JP2004219258A - 溶接部の評価方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】製造品に評価検査による無駄が発生せず、しかも、信頼性の高い溶接部の評価方法を提供する。
【解決手段】複数の電線Wを接続する溶接部1に検査用押圧部材3を押圧して所定の圧縮荷重を加え、圧縮荷重を加えたときの溶接部1のひずみ量を測定し、この測定したひずみ量が所定の範囲か否かで溶接状態を評価する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、作成された溶接部が所望以上の強度を有するか否かを検査する溶接部の評価方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、導電部材間を溶接部を介して電気的に接続することが行われている。溶接部の作成手順を、導電部材が電線である場合を例として簡単に説明する。
【0003】
複数の電線の芯線を超音波ホーンとアンビルとの間に挟持し、この挟持した複数の電線の芯線に圧縮力と超音波振動を加える。このとき、超音波エネルギーによって芯線が溶融し、その部分に溶接部が形成される。図10(a)、(b)、(c)は、このような溶接手順によって複数の電線W間を溶接部105を介して接続した各溶接形態である。超音波溶接等による溶接部105は、不良品を出荷しないために、評価検査によって適正な溶接状態であるか否かが検査される。
【0004】
従来の溶接部の評価方法は、図11(a)、(b)、(c)に示すように、一方の電線Wを固定し、他方の電線Wに所定の引っ張り力f1を加え、溶接部105に引っ張り力f1を作用させることによって溶接状態の適否を評価する。具体的には、溶接部に所定の引っ張り力f1を作用させても溶接部105が破壊されなければ良品とし、破壊されれば不良品と判断するものである。
【0005】
また、他の従来の溶接部の評価方法としては、図12〜図14に示す米国特許第6,393,924号公報(特許文献1)に開示されたものがある。この評価方法は、図12に示すように、一対のアーム部材106、107の挟持部106a、107a間に溶接部105に挟持し、溶接部105に圧縮力f2を作用させることによって溶接状態の適否を検査する。具体的には、溶接部105に所定の圧縮力f2を作用させ、図13のように溶接部105が破壊されなければ良品とし、図14のように破壊されれば不良品と評価するものである。
【0006】
【特許文献1】
米国特許第6,393,924号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した2つの従来の評価方法では、溶接部105に対して不良品であれば破壊が発生するほどの引っ張り力や圧縮力を作用させるため、評価検査を行ったものは、たとえ良品であったとしても製品として使用することができない。したがって、評価サンプル品が製品より除かれるため、製造に評価検査による無駄が発生する。
【0008】
そこで、本発明は、上記した課題を解決すべくなされたものであり、製造品に評価検査による無駄が発生せず、信頼性の高い溶接部の評価方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、溶接部に所定の圧縮荷重を加え、圧縮荷重を加えたときの前記溶接部のひずみ量を測定し、この測定したひずみ量が所定の範囲か否かで溶接状態を評価することを特徴とする。
【0010】
この溶接部の評価方法では、溶接状態が低強度である溶接部は被溶接部材が粗状態に配置され、小さい圧縮荷重で降伏点を迎え、溶接状態が高強度である溶接部は被溶接部材が密状態に配置され大きな圧縮荷重でなければ降伏点を迎えないため、圧縮力に応じたひずみ量は降伏点を境として大きく変化する。これを利用して、溶接状態が低強度である溶接部では降伏点を超え、かつ、溶接状態が高強度である溶接部では降伏点を超えない範囲の圧縮荷重を作用させ、その際のひずみ量によって溶接部の溶接状態を評価することができる。そして、溶接状態が高強度である溶接部に対しては、被溶接部材が弾性変形する程度の圧縮荷重しか加えられないため、評価検査を行ったものが製品として使用でき、全ての製造品を評価検査できる。
【0011】
請求項2の発明は、請求項1記載の溶接部の評価方法であって、前記溶接部への圧縮荷重は、前記溶接部の表面の一部範囲に加えることを特徴とする。
【0012】
この溶接部の評価方法では、請求項1の発明の作用に加え、評価検査を行った溶接部の表面には検査痕が多少残り、この検査痕によって評価検査済みであることを目視で認識できる。また、評価検査時に加える圧縮荷重を小さくできるため、装置の小規模化、簡易化に寄与する。更に、評価検査時には溶接部の一部にしか圧縮荷重を加えないため、評価検査時による無駄を低減できる。
