、長さが等しく且つ平行に軸着され、昇降枠42とともに平行リンクが構成されている。なお、ボディ32には昇降枠42側に突き出すようにして溶接固定された固定部46が形成され、ブラケット44aは、この固定部46に設けられている。
【0027】
固定部46には、油圧シリンダ47がシリンダチューブ側で軸着され、ピストンロッド先端が昇降枠42に軸着されている。リンク機構によって揺動自在な昇降枠42は、この油圧シリンダ47が伸長作動した場合は図10の実線で示す位置に上昇し、収縮作動した場合はリンクバー43a,43bが前方に傾倒し、二点鎖線で示すように路面Gに着くよう構成されている。従って、昇降枠42,42が下降するとき、一体に形成された載置板41が路面Gに着き、タイヤ102がスムーズに乗り入れられるようになっている。
【0028】
続いて、この飛行機運搬台車1は、飛行機100を後退させて各走行台車2,3,3の前方からタイヤ101,102,102を載置板21,41,41の上に載せることによって運搬可能な状態にする。そのための移載機構が走行台車2に構成され、またそのとき飛行機100と走行台車2とを連結する接続台車60が用意されている。ここで図6は図2のF−F断面を示した図である。図2及び図6に示すように、走行台車2の後方には移載用サーボモータ51が設置され、更にその後方には、昇降枠22,22に送り軸52が回転自在に支持されている。移載用サーボモータ51の回転軸は減速機53に連結され、プーリ54a,54bを介して掛け渡されたベルト55によって、移載用サーボモータ51から送り軸52へと回転が伝えられるように構成されている。
【0029】
昇降枠22,22の内側には、走行台車2の後方に位置する送り軸52に形成されたスプロケット56aと、前方にて昇降枠22に軸支されたスプロケット56bとが配置され、両スプロケット56a,56bにチェーン57が前後方向に掛け渡されている。そして、図2に示すように左右両方のチェーン57,57には引込み棒58が連結され、これが移載用サーボモータ51の駆動によってチェーン57,57が回って前後方向に移動するよう構成されている。接続台車60は、この引込み棒58と飛行機100のノーズランディングギヤとを連結するものである。
【0030】
接続台車60は、図2及び図6に示すように、キャスタ61,61…を備えた2本のフレーム62,62が連結され、作業者が移動させやすいようにハンドル63が取り付けられている。フレーム62,62の間には所定の高さでブラケット64が取り付けられ、そこにはノーズランディングギヤ(トーバー取付ピン103)に接続可能なアタッチメント65がピン止めできるようになっている。アタッチメント65は、対象となる飛行機100に対応して付け替えが可能である。更に、フレーム62,62の先端には、引込み棒58に対して止めピンで連結できるように連結部62a,62aが形成され、アタッチメント65には、レバー66によって先端のフック66aがトーバー取付ピン103に引っかけられるようになっている。
【0031】
ところで飛行機搬送台車1には、各走行装置11…,31…に対し、その走行車輪18,38の操舵及び駆動を各々制御するための多軸駆動制御システムが構成されている。図11は、多軸駆動制御システムの一例を示すブロック図である。飛行機搬送台車1には、例えば走行台車3に、操舵モータ15,35及び走行モータ19,39(図11では、これをまとめて「サーボモータ71」とする)を駆動制御するためのコントローラ70と、そのコントローラ70が出力する駆動指令に従ってサーボモータ71,71…を駆動するサーボアンプ72,72…とが搭載されている。
【0032】
コントローラ70には、各サーボモータ71,71…を駆動制御する複数のサーボアンプ72,72…が1本の通信ケーブル73によって順に接続され、複数のサーボアンプ72,72…がコントローラ70とシリアル通信回線で並列配線(マルチドロップ配線)されている。コントローラ70とサーボアンプ72,72…とは1対N通信が可能なRS422インターフェイスが備えられており、それに接続された通信ケーブル73によって両者の間でデータ通信が行われるようになっている。
【0033】
そしてコントローラ70では、複数のサーボモータ71,71…を制御するための制御指令信号がそれぞれ発信され、各サーボアンプ72,72…からの帰還信号を受け取って複数のサーボモータ71,71…のフィードバック制御が行われるようになっている。また、サーボアンプ72,72…は、コントローラ70からの制御指令信号に基づき、それぞれのサーボモータ71,71…に電力を供給し、これらの駆動を制御するようになっている。なお、サーボモータ71,71…への電力供給には、走行台車3などに設置された不図示のバッテリが使用される。
【0034】
飛行機運搬台車1は、これを手動操作によって走行させる場合と、自動走行させる場合とがある。手動操作による場合は、例えばケーブル付きのペンダントがコントローラ70に接続され、オペレータが入力した入力信号に従ってコントローラ70から制御指令信号が発信される。一方、自動走行による場合は、オペレータによるペンダントからの入力により、所定ルートを走行するための走行プログラムに従い、コントローラ70から制御指令信号が発信されるようになっている。
【0035】
こうした自動走行のため走行路上には誘導体が敷設され、それを検出するガイドセンサ75,75…が図4に示すように走行車輪18,18…の前後に設置されている。また、それぞれの走行装置11…,31…には、操舵用レゾルバと走行用レゾルバとが設けられている。そして、コントローラ70は、ガイドセンサ75,75…から送られる信号、入力された走行諸条件、そしてレゾルバからサーボアンプ72,72…を通してフィードバックされる走行速度や操舵角度のデータに基づいてその時点の車体姿勢を自動演算する演算処理装置を有している。
【0036】
そこで、自動走行の場合には、コントローラ70が各走行車輪装置11…,31…にとって適切な走行速度及び操舵角度を計算し、各サーボモータ71,71…(操舵モータ15,35及び走行モータ19,39)を駆動すべき走行条件にあった制御定数を制御ループ内で時々刻々変化する走行条件に合わせて、テーブル化された制御定数より最適な制御定数を選択し、それぞれのサーボアンプ72,72…に駆動指令を出力する制御ループを形成するようにしている。
【0037】
