JP2004219901A - スクリーン及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】スクリーン表面での外光の散乱を抑制し、投射される画像光を選択的に反射して散乱させる高コントラストのスクリーンを実現する。
【解決手段】スクリーン基材1と、スクリーン基材1上に設けられ、プロジェクタ光に対応する特定の波長領域の光を反射する特性を有し、表面に凹凸が形成された選択反射フィルム2とで構成される。また、選択反射フィルム2は、特定の波長領域の光を反射し、他の波長領域の光を透過する選択反射層2aと、選択反射層2aが成膜される成膜基材2bとからなり、選択反射層2aの上からの型押しによって、成膜基材2bに光を散乱させる拡散構造3が形成される。また、選択反射層2aを透過した光を吸収する吸収層4が選択反射層2aの背後に配置される。
【選択図】 図1
【解決手段】スクリーン基材1と、スクリーン基材1上に設けられ、プロジェクタ光に対応する特定の波長領域の光を反射する特性を有し、表面に凹凸が形成された選択反射フィルム2とで構成される。また、選択反射フィルム2は、特定の波長領域の光を反射し、他の波長領域の光を透過する選択反射層2aと、選択反射層2aが成膜される成膜基材2bとからなり、選択反射層2aの上からの型押しによって、成膜基材2bに光を散乱させる拡散構造3が形成される。また、選択反射層2aを透過した光を吸収する吸収層4が選択反射層2aの背後に配置される。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、明光下で高コントラストの投影画像を映し出すスクリーン及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、映像を鑑賞する手段として、プロジェクタ(投影機)とスクリーンからなる映像鑑賞システムがある。また、会議などにも、こういったプロジェクタと像を結像させるためのスクリーンによるプロジェクタシステムが広く用いられている。
【0003】
この種のプロジェクタとしては、例えば、光源から出射された光線を赤(R)、緑(G)、青(B)の各色の光線に分離して所定の光路に収束させる照明光学系と、RGB各色の光束をそれぞれ光変調する液晶パネル(ライトバルブ)と、光変調されたRGB各色の光束を合成する光合成部とを備え、光合成部により合成されたカラー画像を投射レンズによりスクリーンに拡大投影するものがある。
【0004】
また、最近では、光源に狭帯域三原色光源、例えばRGB各色の狭帯域光を発するレーザー発振器を使用し、液晶パネルの代わりにグレーティングライトバルブ(GLV:Grating Light Valve)を用いてRGB各色の光束を空間的に変調するプロジェクタも開発されている。
【0005】
このようなプロジェクタに対して、投影画像を表示するスクリーンには、広範囲の人が見ることができるように、プロジェクタから投影された光を散乱させる工夫がなされているのが一般的である。例えば、光を散乱させるために、スクリーンの表面に凹凸形状を形成するといった手段が用いられている(例えば、特許文献1参照。)。
【0006】
【特許文献1】
特開平10−312027号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
一方、例えば、本出願人と同一の出願人により提案されている投影用スクリーン(特願2002−070572号等)のように、プロジェクタから投影された光を主に反射し、プロジェクタ以外の例えば蛍光灯や太陽等からの光、すなわち外光は反射しないようにして、投影画像のコントラストを高める工夫がなされたスクリーンもある。
【0008】
この場合も、広範囲で鑑賞可能とするために、光を散乱させる必要があり、プロジェクタから投影された光を主に反射する選択反射層を基材に成膜した後に、膜の上に光を散乱させるためのフィルム(拡散板)を貼り付けている。
【0009】
しかしながら、上記選択反射層のような外光の影響を低減する層を設けた構成の場合、スクリーンに入射してくる光の一部は、拡散板にて反射してしまい、選択反射層に到達しないため、プロジェクタからの投影光のみならず、外光の一部も視聴範囲に到達してしまうことになり、高コントラストの実現の妨げとなる。
【0010】
また、本出願人と同一の出願人より、拡散板上に上記選択反射層を成膜することで、選択反射層に拡散板を貼り付ける工程を省いたスクリーン(特願2002−197313号)も提案されている。これによれば、光を散乱させるための拡散板が選択反射層の背後にあるため、外光が選択反射層に入射する前に拡散板にて反射してしまうことがなく、高コントラストの実現に効果的である。
【0011】
しかしながら、上記選択反射層は、膜厚によりその特性が左右されるため、選択反射層を正確な厚さに均一に成膜することが重要であるが、拡散板は表面に凹凸を持ったものであり、その上へ膜を均一に成膜することが難しいという問題がある。
【0012】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたもので、スクリーン表面での外光の散乱を抑制し、投射される画像光を選択的に散乱させることによって、明光下での高コントラストの映像を実現するスクリーン及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、画像光の照射により画像を表示するスクリーンにおいて、基材と、この基材上に成膜され、波長領域に応じて選択的に光を透過する光学薄膜と、成膜された光学薄膜の上からの型押しによって基材に形成され、光学薄膜を介して反射する光を散乱させる拡散構造とを備えたことを特徴とする。
【0014】
請求項1の発明においては、光学薄膜の成膜後に拡散構造が形成されることにより、表面に均一な膜厚の光学薄膜を有する拡散構造が容易に得られるとともに、光学薄膜の波長領域による選光作用によって得られる目的の波長領域の反射光のみ有効に散乱させることができ、外光の散乱を低減して、明光下における高コントラストの画像表示を実現することが可能となる。
【0015】
請求項2の発明は、請求項1のスクリーンにおいて、光学薄膜が、画像光に対応する特定波長領域の光に対して高反射特性を有し、少なくとも特定波長領域を除く可視波長領域の光に対して高透過特性を有することを特徴とする。
【0016】
請求項3の発明は、請求項2のスクリーンにおいて、光学薄膜が、高屈折率層とこれより屈折率の低い低屈折率層を交互に積層した多層膜からなることを特徴とする。
【0017】
請求項4の発明は、請求項3のスクリーンにおいて、高屈折率層が酸化ニオブ、酸化タンタルまたは酸化チタンを含有し、低屈折率層が酸化ケイ素またはフッ化マグネシウムを含有することを特徴とする。
【0018】
請求項2〜4の発明においては、拡散構造の表面形状に沿って形成されている光学薄膜である選択反射層によって、画像光に対応する特定波長領域の光を選択的に反射して散乱させることが可能となるとともに、スクリーン表面での外光の散乱が抑制され、明光下における高コントラストの画像表示を実現することが可能となる。
【0019】
請求項5の発明は、請求項2のスクリーンにおいて、光学薄膜を透過した光を吸収する吸収層を備えたことを特徴とする。
【0020】
請求項6の発明は、請求項5のスクリーンにおいて、吸収層が、黒色微粒子を含有してなることを特徴とする。
【0021】
請求項5、6の発明においては、光学薄膜を透過した外光が、吸収層により吸収され、黒レベルの鮮明な画像表示が可能となる。
【0022】
請求項7の発明は、請求項1のスクリーンにおいて、光学薄膜が、画像光に対応する特定波長領域の光に対して高透過特性を有し、少なくとも特定波長領域を除く可視波長領域の光に対して高吸収特性を有することを特徴とする。
【0023】
請求項8の発明は、請求項7のスクリーンにおいて、光学薄膜が、特定波長領域以外の所定の波長領域の光に対して高吸収特性を有し、所定の波長領域以外の光に対して高透過特性を有する選択吸収色素を含有することを特徴とする。
【0024】