【0013】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2記載の溶接部の評価方法であって、前記溶接部の溶接状態の評価程度に応じた降伏点の荷重をサンプリングし、このサンプリングによって溶接状態の評価と破壊荷重との対応データを作成し、この対応データに基づいて評価検査時の圧縮荷重を設定したことを特徴とする。
【0014】
この溶接部の評価方法では、請求項1又は請求項2の発明の作用に加え、評価検査時の圧縮荷重は、対応データに基づく信頼性に足る値であることから溶接状態が低強度であるものを確実に排除できる。
【0015】
請求項4の発明は、請求項3記載の溶接部の評価方法であって、評価検査時の圧縮荷重は、溶接状態の評価における低強度領域と高強度領域との間に普通強度領域を設定し、この普通強度領域の破壊荷重の範囲内より設定したことを特徴とする。
【0016】
この溶接部の評価方法では、請求項3の発明の作用に加え、普通強度領域という緩衝領域を設定したため、評価検査の信頼性が向上し、溶接状態が低強度であるものをより確実に排除できる。
【0017】
請求項5の発明は、請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の溶接部の評価方法であって、前記溶接部は、複数の電線の溶接により形成されたものであることを特徴とする。
【0018】
この溶接部の評価方法では、複数の電線の溶接部について、請求項1乃至請求項4発明と同様の作用が得られる。
【0019】
請求項6の発明は、請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の溶接部の評価方法であって、前記溶接部は、超音波溶接により形成されたものであることを特徴とする。
【0020】
この溶接部の評価方法では、超音波溶接で形成された溶接部について、請求項1乃至請求項5の発明と同様の作用が得られる。
【0021】
請求項7の発明は、請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の溶接部の評価方法であって、前記圧縮荷重は、前記溶接部の表面を押圧する検査用押圧部材によって加えられたものであり、前記検査用押圧部材の先端が楔形状であることを特徴とする。
【0022】
この溶接部の評価方法では、評価検査を行った溶接部の表面に残った検査痕が目視で容易に判断される。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0024】
図1〜図7は本発明の一実施形態を示し、図1は電線Wの溶接部1の評価検査状態を示す斜視図、図2は図1のII−II線に沿って切断した断面模式図であり図2(a)は溶接状態が低強度(−30%)である溶接部1の断面模式図、図2(b)は溶接状態が普通強度(0%)である溶接部1の断面模式図、図2(c)は溶接状態が高強度(+50%)である溶接部1の断面模式図、図3は溶接状態が低強度である溶接部1の圧縮荷重とひずみ量の特性線図、図4は溶接状態が高強度である溶接部1の圧縮荷重とひずみ量の特性線であって、圧縮荷重が低い範囲の特性線図、図5は溶接状態が高強度である溶接部1の圧縮荷重とひずみ量の特性線であって、降伏点の範囲をも含めた広い範囲の特性線図、図6は溶接部1の溶接状態の評価(溶接条件)と破壊荷重(降伏点)の特性線図、図7(a)は溶接部1の押圧面積(クロスハッチングの範囲)Sを示す平面図、図7(b)は評価検査後の溶接部1の斜視図である。
【0025】
図1に示すように、複数の電線Wを接続するために溶接部1が形成されている。この溶接部1は、複数の電線Wの芯線2を超音波ホーン(図示せず)とアンビル(図示せず)との間に挟持し、この複数の電線Wの芯線2に圧縮力と超音波振動を加え、超音波エネルギーによって芯線2を溶融させることにより、その部分に形成されるものである。
【0026】
次に、溶接部1の評価方法を説明する。評価方法には、溶接部1の表面1aを押圧し、溶接部1に圧縮荷重Fを作用させる検査用押圧部材3と、この検査用押圧部材3による押圧力(圧縮荷重)Fを調整できる圧縮荷重調整手段(図示せず)と、検査用押圧部材3によって圧縮荷重が加えられた溶接部1のひずみ量を測定できるひずみ測定手段(図示せず)とを使用する。そして、溶接部1の表面1aを検査用押圧部材3で押圧し、溶接部1に所定の圧縮荷重を加え、その際の溶接部1のひずみ量が所定の範囲か否かで溶接状態を評価するものである。
【0027】
次に、圧縮荷重を加えた際のひずみ量によって溶接状態を評価できる理由を説明する。
【0028】