次に、この飛行機運搬台車1を使用した飛行機100の格納について説明する。飛行機運搬台車1は、飛行場のエプロンなどに停止している飛行機100に対して後方から機体下に進入し、走行台車2,3,3がそれぞれノーズランディングギヤ及びメインランディングギヤの直前で停止する。具体的には、接続台車60を連結させることができるように、図2に示すようノーズランディングギヤのタイヤ101が走行台車2内に入る位置まで接近して止められる。そして、接続台車60が作業者によって運ばれ、連結部62a,62aが走行台車2の引込み棒58に連結されるとともに、アタッチメント65がトーバー取付ピン103に連結される。
【0038】
接続台車60の連結が終了すると、走行台車2では移載用サーボモータ51が駆動し、その回転が減速機53からベルト55を介して送り軸52へと伝えられる。送り軸52が回転することにより、チェーン57,57が掛け渡されたスプロケット56a,56bが回転し、引込み棒58の位置が波線で示した位置にまで後退する。引込み棒58には接続台車60を介してノーズランディングギヤが連結されているため、移載用サーボモータ51の駆動によりタイヤ101,102,102が転がり、飛行機100全体が後方に引っ張られる。そして後退した飛行機100は、各ランディングギヤのタイヤ101,102,102が、それぞれ走行台車2,3,3の載置板21,41,41に乗り上げられる。
【0039】
各走行台車2,3,3では、次にランディングギヤを載せた載置板21,41,41のリフトアップによって、飛行機運搬台車1によって飛行機100全体が持ち上げられる。リフトアップは各走行台車2,3,3で同時に行われる。
走行台車2では、図5において二点鎖線で示すように、昇降枠22が路面Gに着いた状態でノーズランディングギヤが載せられる。このとき油圧シリンダ27は収縮状態にあり、リンクバー23a,23bは、その中心線が二点鎖線で示すように前傾している。そして、ノーズランディングギヤが載せられた後、油圧シリンダ27が伸長作動することにより、昇降枠22が後方に移動すると同時に上方へと持ち上げられる。
【0040】
一方、走行台車3では、図10において二点鎖線で示すように、昇降枠42が路面Gに着いた状態でメインランディングギヤが載せられる。このとき油圧シリンダ47は収縮状態にあり、リンクバー43a,43bは、その中心線が二点鎖線で示すように前傾している。そして、メインランディングギヤが載せられた後、油圧シリンダ47が伸長作動することにより、昇降枠42が後方に移動すると同時に上方へ持ち上げられる。なお、こうした走行台車2,3,3の昇降動作は、リンクバー23a,23b/43a,43bによって平行リンクが構成されているため、載置板21,41,41は水平状態を維持したままで、飛行機100は、姿勢を傾かせることなく持ち上げられる。
【0041】
走行台車2,3,3は、載置板21,41,41をリフトアップして飛行機100を持ち上げたまま各走行装置11…,31…,31…の走行によって所定の位置へ飛行機100の搬送が行われる。すなわち、手動操作によって行われる走行の場合にはオペレータの操作によって、また自動走行の場合にはオペレータが走行ルートを入力することにより行われる。
このとき、コントローラ70は、各走行車輪装置11…,31…にとって適切な走行速度及び操舵角度を計算し、各サーボモータ71,71…(操舵モータ15,35及び走行モータ19,39)を駆動すべき走行条件にあった制御定数を制御ループ内で時々刻々変化する走行条件に合わせて、テーブル化された制御定数より最適な制御定数を選択し、それぞれのサーボアンプ72,72…に駆動指令を出力する制御ループを形成する。
【0042】
そして、自動走行の場合には、コントローラ70が出力した駆動指令に基づいて駆動される各サーボモータ71,71…(操舵モータ15,35及び走行モータ19,39)のデータを一定のサイクルでそれぞれのレゾルバからサーボアンプ72,72…を通してフィードバックさせ、同時にこのデータと、出力された駆動指令に基づいて走行する両ガイドセンサ75,75…からの信号との両者のデータをそれぞれ比較演算し、各走行装置11…,31…それぞれの走行・操舵指令を時々刻々修正して最適な駆動指令を出力し、所定のスキャンタイムでこれを繰り返して最適な走行・操舵制御を行う。これにより、飛行機運搬台車1は、走行路上に敷設された誘導体に沿って忠実な走行姿勢を保ち、適正なルートを通って目的地まで飛行機100の搬送を行う。
【0043】
よって、本実施形態の飛行機運搬台車1によれば、各走行台車2,3,3の走行装置11…,31…,31…において、走行車輪18,18…の操舵角及び回転数を各々制御することができるため、飛行機100を前後走行、横行、更にはスピンターンや全方向に斜行させることが可能である。従って、例えば従来トーイングトラクタで行た場合、格納位置まで飛行機を引っ張っていき、格納位置で多少向きを変える程度のことしか行えなかったが、この飛行機運搬台車1によれば、例えば旋回させて向きを変えそのまま斜行させることができる。そこで、同じ条件で飛行機の格納を比較してみた場合、従来は図15に示すように格納庫200へ4機の飛行機100しか入れられなかったが、本実施形態の飛行機運搬台車1では、図14に示すように6機の飛行機100を格納することができるようになった。
【0044】
更に、本実施形態では、走行路に敷設された誘導体をガイドセンサ75,75…で検出しながら自動走行できるようにもしているため、飛行機の運搬を正確に且つ簡単に行うことができ。また、手動操作する場合にでも、飛行機100全体を持ち上げて走行する飛行機運搬台車1はトーイングトラクタ150のように後退させる際の難しさはなく、高度な技量や経験を必要とせず簡単に運搬することができるようになった。
【0045】
また、運搬中の飛行機運搬台車1は、載置板21,41,41が上昇した状態のままであるが、これは油圧シリンダ27,47に常時油圧がかけられて伸長状態が維持されているからである。一方で、仮に油圧が不意に下がってしまうと圧縮荷重によって油圧シリンダ27,47が収縮してしまう。しかし、本実施形態の飛行機運搬台車1は、載置板21,41,41の上昇時には起立したリンクバー23a,23b/43a,43bが支えとなるため、油圧が不意に下がってしまっても運搬中の飛行機100が落ちてしまうようなことが回避できる。
【0046】
次に、飛行機運搬台車の第2実施形態について簡単に説明する。図12は、本実施形態の飛行機運搬台車を示した平面図であり、図13は側面図である。なお、前記飛行機運搬台車1と同様の構成については同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0047】
