【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、医薬および農薬等の中間体として有用な1,3−ジアルキル−2−ベンズイミダゾリノン類の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
1,3−ジアルキル−2−ベンズイミダゾリノン類の製造方法として、いくつかの方法が知られている。例えば、2−ベンズイミダゾロンとヨウ化メチルをターシャリーブトキシカリウムの存在下にDMF溶媒中で反応させて製造する方法がある(特許文献1および特許文献2)。この方法は 高価なヨウ化メチルとターシャリーブトキシカリウムを使用するために経済的ではない。また、2−ベンズイミダゾロンと尿素をneatで 140−145℃という条件で反応させて製造する方法がある(非特許文献1)。しかし、この方法は反応条件が過酷であること、また収率も65.5%と低く、効率的ではない。
【0003】
さらに、1,1′−カルボニルジイミダゾールとオルトフェニレンジアミンを反応させて得られた2−ベンズイミダゾロンを水素化ナトリウムの存在下にヨウ化メチルと反応させる1,3−ジメチル−2−ベンズイミダゾリノンの製造方法が知られている(特許文献3)。この方法も高価な1,1′−カルボニルジイミダゾールを使用する点および、水素化ナトリウムを使用すること等のため工業的ではない。
【0004】
オルトフェニレンジアミンとジメチルカーボネートを酢酸鉛または酢酸錫の存在下に200℃で20時間反応させてワンポットで殆ど定量的に1,3−ジメチル−2−ベンズイミダゾリノンが得られるとの報告もある(非特許文献2)が、この方法の難点は 重金属を含む触媒の使用が環境面から好ましくないこと また高温、高圧での長時間反応であり、高価な高圧反応装置が必要であることである。
【0005】
【特許文献1】
特開平2001−322984号公報
【特許文献2】
特開平2001−288119号公報
【特許文献3】
特開平4−243865号公報
【非特許文献1】
Tetrahedron 56(2000)p.9949−p.9955
【非特許文献2】
Journal of Catalysis197,p.91−p.97(2001)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述した従来技術の課題を解決すべくなされたものである。すなわち本発明の目的は、従来法に比べて、1,3−ジアルキル−2−ベンズイミダゾリノン類を安全かつ安価に製造できる方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、2−ベンズイミダゾロンとジメチル硫酸とを水酸化ナトリウムの存在下、水溶媒中で反応させることにより1,3−ジメチル−2−ベンズイミダゾリノンが高収率で得られることを見出し、本発明を完成するに至った。即ち、本発明は、
(1) 一般式(1)
【0008】
【化8】
(式中、R1とR2はそれぞれ、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基、トリフルオロメチル基、フェニル基フェノキシ基、ニトロ基を示す。)で表される化合物と一般式(2)
【0009】
【化9】
(式中、R3はメチル基またはエチル基を示す。)で表される化合物とを、アルカリ金属の水酸化物の水溶液中で反応させる、一般式(3)
【0010】
【化10】
(式中、R1とR2はそれぞれ、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基、トリフルオロメチル基、フェニル基、フェノキシ基、ニトロ基を示し、R3はメチル基または エチル基を示す。)で表される 化合物の製造方法であり、
(2) 一般式(1)で表される化合物が2−ベンズイミダゾロンであり、一般式(3)で表される化合物が1,3−ジメチル−2−ベンズイミダゾリノンである前記(1)記載の方法であり、
(3) 一般式(4)
【0011】
【化11】
(式中、R1とR2はそれぞれ、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基、トリフルオロメチル基、フェニル基フェノキシ基、ニトロ基を示す。)で表される化合物とホスゲンとを水溶媒中で反応させて得られる一般式(1)
【0012】
【化12】
(式中、R1とR2はそれぞれ、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基、トリフルオロメチル基、フェニル基、フェノキシ基、ニトロ基を示す。)で表される化合物を単離せずに、該一般式(1)で表わされる化合物と一般式(2)
