JP2004219415A - 表面プラズモン励起多層微粒子、表面プラズモン励起多層微粒子分散体、及び表面プラズモン励起多層微粒子の製造方法 - Google Patents

表面プラズモン励起多層微粒子、表面プラズモン励起多層微粒子分散体、及び表面プラズモン励起多層微粒子の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】多層微粒子およびその分散体における表面プラズモン共鳴による磁気光学効果の増大効果を利用し、カー回転角など磁気光学効果の絶対値が大きく、幅広い応用が可能な多層微粒子、多層微粒子分散体、および多層微粒子の製造方法を提供する。
【解決手段】多層の核・殻構造を備え、強磁性体でその核または殻の少なくとも一つを構成し、ドルーデ自由電子を有する金属で他の殻または核の少なくとも一つを構成するとともに、所定の周波数の光に対しプラズモン共鳴条件を満たし、このドルーデ自由電子を有する金属の殻または核の表面に表面プラズモンを高いQ値で励起させ、これと強磁性体との結合を得ることにより、磁気光学効果を増大させる。
【選択図】図1

Description

本発明は、表面プラズモン励起多層微粒子、表面プラズモン励起多層微粒子分散体、および表面プラズモン励起多層微粒子の製造方法に係り、特に金属の核・殻構造を持つ多層微粒子における金属の殻または核の表面に表面プラズモンを励起することにより、磁気光学特性を高めることにより、幅広い応用の可能な多層微粒子、多層微粒子分散体、および多層微粒子分散体の製造方法に関する。
光の波長より十分小さな寸法の微粒子を、ドルーデ(Drude)自由電子を含む金属、すなわち、Au、Ag、Cuなどの貴金属、Na,Kなどのアルカリ金属や、Alなどで構成し、これらの金属の表面に表面プラズモンを励起して、吸収、透過、反射などの光学特性、非線形光学効果、磁気光学効果、表面ラマン散乱などを制御したり向上させることができることが知られている(非特許文献1)。
ここにプラズモンは、バルク状の金属中で自由電子ガス・プラズマが集団運動して発生する電荷密度の振動波であり、通常のプラズモンである体積プラズモンは縦波即ち疎密波であるため、光波、すなわち横波である電磁波によっては励起されないが、表面プラズモンはエバネッセント光(近接場光)で励起することができる。これは表面プラズモンがエバネッセント光を伴っており、それと入射したエバネッセント光との相互作用でプラズマ波を励起できるためである。ここで入射光からエバネッセント光を発生させて、表面プラズマ波のエバネッセント光と相互作用させるには、入射光をプリズムによって金属表面で全反射させる方法や、金属表面を格子状にしたり凹凸を与えたりするなどの方法のほか、金属を微粒子にする方法がある(非特許文献2)。
微粒子の金属表面プラズモン励起に関する報告には、微粒子として一種類の素材で構成されている単純微粒子に関するもの、核の周りを核とは素材の異なる殻で覆った2層微粒子に関するもの、および3層以上の微粒子に関するものがある。このうち、単純微粒子または2層微粒子、およびそれらの分散体では、磁気光学効果が表面プラズモン共鳴によって、通常のバルク状試料や薄膜試料の磁気光学効果とはかけ離れた異常な振る舞いをすることが報告されている(非特許文献3〜4)。
ここで金属微粒子の表面プラズモン励起について簡単に述べておく。金属微粒子が球状であり、金属球の直径2aが光の波長λより十分小さい場合には、粒子に働く光の電場E0exp(iωt)は場所に依存しないと近似でき、実数の誘電関数ε(ω),(ここにωは光の角周波数)を持つ誘電体の母体中に、誘電関数
Figure 2004219415
を持つ球状の金属微粒子が分散しているときの金属球中における光の電場Eは、場所に依存しないとする準静電近似(quasi-static approximation)により、
Figure 2004219415
で与えられ、
Figure 2004219415
のとき、Eの絶対値が極大となり、
Figure 2004219415
で定義される消光係数κが極大値をとる。これが表面プラズモン共鳴現象である。
ここで数3を満足するためには、
Figure 2004219415
つまり誘電率(実数部)が負にならなければならない。以下に示すように、ドルーデ自由電子を持つ金属によってこの条件が満たされる。
貴金属やアルカリ金属などのεには、束縛電子の分極作用からの寄与であるεbound(ω)に加え、自由電子からドルーデ型の寄与があり、誘電関数は比誘電率として
Figure 2004219415
と表される。ここにωは体積プラズマ角周波数、γは自由電子の衝突の緩和角周波数である。
εbound(ω)=0の場合、ω<ω’=(ω −γ1/2の領域でε’1<0となるので、数5を満たすことができる。すなわち、数6を数3に代入して、表面プラズモン共鳴角周波数ωspが、
Figure 2004219415
