JP2004223865A - フレーバー収着性に優れた包装材料 - Google Patents

フレーバー収着性に優れた包装材料 Download PDF

Info

Publication number
JP2004223865A
JP2004223865A JP2003014183A JP2003014183A JP2004223865A JP 2004223865 A JP2004223865 A JP 2004223865A JP 2003014183 A JP2003014183 A JP 2003014183A JP 2003014183 A JP2003014183 A JP 2003014183A JP 2004223865 A JP2004223865 A JP 2004223865A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
resin
acrylic
swelling ratio
acid
film
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2003014183A
Other languages
English (en)
Inventor
Toshinori Moriga
俊典 森賀
Yasuhiro Takasaki
泰裕 高崎
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyo Seikan Group Holdings Ltd
Original Assignee
Toyo Seikan Kaisha Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyo Seikan Kaisha Ltd filed Critical Toyo Seikan Kaisha Ltd
Priority to JP2003014183A priority Critical patent/JP2004223865A/ja
Publication of JP2004223865A publication Critical patent/JP2004223865A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Wrappers (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)

Abstract

【課題】環境性、安全性に優れていると共に、フレーバー収着性に顕著に優れた包装材料、特に優れたフレーバー収着性と塗膜特性を有する塗膜が形成された金属包装体を提供することである。
【解決手段】キシレン膨潤率(X)が2.0重量%以下及び20%エタノール水膨潤率(E)が0.5乃至3.0重量%であり、且つ20%エタノール水膨潤率(E)がキシレン膨潤率(X)よりも大きい膜が内表面に形成されていることを特徴とするフレーバー収着性に優れた包装材料。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、包装材料に関し、より詳細には、フレーバー収着性に顕著に優れた包装材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
缶等の金属包装体においては、金属素材の腐食を防止することを目的として塗料による塗膜や樹脂被覆が形成され、かかる塗膜等には加工性や金属に対する密着性などが要求されている。特に缶内面に形成される塗膜等は、加工性など以外にも内容物の風味やフレーバーを損なうことがないこと、毒性がないこと、塗料成分の溶出がないこと等が要求される。
従来、缶用塗料としては、エポキシ−フェノール系塗料、エポキシ−アミノ系塗料、エポキシ−アクリル系塗料等のエポキシ系塗料や塩化ビニル系塗料が広く使用されているが、エポキシ系塗料は環境ホルモンであるビスフェノールAを使用するものが多く、また塩化ビニル系塗料においては安定剤の問題や焼却時にダイオキシンが発生する問題があり、特に缶内面に用いる塗料においては、これらの物質を含有しない塗料が望まれている。
【0003】
上記物質を含有しない缶用塗料としては、金属との接着性に優れ、焼却時に有毒な腐食ガスを発生しないポリエステル系塗料やアクリル系塗料が使用されている。
ポリエステル系塗料としては、例えば、特許文献1には、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸80〜100モル%及びテレフタル酸以外のジカルボン酸20〜0モル%から成り、グリコール成分としてプロピレングリコール60〜100モル%及びプロピレングリコール以外のグリコール40〜0モル%から成る還元粘度0.4以上のポリエステルであることを特徴とする金属缶内面コーティング材が記載されている。
【0004】
【特許文献1】
特公昭60−36548号
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これらの塗料により形成される塗膜を有する包装材料においては、内容物のフレーバー成分を塗膜が吸着してしまうため、内容物が有するフレーバー特性が顕著に損なわれるという問題がある。すなわち、一般に飲料等におけるフレーバー成分は溶剤と同様の成分であるため、上記塗膜中のポリマー成分と反応し、これによりフレーバー成分は塗膜に吸着されてしまい、その結果内容物の香りが喪失し、内容物の風味に劣るようになるのである。
またこのようなフレーバー成分の吸着は、ポリマーを膨潤させてしまうため、塗膜の密着性や加工性等の塗膜特性をも損なうおそれがあり、上述したようなフレーバー特性と共に、このような塗膜特性を満足し得る塗料は、従来はエポキシ系塗料しかなく、エポキシ系塗料による塗膜以外でこのような特性を満足し得る塗膜を有する包装材料が望まれている。
【0006】
従って本発明の目的は、環境性、安全性に優れていると共に、フレーバー収着性に顕著に優れた包装材料、特に優れたフレーバー収着性と塗膜特性を有する塗膜が形成された金属包装体を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、キシレン膨潤率(X)が2.0重量%以下及び20%エタノール水膨潤率(E)が0.5乃至3.0重量%であり、且つ20%エタノール水膨潤率(E)がキシレン膨潤率(X)よりも大きい膜が内表面に形成されていることを特徴とするフレーバー収着性に優れた包装材料が提供される。
本発明の包装材料においては、
1.前記膜が動的粘弾性測定における150℃の貯蔵弾性率が1MPa以上であること、
2.前記膜がアクリル樹脂又はアクリル変性ポリエステル樹脂を含有する塗料から形成された塗膜であること、
3.膜が金属基体又は樹脂フィルムに形成されていること
が好ましい。
【0008】
【発明の実施形態】
