JP2004218972A - 冷凍機システムの冷媒置換方法、塩化鉄除去装置及び冷凍機システム - Google Patents
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Abstract
【課題】冷凍機システムの非塩素系冷媒中に混入される塩化鉄を簡便に、かつ確実に除去する。
【解決手段】塩素系冷媒が充填された冷凍機システムから、当該塩素系冷媒を排出し、冷凍機システム内に、非塩素系冷媒を導入する。その後、冷凍機システムから、導入された非塩素系冷媒を主とする内部冷媒を回収して酸化処理が施された活性炭26と接触させた後、冷凍機システム内へ再導入する。
【選択図】 図1
【解決手段】塩素系冷媒が充填された冷凍機システムから、当該塩素系冷媒を排出し、冷凍機システム内に、非塩素系冷媒を導入する。その後、冷凍機システムから、導入された非塩素系冷媒を主とする内部冷媒を回収して酸化処理が施された活性炭26と接触させた後、冷凍機システム内へ再導入する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、冷凍機システムの冷媒置換方法、塩化鉄除去装置及び冷凍機システムに関するものであり、特に冷凍機システム内の冷媒を塩素を含む塩素系冷媒から塩素を含まない非塩素系冷媒に置換する際に、冷凍機システム内に残留する塩化鉄を除去する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
地球環境保護の観点から、塩素を含む塩素系冷媒であるクロロフルオロカーボン類の冷媒(以下CFC系冷媒と称する)やヒドロクロロフルオロカーボン類の冷媒(以下HCFC系冷媒と称する)から塩素を含まない非塩素系冷媒であるヒドロフルオロカーボン類の冷媒(以下HFC系冷媒と称する)への代替が進められている。ビル用空調機などでは冷媒が循環する配管がビルの壁や天井などに埋設されている場合が多く、空調機などの代替需要に対して、既設の配管をHFC系冷媒への代替後も使用する場合が多いと予想される。
【0003】
CFC系冷媒やHCFC系冷媒を用いた冷凍機システムではこれらの塩素系冷媒と相溶性のある塩素系冷媒用潤滑油として鉱油が用いられてきた。しかし、鉱油はHFC系冷媒との相溶性が無く、CFC系冷媒やHCFC系冷媒をHFC系冷媒に置換後、HFC系冷媒中に冷凍機システム内に残留する鉱油が混入されると冷凍機システムの蒸発器内部に潤滑油が付着し冷却効率を下げるなどの問題が発生する。
【0004】
HFC系冷媒中に鉱油が混入するのを防ぐ方法として、例えば、特許文献1には、活性炭を用いて鉱油を除去する方法が開示されている。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−277113号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、冷凍機システムの代替需要に対し、既設配管に残留する残留物を回収する際に、鉱油の除去については注目されているが、塩化鉄の除去については注目されていなかった。
CFC系冷媒やHCFC系冷媒を用いた冷凍機システムでは、冷媒に含まれる塩素化合物が摺動部の材料として用いられている鉄と反応し、塩化鉄を形成する。CFC系冷媒やHCFC系冷媒をHFC系冷媒に置換する際に、塩化鉄が既設の配管内に残留していると、塩化鉄はルイス酸として働き、HFC系冷媒に混合させる非塩素系冷媒用潤滑油の劣化を著しく進行し、潤滑性能が低下するという問題が生じる。この塩化鉄は極少量でもこのような悪影響が生じるので、徹底した除去が必要である。
【0007】
上述した特許文献1の方法においては、鉱油を除去することができるが、塩化鉄を充分に除去することはできなかった。このため、塩化鉄を除去しようとすると大量の活性炭を用いる必要があった。特に大型の機種においては、大量の塩化鉄が混入されるために大量の活性炭を用いる必要があった。活性炭は、冷媒回路の設計上の点から通常室外機に内蔵することが望ましく、設置場所の関係から、できるだけ小型であることが望ましい。しかし塩化鉄を除去しようとすると大量の活性炭を用いる必要が有り、活性炭による吸着部を大型化せざるを得ないので、室外機の冷媒回路設計上で大きな支障が生じる場合がある。
【0008】
この発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、冷凍機システムの冷媒を、塩素系冷媒から、非塩素系冷媒からに置換する際などに、冷凍機システムの非塩素系冷媒中に混入する塩化鉄の除去を簡便に、かつ確実に行うことを目的とするものであり、これによって冷凍機システムの信頼性を向上することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る冷媒置換方法は、塩素系冷媒が充填された冷凍機システムから、当該塩素系冷媒を排出する工程と、冷凍機システム内に、非塩素系冷媒を導入する工程と、冷凍機システムから、導入された上記非塩素系冷媒を主とする内部冷媒を回収して酸化処理が施された活性炭と接触させた後、冷凍機システム内へ再導入する工程と、を備えている。
【0010】