請求項7、8の発明においては、拡散構造の表面形状に沿って形成されている光学薄膜である選択吸収層によって、画像光を除く波長領域の外光のみ選択的に吸収することが可能となるとともに、スクリーン表面での外光の散乱が抑制され、明光下における高コントラストの画像表示を実現することが可能となる。
【0025】
請求項9の発明は、請求項7のスクリーンにおいて、光学薄膜を透過した光を反射する反射層を備えたことを特徴とする。
【0026】
請求項9の発明においては、光学薄膜で吸収されずに透過する画像光は、反射層により反射され、拡散構造により散乱するため、明光下においても高輝度、高コントラストの画像表示が可能となる。
【0027】
請求項10の発明は、請求項1のスクリーンにおいて、光学薄膜が、拡散構造の表面形状の法線方向の膜厚が一定となるようにひび割れていることを特徴とする。
【0028】
請求項10の発明においては、光学薄膜に柔軟性がない場合、成膜後に拡散構造が形成されると、光学薄膜はひび割れた状態になるが、拡散構造の表面形状の法線方向の膜厚は一定に保持されるため、波長領域に応じた選光特性にムラのない、品質に優れた高コントラストのスクリーンが実現する。
【0029】
請求項11の発明は、請求項1のスクリーンにおいて、拡散構造が、複数の凸部または凹部を有することを特徴とする。この発明においては、複数の凸部または凹部により反射光が散乱し、有効に拡散される。なお、散乱光の干渉を防ぐために、複数の凸部または凹部はランダムに配置されていることが望ましい。
【0030】
請求項12の発明は、請求項2または7のスクリーンにおいて、特定波長領域が、赤色光の波長領域、緑色光の波長領域及び青色光の波長領域を含むことを特徴とする。本発明においては、赤、緑、青の三原色波長領域の光を投光するプロジェクタ用として好適なスクリーンを得ることが可能となる。
【0031】
請求項13の発明は、スクリーンの製造方法において、基材上に、波長領域に応じて選択的に光を透過する光学薄膜を成膜する工程と、基材の光学薄膜が成膜された面に拡散構造型材を押し付けて、光学薄膜を介して反射する光を散乱させる拡散構造を形成する工程とを含むことを特徴とする。
【0032】
請求項13の発明においては、表面に均一な膜厚の光学薄膜を有する拡散構造を容易に形成することができ、外光の影響を低減できる表示性能に優れたスクリーンを容易に製造することが可能となる。
【0033】
請求項14の発明は、請求項13のスクリーンの製造方法において、光学薄膜が、照射される画像光に対応する特定波長領域の光に対して高反射特性を有し、少なくとも特定波長領域を除く可視波長領域の光に対して高透過特性を有することを特徴とする。
【0034】
請求項15の発明は、請求項14のスクリーンの製造方法において、光学薄膜が、高屈折率層とこれより屈折率の低い低屈折率層を交互に積層した多層膜からなることを特徴とする。
【0035】
請求項14、15の発明においては、画像光の波長領域の光を主に反射する光学薄膜(選択反射層)が拡散構造の表面に均一に形成されているスクリーンを容易に製造することができ、外光の影響を低減して高コントラストの画像表示が可能な高品質のスクリーンを実現することが可能となる。
【0036】
請求項16の発明は、請求項14のスクリーンの製造方法において、光学薄膜を透過した光を吸収する吸収層を形成する工程を含むことを特徴とする。
【0037】
請求項16の発明においては、画像光を除く波長領域の外光成分を吸収することができ、明光下において黒レベルの良好な高コントラストの画像を表示するスクリーンを得ることが可能となる。
【0038】
請求項17の発明は、請求項13のスクリーンの製造方法において、光学薄膜が、照射される画像光に対応する特定波長領域の光に対して高透過特性を有し、少なくとも特定波長領域を除く可視波長領域の光に対して高吸収特性を有することを特徴とする。
【0039】
請求項18の発明は、請求項17のスクリーンの製造方法において、光学薄膜が、特定波長領域以外の所定の波長領域の光に対して高吸収特性を有し、所定の波長領域以外の光に対して高透過特性を有する選択吸収色素を含有することを特徴とする。
【0040】
請求項17、18の発明においては、画像光を除く波長領域の外光成分を選択的に吸収する光学薄膜(選択吸収層)が拡散構造の表面に均一に形成されているスクリーンを容易に製造することができ、外光の影響を低減して高コントラストの画像表示が可能な高品質のスクリーンを実現することが可能となる。
【0041】
請求項19の発明は、請求項17のスクリーンの製造方法において、光学薄膜を透過した光を反射する反射層を形成する工程を含むことを特徴とする。
【0042】
請求項19の発明においては、光学薄膜(選択吸収層)を選択的に透過する画像光を反射して、この反射光のみ拡散構造にて散乱するスクリーンを製造することができ、明光下において高輝度、高コントラストの画像を表示する高品質なスクリーンを実現することが可能となる。
【0043】
請求項20の発明は、請求項13のスクリーンの製造方法において、拡散構造型材が、平面に複数の凹面が形成されてなることを特徴とする。この発明においては、拡散構造型材を押し付けることによって、基材の成膜面に複数の凸面を有する拡散構造が形成される。なお、拡散構造型材の凹面はランダムに配列していることが望ましい。
【0044】
請求項21の発明は、請求項13のスクリーンの製造方法において、拡散構造型材が、平面に複数の凸面が形成されてなることを特徴とする。この発明においては、拡散構造型材を押し付けることによって、基材の成膜面に複数の凹面を有する拡散構造が形成される。なお、拡散構造型材の凸面はランダムに配列していることが望ましい。
【0045】
請求項22の発明は、請求項14または17のスクリーンの製造方法において、特定波長領域が、赤色光の波長領域、緑色光の波長領域及び青色光の波長領域を含むことを特徴とする。本発明においては、赤、緑、青の三原色波長領域の光を投光するプロジェクタ用として好適なスクリーンを容易に製造することが可能となる。
【0046】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明の第1の実施の形態のスクリーンの構成を示すもので、スクリーンの形状を保持するためのスクリーン基材1と、スクリーン基材1上に設けられ、プロジェクタ光に対応する特定の波長領域の光を反射する特性を有し、表面に凹凸が形成された選択反射フィルム2とで構成されている。また、選択反射フィルム2は、特定の波長領域の光を反射し、他の波長領域の光を透過する選択反射層2aと、選択反射層2aが成膜される成膜基材2bとからなり、選択反射層2aの上からの型押しによって、成膜基材2bに光を散乱させる拡散構造3が形成されている。また、選択反射層2aを透過した光を吸収する吸収層4が選択反射層2aの背後に配置されている。
【0047】
スクリーン基材1は、選択反射フィルム2をスクリーン状に保持するためのものであり、例えば、アルミ等の金属板やベニヤ板など、スクリーンとしての強度を有するものが用いられる。また、プラスチック樹脂で補強された合成繊維布など柔軟性を併せ持つものを用いれば、巻取りなどが可能となるスクリーンを得ることができる。なお、スクリーン基材1は、選択反射フィルム2をスクリーン状に保持するためのものであるため、成膜基材2bがスクリーンとして十分な強度を持っているならば、省略しても構わない。
【0048】
選択反射層2aは、プロジェクタからの投影光に対応する波長領域、例えば赤(R)、緑(G)、青(B)の三原色波長領域の光を反射し、三原色波長領域以外の波長領域の光を透過する特性を有する光学薄膜であり、例えば、本出願人と同一の出願人により提案された光学多層膜(特願2002−070572号等)が用いられる。この光学多層膜は、高屈折率層と低屈折率層が交互に積層されてなり、三原色波長領域のような特定波長領域の光を選択的に反射するよう膜厚設計される。このような選択反射層2aは、蒸着やスパッタリング等の真空薄膜形成方法や、溶剤を用いた塗布方法等により成膜することができる。真空薄膜形成方法による場合には、例えば、高屈折率層としてTiO2、Nb2O5、Ta2O5等の高屈折率材料、低屈折率層としてSiO2、MgF2等の低屈折率材料が用いられる。塗布方法による場合には、高屈折率層及び低屈折率層として、例えば、屈折率の異なる熱硬化性樹脂が用いられる。