本発明の包装材料は、キシレン膨潤率(X)が2.0重量%以下及び20%エタノール水膨潤率(E)が0.5乃至3.0重量%であり、且つ20%エタノール水膨潤率(E)がキシレン膨潤率(X)よりも大きい膜が内表面に形成されていることが重要な特徴である。
本発明の包装材料においては、内容物中のフレーバー成分の膜への吸着を防止するために、フレーバー成分が疎水性、揮発性を有し、溶剤と同様の成分として考えられることから、フレーバー成分の膜中への吸着量をキシレン膨潤率(X)で表し、このキシレン膨潤率(X)が2.0重量%以下であることによってフレーバー成分の吸着を低減させている。
【0009】
また本発明においては、20%エタノール水膨潤率(E)が0.5乃至3.0重量%の範囲にあり、且つかかる20%エタノール水膨潤率(E)が上記キシレン膨潤率(X)よりも大きいことによって、上記範囲のキシレン膨潤率(X)と相俟ってフレーバー収着性を向上させているのである。
すなわち、フレーバー成分の膜への吸着は、フレーバー成分が膜を構成するポリマーの主鎖、側鎖、末端等に親和・結合すること等に起因するため、本発明の包装材料における膜においては、フレーバー成分よりも多い一定量の親水性成分が膜中に吸着されるようにし、この親水性成分の吸着により、親水性基がポリマーの主鎖、側鎖、末端等に親和・結合して、フレーバー成分との親和・結合点が少なくなり、これによりフレーバー成分の吸着を有効に抑制することが可能になるのである。
【0010】
キシレン膨潤率(X)及び20%エタノール水膨潤率(E)が上述した範囲及び関係にあることにより、フレーバー収着性が顕著に向上されることは後述する実施例の結果からも明らかである。
すなわち、キシレン膨潤率(X)が上記範囲よりも多い場合には、他の条件を満足する場合でも、平均収着率(%)が35%であり、フレーバー収着性に劣っている(比較例2)。また20%エタノール水膨潤率(E)が上記範囲よりも少ない場合には、やはり他の条件を満足する場合でも、平均収着率(%)が32%と、フレーバー性に劣っていることがわかる(比較例1)。更に、キシレン膨潤率(X)及び20%エタノール水膨潤率(E)のいずれも本発明の範囲を満足するとしても、X>Eの場合には、満足するフレーバー収着性が得られていないことが明らかである(比較例3)。
一方、上記条件をすべて満足する実施例においては、上記比較例に比して平均収着率(%)が顕著に低下しており、フレーバー収着性が顕著に改善されていることが明らかである。
【0011】
本発明の包装材料においては、上記条件を満足する膜が包装材料の内表面、すなわち最内面に設けられていることが必要である。すなわち前述した通り、上記条件を満足する膜は、フレーバー収着性に優れたものであるので、内容物と直接接する内表面(最内面)に形成されていることが必要だからである。
また上記膜は動的粘弾性測定における150℃の貯蔵弾性率が1MPa以上、特に3乃至300MPaであることが望ましい。これによりフレーバー収着性が顕著に改善されるのである。すなわち高温弾性率が1MPa以上と高い膜は、熱硬化性樹脂から成る場合には高度に架橋されていることが必要であり、またポリエステル樹脂のような結晶性樹脂から成る場合は高度に結晶化されていることが必要であり、このような膜は耐溶剤性に優れていることから、フレーバー成分が吸着されるのを有効に抑制することが可能になるのである。
このことは後述する実施例の結果からも明らかである。すなわち、動的粘弾性測定における150℃の貯蔵弾性率が1MPa以上の場合には、1MPaより小さいものに比して顕著に平均収着率が低く、フレーバー収着性が顕著に向上されていることがわかる(実施例1から5)。
【0012】
本発明の包装材料は、内表面に前述した特性を有する膜が形成されている限り種々の態様を採用することができ、例えば金属基体上に塗膜が形成された塗装金属板であってもよいし、内表面の膜が樹脂フィルムである樹脂被覆金属板や多層フィルムであってもよい。
以下、上記特性を有する膜が塗膜の場合とフィルムの場合に分けて説明する。
【0013】
[塗膜]
本発明に好適に使用できる塗料は、従来公知の塗料用樹脂を用いることができるが、環境性、安全性の他、塗膜密着性や加工性等の塗膜特性の見地から、アクリル樹脂乃至アクリル変性ポリエステル樹脂を含有する塗料であることが好ましい。また、塗料形態としては溶剤型塗料乃至水性塗料とすることができるが、環境性、安全性の見地からは、水性塗料とすることが特に好ましい。
【0014】
(アクリル樹脂)
アクリル樹脂を構成する不飽和単量体としては以下のものが挙げられる。
親水性を増大させる傾向を有する極性基含有単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマール酸、イタコン酸、シトラコン酸、テトラヒドロフタル酸等のα,β−不飽和カルボン酸、ビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン−5,6−ジカルボン酸等の不飽和カルボン酸、また無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、テトラヒドロ無水フタル酸等のα,β不飽和カルボン酸無水物、ビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン−5,6−ジカルボン酸無水物等の不飽和カルボン酸の無水物、メチロールアクリルアミド、ブトキシメチルメチルアクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド乃至そのN−メチロール化物等の機能誘導体、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチルエステル等の水酸基含有単量体等を挙げることができる。この中でも特に、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド、メチロールアクリルアミドを好適に用いることができる。
【0015】
疎水性を増大させる傾向を有する単量体としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸n−アミル、(メタ)アクリル酸イソアミル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n−オクチル等の(メタ)アクリル酸エステル、スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル単量体等を挙げることができる。中でもアクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、スチレンを好適に用いることができる。
アクリル樹脂の合成には通常のラジカル重合法を用いれば良く、有機溶剤乃至水を媒体として溶液重合、乳化重合、又は懸濁重合等を行うことで合成することができる。モノマー成分100重量部に対して0.5乃至7重量部程度の過酸化ベンゾイル等のラジカル重合開始剤などの存在の下、50乃至130℃で1乃至4時間重合を行うことにより合成される。
