JP2004221486A - 撮像素子の選別方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】主感光画素と従感光画素を備える撮像素子におけるダイナミックレンジの減少要因を考慮し、実際の製品上問題にならない範囲で利用可能な撮像素子を選別して製造上の歩留りを向上させる。
【解決手段】広ダイナミックレンジ撮像可能な撮像素子の製造において、主感光画素と従感光画素との感度比A、従感光画素のシェーディング上昇率SH、絞りに依存する従感光画素の感度上昇率Fをそれぞれ色別に測定するとともに、従感光画素の飽和出力satを測定する。これら測定値を基に各色のダイナミックレンジを表す評価値MDRを求める。色別に求めたMDRに基づいて撮像素子の選別を行う。また、算出されたMDRを所定の閾値と比較し、その比較結果に従い、予め定められている符号を撮像素子の個体データとして色ごとに添付する。添付データはカメラ製造時の調整(Dレンジリミッタ設定)に利用される。
【選択図】 図12
【解決手段】広ダイナミックレンジ撮像可能な撮像素子の製造において、主感光画素と従感光画素との感度比A、従感光画素のシェーディング上昇率SH、絞りに依存する従感光画素の感度上昇率Fをそれぞれ色別に測定するとともに、従感光画素の飽和出力satを測定する。これら測定値を基に各色のダイナミックレンジを表す評価値MDRを求める。色別に求めたMDRに基づいて撮像素子の選別を行う。また、算出されたMDRを所定の閾値と比較し、その比較結果に従い、予め定められている符号を撮像素子の個体データとして色ごとに添付する。添付データはカメラ製造時の調整(Dレンジリミッタ設定)に利用される。
【選択図】 図12
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は撮像素子の選別方法に係り、特にCCDなどの固体撮像素子の生産管理に好適な製品選別技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
デジタルカメラ等に用いられるCCD固体撮像素子は、一般の銀塩写真と比較してダイナミックレンジが非常に狭いため、適正露光で撮影された画像であっても銀塩系の写真と比較すると物足りない印象を受ける場合がある。また、撮影条件によっては、いわゆる黒つぶれや白とびを生じ、画質が著しく劣化することがある。このような欠点を解消するために、同一シーンにおいて露光量の異なる複数枚の画像を撮影し、これら複数枚の画像データを演算で合成することによってダイナミックレンジの拡大された画像を得る手法が提案されている。
【0003】
特許文献1に開示された撮像装置は、受光面に二次元配列される多数の受光部(画素)について、画素を構成する受光部を感度の異なる2種類の受光領域(高感度部と低感度部)に分割し、2つの受光領域からそれぞれ読み出された信号を混合若しくは加算することにより、ダイナミックレンジの拡大を達成している。
【0004】
【特許文献1】
特開平9−205589号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、特許文献1に開示されている構造を持つCCDによって広ダイナミックレンジ撮像を実現する場合、ダイナミックレンジを決定する要因が多く、各要因を全て仕様化すると、仕様があまりに厳しくなり、CCD製造上の歩留りが悪化する。
【0006】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、ダイナミックレンジの減少要因を考察し、実際の製品上問題にならない範囲で利用可能な撮像素子を選別することにより製造上の歩留りを向上させることができる撮像素子の選別方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために本発明に係る撮像素子の選別方法は、相対的に広い面積を有する主感光画素と、相対的に狭い面積を有する従感光画素との複合からなる画素セルが所定の配列形態に従って多数配置され、前記主感光画素で光電変換された信号電荷に基づく信号と前記従感光画素で光電変換された信号電荷に基づく信号とを選択的に取り出すことができる構造を備えた撮像素子において、前記画素セル上に配設されているカラーフィルタによって色分解される各色別にダイナミックレンジを表す評価値MDRを次式
に従って算出し、その算出結果を利用して撮像素子を評価することを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、感度の異なる主感光画素と従感光画素とを組み合わせた広ダイナミックレンジ撮像可能な撮像素子の製造において、主感光画素と従感光画素との感度比A、従感光画素のシェーディング上昇率SH、絞りに依存する従感光画素の感度上昇率Fをそれぞれ色別に測定し、従感光画素の飽和出力satを測定する。そして、これら測定値を基に上記式に従って評価値MDRを色別に求める。色別に算出されたMDRは、各色の最小ダイナミックレンジを反映する値であり、この値に基づいて撮像素子のランク分け(選別)が可能である。
【0009】
また、上記式に従って求めた色別のMDRを所定の閾値と比較し、その比較結果に従い、予め定められている符号を撮像素子の個体データとして色ごとに添付する態様が好ましい。
【0010】
添付されたデータはカメラ製造時の画質調整工程などにおいて読み取られ、カメラシステムの再現ダイナミックレンジ設定(リミッタ)や、シーン別のダイナミックレンジ設定(リミッタ)などに使用される。これにより、カメラ製造時の画質調整(ダイナミックレンジリミッタの設定)を円滑に行うことができる。
【0011】
本発明の一態様によれば、前記SATで示された所定値は、色別に設定されている最大出力であって、少なくとも撮像素子の仕様としての飽和出力以下であることを特徴とする。
【0012】
「色別に設定されている所定値」として単純に撮像素子スペックの最小飽和出力を用いるよりも、飽和マージンを考慮して、色別に設定されている最大出力を用いることにより、大きなダイナミックレンジを確保することが可能となる上に、色別の設定によりシーン依存の再現ダイナミックレンジリミッタを的確に設定することが可能になる。
【0013】
本発明の他の態様によれば、前記Fで示された色別の絞り依存従感光画素感度上昇率は、感度測定時に開放端絞りを用いて測定した場合にはF=0とすることを特徴する。
【0014】
主感光画素の感度は開放端絞り側で低下する傾向があるのに対し、従感光画素の感度は開放端絞り側で上昇する傾向がある。絞りに依存して従感光画素の感度が上昇することは、ダイナミックレンジの低下要因となるため、評価値MDRの演算式においてこの感度上昇率Fを考慮して1/(1+F)をかけている。しかしながら、感度測定条件が開放端絞りである場合には、感度上昇率Fを「0」として取り扱う。
【0015】
また、本発明は、同一画素セル内の主感光画素と従感光画素について同一の色成分のカラーフィルタが配置されており、各画素セルの上方にはそれぞれ1つの画素セルに対して1つのマイクロレンズが設けられている構造を有する撮像素子の選別に適している。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下添付図面に従って本発明に係る撮像素子の選別方法の好ましい実施の形態について詳説する。
【0017】
図1は本発明が適用されるCCD固体撮像素子(以下、CCDという。)20の受光面の構造例を示す平面図である。図1では2つの受光セル(画素PIX)が横に並んでいる様子を示すが、実際には多数の画素PIXが水平方向(行方向)及び垂直方向(列方向)に一定の配列周期で配列されている。
【0018】
各画素PIXは、感度の異なる2つのフォトダイオード領域21、22を含む。第1のフォトダイオード領域21は、相対的に広い面積を有し、主たる感光部(以下、主感光画素という)を構成する。第2のフォトダイオード領域22は、相対的に狭い面積を有し、従たる感光部(以下、従感光画素という。)を構成する。画素PIXの右側には垂直転送路(VCCD)23が形成されている。
【0019】
図1に示した構成はハニカム構造の画素配列であり、図示した2つの画素PIX上側及び下側には不図示の画素が横方向に半ピッチずれた位置に配置される。図1上に示した各画素PIXの左側に示されている垂直転送路23は、これら画像PIXの上側及び下側に配置される不図示の画素からの電荷を読み出し、転送するためのものである。
【0020】