溶接部1の強度は溶接状態によって決定される。図2(a)に示すように、溶接状態が低強度(−30%)である溶接部1は被溶接部材である芯線2が粗状態に配置される。図2(c)に示すように、溶接状態が高強度(+50%)である溶接部1は芯線2が密状態に配置される。図2(b)に示すように、溶接状態が普通強度(0%)である溶接部1は芯線2が上記2者の中間密度に配置される。なお、溶接状態を示すパーセンテージの意味については、下記に説明する。
【0029】
溶接部1の溶接状態が低強度である場合は、図3に示すような圧縮荷重とひずみ量の特性線を示し、小さな圧縮荷重Fで降伏点を迎える。溶接部1の溶接状態が高強度である場合は、図4及び図5に示すような圧縮荷重とひずみ量の特性線を示し、大きな圧縮荷重Fで降伏点を迎える。溶接部1の溶接状態が普通強度である場合は、上記2者の中間のような圧縮荷重とひずみ量の特性線を示し、上記2者の間の圧縮荷重Fで降伏点を迎える。そして、図3や図5に示すように、圧縮荷重Fに応じたひずみ量は降伏点を境として大きく変化する。具体的には、評価検査時における圧縮荷重(検査荷重)Fを例えば1500Nとすると、溶接部1の溶接状態が低強度(−30%)である場合は降伏点を超えて変形するため、図3より例えば3.4mm程度のひずみ量(図3のA点)となり、溶接部1の溶接状態が高強度(+50%)である場合は降伏点を越えることなく弾性変形するため、図4より例えば2.2mm程度のひずみ量(図4のB点)となり、両者に大きなひずみ量の格差が出る。
【0030】
つまり、圧縮荷重Fに応じたひずみ量が降伏点を境として大きく変化することを利用して、溶接部1の溶接状態が低強度である場合では降伏点を超え、かつ、溶接部1の溶接状態が高強度である場合では降伏点を超えない範囲の圧縮荷重を作用させれば、その際のひずみ量によって溶接部1の溶接状態を評価することができる。
【0031】
次に、評価検査時における圧縮荷重(検査荷重)F及び判定ひずみ量の具体的決定方法を説明する。溶接条件を十分に管理した状況下において、例えば溶接条件(圧縮力の大きさ等)を変化させることにより、溶接状態の程度(−50%〜+100%)が異なるように、溶接部1を作成する。この各評価程度に応じた降伏点の荷重を測定し、サンプリング(図6にてサンプリング点は×印で表示)する。そして、図6に示すように、溶接状態の評価程度と破壊荷重(降伏荷重)との特性線(対応データ)を作成し、溶接状態の評価領域を不良品である低強度領域(1)(−50%〜−10%)と普通強度領域(2)(−10%〜+40%)と良品である高強度領域(3)(+40%〜+100%)に区分けし、普通強度領域(2)における破壊強度を評価検査時の圧縮荷重に設定する。普通強度領域(2)の破壊強度は、図6より例えば約1250N〜約1750Nの範囲であり、この範囲内の圧縮荷重値を検査時の圧縮荷重(例えば1500N)Fに設定する。また、普通強度領域(2)の破壊強度におけるひずみ量の範囲内の値を判定ひずみ量(例えば2.5mm)に設定する。
【0032】
このように設定した圧縮荷重値を、評価検査時の圧縮荷重(例えば1500N)Fとして製造した溶接部1のひずみ量を測定する。この場合、溶接部1の溶接状態が低強度である場合は降伏点を越え、溶接部1の溶接状態が高強度である場合は降伏点を越えないため、双方のひずみ量は大きく異なったものとなる。具体的には、溶接部1の溶接状態が低強度(−30%)である場合は、図3より例えば3.4mm程度のひずみ量(図3のA点)となり、溶接部1の溶接状態が高強度(+50%)である場合は、図4より例えば2.2mm程度のひずみ量(図4のB点)となる。そして、溶接状態が溶接部1の溶接状態が低強度である場合は検出ひずみ量が2.5mmより大きくなるため、不良品と判定され、溶接部1の溶接状態が高強度である場合は検出ひずみ量が2.5mm以下になるため、良品と判定される。評価検査時には、溶接状態が高強度である溶接部1に対して芯線2が弾性変形する程度の圧縮荷重Fしか加えられないため、評価検査を行ったものが製品として使用できる。したがって、抜き取り(サンプリング)検査ではなく、全ての製造品を評価検査でき、実際に評価検査を通ったものが製品として出荷される。以上により、製造品に評価検査による無駄が発生せず、しかも、信頼性の高い評価検査ができる。
【0033】
このように、上記実施形態では、溶接部1の溶接状態の評価程度に応じた降伏点の荷重をサンプリングし、このサンプリングによって溶接状態の評価と破壊荷重との対応データを作成し、この対応データに基づいて評価検査時の圧縮荷重を設定した。したがって、評価検査時の圧縮荷重Fは、対応データに基づく信頼性に足る値であることから溶接状態が低強度であるものを確実に排除できる。
【0034】