【0016】
アクリル樹脂は水酸基、メチロール基、アミノ基、カルボキシル基等の架橋性官能基を導入して自己硬化性として単独で使用することが可能であるし、後述するフェノール樹脂、アミノ樹脂等の熱硬化性樹脂と組み合わせて使用することも可能である。自己硬化性とするためには、アクリル樹脂100g当たり60mmol以上、特に90mmol以上の架橋性官能基を含有していることが、架橋による網目構造の形成による塗膜硬化を促進させ、硬化に伴う分子量を増大させることができる点で好ましい。
また、上記アクリル樹脂は後述するポリエステル樹脂と組み合わせて使用することが可能であり、ポリエステル樹脂の変性剤としても使用できる。ポリエステル樹脂は一般的に疎水性が強く、大きなキシレン膨潤率を示すため、親水性の強いアクリル樹脂と組み合わせることにより、塗膜の親水性と疎水性のバランスをとり、キシレン膨潤率と20%エタノール膨潤率の関係を適正な範囲に調整してフレーバー収着性を抑制することが可能となる。
【0017】
(アクリル変性ポリエステル樹脂)
アクリル変性ポリエステル樹脂を構成するポリエステル樹脂について以下に説明する。
ポリエステル樹脂を構成するポリカルボン酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸や、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、ダイマー酸等の脂肪族ジカルボン酸、また1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸、マレイン酸、フマル酸等の不飽和ジカルボン酸等を挙げることができる。
またポリアルコールとしては、プロピレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタジオール等の他、1,4−シクロヘキサンジメタノール(CHDM)、p−キシリレングリコール等の脂環族ポリアルコールや1,2−プロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、ネオペンチルアルコール等の側鎖を有するポリアルコール、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸等の3級カルボキシル基を有するポリアルコールなどを挙げることができる。
また、3官能以上のポリカルボン酸又はポリオールを共重合することもでき、3官能以上のポリカルボン酸としては、トリメリット酸、ピロメリット酸、これらの無水物等を挙げることができ、3官能以上のポリオールとしては、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等を挙げることができる。
ビスヒドロキシフェニルペンタノイック酸等のジフェノール酸、安息香酸等の一塩基酸もポリエステル樹脂の成分として使用することができる。
【0018】
ポリエステル樹脂は、3000乃至30000、特に5000乃至10000の数平均分子量(Mn)、30℃以上、特に40〜65℃のガラス転移点(Tg)を有することが好ましい。
すなわち、ポリエステル樹脂のガラス転移点(Tg)が上記範囲を下回ると、加熱殺菌に必要な耐湿熱性が低下する傾向があると共に、腐食成分に対するバリヤー性が低下し、缶等の金属包装体の耐腐食性が不十分なものとなる。
また、ポリエステル樹脂の数平均分子量(Mn)が上記範囲を下回ると、上記範囲内にある場合に比して、硬化性、耐湿熱性、加工性、耐デント性、溶出性が低下し、一方上記範囲を上回ると、上記範囲にある場合に比して、塗料粘度が著しく高くなり塗装作業性に劣るようになり、適正な塗膜を形成することが困難になる。
ポリエステル樹脂の酸価には別に制約はないが、ポリエステル樹脂を水性化する場合には、酸価が10mgKOH/g以上あることが好ましい。
ポリエステル樹脂は、エステル交換法や直接エステル化法による通常の高分子量ポリエステルの製造方法により製造される。ただし食品用途に使用される場合には、衛生上問題となる重金属や化合物を触媒、添加剤として使用することは避けるべきである。
【0019】
上述したポリエステル樹脂の中でも、本発明においては、テレフタル酸又はイソフタル酸の少なくとも1種から成るジカルボン酸成分とポリオール成分からなる芳香族ポリエステル樹脂を用いることが特に好ましい。
最も好適には、テレフタル酸が80乃至20モル%、イソフタル酸が20乃至80モル%から成るジカルボン酸成分と、エチレングリコール乃至ブチレングリコールが40乃至80モル%、CHDMが60乃至20モル%から成るポリオール成分からなる芳香族ポリエステル樹脂が好ましい。
【0020】
アクリル変性ポリエステル樹脂を得る方法としては、以下の(1)から(3)の変性法が一般的であるが、これに制限されるものではない。
ポリエステル樹脂のアクリル変性は、(1)不飽和カルボン酸乃至その無水物を必須成分とする単量体のグラフト変性、(2)カルボキシル基含有アクリル樹脂をポリエステル樹脂末端に結合させること、(3)ポリエステル樹脂とカルボキシル基含有アクリル樹脂との混合、によって行うことができる。
【0021】
(1)不飽和カルボン酸乃至その無水物を必須成分とする単量体のグラフト変性によるアクリル変性
ポリエステル樹脂の存在下に、不飽和カルボン酸乃至その無水物を必須成分とする単量体をラジカル重合させて、ポリエステル樹脂をアクリル変性することが可能である。用いる単量体としては、アクリル樹脂のところで前述したものを使用すればよい。
アクリル系単量体のポリエステル樹脂へのグラフト重合は、下記の有機溶媒中で、不活性雰囲気下に、5〜15重量%の過酸化ベンゾイル等の有機過酸化物開始剤の存在下に100乃至130℃の反応温度で行う。アクリル系単量体及び開始剤は有機溶媒中に溶解した状態で反応系に添加することができ、反応系を不活性雰囲気に維持するために、窒素ガスを用いることができる。
【0022】
重合反応は無溶剤下で行うことも可能であるが、一般には、溶剤の存在下に行うのがよい。重合に用いる好適な溶剤は、例えばグリコールエーテル、アルコール、ケトン、アセテート、芳香族炭化水素、及びこれらのあらゆる組み合わせを含む。
ポリエステル樹脂のアクリル系単量体によるグラフト変性を容易、確実に行わせるためには、ポリエステル樹脂に不飽和基を導入することが好ましい。
不飽和基を導入したポリエステル樹脂を用いる場合は、アクリル系単量体のグラフト重合時の開始剤は過酸化物に限定されることなく、アゾ系開始剤等の一般的ラジカル重合開始剤を使用することができる。
アクリル変性ポリエステル樹脂の酸価としては、30乃至600、特に100乃至500mgKOH/gの範囲にあることがフレーバー収着性の観点から好ましい。
【0023】