と得られる。消光係数κのスペクトルは、ω=ωspで、Q値がωsp/γである共鳴ピーク曲線を描く。
ところで単純微粒子または2層微粒子、およびそれらの分散体においては、磁気光学効果が表面プラズモン共鳴によって異常な振る舞いをすることが報告されていたが、これらの報告におけるカー効果やファラデー効果などの磁気光学効果は、その絶対値としては小さいので、磁気光学素子などへの応用の可能性のみられるようなものではなかった。
3層以上の多層微粒子およびその分散体に関する文献として、非特許文献5がある。この文献では、Naと仮想的誘電体を交互に積み重ねて形成した最大7層の多層微粒子の表面プラズモン共鳴によって、消光能が異常な増大を示すことが報告されている。しかし、この報告では消光能がMie散乱理論によって1個の粒子による散乱に基づいて計算がなされているだけであって、その磁気光学効果は全く扱われていない。
また3層以上の多層微粒子についての文献として、本発明者の一人である阿部正紀らによる特許文献1、非特許文献6および非特許文献7がある。これらの文献においては、3層以上の多層微粒子およびその分散体において、すぐれた高周波電磁界の吸収特性や磁気光学特性を得る方法が報告されている。しかし、これらの文献の記載には表面プラズモン共鳴による磁気光学効果は含まれていない。
さらに本発明者の一人である阿部正紀は共同研究者とともに、非特許文献8および第14回日本MRS学術シンポジウム講演発表(2002年12月20日)において、Naと仮想的誘電体を交互に積み重ねて形成した最大7層の多層微粒子およびその分散体において、外磁界を印加したとき、Naのドルーデ自由電子のサイクロトロン運動によって生じる誘電率の非対角項に起因する磁気光学カー効果が、Na表面で励起される表面プラズモンによって50倍も増大するという興味ある結果を計算により見出し、その結果を報告した。次にこの報告の概要を述べる。
光の波長より十分小さな多層の磁性・楕円体微粒子が分散された複合媒体の有効誘電率テンソルを準静電近似で導出した。すなわち、まず一個の多層微粒子に一様な静電界がかけられたときのポテンシャル境界問題を解き、静電的誘電分極率テンソルを求めた。これを用い、Maxwell-Garnettの有効場理論に基づいて有効誘電率テンソルを
Figure 2004219415
と導出した。ここで、
Figure 2004219415
はそれぞれ母体の誘電率テンソル、第m層(殻)の誘電率テンソル、中心核の誘電率テンソルである。またfはナノオニオンの体積占有率、tは1個の多層微粒子中の第m層(または核)の体積占有率である。
また
Figure 2004219415
は、粒子に実効的に印加される平均電場〈F0〉により第m層(または核)に誘起される電場Eを〈F0〉と
Figure 2004219415
のように結びつける行列であり、
Figure 2004219415
の関数で与えられる。
表面プラズモンの共鳴条件は、数3を拡張した式、
Figure 2004219415
で与えられる。ここで磁化//z軸とした。ここに
Figure 2004219415

Figure 2004219415
の1行1列成分であるが、γが特に大きくない、従って共振のQが大きい場合、数13が成り立つと、すべてのmについて、数13が成り立つので、各層内のEとκが極大になり、各層表面にプラズモンが励起され、それらは互いに結合することになる。
しかし、この結果によれば、Naのドルーデ自由電子のサイクロトロン運動に起因するカー効果によるカー回転の値それ自体が非常に小さいため、表面プラズモン共鳴によって増大されても、1テスラの磁界下で、最大でもわずか0.01°以下のカー回転しか得られないので、この結果は応用に用いられる可能性は非常に少ないと考えられた。
特開平2002−93607号公報 V. Kreibig and M. Vollmer, Optical Properties of Metal Clusters (Springer, Berlin, 1995), P.14. 永田和宏・半田宏 編, 生体物質相互作用のリアルタイム解析実験法(シュプリンガー・フェアラーク東京株式会社、1998), P.13 A. Wokaun, Molecular Phys., 56, 1 (1985). P. Barnickel and A. Wokaun, Molecular Phys., 67, 1355 (1989). J. Sinzig and M. Quinten, Appl. Phys., A58, 157 (1994). M. Abe and J. Kuroda, J. Appl. Phys., 91, 7305 (2002). M. Abe, J. Kuroda and M. Matsumoto, J. Appl. Phys., 91, 7373 阿部正紀、諏訪剛史、黒田淳、第26回日本応用磁気学会学術講演概要集、17aF-9, (2002).
