JP2004222392A

JP2004222392A - 瞬時電圧変動対策用接続装置

Info

Publication number: JP2004222392A
Application number: JP2003005645A
Authority: JP
Inventors: Hidetoshi Okamoto; 秀寿岡本
Original assignee: Kobe Steel Ltd
Current assignee: Kobe Steel Ltd
Priority date: 2003-01-14
Filing date: 2003-01-14
Publication date: 2004-08-05

Abstract

【課題】商用系統電源に瞬間的な電圧低下が発生したときに、分散電源装置の電圧低下および過負荷を防止し、重要負荷を保護する簡便な瞬時電圧変動対策用接続装置を提供することである。
【解決手段】商用系統電源１と分散電源用母線２とを接続し、系統電源１の電圧低下が発生した際に、この電圧低下を補償して分散電源母線２の電圧低下を防止する瞬時電圧変動対策用接続装置３を、カップリングチョーク４と、このカップリングチョーク４に接続された分散電源５とから形成し、この分散電源５に備えた電圧調整器１０を用いて、カップリングチョーク４に、系統電源１から見て進みの無効電力を供給し、カップリングチョーク４の一次コイル７側に電圧上昇を発生させて、系統電電源１の電圧降下を補償するようにしたのである。それにより、分散電源母線２の電圧降下が防止され、重要負荷１２が保護される。
【選択図】図１

