JP2004218262A - 補強土壁構造物及びその構築方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】補強土壁構造物11は水路に面する河川の法面Nの前面に構築された補強土壁12内に、補強材としてのジオテキスタイル13が敷設されて構成されている。ジオテキスタイル13は補強土壁12の前面側から法面Nに達するまで、補強土壁12の厚み方向に延びるように敷設されている。ジオテキスタイル13の長さは、少なくとも0.5mを必要とするとともに、前記補強土壁12の高さの40%以下又は3m以下に設定されている。
【選択図】 図4
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、河川等の法面の保護や土留め等を目的として構築される補強土壁構造物及びその構築方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、例えば山間部の渓流河川や都市部の掘り込み河川の法面には、コンクリートブロックや自然石の積み上げにより護岸を目的とした構造物が構築されている。近年では、既存の自然生態系の保全を念頭においた河道設計が検討され、河川内で行われる全ての災害復旧事業や改良復旧事業は、自然環境の保全に配慮して実施されるよう提案されている(例えば、非特許文献1参照。)。この自然環境の保全に配慮した護岸構造物は、その構築場所の自然生態系をほとんど変化させず構築されるとともに、その護岸構造物の壁面を緑化可能となるように構築されるものである。
【0003】
【非特許文献1】
建設省河川局防災・海岸課 監修:美しい山河を守る災害復旧基本方針,(社)全国防災協会,1998
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記自然環境の保全に配慮した護岸構造物は、思想として提案はなされているが、その設計や施工に係る事項については全く規定されていない。そのため、自然環境の保全に配慮した護岸構造物を構築し、その護岸構造物により河川法面を保護することができないという問題があった。
【0005】
本発明は、上記従来技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的とするところは、自然環境の保全に配慮し、法面を保護することができる補強土壁構造物を提供することにある。その他の目的とするところは、自然環境の保全に配慮し、法面を保護することができる補強土壁構造物を構築することができる補強土壁構造物の構築方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、河川、湖沼、海、水路等に面する法面の前面に構築された補強土壁内に、補強材が当該補強土壁の前面と前記法面との間に連続して延びるように同補強土壁の厚み方向に敷設されているとともに、補強土壁の高さ方向に亘って複数層に敷設されて構成され、前記補強材の補強土壁の厚み方向への長さが、少なくとも0.5mを必要とするとともに、前記補強土壁の高さの40%以下又は3m以下に設定されていることを要旨とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の補強土壁構造物において、前記補強土壁の高さ方向における補強材の敷設間隔は0.1〜1.2mに設定されていることを要旨とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の補強土壁構造物において、前記補強土壁の前面には壁面材が設けられ、その壁面材に前記補強材が連結されていることを要旨とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の補強土壁構造物において、前記壁面材には植生シート又は植生マットが取り付けられていることを要旨とする。
請求項5に記載の発明は、河川、湖沼、海、水路等に面する法面の前面に盛土を行い、その盛土の上面に、補強材を前記盛土の厚み方向全体に延びるように敷設した後、同補強材上に盛土を行う工程を繰り返すことにより、補強材が上下方向に間隔をおいて複数層状に敷設された補強土壁を構築し、前記補強材の補強土壁の厚み方向への長さを、少なくとも0.5mを必要とするとともに、前記補強土壁の高さの40%以下又は3m以下に設定したことを要旨とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した補強土壁構造物及びその構築方法の一実施形態を図1〜図4に従って説明する。図1及び図4に示すように、補強土壁構造物11は、水路に面する法面Nの前面に構築された補強土壁12内に、補強材としてのジオテキスタイル13が敷設されて構成されている。さらに、補強土壁構造物11は前記補強土壁12の前面にL型鋼製網材14が設置され、そのL型鋼製網材14を使用して補強土壁12の前面が緑化されているものである。