この飛行機運搬台車80は、前記実施形態のものと同様に、各ランディングギヤを載せて飛行機全体を持ち上げる台車81及び走行台車82,83を備え、更に中央の走行車84を有し、これらが図示するように連結されている。飛行機は、前後方向にほぼバランスしており、ほとんどの荷重がメインランディングギヤにかかっている。そこで本実施形態では、受ける荷重が小さい台車81をフリーキャスタ91,91…とし、走行台車82,83及び走行車84に走行装置11,31を設けて走行させるようにした。
【0048】
走行車84には、4台の走行装置11,11…(図4参照)が設けられ、走行台車82,83には、中央に走行車84が連結され内側が支持されるため、両端に2台ずつの走行装置31,31…(図9参照)が設けられている。また、走行車84と走行台車82,83には平行リンクと油圧シリンダとによって、載置板21,41,41を昇降させる昇降装置(図5及び図10参照)が構成されている。そしてまた台車81には、移載用サーボモータ51の駆動により接続台車60を介して連結した飛行機をこの載置板21,41,41に載せる移載機構が構成されている(図2及び図6参照)。
【0049】
そこで、この飛行機運搬台車80によって飛行機を格納する場合には、先に説明した飛行機運搬台車1の場合と同様にして、先ず所定の位置に移動させた飛行機運搬台車80を接続台車60を介して飛行機100のノーズランディングギヤに連結され、台車81に設置された移載用サーボモータ51の駆動により、載置板21,41,41へ各ランディングギヤのタイヤ101,102,102が乗り上げられる。そして、台車81及び走行台車82,83の昇降機構によって載置板21,41,41が上昇し、飛行機が持ち上げられる。そして、持ち上げた飛行機100は、走行台車82,83及び走行車84の各走行装置11…,31…,31…の走行によって所定の位置へ飛行機100の搬送が行われる。
【0050】
よって、飛行機運搬台車80によれば、飛行機100を前後走行、横行、更にはスピンターンや全方向に斜行させることが可能であため、図14と図15で比較したように、本実施形態でもより多くの飛行機を格納することができる。そして本実施形態でも、走行路に敷設された誘導体をガイドセンサ75,75…で検出しながら自動走行することで、飛行機の運搬を正確に且つ簡単に行うことができ。また、手動操作する場合にでも、飛行機100全体を持ち上げて走行する飛行機運搬台車80はトーイングトラクタ150のように後退させる際の難しさはなく、硬度な技量や経験を必要とせず簡単に運搬することができる。
なお、本実施形態では、ノーズランディングギヤを載せた台車81に走行装置を設けなかったが、ここにかかる荷重が小さいため、横行や斜行の場合にでもフリーキャスタ91,91…が当該走行方向に倣うため、横行や斜行の走行に問題はない。
【0051】
以上、飛行機運搬台車及び飛行機運搬方法の一実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
例えば、前記実施形態では、リンク機構を構成して油圧シリンダによって載置板21,41,41を昇降するようにしたが、走行装置に油圧シリンダを設けてジャッキアップ機構をもたせるようにしたものであってもよい。
【0052】
【発明の効果】
本発明は、飛行機のランディングギヤ全てについて台車を有し、全ての台車には、ランディングギヤを載せる載置板を昇降する昇降装置を設け、また少なくともメインランディングギヤに対応する台車には、走行車輪を独立して操舵及び駆動させる複数の走行装置を設けるようにしたので、格納庫により多くの飛行機を簡単に格納することができる飛行機運搬台車を提供することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態の飛行機運搬台車に飛行機を載せた状態を示したで平面図ある。
【図2】走行台車2を示した拡大図である。
【図3】走行台車2を示した正面図である。
【図4】走行装置11を示した図2のA矢視図である。
【図5】走行台車2の昇降機構を示した図2のB−B断面図である。
【図6】図2のF−F断面を示した図である。
【図7】走行台車3の平面を示した図1の拡大図である。
【図8】走行台車3を図7右側の後方から示したC矢視図である。
【図9】走行台車3を示した図7のD矢視図である。
【図10】走行台車3の昇降機構を示した図7のE−E断面図である。
【図11】多軸駆動制御システムの一例を示すブロック図である。
【図12】第2実施形態の飛行機運搬台車を示した平面図である。
【図13】第2実施形態の飛行機運搬台車を示した側面図である。
【図14】本発明に係る飛行機運搬台車によって飛行機を格納庫に格納した状態を示した図である。
【図15】トーイングトラクタによって飛行機を格納庫に格納した状態を示した図である。
【符号の説明】
1 飛行機運搬台車
2,3,3 走行台車
11,31 走行装置
15,35 操舵モータ
19,39 走行モータ
23a,23b,43a,43b リンクバー
27,47 油圧シリンダ
【発明の属する技術分野】
本発明は、飛行機を移動させるための飛行機運搬台車に関し、特に限られたスペースにより多くの航空機を効率よく格納するための飛行機運搬台車に関する。
【0002】
【従来の技術】
飛行機は定期的なメンテナンスを行うような場合、複数機の飛行機を一度に格納庫に入れる場合が多く、飛行機の形状は前後左右に大きく、格納するには広い面積の格納庫を必要とするため、格納できる機数も限定される。その一方で、飛行機は翼や胴体が縦横に長く、格納する面積に比べて実際の投影面積は小さいため、翼同士が干渉しないように前後に少しずらしたり、前後互い違いにしたりして工夫することにより格納可能な数を増やすことは可能であると考えられる。
【0003】
一方、飛行機は横行ができないため、例えば飛行場においてエプロンから格納庫へ格納させるような場合には、牽引車両が飛行機を引っ張ったり、後方に押したりして移動させる。そうした牽引車両には、従来から大きく分けて2つのタイプがあり、一つは牽引棒をノーズランディングギヤ(前脚)に連結して飛行機を移動させるトーイングトラクタといわれるタイプのものであり、もう一つは、例えば特開平5−193589号公報に記載されるように、牽引棒を用いることなくノーズランディングギヤのタイヤを挟み込んで持ち上げた状態で移動させるタイプのものである。
【0004】
【特許文献1】