この発明に係る塩化鉄除去装置は、冷媒が充填された冷凍機システムに接続可能な冷媒導入口と、導入された冷媒を冷凍機システムへ供給しうる冷媒供給管路とを備え、この冷媒供給管路に、酸化処理が施された活性炭を介在せしめたものである。
【0011】
この発明に係る冷凍機システムは、冷媒が充填された冷凍機システムと、この冷凍機システムに接続された冷媒導入口と、導入された冷媒を上記冷凍機システムへ供給しうる冷媒供給管路とを備え、この冷媒供給管路に、酸化処理が施された活性炭を介在せしめたものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1の塩化鉄除去装置の構成を説明する図である。図1のように、実施の形態1の塩化鉄除去装置は、冷媒が充填された冷凍機システムに接続可能な冷媒導入口21と、冷媒導入口21から導入された冷媒を所定時間保持しうる冷媒回収容器22と、冷媒回収容器22内から気体状冷媒を排出する配管23と、吸着容器25と、吸着容器25内に設けられた吸着材26と、冷媒回収容器22と吸着容器25とを接続する接続配管27と、接続配管27の途中に設けられた3方バルブ28と、3方バルブ28に接続され、3方バルブ28を通して冷媒回収容器22内に導入された冷媒を系外に排出しうる配管29と、吸着容器25に導入され吸着材26と接触後の冷媒を取り出し、冷凍機システムに再導入可能な排出口30とから構成されている。図1は、冷媒回収容器22内に冷媒導入口21から潤滑油を含む冷媒24が回収されて、上相24aと下相24bの2相に分離された状態を示すものである。
【0013】
この発明に係る塩化鉄除去装置は冷媒が充填された冷凍機システムに接続可能な冷媒導入口を備え、導入された冷媒を所定時間保持しうる冷媒回収容器と、冷媒回収容器から冷凍機システムへ冷媒を供給しうる冷媒供給管路を備え、この冷媒供給管路に、吸着材26として酸化処理が施された活性炭を介在せしめてなるものである。
【0014】
活性炭の酸化処理としては、オゾン処理、過酸化水素水による処理、UV処理、酸素を含むガスを用いたプラズマ処理などを用いることができる。ここでオゾン処理とは、オゾンと活性炭とを接触させる方法であり、オゾンガスを含有するガスと接触させる方法、オゾン水と接触させる方法などにより行われる。このような酸化処理によって活性炭表面に水酸基などのルイス塩基が増加することにより塩化鉄の吸着量は格段に増大する。
【0015】
なお、活性炭の原料としては、おが屑、木炭、やし殻、石炭などを用いることができる。また、活性炭の形状としては、粉末状、粒状、繊維状のものを用いることができる。
【0016】
図2は、この発明の実施の形態1の塩化鉄除去装置に用いる活性炭による塩化鉄除去性能を示す図である。図2は、1gの活性炭に対して、種々のオゾン量でオゾン処理を行い、活性炭1g当たりの塩化鉄吸着量を調べたものである。
図2に示されるように、オゾン処理をしない場合の活性炭1g当たりの塩化鉄吸着量は約30mgであるが、1200mgのオゾン処理によって塩化鉄吸着量は約2倍、2000mgのオゾン処理によって塩化鉄吸着量は約3倍まで増大した。このように、活性炭にオゾン処理を施すことにより、活性炭の活性点が著しく増加するために、塩化鉄吸着能力を大きく向上させることができる。
【0017】
次に、この発明に係る塩化鉄除去装置を用いる冷凍機システムの構成の一例について説明する。図3は、この発明に係る塩化鉄除去装置を用いる冷凍機システムの構成について説明する図である。図3のように、圧縮機31と、凝縮器32と、レシーバードライヤー33と、膨張弁34と、蒸発器35と、循環配管36とから構成されている。冷媒及び潤滑油は、循環配管36内を、圧縮機31、凝縮器32、レシーバードライヤー33、膨張弁34、蒸発器35、圧縮機31の順に循環されている。
【0018】
次に、この塩化鉄除去装置を用いた冷凍機システムの冷媒置換方法について説明する。
まず、塩素系冷媒用潤滑油を含有する塩素系冷媒が循環されている冷凍機システムの循環配管の一部から、塩素系冷媒用潤滑油を含有する塩素系冷媒を排出し回収する。通常は循環配管内を減圧真空とする。塩素系冷媒としては、CFC系冷媒やHCFC系冷媒が用いられ、塩素系冷媒と相溶性の塩素系冷媒用潤滑油としては、パラフィン系鉱油、ナフテン系鉱油、ポリアルファオレイン油、アルキルベンゼン油、ナフテン油とアルキルベンゼンの混合油などが用いられる。
【0019】
次に冷凍機システムの循環配管内に非塩素系冷媒用潤滑油を含有する非塩素系冷媒を導入する。非塩素系冷媒としては、HFC系冷媒が用いられ、非塩素系冷媒と相溶性の非塩素系冷媒用潤滑油としては、エステル油、ポリアルキレングリコール油、ポリビニルエーテル油などが用いられる。
【0020】
冷媒導入口21は、冷媒及び潤滑油が循環されている冷凍機システムの循環配管の一部に接続した後に、冷凍機システムの循環配管内の非塩素系冷媒を主とする内部冷媒が冷媒導入口21を通して冷媒回収容器22内に導入される。冷媒回収容器22内に導入された冷媒のうち、気体状の冷媒は、配管23を通して冷凍機システムの循環配管に再導入される。冷媒回収容器22内に導入された液体状の冷媒は冷媒回収容器22内で上相24aと下相24bに分離される。上相24aは塩素系冷媒用潤滑油の相であり、塩素系冷媒用潤滑油が主成分である。下相24bは非塩素系冷媒の相であり、非塩素系冷媒が主成分である。