上述したように、表面プラズモン共鳴により、金属表面近傍で光の電磁場密度が著しく増大されるので、カー効果など磁気光学効果が顕著に増大する。しかし、ドルーデ自由電子のサイクロトロン運動に起因する磁気光学効果は、表面プラズモン共鳴によって増大されても、その絶対値が非常に小さいことから、応用につながるような現象はまだ報告されていない。
そこで本発明者らは、多層微粒子およびその分散体における表面プラズモン共鳴により磁気光学効果の増大が得られることを利用して、カー回転角など磁気光学効果における係数の絶対値を従来の多層微粒子に比べ顕著に増大させることを課題として、研究を行なった。
本発明の第1の表面プラズモン励起多層微粒子は、3層以上の多層の核・殻構造を備え、強磁性体でその核または殻の少なくとも一つを構成し、ドルーデ自由電子を有する金属で他の核または殻の少なくとも一つを構成するとともに、所定の周波数の光に対しプラズモン共鳴条件を満たしドルーデ自由電子を有する前記金属の殻または核の表面に表面プラズモンを励起させることにより誘電率テンソル成分を変化させたことを特徴とする。
ここにプラズモン共鳴条件を満たすとは、共鳴の中心となる場合だけでなく、共鳴の近傍の周波数であって、共鳴の影響を受けて磁気光学効果を増大する場合も含むものである。
また本発明の第2の表面プラズモン励起多層微粒子は、2層の核・殻構造を備え、絶縁性の強磁性体でこの核または殻のうちの一方を構成し、ドルーデ自由電子を有する金属でこの殻または核のうちのもう一方を構成したことを特徴とする。
この表面プラズモン励起多層微粒子においては、絶縁性の強磁性体として、ドルーデ自由電子を有する金属の殻または核のブラズモン共鳴における光学的損失が小さいものが好ましく、例えばBiを含有する鉄ガーネットを特に好ましく用いることができる。
この表面プラズモン励起多層微粒子においては、例えば絶縁性の強磁性体を中心核とし、その外側の殻にドルーデ自由電子を有する金属の層を設けることができる。
本発明者らは、従来の技術の欄にて述べたこれまでの研究結果を基に、さらに探求を進めた結果、Naのような非磁性体中のサイクロトロン運動による弱い磁気光学効果を利用するのではなく、強磁性体による大きな磁気光学効果をさらに表面プラズモン共鳴によって増大させることにより、磁気光学効果およびその性能指数を十分に増大させることができるとの見通しを得た。ところが、強磁性体の殻または核と、ドルーデ自由電子を含む金属の殻または核とが直接接する構造を持った多層微粒子では、表面プラズモン共鳴のQ値が低下するため、磁気光学効果の顕著な増大は得られないことがわかった。これは、強磁性体の誘電率の虚数部、すなわち損失分が大きいために、これがドルーデ自由電子の損失項に加算されて表面プラズモンのQ値が低下するからである。
そこで3層以上の多層微小球およびその分散体において、高いQ値を持つ表面プラズモンを励起して磁気光学効果を増大させるために、分散した微粒子の光電磁界に対する応答の解析を多角的に行う一方で、多層構造をもつ微粒子を形成する手段として金属被覆を形成するための無電解めっき法、および、フェライトや各種の遷移金属酸化物皮膜を水溶液中で形成する水溶液プロセス技術を用いた実験研究を行ない、その結果、上記本発明に到達することができた。
本発明の表面プラズモン励起多層微粒子においては、多層微粒子における前記強磁性体の殻または核と、ドルーデ自由電子を有する金属の殻または核との間に誘電体殻、特に光学的に損失の小さい誘電体を配置することことにより、表面プラズモン共鳴のQ値を高めることができ、磁気光学効果のさらなる増大効果を得ることができる。
また本発明の表面プラズモン励起多層微粒子においては、上記の多層微粒子におけるドルーデ自由電子を有する金属として、Au,Ag,Cuなどの貴金属、Li,Na,Kなどのアルカリ金属、Be,Mg,Ca,Sr,Baなどのアルカリ土類金属およびAlから選ばれる少なくとも1種を用いることができる。
また本発明の表面プラズモン励起多層微粒子においては、上記の多層微粒子における強磁性体として、金属または金属間化合物を用いることができる。
本発明の表面プラズモン励起多層微粒子においては、上記の多層微粒子における強磁性体として、酸化物などの絶縁性の磁性体を用いることができる。
本発明の表面プラズモン励起多層微粒子においては、絶縁性の強磁性体で核または殻の一方を構成し、ドルーデ自由電子を有する金属でもう一方を構成した2層の核・殻構造により、所定の周波数の光に対し、表面プラズモン励起多層微粒子を形成することができる。例えば絶縁性の磁性体を中心核とし、その外側にドルーデ自由電子を有する金属の殻を設けることができる。
このように強磁性体の核または殻が酸化物などの絶縁性の強磁性体であり、その光損失が小さければ、強磁性体に直接にドルーデ自由電子を有する金属の殻または核を形成しても、このドルーデ自由電子を有する金属の殻または核表面のプラズモン共鳴はQ値として高い値を得ることができる。このような表面プラズモン励起多層微粒子の絶縁性の磁性体として、Biを含有する鉄ガーネットを用いることにより、特に顕著な磁気光学効果の増大効果を得ることができる。
