JP2004219701A - 偏波モード分散補償方式、偏波モード分散補償器及び光ファイバ通信システム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】同一線路上に設けられた偏波回転器31及び偏光子32と、これら偏波回転器31などから分岐して設けられた光電力検出器33とから偏波モード分散補償器30を構成する。送信器10から伝送された所定の光信号は、偏波モード分散補償器30の偏波回転器31内に導入され、この偏波回転器31によって光電力検出器33による前記信号光(直線偏光)の出力が最大となるように、前記信号光の偏光面が回転される。前記信号光の一部は偏波回転器31を通過して偏光子32に導入され、前記信号光における所定の直線偏光のみが透過され、この透過光の出力が光電力検出器33で検出される。
【選択図】 図2
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、高速光ファイバシステムなどにおいて好適に用いることのできる、偏波モード分散補償方式、偏波モード分散補償器及び光ファイバ通信システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
10Gbitを超えるような高速の光ファイバ伝送においては、伝送距離が長くなるにつれて偏波モード分散の効果が大きくなり、伝送中の信号光の波形歪みが増大して信号光が劣化し、ビット誤り確率などが増大して良好な光伝送を実行できないという問題があった。このため、良好な光伝送を長距離に亘って実行するためには、前記偏波モード分散を何らかの方法で補償することが要求される。一方、前記偏波モード分散は、光ファイバが配置されている環境雰囲気などにおいて経時的に変化するため、前記偏波モード分散の補償は、光信号の伝送中において経時的に適宜に行うことが要求される。
【0003】
従来の偏波モード分散の補償は、例えば滝口浩一、“偏波モード分散(PMD)補償デバイス”、オプトロニクス、2002年12月号、66−70頁などに記載されているように、偏波制御器を含む偏波モード分散補償器などを、受信器直前又は伝送ライン中に設け、前記補償器における出力信号の偏光度や検波信号中に含まれる特定の周波数成分の大きさをモニタ信号とし、このモニタ信号の出力が最大となるように前記補償器内に設けた前記偏波制御器などをフィードバック制御することによって実施していた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このようなフィードバック制御においては、前記モニタ信号を抽出するに際して複雑な回路を配置することが要求され、補償器全体の構造が複雑になるという問題があった。また、制御すべき変数が常に2以上存在するため、アルゴリズムが複雑になり、応答速度が低下してしまうという問題があった。
【0005】
本発明は、極めて簡易な補償器を用いることによって、偏波モード分散を抑制し、長距離に亘る光ファイバ伝送を実現することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成すべく、本発明は、
信号光をモニタ信号として抽出する工程と、
前記信号光の出力を検出する工程と、
前記信号光の前記出力が最大となるように制御する工程と、
を具えることを特徴とする、偏波モード分散補償方式に関する。
【0007】
本発明の偏波モード分散補償方式によれば、伝送させるべき信号光を直接的にモニタ信号として抽出し、その出力を最大となるように制御するという極めて簡易な方法で、前記光信号を伝送させる際の偏波モード分散を十分に抑制することができる。したがって、前記信号光の前記偏波モード分散に起因した波形歪みを大幅に低減して、ビット誤り確率を減少させ、良好な光伝送を実現することができる。
【0008】
また、本発明の補償方式によれば、前記光信号の前記出力を制御するのみで偏波モード分散を補償することができ、上述した従来の方式に対して制御すべき変数が1つしかないため、制御アルゴリズムも極めて単純化することができ、応答速度の低下を抑制することができる。
【0009】
上述した偏波モード分散補償は、例えば偏波モード分散補償器を用いて行うことができる。前記偏波分散補償器は、偏波回転器、偏光子、及び光電力検出器を含むことができる。この場合においては、信号光を前記偏波回転器に導入し、前記信号光の偏光面を回転させることによって前記信号光の前記出力が最大となるように制御する。次いで、前記偏光子において、前記偏波回転器を通過した前記信号光における所定の直線偏光のみを透過させ、前記光電力検出器において、前記直線偏光の出力を検出する。
【0010】