【0021】
2相分離した後、3方バルブ28を開き、非塩素系冷媒の相を接続配管27を通して吸着容器25に導入し、非塩素系冷媒の相を吸着容器25内に設けられている吸着材26と接触させる。
尚、非塩素系冷媒の相のみを吸着容器25に導入する方法として、冷媒回収容器22に透明窓を設けて、この透明窓を見ながら人間がマニュアルで3方バルブ28を操作する方法であっても良く、また冷媒回収容器22に液面計を設けて、この液面計を用いて自動的に3方バルブ28を操作する方法であっても良い。
【0022】
非塩素系冷媒の相に含まれる塩化鉄は、吸着材26に吸着除去され、塩化鉄の濃度が低下した非塩素系冷媒の相が、排出口30から取り出され冷凍機システム内に再導入される。
【0023】
一方、冷媒回収容器22内に残る塩素系冷媒用潤滑油の相は3方バルブ28により排出配管29を通して系外に排出し、回収する。
【0024】
なお、冷凍機システムの循環配管から冷媒導入口21により冷媒を回収する位置と、排出口30より冷媒を冷凍機システムの循環配管に再導入する位置は、循環配管内のどこでも良いが、特に圧縮機の入り口側から冷媒を回収することによって、効率よく塩素系冷媒用潤滑油を分離回収できるので望ましい。
【0025】
このような方法で、冷凍機システム内の冷媒を置換することによって、塩素系冷媒用潤滑油を分離回収するとともに、非塩素系冷媒中に混入される塩化鉄を、簡便に且つ短時間で除去することができる。また、塩化鉄吸着能力を大きく向上させることができるので、塩化鉄を確実に除去することができる。
このため、塩化鉄がルイス酸として働くことによる非塩素系冷媒に混合させる非塩素系冷媒用潤滑油の劣化と、これによる潤滑性能の低下を防ぐことができる。これにより、冷凍機システムの信頼性を飛躍的に向上することができる。
【0026】
また、酸化処理しない活性炭を用いる場合には、塩化鉄の除去性能が低いので、大量の活性炭を必要とするが、本発明のように酸化処理を施した活性炭を用いる場合には、塩化鉄の除去性能が高いので、使用する活性炭の量を低減することができる。このため、塩化鉄除去装置を小型化することができる。
【0027】
例えば、冷凍機システムとして、大型のパッケージエアコンの場合には、想定される、配管内に混入される塩化鉄の混入量は2〜3gであり、酸化処理しない活性炭を用いる場合には、すべての塩化鉄を吸着するには100g以上の活性炭が必要であった。この場合の活性炭の容量は300ccと大きくなり、室外機の冷媒回路設計上で大きな支障をきたすが、本発明のように酸化処理しない活性炭を用いる場合には、必要な活性炭の量を低減することができるので、このような冷媒回路設計上の問題が生じるのを防ぐことができる。
【0028】
また、吸着材として活性炭を用いるので、非塩素系冷媒中に塩素系冷媒用潤滑油が混入されていても、この塩素系冷媒用潤滑油を、簡便に且つ短時間で除去することができる。このため、冷凍機システム内で非塩素系冷媒用潤滑油が非塩素系冷媒から分離することによる潤滑油の枯渇を防ぎ、潤滑性能の低下も防ぐことができる。
【0029】
実施の形態2.
実施の形態1は、冷媒回収容器と吸着容器とをそれぞれ設けて、冷媒回収容器内で分相処理した後に吸着容器で、冷媒と吸着材とを接触させるものであるが、実施の形態2は、1つの容器で処理するものである。冷凍機システムの構成は、実施の形態1と同様である。
冷凍機システム中から取り出した冷媒中の塩素系冷媒用潤滑油濃度が低い場合や、用いる吸着材が塩素系冷媒用潤滑油を吸着除去可能なものである場合などには、実施の形態2の塩化鉄除去装置を用いることができる。例えば、エステル油中に混入される鉱油が5%以下の場合には、2相分離しないので、この装置が用いられる。
【0030】
図4は、この発明の実施の形態2の塩化鉄除去装置の構成を説明する図である。図4のように、冷媒が充填された冷凍機システムに接続可能な冷媒導入口41と、冷媒導入口41から導入された冷媒を入れる吸着容器42と、吸着容器42内に設けられた吸着材43と、吸着容器42内から気体状冷媒を排出する配管44と、吸着容器42に導入され吸着材43と接触後の冷媒を取り出し、冷凍機システムに再導入可能な排出口45とから構成されたものである。
【0031】
冷媒導入口41は、冷媒及び潤滑油が循環されている冷凍機システムの循環配管の一部に接続した後に、冷凍機システムの循環配管内の非塩素系冷媒を主とする内部冷媒が冷媒導入口41を通して吸着容器42内に導入される。吸着容器42内に導入された冷媒のうち、気体状の冷媒は、配管44を通して冷凍機システムの循環配管に再導入される。
吸着容器42内に導入された冷媒を吸着容器42内に設けられている吸着材43と接触させる。冷媒に含まれる塩化鉄は吸着材43に吸着除去され、塩化鉄の濃度が低下した冷媒が、排出口45から取り出され冷凍機システム内に再導入される。吸着材43としては、実施の形態1と同様のものが用いられる。
【0032】
このような、実施の形態2においても、実施の形態1と同様の効果を得ることができるとともに、実施の形態1に比べて、装置を簡略化することができる。
【0033】
【実施例】
実施例1.