【0049】
上記選択反射層2aを成膜する成膜基材2bは、例えばアルミなどの金属材料でもよいが、ポリエチレンテレフタレートやポリカーボネートなど、凹凸形状を容易に型押しできる樹脂材料ならばなおよい。
【0050】
吸収層4は、選択反射層2aを透過した光を吸収させるためのもので、例えば、選択反射層2aを成膜する面とは反対の裏面に黒色の樹脂フィルムを貼り合わせる、もしくは成膜基材2bの表面または裏面に黒色塗料を塗布する、あるいは成膜基材2b中にカーボン粉末等の黒色微粒子を分散させる、などの方法により形成することができる。また、吸収層4は、成膜基材2bではなくスクリーン基材1側に設けてもよい。
【0051】
上記成膜基材2b上に選択反射層2aが成膜された選択反射フィルム2は、選択反射層2a上から、図2に示すような表面に多数の凹部または凸部を有する拡散構造型材10を押し付けることによって、成膜基材2bに拡散構造3が形成される。
【0052】
その際、選択反射層2aが無機材料で形成されている場合には、柔軟性に乏しいため、選択反射層2aは拡散構造3の形状に合わせて、図3に示すようにひび割れてクラックCが発生する。このようにひび割れることで、拡散構造3の表面形状の法線方向に対する膜厚が一定となり、膜厚が一定で拡散構造3の表面形状に沿って並べられた複数の選択反射層2aを得ることができる。
【0053】
一方、選択反射層2aに柔軟性がある場合には、拡散構造型材10が押し付けられた際に、その表面形状に沿って膜が伸びて膜厚が薄くなってしまうため、このことを考慮して厚めに成膜する必要がある。
【0054】
次に、本実施の形態のスクリーンの製造方法について具体例を挙げて説明する。なお、本発明はここに挙げた例に限定されない。
まず、成膜基材2bに例えば0.2mm厚さのポリエチレンテレフタレートフィルムを用い、図4に示すような真空成膜装置15内に設置して、その一方の面に、特願2002−070572号に記載されているように、スパッタ法もしくは蒸着法により、高屈折率層(例えば、TiO2等)と低屈折率層(例えば、MgF2等)を交互に積層して、例えば1μm程度の厚さの選択反射層2aを成膜する。
【0055】
次に、真空成膜装置15から、選択反射層2aを成膜したポリエチレンテレフタレートフィルムを取り出し、選択反射層2aの上から、図2に示すような拡散構造型材10を押し付けて、拡散構造3を形成する。なお、その際、加圧するとともに、成膜基材2bであるポリエチレンテレフタレートフィルムが熱変形を引き起こす200℃程度に加熱することで、拡散構造型材10のパターンを成膜基材2b上に形成しやすくなる。拡散構造型材10は、例えば、真鍮などの金属材料を板状にし、その平面にボールエンドミルにより複数の凹面を形成したものが用いられる。この凹面の配列はランダムであることが望ましい。これにより、例えば、直径0.3mm、高さ0.03mm、曲率半径0.4mmの凸面がランダムに複数配置された拡散構造3を形成することができる。
【0056】
このようにして拡散構造3を形成した後、選択反射層2aの表面に、選択反射層2aの脱落防止及び汚れ防止のために、フッ素系の樹脂、例えば旭硝子製のサイトップを塗布する。
【0057】
ついで、選択反射層2aと拡散構造3を形成した成膜基材2bの裏面に、粘着テープなどを用いて、吸収層4となる黒色フィルムを貼り付けた後、黒色フィルムを設けた面を、スクリーン基材1となる例えばアルミ板に貼り付け、スクリーンとする。
【0058】
このようなスクリーンに、プロジェクタから投影された光100が入射すると、選択反射層2aはプロジェクタから投射される特定波長領域の光を主に反射するよう構成されているので、プロジェクタから投影された光100は選択反射層2aで反射し、また、その表面形状が拡散構造3を成していることから散乱し、広視野角をもたらす。一方、プロジェクタ光100とともにスクリーンに入射する外光101は、選択反射層2aを透過し、選択反射層2aの背後に設けられた吸収層4により吸収されてしまう。これにより、スクリーンに入射した光のうち、主にプロジェクタから投影された光がスクリーン前方の視聴範囲へ返ることになり、視聴範囲では外光の影響が低減された高コントラストの映像を見ることができる。
【0059】
上記の説明からも明らかなように、本実施の形態においては、選択反射層2aを成膜した後に、成膜面に型押しによって拡散構造3を形成することにより、成膜基材2bの拡散構造3に沿って膜厚が均一な選択反射層2aを容易に得ることができ、これにより目的とするプロジェクタ光の波長領域の光線を選択的に反射し、他の波長領域の光線は透過する特性に優れた選択反射層2aをスクリーン最表面に形成することができることから、スクリーン表面での外光の散乱を効果的に防いで、プロジェクタ光の波長領域の光線を主に反射して散乱させることができ、映像の高コントラストを実現することができる。
【0060】
また、選択反射層2aの上に拡散層がないことから、拡散層を透過することによるプロジェクタ光の減衰がなくなり、プロジェクタ光を有効に活用することができ、高輝度映像や省エネルギーの効果をもたらすことができる。さらに、拡散板の貼り合わせが不要となることから、工程削減、材料削減、ひいてはコストの削減の効果が得られる。
【0061】
図5は、本発明の第2の実施の形態のスクリーンの構成を示すもので、第1の実施の形態と比較して、三原色波長領域のような特定波長領域を除いて他の波長領域の光を吸収する選択吸収フィルム20がスクリーン基材1に貼着されている。この選択吸収フィルム20は、三原色波長領域光のような特定の波長領域の光を透過し、特定の波長領域を除く波長領域の光を吸収する選択吸収層20aと、選択吸収層20aが形成される成膜基材20bとで構成され、選択吸収層20aの上からの型押しによって、成膜基材20bに光を散乱させる拡散構造3が形成されている。また、選択吸収層20aを透過した光を反射する反射層21が選択吸収層20aの背後に配置されている。
【0062】
選択吸収層20aは、プロジェクタからの投影光に対応する特定波長領域、例えば赤(R)、緑(G)、青(B)の三原色波長領域の光を透過し、三原色波長領域以外の波長領域の光を吸収する特性を有するものであり、例えば、本出願人と同一の出願人により提案された光学膜(特願2002−331993号)が用いられる。この光学膜は、特定波長領域以外のある波長領域で吸収特性を有し、それ以外の波長領域では透過特性を有する選択吸収色素を分散させてなるもので、樹脂バインダーを用いた塗布方法等により形成することができる。
【0063】
上記選択吸収層20aが形成される成膜基材20bは、第1の実施の形態と同様のものを使用することができるが、選択吸収層20aを透過したプロジェクタ光を反射させるために、吸収層4ではなく反射層21が設けられる。このような反射層21は、成膜基材20bの表面または裏面にアルミなどの高反射率を有する金属材料を蒸着したり、光輝性顔料を塗布したりすることによって形成することができる。この他に、選択吸収層20aを成膜する面とは反対の裏面にアルミなどの高反射率を有する金属膜を貼り合わせてもよいし、成膜基材20bをアルミなどの高反射率を有する金属材料で形成してもよい。また、成膜基材20bではなくスクリーン基材1側に反射層21を設けてもよい。
【0064】
次に、本実施の形態のスクリーンの製造方法について具体例を挙げて説明するが、これに限定されない。
まず、成膜基材20bに例えば0.2mm厚さのポリエチレンテレフタレートフィルムを用い、図4に示すような真空成膜装置15内に設置して、その一方の面に、スパッタ法もしくは蒸着法を用いて、反射層21となるアルミを成膜する。
【0065】
次に、選択吸収層20aとして、特願2002−331993号に記載されているような、例えば、410〜430nmの波長領域に吸収ピークを有する三菱化学(株)製のダイアレジンYellow Fと、470〜530nmの波長領域に吸収ピークを有する三菱化学(株)製のダイアレジンRed Sと、560〜620nmの波長領域に吸収ピークを有する特開2002−228829号公報記載のスクアリリウム系色素と、800nm以上の波長領域に高い吸収を示す特許第3308545号公報記載の色素を用いて、UV硬化樹脂をバインダーとした塗料を調製し、ポリエチレンテレフタレートフィルムのアルミが成膜された面と反対側の面に、スピンコート法により塗布する。