また、上記実施形態では、評価検査時の圧縮荷重Fは、溶接状態の評価における低強度領域と高強度領域との間に普通強度領域を設定し、この普通強度領域の破壊荷重の範囲内より設定した。このように、普通強度領域という緩衝領域を設定したため、評価検査の信頼性が向上し、溶接状態が低強度であるものをより確実に排除できる。
【0035】
次に、検査用押圧部材3の先端面3aの面積と溶接部1の表面積との関係を説明する。検査用押圧部材3の先端面3aは、溶接部1の表面積より狭い面積Sに形成されている。この実施形態では、溶接部1の表面1aより縦横寸法が全て小さく、約1/4程度の面積Sに形成されている。
【0036】
評価検査を行うと、図7(a)に示すように、検査用押圧部材3の先端面3aが押圧面積Sで溶接部1の表面1aを押圧し、図7(b)に示すように、溶接部1の表面1aには検査痕5が残る。この検査痕5によって評価検査済みであることを目視で認識できるため、評価検査漏れを確実に防止できる。
【0037】
又、評価検査時に加える圧縮荷重を小さくできるため、装置の小規模化、簡易化に寄与する。
【0038】
更に、評価検査時には溶接部1の一部にしか圧縮荷重を加えないため、評価検査時におけるダメージの低減になる。
【0039】
図8及び図9は、それぞれ電線Wの溶接形態が異なる場合における溶接部1の評価検査状態を示す斜視図である。図8及び図9に示すように、上記と同様にして溶接部1の評価検査を行うことができることはもちろんである。
【0040】
なお、図1、図8及び図9に示すように、検査用押圧部材3の先端面3aは、フラットな面であるが、アール形状の面であっても良い。検査用押圧部材3の先端部分の形状は、楔状であるが、円錐状、角錐状であっても良い。
【0041】
上記実施形態では、溶接部1の溶接状態の評価を−50%〜+100%の範囲に分類したが、この分類方法は一例であり、これ以外の分類方法で分類しても良いことはもちろんである。
【0042】
また、上記実施形態では、溶接状態の評価領域を低強度領域(1)(−50%〜−10%)と普通強度領域(2)(−10%〜+40%)と高強度領域(3)(+40%〜+100%)に区分けしたが、要求される製品レベルなどによって区分け基準は適宜変更されることはもちろんである。また、評価検査時の圧縮荷重及び判定ひずみ量を低強度領域(1)と高強度領域(3)との間の普通強度領域(2)内のどの大きさに決定するかも、要求される製品レベルなどによって区分け基準は適宜変更されるものであることはもちろんである。
【0043】
そして、上記実施形態では、複数の電線Wを溶接部1によって接続し、その溶接部1を評価する場合を説明したが、本発明は導電部材間に形成される溶接部の評価に適用できる。
【0044】
なお、上記実施形態では、超音波溶接で形成された溶接部1を評価する場合を説明したが、本発明は超音波以外の熱溶接によって形成された溶接部の評価に適用できることはもちろんである。
【0045】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1の発明によれば、溶接状態が低強度である溶接部は被溶接部材が粗状態に配置され、小さい圧縮荷重で降伏点を迎え、溶接状態が高強度である溶接部は被溶接部材が密状態に配置され、大きな圧縮荷重でなければ降伏点を迎えないため、圧縮力に応じたひずみ量は、降伏点を境として大きく変化する。これを利用して、溶接部の溶接状態が低強度である場合は降伏点を超え、かつ、溶接部の溶接状態が高強度である場合は降伏点を超えない範囲の圧縮荷重を作用させ、その際のひずみ量によって溶接部の溶接状態を評価することができる。そして、溶接状態が高強度である溶接部に対しては、被溶接部材が弾性変形する程度の圧縮荷重しか加えられないため、評価検査を行ったものが製品として使用でき、全ての製造品を評価検査できる。したがって、製造品に評価検査による無駄が発生せず、しかも、信頼性の高い評価検査ができる。
【0046】
請求項2の発明によれば、請求項1の発明の効果に加え、評価検査を行った溶接部の表面には検査痕が多少残り、この検査痕によって評価検査済みであることを目視で認識できる。したがって、評価検査漏れを確実に防止できる。また、評価検査時に加える圧縮荷重を小さくできるため、装置の小規模化、簡易化に寄与する。更に、評価検査時には溶接部の一部にしか圧縮荷重を加えないため、評価検査時における無駄を低減することができる。
【0047】
請求項3の発明によれば、請求項1又は請求項2の発明の効果に加え、評価検査時の圧縮荷重は、対応データに基づく信頼性に足る値であることから溶接状態が低強度であるものを確実に排除することができる。
【0048】
請求項4の発明によれば、請求項3の発明の効果に加え、普通強度領域という緩衝領域を設定したため、評価検査の信頼性が向上し、溶接状態が低強度であるものをより確実に排除することができる。
【0049】