(2)カルボキシル基含有アクリル樹脂のポリエステル樹脂末端への結合によるアクリル変性
ポリエステル樹脂の末端にカルボキシル基含有アクリル樹脂を結合させることにより、ポリエステル樹脂をアクリル変性することが可能となる。
カルボキシル基含有アクリル樹脂のポリエステル樹脂末端への結合は、予め合成したアクリル樹脂のカルボキシル基とポリエステル樹脂の末端水酸基とのエステル化反応を利用する等、従来既知の官能基反応を利用して行うことができる。また、ポリイソシアネート等を介在させて行うことも可能であるし、ポリエステル樹脂末端に不飽和結合を導入したマクロモノマーを合成し、これとアクリル単量体とを重合反応を行わせることでも調整できる。
【0024】
用いるカルボキシル基含有アクリル樹脂としては、上述したアクリル系単量体から成るものを好適に使用することができ、1000乃至30000の数平均分子量を有することが好ましい。
ポリエステル樹脂とカルボキシル基含有アクリル樹脂の重量比は、90:10乃至10:90であることが好ましい。アクリル変性ポリエステル樹脂の酸価としては、30乃至600、特に100乃至500mgKOH/gの範囲にあることがフレーバー収着性の観点から好ましい。
【0025】
(3)ポリエステル樹脂とカルボキシル基含有アクリル樹脂との混合によるアクリル変性
上記ポリエステル樹脂と上記アクリル樹脂との単純ブレンドによってアクリル変性を行うことも可能である。
ポリエステル樹脂とアクリル樹脂の両者の混合は、溶液同士、分散体同士、溶液と分散体の何れの組合せにおいても行うことができる。
【0026】
(溶剤型塗料)
本発明の金属包装体用塗料においては、上記アクリル樹脂乃至アクリル変性ポリエステル樹脂に、フェノール樹脂、アミノ樹脂等の熱硬化性樹脂を組み合わせて、溶剤型塗料とすることができる。
【0027】
(フェノール樹脂)
フェノール樹脂は、フェノール類とホルムアルデヒド乃至その機能誘導体から誘導される樹脂であるが、フェノール類として石炭酸及び/又はメタクレゾールを主体とするフェノール類、特にレゾール型のフェノール樹脂を用いることが特に好ましい。
石炭酸、メタクレゾール以外のフェノール類としては、特に限定されないが、単環1価フェノール類を好適に用いることができ、例えば、m−エチルフェノール、3,5−キシレノール、m−メトキシフェノール等の3官能性フェノール類;o−クレゾール、p−クレゾール、p−tertブチルフェノール、p−エチルフェノール、2,3−キシレノール、2,5−キシレノール、p−tert−アミルフェノール、p−ノニルフェノール、p−フェニルフェノール、p−シクロヘキシルフェノール等の2官能性フェノール;2,4−キシレノール、2,6−キシレノール等の1官能性フェノール類;を挙げることができる。
【0028】
一方、反応に用いるホルムアルデヒドは一般にホルマリン溶液として入手できるものが使用され、一方ホルムアルデヒドの機能誘導体としては、パラホルムアルデヒド、トリオキサンなどが挙げられる。
【0029】
また、レゾール型フェノール樹脂は、それ自体公知の方法、すなわち、上述したフェノール類とホルムアルデヒドとを塩基性触媒の存在下に反応させることにより得られる。フェノールに対するアルデヒドの使用量には特に制限はなく、従来レゾール型樹脂の製造に使用されている量比で用いることができ、例えばフェノール類1モル当たり1モル以上、特に2乃至6モルの量比のアルデヒドを好適に用いることができるが、1モルよりも少ないアルデヒドを用いても特に不都合はない。
【0030】
また、レゾール型フェノール樹脂のメチロール基をアルキルエーテル化したものを用いることができる。アルキルエーテル化に用いられるアルコールとしては、炭素原子数1〜4個のアルコールを好適に使用することができ、好適なアルコールの例としては、メタノール、エタノール、プロパノール、n−ブタノール、イソブタノール等を挙げることができる。
レゾール型フェノール樹脂のアルキルエーテル化は、一般にレゾール型フェノール樹脂、アルコール、酸触媒の存在下に100乃至130℃の温度で加熱し、縮合水を除きながら1乃至10時間程度の反応を行えばよい。
本発明に用いるフェノール樹脂は、数平均分子量(Mn)が400乃至2000の範囲に、重量平均分子量(Mw)が900乃至9000の範囲にあることが好ましい。
またレゾール型フェノール樹脂は、ベンゼン環1核当たり0.5乃至3個のメチロール基或いはエーテル化メチロール基を有していることが好ましい。
特に好適なレゾール型フェノール樹脂は、石炭酸及び/またはm−クレゾール1モルに対し、3乃至6モルの過剰のホルムアルデヒドを反応させ、更にアルキルエーテル化した数平均分子量(Mn)が500乃至1500の範囲、ベンゼン環1核当たりのメチロール基乃至エーテル化メチロール基濃度が1.2乃至2.2の範囲にあるレゾール型フェノール樹脂である。
【0031】
フェノール樹脂(B)とアクリル樹脂乃至アクリル変性ポリエステル樹脂から成る塗料用樹脂(A)との割合は、A:B=95:5乃至60:40であることが好ましく、塗料用樹脂とフェノール樹脂の相溶性を向上させると共に、良好な網目構造の形成を可能にし、密着性を向上させるために、後述するアミノ樹脂を0乃至10重量%の割合で配合することが好ましい。
【0032】
(アミノ樹脂)
アミノ樹脂は、下記化学式(1)
【化1】
Figure 2004223865
の化合物或いは、下記化学式(2)
【化2】
Figure 2004223865
の化合物と、ホルムアルデヒドとを縮合させることにより得られた樹脂が使用され、特にメタノール、エタノール、n−ブタノール、iso −ブタノール等で、エーテル化したエーテル化アミノ樹脂が好適に使用される。これらのアミノ樹脂はメタノール、ブタノール、キシロール等の溶媒中に溶解させた溶液の形で市販されており、この溶液を添加して塗料の形成に用いる。
【0033】
アミノ樹脂としては、特にベンゾグアナミン樹脂、メラミン樹脂をあげることができ、これらを単独で用いてもよいし、またベンゾグアナミン樹脂とメラミン樹脂をブレンドして用いることもできる。
またアミノ樹脂としては、樹脂100グラム当り、塩基性窒素原子濃度が5乃至20グラム原子、特に8乃至17グラム原子で、メチロール基及びエーテル化メチロール基の濃度が0.5乃至1.9ミリモル、特に0.7乃至1.7ミリモルの範囲内にあるものが、前記特性の点で好都合である。
【0034】
アクリル樹脂乃至アクリル変性ポリエステル樹脂から成る塗料用樹脂(A)とアミノ樹脂(C)の配合割合は、A:C=95:5乃至60:40の範囲にあることが好ましい。
【0035】
(酸触媒)
アクリル樹脂乃至アクリル変性ポリエステル樹脂と上述した熱硬化性樹脂からなる塗料においては、硬化の目的で、酸触媒を配合することが好ましい。酸触媒が配合されていることにより、硬化性、耐湿熱性等の塗膜性能を焼付け条件に左右されることなく向上させることが可能となる。