【0066】
ついで、上記UV硬化樹脂をバインダーとした色素塗料を塗布したポリエチレンテレフタレートフィルムに塗膜の上から、例えば、表面に多数の凸面が好ましくはランダムに配列する拡散構造型材10を押し当て、紫外線を照射してUV硬化樹脂を硬化させた後、拡散構造型材10を取り外す。これにより、凹面がランダムに多数配置された拡散構造3を形成することができるとともに、拡散構造3に沿って形成された選択吸収層20aを得ることができる。なお、表面に多数の凸面を有する拡散構造型材10は、真鍮などの金属材料を板状にし、その平面にボールエンドミルを用いて複数の凹面を形成された金型に、溶融した例えばアクリル樹脂を流し込み、硬化させることで得ることができる。
【0067】
最後に、上記のようにして選択吸収層20aと拡散構造3が形成されたポリエチレンテレフタレートフィルムを、アルミ成膜面を裏側にしてスクリーン基材1に貼り付け、スクリーンとする。なお、スクリーン基材1にアルミなどの高反射率の金属材料を用いた場合には、ポリエチレンテレフタレートフィルムへのアルミの成膜を省略することができる。
【0068】
上記のように構成されたスクリーンに、プロジェクタからの投影光が入射すると、選択吸収層20aはプロジェクタから投光される特定波長領域の光を透過し、特定波長領域を除く可視波長領域の光を吸収するよう構成されているので、プロジェクタからの投影光は選択吸収層20aを透過し、背後に設けられた反射層21で反射して拡散構造3により散乱する。一方、プロジェクタ光とともにスクリーンに入射する外光は、拡散構造3にて散乱する前に選択吸収層20aに吸収されてしまう。したがって、入射光のうちプロジェクタ光の波長領域を除く波長領域の外光成分はスクリーン表面で散乱することなくほとんど吸収されるため、スクリーン前方では外光の影響が低減された高コントラストの映像を見ることができる。
【0069】
上記の説明からも明らかなように、本実施の形態においても、第1の実施の形態と同様の効果が得られる。なお、拡散構造3として第1の実施の形態では、凸面が多数配置された形状を、第2の実施の形態は凹面が多数配置された形状を例に挙げたが、これに限定されず、どちらを使っても、また他の形状を用いても光を散乱させる構造であれば構わない。
【0070】
【発明の効果】
上述したように、請求項1の発明によれば、波長領域に応じて選択的に光を透過する光学薄膜の成膜後に拡散構造が形成されることにより、表面に均一な膜厚の光学薄膜を有する拡散構造を容易に得ることができ、外光の散乱を低減して、画像光を主に反射し散乱させるスクリーンを実現することができる。
【0071】
請求項2〜6の発明によれば、画像光を反射し、画像光を除く波長領域の外光を透過する光学薄膜(選択反射層)が拡散構造上に設けられることにより、外光の散乱を低減して、画像光を主に反射し散乱させる高コントラストのスクリーンを実現することができる。
【0072】
請求項7〜9の発明によれば、画像光を透過し、画像光を除く波長領域の外光を吸収する光学薄膜(選択吸収層)が拡散構造上に設けられることにより、外光の散乱を低減して、画像光を主に反射し散乱させる高コントラストのスクリーンを実現することができる。
【0073】
請求項10の発明によれば、波長領域に応じた光透過特性を有する光学薄膜が、拡散構造の形状に合わせて膜厚一定にしてひび割れることにより、光学薄膜の選択透過特性にムラのない、品質に優れた高コントラストのスクリーンを実現することができる。
【0074】
請求項11の発明によれば、拡散構造が複数の凸部または凹部を有することにより、光を有効に散乱させることができ、広視野角のスクリーンを実現することができる。
【0075】
請求項12の発明によれば、特定波長領域が、赤色光の波長領域、緑色光の波長領域及び青色光の波長領域を含むことにより、赤、緑、青の三原色波長領域の光を投光するプロジェクタ用として好適なスクリーンを実現することができる。
【0076】
請求項13の発明によれば、波長領域に応じて選択的に光を透過する光学薄膜を成膜した後に拡散構造を型押しにより形成することにより、表面に均一な膜厚の光学薄膜を有する拡散構造を容易に形成することができ、外光の散乱を低減して、画像光を選択的に反射し散乱させるスクリーンを製造することができる。
【0077】
請求項14〜16の発明によれば、画像光を反射し、画像光を除く波長領域の外光を透過する光学薄膜(選択反射層)を、拡散構造を形成する基材上に成膜することにより、外光の散乱を低減して画像光を選択的に反射し散乱させることができる高コントラストのスクリーンを容易に製造することができる。
【0078】
請求項17〜19の発明によれば、画像光を透過し、画像光を除く波長領域の外光を吸収する光学薄膜(選択吸収層)を、拡散構造を形成する基材上に成膜することにより、外光の散乱を低減して画像光を選択的に反射し散乱させることができる高コントラストのスクリーンを容易に製造することができる。
【0079】
請求項20、21の発明によれば、拡散構造型材が、平面に複数の凹面または凸面が形成されてなることにより、拡散構造型材が押し付けられる基材の成膜面に複数の凸面または凹面からなる拡散構造が形成され、拡散性能に優れた広視野角のスクリーンを製造することができる。
【0080】
請求項22の発明によれば、特定波長領域が、赤色光の波長領域、緑色光の波長領域及び青色光の波長領域を含むことにより、赤、緑、青の三原色波長領域の光を投光するプロジェクタ用として好適なスクリーンを容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態のスクリーンの構成を示す断面図である。
【図2】拡散構造を形成するための拡散構造型材の一例を示す斜視図である。
【図3】拡散構造を型押しによって形成したときの選択反射層の膜形状を示す断面図である。
【図4】フィルム上にスパッタ法もしくは蒸着法により成膜する真空成膜装置を概略的に示す図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態のスクリーンの構成を示す断面図である。
【符号の説明】
1‥‥スクリーン基材、2‥‥選択反射フィルム、2a‥‥選択反射層、2b、20b‥‥成膜基材、3‥‥拡散構造、4‥‥吸収層、10‥‥拡散構造型材、15‥‥真空成膜装置、20‥‥選択吸収フィルム、20a‥‥選択吸収層、21‥‥反射層
【発明の属する技術分野】
本発明は、明光下で高コントラストの投影画像を映し出すスクリーン及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、映像を鑑賞する手段として、プロジェクタ(投影機)とスクリーンからなる映像鑑賞システムがある。また、会議などにも、こういったプロジェクタと像を結像させるためのスクリーンによるプロジェクタシステムが広く用いられている。
【0003】
この種のプロジェクタとしては、例えば、光源から出射された光線を赤(R)、緑(G)、青(B)の各色の光線に分離して所定の光路に収束させる照明光学系と、RGB各色の光束をそれぞれ光変調する液晶パネル(ライトバルブ)と、光変調されたRGB各色の光束を合成する光合成部とを備え、光合成部により合成されたカラー画像を投射レンズによりスクリーンに拡大投影するものがある。
【0004】
また、最近では、光源に狭帯域三原色光源、例えばRGB各色の狭帯域光を発するレーザー発振器を使用し、液晶パネルの代わりにグレーティングライトバルブ(GLV:Grating Light Valve)を用いてRGB各色の光束を空間的に変調するプロジェクタも開発されている。
【0005】
このようなプロジェクタに対して、投影画像を表示するスクリーンには、広範囲の人が見ることができるように、プロジェクタから投影された光を散乱させる工夫がなされているのが一般的である。例えば、光を散乱させるために、スクリーンの表面に凹凸形状を形成するといった手段が用いられている(例えば、特許文献1参照。)。
【0006】
【特許文献1】
特開平10−312027号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