また、上述したような偏波モード分散補償器を複数準備し、前述した偏波分散補償をこれら複数の偏波モード分散補償器を用いて多段階で実施することもできる。これによって、偏波モード分散補償をより効果的に行うことができ、特に長距離の光ファイバ伝送などにおいて、前記光信号の劣化を抑制して良好な光伝送を行うことができるようになる。
【0011】
さらに、本発明の偏波モード分散補償方式においては、前記偏波モード分散補償器などを通過した前記信号光の出力を所定の増幅器を用いることによって増幅することが好ましい。これによって、前記補償器などによる信号ロスを分布的に補償することができるとともに、発生するノイズの大きさを相対的に減少させて、良好な信号/ノイズ比(S/N比)を得ることができるようになる。
【0012】
上述したような偏波モード分散補償方式を用いることにより、長距離に亘って光伝送を良好な状態で行うことが可能な光ファイバ通信システムを提供することができる。このような光ファイバ通信システムは、送信器及び受信器を有し、これら送信器及び受信器間に上述したような偏波モード分散補償器を有する。そして、前記送信器及び前記受信器を前記偏波モード分散補償器を介して結合させ、前記送信器及び前記受信器間に所定の信号光を伝送させるための光ファイバ伝送路を有する。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を発明の実施の形態に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の偏波モード分散補償方式を利用した光ファイバ通信システムの一例を示す構成図であり、図2は、図1に示す光ファイバ通信システムにおける偏波分散補償器の内部構成を概略的に示す図である。
【0014】
図1に示す光ファイバ通信システムは、送信側において送信器10を有し、受信側において受信器20を有している。そして、送信器10及び受信器20間において複数の偏波モード分散補償器30を有している。送信器10及び受信器20間は、偏波モード分散補償器30を介して光ファイバ伝送路40によって結合されている。また、偏波モード分散補償器30の出力側には光増幅器50が設けられている。
【0015】
図2に示すように、偏波モード分散補償器30は、同一線路上に設けられた偏波回転器31及び偏光子32を有するとともに、これら偏波回転器31などから分岐して設けられた光電力検出器33を有する。送信器10から伝送された所定の光信号は、光ファイバ伝送路40中に配置された偏波モード分散補償器30の偏波回転器31内に導入される。前記信号光の一部は偏波回転器31を通過して偏光子32に導入される。偏光子32は、前記信号光における所定の直線偏光のみを透過させ、この直線偏光の出力を光電力検出器33で検出する。
【0016】
前記信号光は偏波回転器31に導入されると、偏波回転器31によって光電力検出器33による前記信号光(直線偏光)の出力が最大となるように、前記信号光の偏光面を回転させる。すると、前記信号光の、光ファイバ伝送路40中の伝送過程で受けた偏波モード分散の影響による波形歪みを抑制し、光信号の劣化を防止してビット誤り確率などを低減した良好な光伝送を行うことができる。
【0017】
偏波回転器31は例えばファラデー回転子から構成することが好ましいが、電気光学効果を利用した偏波制御器及び機械型の可動偏波制御器などから構成することもできる。
【0018】
前記信号光は、偏波モード分散補償器30によって偏波モード分散の影響による波形歪みを除去した後、光増幅器50内に導入されて増幅される。すると、偏波モード分散補償器30を通過した際の信号光のロスを補償するとともに、ノイズの大きさを相対的に減少させて、良好な信号/ノイズ比(S/N比)を得ることができる。光増幅器50は市販されている種々の増幅器から構成することができるが、希土類ドープ光ファイバ増幅器から構成することが好ましい。
【0019】
図1に示す光ファイバ通信システムにおいては、光ファイバ伝送路40内において複数の偏波モード分散補償器30が設けられるとともに、これら偏波モード分散補償器30に対応させて複数の光増幅器50が設けられている。したがって、伝送すべき前記信号光は、上述した複数の偏波モード分散補償器30及び複数の光増幅器50によって、それぞれ波形歪み除去及び出力増幅がなされて受信器20に到達し、受信される。
【0020】
上述したような複数の偏波モード分散補償器30及び複数の光増幅器50を、例えば数十から数百kmの間隔で配置することにより、数千km以上の長距離通信を実行することができる。
【0021】
以上、具体例を挙げながら発明の実施の形態に基づいて本発明を詳細に説明してきたが、本発明は上記内容に限定されるものではなく、本発明の範疇を逸脱しない限りにおいてあらゆる変形や変更が可能である。例えば、上記具体例においては、複数の偏波モード分散補償器を用いて光ファイバ伝送路中の偏波モード分散を抑制するようにしているが、単一の偏波モード分散補償器を用いても本発明の目的を十分に達成することができる。