また本発明の表面プラズモン励起多層微粒子は、上記の多層微粒子の形状として、ほぼ球形状又はほぼ楕円体形状のものを好ましく用いることができる。
また本発明の 表面プラズモン励起多層微粒子における粒子サイズとしては特に制限されず、光の電磁界により、表面プラズモンを励起することが可能な粒子サイズであればよい。
本発明の表面プラズモン励起多層微粒子分散体は、上記の表面プラズモン励起多層微粒子を分散母体中に分散させることによって構成される。ここに分散母体としては、例えば高分子誘電体など各種の母体材料を用いることができる。ここで用いる表面プラズモン励起多層微粒子は上記した3層以上のものであってもよいし、また上記した2層のものであってもよいことは勿論である。
上記本発明の表面プラズモン励起多層微粒子分散体においては、多層微粒子として、その組成、構造、および形状の少なくともいずれかが異なる複数種の多層微粒子を分散させることにより、磁気光学効果を増大させることができる。
本発明の表面プラズモン励起多層微粒子の製造方法は、多層の核・殻構造を備え、その核または殻の少なくとも一つを強磁性体で構成し、他の殻または核の少なくとも一つを、ドルーデ自由電子を有する金属で構成するとともに、所定の周波数の光に対しプラズモン共鳴条件を満たしドルーデ自由電子を有する前記金属の殻または核の表面に表面プラズモンを励起させることにより磁気光学効果を増大させた表面プラズモン励起多層微粒子の製造方法において、多層微粒子の核または殻の少なくとも1つを、水溶液中の還元反応、酸化反応、析出反応、及びゾルゲル反応から選ばれるいずれか一つの反応によって形成することを特徴とする。
また本発明の表面プラズモン励起多層微粒子の製造方法を用いれば、核・殻構造がよく制御できるので、特性のよく制御された表面プラズモン励起多層微粒子を製造することができる。この表面プラズモン励起多層微粒子の製造方法は、上記3層以上の表面プラズモン励起多層微粒子、および上記2層の表面プラズモン励起多層微粒子のどちらの製造にも用いることができる。
本発明の表面プラズモン励起多層微粒子およびその分散媒体は、比較的単純な構成で従来に比べ大きな磁気光学効果を示すことから、光信号処理や光計測など、数多くの光磁気デバイスへの応用が期待される。また本発明の表面プラズモン励起多層微粒子の製造方法を用いれば、核・殻構造がよく制御され、特性のよく制御された表面プラズモン励起多層微粒子を製造することができる。
次に本発明を実施するための最良の形態について、発明の実施例によってその詳細を具体的に述べる。
強磁性の金属鉄を中心核とし、これに絶縁性の誘電体の殻を設け、さらにドルーデ自由電子散乱の小さい金属銀を殻として設けた表面プラズモン励起多層微粒子を誘電体の母体に分散させた分散媒体の構成について、物性値(FeのεxxとしてP.B. Johnson and R.W. Christy, Phys. Rev., B9, 5056 (1974). の値、εxyとして G. S. Kinchik and V. A. Artemjev, J. Appl. Phys., 39, 1276 (1968).の値、またAgのεとしてLandolt-Bornstein New Sec. III 13C.)の値を用い、[数8]を用いた解析を行なって有効比誘電率テンソルを求め、この有効比誘電率テンソルを用いて分散媒体のカー回転角θk、カー楕円率ηkおよび反射率Rを、光の角周波数の関数、即ち光子エネルギーの関数として得ることができた。
表面プラズモン励起多層微粒子の金属鉄、誘電体殻、および金属銀殻の径の比を2:3:4とし、この微粒子が比誘電率2.25の誘電体の母体に体積占有率0.3にて分散した場合には、光子エネルギー約1.5eVでカー回転角θkの最大値として−2.7°と、非常に大きなカー回転角の値が得られることがわかった。また光子エネルギー約1.7eVでカー楕円率ηkの最大値としてほぼ同じ値の約−2.7°が得られることがわかった。
このようにして、強磁性体の殻または核と、ドルーデ自由電子を含む金属の殻または核との間に、誘電体のスペーサー殻を介在させることにより、ドルーデ自由電子を含む金属の殻または核の表面で励起される表面プラズモン共鳴のQ値の低下を防ぐとともに強磁性体と結合を得ることができ、これによって強磁性体の殻または核に起因する磁気光学効果が顕著に増大できることがわかった。
図1(a)に示したFe微小球21、SiO被覆31、およびAg被覆41からなる3層構造の微粒子を作製し、これを高分子樹脂の誘電体母体中に分散させた分散体とし、この微粒子分散体について、磁気光学・極カー効果スペクトルを調べた。
まず、室温で直径36nmのFe微小球21の粉末10gを、窒素ガスバブルを用いて脱気した純水500ml中に分散させ、NaOHを添加してpHを10に調整した後、そこに1wt%のけい酸ナトリウム水溶液100mlを滴下しつつ同時に0.1mol/lのHClを滴下してpH=10に保ちつつ50℃で2時間攪拌することによって、厚さ9nmのSiO被覆をFe表面に堆積した。