酸触媒の配合量は塗膜物性に大きな影響を与え、好適には樹脂成分100重量部当たり0.01乃至0.7重量部、特に0.05乃至0.5重量部の量で含有することが望ましい。酸触媒の量が上記範囲を下回ると、塗膜の耐腐食性や耐熱性が不十分であり、一方酸触媒の量が上記範囲を上回ると、やはり耐腐食性が低下したり、塗膜の加工性が低下したりする傾向がある。
【0036】
熱硬化性樹脂の硬化用酸触媒としては、それ自体公知の酸触媒が使用され、例えばリン酸等の無機酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸等の有機酸、乃至それらのアミン中和物等が使用される。勿論、これらは単独でも或いは2種以上の組合せでも使用することができる。
【0037】
(溶剤)
溶剤は樹脂成分100重量部当たり180乃至400重量部の量で含有して成ることが好ましい。即ち、溶剤の量が上記範囲を下回ると、塗装作業性が低下したり、或いは密着性や耐腐食性に優れた塗膜を形成させることが困難となる。一方、溶剤の量が上記範囲を上回ると、十分な厚みの塗膜を形成させることが難しくなり、また多量の溶媒を必要とし、塗料の焼き付けにも熱エネルギーを多く必要とするため、経済的に好ましくない。
溶剤としては、前述した樹脂成分を溶解可能なものであれば、それ自体公知の任意のものを用いることができる。以下のものを好適に使用することができるが、勿論この例に限定されない。
イソプロピルアルコール(IPA)、酢酸イソブチル、n−ブタノール、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル(GIP)、エチレングリコールモノブチルエーテル、メトキシプロピルアセテート、シクロヘキサノン、ソルベッソ100、DBE(二塩基酸エステル)、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(BDG)、ブチルジグリコールアセテート等の溶剤で沸点の異なるものを多種混合して使用する。
本発明においては、塗膜にピンホール等の塗膜欠陥が生じないように、沸点の異なる2種以上の溶剤を混合して用いるのが特に好ましい。
【0038】
また塗料粘度としては、#4フォード・カップ粘度(25℃)で15乃至150秒の範囲が好適である。
【0039】
(水性塗料)
本発明の金属包装体用塗料においては、上記アクリル樹脂乃至アクリル変性ポリエステル樹脂を水性塗料として用いることが特に好ましい。
不飽和カルボン酸乃至その無水物を必須成分としたアクリル樹脂は、水を媒体とした溶液重合乃至乳化重合、溶剤中での重合後に媒体を水に転換することによって、容易に水性塗料とすることができる。必要に応じてカルボキシル基を後述の塩基で中和することにより、水性塗料の安定性や粘性・流動性を調整できる。水性塗料は、前述のように架橋性官能基を導入して自己硬化性とすることができるし、フェノール樹脂、アミノ樹脂等の熱硬化性樹脂とアクリル樹脂を前述の範囲で組み合わせて硬化性を付与し使用することができる。
【0040】
アクリル変性ポリエステル樹脂を水性塗料化する方法について以下に説明する。
本発明においては、上記(1)及び(2)により生成されるアクリル変性ポリエステル樹脂を、後述するように、塩基性化合物で中和した後、水を添加して乳化させることによって、アクリル変性ポリエステル樹脂の水分散体を調製する。アクリル変性ポリエステル樹脂中のカルボン酸成分を中和し、自己乳化性の組成物とするために、塩基性の化合物を用いる。塩基性化合物としては、アミン類、例えば、脂肪族、脂環族、芳香族の1級、2級或いは3級アミンを用いることができる。
【0041】
このアミン類の具体例としては、分岐鎖アルキルアミン、例えばイソプロピルアミン、 sec−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、イソアミルアミン等の炭素数3乃至6、特に炭素数3乃至4の分岐鎖アルキルアミンや、複素環アミン、例えばピロリジン、ピペリジン、モルホリン等の1個の窒素原子を含む飽和複素環アミンや、モノ−、ジ−或いはトリ−エタノールアミン等のアルカノールアミン類が使用される。特に好適なアミンはジメチルエタノールアミンである。
【0042】
中和剤使用量としては、アクリル変性ポリエステル樹脂のカルボン酸の1乃至100モル%、特に好適には5乃至50モル%を中和するのに十分な量を用いる。上記の塩基性化合物は、水溶液として、反応系に添加するのが中和反応の均一性の点で好ましい。
また上記アクリル変性ポリエステル樹脂の塩基性化合物による中和は90乃至120℃の温度域で行うことが好ましいが、溶剤を使用して十分に系を低粘度化できる場合は、上記中和温度範囲に限定されるものでない。
この中和反応により、油中水型エマルジョンが先ず生成し、次いで水を添加することにより行う乳化によって、水中油型エマルジョンへの転相が行われる。
【0043】
乳化は、アクリル変性ポリエステル樹脂の中和物を70乃至95℃の温度に保持しながら、高剪断条件下でアクリル変性ポリエステル樹脂100重量部当たり少なくとも60部の水を毎時10乃至50重量部の速度で継続的に添加することにより、油中水型エマルジョンから水中油型エマルジョンに相転換することが可能となる。これにより溶剤使用量を低減化できるが、溶剤を使用して十分に系を低粘度化できる場合は、上記分散・乳化法に限定されるものでない。
【0044】
上記(3)のポリエステル樹脂とカルボキシル基含有アクリル樹脂との混合物から成るアクリル変性ポリエステル樹脂を相転換中和することによって水性塗料化することが可能である。
ポリエステル樹脂とカルボキシル基含有アクリル樹脂を混合して調製されたものを塩基で中和し、これを上述した油中水型エマルジョンから水中油型エマルジョンへの相転換を行うことによって、直接アクリル変性ポリエステル樹脂の水分散体を調製することができる。
この方法においても、油中水型エマルジョンへの中和及び水中油型エマルジョンへの乳化は、上述した(1)及び(2)により生成されるアクリル変性ポリエステル樹脂の水性塗料化の方法と同様に行うことができる。
また、酸価を10乃至50mgKOH/gとしたポリエステル樹脂は、エチレングリコールモノブチルエーテル等の親水性溶剤を必須成分とした有機溶剤に溶解し、塩基でカルボキシル基を中和して水分散を行うことができるので、水分散後に 上記アクリル樹脂の水分散体と混合して、アクリル変性ポリエステル樹脂とすることができる。
【0045】
上記方法により調製された水分散体に、その後必要に応じて、共溶剤、滑剤、粘度調整剤、レベリング剤、ぬれ改良剤、わき改良剤、その他の添加剤を加え、アミン水や水添加で粘度調整や固形分調整を行ない、脱溶剤をして減溶剤や溶剤入替えを行ってもよい。
アクリル変性ポリエステル樹脂では、通常、フェノール樹脂、アミノ樹脂等の熱硬化性樹脂と組み合わせて使用する。熱硬化性樹脂と変性ポリエステル樹脂の好適な配合範囲は前述の通りである。熱硬化性樹脂の添加は、水分散の前後どちらでもよいが、水性塗料の安定性、硬化性、加工性等の塗膜性能面から水分散前に添加するのが好ましい。