【0011】
まず、前記ジオテキスタイル13について説明する。なお、ここでいうジオテキスタイル13とは、JISL0221に定義された狭義のジオテキスタイル、ジオグリット、ジオネット又はジオテキスタイル関連製品を指す。具体的に説明すると、前記ジオテキスタイル13は、図3に示すように、合成樹脂材料を押出機の複数の細孔から押し出して帯状に成形され、経線13a及び緯線13bから格子状に形成されているものである。ジオテキスタイル13の一軸方向に延びる経線13aには、強度補強のための芯材Cが埋設されている。この実施形態では、ジオテキスタイル13をポリエチレンにより形成し、芯材Cをアラミド繊維により形成した。そして、ジオテキスタイル13はその長さ方向への引張り強度が最大300kN/mの物性を有する。なお、本実施形態とは別の形状のジオテキスタイル13としては、図5(a)に示すように、合成樹脂材料を押出機から押し出して成形したシートに孔を空けて1軸方向に加熱延伸して形成されたもの又は図5(b)に示すように、二軸方向に加熱延伸して形成されたものがある。さらに、別の形状のジオテキスタイル13としては、経線及び緯線を格子状に組み付けた後、その交点を熱融着させて形成されたもの、さらに、繊維材料による織り構造や編み構造によって形成されたものがある。
【0012】
図2に示すように、前記L型鋼製網材14は金属材料により格子状に形成された網材をL字状に折り曲げて形成されている。L型鋼製網材14を形成する網材としては、エキスパンドメタルや溶接により網状に形成された溶接金網が挙げられる。また、以上の金属材料は、腐食対策が行われていることが好ましい。前記L型鋼製網材14の上端から屈曲部位の裏側には、補強土壁12の前面緑化のために図示しない植生シート又は植生マットが設置される。前記植生シートとしては、例えば不織布や紙、天然材料を用いたシート材などに種子を貼着したものが挙げられる。また、植生マットとしては、例えば不織布や紙、天然材料を用いたマットなどを筒状に加工し、その筒状内部に土砂と肥料と種子とを含有させたものが挙げられる。
【0013】
次に、補強土壁構造物11を具体的に説明する。まず、前記法面Nは既存の堤体、盛土、地盤等の前面に形成されたものである。図1及び図4に示すように、補強土壁構造物11を構築するための前記補強土壁12は、法面Nの前面に盛土によって構築されている。前記補強土壁12を構築するための盛土材料は、現地発生土が主に使用されるが、別の場所から採取された土や砕石を使用してもよい。さらに、補強土壁12は高さHが8m程度となるように構築されるのが好ましい。前記補強土壁12の前面には、同補強土壁12の高さ方向(上下方向)及び幅方向(左右方向)に亘って複数のL型鋼製網材14が壁面材として設置されている。即ち、補強土壁12の前面は複数のL型鋼製網材14によって覆われている。
【0014】
そして、各L型鋼製網材14は上端から屈曲部位までが補強土壁12の前面に臨み、前記屈曲部位から後部が補強土壁12内に埋設される。各L型鋼製網材14の後部には、それぞれ前記ジオテキスタイル13の長さ方向における一端が連結固定され、ジオテキスタイル13の長さ方向における他端側は補強土壁12の前面側から法面Nに向かって連続的に延び、同法面Nに達するように敷設され、補強土壁12の前面と法面Nとの間に敷設されている。なお、ジオテキスタイル13とL型鋼製網材14との連結強度は、構築された補強土壁構造物11が安定するために、10kg/m以上が好ましい。
【0015】
複数のL型鋼製網材14それぞれにジオテキスタイル13が連結固定されることにより、ジオテキスタイル13が補強土壁12の幅方向(左右方向)に沿って層状に敷設されてジオテキスタイル13の層が形成され、そのジオテキスタイル13の層が補強土壁12の高さ方向(上下方向)に間隔をおいて敷設されている。
【0016】
ジオテキスタイル13の補強土壁12の厚み方向(前後方向)への敷設長さは、補強土壁構造物11が法面Nからの土圧に対して自重によって抵抗し、安定したもたれ式擁壁として構築されるため、もたれ式擁壁としての安定性に必要な土塊重量を満たす長さに設定される。具体的には、ジオテキスタイル13は、少なくとも0.5mを必要とするとともに、補強土壁12の高さHの40%以下又は3m以下に設定されている。即ち、補強土壁12の高さHが7.5mまではジオテキスタイル13の敷設長さは、0.5mから補強土壁12の高さHの40%までの間で選択され、7.5mを超えたときは、0.5mから3mの間で選択される。従って、ジオテキスタイル13の敷設長さは、3mを超えることはない。本実施形態では、補強土壁12の高さHが8mに設定されているため、ジオテキスタイル13の補強土壁12の厚み方向への敷設長さが3.0mに設定されている。そして、ジオテキスタイル13の敷設長さが上記範囲内に設定されるため、補強土壁12、ひいては補強土壁構造物11の厚みは最大で3mとなる。