このようにして得られた2層微粒子を純水で洗浄し、室温で大気に開放された5mol/lの銀アンモニア錯体([Ag(NH)中に分散させた後、アセトアルデヒドを2.5g添加して攪拌することによって、厚さ3nmのAg被覆をSiO表面に堆積した。
こうして作製した外径60nmのFe(強磁性体・核)/SiO(誘電体・殻)/Ag(ドルーデ金属・外殻)の3層微粒子を、比誘電率2.25を持つ高分子樹脂の誘電体母体中に体積占有率f=0.3で分散させた分散体を作製した。
この微粒子分散体の磁気光学・極カー効果スペクトルを図2に示した。光子エネルギーが約1.5eVで、カー回転角θが最大値−2.7°をとるとともに、θ=0の分散関係を示し、また光子エネルギーが約1.7eVでカー楕円率ηが同じ値の最大値−2.7°をとるとともに、θ=0の分散関係を示した。これらの結果は上述の既知の物性値を用い、[数8]に従って有効比誘電率テンソルを求め、この有効比誘電率テンソルを用いて得た分散媒体のカー回転角θkおよびカー楕円率ηkの結果とよく一致した。
このθ=−2.7°の最大値は、Feのバルク試料におけるθの最大値である約0.7°や、アモルファスGdTbFeの最大値である約0.4°よりはるかに大きい。また微粒子分散体のθが最大となる約1.5eVの光子エネルギーで、性能指数
Figure 2004219415
が最大値1.1°をとることがわかった。この値は、既存の材料で最大のθを示す物質であるPtMnSbの性能指数の最大値と同じである。
このようにカー効果が顕著に増大したのは、図3に示したように、光子エネルギー1.1eVでQ値が10程度のプラズモン共鳴条件を満たし、有効比誘電率テンソルの非対角成分<ε’xy>と<ε”xy>が共鳴曲線を描くからである。ただし、図3に示したように、θKまたはηKが極大となる光子エネルギーである約 1.5eVまたは1.7eVの位置は、共鳴点の光子エネルギー=1.1eVからかけ離れている。これは、複素カー回転が、
Figure 2004219415
で与えられるため、<ε’xx>がほぼ0または1になる個所、すなわち、光子エネルギーが約1.5eVまたは1.7eVで増大するのである。
ここで、SiOの誘電体のスペーサ−殻を設けずに、Fe微小球の表面に直接Ag被覆を堆積させて作製した2層微小球を、上記の高分子樹脂の誘電体母体中に体積占有率f=0.3で分散させた分散体を作製したところ、θは最大でも0.2°と非常に小さなカー効果しか示さなかった。これは、Ag層がFe層と直接接触しているので、表面プラズモン共鳴のQ値が2程度に下がったために、上記の場合のように<ε’xx>が0または1に近い値をとり得なくなったためである。したがって、強磁性体層とドルーデ金属層の間に誘電体層を設けて表面プラズモン共鳴のQ値を高めることが、磁気光学効果を増大させる上で重要な役割を演じていることが示された。
次に図1(b)に示したFe微小球21、TiO被覆32、およびAu被覆42からなる3層構造の微粒子を作製し、これを高分子樹脂の誘電体母体中に分散させた分散体とし、この微粒子分散体について、磁気光学・極カー効果スペクトルを調べた。
まず室温で、直径36nmのFe微小球10gを純水500ml中に分散させ、1wt%硫酸チタニア溶液100mlを滴下し、50℃で2時間攪拌することによって、厚さ9nmのTiO被覆をFe表面に堆積した。
このようにして得られた2層微粒子を純水で洗浄し、HAuCl水溶液を5mmol/lとなるように調整して得たAuコロイド溶液中に分散させた後、2,5ジヒドロキシ安息香酸(2,5‐dihydroxy‐benzonic acid)を0.5g加えて、厚さ3nmのAu被覆をTiOの表面に堆積した。
こうして作製した外径60nmのFe(強磁性体・核)/TiO(誘電体・殻)/Au(ドルーデ金属・外殻)の3層微粒子(図1(b))を、比誘電率2.25を持つ高分子樹脂の誘電体母体中に体積占有率f=0.3で分散させた分散体を作製した。
この微粒子分散体の磁気光学・極カー効果スペクトルを図4に示した。光子エネルギー1.1eVで、カー回転角θが最大値−1.8°をとるとともに、η=0の分散関係を示し、数16で示した性能指数として最大値0.8°が得られた。実施例1のFe/SiO/Ag構造の3層微粒子分散体と比べると、θが最大となる光子エネルギーが1.5eVからわずか0.4eVだけレッドシフトし、θと数16の性能指数の最大値が30%程度減少したほかは、ほぼ同様の表面プラズモン共鳴による磁気光学効果の増大が起こっている。 このようにカー効果が顕著に増大したのは、先の場合と同様に、図5に示したように、光子エネルギー1.1eVでQ値が10程度のプラズモン共鳴条件を満たし、有効比誘電率テンソルの非対角成分<ε’xy>と<ε”xy>が共鳴曲線を描くからである。