図1中点線で示すように、四相駆動(φ1,φ2,φ3,φ4)に必要な転送電極24、25、26、27(まとめてELで示す。)が垂直転送路23の上方に配置される。例えば、2層ポリシリコンで転送電極を形成する場合、φ1 のパルス電圧が印加される第1の転送電極24と、φ3 のパルス電圧が印加される第3の転送電極26とは第1層ポリシリコン層で形成され、φ2 のパルス電圧が印加される第2の転送電極25と、φ4 のパルス電圧が印加される第4の転送電極27とは第2層ポリシリコン層で形成される。なお、転送電極24は従感光画素22から垂直転送路23への電荷読み出しも制御する。転送電極25は主感光画素21から垂直転送路23への電荷読み出しも制御する。
【0021】
図2は図1の2−2線に沿う断面図であり、図3は図1の3−3線に沿う断面図である。図2に示したように、n型半導体基板30の1表面にp型ウエル31が形成されている。p型ウエル31の表面領域に2つのn型領域33、34が形成され、フォトダイオードを構成している。符号33で示したn型領域のフォトダイオードが主感光画素21に相当し、符号34で示したn型領域のフォトダイオードが従感光画素22に相当している。p+ 型領域36は、画素PIX、垂直転送路23等の電気的な分離を行うチャネルストップ領域である。
【0022】
図3に示すように、フォトダイオードを構成するn型領域33の近傍に垂直転送路23を構成するn型領域37が配置されている。n型領域33、37の間のp型ウエル31が読み出しトランジスタを構成する。
【0023】
半導体基板表面上には酸化シリコン膜等の絶縁層が形成され、その上にポリシリコンで形成された転送電極ELが形成される。転送電極ELは、垂直転送路23の上方を覆うように配置されている。転送電極ELの上に、更に酸化シリコン等の絶縁層が形成され、その上に垂直転送路23等の構成要素を覆い、フォトダイオード上方に開口を有する遮光膜38がタングステン等により形成されている。
【0024】
遮光膜38を覆うようにホスホシリケートガラス等で形成された層間絶縁膜39が形成され、その表面が平坦化されている。層間絶縁膜39の上にカラーフィルタ層(オンチップカラーフィルタ)40が形成されている。カラーフィルタ層40は、例えば赤色領域、緑色領域、及び青色領域等の3色以上の色領域を含み、各画素PIXについて一色の色領域が割り当てられている。
【0025】
カラーフィルタ層40の上に各画素PIXに対応してマイクロレンズ(オンチップマイクロレンズ)41がレジスト材料等により形成されている。マイクロレンズ41は、各画素PIXの上に1つ形成されており、上方より入射する光を遮光膜38が画定する開口内に集光させる機能を有する。
【0026】
マイクロレンズ41を介して入射した光は、カラーフィルタ層40によって色分解され、主感光画素21及び従感光画素22の各フォトダイオード領域にそれぞれ入射する。各フォトダイオード領域に入射した光は、その光量に応じた信号電荷に変換され、それぞれ別々に垂直転送路23に読み出される。
【0027】
こうして、1つの画素PIXから感度の異なる2種類の画像信号(高感度画像信号と低感度画像信号)と別々に取り出すことが可能であり、光学的に同位相の画像信号を得る。
【0028】
図4は、CCD20の受光領域PS内の画素PIX及び垂直転送路23の配置を示す。画素PIXは、セルの幾何学的な形状の中心点を行方向及び列方向に1つおきに画素ピッチの半分(1/2ピッチ)ずらして配列させたハニカム構造となっている。すなわち、互いに隣接する画素PIXの行どうし(又は列どうし)において、一方の行(又は列)のセル配列が、他方の行(又は列)のセル配列に対して行方向(又は列方向)の配列間隔の略1/2だけ相対的にずれて配置された構造となっている。
【0029】
図4において画素PIXが配列された受光領域PSの右側には、転送電極ELにパルス電圧を印加するVCCD駆動回路44が配置される。各画素PIXは上述のように主感光画素21と従感光画素22とを含む。垂直転送路23は各列に近接して蛇行して配置されている。
【0030】
また、受光領域PSの下側(垂直転送路23の下端側)には、垂直転送路23から移された信号電荷を水平方向に転送する水平転送路(HCCD)45が設けられている。
【0031】
水平転送路45は、2相駆動の転送CCDで構成されており、水平転送路45の最終段(図4上で最左段)は出力部46に接続されている。出力部46は出力アンプを含み、入力された信号電荷の電荷検出を行い、信号電圧として出力端子に出力する。こうして、各画素PIXで光電変換した信号が点順次の信号列として出力される。
【0032】
図5にCCD20の他の構造例を示す。図5は平面図、図6は図5の6−6線に沿う断面図である。これらの図面中図1及び図2に示した例と同一又は類似の部材には同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0033】
図5及び図6に示したように、主感光画素21と従感光画素22の間にp+ 型分離領域48が形成されている。この分離領域48はチャネルストップ領域(チャネルストッパ)として機能し、フォトダイオード領域の電気的な分離を行う。また、分離領域48の上方には分離領域48に対応した位置に遮光膜49が形成されている。
【0034】
遮光膜49と分離領域48とを用いることにより、入射する光を効率的に分離するとともに、主感光画素21及び従感光画素22に蓄積された電荷がその後混合することを防止する。その他の構成は図2及び図3に示した例と同様である。
【0035】
また、画素PIXのセル形状や開口形状は図1や図5に示した例に限定されず、多角形、円形など多様な形態をとり得る。更に、各受光セルの分離形状(分割形態)についても、図1や図5に示した形状に限定されない。
【0036】
図7にCCD20の更に他の構造例を示す。図7中図1及び図5に示した例と同一又は類似の部材には同一の符号を付し、その説明は省略する。図7は、二つの感光部(21、22)が斜め方向に分離されている構成を示す。
【0037】
このように、それぞれの分割感光エリアで蓄積された電荷を別々に垂直転送路に読み出すことができればよく、分割形状や分割数、面積の大小関係などは適宜設計される。ただし、従感光画素の面積を主感光画素の面積に比べて小さい値とする。また、主感光部の面積減少を抑制し、感度低下を最小限に抑えることが好ましい。
【0038】
図8は、主感光画素21と従感光画素22の光電変換特性を示すグラフである。図8(a)は「晴れ」の光源下で撮影した場合の色別(RGB別)の感度曲線を示し、図8(b)は低色温度下で撮影した場合の色別感度曲線を示す。これらのグラフにおいて横軸は入射光量、縦軸は出力信号の値(例えば、A/D変換後の画像データ値(QL値))を示す。図8において英大文字「R」,「G」,「B」で示したグラフは主感光画素21から得られるR(赤)信号、G(緑)信号、B(青)信号をそれぞれ表し、英小文字「r」,「g」,「b」で示したグラフは従感光画素22から得られるR信号、G信号、B信号をそれぞれ表している。
【0039】
図8(a),(b)に示したように、主感光画素21と従感光画素22との比較においては、主感光画素22の感度が高い。また、色別に比較すると「晴れ」の光源下では緑(G)の色成分が強いためにGの感度が相対的に高く、赤(R)と青(B)は略同等で相対的に低い感度を有する。なお、このような色別の感度差はホワイトバランスゲインによってR,Bを増幅してGに合わせる処理を行うことで補正される。
【0040】
図8(a)に示した主感光画素21のG信号に注目すると、主感光画素21のG出力は、入射光量に比例して次第に増加し、入射光量が「c」のときに出力がCCDスペックとしての飽和出力値(CCD飽和出力という。)に達する。以後、入射光量が増加しても主感光画素21のG出力は一定となる。この「c」を主感光画素21の飽和光量と呼ぶことにする。
【0041】
従感光画素を有していない従来のCCDにおいて「CCDのダイナミックレンジ」は、一番明るい色(感度の高い色)の飽和で決定されるため、この定義に従うと、図8(a)における「c」が従来CCDのダイナミックレンジを決定するものに相当する。
【0042】
一方、従感光画素のG信号に注目すると、従感光画素22の感度は、主感光画素21の感度の1/aであり(a>1)、入射光量がα×cのときに出力が飽和する。従感光画素の飽和出力を「sat」で示すと、α=a/satである。従感光画素が飽和する光量「α×c」を従感光画素22の飽和光量と呼ぶ。
【0043】
このように、異なる感度を持つ主感光画素21と従感光画素22とを組み合わせることにより、主感光画素のみの構成よりもCCDのダイナミックレンジをα倍に拡大(本例では約4倍に拡大)できる。図8(a)における「α×c」が本実施形態におけるCCDのダイナミックレンジを決定するものに相当する。
【0044】