【0022】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、信号光の前記偏波モード分散に起因した波形歪みを大幅に低減して、ビット誤り確率を減少させ、良好な光伝送を実現することができる。この結果、長距離に亘る光ファイバ伝送を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の偏波モード分散補償方式を利用した光ファイバ通信システムの一例を示す構成図である。
【図2】図1に示す光ファイバ通信システムにおける偏波分散補償器の内部構成を概略的に示す図である。
【符号の説明】
10 送信器
20 受信器
30 偏波モード分散補償器
31 偏波回転器
32 偏光子
33 光電力検出器
40 光ファイバ伝送路
50 光増幅器
Claims (15)
- 信号光をモニタ信号として抽出する工程と、
前記信号光の出力を検出する工程と、
前記信号光の前記出力が最大となるように制御する工程と、
を具えることを特徴とする、偏波モード分散補償方式。 - 前記信号光の前記出力は、偏波モード分散補償器によって制御することを特徴とする、請求項1に記載の偏波モード分散補償方式。
- 前記偏波モード分散補償器は、偏波回転器、偏光子、及び光電力検出器を含み、前記信号光を前記偏波回転器に導入し、前記信号光の偏光面を回転させることによって前記信号光の前記出力が最大となるように制御するとともに、前記偏光子において、前記偏波回転器を通過した前記信号光における所定の直線偏光のみを透過させ、前記光電力検出器において、前記直線偏光の出力を検出するようにしたことを特徴とする、請求項2に記載の偏波モード分散補償方式。
- 前記偏波モード分散補償器を複数設け、前記信号光の前記出力の検出と、前記信号光の前記出力の制御とを多段階で実施することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一に記載の偏波モード分散補償方式。
- 前記偏波回転器はファラデー回転子であることを特徴とする、請求項3又は4に記載の偏波モード分散補償方式。
- 前記信号光の前記出力を増幅する工程を具えることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一に記載の偏波モード分散補償方式。
- 前記信号光の前記出力の増幅は、希土類ドープ光ファイバ増幅器を用いて行うことを特徴とする、請求項6に記載の偏波モード分散補償方式。
- 偏波回転器、偏光子、及び光電力検出器を含み、所定の信号光をモニタ信号として前記偏波回転器に導入し、前記信号光の偏光面を回転させることによって前記信号光の前記出力が最大となるように制御するとともに、前記偏光子において、前記偏波回転器を通過した前記信号光における所定の直線偏光のみを透過させ、前記光電力検出器において、前記直線偏光の出力を検出するようにしたことを特徴とする、偏波モード分散補償器。
- 前記偏波回転器はファラデー回転子であることを特徴とする、請求項8に記載の偏波モード分散補償器。
- 送信器及び受信器と、
前記送信器及び前記受信器間に設けられた偏波モード分散補償器と、
前記送信器及び前記受信器を前記偏波モード分散補償器を介して結合させ、前記送信器及び前記受信器間に所定の信号光を伝送させるための光ファイバ伝送路と、
を具えることを特徴とする、光ファイバ通信システム。 - 前記偏波モード分散補償器は、前記送信器及び前記受信器間において複数設置したことを特徴とする、請求項10に記載の光ファイバ通信システム。
- 前記偏波モード分散補償器は、偏波回転器、偏光子、及び光電力検出器を含み、前記信号光を前記偏波回転器に導入し、前記信号光の偏光面を回転させることによって前記信号光の前記出力が最大となるように制御するとともに、前記偏光子において、前記偏波回転器を通過した前記信号光における所定の直線偏光のみを透過させ、前記光電力検出器において、前記直線偏光の出力を検出するようにしたことを特徴とする、請求項10又は11に記載の光ファイバ通信システム。
- 前記偏波回転器はファラデー回転子であることを特徴とする、請求項10〜12のいずれか一に記載の光ファイバ通信システム。
- 前記送信器及び前記受信器間において、増幅器を設けたことを特徴とする、請求項10〜13のいずれか一に記載の光ファイバ通信システム。
- 前記増幅器は、希土類ドープ光ファイバ増幅器であることを特徴とする、請求項14に記載の光ファイバ通信システム。
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