特開平5−193589号公報(第3−4頁、図1)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、トーイングトラクタで牽引して飛行機を移動させる場合、例えば図15に示す格納庫へは、飛行機の投影面積からすれば更に多くの飛行機を格納できるはずであるが、現実には4機の飛行機しか入れることができなかった。これは、トーイングトラクタ150で牽引する場合、飛行機100自体の小回りが利かず、また飛行機100を前後方向にしか移動させることができないため、格納位置までの進入コースや飛行機自身の向きが制限されてしまい、希望するような位置や方向を向けて配置させることができないからである。また、トーイングトラクタ150は、飛行機100の前方を走行するため、格納時にも飛行機前方にスペースが必要になり、それがデッドスペースになっていた。
【0006】
一方、タイヤを挟んで持ち上げる前記特許文献1に記載するタイプの牽引車両の場合、トーイングトラクタほど飛行機前方を走行しないためデッドスペースは問題にならないが、トーイングトラクタと同様に小回りが利かず、飛行機100を前後方向にしか移動させることができないので多くを格納することは困難であった。また、タイヤを挟み込んで牽引するのは、タイヤを傷付けるおそれもあるため好ましい牽引方法ではなかった。
更に、両タイプの牽引車両とも飛行機を後退させるこは難しく、特に狭い格納庫から飛行機を後ろ向きに出すような場合は、飛行機同士を接触させないようにするなどの配慮が必要になり、高度な技量と経験が要求された。
【0007】
そこで本発明は、かかる課題を解決すべく、格納庫により多くの飛行機を簡単に格納することができる飛行機運搬台車を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の飛行機運搬台車は、飛行機のランディングギヤ全てについて台車を有し、全ての台車には、ランディングギヤを載せる載置板を昇降する昇降装置が設けられ、また少なくともメインランディングギヤに対応する台車には、走行車輪を独立して操舵及び駆動させる複数の走行装置が設けられたものであることを特徴とする。
【0009】
よって、本発明によれば、従来のように牽引するものではなく、ランディングギヤを載せた台車について走行車輪を独立して操舵及び駆動させるので、飛行機自身を前後方向に移動させるだけでなく、横行やスピンターンなどさせることができるようになった。そのため、狭いスペースにも飛行機の向きやコースを自在に変えながら進入させることができ、格納庫により多くの飛行機を簡単に格納することができる。
【0010】
また、本発明の飛行機運搬台車は、前記昇降装置が、前記載置板と台車の固定部側との間に長さの等しいリンクバーを平行に軸着してなる平行リンクが構成され、油圧シリンダの伸縮作動によって当該リンクバーを揺動させることによって前記載置板を昇降させるようにしたものであることを特徴とする。
よって、本発明によれば、平行リンクによって載置板が昇降可能になっているため、昇降の際に載置板をほぼ水平な状態に保って飛行機のバランスを崩すことなく持ち上げることができる。また、リンク機構によってバランス良く載置板を昇降させるようにしたことで、油圧シリンダの数を減らすことができる。
【0011】
また、本発明の飛行機運搬台車は、前記昇降装置が、前記載置板の上昇時にリンクバーが起立し、油圧シリンダの支持力が失われても荷重が当該リンクバーに支持されて落下しないようにしたものであることを特徴とする。
よって、本発明によれば、載置板を上昇させて飛行機を持ち上げた状態のときに万一油圧シリンダの支持力がなくなっても、起立したリンクバーが支持棒になって急な落下を防止することができる。
【0012】
また、本発明の飛行機運搬台車は、前記走行装置が、一対の走行車輪がアクスルケースを挟んでアクスル軸に軸支され、そのアクスルケースを回転させる操舵モータと、アクスルケースに設けられてアクスル軸を介し走行車輪に回転を与える走行モータとを有することを特徴とする。
更に、本発明の飛行機運搬台車は、走行路に敷設された誘導体を検出するガイドセンサと、そのガイドセンサからの検知信号に基づいて前記操舵モータ及び走行モータの駆動を制御するコントローラとを有し、誘導体をガイドセンサによって検知しながら所定のルートに従って走行するものであることを特徴とする。
【0013】
よって、本発明によれば、飛行機自身を前後方向に移動させるだけでなく、横行やスピンターンなどさせる操舵モータや走行モータを、台車自身がコントローラによって制御することで、無人で飛行機の格納を行わせることもできる。従って、牽引していた従来の場合と比べて経験や技量を必要とせず、格納庫により多くの飛行機を簡単に格納することができる。
【0014】
一方、本発明の飛行機運搬方法は、飛行機のランディングギヤ全てを台車に載せ、少なくともメインランディングギヤに対応する台車の走行車輪について操舵及び駆動を制御することにより飛行機を移動させることを特徴とする。
また、本発明の飛行機運搬方法は、移動する飛行機運搬台車側に設けられたガイドセンサによって検出可能な誘導体を走行路に敷設し、そのガイドセンサからの検知信号に基づいて前記操舵モータ及び走行モータの駆動を制御することによって、誘導体をガイドセンサで検知しながら所定のルートに従った走行を行うようにしたことを特徴とする。
【0015】
よって、本発明によれば、走行車輪を独立して操舵及び駆動させるので、飛行機自身を前後方向に移動させるだけでなく、横行やスピンターンなどさせることができるようになり、格納場所への進入方法が多様になったことで格納庫により多くの飛行機を簡単に格納することができる。また、操舵モータや走行モータを、台車自身がコントローラによって制御しながら走行すれば、飛行機を格納庫へ正確に且つ簡単に格納させることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
次に、本発明に係る飛行機運搬台車の一実施形態について図面を参照しながら以下に説明する。ここで図1は、第1実施形態の飛行機運搬台車に飛行機を載せた状態を示したで平面図ある。飛行機100は、胴体と両主翼にランディングギヤ(車輪装置)を備えており、これによって機体が支えられ離着陸時などの走行が可能になっている。本実施形態の飛行機運搬台車1は、このランディングギヤを介して飛行機全体を持ち上げ、牽引するのではなく搭載した状態で飛行機100を移動させるようにしたものでる。
【0017】