実施例1では、実施の形態1で説明した塩化鉄除去装置を用いて、塩化鉄の除去を行った結果を説明する。
表1は、塩化鉄濃度が2000ppm、鉱油濃度が40%、20%、10%のエステル油を含むHFC系冷媒に上記実施の形態1の処理を施したときのエステル油中の鉱油濃度及び塩化鉄濃度を調べた結果をまとめたものである。鉱油は日本サン石油社製SUNISO3GSD(商品名)、エステル油はヒンダードエステルである。吸着材としては、オゾン処理した活性炭を用いた。
鉱油の初期濃度が40%のエステル油の場合(条件1)、2相分離した後、下相であるHFC系冷媒の相に含まれるエステル油には25〜27%の鉱油が含まれていた。このHFC系冷媒の相を活性炭処理することにより、エステル油中の鉱油濃度は1%以下、塩化鉄濃度は10ppm以下となった。同様に鉱油の初期濃度が20%のエステル油の場合(条件2)、鉱油の初期濃度が10%のエステル油の場合(条件3)もHFC系冷媒の相に含まれるエステル油には、それぞれ11〜12%、4〜7%の鉱油が含まれていた。このHFC系冷媒の相を活性炭処理することにより、エステル油中の鉱油濃度は1%以下、塩化鉄濃度は10ppm以下となった。
このように、実施の形態1の塩化鉄除去装置を用い、吸着材として、酸化処理が施された活性炭を用いることにより、エステル油中の鉱油及び塩化鉄を除去できることを確認できた。
【0034】
【表1】
【0035】
実施例2.
実施例2では、実施の形態2で説明した塩化鉄除去装置を用いて、塩化鉄の除去を行った結果を説明する。
表2は、塩化鉄濃度が1000〜2000ppmのエステル油を含み、鉱油を含まないHFC系冷媒を上記実施の形態2の処理を施したときのエステル油中の塩化鉄濃度を調べた結果をまとめたものである。エステル油はヒンダードエステルである。
吸着材として活性炭を用いて、活性炭へのオゾン処理の有無による塩化鉄除去特性について調べた。塩化鉄の初期濃度が1000ppmの場合には、オゾン処理を施していない活性炭であっても活性炭処理によって、処理後の塩化鉄濃度をイオンクロマトグラフ法の検出限界である10ppm以下まで低減することができる(条件1)。しかし、塩化鉄の初期濃度が2000ppmと高濃度の場合には、オゾン処理を施していない活性炭で処理した後の塩化鉄濃度は300ppmと高く塩化鉄の除去は不十分であった(条件2)。これは、活性炭表面の活性点が塩化鉄によって飽和したためである。これに対し、オゾン処理を施した活性炭で処理した場合には、塩化鉄の初期濃度が2000ppmと高濃度であっても、活性炭処理後の塩化鉄濃度を10ppm以下まで低減することができる(条件3)。
このように、オゾン処理を施した活性炭を用いることにより、塩化鉄の吸着能力が向上し、塩化鉄濃度が高い場合であっても塩化鉄を十分に除去できることを確認できた。
【0036】
【表2】
【0037】
【発明の効果】
この発明に係る冷凍機システムの冷媒置換方法は、冷凍機システム内に充填された塩素系冷媒用潤滑油を含む塩素系冷媒を、非塩素系冷媒潤滑油を含む非塩素系冷媒に置換する際に、冷凍機システム内に残留する塩化鉄を簡便に、かつ確実に除去することができる。
【0038】
この発明に係る塩化鉄除去装置は、冷媒中の塩化鉄を簡便に、かつ確実に除去することができる。
【0039】
この発明に係る冷凍機システムは、冷凍機システムに充填された冷媒中の塩化鉄を除去することができる。このため冷凍機システム内で潤滑油が塩化鉄によって劣化するという問題を防ぐことができ、冷凍機システムの信頼性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態1の塩化鉄除去装置の構成を説明する図である。
【図2】この発明の実施の形態1の塩化鉄除去装置に用いる活性炭による塩化鉄除去性能を示す図である。
【図3】この発明に係る塩化鉄除去装置を用いる冷凍機システムの構成を説明する図である。
【図4】この発明の実施の形態2の塩化鉄除去装置の構成を説明する図である。
【符号の説明】
21冷媒導入口、22 冷媒回収容器、26,43 吸着材(活性炭)。
【発明の属する技術分野】
この発明は、冷凍機システムの冷媒置換方法、塩化鉄除去装置及び冷凍機システムに関するものであり、特に冷凍機システム内の冷媒を塩素を含む塩素系冷媒から塩素を含まない非塩素系冷媒に置換する際に、冷凍機システム内に残留する塩化鉄を除去する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
地球環境保護の観点から、塩素を含む塩素系冷媒であるクロロフルオロカーボン類の冷媒(以下CFC系冷媒と称する)やヒドロクロロフルオロカーボン類の冷媒(以下HCFC系冷媒と称する)から塩素を含まない非塩素系冷媒であるヒドロフルオロカーボン類の冷媒(以下HFC系冷媒と称する)への代替が進められている。ビル用空調機などでは冷媒が循環する配管がビルの壁や天井などに埋設されている場合が多く、空調機などの代替需要に対して、既設の配管をHFC系冷媒への代替後も使用する場合が多いと予想される。