実施例1で作製したFe/SiO/Ag構造の3層微粒子と、実施例2で作製したFe/TiO/Au3層微粒子をそれぞれf=15%の体積占有率で、実施例1および2で用いたのと同じ高分子樹脂の誘電体母体中に混合分散させて多層微粒子分散体を作製した。そのカー効果は図6に示したように、ほぼFe/SiO/Ag構造の3層微粒子分散体と、Fe/TiO/Au3層微粒子分散体のスペクトルを重ね合わせたようなスペクトル特性を示し、θの最大値は1.9°性能指数の最大値は0.9°であった。
次に図1(c)に示したCoフェライト微小球22、SiO被覆31、およびAu被覆42からなる3層構造の微粒子を作製し、これを高分子樹脂の誘電体母体中に分散させた分散体とし、この微粒子分散体について磁気光学・極カー効果スペクトルを調べた。
まず直径36nmのCoフェライト微粒子球に対して、実施例1に示した水溶液プロセスと同じ方法で、Fe表面に厚さ9nmのSiO被覆を堆積し、さらにその上に厚さ3nmのAg被覆を堆積して、外径60nmのCoフェライト(強磁性体・核)/SiO(誘電体・殻)/Ag(ドルーデ金属・外殻)の3層微粒子(図1(c))を作製した。これを、比誘電率2.25を持つ高分子樹脂の誘電体母体中に体積占有率f=0.3で分散させた分散体とした。
この微粒子分散体の磁気光学・極カー効果スペクトルを図7に示した。光子エネルギー1.7eVでカー回転角が最大値θ=1.0をとった。この値はCoの単純微粒子を分散した複合媒体のカー回転角と比べると、表面プラズモン共鳴によって約8倍に増大していた。
球形のBi置換イットリウム鉄ガーネット(Bi:YIG)を中心核とし、これに金属銀の殻を設けた多層微粒子を、誘電体の母体に分散させた分散媒体について調べた。図8の最上段に示した図は、この表面プラズモン励起多層微粒子を模式的に示した断面図である。
この分散媒体を構成する各物質の物性値を用い、[数8]を用いた解析を行なうことにより有効比誘電率テンソルを求め、この有効比誘電率テンソルを用い、分散媒体のカー回転角θk、カー楕円率ηkおよび反射率Rの値を光子エネルギーの関数として得ることができた。
図8の上2段のグラフは、Bi:YIG中心核と金属銀の殻の径の比を6:10とすることにより、微粒子中のBi−YIGの体積占有率を0.216とし、表面プラズモン励起多層微粒子が比誘電率2.25の誘電体中に体積占有率0.3にて分散した分散媒体について求めた比誘電率テンソルの対角成分εxx=εxx‘+iεxx“および非対角成分εxy=εxy‘+iεxy“を示したものである。また図8の下2段のグラフは、この分散媒体について求めた比誘電率テンソルの対角成分および非対角成分を用いて得たカー回転角θおよびカー楕円率η、並びに磁気光学性能指数R1/2θおよび反射率Rを示したものである。
図8において、εxxのスペクトルは、表面プラズモン共鳴が約2.2eVで起ることを示しており、共鳴点から少しずれた約2.6eVでθが13.5°もの大きな極大値を示しηは16.2°もの大きな極大値を示し、性能指数はR1/2θ=6.2°と非常に大きな値を示す。これらの値は現存するカー効果のチャンピオンデータ、すなわちPtMnSbのθ=1.9°、R1/2θ=1.1°をはるかに超えている。
次にBi置換イットリウム鉄ガーネット(Bi:YIG)を中心核とし、これに金属銀の殻を設けた皿型の回転楕円体形状の多層微粒子を、誘電体の母体に分散させた分散媒体について調べた。図9の最上段に示した図は、この表面プラズモン励起多層微粒子を模式的に示した断面図である。この皿型の回転楕円体形状の多層微粒子は、図8に示した上記2層構造球の形状を球状から皿型の回転楕円体に変えて電界方向の反電界係数Nを0.28にし、Bi:YIG中心核の微粒子中の体積占有率は図8の球状の多層微粒子と同じ0.216にした。
この多層微粒子を比誘電率2.25の誘電体中に体積占有率f=0.3で分散させた分散体についての結果を図9に示す。図9の上2段のグラフは、この分散媒体について求めた比誘電率テンソルの対角成分εxx=εxx‘+iεxx
および非対角成分εxy=εxy‘+iεxy
を示したものであり、また図9の下2段のグラフは、この分散媒体について求めた比誘電率テンソルの対角成分と非対角成分を用いて得た、カー回転角θおよびカー楕円率η、並びに磁気光学性能指数R1/2θおよび反射率Rを示したものである。
次にBi置換イットリウム鉄ガーネット(Bi:YIG)を中心核とし、これに金属銀の殻を設けた葉巻型の回転楕円体形状の多層微粒子を、誘電体の母体に分散させた分散媒体について調べた。図10の最上段に示した図は、この表面プラズモン励起多層微粒子を模式的に示した断面図である。この葉巻型の回転楕円体形状の多層微粒子は、図8に示した上記2層構造球の形状を球状から葉巻型の回転楕円体に変え、電界方向の反電界係数Nを0.35にしたほかは、Bi:YIG中心核の微粒子中の体積占有率は図8の球状の多層微粒子と同じ0.216にした。