これに対し、CCDを搭載したカメラ自体のダイナミックレンジは、飽和マージンをとっているため、CCD飽和出力よりも一定量だけ低いところに実用上の飽和出力が設定される。図8(a)においてSAT_Gで示した値がGの飽和出力値である。CCD飽和出力と色別の飽和出力SAT_Gとの差が飽和マージンである。
【0045】
このように飽和マージンを設定する理由は、図8(b)に示すように、低色温度の場合にRの感度が非常に高くなり、「晴れ」モード時のGの感度(図8(a))よりもRの感度が高くなることに配慮したものである。
【0046】
「低色温度」の定義については明確な定めがないために図8(b)においてRの感度曲線の傾斜はいくらでも急傾斜に(きつく)なり得る。Rの信号が強くなるのに対してGの出力は相対的に弱まっていく。通常、従来型カメラ(従来機)においては、ある色温度のところで設定値としてカメラのダイナミックレンジを設定している。
【0047】
図8の例において従来機のダイナミックレンジは、低色温度下でRの飽和出力SAT_RがCCD飽和出力と一致しているときと定めている。この定義に従うと、図8の「d」が従来機のダイナミックレンジを示すものである。
【0048】
カメラの性能はCCD単体のスペックで評価するよりはむしろ、カメラ全体として評価することが重要であると考えられるため、従来機のダイナミックレンジとの比較において、何倍かの広いダイナミックレンジを実現することが重視される。例えば、従来機のダイナミックレンジに対して約4倍のダイナミックレンジのカメラを実現するには、図8(b)に示した「e」付近が4倍のダイナミックレンジを確保する。
【0049】
すなわち、CCDの仕様として従来のCCDの4倍の感度を実現していなくても、従来機との比較で4倍を達成していれば十分であるとの考え方に基づいてCCDの製品評価を行う。
【0050】
従感光画素22には、シェーディングや絞りに依存する感度の変動など、ダイナミックレンジが低下する要因が多い。したがって、主/従感光画素の感度比、出力飽和、シェーディング、感度の絞り依存性などの各項目を全て仕様化すると、仕様が厳しくなりすぎて歩留りが悪化する。そのため、本実施形態においては、実質的に問題にならないデバイスを多く生産できるように、妥当な製品評価を行い、歩留りの向上を図る。具体的には、色別にダイナミックレンジを評価する。
【0051】
まず、ダイナミックレンジの低下要因の一つであるシェーディング現象について説明する。
【0052】
図9は、従感光画素のシーディングの現れ方を例示した概念図である。同図では、画素PIXが斜め方向に分割され、画素PIXの中心から右斜め上の位置に従感光画素が形成される構造を有するCCDが例示されている。
【0053】
かかる構造のCCDでは、オンチップマイクロレンズの光学特性と従感光画素の位置関係から従感光画素について、画面中央部に対して画面左下が相対的に暗く、画面右上が相対的に明るくなる分布のシェーディングが発生する。
【0054】
従来の撮像デバイス(従感光画素を有していない一般的な撮像デバイス)では、画面中心に対して画面の周囲部は出力が低下するシェーディングが発生する。しかしながら、主感光画素と従感光画素とを組み合わせた構造を有するCCDにおいては、画面中心(テスターで感度を測定する位置)よりも画面の周辺部(D端部)で感度が高くなるシェーディングが発生する。このようなシェーディングはCCDのダイナミックレンジを低下させる要因となる。
【0055】
画面周辺部で従感光画素の感度が上昇する原因として、マイクロレンズと従感光画素の位置関係がある。近射出瞳位置の場合には、撮像面に対する光線入射角が大きいために、CCDの受光面中心部から離れた位置に存在する画素セルについてオンチップマイクロレンズの結像円が画素セルの位置からずれる。そのずれ量は画面中心位置からの距離とともに増加する。
【0056】
従感光画素の画素割り形状との関係で結像円と従感光画素との重なりが大きいほど、従感光画素に入射する光量が増加することになる。したがって、図9に示した画素割り構造の場合、画面右上の部分は感度が上昇し、画面左下の部分は感度が低下する。
【0057】
また、入射光はマイクロレンズ結像円内に集められるが、更に結像円の中でも円の中心部に光が集まっている。つまり、結像円内でも中心ほど光が強く、周縁に行くほど光は弱くなる。したがって、マイクロレンズ結像円の中心が従感光画素の位置にきたときにその画素の感度が見かけ上あがることになる。図9の右上に示したように、結像円(集光円)の中心に従感光画素の位置があるものが最も出力が強くなる。
【0058】
シェーディングの測定は、射出瞳と絞りをそれぞれある値に固定した所定の測定条件で行う。図9中矢印(x軸)で示した対角方向の出力断面図を図10に示す。横軸は対角方向の位置を示し、縦軸は従感光画素の感度を示す。画面中央を基準にすると、画面左下ほど感度が低く、画面右上に行くほど感度が大きくなることを示している。
【0059】
CCDの感度は、画面中心位置で測定する。その画面中心位置(感度測定位置)の出力に対して画面周辺部(D端部)での感度上昇率はどのくらいかを示すために、画面中心位置の出力を「100」として規格化し、D端部での感度上昇量をhとすると、シェーディング上昇率SHを次式で定義する。
【0060】
【数1】SH=h/100
図9からも明らかなように、画面中心に対してどの方向にあるかによってシェーディングによる感度の上昇量は異なる。画面中心に対して最も感度上昇変化が大きいところ(四隅の中で感度が最も大きいところ)で上記式〔数1〕によって「従感光画素シェーディング上昇率」を定義する。
【0061】
しかし、CCD受光面における四隅の全ての位置で感度を測定する必要はなく、マイクロレンズの位置と従感光画素の配置関係で、どの位置(中心からの方向)が最も明るくなるかというのは分かっている。したがって、画面中心に対して、四隅のうち最も明るさが明るくなるところで感度の上昇量を測定することによって従感光画素シェーディング上昇率を求めることができる。
【0062】
次に、絞りに依存する感度の変動現象について説明する。
【0063】
図11は、主感光画素及び従感光画素の感度と絞りの関係を示すグラフである。同図は、感度測定時の条件である所定の絞り(例えばF5.6)で測定した値を基準として規格化した絞り−感度曲線を示すグラフである。実線は主感光画素の感度を示し、点線は従感光画素の感度を示す。同図に示したように、F5.6を基準にすると、主感光画素は開放端(F2.8)側で出力が小さくなる。一方、従感光画素はF5.6の感度に対して、開放端側で出力が上がり、小絞り(F8)側で出力が小さくなる。
【0064】
このように、主感光画素の感度は絞りの開放端(F2.8)側で低下するのに対し、従感光画素の感度は開放端側で上昇するという傾向がある。従感光画素について開放端で感度が上昇することは、ダイナミックレンジが狭くなることを意味する。
【0065】
検査工程における感度測定条件(例えば、F5.6)で測定された従感光画素の感度Kを基準とし、この基準値に対する開放端絞りでの感度上昇量Mを用いて「絞り依存従感光画素感度上昇率F」を次式で定義する。
【0066】
【数2】F=M/K
なお、感度測定時に開放端絞りを用いた場合には、K以上に感度が低下することはあり得ないのでF=0とする。
【0067】
上述したシーディング及び絞り依存の感度上昇を考慮して、下記のとおりCCDの性能評価を行う。
【0068】
製造されたCCDを評価するためにCCD製造後の検査工程において、A=主感光画素感度/従感光画素感度、SH=従感光画素シェーディング上昇率、F=絞り依存従感光画素感度上昇率をそれぞれR、G、Bの色別に測定(実測)する。これら項目の測定はテスターなどを用いることによって可能である。
【0069】
また、従感光画素の飽和出力satを測定する。このとき、主感光画素の飽和に合わせて、ブルーミングが起きない範囲で飽和が最大になるようにオーバーフロードレイン電圧を調整する。その後、この調整したオーバーフロードレイン電圧で従感光画素の飽和を測定する。
【0070】
こうして各項目について得られた測定値を用い色別の最小ダイナミックレンジMDRを次式に従って計算する。
【0071】
【数3】
【0072】
【数4】
【0073】
【数5】
ただし、上記の式においてR, G, B各色別の文字変数を「* _R」、「* _G」,「* _B」)によって区別している。
【0074】
上記の式〔数3〕〜〔数5〕によって求めた色別の最小ダイナミックレンジを所定の閾値と比較し、その結果に従い、予め決められた符号をCCD個体データとして色ごとに添付する。
【0075】