水性塗料は、最終的に、固形分10乃至40%、粘度50乃至1000cps、分散粒子径0.001乃至1μm、溶剤含有量30%以下であることが好ましい。
【0046】
上記塗料には、従来この種の塗料に用いられている各種の配合剤をそれ自体公知の処方によって配合することができ、例えば酸化チタン等の各種顔料、カルナバワックス、ラノリン等の滑剤、充填剤、艶消し剤、レベリング剤、シリカ、クレイ等の増粘剤等を配合することができる。
また本発明の金属製包装体用塗料は、金属板等に任意の手段、たとえば、浸漬塗り、ローラコート、スプレー塗布、はけ塗り、静電塗装、電着塗装、ワイヤーコート、フローコート、ドクターコート等で塗布することができる。
塗布量としては、10乃至200mg/dm、特に30乃至150mg/dmの塗膜量となるように塗布することが好ましい。
焼き付け条件としては一般的に、100乃至300℃の温度で0.2乃至30分の焼き付けを行うことが好ましい。
上記焼付け条件で塗膜を加熱硬化させて、膜厚にして1乃至20μm、特に3乃至15μmの範囲とすることが好ましい。
塗膜は、後述する方法で求めたMEK抽出率が、40%以下、特に20%以下となっていることが好ましい。
【0047】
[樹脂フィルム]
本発明に用いることができる樹脂フィルムは、前述したキシレン膨潤率(X)及び20%エタノール水膨潤率(E)を満足する限り、従来公知の樹脂フィルムを使用することができるが、最も好適には、アクリル変性ポリエステル樹脂を主体とするものであることが好ましい。これによりフレーバー収着性のみならず、環境性、安全性等の他、フレーバー性、耐腐食性等にも優れたものとなる。
アクリル変性ポリエステル樹脂としては、塗料で例示した樹脂を使用することができる。
アクリル変性ポリエステル樹脂は、そのペレット状態において、フェノール/テトラクロロエタン混合溶媒を用いて測定した固有粘度が、0.7〜1.5の範囲、特に0.8〜1.2の範囲にあることが好ましい。更に、ガラス転移点は、50℃以上、特に60℃〜90℃の範囲であることが内容物へのオリゴマー成分の溶出を防止する上で好ましい。
フィルムの膜厚は、1乃至100μm、特に3乃至50μmの範囲にあることが好ましい。
【0048】
本発明の包装材料は、上記塗料を金属基体に塗装して所定の塗膜を形成した塗装金属板でもよいし、或いは上記樹脂フィルムを押出コート法等によって直接金属基体上に押出しフィルムを作成するか、或いはキャストフィルム又は二軸延伸フィルムを金属基体上に接着した樹脂被覆金属板であってもよい。
使用できる金属基体としては、従来公知のすべての金属基体に使用でき、例えば、ブラックプレート、各種被覆鋼板、例えばスズ、クロム、アルミニウム、亜鉛等を表面にメッキしたメッキ鋼板やその表面をクロム酸及び/又はリン酸等で化学処理乃至は陰極電解処理した鋼板、またアルミニウムの如き軽金属板等を挙げることができる。
【0049】
また本発明の包装材料は、上述した金属基体の内表面に膜を設けた場合のみならず、ポリオレフィン等の樹脂フィルムや樹脂板、アルミニウム等の軽金属の箔、紙ボード等の内表面に膜を設け、多層フィルムの形にすることもできる。
【0050】
更に本発明の包装材料は、上記塗装金属板、樹脂被覆金属板、或いは多層フィルムを、缶胴、缶蓋、キャップ等の所望の包装体形状に従来公知の製法によって形成したものでもよい。
また塗料により塗膜を形成する場合には、順序を逆にして、予め形成された缶胴、缶蓋等の金属包装体にスプレー塗装等によって塗布、焼き付けを行うことによっても所望の塗膜を形成することもできる。この塗料はシングルコートとして設けても、或いはダブルコートして設けてもよい。
【0051】
以下に本発明の包装材料の製法の一例として、缶蓋及び缶胴について詳述する。
缶蓋の場合は、塗料をコイルコーテイングによって適用でき、純アルミニウムやアルミニウム合金等に塗装して、高度の加工性を有する塗装金属素材とする。塗装金属素材を打抜き、プレス成形、或いは更にスコア加工、リベット成形、タブの取付け等を行って、缶蓋或いはイージー・オープン缶蓋に成形する。
【0052】
缶胴の場合、例えば側面継目を有するスリー・ピース缶の場合には、上述した金属基体や、ポリオレフイン等の樹脂フィルムや紙ボード等の有機質基質の表面にアルミニウム箔等を接着積層した複合金属素材等の缶用素材に予め、本発明の塗料を施し、次いで焼付した後、ハンダ付け、溶接、接着剤による接合等の手段で接合して、缶胴とする。また、側面無継目のシームレス缶の場合には、塗装金属板を深絞り成形或いは薄肉化深絞り成形に付して、塗装シームレス缶体とする。また、前記缶用素材を、しぼり加工或いはしぼり−しごき加工に賦し、成形後の缶胴に前記塗料を塗布し、焼付けて塗装シームレス缶体としてもよい。
【0053】
本発明の包装材料は、フレーバー収着性のみならず、硬化性、加工性、耐食性、密着性、耐レトルト性等の塗膜性能は勿論、安全性及び環境性にも優れ、溶出性にも優れている。
【0054】
【実施例】
以下、実施例、比較例にて発明をさらに詳細に説明する。尚、実施例中の「%」及び「部」は特に断りのない限り重量を基準としている。
(キシレン膨潤率及び20%エタノール水膨潤率の測定)
5×10cmの塗装板をキシレンまたは20%エタノール水中に23℃で24時間浸漬し、その後塗装板を浸漬液から取り出して表面を拭き取った後、重量(W1)を測定した。次いで塗装板を130℃で30分間乾燥させ重量(W2)を測定し、さらに硫酸で塗膜を分解剥離し、洗浄乾燥後、板の重量(W3)を測定した。膨潤率は下式より計算した。
膨潤率(%)=100×(W1−W2)/(W2−W3)
【0055】
(フレーバー収着性試験)
[試験溶液]
代表的モデルフレーバー物質として、リモネン、リナロール、デカナール、デカン酸エチルの4種を選定し、各5ppmづつ添加した5%エタノール水溶液を調整した。
[試験塗膜]
実験に使用した塗料を表1に示した。塗料をアルミ板に両面塗装後、端部を補正し、所定の焼き付けを行って試験塗膜を作製した。塗膜面積は200cm、塗膜量は約60mg/dmであった。
[収着試験]
栓付きガラス瓶にモデルフレーバー試験溶液を200ml入れ、各塗膜を4枚ずつ浸漬、密閉し、37℃で2週間保存した。
[フレーバー成分の分析]
試験塗膜は保存試料から取り出し、水洗後、水滴を取り除き、エーテル100mlに浸漬、密封、一昼夜室温保存した。これにより、塗膜に収着された成分を抽出した。抽出液を無水硫酸ナトリウムで脱水後、濃縮装置を用いて8mlまで濃縮し、内標準として40ppmシクロヘキシルアセテートエーテル溶液を2ml添加し、GC−MS分析を行った。
[データ処理]
GC−MS分析から得られた成分ピークについて、面積比(各ピーク面積値/内標準ピーク面積値)のサンプル間平均値を求めた。さらに各成分の検量線により濃度を求め、収着濃度の0日目ブランク溶液濃度に対する比率を成分収着率(%)として求めた。これの4成分間平均値を平均収着率(%)とした。