飛行機運搬台車1は、各ランディングギヤに1台ずつ走行台車2,3,3を備え、図示するように連結フレーム5によって連結され一つになっている。ただし、走行台車2,3,3は、それぞれ独自に駆動及び操舵の制御が可能な走行装置を有しているため、連結フレーム5をなくして走行台車2,3,3を独立させたものとしてもよい。
【0018】
走行台車2,3,3は、ランディングギヤの大きさ(タイヤ101,102,102の大きさ)に合わせてサイズが異なっており、両主翼のタイヤ102,102に対応する走行台車3,3は同じサイズ及び同じ構造で構成されているが、ノーズランディングギヤのタイヤ101に対応する走行台車2はサイズが小さく、構造も異なっている。しかし、いずれも図示するようにコの字形をした台車本体内にタイヤを載せる載置板が昇降可能に設けられたバケット形状をしたものである。そこで次に、この走行台車2及び走行台車3について具体的に説明する。
【0019】
先ず図2は、走行台車2を示した拡大図であり、図3は、その正面図である。走行台車2は、4台の走行装置11,11…が配置されており、この走行装置11,11…をそれぞれ前後に2台ずつ備えたボディ12,12が角パイプ13によって連結され、一つの台車が構成されている。図4は、この走行装置11を示した図2のA矢視図である。この走行装置11は、操舵用サーボモータ(操舵モータ)15を有し、その回転出力が減速歯車機構16を介して垂設されたフレーム17に伝達されるようになっている。フレーム17には不図示のアクスルケースが一体に形成され、そのアクスルケースを挟んでアクスル軸に軸支された2本の走行車輪18,18には、回転差を吸収できるように差動歯車機構を介して駆動用サーボモータ(走行モータ)19の回転が伝えられるように構成されている。
【0020】
続いて走行台車2は、図2及び図3に示すように、ボディ12,12の間に載置板21を有し、これが昇降可能に構成されている。図5は、その昇降機構を示した図2のB−B断面図である。載置板21は、図2に示すように両側のボディ12,12の内側に配置された昇降枠22,22と一体になって、タイヤ101を載せるバケット形をした載置部が構成されている。そして、昇降枠22,22には、図5に示すような昇降機構が対称的に構成されている。
【0021】
昇降枠22は、前後2本のリンクバー23a,23bによって走行台車2の固定部側に連結されている。すなわち、リンクバー23a,23bは、下端側がボディ12と角パイプ13に固定されたブラケット24a,24bに軸着され、上端側が昇降枠22側のブラケット25a,25bに軸着されている。ここでは、前後のリンクバー23a,23bは、長さが等しく且つ平行に軸着され、昇降枠22とともに平行リンクが構成されている。なお、ボディ12には昇降枠22側に突き出すようにして溶接固定された固定部26が形成され、ブラケット24aは、この固定部26に設けられている。
【0022】
その固定部26には油圧シリンダ27がシリンダチューブ側で軸着され、ピストンロッド先端が昇降枠22に軸着されている。リンク機構によって揺動自在な昇降枠22は、この油圧シリンダ27が伸長作動した場合は図5の実線で示す位置に上昇し、収縮作動した場合はリンクバー23a,23bが前方に傾倒し、二点鎖線で示すように路面Gに着くよう構成されている。従って、昇降枠22,22が下降するとき、一体に形成された載置板21が路面Gに着き、タイヤ101がスムーズに乗り入れられるようになっている。
【0023】
続いて、左右両主翼のメインランディングギヤに対して設けられた走行台車3,3の走行装置と昇降機構とについて説明する。なお、左右のメインランディングギヤは対称的に構成されているため、走行台車3,3も同じ構造をしている。そこで一方の走行台車3のみを示して説明する。ここで、図7は、走行台車3の平面を示した図1の拡大図であり、図8は、走行台車3を図7右側の後方から示したC矢視図であり、更に図9は、走行台車3を示した図7のD矢視図である。
【0024】
走行台車3は、4台の走行装置31,31…が配置されており、この走行装置31,31…をそれぞれ前後に2台ずつ備えたボディ32,32が角パイプ33によって連結され、一つの台車が構成されている。先ず、図9に示すように、この走行台車3に設けられた走行装置31は、操舵用サーボモータ(操舵モータ)35を有し、その回転出力が減速歯車機構36を介して垂設されたフレーム37に伝達されるようになっている。フレーム37にはアクスルケース40(図8参照)が一体に形成され、そのアクスルケースを挟んでアクスル軸に軸支された2本の走行車輪38,38には、回転差を吸収できるように差動歯車機構を介して駆動用サーボモータ(走行モータ)39の回転が伝えられるように構成されている。
【0025】
次に、走行台車3は、ボディ32,32の間に載置板41を有し、これが昇降機構によって昇降するよう構成されてる。ここで、図10は、図7のE−E断面図である。載置板41は、図7に示すようにボディ32,32の内側に配置された昇降枠42,42と一体になり、飛行機のタイヤ102を載せるバケット形をした載置部を構成している。そして、その昇降枠42,42には対称的に図10に示す昇降機構が構成されている。
【0026】
昇降枠42は、前後2本のリンクバー43a,43bによって走行台車3の固定部側に連結されている。すなわち、リンクバー43a,43bは、下端側がボディ32と角パイプ33に固定されたブラケット44a,44bに軸着され、上端側が昇降枠42側のブラケット45a,45bに軸着されている。そして、ここでも前後のリンクバー43a,43bは、長さが等しく且つ平行に軸着され、昇降枠42とともに平行リンクが構成されている。なお、ボディ32には昇降枠42側に突き出すようにして溶接固定された固定部46が形成され、ブラケット44aは、この固定部46に設けられている。
【0027】
固定部46には、油圧シリンダ47がシリンダチューブ側で軸着され、ピストンロッド先端が昇降枠42に軸着されている。リンク機構によって揺動自在な昇降枠42は、この油圧シリンダ47が伸長作動した場合は図10の実線で示す位置に上昇し、収縮作動した場合はリンクバー43a,43bが前方に傾倒し、二点鎖線で示すように路面Gに着くよう構成されている。従って、昇降枠42,42が下降するとき、一体に形成された載置板41が路面Gに着き、タイヤ102がスムーズに乗り入れられるようになっている。
【0028】