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
この発明は、商用系統電源とガスエンジン発電機などの分散電源装置とを接続し、前記系統電源に瞬間的な電圧低下が発生したときに、分散電源装置の電圧低下や過負荷を防止するための瞬時電圧変動対策用接続装置に関する。
【０００２】
【従来の技術】
近年、工場やスーパーマーケットなどの大型店舗用に、電力コストの低減や排熱利用等の目的で、ガスエンジン発電機、ディーゼルエンジン発電機、ガスタービン発電機などの分散電源装置が数多く導入されている。これらの分散電源装置は、通常、その保守や定期点検、そして故障時に電力の供給が停止しないように、また電力供給を安定させる目的で商用系統電源と接続された状態で運転されている。
【０００３】
前記系統電源において、短絡事故や落雷などによる電圧低下が発生した場合、分散電源装置側から大きな電流が系統電源側に流れるため、分散電源装置の発電機の電圧低下や過負荷が発生し、また、発電機が安全装置の作動により停止に至り、生産に多大な損害が発生する場合がある。
【０００４】
このような事態を避けるために、分散電源用発電機およびこの分散電源装置に接続された負荷を系統電源から切り離すための手段として、系統電源に流れ込む大電流を制限するための限流リアクトルと、高速で動作する機械式の遮断機または高速で電流を遮断するための転流装置との組み合わせからなる高速解列遮断装置が開発されている（例えば、特許文献１、２参照）。
【０００５】
一方、系統電源と分散電源母線との接続に、遮断装置を使用しないバッテリー式、またはフライホイール式無停電電源装置（例えば、特許文献３参照）を使用する場合がある。この場合は、電力系統側の電圧降下を検出すると、平常時に系統電源側からバッテリーに蓄えた電力またはフライホイールに蓄えた回転エネルギで発電機を駆動して電力が供給されるため、無停電電源装置の負荷側電圧が変動せず、系統電源側の電圧降下の影響は回避することができる。
【０００６】
【特許文献１】
特開平１１−６９６６４号公報（［００２３］〜［００３６］）
【特許文献２】
特開平１１−１５０８５８号公報（［００１８］〜［００３８］）
【特許文献３】
特開平１１−３２４３８号公報（［００２７］〜［００４２］）
【０００７】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前記特許文献１および特許文献２に示したような高速遮断装置を用いる場合は、電圧低下を検出してから遮断が完了するまでの時間に、大電流または限流された電流が系統電源側に流れるために、分散電源母線の電圧低下が避けられない。また、バッテリー式無停電電源装置では、大量のバッテリーが必要であり、直流を交流に変換するために、順変換器や半導体のスイッチ等が必要であり、また、フライホイール式無停電電源装置では、回転機器を用いるため、構造が複雑で、軸受け等の可動部の定期的保守が必要などのため、いずれもコスト高となる問題がある。
【０００８】
そこで、この発明の課題は、商用系統電源に瞬間的な電圧低下が発生したときに、分散電源母線から系統電源に過大な電流が流れることによる分散電源母線の電圧低下および分散電源装置の過負荷を防止し、重要負荷を保護する簡便な瞬時電圧変動対策用接続装置を提供することである。
【０００９】
【課題を解決するための手段】
前記の課題を解決するために、この発明では以下の構成を採用したのである。
【００１０】
即ち、商用系統電源と分散電源用母線とを接続し、前記系統電源の電圧変動が発生した際に、この電圧変動を補償して分散電源母線の電圧変動を防止する瞬時電圧変動対策用接続装置であって、前記接続装置をカップリングチョークと、このカップリングチョークに接続された分散電源装置とから形成し、この分散電源装置から供給する無効電力を調節してカップリングチョークに進みまたは遅れの無効電力を供給し、前記カップリングチョークの一次コイル側に電圧上昇または電圧降下を発生させることにより、前記系統電源の電圧変動を補償するようにしたのである。ここで、一次コイルとは、カップリングチョークと分散電源装置との接続部から見て、系統電源側にあるコイルをいう。
【００１１】
前記分散電源は、同期発電機とその駆動部を有し、通常、ガバナー（調速器）および電圧調整器を備えている。一般に、同期発電機を系統電源に接続した場合、電圧調整器によって、この発電機から供給される無効電力を調節できることから、この無効電力の調節により、系統電源側からカップリングチョークに流れ込む無効電力の大きさ、および位相の進み・遅れの度合いを調整することができる。それにより、カップリングチョークの主に一次コイルの誘導リアクタンスの作用により、系統電源から見て、無効電力の位相が進みの場合には電圧上昇が発生し、遅れの場合は電圧降下が発生する。この進みまたは遅れの無効電力により、系統電源の電圧変動を補償し、分散電源の電圧変動が防止され、接続された重要負荷を保護することができる。
【００１２】
前記カップリングチョークを、その一次コイルの誘導リアクタンスが二次コイルの誘導リアクタンスの５〜１０倍の範囲にあるように形成することが望ましい。
【００１３】
前記カップリングチョークを、その系統電源側の一次コイルと分散電源母線側の二次コイルのそれぞれの誘導リアクタンスが相対的に上記範囲にあるように形成すれば、前記二次コイルに発生する相互誘導作用により、カップリングチョークに接続された分散電源装置の、無効電力の供給に伴う発電機内部でのインピーダンスによる電圧低下を適正に補償することができ、系統電源の不意の電圧低下の発生に対しても、発生前とほぼ同程度の電圧を安定維持できる。
【００１４】
上述のようにして、カップリングチョークに接続した分散電源装置から供給する無効電力を調節することにより、カップリングチョークに流れ込む無効電力の位相を進みに調整して、カップリングチョークの一次コイル側に電圧上昇を発生させることにより、系統電源の不意の電圧低下を補償し、分散電源用母線の電圧を一定に制御することが可能となる。
【００１５】
【発明の実施の形態】
以下に、この発明の実施形態を添付の図１から図３に基づいて説明する。
【００１６】
図１は、商用系統電源１に瞬時電圧低下等の電圧変動が発生したときに、分散電源母線２の電圧を安定維持するために設けた瞬時電圧変動対策用接続装置３の構成を示したものである。この瞬時電圧変動対策用接続装置３は、前記系統電源１と分散電源母線２とをそれぞれの側の遮断器Ｂを介して接続するカップリングチョーク４と、このカップリングチョーク４に接続された１台または複数台の分散電源装置５とから構成されている。カップリングチョーク４は、図２に示すように、鉄心６または空心に巻かれ、直列に接続された、分散電源装置５との接続部Ｃから見て、系統電源１側にある一次コイル７および分散電源母線２側にある二次コイル７ａとからなり、分散電源装置５は、それぞれ、ガスエンジン発電機、ディーゼルエンジン発電機、ガスタービン発電機などの発電機８と、前記エンジンなどの駆動部９とからなり、発電機８には電圧調整器（ＡＶＲ）１０が、駆動部９には調速器（ＧＶＲ）１１がそれぞれ装備されている。