評価 ○:10%以下、△:10〜20%、×:20%以上
【0056】
(動的粘弾性測定)
ブリキ板上に約10μm厚の塗膜を形成し、水銀アマルガム法で塗膜を単離し、引っ張り測定にて塗膜の動的粘弾性を測定した。試料には振幅10μm、周波数1Hzの正弦波振動を与え、2℃/分の昇温速度で測定し、150℃の貯蔵弾性率MPaを決定した。ブリキ板上への塗膜の焼き付けでは、150℃、5分の条件で予備乾燥を行った後、225℃、3分の本焼き付けを行った。
【0057】
(実施例1)
テレフタル酸(TPA)、イソフタル酸(IPA)、1,3−ブチレングリコール(1,3−BG)、ジメチロールブタン酸、フマル酸からなる数平均分子量7600、Tg57℃の二重結合を有するポリエステル樹脂を溶剤に溶解し、メタクリル酸(MAA)、メタクリル酸メチル(MMA)及びスチレン(ST)でグラフト変性してアクリル変性ポリエステル樹脂を作製した。アクリル変性ポリエステル樹脂の詳細な組成はモル分率にて表1に示した。
上記アクリル変性ポリエステル樹脂に硬化剤として昭和高分子社製のレゾール樹脂、ショウノールBRL−2854を添加し、アミン中和後、水分散を行い、水性塗料を調整した。アクリル変性ポリエステル樹脂とレゾール樹脂の配合比は90:10であり、酸触媒としてドデシルベンゼンスルホン酸のアミン塩0.3部を使用した。
得られた水性塗料を板厚0.26mmのアルミ材(5182材)に塗装し、225℃で3分間の焼き付けを行って、膨潤率及びフレーバー収着試験用塗装板を作製した。塗装板の塗膜量は60mg/dmであった。
キシレン膨潤率は0.4%であり、20%エタノール膨潤率は0.8%であった。フレーバー収着率は5%と良好であり、150℃貯蔵弾性率は36MPaであった。
塗料組成及び試験結果は表1にまとめて示した。
【0058】
(実施例2〜5)
表1に詳細な組成を示す実施例2〜5の塗料を用い、塗装板を作製して評価試験を実施した。
実施例2〜5は全て水性塗料の例である。実施例2では数平均分子量8000、Tg59℃、酸価2.2mgKOH/gのポリエステル樹脂を表1に組成を示すアクリル樹脂でグラフト変性した。実施例3では数平均分子量7500、酸価2.8mgKOH/g、Tg53℃のポリエステル樹脂を表1に組成を示すアクリル樹脂でグラフト変性を行った。実施例4では数平均分子量8900、酸価1.6mgKOH/g、Tg56℃のポリエステル樹脂を表1に組成を示すアクリル樹脂でグラフト変性を行った。実施例5は水性アクリル塗料の例である。硬化剤は、実施例2から4においては、実施例1で用いたレゾール樹脂を実施例1と同様の配合比で使用した。実施例5の水性アクリル塗料では、三井サイテック社製のメラミン樹脂、サイメル235 15部をアクリル樹脂85部に対し組み合わせて使用した。酸触媒は、いずれの場合もドデシルベンゼンスルホン酸のアミン塩を0.3部の量で使用した。
実施例2から5では、いずれの場合もキシレン膨潤率が2.0%以下であり、20%エタノール水膨潤率が0.5乃至3.0%の範囲にあり、20%エタノール水膨潤率の方がキシレン膨潤率を上回るという関係が成立しており、フレーバー収着性の試験結果では、平均収着率が20%を下回るという良好な結果が得られた。また、150℃貯蔵弾性率は、いずれも1MPa以上の値を示していた。
表1に塗料組成及び試験結果の詳細を示した。
【0059】
(比較例1から5)
表1に詳細な組成を示す比較例1〜5の塗料を用い、塗装板を作製して、評価試験を実施した。
【0060】
比較例1は溶剤型ポリエステル塗料の例であり、数平均分子量13000、Tg74℃、酸価1.3mgKOH/gのポリエステル樹脂に、実施例1のレゾール樹脂及び酸触媒を実施例1と同様の比率で配合して使用した。得られた塗膜のキシレン膨潤率は2.0%、20%エタノール水膨潤率は0.3%であり、150℃貯蔵弾性率は0.3MPaであった。フレーバー成分の平均収着率は32%とフレーバー収着性に劣る結果を示した。
【0061】
比較例2は水性ポリエステル塗料の例であり、数平均分子量8200、Tg55℃、酸価15mgKOH/gのポリエステル樹脂を使用した。硬化剤、酸触媒は実施例1と同様のものを同様の比率で使用した。得られた塗膜のキシレン膨潤率は4.2%、20%エタノール水膨潤率は0.6%であり、150℃貯蔵弾性率は0.2MPaであった。フレーバー成分の平均収着率は35%とフレーバー収着性に劣る結果を示した。
【0062】
比較例3はアクリル変性ポリエステル水性塗料の例である。硬化剤、酸触媒は実施例1と同様のものを同様の比率で使用した。得られた塗膜のキシレン膨潤率は2.0%、20%エタノール水膨潤率は1.5%であり、150℃貯蔵弾性率は2MPaであった。フレーバー成分の平均収着率は25%であった。キシレン膨潤率、20%エタノール水膨潤率、及び150℃貯蔵弾性率は好ましい範囲の値を示したが、20%エタノール水膨潤率よりキシレン膨潤率の方が大きく、疎水性の強い塗膜であり、フレーバー収着性が劣る結果となった。
【0063】
比較例4はHDI(ヘキサメチレンジイソシアネート)2molと1,3−BG1molからなるアダクト体を、N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミンで硬化させたウレタン塗料の例である。得られた塗膜のキシレン膨潤率は2.9%、20%エタノール水膨潤率は4.5%であり、150℃貯蔵弾性率は13MPaであった。フレーバー成分の平均収着率は44%であった。150℃貯蔵弾性率は好ましい範囲の値を示しており、20%エタノール水膨潤率の方がキシレン膨潤率より大きく親水性の強い塗膜であったが、キシレン膨潤率、20%エタノール水膨潤率ともに適性範囲を超えて大きく、フレーバー収着性が劣る結果となった。
【0064】
比較例5はアクリル変性ポリエステル水性塗料の例である。硬化剤としてはサイメル235、5部をアクリル変性ポリエステル樹脂95部に対し使用し、酸触媒としてはドデシルベンゼンスルホン酸アミン塩0.3部を使用した。得られた塗膜のキシレン膨潤率は0.9%、20%エタノール水膨潤率は4.0%であり、150℃貯蔵弾性率は0.5MPaであった。フレーバー成分の平均収着率は23%であった。20%エタノール水膨潤率が適性範囲を超えて大きく、150℃貯蔵弾性率が1MPaより小さいために、フレーバー収着性が劣る結果となった。
塗料組成及び試験結果の詳細は表1にまとめて示した。
【0065】
【表1】
Figure 2004223865
【0066】
【発明の効果】
本発明の包装材料は、キシレン膨潤率(X)が2.0重量%以下及び20%エタノール水膨潤率(E)が0.5乃至3.0重量%であり、且つ20%エタノール水膨潤率(E)がキシレン膨潤率(X)よりも大きい膜が内表面に形成されていることにより、優れたフレーバー収着性を有すると共に、環境性、安全性にも優れている。