図12にそのフローチャートを示す。CCD製造におけるダイナミックレンジ検査工程では、まず、上記〔数3〕で求めたMDR_Rが閾値「4」を超えているか否かを判定する(ステップS110)。この判定用閾値は、主感光画素のダイナミックレンジに対する従感光画素のダイナミックレンジの倍数を示すものであり、閾値「4」は従感光画素のダイナミックレンジが主感光画素のダイナミックレンジの4倍を超える性能が実現されているCCDであるか否かを判断することに相当する。
【0076】
ステップS110でMDR_Rが4を超える結果となった場合には、その結果を示すパラメータX_Rに符号「0」を書き込む(ステップS112)。
【0077】
その一方、ステップS110において、NO判定の場合には、ステップS114に進む。ステップS114では上記〔数3〕で求めたMDR_Rが閾値「3」を超えているか否かを判定する。ステップS114でMDR_Rが3を超える結果となった場合には、その結果を示すパラメータX_Rに符号「1」を書き込む(ステップS116)。また、ステップS114でNO判定を得た場合には、パラメータX_Rに符号「2」を書き込む(ステップS118)。こうして、CCD個体ごとにX_Rの情報が決定され、X_R=0,1,2の3タイプに選別される。例えば、X_R=2となった製品については、十分なダイナミックレンジを確保し得ない製品であるため出荷NGとして取り扱われる。
【0078】
図12では、Rについてのみ示したが、G及びBについても同様に検査され、X_G、X_Bの情報が決定されてCCD個体データとして添付される。
【0079】
製造されたCCDは図12のダイナミックレンジ検査工程を経て、X_G,X_R,X_Bのデータが付され、所定の条件をクリアしたもののみ出荷される(ステップS120)。なお、X_G,X_R,X_Bのデータは、メモリなどの記憶媒体に記録してもよいし、紙などの印刷媒体に印刷してもよい。
【0080】
こうして、出荷されたCCDはカメラ製造工程に送られ、カメラ内に組み込まれる。カメラ製造時の画質調整工程において、各色別の最小ダイナミックレンジの評価を表すデータX_G,X_R,X_Bを読んで、システムリミッタや色温度リミッタの設定を行う。
【0081】
図13は画質調整工程のフローチャートを示す。まず、CCDに添付されているX_Gの値を判定する(ステップS210)。ステップS210においてX_G≠0である場合(すなわち、X_G=1の場合)には、ステップS212に進み。システムリミッタ(晴れリミッタ)をONに設定する。システムリミッタは、カメラの再現ダイナミックレンジを制限するフラグであり、このフラグをONに設定すると、再現ダイナミックレンジが300%(主感光画素のダイナミックレンジを100%としたとき、その3倍のダイナミックレンジ)になる。システムリミッタの設定情報はカメラ内の不揮発性メモリ(EEPROMなど)に記憶される。
【0082】
その一方、ステップS210においてX_G=0である場合には、システムリミッタがOFFに設定される(ステップS214)。システムリミッタをOFFに設定すると、再現ダイナミックレンジが400%(主感光画素のダイナミックレンジを100%としたとき、その4倍のダイナミックレンジ)まで広がる。
【0083】
なお、このシステムリミッタは、カメラの仕様外の条件下におけるダイナミックレンジを制限するものである。例えば、ISO感度400のときに、400%以上のダイナミックレンジを達成する仕様となっている場合、かかる仕様は満たすものの、ISO感度200などの低感度の場合に、ある色温度のときに400%を維持できないCCDが存在し得る。そういう場合に、カメラシステム上、再現ダイナミックレンジを300%までに制限するというものである。
【0084】
人間の感覚は略logスケールで効いてくるので、log(対数)の関数をとったときに略リニアになるように、再現ダイナミックレンジを100%−130%−170%−220%−300%−400%という具合に段階的に切り換えて広ダイナミックレンジ処理を行うようになっている。
【0085】
400%までの再現ダイナミックレンジを必要とするシーン自体がかなり稀である上に、300%までの範囲で十分に再現性のよい絵づくりが可能であるため、条件によって再現ダイナミックレンジを300%に制限しても実用上問題がない。
【0086】
図13においてステップS212又はステップS214の後は、ステップS216に進む。ステップS216では、CCDに添付されているX_Rの値を判定する。ステップS216においてX_R≠0である場合(すなわち、X_R=1の場合)には、ステップS218に進み、低色温度リミッタをONに設定する。低色温度リミッタはシーンに依存して再現ダイナミックレンジを制限するフラグである。このフラグをONに設定すると低色温度のときに広ダイナミックレンジ処理が300%の範囲に制限される。低色温度リミッタの設定情報はカメラ内の不揮発性メモリ(EEPROMなど)に記憶される。
【0087】
ステップS216においてX_R=0である場合には、システムリミッタがOFFに設定される(ステップS220)。システムリミッタをOFFに設定すると、低色温度下においても再現ダイナミックレンジが400%となる。
【0088】
ステップS218又はステップS220で低色温度リミッタの設定が完了したら画質調整工程を終了する(ステップS222)。
【0089】
なお、図12ではX_GとX_Rの値を利用したが、X_Gに代えて、又はこれと併せてX_Bを用いる態様も可能である。低色温度リミッタの設定に関してはX_Rの値を判断するため、CCD個体データとしては少なくともRに関するデータ(X_R)を含む複数色についてのデータが添付されることが好ましい。
【0090】
図12で説明した画質調整工程を行ったカメラは、リミッタ設定に応じて広ダイナミックレンジ処理を行う。例えば、撮影した画像からRGBのヒストグラムを作成し、そのヒストグラムから自動的にシーンを判定して、広ダイナミックレンジ処理の範囲を自動的に切り換える制御を行う。なお、シーン判定にはオートホワイトバランスの処理を利用し、主感光画素から得られる信号を基にシーンの色温度(光源種)を自動判別して低色温度下か否かを判断することができる。
【0091】
低色温度下では、そもそも広ダイナミックレンジ処理を必要とするシーンが非常に少ない。むしろ、低色温度下では広ダイナミックレンジ処理をすることで、画像が軟調になるという悪影響がある。したがって、カメラの制御上、低色温度下では最大ダイナミックレンジをクリップするような処理が行われる。
【0092】
したがって、どのような状況下でも一定のダイナミックレンジを保証できるデバイス(厳しい仕様をクリアしたもの)を提供しても、それだけの性能余力の大きいものをカメラ側で必ずしも必要としていない。本実施形態では、カメラ側で必要としない性能余力(マージン部分)を有効に使い、CCD製造上の歩留り向上を実現している。
【0093】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、主感光画素と従感光画素を備える撮像素子において、各色のダイナミックレンジを表す評価値MDRを算出し、その算出結果に基づいて撮像素子を評価するようにしたので、撮像素子の性能評価を的確に行うことができ、製品上問題にならない範囲で利用可能な撮像素子を選別することが可能である。これにより、撮像素子の製造上の歩留りを向上させることができる。
【0094】
また、上記求めた色別のMDRを所定の閾値と比較し、その比較結果に従い、予め定められている符号を撮像素子の個体データとして色ごとに添付する態様により、この添付データを利用してカメラ製造時の画質調整工程などにおいて、再現ダイナミックレンジ設定(リミッタ)や、シーン別のダイナミックレンジ設定(リミッタ)などを円滑に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用されるCCDの受光面の構造例を示す平面図
【図2】図1の2−2線に沿う断面図
【図3】図1の3−3線に沿う断面図
【図4】図1に示すCCDの全体構成を示す平面模式図
【図5】CCDの他の構造例を示す平面図
【図6】図5の6−6線に沿う断面図
【図7】CCDの更に他の構造例を示す平面図
【図8】主感光画素と従感光画素の光電変換特性を示すグラフ
【図9】従感光画素のシーディングの現れ方を例示した概念図
【図10】図9中矢印(x軸)で示した対角方向の出力断面図
【図11】主感光画素及び従感光画素の感度と絞りの関係を示すグラフ
【図12】CCD製造時におけるダイナミックレンジ検査工程の手順を示すフローチャート
【図13】カメラ製造時の画質調整工程のフローチャート
【符号の説明】
20…CCD、21…フォトダイオード領域(主感光画素)、22…フォトダイオード領域(従感光画素)、23…垂直転送路、40…カラーフィルタ層、41…マイクロレンズ