【0013】
【化13】
(式中、R3はメチル基またはエチル基を示す。)で表わされる化合物とを、アルカリ金属の水酸化物の水溶液中で反応させる一般式(3)
【0014】
【化14】
(式中、R1とR2はそれぞれ、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基、トリフルオロメチル基、フェニル基、フェノキシ基、ニトロ基を示し、R3はメチル基または エチル基を示す。)で表わされる化合物の製造方法であり、
(4) 一般式(4)で表される化合物がオルトフェニレンジアミンであり、一般式(3)で表される化合物が1,3−ジメチル−2−ベンズイミダゾリノンである前記(3)記載の方法であり、
(5) 一般式(1)で表わされる化合物と一般式(2)で表わされる化合物とをアルカリ金属の水酸化物の水溶液中で反応させるに際し、アルカリ金属の水酸化物の水溶液として20〜50重量%の水酸化ナトリウム水溶液を用い、かつ該水溶液を一般式(1)で表わされる化合物に対して10〜30重量倍用い、反応温度を50〜110℃で行う前記(1)〜前記(4)のいずれか一項に記載の方法である。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明に用いられる一般式(1)で表わされる化合物としては、例えば、2−ベンズイミダゾロン、5−ニトロ−2−ベンズイミダゾロン、5−メトキシ−2−ベンズイミダゾロン、5−メチル−2−ベンズイミダゾロン、5−クロル−2−ベンズイミダゾロン、5−ブロム−2−ベンズイミダゾロン、5−トリフルオロメチル−2−ベンズイミダゾロン、5−フェノキシ−2−ベンズイミダゾロン、5−フェニル−2−ベンズイミダゾロン、2−ベンズイミダゾロン、5−ニトロ−2−ベンズイミダゾロン、5−メトキシ−2−ベンズイミダゾロン、5−メチル−2−ベンズイミダゾロン、5−クロル−2−ベンズイミダゾロン、5−ブロム−2−ベンズイミダゾロン、5−トリフルオロメチル−2−ベンズイミダゾロン、5−フェノキシ−2−ベンズイミダゾロン、5−フェニル−2−ベンズイミダゾロン等が挙げられる。これらのなかでも2−ベンズイミダゾロンは合成が容易であり好ましい。
【0016】
一般式(1)で表わされる化合物は、一般式(4)で表わされる化合物を原料とし、米国特許第5003079号明細書に記載された方法およびこれに準じた方法を用いて製造することができる。すなわち、一般式(4)で表わされる化合物とホスゲンを水溶媒中で反応液のpH6〜12に調整しつつ反応させることにより製造することができる。一般式(1)で表わされる化合物である2−ベンズイミダゾロンを製造するに際して、一般式(4)で表わされる化合物であるオルトフェニレンジアミンとホスゲンとの水溶媒中での反応を反応液のpHを2.7〜3.3に調整することにより、2−ベンズイミダゾロンを収率よく得ることもできる。
【0017】
上記の反応で生成した一般式(1)で表わされる化合物は、反応終了後冷却し、反応混合物中に析出している結晶を濾過して単離した後、洗浄し、乾燥して、または乾燥せずに次の反応に使用することができるが、該反応混合物から一般式(1)で表わされる化合物を単離せずに一般式(2)で表わされる化合物との反応に使用することができる。後者の方法は製造プロセスの簡略化に有効である。本発明に用いられる一般式(2)で表わされる化合物は、ジメチル硫酸またはジエチル硫酸である。これらのなかでもジメチル硫酸は安価に入手し易く好ましい。
【0018】
本発明に用いられるアルカリ金属の水酸化物の水溶液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウムなどの水溶液が挙げられる。これらのなかでも水酸化ナトリウムの水溶液は安価に入手し易く好ましい。
【0019】
本発明においては、一般式(1)で表わされる化合物と一般式(2)で表わされる化合物とを、アルカリ金属の水酸化物の水溶液中で反応させる。
【0020】
反応に用いる一般式(1)で表わされる化合物と一般式(2)で表わされる化合物の使用量は、一般式(1)で表わされる化合物1モルに対して一般式(2)で表わされる化合物を2〜2.5モルの範囲で用いれば十分である。後処理を考慮すれば一般式(1)で表わされる化合物1モルに対して一般式(2)で表わされる化合物を2〜2.2モル使用するのが好ましい。
【0021】
アルカリ金属の水酸化物の水溶液は、一般式(1)で表わされる化合物に対して10〜30重量倍の量を用いることができるが、15〜25重量倍の量を用いるのが好ましい。10重量倍以上の量を用いることは、攪拌効率の点で好ましく、30重量倍以下の量を使用することはコストの点で好ましい。