この多層微粒子を比誘電率2.25の誘電体中に体積占有率f=0.3で分散させた分散体についての結果を図10に示す。図10の上2段のグラフは、この分散媒体について求めた比誘電率テンソルの対角成分εxx=εxx‘+iεxx“および非対角成分εxy=εxy‘+iεxy“を示したものであり、また図10の下2段のグラフは、この分散媒体について求めた比誘電率テンソルの対角成分および非対角成分を用いて得たカー回転角θおよびカー楕円率η、並びに磁気光学性能指数R1/2θおよび反射率Rを示したものである。
これら回転楕円体形状の場合と球形の場合とを比べると、回転楕円体形状の場合のθ、η、およびR1/2θの極大ピークは球形の場合に比べてブロードになる。図9の皿型の場合には、図8の球形の場合に比べ、R1/2θは6.2°から5.1°へとやや減少するものの、θは13.5°から14.5°へとわずかに増大し、ピーク幅が増大しており、応用上有利な方向への変化がみられる。また図10に示した葉巻型の場合には、θのピーク値が13.5°から8.0°へと減少しているものの、R1/2θは6.2から7.5°へとあまり変化していない。θのピーク値におけるR1/2θ=4°という値は、PtMnSbによるチャンピオンデータのθ=1.9°、R1/2θ=1.1°をはるかに超えたものである。
これらの結果から、Bi:YIGとAgとの2層のプラズモン共鳴微粒子を分散した分散媒体では、微粒子の形状が球形からずれて楕円状などの形状をしていても、大きなカー回転角と性能指数が得られることがわかった。
Bi:YIGの単結晶あるいは多結晶試料を通常の高温を用いた作製法で作製し、それをボールミル法などで光の波長より十分小さなナノメートル寸法に粉砕すると、球形の粒子は得にくく、扁平あるいは長円状になりやすい。これらの粒子は前記した皿状および葉巻状の回転楕円体として取扱えるので、前記した増大効果が得られる。これらの粉砕粒子は、銀鏡反応により表面にAg層を容易に設けることができるので、望みの磁気光学効果を増大させる2層構造粒子を容易に作製することができる。
フラックス法を用いて作製したBi置換イットリウム鉄ガーネット(Bi:YIG)単結晶をボールミル法で粉砕し、平均粒径60nmの微粉末を得た。この微粉末を純水で洗浄し、室温で大気に開放された5mol/lの銀アンモニア錯体([Ag(NH)中に分散させた後、アセトアルデヒドを2.5g添加して攪拌することによって、厚さ3nmのAg被覆を微粉末粒子の表面に堆積した。
このようにして作製した外径約66nmのBi:YIG(強磁性体・核)/Ag(ドルーデ金属・外殻)の2層微粒子を、比誘電率2.25を持つ高分子樹脂の誘電体母体中に体積占有率f=0.3で分散させた分散体を作製した。
この微粒子分散体について得た磁気光学・極カー効果スペクトルを図11に示した。図11は、先に示した図8、図9および図10を平均した値にほぼ近いスペクトル特性を示していることがわかった。これらの結果は上述した既知の物性値を用い、[数8]に従って有効比誘電率テンソルを求め、この有効比誘電率テンソルを用いて得た分散媒体のカー回転角θkおよびカー楕円率ηkの結果とよく一致していることを示している。
なお、焼成法を用いて作製したBi置換イットリウム鉄ガーネット(Bi:YIG)多結晶をボールミル法で粉砕し、平均粒径約60nmの微粉末を得て、上記と同様の方法により作製したBi:YIG(強磁性体・核)/Ag(ドルーデ金属・外殻)の2層微粒子の分散体の場合も同様の結果が得られた。
本実施例では、強磁性体層とドルーデ自由電子を有する金属層とを有するプラズモン共鳴多層微粒子分散体について、その具体例を述べたが、本発明の範囲はこの実施例で示したものに限定されるものではなく、より多層とするなど、本発明の特許請求の範囲に含まれるすべての変形例は本発明に含まれる。
本発明により、比較的簡易な構成で、従来には到底得ることのできなかった大きなカー効果などの磁気光学効果を得ることができるようになった。このため、各種の磁界や電流のセンサーを初め、各産業分野分野において本発明を利用した新たな製品が幅広く用いられるようになるものと期待される。
作製した3層構造の微粒子を示す断面図である。 Fe/SiO/Ag球状3層微粒子分散体におけるカー回転角θk、カー楕円率ηk、反射率Rおよび性能指数θk1/2の光子エネルギーに対する変化を示した図である。 (a)および(b)はFe/SiO/Ag球状3層微粒子分散体における有効複素透磁率テンソルの対角項の光子エネルギーに対する変化を示した図であり、(c)は数13の表面プラズモンの共鳴条件が成立する様子を示した図である。 Fe/TiO/Auの3層微粒子分散体におけるカー回転角θkと性能指数θk1/2の光子エネルギーに対する変化を示した図である。 Fe/SiO/Auの3層微粒子分散体における有効複素透磁率テンソルの非対角項の光子エネルギーに対する変化を示した図である。 Fe/SiO/Ag(15%),Fe/TiO/Au(15%)の混合分散体におけるカー回転角θkと性能指数θk1/2の光子エネルギーに対する変化を示した図である。 Co-フェライト/SiO/Au球状3層微粒子分散体におけるカー回転角θkと性能指数θk1/2の光子エネルギーに対する変化を示した図である。 