【0003】
CFC系冷媒やHCFC系冷媒を用いた冷凍機システムではこれらの塩素系冷媒と相溶性のある塩素系冷媒用潤滑油として鉱油が用いられてきた。しかし、鉱油はHFC系冷媒との相溶性が無く、CFC系冷媒やHCFC系冷媒をHFC系冷媒に置換後、HFC系冷媒中に冷凍機システム内に残留する鉱油が混入されると冷凍機システムの蒸発器内部に潤滑油が付着し冷却効率を下げるなどの問題が発生する。
【0004】
HFC系冷媒中に鉱油が混入するのを防ぐ方法として、例えば、特許文献1には、活性炭を用いて鉱油を除去する方法が開示されている。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−277113号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、冷凍機システムの代替需要に対し、既設配管に残留する残留物を回収する際に、鉱油の除去については注目されているが、塩化鉄の除去については注目されていなかった。
CFC系冷媒やHCFC系冷媒を用いた冷凍機システムでは、冷媒に含まれる塩素化合物が摺動部の材料として用いられている鉄と反応し、塩化鉄を形成する。CFC系冷媒やHCFC系冷媒をHFC系冷媒に置換する際に、塩化鉄が既設の配管内に残留していると、塩化鉄はルイス酸として働き、HFC系冷媒に混合させる非塩素系冷媒用潤滑油の劣化を著しく進行し、潤滑性能が低下するという問題が生じる。この塩化鉄は極少量でもこのような悪影響が生じるので、徹底した除去が必要である。
【0007】
上述した特許文献1の方法においては、鉱油を除去することができるが、塩化鉄を充分に除去することはできなかった。このため、塩化鉄を除去しようとすると大量の活性炭を用いる必要があった。特に大型の機種においては、大量の塩化鉄が混入されるために大量の活性炭を用いる必要があった。活性炭は、冷媒回路の設計上の点から通常室外機に内蔵することが望ましく、設置場所の関係から、できるだけ小型であることが望ましい。しかし塩化鉄を除去しようとすると大量の活性炭を用いる必要が有り、活性炭による吸着部を大型化せざるを得ないので、室外機の冷媒回路設計上で大きな支障が生じる場合がある。
【0008】
この発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、冷凍機システムの冷媒を、塩素系冷媒から、非塩素系冷媒からに置換する際などに、冷凍機システムの非塩素系冷媒中に混入する塩化鉄の除去を簡便に、かつ確実に行うことを目的とするものであり、これによって冷凍機システムの信頼性を向上することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る冷媒置換方法は、塩素系冷媒が充填された冷凍機システムから、当該塩素系冷媒を排出する工程と、冷凍機システム内に、非塩素系冷媒を導入する工程と、冷凍機システムから、導入された上記非塩素系冷媒を主とする内部冷媒を回収して酸化処理が施された活性炭と接触させた後、冷凍機システム内へ再導入する工程と、を備えている。
【0010】
この発明に係る塩化鉄除去装置は、冷媒が充填された冷凍機システムに接続可能な冷媒導入口と、導入された冷媒を冷凍機システムへ供給しうる冷媒供給管路とを備え、この冷媒供給管路に、酸化処理が施された活性炭を介在せしめたものである。
【0011】
この発明に係る冷凍機システムは、冷媒が充填された冷凍機システムと、この冷凍機システムに接続された冷媒導入口と、導入された冷媒を上記冷凍機システムへ供給しうる冷媒供給管路とを備え、この冷媒供給管路に、酸化処理が施された活性炭を介在せしめたものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1の塩化鉄除去装置の構成を説明する図である。図1のように、実施の形態1の塩化鉄除去装置は、冷媒が充填された冷凍機システムに接続可能な冷媒導入口21と、冷媒導入口21から導入された冷媒を所定時間保持しうる冷媒回収容器22と、冷媒回収容器22内から気体状冷媒を排出する配管23と、吸着容器25と、吸着容器25内に設けられた吸着材26と、冷媒回収容器22と吸着容器25とを接続する接続配管27と、接続配管27の途中に設けられた3方バルブ28と、3方バルブ28に接続され、3方バルブ28を通して冷媒回収容器22内に導入された冷媒を系外に排出しうる配管29と、吸着容器25に導入され吸着材26と接触後の冷媒を取り出し、冷凍機システムに再導入可能な排出口30とから構成されている。図1は、冷媒回収容器22内に冷媒導入口21から潤滑油を含む冷媒24が回収されて、上相24aと下相24bの2相に分離された状態を示すものである。
【0013】
この発明に係る塩化鉄除去装置は冷媒が充填された冷凍機システムに接続可能な冷媒導入口を備え、導入された冷媒を所定時間保持しうる冷媒回収容器と、冷媒回収容器から冷凍機システムへ冷媒を供給しうる冷媒供給管路を備え、この冷媒供給管路に、吸着材26として酸化処理が施された活性炭を介在せしめてなるものである。