【００１７】
前記カップリングチョーク４は、系統電源１の方に接続された一次コイル７の誘導リアクタンスＸ_１が、分散電源母線２の方に接続された二次コイル７ａの誘導リアクタンスＸ_２の５〜１０倍程度となるように形成されている。また、図３に示すように、これらのコイル７、７ａは、同一の鉄心６または空心に巻かれているために、相互結合インダクタンスＭを有する。
【００１８】
前記分散電源母線２には、１台または複数台の分散電源装置５ａが接続され、この分散電源装置５ａは、それぞれ、前記瞬間電圧低下対策装置３の分散電源装置５と同様に、ガスエンジン発電機、ディーゼルエンジン発電機、ガスタービン発電機などの発電機８ａと、前記エンジンなどの駆動部９ａとからなり、発電機８ａには電圧調整器（ＡＶＲ）１０ａが、駆動部９ａには調速器（ＧＶＲ）１１ａがそれぞれ装備されている。そして、分散電源母線２には、通常、分散電源装置５ａおよび系統電源１の双方から電力が供給され、系統電源１の瞬時電圧低下等の電圧異常時にも、常に電力供給を維持する必要がある重要負荷１２が遮断器Ｂを介して接続されている。
【００１９】
この発明の実施形態は以上のような構成であり、以下にその作用について説明する。
【００２０】
通常の運転時には、分散電源装置５ａの駆動部９ａの調速器１１ａの操作により、発電機８ａから供給する実効電力を調節して、商用系統電源１側から供給される実効電力が調整され、また、発電機８ａの電圧調整器１０ａの操作により、発電機８ａから供給される無効電力を調節して、系統電源１側から分散電源母線２へ供給される無効電力がほぼゼロとなるように調整される。このように調整された電力が、分散電源装置５ａから供給される電力とともに、分散電源母線２に供給される。
【００２１】
前記電圧調整器１０による分散電源装置５から供給する無効電力を調節して、カップリングチョーク４に、系統電源１から見て進みの無効電力が供給されるようにすれば、主に一次コイル７の誘導リアクタンスの作用により、一次コイル７側、即ち系統電源１側に電圧上昇が発生する。一方、カップリングチョーク４に、系統電源１から見て遅れの無効電力が供給されるようにすれば、同様に一次コイル７の誘導リアクタンスにより、一次コイル７側に電圧降下が発生する。このように、カップリングチョーク４に流れ込む無効電力の位相を制御することにより、カップリングチョーク４の１次コイル７側、即ち系統電源１の側で、電圧調整を行なうことができる。それにより、系統電源１に電圧変動が発生しても、この変動を補償し、分散電源母線２の電圧を一定に維持することができる。
【００２２】
従って、系統電源１に不意に電圧降下が発生した場合には、カップリングチョーク４に接続された分散電源装置５の電圧調整器１０により、カップリングチョーク４に進みの無効電力を供給することにより、電圧上昇を発生させて系統電源１の電圧低下を補償することができる。それにより、系統電源１に電圧低下が発生しても、分散電源装置５ａの発電機８ａから系統電源１の側への大きな電流の流れは発生せず、分散電源母線２の電圧低下が防止され、また、発電機８ａに過負荷が発生せず、重要負荷１２が保護される。
【００２３】
なお、前記分散電源装置５の発電機８から供給する無効電力を増加させることにより、発電機８内部でのインピーダンスによる電圧降下が大きくなるため、発電機８の電圧が低下するが、この電圧低下は、系統電源１側から分散電源装置５に流れ込む無効電流の増加によって、図３に等価回路を示したように、カップリングチョーク４の一次コイル７と二次コイル７ａの相互結合インダクタンスの作用により、二次コイル７ａに相互誘導作用が発生するため、発電機８内部での電圧降下分を補償するように分散電源母線２の電圧が上昇し、系統電源１の不意の電圧低下が発生する前とほぼ同程度の電圧を安定維持できる。また、この場合、系統電源１の方へは実効電力が供給されないため、発電機８の機械的負荷は上昇せず、発電機８の駆動部９に過負荷が発生することもない。
【００２４】
【発明の効果】
以上のように、この発明では、瞬時電圧変動対策用接続装置を、商用系統電源と分散電源用母線とを接続するカップリングチョークと、このカップリングチョークに接続された分散電源装置とから形成し、この分散電源装置から供給される無効電力を調節して、系統電源側からカップリングチョークに流れ込む無効電流の大きさと位相を制御することにより、系統電源側での電圧調整を可能とした。従って、瞬時電圧低下が発生した場合に、無効電力の位相を進みとすることにより、カップリングチョークの一次コイル側に電圧上昇を発生させて瞬時電圧降下を補償できるため、分散電源用母線の電圧低下が防止され、重要負荷を保護することができる。
【００２５】
また、前記無効電力の位相を遅れとすることにより、カップリングチョークの一次コイル側に電圧降下を発生させることもできるため、系統電源の電圧変動に応じて、分散電源用母線の電圧を一定に制御し、安定維持することができる。
【００２６】
そして、前記瞬時電圧変動対策用接続装置は、カップリングチョークとこれに接続した分散電源装置とから形成しているため、従来のバッテリー式やフライホイール式などの無停電電源装置に比べて設備コストや保守の点で有利である。
【図面の簡単な説明】
【図１】この発明の瞬時電圧変動対策用接続装置の構成を示す説明図
【図２】図１の瞬時電圧変動対策用接続装置のカップリングチョークの説明図
【図３】図２のカップリングチョークの等価回路を示す説明図
【符号の説明】
１：商用系統電源２：分散電源母線３：瞬時電圧変動対策用接続装置
４：カップリングチョーク５、５ａ：分散電源装置６：鉄心
７：一次コイル７ａ：二次コイル８、８ａ：発電機
９、９ａ：駆動部１０、１０ａ：電圧調整器１１、１１ａ：調速器
１２：重要負荷Ｂ：遮断器Ｃ：接続部
Ｌ_１、Ｌ_２：インダクタンスＭ：相互結合インダクタンス
Ｘ_１、Ｘ_２：誘導リアクタンス

Claims

商用系統電源と分散電源用母線とを接続し、前記系統電源の電圧変動が発生した際に、この電圧変動を補償して分散電源母線の電圧変動を防止する瞬時電圧変動対策用接続装置であって、前記接続装置がカップリングチョークと、このカップリングチョークに接続された分散電源装置とからなり、この分散電源装置から供給する無効電力を調節してカップリングチョークに進みまたは遅れの無効電力を供給し、前記カップリングチョークの一次コイル側に電圧上昇または電圧低下を発生させることにより、前記系統電源の電圧変動を補償するようにしたことを特徴とする瞬時電圧変動対策用接続装置。
前記カップリングチョークが、その一次コイルの誘導リアクタンスが二次コイルの誘導リアクタンスの５〜１０倍の範囲にあるように形成されたことを特徴とする請求項１に記載の瞬時電圧変動対策用接続装置。