球形のBi置換イットリウム鉄ガーネット(Bi:YIG)を中心核とし、これに金属銀の殻を設けた表面プラズモン励起多層微粒子を誘電体の母体に分散させた分散媒体の有効比誘電率テンソル、分散媒体のカー回転角θ、カー楕円率η、磁気光学性能指数R1/2θおよび反射率Rを示した図である。 皿型回転楕円体のBi置換イットリウム鉄ガーネット(Bi:YIG)を中心核とし、これに金属銀の殻を設けた表面プラズモン励起多層微粒子を誘電体の母体に分散させた分散媒体の有効比誘電率テンソル、分散媒体のカー回転角θ、カー楕円率η、磁気光学性能指数R1/2θおよび反射率Rを示した図である。 葉巻型回転楕円体のBi置換イットリウム鉄ガーネット(Bi:YIG)を中心核とし、これに金属銀の殻を設けた表面プラズモン励起多層微粒子を誘電体の母体に分散させた分散媒体の有効比誘電率テンソル、分散媒体のカー回転角θ、カー楕円率η、磁気光学性能指数R1/2θおよび反射率Rを示した図である。 実施例7の分散媒体の分散媒体のカー回転角θ、カー楕円率η、磁気光学性能指数R1/2θおよび反射率Rを示した図である。
符号の説明
11,12,13…3層構造の微粒子、
21…Fe層、22…Coフェライト層、
31…SiO層、32……TiO
41…Ag、42……Au。

Claims (12)

  1. 3層以上の多層の核・殻構造を備え、強磁性体でその核または殻の少なくとも一つを構成し、ドルーデ自由電子を有する金属で他の殻または核の少なくとも一つを構成するとともに、所定の周波数の光に対しプラズモン共鳴条件を満たしドルーデ自由電子を有する前記金属の殻または核の表面に表面プラズモンを励起させることにより、誘電率テンソル成分を増大させたことを特徴とする表面プラズモン励起多層微粒子。
  2. 前記多層微粒子における前記強磁性体で構成した核または殻と前記ドルーデ自由電子を有する金属で構成した殻または核との間に、誘電体殻を配置して表面プラズモン共鳴のQ値を高めることにより磁気光学効果の増大効果を高めたことを特徴とする請求項1に記載の表面プラズモン励起多層微粒子。
  3. 前記ドルーデ自由電子を有する金属が、アルカリ金属、アルカリ土類金属、貴金属及びアルミニウムの群から選ばれる金属であることを特徴とする請求項1または2記載の表面プラズモン励起多層微粒子。
  4. 前記強磁性体が金属または金属間化合物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の表面プラズモン励起多層微粒子。
  5. 前記強磁性体が酸化物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の表面プラズモン励起多層微粒子。
  6. 前記多層微粒子の形状が、ほぼ球形状、又はほぼ楕円体形状であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載の表面プラズモン励起多層微粒子。
  7. 2層の核・殻構造を備え、絶縁性の強磁性体でこの核または殻のうちの一方を構成し、ドルーデ自由電子を有する金属でこの殻または核のうちのもう一方を構成したことを特徴とする表面プラズモン励起多層微粒子。
  8. 絶縁性の強磁性体を中心核とし、その外側の殻にドルーデ自由電子を有する金属の層を設けたことを特徴とする請求項7記載の表面プラズモン励起多層微粒子。
  9. 絶縁性の強磁性体がBiを含有する鉄ガーネットであることを特徴とする請求項7または8記載の表面プラズモン励起多層微粒子。
  10. 多層の核・殻構造を備え、強磁性体でその核または殻の少なくとも一つを構成し、ドルーデ自由電子を有する金属で他の殻または核の少なくとも一つを構成するとともに、所定の周波数の光に対しプラズモン共鳴条件を満たしドルーデ自由電子を有する前記金属の殻または核の表面に表面プラズモンを励起させることにより、磁気光学効果を増大させた表面プラズモン励起多層微粒子を分散母体中に分散してなることを特徴とする表面プラズモン励起多層微粒子分散体。
  11. 前記表面プラズモン励起多層微粒子として、その組成、構造、及び形状の少なくともいずれかが異なる複数種の表面プラズモン励起多層微粒子を分散させることにより磁気光学効果を増大させたことを特徴とする請求項10記載の表面プラズモン励起多層微粒子分散体。
  12. 多層の核・殻構造を備え、その核または殻の少なくとも一つを強磁性体で構成し、他の殻または核の少なくとも一つをドルーデ自由電子を有する金属で構成するとともに、所定の周波数の光に対しプラズモン共鳴条件を満足させドルーデ自由電子を有する前記金属の殻または核の表面に表面プラズモンを励起させることにより磁気光学効果を増大させた表面プラズモン励起多層微粒子の製造方法において、多層微粒子の核または殻の少なくとも1つを、水溶液中の還元反応、酸化反応、析出反応、及びゾルゲル反応から選ばれるいずれか一つの反応によって形成することを特徴とする表面プラズモン励起多層微粒子の製造方法。
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