一方、例えば、本出願人と同一の出願人により提案されている投影用スクリーン(特願2002−070572号等)のように、プロジェクタから投影された光を主に反射し、プロジェクタ以外の例えば蛍光灯や太陽等からの光、すなわち外光は反射しないようにして、投影画像のコントラストを高める工夫がなされたスクリーンもある。
【0008】
この場合も、広範囲で鑑賞可能とするために、光を散乱させる必要があり、プロジェクタから投影された光を主に反射する選択反射層を基材に成膜した後に、膜の上に光を散乱させるためのフィルム(拡散板)を貼り付けている。
【0009】
しかしながら、上記選択反射層のような外光の影響を低減する層を設けた構成の場合、スクリーンに入射してくる光の一部は、拡散板にて反射してしまい、選択反射層に到達しないため、プロジェクタからの投影光のみならず、外光の一部も視聴範囲に到達してしまうことになり、高コントラストの実現の妨げとなる。
【0010】
また、本出願人と同一の出願人より、拡散板上に上記選択反射層を成膜することで、選択反射層に拡散板を貼り付ける工程を省いたスクリーン(特願2002−197313号)も提案されている。これによれば、光を散乱させるための拡散板が選択反射層の背後にあるため、外光が選択反射層に入射する前に拡散板にて反射してしまうことがなく、高コントラストの実現に効果的である。
【0011】
しかしながら、上記選択反射層は、膜厚によりその特性が左右されるため、選択反射層を正確な厚さに均一に成膜することが重要であるが、拡散板は表面に凹凸を持ったものであり、その上へ膜を均一に成膜することが難しいという問題がある。
【0012】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたもので、スクリーン表面での外光の散乱を抑制し、投射される画像光を選択的に散乱させることによって、明光下での高コントラストの映像を実現するスクリーン及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、画像光の照射により画像を表示するスクリーンにおいて、基材と、この基材上に成膜され、波長領域に応じて選択的に光を透過する光学薄膜と、成膜された光学薄膜の上からの型押しによって基材に形成され、光学薄膜を介して反射する光を散乱させる拡散構造とを備えたことを特徴とする。
【0014】
請求項1の発明においては、光学薄膜の成膜後に拡散構造が形成されることにより、表面に均一な膜厚の光学薄膜を有する拡散構造が容易に得られるとともに、光学薄膜の波長領域による選光作用によって得られる目的の波長領域の反射光のみ有効に散乱させることができ、外光の散乱を低減して、明光下における高コントラストの画像表示を実現することが可能となる。
【0015】
請求項2の発明は、請求項1のスクリーンにおいて、光学薄膜が、画像光に対応する特定波長領域の光に対して高反射特性を有し、少なくとも特定波長領域を除く可視波長領域の光に対して高透過特性を有することを特徴とする。
【0016】
請求項3の発明は、請求項2のスクリーンにおいて、光学薄膜が、高屈折率層とこれより屈折率の低い低屈折率層を交互に積層した多層膜からなることを特徴とする。
【0017】
請求項4の発明は、請求項3のスクリーンにおいて、高屈折率層が酸化ニオブ、酸化タンタルまたは酸化チタンを含有し、低屈折率層が酸化ケイ素またはフッ化マグネシウムを含有することを特徴とする。
【0018】
請求項2〜4の発明においては、拡散構造の表面形状に沿って形成されている光学薄膜である選択反射層によって、画像光に対応する特定波長領域の光を選択的に反射して散乱させることが可能となるとともに、スクリーン表面での外光の散乱が抑制され、明光下における高コントラストの画像表示を実現することが可能となる。
【0019】
請求項5の発明は、請求項2のスクリーンにおいて、光学薄膜を透過した光を吸収する吸収層を備えたことを特徴とする。
【0020】
請求項6の発明は、請求項5のスクリーンにおいて、吸収層が、黒色微粒子を含有してなることを特徴とする。
【0021】
請求項5、6の発明においては、光学薄膜を透過した外光が、吸収層により吸収され、黒レベルの鮮明な画像表示が可能となる。
【0022】
請求項7の発明は、請求項1のスクリーンにおいて、光学薄膜が、画像光に対応する特定波長領域の光に対して高透過特性を有し、少なくとも特定波長領域を除く可視波長領域の光に対して高吸収特性を有することを特徴とする。
【0023】
請求項8の発明は、請求項7のスクリーンにおいて、光学薄膜が、特定波長領域以外の所定の波長領域の光に対して高吸収特性を有し、所定の波長領域以外の光に対して高透過特性を有する選択吸収色素を含有することを特徴とする。
【0024】
請求項7、8の発明においては、拡散構造の表面形状に沿って形成されている光学薄膜である選択吸収層によって、画像光を除く波長領域の外光のみ選択的に吸収することが可能となるとともに、スクリーン表面での外光の散乱が抑制され、明光下における高コントラストの画像表示を実現することが可能となる。
【0025】
請求項9の発明は、請求項7のスクリーンにおいて、光学薄膜を透過した光を反射する反射層を備えたことを特徴とする。
【0026】
請求項9の発明においては、光学薄膜で吸収されずに透過する画像光は、反射層により反射され、拡散構造により散乱するため、明光下においても高輝度、高コントラストの画像表示が可能となる。
【0027】
請求項10の発明は、請求項1のスクリーンにおいて、光学薄膜が、拡散構造の表面形状の法線方向の膜厚が一定となるようにひび割れていることを特徴とする。
【0028】
請求項10の発明においては、光学薄膜に柔軟性がない場合、成膜後に拡散構造が形成されると、光学薄膜はひび割れた状態になるが、拡散構造の表面形状の法線方向の膜厚は一定に保持されるため、波長領域に応じた選光特性にムラのない、品質に優れた高コントラストのスクリーンが実現する。
【0029】
請求項11の発明は、請求項1のスクリーンにおいて、拡散構造が、複数の凸部または凹部を有することを特徴とする。この発明においては、複数の凸部または凹部により反射光が散乱し、有効に拡散される。なお、散乱光の干渉を防ぐために、複数の凸部または凹部はランダムに配置されていることが望ましい。
【0030】
請求項12の発明は、請求項2または7のスクリーンにおいて、特定波長領域が、赤色光の波長領域、緑色光の波長領域及び青色光の波長領域を含むことを特徴とする。本発明においては、赤、緑、青の三原色波長領域の光を投光するプロジェクタ用として好適なスクリーンを得ることが可能となる。
【0031】
請求項13の発明は、スクリーンの製造方法において、基材上に、波長領域に応じて選択的に光を透過する光学薄膜を成膜する工程と、基材の光学薄膜が成膜された面に拡散構造型材を押し付けて、光学薄膜を介して反射する光を散乱させる拡散構造を形成する工程とを含むことを特徴とする。
【0032】
請求項13の発明においては、表面に均一な膜厚の光学薄膜を有する拡散構造を容易に形成することができ、外光の影響を低減できる表示性能に優れたスクリーンを容易に製造することが可能となる。
【0033】
請求項14の発明は、請求項13のスクリーンの製造方法において、光学薄膜が、照射される画像光に対応する特定波長領域の光に対して高反射特性を有し、少なくとも特定波長領域を除く可視波長領域の光に対して高透過特性を有することを特徴とする。
【0034】
請求項15の発明は、請求項14のスクリーンの製造方法において、光学薄膜が、高屈折率層とこれより屈折率の低い低屈折率層を交互に積層した多層膜からなることを特徴とする。
【0035】
請求項14、15の発明においては、画像光の波長領域の光を主に反射する光学薄膜(選択反射層)が拡散構造の表面に均一に形成されているスクリーンを容易に製造することができ、外光の影響を低減して高コントラストの画像表示が可能な高品質のスクリーンを実現することが可能となる。
【0036】
請求項16の発明は、請求項14のスクリーンの製造方法において、光学薄膜を透過した光を吸収する吸収層を形成する工程を含むことを特徴とする。
【0037】