【0017】
さらに、補強土壁構造物11の高さ方向におけるジオテキスタイル13の間隔、即ち補強土壁構造物11の上下に位置するジオテキスタイル13の層間隔は0.1〜1.2mに設定されるのが好ましい。前記間隔に設定されると、補強土壁12内における上下に位置するジオテキスタイル13同士の間には盛土材料が介在してジオテキスタイル13同士が接触しにくくなるため、ジオテキスタイル13同士の滑りが生じる虞が無くなる。また、前記間隔に設定されると、補強土壁12の高さ方向にジオテキスタイル13が密に配置され、ジオテキスタイル13と補強土壁12とが一体化されて補強土壁構造物11自体の強度が低下する虞が無くなる。さらに、補強土壁構造物11はL型鋼製網材14の上端から屈曲部位の裏側に設置された植生シート又は植生マット(図示せず)により、補強土壁12前面が緑化されている。
【0018】
上記補強土壁構造物11は前記堤体、盛土、地盤等に安定性を付与しているが、上面に家屋、道路等を形成するために構築されるのではなく、法面Nの護岸、土砂の吸出し、流体による侵食を防止するために構築されるものである。また、この補強土壁構造物11は、補強土壁12の背面地盤、即ち、法面Nをほとんど掘削することなく構築されている。さらに、既存の法面Nに補強土壁構造物11が構築されるため、その補強土壁構造物11は法面Nからの土圧に対して自重によって抵抗し安定したもたれ式擁壁として構築される。
【0019】
補強土壁構造物11において、ジオテキスタイル13が補強土壁12内に敷設されることにより、盛土材料がジオテキスタイル13に支持される。また、補強土壁構造物11に対して上方や前方から外力が作用しても、その外力をジオテキスタイル13により支持することが可能となるため、補強土壁構造物11の外力に対する強度が高められる。即ち、補強土壁12全体がジオテキスタイル13によって補強され、補強土壁構造物11全体が補強されて安定した構造物となる。
【0020】
次に、補強土壁構造物11の構築方法について説明する。
まず、図1に示すように、補強土壁構造物11を構築する場所となる河川において、補強土壁構造物11の基礎底面となる河底を水平に掘削する。即ち、基礎底面に、岩盤、礫分等による凹凸の上に盛土材料を敷設し、締め固めて不陸がないように整地する。次に、吸出し防止材としての不織布15を法面Nの前面全体に敷設する。続いて、ジオテキスタイル13を設計段階で設定された敷設長を確保できるように切断し、L型鋼製網材14に連結固定する。そして、そのL型鋼製網材14を基礎底面上に設置、固定するとともに、ジオテキスタイル13を後に構築される補強土壁12の厚み方向に延びるように敷設する。即ち、ジオテキスタイル13は補強土壁12の前面側から法面Nの前面に向かって延び、法面Nの前面に達するまで敷設されるとともに、緊張した状態で延びるように、盛土材料の上面に敷設される。
【0021】
上記工程を法面Nの幅方向に沿って連続して行うことにより、図4に示すように、補強土壁12の前面の幅方向に複数のL型鋼製網材14が並び、ジオテキスタイル13が補強土壁12の厚み方向及び幅方向に敷設されてジオテキスタイル13の層が形成される。次に、L型鋼製網材14の裏側からジオテキスタイル13の層の上面にかけて土をまき出して締め固める。即ち、盛土材料をバックホウ等により所定のまき厚さに敷設する。さらに、振動コンパクタ、振動ローラ等の締固め機械を使用して盛土材料を締め固める。
【0022】
続けて、上記と同様に、盛土の上にL型鋼製網材14及びジオテキスタイル13を敷設する。このとき、上下のジオテキスタイル13間の間隔は0.1〜1.2mとなるように敷設される。そして、所望する高さとなるまで上記工程を繰り返すことにより、補強土壁12内にジオテキスタイル13が敷設される。また、河床面より上側に位置するとされるL型鋼製網材14の上端から屈曲部位の裏側には、植生シート又は植生マットを設置する。なお、複数段に亘ってL型鋼製網材14を積み上げるなかで、前記法面Nの前面に敷設された不織布15に繋がる別の不織布15をジオテキスタイル13の上面に敷設してもよい。最後に、最深河床高が基礎底面より低い場合には、根固め工を行うことにより、河床には根固め材16が構築される。その結果、法面Nの前面には補強土壁構造物11が構築され、前記植生シート又は植生マットの植物が補強土壁12の前面に植生し、補強土壁12の前面が緑化される。
【0023】
上記実施形態によれば、以下のような特徴を得ることができる。