【0014】
活性炭の酸化処理としては、オゾン処理、過酸化水素水による処理、UV処理、酸素を含むガスを用いたプラズマ処理などを用いることができる。ここでオゾン処理とは、オゾンと活性炭とを接触させる方法であり、オゾンガスを含有するガスと接触させる方法、オゾン水と接触させる方法などにより行われる。このような酸化処理によって活性炭表面に水酸基などのルイス塩基が増加することにより塩化鉄の吸着量は格段に増大する。
【0015】
なお、活性炭の原料としては、おが屑、木炭、やし殻、石炭などを用いることができる。また、活性炭の形状としては、粉末状、粒状、繊維状のものを用いることができる。
【0016】
図2は、この発明の実施の形態1の塩化鉄除去装置に用いる活性炭による塩化鉄除去性能を示す図である。図2は、1gの活性炭に対して、種々のオゾン量でオゾン処理を行い、活性炭1g当たりの塩化鉄吸着量を調べたものである。
図2に示されるように、オゾン処理をしない場合の活性炭1g当たりの塩化鉄吸着量は約30mgであるが、1200mgのオゾン処理によって塩化鉄吸着量は約2倍、2000mgのオゾン処理によって塩化鉄吸着量は約3倍まで増大した。このように、活性炭にオゾン処理を施すことにより、活性炭の活性点が著しく増加するために、塩化鉄吸着能力を大きく向上させることができる。
【0017】
次に、この発明に係る塩化鉄除去装置を用いる冷凍機システムの構成の一例について説明する。図3は、この発明に係る塩化鉄除去装置を用いる冷凍機システムの構成について説明する図である。図3のように、圧縮機31と、凝縮器32と、レシーバードライヤー33と、膨張弁34と、蒸発器35と、循環配管36とから構成されている。冷媒及び潤滑油は、循環配管36内を、圧縮機31、凝縮器32、レシーバードライヤー33、膨張弁34、蒸発器35、圧縮機31の順に循環されている。
【0018】
次に、この塩化鉄除去装置を用いた冷凍機システムの冷媒置換方法について説明する。
まず、塩素系冷媒用潤滑油を含有する塩素系冷媒が循環されている冷凍機システムの循環配管の一部から、塩素系冷媒用潤滑油を含有する塩素系冷媒を排出し回収する。通常は循環配管内を減圧真空とする。塩素系冷媒としては、CFC系冷媒やHCFC系冷媒が用いられ、塩素系冷媒と相溶性の塩素系冷媒用潤滑油としては、パラフィン系鉱油、ナフテン系鉱油、ポリアルファオレイン油、アルキルベンゼン油、ナフテン油とアルキルベンゼンの混合油などが用いられる。
【0019】
次に冷凍機システムの循環配管内に非塩素系冷媒用潤滑油を含有する非塩素系冷媒を導入する。非塩素系冷媒としては、HFC系冷媒が用いられ、非塩素系冷媒と相溶性の非塩素系冷媒用潤滑油としては、エステル油、ポリアルキレングリコール油、ポリビニルエーテル油などが用いられる。
【0020】
冷媒導入口21は、冷媒及び潤滑油が循環されている冷凍機システムの循環配管の一部に接続した後に、冷凍機システムの循環配管内の非塩素系冷媒を主とする内部冷媒が冷媒導入口21を通して冷媒回収容器22内に導入される。冷媒回収容器22内に導入された冷媒のうち、気体状の冷媒は、配管23を通して冷凍機システムの循環配管に再導入される。冷媒回収容器22内に導入された液体状の冷媒は冷媒回収容器22内で上相24aと下相24bに分離される。上相24aは塩素系冷媒用潤滑油の相であり、塩素系冷媒用潤滑油が主成分である。下相24bは非塩素系冷媒の相であり、非塩素系冷媒が主成分である。
【0021】
2相分離した後、3方バルブ28を開き、非塩素系冷媒の相を接続配管27を通して吸着容器25に導入し、非塩素系冷媒の相を吸着容器25内に設けられている吸着材26と接触させる。
尚、非塩素系冷媒の相のみを吸着容器25に導入する方法として、冷媒回収容器22に透明窓を設けて、この透明窓を見ながら人間がマニュアルで3方バルブ28を操作する方法であっても良く、また冷媒回収容器22に液面計を設けて、この液面計を用いて自動的に3方バルブ28を操作する方法であっても良い。
【0022】
非塩素系冷媒の相に含まれる塩化鉄は、吸着材26に吸着除去され、塩化鉄の濃度が低下した非塩素系冷媒の相が、排出口30から取り出され冷凍機システム内に再導入される。
【0023】
一方、冷媒回収容器22内に残る塩素系冷媒用潤滑油の相は3方バルブ28により排出配管29を通して系外に排出し、回収する。
【0024】
なお、冷凍機システムの循環配管から冷媒導入口21により冷媒を回収する位置と、排出口30より冷媒を冷凍機システムの循環配管に再導入する位置は、循環配管内のどこでも良いが、特に圧縮機の入り口側から冷媒を回収することによって、効率よく塩素系冷媒用潤滑油を分離回収できるので望ましい。
【0025】
このような方法で、冷凍機システム内の冷媒を置換することによって、塩素系冷媒用潤滑油を分離回収するとともに、非塩素系冷媒中に混入される塩化鉄を、簡便に且つ短時間で除去することができる。また、塩化鉄吸着能力を大きく向上させることができるので、塩化鉄を確実に除去することができる。