【発明の属する技術分野】
本発明は撮像素子の選別方法に係り、特にCCDなどの固体撮像素子の生産管理に好適な製品選別技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
デジタルカメラ等に用いられるCCD固体撮像素子は、一般の銀塩写真と比較してダイナミックレンジが非常に狭いため、適正露光で撮影された画像であっても銀塩系の写真と比較すると物足りない印象を受ける場合がある。また、撮影条件によっては、いわゆる黒つぶれや白とびを生じ、画質が著しく劣化することがある。このような欠点を解消するために、同一シーンにおいて露光量の異なる複数枚の画像を撮影し、これら複数枚の画像データを演算で合成することによってダイナミックレンジの拡大された画像を得る手法が提案されている。
【0003】
特許文献1に開示された撮像装置は、受光面に二次元配列される多数の受光部(画素)について、画素を構成する受光部を感度の異なる2種類の受光領域(高感度部と低感度部)に分割し、2つの受光領域からそれぞれ読み出された信号を混合若しくは加算することにより、ダイナミックレンジの拡大を達成している。
【0004】
【特許文献1】
特開平9−205589号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、特許文献1に開示されている構造を持つCCDによって広ダイナミックレンジ撮像を実現する場合、ダイナミックレンジを決定する要因が多く、各要因を全て仕様化すると、仕様があまりに厳しくなり、CCD製造上の歩留りが悪化する。
【0006】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、ダイナミックレンジの減少要因を考察し、実際の製品上問題にならない範囲で利用可能な撮像素子を選別することにより製造上の歩留りを向上させることができる撮像素子の選別方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために本発明に係る撮像素子の選別方法は、相対的に広い面積を有する主感光画素と、相対的に狭い面積を有する従感光画素との複合からなる画素セルが所定の配列形態に従って多数配置され、前記主感光画素で光電変換された信号電荷に基づく信号と前記従感光画素で光電変換された信号電荷に基づく信号とを選択的に取り出すことができる構造を備えた撮像素子において、前記画素セル上に配設されているカラーフィルタによって色分解される各色別にダイナミックレンジを表す評価値MDRを次式
に従って算出し、その算出結果を利用して撮像素子を評価することを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、感度の異なる主感光画素と従感光画素とを組み合わせた広ダイナミックレンジ撮像可能な撮像素子の製造において、主感光画素と従感光画素との感度比A、従感光画素のシェーディング上昇率SH、絞りに依存する従感光画素の感度上昇率Fをそれぞれ色別に測定し、従感光画素の飽和出力satを測定する。そして、これら測定値を基に上記式に従って評価値MDRを色別に求める。色別に算出されたMDRは、各色の最小ダイナミックレンジを反映する値であり、この値に基づいて撮像素子のランク分け(選別)が可能である。
【0009】
また、上記式に従って求めた色別のMDRを所定の閾値と比較し、その比較結果に従い、予め定められている符号を撮像素子の個体データとして色ごとに添付する態様が好ましい。
【0010】
添付されたデータはカメラ製造時の画質調整工程などにおいて読み取られ、カメラシステムの再現ダイナミックレンジ設定(リミッタ)や、シーン別のダイナミックレンジ設定(リミッタ)などに使用される。これにより、カメラ製造時の画質調整(ダイナミックレンジリミッタの設定)を円滑に行うことができる。
【0011】
本発明の一態様によれば、前記SATで示された所定値は、色別に設定されている最大出力であって、少なくとも撮像素子の仕様としての飽和出力以下であることを特徴とする。
【0012】
「色別に設定されている所定値」として単純に撮像素子スペックの最小飽和出力を用いるよりも、飽和マージンを考慮して、色別に設定されている最大出力を用いることにより、大きなダイナミックレンジを確保することが可能となる上に、色別の設定によりシーン依存の再現ダイナミックレンジリミッタを的確に設定することが可能になる。
【0013】
本発明の他の態様によれば、前記Fで示された色別の絞り依存従感光画素感度上昇率は、感度測定時に開放端絞りを用いて測定した場合にはF=0とすることを特徴する。
【0014】
主感光画素の感度は開放端絞り側で低下する傾向があるのに対し、従感光画素の感度は開放端絞り側で上昇する傾向がある。絞りに依存して従感光画素の感度が上昇することは、ダイナミックレンジの低下要因となるため、評価値MDRの演算式においてこの感度上昇率Fを考慮して1/(1+F)をかけている。しかしながら、感度測定条件が開放端絞りである場合には、感度上昇率Fを「0」として取り扱う。
【0015】
また、本発明は、同一画素セル内の主感光画素と従感光画素について同一の色成分のカラーフィルタが配置されており、各画素セルの上方にはそれぞれ1つの画素セルに対して1つのマイクロレンズが設けられている構造を有する撮像素子の選別に適している。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下添付図面に従って本発明に係る撮像素子の選別方法の好ましい実施の形態について詳説する。
【0017】
図1は本発明が適用されるCCD固体撮像素子(以下、CCDという。)20の受光面の構造例を示す平面図である。図1では2つの受光セル(画素PIX)が横に並んでいる様子を示すが、実際には多数の画素PIXが水平方向(行方向)及び垂直方向(列方向)に一定の配列周期で配列されている。
【0018】
各画素PIXは、感度の異なる2つのフォトダイオード領域21、22を含む。第1のフォトダイオード領域21は、相対的に広い面積を有し、主たる感光部(以下、主感光画素という)を構成する。第2のフォトダイオード領域22は、相対的に狭い面積を有し、従たる感光部(以下、従感光画素という。)を構成する。画素PIXの右側には垂直転送路(VCCD)23が形成されている。
【0019】
図1に示した構成はハニカム構造の画素配列であり、図示した2つの画素PIX上側及び下側には不図示の画素が横方向に半ピッチずれた位置に配置される。図1上に示した各画素PIXの左側に示されている垂直転送路23は、これら画像PIXの上側及び下側に配置される不図示の画素からの電荷を読み出し、転送するためのものである。
【0020】
図1中点線で示すように、四相駆動(φ1,φ2,φ3,φ4)に必要な転送電極24、25、26、27(まとめてELで示す。)が垂直転送路23の上方に配置される。例えば、2層ポリシリコンで転送電極を形成する場合、φ1 のパルス電圧が印加される第1の転送電極24と、φ3 のパルス電圧が印加される第3の転送電極26とは第1層ポリシリコン層で形成され、φ2 のパルス電圧が印加される第2の転送電極25と、φ4 のパルス電圧が印加される第4の転送電極27とは第2層ポリシリコン層で形成される。なお、転送電極24は従感光画素22から垂直転送路23への電荷読み出しも制御する。転送電極25は主感光画素21から垂直転送路23への電荷読み出しも制御する。
【0021】
図2は図1の2−2線に沿う断面図であり、図3は図1の3−3線に沿う断面図である。図2に示したように、n型半導体基板30の1表面にp型ウエル31が形成されている。p型ウエル31の表面領域に2つのn型領域33、34が形成され、フォトダイオードを構成している。符号33で示したn型領域のフォトダイオードが主感光画素21に相当し、符号34で示したn型領域のフォトダイオードが従感光画素22に相当している。p+ 型領域36は、画素PIX、垂直転送路23等の電気的な分離を行うチャネルストップ領域である。
【0022】
図3に示すように、フォトダイオードを構成するn型領域33の近傍に垂直転送路23を構成するn型領域37が配置されている。n型領域33、37の間のp型ウエル31が読み出しトランジスタを構成する。
【0023】
半導体基板表面上には酸化シリコン膜等の絶縁層が形成され、その上にポリシリコンで形成された転送電極ELが形成される。転送電極ELは、垂直転送路23の上方を覆うように配置されている。転送電極ELの上に、更に酸化シリコン等の絶縁層が形成され、その上に垂直転送路23等の構成要素を覆い、フォトダイオード上方に開口を有する遮光膜38がタングステン等により形成されている。
【0024】