(1)ジオテキスタイル13の敷設長さを所定範囲内に設定し、補強土壁構造物11を既存の法面Nに対するもたれ式擁壁として構築した。従って、法面Nの護岸及び土留めを目的とした補強土壁構造物11を所定範囲内の大きさに盛土により構築することができる。そのため、コンクリートブロックや自然石を積み上げていた従来の護岸構造物と異なり、補強土壁12の前面を自然生態系に近い状態とすることができ、自然環境の保全に配慮した補強土壁構造物11を提供することができる。
【0024】
(2)補強土壁構造物11は法面Nに対するもたれ式擁壁として構築され、さらに、補強土壁構造物11の高さ及びジオテキスタイル13の敷設長さを一定条件のもとに設定した。従って、補強土壁構造物11の厚み方向の長さが十分に取れない場所でも、補強土壁構造物11の高さを考慮することにより、ジオテキスタイル13を敷設可能とし、補強土壁構造物11を構築して法面Nを護岸することができる。
【0025】
(3)補強土壁構造物11は既存の法面Nに対するもたれ式擁壁として構築された一体化した構造物として認識されるため、補強土壁構造物11内の円弧すべりに対する検討を省略できる。即ち、補強土壁構造物11を構築する際のジオテキスタイル13の敷設長さの検討(補強土壁構造物11の内的安定の検討)を省略することができる。従って、補強土壁構造物11の外的安定及び全体安定を検討すればよいため、内的安定、外的安定及び全体安定の検討を必要としていた一般の補強土壁工法と異なり、補強土壁構造物11構築のための工期を短縮することができるとともに、材料費、施工費を抑えることができる。
【0026】
(4)L型鋼製網材14に植生シート又は植生マットを設置することにより、補強土壁12の前面を容易に緑化することができる。従って、法面Nの護岸及び土留めのためにコンクリートブロックや自然石を積み上げていた従来の護岸構造物と異なり、自然環境に近い補強土壁構造物11を構築することができる。
【0027】
(5)ジオテキスタイル13の上下間の間隔を0.1〜1.2mに設定した。そのため、補強土壁12内の上下のジオテキスタイル13同士が接触することなく、また、ジオテキスタイル13同士の間隔が広くなりすぎることがなくなる。従って、補強土壁12全体の強度の低下を防止することができ、一体化した補強土壁構造物11を構築することができる。
【0028】
(6)補強土壁構造物11は盛土材料が衝撃吸収力の高い柔な土質材料であるため、転石等により補強土壁構造物11に衝撃が加わっても盛土材料により衝撃を吸収することができる。従って、法面Nの護岸及び土留めのためにコンクリートブロックや自然石を積み上げていた衝撃吸収力の低い従来の剛な護岸構造物と異なり、衝撃が補強土壁構造物11に作用しても、補強土壁構造物11の破壊を小さくすることができ、法面Nを保護できる。
【0029】
(7)L型鋼製網材14にジオテキスタイル13が連結固定されている。そのため、ジオテキスタイル13がL型鋼製網材14に連結固定されずに補強土壁12内に埋設されている場合と比較して、ジオテキスタイル13の補強土壁12内での滑り等を抑えることができる。さらに、ジオテキスタイル13の一端がL型鋼製網材14に連結固定されているため、ジオテキスタイル13の他端側を法面Nに向かって十分に引張ることが可能となり、ジオテキスタイル13を緊張した状態で敷設することができる。また、ジオテキスタイル13の盛土材料に対する摩擦抵抗力により、補強土壁構造物11構築後のL型鋼製網材14の補強土壁12からの引き抜けを防止することができる。
【0030】
(8)不織布15を補強土壁12内に敷設したため、補強土壁12内の土砂の吸出しを防止することができる。従って、補強土壁12の強度の低下を防止することができる。
【0031】
(9)根固め工を行ったため、河川の出水時の補強土壁12の洗掘、特に基礎底面側の洗掘を防止することができる。従って、補強土壁12を安定した状態で設置して補強土壁構造物11の安定を図ることができる。
【0032】
なお、実施形態は以下のように変更してもよい。
・ 根固め工を省略してもよい。
・ 吸出し防止材としての不織布15を省略してもよい。
【0033】
・ 補強土壁12の強度の低下を招かない範囲であれば、ジオテキスタイル13の上下間の間隔を0.1〜1.2m以外に設定してもよい。
・ L型鋼製網材14を省略して、植生シート又は植生マットを省略してもよい。そして、自然発生的に補強土壁12の前面を緑化させてもよく、客土吹付け工法、基材吹付工法等により種子を補強土壁12の前面にまきつけて緑化させてもよい。
【0034】
・ 実施形態では、壁面材としてL型鋼製網材14に具体化したが、L型鋼製網材14の代わりに補強土壁12の前面全体を覆う金網に具体化してもよく、補強土壁12の前面に金網を枠状に構築してセル枠を構築してもよい。また、実施形態では、L型鋼製網材14に植生シート又は植生マットを設置したが、L型鋼製網材14に侵食防止機能を有するシート又はマットを連結固定してもよい。前記シート又はマットとしては、合成樹脂材料を押出機の複数の細孔から押し出し、その押し出された複数の繊維材料を捲縮して成形されたものや合成樹脂材料を押出機から押し出して成形されたネットをスレート状に屈折させたものが挙げられる。