このため、塩化鉄がルイス酸として働くことによる非塩素系冷媒に混合させる非塩素系冷媒用潤滑油の劣化と、これによる潤滑性能の低下を防ぐことができる。これにより、冷凍機システムの信頼性を飛躍的に向上することができる。
【0026】
また、酸化処理しない活性炭を用いる場合には、塩化鉄の除去性能が低いので、大量の活性炭を必要とするが、本発明のように酸化処理を施した活性炭を用いる場合には、塩化鉄の除去性能が高いので、使用する活性炭の量を低減することができる。このため、塩化鉄除去装置を小型化することができる。
【0027】
例えば、冷凍機システムとして、大型のパッケージエアコンの場合には、想定される、配管内に混入される塩化鉄の混入量は2〜3gであり、酸化処理しない活性炭を用いる場合には、すべての塩化鉄を吸着するには100g以上の活性炭が必要であった。この場合の活性炭の容量は300ccと大きくなり、室外機の冷媒回路設計上で大きな支障をきたすが、本発明のように酸化処理しない活性炭を用いる場合には、必要な活性炭の量を低減することができるので、このような冷媒回路設計上の問題が生じるのを防ぐことができる。
【0028】
また、吸着材として活性炭を用いるので、非塩素系冷媒中に塩素系冷媒用潤滑油が混入されていても、この塩素系冷媒用潤滑油を、簡便に且つ短時間で除去することができる。このため、冷凍機システム内で非塩素系冷媒用潤滑油が非塩素系冷媒から分離することによる潤滑油の枯渇を防ぎ、潤滑性能の低下も防ぐことができる。
【0029】
実施の形態2.
実施の形態1は、冷媒回収容器と吸着容器とをそれぞれ設けて、冷媒回収容器内で分相処理した後に吸着容器で、冷媒と吸着材とを接触させるものであるが、実施の形態2は、1つの容器で処理するものである。冷凍機システムの構成は、実施の形態1と同様である。
冷凍機システム中から取り出した冷媒中の塩素系冷媒用潤滑油濃度が低い場合や、用いる吸着材が塩素系冷媒用潤滑油を吸着除去可能なものである場合などには、実施の形態2の塩化鉄除去装置を用いることができる。例えば、エステル油中に混入される鉱油が5%以下の場合には、2相分離しないので、この装置が用いられる。
【0030】
図4は、この発明の実施の形態2の塩化鉄除去装置の構成を説明する図である。図4のように、冷媒が充填された冷凍機システムに接続可能な冷媒導入口41と、冷媒導入口41から導入された冷媒を入れる吸着容器42と、吸着容器42内に設けられた吸着材43と、吸着容器42内から気体状冷媒を排出する配管44と、吸着容器42に導入され吸着材43と接触後の冷媒を取り出し、冷凍機システムに再導入可能な排出口45とから構成されたものである。
【0031】
冷媒導入口41は、冷媒及び潤滑油が循環されている冷凍機システムの循環配管の一部に接続した後に、冷凍機システムの循環配管内の非塩素系冷媒を主とする内部冷媒が冷媒導入口41を通して吸着容器42内に導入される。吸着容器42内に導入された冷媒のうち、気体状の冷媒は、配管44を通して冷凍機システムの循環配管に再導入される。
吸着容器42内に導入された冷媒を吸着容器42内に設けられている吸着材43と接触させる。冷媒に含まれる塩化鉄は吸着材43に吸着除去され、塩化鉄の濃度が低下した冷媒が、排出口45から取り出され冷凍機システム内に再導入される。吸着材43としては、実施の形態1と同様のものが用いられる。
【0032】
このような、実施の形態2においても、実施の形態1と同様の効果を得ることができるとともに、実施の形態1に比べて、装置を簡略化することができる。
【0033】
【実施例】
実施例1.
実施例1では、実施の形態1で説明した塩化鉄除去装置を用いて、塩化鉄の除去を行った結果を説明する。
表1は、塩化鉄濃度が2000ppm、鉱油濃度が40%、20%、10%のエステル油を含むHFC系冷媒に上記実施の形態1の処理を施したときのエステル油中の鉱油濃度及び塩化鉄濃度を調べた結果をまとめたものである。鉱油は日本サン石油社製SUNISO3GSD(商品名)、エステル油はヒンダードエステルである。吸着材としては、オゾン処理した活性炭を用いた。
鉱油の初期濃度が40%のエステル油の場合(条件1)、2相分離した後、下相であるHFC系冷媒の相に含まれるエステル油には25〜27%の鉱油が含まれていた。このHFC系冷媒の相を活性炭処理することにより、エステル油中の鉱油濃度は1%以下、塩化鉄濃度は10ppm以下となった。同様に鉱油の初期濃度が20%のエステル油の場合(条件2)、鉱油の初期濃度が10%のエステル油の場合(条件3)もHFC系冷媒の相に含まれるエステル油には、それぞれ11〜12%、4〜7%の鉱油が含まれていた。このHFC系冷媒の相を活性炭処理することにより、エステル油中の鉱油濃度は1%以下、塩化鉄濃度は10ppm以下となった。
このように、実施の形態1の塩化鉄除去装置を用い、吸着材として、酸化処理が施された活性炭を用いることにより、エステル油中の鉱油及び塩化鉄を除去できることを確認できた。
【0034】
【表1】
【0035】
実施例2.