遮光膜38を覆うようにホスホシリケートガラス等で形成された層間絶縁膜39が形成され、その表面が平坦化されている。層間絶縁膜39の上にカラーフィルタ層(オンチップカラーフィルタ)40が形成されている。カラーフィルタ層40は、例えば赤色領域、緑色領域、及び青色領域等の3色以上の色領域を含み、各画素PIXについて一色の色領域が割り当てられている。
【0025】
カラーフィルタ層40の上に各画素PIXに対応してマイクロレンズ(オンチップマイクロレンズ)41がレジスト材料等により形成されている。マイクロレンズ41は、各画素PIXの上に1つ形成されており、上方より入射する光を遮光膜38が画定する開口内に集光させる機能を有する。
【0026】
マイクロレンズ41を介して入射した光は、カラーフィルタ層40によって色分解され、主感光画素21及び従感光画素22の各フォトダイオード領域にそれぞれ入射する。各フォトダイオード領域に入射した光は、その光量に応じた信号電荷に変換され、それぞれ別々に垂直転送路23に読み出される。
【0027】
こうして、1つの画素PIXから感度の異なる2種類の画像信号(高感度画像信号と低感度画像信号)と別々に取り出すことが可能であり、光学的に同位相の画像信号を得る。
【0028】
図4は、CCD20の受光領域PS内の画素PIX及び垂直転送路23の配置を示す。画素PIXは、セルの幾何学的な形状の中心点を行方向及び列方向に1つおきに画素ピッチの半分(1/2ピッチ)ずらして配列させたハニカム構造となっている。すなわち、互いに隣接する画素PIXの行どうし(又は列どうし)において、一方の行(又は列)のセル配列が、他方の行(又は列)のセル配列に対して行方向(又は列方向)の配列間隔の略1/2だけ相対的にずれて配置された構造となっている。
【0029】
図4において画素PIXが配列された受光領域PSの右側には、転送電極ELにパルス電圧を印加するVCCD駆動回路44が配置される。各画素PIXは上述のように主感光画素21と従感光画素22とを含む。垂直転送路23は各列に近接して蛇行して配置されている。
【0030】
また、受光領域PSの下側(垂直転送路23の下端側)には、垂直転送路23から移された信号電荷を水平方向に転送する水平転送路(HCCD)45が設けられている。
【0031】
水平転送路45は、2相駆動の転送CCDで構成されており、水平転送路45の最終段(図4上で最左段)は出力部46に接続されている。出力部46は出力アンプを含み、入力された信号電荷の電荷検出を行い、信号電圧として出力端子に出力する。こうして、各画素PIXで光電変換した信号が点順次の信号列として出力される。
【0032】
図5にCCD20の他の構造例を示す。図5は平面図、図6は図5の6−6線に沿う断面図である。これらの図面中図1及び図2に示した例と同一又は類似の部材には同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0033】
図5及び図6に示したように、主感光画素21と従感光画素22の間にp+ 型分離領域48が形成されている。この分離領域48はチャネルストップ領域(チャネルストッパ)として機能し、フォトダイオード領域の電気的な分離を行う。また、分離領域48の上方には分離領域48に対応した位置に遮光膜49が形成されている。
【0034】
遮光膜49と分離領域48とを用いることにより、入射する光を効率的に分離するとともに、主感光画素21及び従感光画素22に蓄積された電荷がその後混合することを防止する。その他の構成は図2及び図3に示した例と同様である。
【0035】
また、画素PIXのセル形状や開口形状は図1や図5に示した例に限定されず、多角形、円形など多様な形態をとり得る。更に、各受光セルの分離形状(分割形態)についても、図1や図5に示した形状に限定されない。
【0036】
図7にCCD20の更に他の構造例を示す。図7中図1及び図5に示した例と同一又は類似の部材には同一の符号を付し、その説明は省略する。図7は、二つの感光部(21、22)が斜め方向に分離されている構成を示す。
【0037】
このように、それぞれの分割感光エリアで蓄積された電荷を別々に垂直転送路に読み出すことができればよく、分割形状や分割数、面積の大小関係などは適宜設計される。ただし、従感光画素の面積を主感光画素の面積に比べて小さい値とする。また、主感光部の面積減少を抑制し、感度低下を最小限に抑えることが好ましい。
【0038】
図8は、主感光画素21と従感光画素22の光電変換特性を示すグラフである。図8(a)は「晴れ」の光源下で撮影した場合の色別(RGB別)の感度曲線を示し、図8(b)は低色温度下で撮影した場合の色別感度曲線を示す。これらのグラフにおいて横軸は入射光量、縦軸は出力信号の値(例えば、A/D変換後の画像データ値(QL値))を示す。図8において英大文字「R」,「G」,「B」で示したグラフは主感光画素21から得られるR(赤)信号、G(緑)信号、B(青)信号をそれぞれ表し、英小文字「r」,「g」,「b」で示したグラフは従感光画素22から得られるR信号、G信号、B信号をそれぞれ表している。
【0039】
図8(a),(b)に示したように、主感光画素21と従感光画素22との比較においては、主感光画素22の感度が高い。また、色別に比較すると「晴れ」の光源下では緑(G)の色成分が強いためにGの感度が相対的に高く、赤(R)と青(B)は略同等で相対的に低い感度を有する。なお、このような色別の感度差はホワイトバランスゲインによってR,Bを増幅してGに合わせる処理を行うことで補正される。
【0040】
図8(a)に示した主感光画素21のG信号に注目すると、主感光画素21のG出力は、入射光量に比例して次第に増加し、入射光量が「c」のときに出力がCCDスペックとしての飽和出力値(CCD飽和出力という。)に達する。以後、入射光量が増加しても主感光画素21のG出力は一定となる。この「c」を主感光画素21の飽和光量と呼ぶことにする。
【0041】
従感光画素を有していない従来のCCDにおいて「CCDのダイナミックレンジ」は、一番明るい色(感度の高い色)の飽和で決定されるため、この定義に従うと、図8(a)における「c」が従来CCDのダイナミックレンジを決定するものに相当する。
【0042】
一方、従感光画素のG信号に注目すると、従感光画素22の感度は、主感光画素21の感度の1/aであり(a>1)、入射光量がα×cのときに出力が飽和する。従感光画素の飽和出力を「sat」で示すと、α=a/satである。従感光画素が飽和する光量「α×c」を従感光画素22の飽和光量と呼ぶ。
【0043】
このように、異なる感度を持つ主感光画素21と従感光画素22とを組み合わせることにより、主感光画素のみの構成よりもCCDのダイナミックレンジをα倍に拡大(本例では約4倍に拡大)できる。図8(a)における「α×c」が本実施形態におけるCCDのダイナミックレンジを決定するものに相当する。
【0044】
これに対し、CCDを搭載したカメラ自体のダイナミックレンジは、飽和マージンをとっているため、CCD飽和出力よりも一定量だけ低いところに実用上の飽和出力が設定される。図8(a)においてSAT_Gで示した値がGの飽和出力値である。CCD飽和出力と色別の飽和出力SAT_Gとの差が飽和マージンである。
【0045】
このように飽和マージンを設定する理由は、図8(b)に示すように、低色温度の場合にRの感度が非常に高くなり、「晴れ」モード時のGの感度(図8(a))よりもRの感度が高くなることに配慮したものである。
【0046】
「低色温度」の定義については明確な定めがないために図8(b)においてRの感度曲線の傾斜はいくらでも急傾斜に(きつく)なり得る。Rの信号が強くなるのに対してGの出力は相対的に弱まっていく。通常、従来型カメラ(従来機)においては、ある色温度のところで設定値としてカメラのダイナミックレンジを設定している。
【0047】
図8の例において従来機のダイナミックレンジは、低色温度下でRの飽和出力SAT_RがCCD飽和出力と一致しているときと定めている。この定義に従うと、図8の「d」が従来機のダイナミックレンジを示すものである。
【0048】
カメラの性能はCCD単体のスペックで評価するよりはむしろ、カメラ全体として評価することが重要であると考えられるため、従来機のダイナミックレンジとの比較において、何倍かの広いダイナミックレンジを実現することが重視される。例えば、従来機のダイナミックレンジに対して約4倍のダイナミックレンジのカメラを実現するには、図8(b)に示した「e」付近が4倍のダイナミックレンジを確保する。
【0049】
すなわち、CCDの仕様として従来のCCDの4倍の感度を実現していなくても、従来機との比較で4倍を達成していれば十分であるとの考え方に基づいてCCDの製品評価を行う。
【0050】