請求項5の発明によれば、複数の電線の溶接部について、請求項1乃至請求項4発明と同様の効果を得ることができる。
【0050】
請求項6の発明によれば、超音波溶接で形成された溶接部について、請求項1乃至請求項5の発明と同様の効果を得ることができる。
【0051】
請求項7の発明によれば、請求項1乃至請求項6の発明の効果に加え、評価検査を行った溶接部の表面に残った検査痕によって評価検査済みであることを目視で認識できるため、評価検査漏れを確実に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示し、電線の溶接部の評価検査状態を示す斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態を示した図1のII−II線に沿って切断した断面模式図である。(a)は溶接状態が低強度(−30%)である溶接部の断面模式図、(b)は溶接状態が普通強度(0%)である溶接部の断面模式図、(c)は溶接状態が高強度(+50%)である溶接部の断面模式図である。
【図3】本発明の一実施形態を示し、溶接状態が低強度である溶接部の圧縮荷重とひずみ量の特性線図である。
【図4】本発明の一実施形態を示し、溶接状態が高強度である溶接部の圧縮荷重とひずみ量の特性線であって、圧縮荷重が低い範囲の特性線図である。
【図5】本発明の一実施形態を示し、溶接状態が高強度である溶接部の圧縮荷重とひずみ量の特性線であって、降伏点の範囲をも含めた広い範囲の特性線図である。
【図6】本発明の一実施形態を示し、溶接部の溶接状態の評価(溶接条件)と破壊荷重(降伏点)の特性線図である。
【図7】本発明の一実施形態を示し、(a)は溶接部の押圧面積(クロスハッチングの範囲)を示す平面図、(b)は評価検査後の溶接部の斜視図である。
【図8】電線の溶接形態が異なる溶接部の評価検査状態を示す斜視図である。
【図9】電線の溶接形態が異なる溶接部の評価検査状態を示す斜視図である。
【図10】(a)〜(c)は超音波溶接による電線の溶接部であって、各種溶接形態を示す斜視図である。
【図11】従来例を示し、(a)〜(c)は各種溶接形態における電線の溶接部の引っ張り試験の状態を示す斜視図である。
【図12】従来例を示し、電線の溶接部の圧縮試験の状態を示す斜視図である。
【図13】従来例を示し、溶接部が良品である場合における圧縮試験時の溶接部の状態を示す正面図である。
【図14】従来例を示し、溶接部が不良品である場合における圧縮試験時の溶接部の状態を示す正面図である。
【符号の説明】
1 溶接部
1a 溶接部の表面
2 芯線(被溶接部材)
3 検査用押圧部材
3a 検査用押圧部材の先端面
5 検査痕
W 電線

Claims (7)

  1. 溶接部に所定の圧縮荷重を加え、圧縮荷重を加えたときの前記溶接部のひずみ量を測定し、この測定したひずみ量が所定の範囲か否かで溶接状態を評価することを特徴とする溶接部の評価方法。
  2. 請求項1記載の溶接部の評価方法であって、
    前記溶接部への圧縮荷重は、前記溶接部の表面の一部範囲に加えることを特徴とする溶接部の評価方法。
  3. 請求項1又は請求項2記載の溶接部の評価方法であって、
    前記溶接部の溶接状態の評価程度に応じた降伏点の荷重をサンプリングし、このサンプリングによって溶接状態の評価と破壊荷重との対応データを作成し、この対応データに基づいて評価検査時の圧縮荷重を設定することを特徴とする溶接部の評価方法。
  4. 請求項3記載の溶接部の評価方法であって、
    評価検査時の圧縮荷重は、溶接状態の評価における低強度領域と高強度領域との間に普通強度領域を設定し、この普通強度領域の破壊荷重の範囲内より設定したことを特徴とする溶接部の評価方法。
  5. 請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の溶接部の評価方法であって、
    前記溶接部は、複数の電線の溶接により形成されたものであることを特徴とする溶接部の評価方法。
  6. 請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の溶接部の評価方法であって、
    前記溶接部は、超音波溶接により形成されたものであることを特徴とする溶接部の評価方法。
  7. 請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の溶接部の評価方法であって、
    前記圧縮荷重は、前記溶接部の表面を押圧する検査用押圧部材によって加えられたものであり、前記検査用押圧部材の先端が楔形状であることを特徴とする溶接部の評価方法。
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