請求項16の発明においては、画像光を除く波長領域の外光成分を吸収することができ、明光下において黒レベルの良好な高コントラストの画像を表示するスクリーンを得ることが可能となる。
【0038】
請求項17の発明は、請求項13のスクリーンの製造方法において、光学薄膜が、照射される画像光に対応する特定波長領域の光に対して高透過特性を有し、少なくとも特定波長領域を除く可視波長領域の光に対して高吸収特性を有することを特徴とする。
【0039】
請求項18の発明は、請求項17のスクリーンの製造方法において、光学薄膜が、特定波長領域以外の所定の波長領域の光に対して高吸収特性を有し、所定の波長領域以外の光に対して高透過特性を有する選択吸収色素を含有することを特徴とする。
【0040】
請求項17、18の発明においては、画像光を除く波長領域の外光成分を選択的に吸収する光学薄膜(選択吸収層)が拡散構造の表面に均一に形成されているスクリーンを容易に製造することができ、外光の影響を低減して高コントラストの画像表示が可能な高品質のスクリーンを実現することが可能となる。
【0041】
請求項19の発明は、請求項17のスクリーンの製造方法において、光学薄膜を透過した光を反射する反射層を形成する工程を含むことを特徴とする。
【0042】
請求項19の発明においては、光学薄膜(選択吸収層)を選択的に透過する画像光を反射して、この反射光のみ拡散構造にて散乱するスクリーンを製造することができ、明光下において高輝度、高コントラストの画像を表示する高品質なスクリーンを実現することが可能となる。
【0043】
請求項20の発明は、請求項13のスクリーンの製造方法において、拡散構造型材が、平面に複数の凹面が形成されてなることを特徴とする。この発明においては、拡散構造型材を押し付けることによって、基材の成膜面に複数の凸面を有する拡散構造が形成される。なお、拡散構造型材の凹面はランダムに配列していることが望ましい。
【0044】
請求項21の発明は、請求項13のスクリーンの製造方法において、拡散構造型材が、平面に複数の凸面が形成されてなることを特徴とする。この発明においては、拡散構造型材を押し付けることによって、基材の成膜面に複数の凹面を有する拡散構造が形成される。なお、拡散構造型材の凸面はランダムに配列していることが望ましい。
【0045】
請求項22の発明は、請求項14または17のスクリーンの製造方法において、特定波長領域が、赤色光の波長領域、緑色光の波長領域及び青色光の波長領域を含むことを特徴とする。本発明においては、赤、緑、青の三原色波長領域の光を投光するプロジェクタ用として好適なスクリーンを容易に製造することが可能となる。
【0046】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明の第1の実施の形態のスクリーンの構成を示すもので、スクリーンの形状を保持するためのスクリーン基材1と、スクリーン基材1上に設けられ、プロジェクタ光に対応する特定の波長領域の光を反射する特性を有し、表面に凹凸が形成された選択反射フィルム2とで構成されている。また、選択反射フィルム2は、特定の波長領域の光を反射し、他の波長領域の光を透過する選択反射層2aと、選択反射層2aが成膜される成膜基材2bとからなり、選択反射層2aの上からの型押しによって、成膜基材2bに光を散乱させる拡散構造3が形成されている。また、選択反射層2aを透過した光を吸収する吸収層4が選択反射層2aの背後に配置されている。
【0047】
スクリーン基材1は、選択反射フィルム2をスクリーン状に保持するためのものであり、例えば、アルミ等の金属板やベニヤ板など、スクリーンとしての強度を有するものが用いられる。また、プラスチック樹脂で補強された合成繊維布など柔軟性を併せ持つものを用いれば、巻取りなどが可能となるスクリーンを得ることができる。なお、スクリーン基材1は、選択反射フィルム2をスクリーン状に保持するためのものであるため、成膜基材2bがスクリーンとして十分な強度を持っているならば、省略しても構わない。
【0048】
選択反射層2aは、プロジェクタからの投影光に対応する波長領域、例えば赤(R)、緑(G)、青(B)の三原色波長領域の光を反射し、三原色波長領域以外の波長領域の光を透過する特性を有する光学薄膜であり、例えば、本出願人と同一の出願人により提案された光学多層膜(特願2002−070572号等)が用いられる。この光学多層膜は、高屈折率層と低屈折率層が交互に積層されてなり、三原色波長領域のような特定波長領域の光を選択的に反射するよう膜厚設計される。このような選択反射層2aは、蒸着やスパッタリング等の真空薄膜形成方法や、溶剤を用いた塗布方法等により成膜することができる。真空薄膜形成方法による場合には、例えば、高屈折率層としてTiO2、Nb2O5、Ta2O5等の高屈折率材料、低屈折率層としてSiO2、MgF2等の低屈折率材料が用いられる。塗布方法による場合には、高屈折率層及び低屈折率層として、例えば、屈折率の異なる熱硬化性樹脂が用いられる。
【0049】
上記選択反射層2aを成膜する成膜基材2bは、例えばアルミなどの金属材料でもよいが、ポリエチレンテレフタレートやポリカーボネートなど、凹凸形状を容易に型押しできる樹脂材料ならばなおよい。
【0050】
吸収層4は、選択反射層2aを透過した光を吸収させるためのもので、例えば、選択反射層2aを成膜する面とは反対の裏面に黒色の樹脂フィルムを貼り合わせる、もしくは成膜基材2bの表面または裏面に黒色塗料を塗布する、あるいは成膜基材2b中にカーボン粉末等の黒色微粒子を分散させる、などの方法により形成することができる。また、吸収層4は、成膜基材2bではなくスクリーン基材1側に設けてもよい。
【0051】
上記成膜基材2b上に選択反射層2aが成膜された選択反射フィルム2は、選択反射層2a上から、図2に示すような表面に多数の凹部または凸部を有する拡散構造型材10を押し付けることによって、成膜基材2bに拡散構造3が形成される。
【0052】
その際、選択反射層2aが無機材料で形成されている場合には、柔軟性に乏しいため、選択反射層2aは拡散構造3の形状に合わせて、図3に示すようにひび割れてクラックCが発生する。このようにひび割れることで、拡散構造3の表面形状の法線方向に対する膜厚が一定となり、膜厚が一定で拡散構造3の表面形状に沿って並べられた複数の選択反射層2aを得ることができる。
【0053】
一方、選択反射層2aに柔軟性がある場合には、拡散構造型材10が押し付けられた際に、その表面形状に沿って膜が伸びて膜厚が薄くなってしまうため、このことを考慮して厚めに成膜する必要がある。
【0054】
次に、本実施の形態のスクリーンの製造方法について具体例を挙げて説明する。なお、本発明はここに挙げた例に限定されない。
まず、成膜基材2bに例えば0.2mm厚さのポリエチレンテレフタレートフィルムを用い、図4に示すような真空成膜装置15内に設置して、その一方の面に、特願2002−070572号に記載されているように、スパッタ法もしくは蒸着法により、高屈折率層(例えば、TiO2等)と低屈折率層(例えば、MgF2等)を交互に積層して、例えば1μm程度の厚さの選択反射層2aを成膜する。
【0055】
次に、真空成膜装置15から、選択反射層2aを成膜したポリエチレンテレフタレートフィルムを取り出し、選択反射層2aの上から、図2に示すような拡散構造型材10を押し付けて、拡散構造3を形成する。なお、その際、加圧するとともに、成膜基材2bであるポリエチレンテレフタレートフィルムが熱変形を引き起こす200℃程度に加熱することで、拡散構造型材10のパターンを成膜基材2b上に形成しやすくなる。拡散構造型材10は、例えば、真鍮などの金属材料を板状にし、その平面にボールエンドミルにより複数の凹面を形成したものが用いられる。この凹面の配列はランダムであることが望ましい。これにより、例えば、直径0.3mm、高さ0.03mm、曲率半径0.4mmの凸面がランダムに複数配置された拡散構造3を形成することができる。
【0056】
このようにして拡散構造3を形成した後、選択反射層2aの表面に、選択反射層2aの脱落防止及び汚れ防止のために、フッ素系の樹脂、例えば旭硝子製のサイトップを塗布する。
【0057】
ついで、選択反射層2aと拡散構造3を形成した成膜基材2bの裏面に、粘着テープなどを用いて、吸収層4となる黒色フィルムを貼り付けた後、黒色フィルムを設けた面を、スクリーン基材1となる例えばアルミ板に貼り付け、スクリーンとする。