従感光画素22には、シェーディングや絞りに依存する感度の変動など、ダイナミックレンジが低下する要因が多い。したがって、主/従感光画素の感度比、出力飽和、シェーディング、感度の絞り依存性などの各項目を全て仕様化すると、仕様が厳しくなりすぎて歩留りが悪化する。そのため、本実施形態においては、実質的に問題にならないデバイスを多く生産できるように、妥当な製品評価を行い、歩留りの向上を図る。具体的には、色別にダイナミックレンジを評価する。
【0051】
まず、ダイナミックレンジの低下要因の一つであるシェーディング現象について説明する。
【0052】
図9は、従感光画素のシーディングの現れ方を例示した概念図である。同図では、画素PIXが斜め方向に分割され、画素PIXの中心から右斜め上の位置に従感光画素が形成される構造を有するCCDが例示されている。
【0053】
かかる構造のCCDでは、オンチップマイクロレンズの光学特性と従感光画素の位置関係から従感光画素について、画面中央部に対して画面左下が相対的に暗く、画面右上が相対的に明るくなる分布のシェーディングが発生する。
【0054】
従来の撮像デバイス(従感光画素を有していない一般的な撮像デバイス)では、画面中心に対して画面の周囲部は出力が低下するシェーディングが発生する。しかしながら、主感光画素と従感光画素とを組み合わせた構造を有するCCDにおいては、画面中心(テスターで感度を測定する位置)よりも画面の周辺部(D端部)で感度が高くなるシェーディングが発生する。このようなシェーディングはCCDのダイナミックレンジを低下させる要因となる。
【0055】
画面周辺部で従感光画素の感度が上昇する原因として、マイクロレンズと従感光画素の位置関係がある。近射出瞳位置の場合には、撮像面に対する光線入射角が大きいために、CCDの受光面中心部から離れた位置に存在する画素セルについてオンチップマイクロレンズの結像円が画素セルの位置からずれる。そのずれ量は画面中心位置からの距離とともに増加する。
【0056】
従感光画素の画素割り形状との関係で結像円と従感光画素との重なりが大きいほど、従感光画素に入射する光量が増加することになる。したがって、図9に示した画素割り構造の場合、画面右上の部分は感度が上昇し、画面左下の部分は感度が低下する。
【0057】
また、入射光はマイクロレンズ結像円内に集められるが、更に結像円の中でも円の中心部に光が集まっている。つまり、結像円内でも中心ほど光が強く、周縁に行くほど光は弱くなる。したがって、マイクロレンズ結像円の中心が従感光画素の位置にきたときにその画素の感度が見かけ上あがることになる。図9の右上に示したように、結像円(集光円)の中心に従感光画素の位置があるものが最も出力が強くなる。
【0058】
シェーディングの測定は、射出瞳と絞りをそれぞれある値に固定した所定の測定条件で行う。図9中矢印(x軸)で示した対角方向の出力断面図を図10に示す。横軸は対角方向の位置を示し、縦軸は従感光画素の感度を示す。画面中央を基準にすると、画面左下ほど感度が低く、画面右上に行くほど感度が大きくなることを示している。
【0059】
CCDの感度は、画面中心位置で測定する。その画面中心位置(感度測定位置)の出力に対して画面周辺部(D端部)での感度上昇率はどのくらいかを示すために、画面中心位置の出力を「100」として規格化し、D端部での感度上昇量をhとすると、シェーディング上昇率SHを次式で定義する。
【0060】
【数1】SH=h/100
図9からも明らかなように、画面中心に対してどの方向にあるかによってシェーディングによる感度の上昇量は異なる。画面中心に対して最も感度上昇変化が大きいところ(四隅の中で感度が最も大きいところ)で上記式〔数1〕によって「従感光画素シェーディング上昇率」を定義する。
【0061】
しかし、CCD受光面における四隅の全ての位置で感度を測定する必要はなく、マイクロレンズの位置と従感光画素の配置関係で、どの位置(中心からの方向)が最も明るくなるかというのは分かっている。したがって、画面中心に対して、四隅のうち最も明るさが明るくなるところで感度の上昇量を測定することによって従感光画素シェーディング上昇率を求めることができる。
【0062】
次に、絞りに依存する感度の変動現象について説明する。
【0063】
図11は、主感光画素及び従感光画素の感度と絞りの関係を示すグラフである。同図は、感度測定時の条件である所定の絞り(例えばF5.6)で測定した値を基準として規格化した絞り−感度曲線を示すグラフである。実線は主感光画素の感度を示し、点線は従感光画素の感度を示す。同図に示したように、F5.6を基準にすると、主感光画素は開放端(F2.8)側で出力が小さくなる。一方、従感光画素はF5.6の感度に対して、開放端側で出力が上がり、小絞り(F8)側で出力が小さくなる。
【0064】
このように、主感光画素の感度は絞りの開放端(F2.8)側で低下するのに対し、従感光画素の感度は開放端側で上昇するという傾向がある。従感光画素について開放端で感度が上昇することは、ダイナミックレンジが狭くなることを意味する。
【0065】
検査工程における感度測定条件(例えば、F5.6)で測定された従感光画素の感度Kを基準とし、この基準値に対する開放端絞りでの感度上昇量Mを用いて「絞り依存従感光画素感度上昇率F」を次式で定義する。
【0066】
【数2】F=M/K
なお、感度測定時に開放端絞りを用いた場合には、K以上に感度が低下することはあり得ないのでF=0とする。
【0067】
上述したシーディング及び絞り依存の感度上昇を考慮して、下記のとおりCCDの性能評価を行う。
【0068】
製造されたCCDを評価するためにCCD製造後の検査工程において、A=主感光画素感度/従感光画素感度、SH=従感光画素シェーディング上昇率、F=絞り依存従感光画素感度上昇率をそれぞれR、G、Bの色別に測定(実測)する。これら項目の測定はテスターなどを用いることによって可能である。
【0069】
また、従感光画素の飽和出力satを測定する。このとき、主感光画素の飽和に合わせて、ブルーミングが起きない範囲で飽和が最大になるようにオーバーフロードレイン電圧を調整する。その後、この調整したオーバーフロードレイン電圧で従感光画素の飽和を測定する。
【0070】
こうして各項目について得られた測定値を用い色別の最小ダイナミックレンジMDRを次式に従って計算する。
【0071】
【数3】
【0072】
【数4】
【0073】
【数5】
ただし、上記の式においてR, G, B各色別の文字変数を「* _R」、「* _G」,「* _B」)によって区別している。
【0074】
上記の式〔数3〕〜〔数5〕によって求めた色別の最小ダイナミックレンジを所定の閾値と比較し、その結果に従い、予め決められた符号をCCD個体データとして色ごとに添付する。
【0075】
図12にそのフローチャートを示す。CCD製造におけるダイナミックレンジ検査工程では、まず、上記〔数3〕で求めたMDR_Rが閾値「4」を超えているか否かを判定する(ステップS110)。この判定用閾値は、主感光画素のダイナミックレンジに対する従感光画素のダイナミックレンジの倍数を示すものであり、閾値「4」は従感光画素のダイナミックレンジが主感光画素のダイナミックレンジの4倍を超える性能が実現されているCCDであるか否かを判断することに相当する。
【0076】
ステップS110でMDR_Rが4を超える結果となった場合には、その結果を示すパラメータX_Rに符号「0」を書き込む(ステップS112)。
【0077】
その一方、ステップS110において、NO判定の場合には、ステップS114に進む。ステップS114では上記〔数3〕で求めたMDR_Rが閾値「3」を超えているか否かを判定する。ステップS114でMDR_Rが3を超える結果となった場合には、その結果を示すパラメータX_Rに符号「1」を書き込む(ステップS116)。また、ステップS114でNO判定を得た場合には、パラメータX_Rに符号「2」を書き込む(ステップS118)。こうして、CCD個体ごとにX_Rの情報が決定され、X_R=0,1,2の3タイプに選別される。例えば、X_R=2となった製品については、十分なダイナミックレンジを確保し得ない製品であるため出荷NGとして取り扱われる。
【0078】
図12では、Rについてのみ示したが、G及びBについても同様に検査され、X_G、X_Bの情報が決定されてCCD個体データとして添付される。
【0079】
製造されたCCDは図12のダイナミックレンジ検査工程を経て、X_G,X_R,X_Bのデータが付され、所定の条件をクリアしたもののみ出荷される(ステップS120)。なお、X_G,X_R,X_Bのデータは、メモリなどの記憶媒体に記録してもよいし、紙などの印刷媒体に印刷してもよい。
【0080】