【0035】
・ 実施形態において、L型鋼製網材14の上端から屈曲部位の裏側に植生シート又は植生マットを設置したが、その植生シート又は植生マットの裏側に土砂の吸出しを防止するための吸出し防止材(例えば、不織布)を設けてもよい。
【0036】
・ 実施形態では、水路に面する法面Nに補強土壁構造物11を構築したが、河川の法面、湖沼の法面、海岸の法面に補強土壁構造物11を構築してもよい。
・ 実施形態では、水路に面する法面Nに補強土壁12を構築して補強土壁構造物11を構築したが、例えば、水路に面していない山の法面や、掘削された山の法面に補強土壁12を構築して補強土壁構造物11を構築してもよい。
【0037】
次に上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について、それらの効果とともに以下に追記する。
(1)法面の前面に構築された補強土壁内に、補強材が当該補強土壁の前面側から前記法面に達するように同補強土壁の厚み方向に敷設されているとともに、補強土壁の高さ方向に亘って複数層に敷設されて構成され、前記補強材の長さが、少なくとも0.5mを必要とするとともに、前記補強土壁の高さの40%以下又は3m以下に設定されていることを特徴とする補強土壁構造物。このように構成した場合も、自然環境の保全に配慮した補強土壁により法面を保護することができる。
【0038】
(2)前記補強土壁の幅方向に亘って補強材が複数に敷設されていることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の補強土壁構造物。
(3)前記補強土壁の前面には壁面材が設けられ、その壁面材には、前記補強材が、補強土壁構造物の安定に必要な所定の連結強度で連結されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の補強土壁構造物。
【0039】
【発明の効果】
以上、詳述したように、請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の補強土壁構造物によれば、自然環境の保全に配慮し、法面を保護することができる。また、請求項5に記載の補強土壁構造物の構築方法によれば、自然環境の保全に配慮し、法面を保護することができる補強土壁構造物を構築することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態の補強土壁構造物を示す模式図。
【図2】実施形態のL型鋼製網材を示す斜視図。
【図3】実施形態のジオテキスタイルを示す斜視図。
【図4】実施形態の補強土壁構造物の構築状態を示す模式的斜視図。
【図5】(a)、(b)は実施形態とは別の補強材を示す平面図。
【符号の説明】
H…高さ、N…法面、11…補強土壁構造物、12…補強土壁、13…補強材としてのジオテキスタイル、14…壁面材としてのL型鋼製網材。
Claims (5)
- 河川、湖沼、海、水路等に面する法面の前面に構築された補強土壁内に、補強材が当該補強土壁の前面と前記法面との間に連続して延びるように同補強土壁の厚み方向に敷設されているとともに、補強土壁の高さ方向に亘って複数層に敷設されて構成され、前記補強材の補強土壁の厚み方向への長さが、少なくとも0.5mを必要とするとともに、前記補強土壁の高さの40%以下又は3m以下に設定されていることを特徴とする補強土壁構造物。
- 前記補強土壁の高さ方向における補強材の敷設間隔は0.1〜1.2mに設定されていることを特徴とする請求項1に記載の補強土壁構造物。
- 前記補強土壁の前面には壁面材が設けられ、その壁面材に前記補強材が連結されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の補強土壁構造物。
- 前記壁面材には植生シート又は植生マットが取り付けられていることを特徴とする請求項3に記載の補強土壁構造物。
- 河川、湖沼、海、水路等に面する法面の前面に盛土を行い、その盛土の上面に、補強材を前記盛土の厚み方向全体に延びるように敷設した後、同補強材上に盛土を行う工程を繰り返すことにより、補強材が上下方向に間隔をおいて複数層状に敷設された補強土壁を構築し、前記補強材の補強土壁の厚み方向への長さを、少なくとも0.5mを必要とするとともに、前記補強土壁の高さの40%以下又は3m以下に設定したことを特徴とする補強土壁構造物の構築方法。
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