【0058】
このようなスクリーンに、プロジェクタから投影された光100が入射すると、選択反射層2aはプロジェクタから投射される特定波長領域の光を主に反射するよう構成されているので、プロジェクタから投影された光100は選択反射層2aで反射し、また、その表面形状が拡散構造3を成していることから散乱し、広視野角をもたらす。一方、プロジェクタ光100とともにスクリーンに入射する外光101は、選択反射層2aを透過し、選択反射層2aの背後に設けられた吸収層4により吸収されてしまう。これにより、スクリーンに入射した光のうち、主にプロジェクタから投影された光がスクリーン前方の視聴範囲へ返ることになり、視聴範囲では外光の影響が低減された高コントラストの映像を見ることができる。
【0059】
上記の説明からも明らかなように、本実施の形態においては、選択反射層2aを成膜した後に、成膜面に型押しによって拡散構造3を形成することにより、成膜基材2bの拡散構造3に沿って膜厚が均一な選択反射層2aを容易に得ることができ、これにより目的とするプロジェクタ光の波長領域の光線を選択的に反射し、他の波長領域の光線は透過する特性に優れた選択反射層2aをスクリーン最表面に形成することができることから、スクリーン表面での外光の散乱を効果的に防いで、プロジェクタ光の波長領域の光線を主に反射して散乱させることができ、映像の高コントラストを実現することができる。
【0060】
また、選択反射層2aの上に拡散層がないことから、拡散層を透過することによるプロジェクタ光の減衰がなくなり、プロジェクタ光を有効に活用することができ、高輝度映像や省エネルギーの効果をもたらすことができる。さらに、拡散板の貼り合わせが不要となることから、工程削減、材料削減、ひいてはコストの削減の効果が得られる。
【0061】
図5は、本発明の第2の実施の形態のスクリーンの構成を示すもので、第1の実施の形態と比較して、三原色波長領域のような特定波長領域を除いて他の波長領域の光を吸収する選択吸収フィルム20がスクリーン基材1に貼着されている。この選択吸収フィルム20は、三原色波長領域光のような特定の波長領域の光を透過し、特定の波長領域を除く波長領域の光を吸収する選択吸収層20aと、選択吸収層20aが形成される成膜基材20bとで構成され、選択吸収層20aの上からの型押しによって、成膜基材20bに光を散乱させる拡散構造3が形成されている。また、選択吸収層20aを透過した光を反射する反射層21が選択吸収層20aの背後に配置されている。
【0062】
選択吸収層20aは、プロジェクタからの投影光に対応する特定波長領域、例えば赤(R)、緑(G)、青(B)の三原色波長領域の光を透過し、三原色波長領域以外の波長領域の光を吸収する特性を有するものであり、例えば、本出願人と同一の出願人により提案された光学膜(特願2002−331993号)が用いられる。この光学膜は、特定波長領域以外のある波長領域で吸収特性を有し、それ以外の波長領域では透過特性を有する選択吸収色素を分散させてなるもので、樹脂バインダーを用いた塗布方法等により形成することができる。
【0063】
上記選択吸収層20aが形成される成膜基材20bは、第1の実施の形態と同様のものを使用することができるが、選択吸収層20aを透過したプロジェクタ光を反射させるために、吸収層4ではなく反射層21が設けられる。このような反射層21は、成膜基材20bの表面または裏面にアルミなどの高反射率を有する金属材料を蒸着したり、光輝性顔料を塗布したりすることによって形成することができる。この他に、選択吸収層20aを成膜する面とは反対の裏面にアルミなどの高反射率を有する金属膜を貼り合わせてもよいし、成膜基材20bをアルミなどの高反射率を有する金属材料で形成してもよい。また、成膜基材20bではなくスクリーン基材1側に反射層21を設けてもよい。
【0064】
次に、本実施の形態のスクリーンの製造方法について具体例を挙げて説明するが、これに限定されない。
まず、成膜基材20bに例えば0.2mm厚さのポリエチレンテレフタレートフィルムを用い、図4に示すような真空成膜装置15内に設置して、その一方の面に、スパッタ法もしくは蒸着法を用いて、反射層21となるアルミを成膜する。
【0065】
次に、選択吸収層20aとして、特願2002−331993号に記載されているような、例えば、410〜430nmの波長領域に吸収ピークを有する三菱化学(株)製のダイアレジンYellow Fと、470〜530nmの波長領域に吸収ピークを有する三菱化学(株)製のダイアレジンRed Sと、560〜620nmの波長領域に吸収ピークを有する特開2002−228829号公報記載のスクアリリウム系色素と、800nm以上の波長領域に高い吸収を示す特許第3308545号公報記載の色素を用いて、UV硬化樹脂をバインダーとした塗料を調製し、ポリエチレンテレフタレートフィルムのアルミが成膜された面と反対側の面に、スピンコート法により塗布する。
【0066】
ついで、上記UV硬化樹脂をバインダーとした色素塗料を塗布したポリエチレンテレフタレートフィルムに塗膜の上から、例えば、表面に多数の凸面が好ましくはランダムに配列する拡散構造型材10を押し当て、紫外線を照射してUV硬化樹脂を硬化させた後、拡散構造型材10を取り外す。これにより、凹面がランダムに多数配置された拡散構造3を形成することができるとともに、拡散構造3に沿って形成された選択吸収層20aを得ることができる。なお、表面に多数の凸面を有する拡散構造型材10は、真鍮などの金属材料を板状にし、その平面にボールエンドミルを用いて複数の凹面を形成された金型に、溶融した例えばアクリル樹脂を流し込み、硬化させることで得ることができる。
【0067】
最後に、上記のようにして選択吸収層20aと拡散構造3が形成されたポリエチレンテレフタレートフィルムを、アルミ成膜面を裏側にしてスクリーン基材1に貼り付け、スクリーンとする。なお、スクリーン基材1にアルミなどの高反射率の金属材料を用いた場合には、ポリエチレンテレフタレートフィルムへのアルミの成膜を省略することができる。
【0068】
上記のように構成されたスクリーンに、プロジェクタからの投影光が入射すると、選択吸収層20aはプロジェクタから投光される特定波長領域の光を透過し、特定波長領域を除く可視波長領域の光を吸収するよう構成されているので、プロジェクタからの投影光は選択吸収層20aを透過し、背後に設けられた反射層21で反射して拡散構造3により散乱する。一方、プロジェクタ光とともにスクリーンに入射する外光は、拡散構造3にて散乱する前に選択吸収層20aに吸収されてしまう。したがって、入射光のうちプロジェクタ光の波長領域を除く波長領域の外光成分はスクリーン表面で散乱することなくほとんど吸収されるため、スクリーン前方では外光の影響が低減された高コントラストの映像を見ることができる。
【0069】
上記の説明からも明らかなように、本実施の形態においても、第1の実施の形態と同様の効果が得られる。なお、拡散構造3として第1の実施の形態では、凸面が多数配置された形状を、第2の実施の形態は凹面が多数配置された形状を例に挙げたが、これに限定されず、どちらを使っても、また他の形状を用いても光を散乱させる構造であれば構わない。
【0070】
【発明の効果】
上述したように、請求項1の発明によれば、波長領域に応じて選択的に光を透過する光学薄膜の成膜後に拡散構造が形成されることにより、表面に均一な膜厚の光学薄膜を有する拡散構造を容易に得ることができ、外光の散乱を低減して、画像光を主に反射し散乱させるスクリーンを実現することができる。
【0071】
請求項2〜6の発明によれば、画像光を反射し、画像光を除く波長領域の外光を透過する光学薄膜(選択反射層)が拡散構造上に設けられることにより、外光の散乱を低減して、画像光を主に反射し散乱させる高コントラストのスクリーンを実現することができる。
【0072】
請求項7〜9の発明によれば、画像光を透過し、画像光を除く波長領域の外光を吸収する光学薄膜(選択吸収層)が拡散構造上に設けられることにより、外光の散乱を低減して、画像光を主に反射し散乱させる高コントラストのスクリーンを実現することができる。
【0073】