続いて、この飛行機運搬台車1は、飛行機100を後退させて各走行台車2,3,3の前方からタイヤ101,102,102を載置板21,41,41の上に載せることによって運搬可能な状態にする。そのための移載機構が走行台車2に構成され、またそのとき飛行機100と走行台車2とを連結する接続台車60が用意されている。ここで図6は図2のF−F断面を示した図である。図2及び図6に示すように、走行台車2の後方には移載用サーボモータ51が設置され、更にその後方には、昇降枠22,22に送り軸52が回転自在に支持されている。移載用サーボモータ51の回転軸は減速機53に連結され、プーリ54a,54bを介して掛け渡されたベルト55によって、移載用サーボモータ51から送り軸52へと回転が伝えられるように構成されている。
【0029】
昇降枠22,22の内側には、走行台車2の後方に位置する送り軸52に形成されたスプロケット56aと、前方にて昇降枠22に軸支されたスプロケット56bとが配置され、両スプロケット56a,56bにチェーン57が前後方向に掛け渡されている。そして、図2に示すように左右両方のチェーン57,57には引込み棒58が連結され、これが移載用サーボモータ51の駆動によってチェーン57,57が回って前後方向に移動するよう構成されている。接続台車60は、この引込み棒58と飛行機100のノーズランディングギヤとを連結するものである。
【0030】
接続台車60は、図2及び図6に示すように、キャスタ61,61…を備えた2本のフレーム62,62が連結され、作業者が移動させやすいようにハンドル63が取り付けられている。フレーム62,62の間には所定の高さでブラケット64が取り付けられ、そこにはノーズランディングギヤ(トーバー取付ピン103)に接続可能なアタッチメント65がピン止めできるようになっている。アタッチメント65は、対象となる飛行機100に対応して付け替えが可能である。更に、フレーム62,62の先端には、引込み棒58に対して止めピンで連結できるように連結部62a,62aが形成され、アタッチメント65には、レバー66によって先端のフック66aがトーバー取付ピン103に引っかけられるようになっている。
【0031】
ところで飛行機搬送台車1には、各走行装置11…,31…に対し、その走行車輪18,38の操舵及び駆動を各々制御するための多軸駆動制御システムが構成されている。図11は、多軸駆動制御システムの一例を示すブロック図である。飛行機搬送台車1には、例えば走行台車3に、操舵モータ15,35及び走行モータ19,39(図11では、これをまとめて「サーボモータ71」とする)を駆動制御するためのコントローラ70と、そのコントローラ70が出力する駆動指令に従ってサーボモータ71,71…を駆動するサーボアンプ72,72…とが搭載されている。
【0032】
コントローラ70には、各サーボモータ71,71…を駆動制御する複数のサーボアンプ72,72…が1本の通信ケーブル73によって順に接続され、複数のサーボアンプ72,72…がコントローラ70とシリアル通信回線で並列配線(マルチドロップ配線)されている。コントローラ70とサーボアンプ72,72…とは1対N通信が可能なRS422インターフェイスが備えられており、それに接続された通信ケーブル73によって両者の間でデータ通信が行われるようになっている。
【0033】
そしてコントローラ70では、複数のサーボモータ71,71…を制御するための制御指令信号がそれぞれ発信され、各サーボアンプ72,72…からの帰還信号を受け取って複数のサーボモータ71,71…のフィードバック制御が行われるようになっている。また、サーボアンプ72,72…は、コントローラ70からの制御指令信号に基づき、それぞれのサーボモータ71,71…に電力を供給し、これらの駆動を制御するようになっている。なお、サーボモータ71,71…への電力供給には、走行台車3などに設置された不図示のバッテリが使用される。
【0034】
飛行機運搬台車1は、これを手動操作によって走行させる場合と、自動走行させる場合とがある。手動操作による場合は、例えばケーブル付きのペンダントがコントローラ70に接続され、オペレータが入力した入力信号に従ってコントローラ70から制御指令信号が発信される。一方、自動走行による場合は、オペレータによるペンダントからの入力により、所定ルートを走行するための走行プログラムに従い、コントローラ70から制御指令信号が発信されるようになっている。
【0035】
こうした自動走行のため走行路上には誘導体が敷設され、それを検出するガイドセンサ75,75…が図4に示すように走行車輪18,18…の前後に設置されている。また、それぞれの走行装置11…,31…には、操舵用レゾルバと走行用レゾルバとが設けられている。そして、コントローラ70は、ガイドセンサ75,75…から送られる信号、入力された走行諸条件、そしてレゾルバからサーボアンプ72,72…を通してフィードバックされる走行速度や操舵角度のデータに基づいてその時点の車体姿勢を自動演算する演算処理装置を有している。
【0036】
そこで、自動走行の場合には、コントローラ70が各走行車輪装置11…,31…にとって適切な走行速度及び操舵角度を計算し、各サーボモータ71,71…(操舵モータ15,35及び走行モータ19,39)を駆動すべき走行条件にあった制御定数を制御ループ内で時々刻々変化する走行条件に合わせて、テーブル化された制御定数より最適な制御定数を選択し、それぞれのサーボアンプ72,72…に駆動指令を出力する制御ループを形成するようにしている。
【0037】
次に、この飛行機運搬台車1を使用した飛行機100の格納について説明する。飛行機運搬台車1は、飛行場のエプロンなどに停止している飛行機100に対して後方から機体下に進入し、走行台車2,3,3がそれぞれノーズランディングギヤ及びメインランディングギヤの直前で停止する。具体的には、接続台車60を連結させることができるように、図2に示すようノーズランディングギヤのタイヤ101が走行台車2内に入る位置まで接近して止められる。そして、接続台車60が作業者によって運ばれ、連結部62a,62aが走行台車2の引込み棒58に連結されるとともに、アタッチメント65がトーバー取付ピン103に連結される。
【0038】
接続台車60の連結が終了すると、走行台車2では移載用サーボモータ51が駆動し、その回転が減速機53からベルト55を介して送り軸52へと伝えられる。送り軸52が回転することにより、チェーン57,57が掛け渡されたスプロケット56a,56bが回転し、引込み棒58の位置が波線で示した位置にまで後退する。引込み棒58には接続台車60を介してノーズランディングギヤが連結されているため、移載用サーボモータ51の駆動によりタイヤ101,102,102が転がり、飛行機100全体が後方に引っ張られる。そして後退した飛行機100は、各ランディングギヤのタイヤ101,102,102が、それぞれ走行台車2,3,3の載置板21,41,41に乗り上げられる。