こうして、出荷されたCCDはカメラ製造工程に送られ、カメラ内に組み込まれる。カメラ製造時の画質調整工程において、各色別の最小ダイナミックレンジの評価を表すデータX_G,X_R,X_Bを読んで、システムリミッタや色温度リミッタの設定を行う。
【0081】
図13は画質調整工程のフローチャートを示す。まず、CCDに添付されているX_Gの値を判定する(ステップS210)。ステップS210においてX_G≠0である場合(すなわち、X_G=1の場合)には、ステップS212に進み。システムリミッタ(晴れリミッタ)をONに設定する。システムリミッタは、カメラの再現ダイナミックレンジを制限するフラグであり、このフラグをONに設定すると、再現ダイナミックレンジが300%(主感光画素のダイナミックレンジを100%としたとき、その3倍のダイナミックレンジ)になる。システムリミッタの設定情報はカメラ内の不揮発性メモリ(EEPROMなど)に記憶される。
【0082】
その一方、ステップS210においてX_G=0である場合には、システムリミッタがOFFに設定される(ステップS214)。システムリミッタをOFFに設定すると、再現ダイナミックレンジが400%(主感光画素のダイナミックレンジを100%としたとき、その4倍のダイナミックレンジ)まで広がる。
【0083】
なお、このシステムリミッタは、カメラの仕様外の条件下におけるダイナミックレンジを制限するものである。例えば、ISO感度400のときに、400%以上のダイナミックレンジを達成する仕様となっている場合、かかる仕様は満たすものの、ISO感度200などの低感度の場合に、ある色温度のときに400%を維持できないCCDが存在し得る。そういう場合に、カメラシステム上、再現ダイナミックレンジを300%までに制限するというものである。
【0084】
人間の感覚は略logスケールで効いてくるので、log(対数)の関数をとったときに略リニアになるように、再現ダイナミックレンジを100%−130%−170%−220%−300%−400%という具合に段階的に切り換えて広ダイナミックレンジ処理を行うようになっている。
【0085】
400%までの再現ダイナミックレンジを必要とするシーン自体がかなり稀である上に、300%までの範囲で十分に再現性のよい絵づくりが可能であるため、条件によって再現ダイナミックレンジを300%に制限しても実用上問題がない。
【0086】
図13においてステップS212又はステップS214の後は、ステップS216に進む。ステップS216では、CCDに添付されているX_Rの値を判定する。ステップS216においてX_R≠0である場合(すなわち、X_R=1の場合)には、ステップS218に進み、低色温度リミッタをONに設定する。低色温度リミッタはシーンに依存して再現ダイナミックレンジを制限するフラグである。このフラグをONに設定すると低色温度のときに広ダイナミックレンジ処理が300%の範囲に制限される。低色温度リミッタの設定情報はカメラ内の不揮発性メモリ(EEPROMなど)に記憶される。
【0087】
ステップS216においてX_R=0である場合には、システムリミッタがOFFに設定される(ステップS220)。システムリミッタをOFFに設定すると、低色温度下においても再現ダイナミックレンジが400%となる。
【0088】
ステップS218又はステップS220で低色温度リミッタの設定が完了したら画質調整工程を終了する(ステップS222)。
【0089】
なお、図12ではX_GとX_Rの値を利用したが、X_Gに代えて、又はこれと併せてX_Bを用いる態様も可能である。低色温度リミッタの設定に関してはX_Rの値を判断するため、CCD個体データとしては少なくともRに関するデータ(X_R)を含む複数色についてのデータが添付されることが好ましい。
【0090】
図12で説明した画質調整工程を行ったカメラは、リミッタ設定に応じて広ダイナミックレンジ処理を行う。例えば、撮影した画像からRGBのヒストグラムを作成し、そのヒストグラムから自動的にシーンを判定して、広ダイナミックレンジ処理の範囲を自動的に切り換える制御を行う。なお、シーン判定にはオートホワイトバランスの処理を利用し、主感光画素から得られる信号を基にシーンの色温度(光源種)を自動判別して低色温度下か否かを判断することができる。
【0091】
低色温度下では、そもそも広ダイナミックレンジ処理を必要とするシーンが非常に少ない。むしろ、低色温度下では広ダイナミックレンジ処理をすることで、画像が軟調になるという悪影響がある。したがって、カメラの制御上、低色温度下では最大ダイナミックレンジをクリップするような処理が行われる。
【0092】
したがって、どのような状況下でも一定のダイナミックレンジを保証できるデバイス(厳しい仕様をクリアしたもの)を提供しても、それだけの性能余力の大きいものをカメラ側で必ずしも必要としていない。本実施形態では、カメラ側で必要としない性能余力(マージン部分)を有効に使い、CCD製造上の歩留り向上を実現している。
【0093】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、主感光画素と従感光画素を備える撮像素子において、各色のダイナミックレンジを表す評価値MDRを算出し、その算出結果に基づいて撮像素子を評価するようにしたので、撮像素子の性能評価を的確に行うことができ、製品上問題にならない範囲で利用可能な撮像素子を選別することが可能である。これにより、撮像素子の製造上の歩留りを向上させることができる。
【0094】
また、上記求めた色別のMDRを所定の閾値と比較し、その比較結果に従い、予め定められている符号を撮像素子の個体データとして色ごとに添付する態様により、この添付データを利用してカメラ製造時の画質調整工程などにおいて、再現ダイナミックレンジ設定(リミッタ)や、シーン別のダイナミックレンジ設定(リミッタ)などを円滑に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用されるCCDの受光面の構造例を示す平面図
【図2】図1の2−2線に沿う断面図
【図3】図1の3−3線に沿う断面図
【図4】図1に示すCCDの全体構成を示す平面模式図
【図5】CCDの他の構造例を示す平面図
【図6】図5の6−6線に沿う断面図
【図7】CCDの更に他の構造例を示す平面図
【図8】主感光画素と従感光画素の光電変換特性を示すグラフ
【図9】従感光画素のシーディングの現れ方を例示した概念図
【図10】図9中矢印(x軸)で示した対角方向の出力断面図
【図11】主感光画素及び従感光画素の感度と絞りの関係を示すグラフ
【図12】CCD製造時におけるダイナミックレンジ検査工程の手順を示すフローチャート
【図13】カメラ製造時の画質調整工程のフローチャート
【符号の説明】
20…CCD、21…フォトダイオード領域(主感光画素)、22…フォトダイオード領域(従感光画素)、23…垂直転送路、40…カラーフィルタ層、41…マイクロレンズ
Claims (5)
- 上記式に従って求めた色別のMDRを所定の閾値と比較し、その比較結果に従い、予め定められている符号を撮像素子の個体データとして色ごとに添付することを特徴とする請求項1記載の撮像素子の選別方法。
- 前記SATで示された所定値は、色別に設定されている最大出力であって、少なくとも撮像素子の仕様としての飽和出力以下であることを特徴とする請求項1又は2記載の撮像素子の選別方法。
- 前記Fで示された色別の絞り依存従感光画素感度上昇率は、感度測定時に開放端絞りを用いて測定した場合にはF=0とすることを特徴する請求項1、2又は3記載の撮像素子の選別方法。
- 同一画素セル内の主感光画素と従感光画素について同一の色成分のカラーフィルタが配置されており、各画素セルの上方にはそれぞれ1つの画素セルに対して1つのマイクロレンズが設けられていることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項記載の撮像素子の選別方法。
Priority Applications (1)
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JP2003009944A JP2004221486A (ja) | 2003-01-17 | 2003-01-17 | 撮像素子の選別方法 |
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- 2003-01-17 JP JP2003009944A patent/JP2004221486A/ja active Pending
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