請求項10の発明によれば、波長領域に応じた光透過特性を有する光学薄膜が、拡散構造の形状に合わせて膜厚一定にしてひび割れることにより、光学薄膜の選択透過特性にムラのない、品質に優れた高コントラストのスクリーンを実現することができる。
【0074】
請求項11の発明によれば、拡散構造が複数の凸部または凹部を有することにより、光を有効に散乱させることができ、広視野角のスクリーンを実現することができる。
【0075】
請求項12の発明によれば、特定波長領域が、赤色光の波長領域、緑色光の波長領域及び青色光の波長領域を含むことにより、赤、緑、青の三原色波長領域の光を投光するプロジェクタ用として好適なスクリーンを実現することができる。
【0076】
請求項13の発明によれば、波長領域に応じて選択的に光を透過する光学薄膜を成膜した後に拡散構造を型押しにより形成することにより、表面に均一な膜厚の光学薄膜を有する拡散構造を容易に形成することができ、外光の散乱を低減して、画像光を選択的に反射し散乱させるスクリーンを製造することができる。
【0077】
請求項14〜16の発明によれば、画像光を反射し、画像光を除く波長領域の外光を透過する光学薄膜(選択反射層)を、拡散構造を形成する基材上に成膜することにより、外光の散乱を低減して画像光を選択的に反射し散乱させることができる高コントラストのスクリーンを容易に製造することができる。
【0078】
請求項17〜19の発明によれば、画像光を透過し、画像光を除く波長領域の外光を吸収する光学薄膜(選択吸収層)を、拡散構造を形成する基材上に成膜することにより、外光の散乱を低減して画像光を選択的に反射し散乱させることができる高コントラストのスクリーンを容易に製造することができる。
【0079】
請求項20、21の発明によれば、拡散構造型材が、平面に複数の凹面または凸面が形成されてなることにより、拡散構造型材が押し付けられる基材の成膜面に複数の凸面または凹面からなる拡散構造が形成され、拡散性能に優れた広視野角のスクリーンを製造することができる。
【0080】
請求項22の発明によれば、特定波長領域が、赤色光の波長領域、緑色光の波長領域及び青色光の波長領域を含むことにより、赤、緑、青の三原色波長領域の光を投光するプロジェクタ用として好適なスクリーンを容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態のスクリーンの構成を示す断面図である。
【図2】拡散構造を形成するための拡散構造型材の一例を示す斜視図である。
【図3】拡散構造を型押しによって形成したときの選択反射層の膜形状を示す断面図である。
【図4】フィルム上にスパッタ法もしくは蒸着法により成膜する真空成膜装置を概略的に示す図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態のスクリーンの構成を示す断面図である。
【符号の説明】
1‥‥スクリーン基材、2‥‥選択反射フィルム、2a‥‥選択反射層、2b、20b‥‥成膜基材、3‥‥拡散構造、4‥‥吸収層、10‥‥拡散構造型材、15‥‥真空成膜装置、20‥‥選択吸収フィルム、20a‥‥選択吸収層、21‥‥反射層
Claims (22)
- 画像光の照射により画像を表示するスクリーンにおいて、
基材と、
この基材上に成膜され、波長領域に応じて選択的に光を透過する光学薄膜と、
成膜された前記光学薄膜の上からの型押しによって前記基材に形成され、前記光学薄膜を介して反射する光を散乱させる拡散構造と
を備えたことを特徴とするスクリーン。 - 前記光学薄膜が、前記画像光に対応する特定波長領域の光に対して高反射特性を有し、少なくとも前記特定波長領域を除く可視波長領域の光に対して高透過特性を有することを特徴とする請求項1記載のスクリーン。
- 前記光学薄膜が、高屈折率層とこれより屈折率の低い低屈折率層を交互に積層した多層膜からなることを特徴とする請求項2記載のスクリーン。
- 前記高屈折率層が酸化ニオブ、酸化タンタルまたは酸化チタンを含有し、前記低屈折率層が酸化ケイ素またはフッ化マグネシウムを含有することを特徴とする請求項3記載のスクリーン。
- 前記光学薄膜を透過した光を吸収する吸収層を備えたことを特徴とする請求項2記載のスクリーン。
- 前記吸収層が、黒色微粒子を含有してなることを特徴とする請求項5記載のスクリーン。
- 前記光学薄膜が、前記画像光に対応する特定波長領域の光に対して高透過特性を有し、少なくとも前記特定波長領域を除く可視波長領域の光に対して高吸収特性を有することを特徴とする請求項1記載のスクリーン。
- 前記光学薄膜が、前記特定波長領域以外の所定の波長領域の光に対して高吸収特性を有し、前記所定の波長領域以外の光に対して高透過特性を有する選択吸収色素を含有することを特徴とする請求項7記載のスクリーン。
- 前記光学薄膜を透過した光を反射する反射層を備えたことを特徴とする請求項7載のスクリーン。
- 前記光学薄膜が、前記拡散構造の表面形状の法線方向の膜厚が一定となるようにひび割れていることを特徴とする請求項1記載のスクリーン。
- 前記拡散構造が、複数の凸部または凹部を有することを特徴とする請求項1記載のスクリーン。
- 前記特定波長領域が、赤色光の波長領域、緑色光の波長領域及び青色光の波長領域を含むことを特徴とする請求項2または7記載のスクリーン。
- 基材上に、波長領域に応じて選択的に光を透過する光学薄膜を成膜する工程と、
前記基材の光学薄膜が成膜された面に拡散構造型材を押し付けて、前記光学薄膜を介して反射する光を散乱させる拡散構造を形成する工程と
を含むことを特徴とするスクリーンの製造方法。 - 前記光学薄膜が、照射される画像光に対応する特定波長領域の光に対して高反射特性を有し、少なくとも前記特定波長領域を除く可視波長領域の光に対して高透過特性を有することを特徴とする請求項13記載のスクリーンの製造方法。
- 前記光学薄膜が、高屈折率層とこれより屈折率の低い低屈折率層を交互に積層した多層膜からなることを特徴とする請求項14記載のスクリーンの製造方法。
- 前記光学薄膜を透過した光を吸収する吸収層を形成する工程を含むことを特徴とする請求項14記載のスクリーンの製造方法。
- 前記光学薄膜が、照射される画像光に対応する特定波長領域の光に対して高透過特性を有し、少なくとも前記特定波長領域を除く可視波長領域の光に対して高吸収特性を有することを特徴とする請求項13記載のスクリーンの製造方法。
- 前記光学薄膜が、前記特定波長領域以外の所定の波長領域の光に対して高吸収特性を有し、前記所定の波長領域以外の光に対して高透過特性を有する選択吸収色素を含有することを特徴とする請求項17記載のスクリーンの製造方法。
- 前記光学薄膜を透過した光を反射する反射層を形成する工程を含むことを特徴とする請求項17記載のスクリーンの製造方法。
- 前記拡散構造型材が、平面に複数の凹面が形成されてなることを特徴とする請求項13記載のスクリーンの製造方法。
- 前記拡散構造型材が、平面に複数の凸面が形成されてなることを特徴とする請求項13記載のスクリーンの製造方法。
- 前記特定波長領域が、赤色光の波長領域、緑色光の波長領域及び青色光の波長領域を含むことを特徴とする請求項14または17記載のスクリーンの製造方法。
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JP2003009437A JP2004219901A (ja) | 2003-01-17 | 2003-01-17 | スクリーン及びその製造方法 |
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Cited By (1)
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JP2006301311A (ja) * | 2005-04-21 | 2006-11-02 | Sony Corp | 光機能性拡散板、反射型スクリーン及びその製造方法 |
-
2003
- 2003-01-17 JP JP2003009437A patent/JP2004219901A/ja not_active Abandoned
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