【0039】
各走行台車2,3,3では、次にランディングギヤを載せた載置板21,41,41のリフトアップによって、飛行機運搬台車1によって飛行機100全体が持ち上げられる。リフトアップは各走行台車2,3,3で同時に行われる。
走行台車2では、図5において二点鎖線で示すように、昇降枠22が路面Gに着いた状態でノーズランディングギヤが載せられる。このとき油圧シリンダ27は収縮状態にあり、リンクバー23a,23bは、その中心線が二点鎖線で示すように前傾している。そして、ノーズランディングギヤが載せられた後、油圧シリンダ27が伸長作動することにより、昇降枠22が後方に移動すると同時に上方へと持ち上げられる。
【0040】
一方、走行台車3では、図10において二点鎖線で示すように、昇降枠42が路面Gに着いた状態でメインランディングギヤが載せられる。このとき油圧シリンダ47は収縮状態にあり、リンクバー43a,43bは、その中心線が二点鎖線で示すように前傾している。そして、メインランディングギヤが載せられた後、油圧シリンダ47が伸長作動することにより、昇降枠42が後方に移動すると同時に上方へ持ち上げられる。なお、こうした走行台車2,3,3の昇降動作は、リンクバー23a,23b/43a,43bによって平行リンクが構成されているため、載置板21,41,41は水平状態を維持したままで、飛行機100は、姿勢を傾かせることなく持ち上げられる。
【0041】
走行台車2,3,3は、載置板21,41,41をリフトアップして飛行機100を持ち上げたまま各走行装置11…,31…,31…の走行によって所定の位置へ飛行機100の搬送が行われる。すなわち、手動操作によって行われる走行の場合にはオペレータの操作によって、また自動走行の場合にはオペレータが走行ルートを入力することにより行われる。
このとき、コントローラ70は、各走行車輪装置11…,31…にとって適切な走行速度及び操舵角度を計算し、各サーボモータ71,71…(操舵モータ15,35及び走行モータ19,39)を駆動すべき走行条件にあった制御定数を制御ループ内で時々刻々変化する走行条件に合わせて、テーブル化された制御定数より最適な制御定数を選択し、それぞれのサーボアンプ72,72…に駆動指令を出力する制御ループを形成する。
【0042】
そして、自動走行の場合には、コントローラ70が出力した駆動指令に基づいて駆動される各サーボモータ71,71…(操舵モータ15,35及び走行モータ19,39)のデータを一定のサイクルでそれぞれのレゾルバからサーボアンプ72,72…を通してフィードバックさせ、同時にこのデータと、出力された駆動指令に基づいて走行する両ガイドセンサ75,75…からの信号との両者のデータをそれぞれ比較演算し、各走行装置11…,31…それぞれの走行・操舵指令を時々刻々修正して最適な駆動指令を出力し、所定のスキャンタイムでこれを繰り返して最適な走行・操舵制御を行う。これにより、飛行機運搬台車1は、走行路上に敷設された誘導体に沿って忠実な走行姿勢を保ち、適正なルートを通って目的地まで飛行機100の搬送を行う。
【0043】
よって、本実施形態の飛行機運搬台車1によれば、各走行台車2,3,3の走行装置11…,31…,31…において、走行車輪18,18…の操舵角及び回転数を各々制御することができるため、飛行機100を前後走行、横行、更にはスピンターンや全方向に斜行させることが可能である。従って、例えば従来トーイングトラクタで行た場合、格納位置まで飛行機を引っ張っていき、格納位置で多少向きを変える程度のことしか行えなかったが、この飛行機運搬台車1によれば、例えば旋回させて向きを変えそのまま斜行させることができる。そこで、同じ条件で飛行機の格納を比較してみた場合、従来は図15に示すように格納庫200へ4機の飛行機100しか入れられなかったが、本実施形態の飛行機運搬台車1では、図14に示すように6機の飛行機100を格納することができるようになった。
【0044】
更に、本実施形態では、走行路に敷設された誘導体をガイドセンサ75,75…で検出しながら自動走行できるようにもしているため、飛行機の運搬を正確に且つ簡単に行うことができ。また、手動操作する場合にでも、飛行機100全体を持ち上げて走行する飛行機運搬台車1はトーイングトラクタ150のように後退させる際の難しさはなく、高度な技量や経験を必要とせず簡単に運搬することができるようになった。
【0045】
また、運搬中の飛行機運搬台車1は、載置板21,41,41が上昇した状態のままであるが、これは油圧シリンダ27,47に常時油圧がかけられて伸長状態が維持されているからである。一方で、仮に油圧が不意に下がってしまうと圧縮荷重によって油圧シリンダ27,47が収縮してしまう。しかし、本実施形態の飛行機運搬台車1は、載置板21,41,41の上昇時には起立したリンクバー23a,23b/43a,43bが支えとなるため、油圧が不意に下がってしまっても運搬中の飛行機100が落ちてしまうようなことが回避できる。
【0046】
次に、飛行機運搬台車の第2実施形態について簡単に説明する。図12は、本実施形態の飛行機運搬台車を示した平面図であり、図13は側面図である。なお、前記飛行機運搬台車1と同様の構成については同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0047】
この飛行機運搬台車80は、前記実施形態のものと同様に、各ランディングギヤを載せて飛行機全体を持ち上げる台車81及び走行台車82,83を備え、更に中央の走行車84を有し、これらが図示するように連結されている。飛行機は、前後方向にほぼバランスしており、ほとんどの荷重がメインランディングギヤにかかっている。そこで本実施形態では、受ける荷重が小さい台車81をフリーキャスタ91,91…とし、走行台車82,83及び走行車84に走行装置11,31を設けて走行させるようにした。
【0048】
走行車84には、4台の走行装置11,11…(図4参照)が設けられ、走行台車82,83には、中央に走行車84が連結され内側が支持されるため、両端に2台ずつの走行装置31,31…(図9参照)が設けられている。また、走行車84と走行台車82,83には平行リンクと油圧シリンダとによって、載置板21,41,41を昇降させる昇降装置(図5及び図10参照)が構成されている。そしてまた台車81には、移載用サーボモータ51の駆動により接続台車60を介して連結した飛行機をこの載置板21,41,41に載せる移載機構が構成されている(図2及び図6参照)。