Claims (5)

  1. キシレン膨潤率(X)が2.0重量%以下及び20%エタノール水膨潤率(E)が0.5乃至3.0重量%であり、且つ20%エタノール水膨潤率(E)がキシレン膨潤率(X)よりも大きい膜が内表面に形成されていることを特徴とするフレーバー収着性に優れた包装材料。
  2. 前記膜が動的粘弾性測定における150℃の貯蔵弾性率が1MPa以上である請求項1に記載の包装材料。
  3. 前記膜がアクリル樹脂又はアクリル変性ポリエステル樹脂を含有する塗料から形成されたものである請求項1又は2に記載の包装材料。
  4. 前記膜が金属基体上に形成されている請求項1乃至3の何れかに記載の包装材料。
  5. 前記膜が樹脂基体上に形成されている請求項1乃至3の何れかに記載の包装材料。
JP2003014183A 2003-01-23 2003-01-23 フレーバー収着性に優れた包装材料 Withdrawn JP2004223865A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003014183A JP2004223865A (ja) 2003-01-23 2003-01-23 フレーバー収着性に優れた包装材料

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003014183A JP2004223865A (ja) 2003-01-23 2003-01-23 フレーバー収着性に優れた包装材料

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2004223865A true JP2004223865A (ja) 2004-08-12

Family

ID=32902302

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003014183A Withdrawn JP2004223865A (ja) 2003-01-23 2003-01-23 フレーバー収着性に優れた包装材料

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2004223865A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US11708444B2 (en) 2016-12-12 2023-07-25 Ppg Industries Ohio, Inc. Acrylic polyester resin and an aqueous coating composition containing the same

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US11708444B2 (en) 2016-12-12 2023-07-25 Ppg Industries Ohio, Inc. Acrylic polyester resin and an aqueous coating composition containing the same
US11981764B2 (en) 2016-12-12 2024-05-14 Ppg Industries Ohio, Inc. Acrylic polyester resin and an aqueous coating composition containing the same

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6511097B2 (ja) ポリマーの官能化のための方法と材料及び官能化ポリマーを含むコーティング
JP2002302639A (ja) 缶内面用水性被覆組成物
JP4228585B2 (ja) 金属包装体用水性塗料及びその塗料を用いた金属包装体
JP4676162B2 (ja) 熱硬化型水性塗料組成物
US6046256A (en) Aqueous dispersion composition
JP4165130B2 (ja) 塗料組成物
JP2005194494A (ja) 水性ポリエステル樹脂組成物の製造方法、該水性ポリエステル樹脂組成物を用いて得られる熱硬化型水性塗料組成物及び該熱硬化型水性塗料組成物を用いて得られる塗装物品
JP2004223865A (ja) フレーバー収着性に優れた包装材料
US9988552B2 (en) Phenolic modified polyesters and aqueous dispersions
JP2004224905A (ja) 金属包装体用塗料及びその塗料を用いた金属包装体
EP0855427B1 (en) Aqueous dispersion composition
JP3240920B2 (ja) 缶外面塗料用樹脂組成物
JP3780111B2 (ja) 加工密着性および耐食性に優れた2ピース缶用フィルムラミネート鋼板
JP2006176696A (ja) 水性塗料組成物及び被覆金属板
JPH06145593A (ja) 水性塗料組成物
JP2001247818A (ja) 水性被覆組成物
JPH11349894A (ja) 水性塗料組成物
JP6696712B2 (ja) 缶用塗料組成物
JP2004149593A (ja) 水性樹脂分散液の製造方法
US6780902B2 (en) Water-based coating composition
JPH06287508A (ja) 水性塗料組成物
JP2004339494A (ja) 熱硬化型塗料組成物
JP2008168209A (ja) 複層塗膜形成方法及び塗装物品
JP4910371B2 (ja) ポリオレフィン接着性塗料組成物
JPH07145345A (ja) エポキシ系塗料

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20060404