実施例2では、実施の形態2で説明した塩化鉄除去装置を用いて、塩化鉄の除去を行った結果を説明する。
表2は、塩化鉄濃度が1000〜2000ppmのエステル油を含み、鉱油を含まないHFC系冷媒を上記実施の形態2の処理を施したときのエステル油中の塩化鉄濃度を調べた結果をまとめたものである。エステル油はヒンダードエステルである。
吸着材として活性炭を用いて、活性炭へのオゾン処理の有無による塩化鉄除去特性について調べた。塩化鉄の初期濃度が1000ppmの場合には、オゾン処理を施していない活性炭であっても活性炭処理によって、処理後の塩化鉄濃度をイオンクロマトグラフ法の検出限界である10ppm以下まで低減することができる(条件1)。しかし、塩化鉄の初期濃度が2000ppmと高濃度の場合には、オゾン処理を施していない活性炭で処理した後の塩化鉄濃度は300ppmと高く塩化鉄の除去は不十分であった(条件2)。これは、活性炭表面の活性点が塩化鉄によって飽和したためである。これに対し、オゾン処理を施した活性炭で処理した場合には、塩化鉄の初期濃度が2000ppmと高濃度であっても、活性炭処理後の塩化鉄濃度を10ppm以下まで低減することができる(条件3)。
このように、オゾン処理を施した活性炭を用いることにより、塩化鉄の吸着能力が向上し、塩化鉄濃度が高い場合であっても塩化鉄を十分に除去できることを確認できた。
【0036】
【表2】
【0037】
【発明の効果】
この発明に係る冷凍機システムの冷媒置換方法は、冷凍機システム内に充填された塩素系冷媒用潤滑油を含む塩素系冷媒を、非塩素系冷媒潤滑油を含む非塩素系冷媒に置換する際に、冷凍機システム内に残留する塩化鉄を簡便に、かつ確実に除去することができる。
【0038】
この発明に係る塩化鉄除去装置は、冷媒中の塩化鉄を簡便に、かつ確実に除去することができる。
【0039】
この発明に係る冷凍機システムは、冷凍機システムに充填された冷媒中の塩化鉄を除去することができる。このため冷凍機システム内で潤滑油が塩化鉄によって劣化するという問題を防ぐことができ、冷凍機システムの信頼性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態1の塩化鉄除去装置の構成を説明する図である。
【図2】この発明の実施の形態1の塩化鉄除去装置に用いる活性炭による塩化鉄除去性能を示す図である。
【図3】この発明に係る塩化鉄除去装置を用いる冷凍機システムの構成を説明する図である。
【図4】この発明の実施の形態2の塩化鉄除去装置の構成を説明する図である。
【符号の説明】
21冷媒導入口、22 冷媒回収容器、26,43 吸着材(活性炭)。
Claims (4)
- 塩素系冷媒が充填された冷凍機システムから、当該塩素系冷媒を排出する工程と、上記冷凍機システム内に、非塩素系冷媒を導入する工程と、上記冷凍機システムから、導入された上記非塩素系冷媒を主とする内部冷媒を回収して酸化処理が施された活性炭と接触させた後、上記冷凍機システム内へ再導入する工程と、を備えてなる冷凍機システムの冷媒置換方法。
- 塩素系冷媒用潤滑油を含有する塩素系冷媒が充填された冷凍機システムから、当該塩素系冷媒を排出する工程と、上記冷凍機システム内に、非塩素系冷媒用潤滑油を含有する非塩素系冷媒を導入する工程と、上記冷凍機システムから、導入された上記非塩素系冷媒を主とする内部冷媒を冷媒回収容器に回収して分相処理に付すことにより、当該冷凍機システム内に残留する上記塩素系冷媒用潤滑油の相と上記非塩素系冷媒の相とを分離する工程と、分離された上記非塩素系冷媒の相を、酸化処理が施された活性炭と接触させた後、上記冷凍機システム内へ再導入する工程と、を備えてなる冷凍機システムの冷媒置換方法。
- 冷媒が充填された冷凍機システムに接続可能な冷媒導入口と、導入された冷媒を上記冷凍機システムへ供給しうる冷媒供給管路とを備え、この冷媒供給管路に、酸化処理が施された活性炭を介在せしめてなる塩化鉄除去装置。
- 冷媒が充填された冷凍機システムと、この冷凍機システムに接続された冷媒導入口と、導入された冷媒を上記冷凍機システムへ供給しうる冷媒供給管路とを備え、この冷媒供給管路に、酸化処理が施された活性炭を介在せしめてなる冷凍機システム。
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2003
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