【0049】
そこで、この飛行機運搬台車80によって飛行機を格納する場合には、先に説明した飛行機運搬台車1の場合と同様にして、先ず所定の位置に移動させた飛行機運搬台車80を接続台車60を介して飛行機100のノーズランディングギヤに連結され、台車81に設置された移載用サーボモータ51の駆動により、載置板21,41,41へ各ランディングギヤのタイヤ101,102,102が乗り上げられる。そして、台車81及び走行台車82,83の昇降機構によって載置板21,41,41が上昇し、飛行機が持ち上げられる。そして、持ち上げた飛行機100は、走行台車82,83及び走行車84の各走行装置11…,31…,31…の走行によって所定の位置へ飛行機100の搬送が行われる。
【0050】
よって、飛行機運搬台車80によれば、飛行機100を前後走行、横行、更にはスピンターンや全方向に斜行させることが可能であため、図14と図15で比較したように、本実施形態でもより多くの飛行機を格納することができる。そして本実施形態でも、走行路に敷設された誘導体をガイドセンサ75,75…で検出しながら自動走行することで、飛行機の運搬を正確に且つ簡単に行うことができ。また、手動操作する場合にでも、飛行機100全体を持ち上げて走行する飛行機運搬台車80はトーイングトラクタ150のように後退させる際の難しさはなく、硬度な技量や経験を必要とせず簡単に運搬することができる。
なお、本実施形態では、ノーズランディングギヤを載せた台車81に走行装置を設けなかったが、ここにかかる荷重が小さいため、横行や斜行の場合にでもフリーキャスタ91,91…が当該走行方向に倣うため、横行や斜行の走行に問題はない。
【0051】
以上、飛行機運搬台車及び飛行機運搬方法の一実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
例えば、前記実施形態では、リンク機構を構成して油圧シリンダによって載置板21,41,41を昇降するようにしたが、走行装置に油圧シリンダを設けてジャッキアップ機構をもたせるようにしたものであってもよい。
【0052】
【発明の効果】
本発明は、飛行機のランディングギヤ全てについて台車を有し、全ての台車には、ランディングギヤを載せる載置板を昇降する昇降装置を設け、また少なくともメインランディングギヤに対応する台車には、走行車輪を独立して操舵及び駆動させる複数の走行装置を設けるようにしたので、格納庫により多くの飛行機を簡単に格納することができる飛行機運搬台車を提供することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態の飛行機運搬台車に飛行機を載せた状態を示したで平面図ある。
【図2】走行台車2を示した拡大図である。
【図3】走行台車2を示した正面図である。
【図4】走行装置11を示した図2のA矢視図である。
【図5】走行台車2の昇降機構を示した図2のB−B断面図である。
【図6】図2のF−F断面を示した図である。
【図7】走行台車3の平面を示した図1の拡大図である。
【図8】走行台車3を図7右側の後方から示したC矢視図である。
【図9】走行台車3を示した図7のD矢視図である。
【図10】走行台車3の昇降機構を示した図7のE−E断面図である。
【図11】多軸駆動制御システムの一例を示すブロック図である。
【図12】第2実施形態の飛行機運搬台車を示した平面図である。
【図13】第2実施形態の飛行機運搬台車を示した側面図である。
【図14】本発明に係る飛行機運搬台車によって飛行機を格納庫に格納した状態を示した図である。
【図15】トーイングトラクタによって飛行機を格納庫に格納した状態を示した図である。
【符号の説明】
1 飛行機運搬台車
2,3,3 走行台車
11,31 走行装置
15,35 操舵モータ
19,39 走行モータ
23a,23b,43a,43b リンクバー
27,47 油圧シリンダ
Claims (7)
- 飛行機のランディングギヤ全てについて台車を有し、全ての台車には、ランディングギヤを載せる載置板を昇降する昇降装置が設けられ、また少なくともメインランディングギヤに対応する台車には、走行車輪を独立して操舵及び駆動させる複数の走行装置が設けられたものであることを特徴とする飛行機運搬台車。
- 請求項1に記載する飛行機運搬台車において、
前記昇降装置は、前記載置板と台車の固定部側との間に長さの等しいリンクバーを平行に軸着してなる平行リンクが構成され、油圧シリンダの伸縮作動によって当該リンクバーを揺動させることによって前記載置板を昇降させるようにしたものであることを特徴とする飛行機運搬台車。 - 請求項2に記載する飛行機運搬台車において、
前記昇降装置は、載置板の上昇時にリンクバーが起立し、油圧シリンダの支持力が失われても荷重が当該リンクバーに支持されて落下しないようにしたものであることを特徴とする飛行機運搬台車。 - 請求項1に記載する飛行機運搬台車において、
前記走行装置は、一対の走行車輪がアクスルケースを挟んでアクスル軸に軸支され、そのアクスルケースを回転させる操舵モータと、アクスルケースに設けられてアクスル軸を介し走行車輪に回転を与える走行モータとを有することを特徴とする飛行機運搬台車。 - 請求項4に記載する飛行機運搬台車において、
走行路に敷設された誘導体を検出するガイドセンサと、そのガイドセンサからの検知信号に基づいて前記操舵モータ及び走行モータの駆動を制御するコントローラとを有し、誘導体をガイドセンサによって検知しながら所定のルートに従って走行するものであることを特徴とする飛行機運搬台車。 - 飛行機のランディングギヤ全てを台車に載せ、少なくともメインランディングギヤに対応する台車の走行車輪について操舵及び駆動を制御することにより飛行機を移動させることを特徴とする飛行機運搬方法。
- 請求項6に記載する飛行機運搬方法において、
移動する飛行機運搬台車側に設けられたガイドセンサによって検出可能な誘導体を走行路に敷設し、そのガイドセンサからの検知信号に基づいて前記操舵モータ及び走行モータの駆動を制御することによって、誘導体をガイドセンサで検知しながら所定のルートに従った走行を行うようにしたことを特徴とする飛行機運搬方法。
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2003
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