【0022】
アルカリ金属の水酸化物の水溶液中におけるアルカリ金属の水酸化物の濃度は、20〜50重量%の範囲であるが、25〜40重量%が好ましい。アルカリ金属の水酸化物の濃度が20%以上であると反応収率の点で好ましく、50%以下であると操作性の面で好ましい。
【0023】
上記の反応により一般式(3)で表わされる化合物が得られる。一般式(3)で表される化合物としては、例えば、1,3−ジメチル−2−ベンズイミダゾロン、1,3−ジメチル−5−ニトロ−2−ベンズイミダゾロン、1,3−ジメチル−5−メトキシ−2−ベンズイミダゾロン、1,3−ジメチル−5−メチル−2−ベンズイミダゾロン、1,3−ジメチル−5−クロル−2−ベンズイミダゾロン、1,3−ジメチル−5−ブロム−2−ベンズイミダゾロン、1,3−ジメチル−5−トリフルオロメチル−2−ベンズイミダゾロン、1,3−ジメチル−5−フェノキシ−2−ベンズイミダゾロン、1,3−ジメチル−5−フェニル−2−ベンズイミダゾロン、1,3−ジエチル−2−ベンズイミダゾロン、1,3−ジエチル−5−ニトロ−2−ベンズイミダゾロン、1,3−ジエチル−5−メトキシ−2−ベンズイミダゾロン、1,3−ジエチル−5−メチル−2−ベンズイミダゾロン、1,3−ジエチル−5−クロル−2−ベンズイミダゾロン、1,3−ジエチル−5−ブロム−2−ベンズイミダゾロン、1,3−ジエチル−5−トリフルオロメチル−2−ベンズイミダゾロン、1,3−ジエチル−5−フェノキシ−2−ベンズイミダゾロン、1,3−ジエチル−5−フェニル−2−ベンズイミダゾロン等が挙げられる。
【0024】
一般式(1)で表わされる化合物と一般式(2)で表わされる化合物とをアルカリ金属の水酸化物の水溶液中で反応させて一般式(3)で表わされる化合物を製造する際の反応温度、反応圧力等の反応条件については、使用する化合物に応じてその条件を適宜決めることができる。通常、反応温度は50℃〜反応混合物の沸騰温度であり、反応圧力は大気圧である。
【0025】
一般式(1)で表わされる化合物と一般式(2)で表わされる化合物とをアルカリ金属の水酸化物の水溶液中で反応させるに際して、一般式(2)で表わされる化合物は、通常、一般式(1)で表わされる化合物とアルカリ金属の水酸化物の水溶液を含む混合物に一般式(2)で表わされる化合物を添加する方法が一般的である。特にこの方法は、一般式(4)で表わされる化合物とホスゲンを水溶媒中で反応させて得られる一般式(1)で表わされる化合物を単離せずに、該一般式(1)で表わされる化合物と一般式(2)で表わされる化合物とをアルカリ金属の水酸化物の水溶液中で反応させて一般式(3)で表わされる化合物を製造する場合に有利である。
【0026】
アルカリ金属の水酸化物の存在下での一般式(1)で表わされる化合物と一般式(2)で表わされる化合物との反応は発熱反応であるため、一般式(2)で表わされる化合物と一般式(1)で表わされる化合物を一気に反応させると反応を制御することが困難となる場合が多い。そのため、一般式(2)で表わされる化合物は、少量づつを一般式(1)で表わされる化合物と反応させるのが好ましい。
【0027】
上記の反応は、一般式(1)で表わされる化合物および一般式(3)で表わされる化合物の水に対する溶解度が小さいため、反応の開始から終了まで不均一な状態で進行するが、攪拌が十分行われれば一般式(3)で表わされる化合物を収率よく得ることができる。
【0028】
反応の経時変化は、反応混合物からその一部を取り出してHPLC分析することにより追跡することができる。
【0029】
反応終了後、一般式(3)で表わされる化合物を反応混合物から回収する。一般式(3)で表わされる化合物の回収方法としては、例えば、反応混合物に一般式(3)で表わされる化合物を溶解し、かつ水に不溶な有機溶媒、例えば芳香族系炭化水素等を加えて一般式(3)で表わされる化合物を該有機溶媒に抽出し、一般式(3)で表わされる化合物を含む有機層を乾燥、濃縮し、濃縮後の濃縮液に一般式(3)で表わされる化合物を溶解しにくい有機溶媒を添加して一般式(3)で表わされる化合物を結晶化させた後、該結晶を回収する方法等が挙げられる。
【0030】
【実施例】
以下実施例によりさらに詳細に本発明を説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。尚、1,3−ジメチル−2−イミダゾリノンの分析は液体クロマトグラフィー(以下「HPLC」と略記する。)によった。次に分析条件を示す。
【0031】
分離カラム; ODS系
溶離液;アセトニトリル:水:85%燐酸 =250:750:1 (vol/vol)
流量; 1ml/分
UV検出波長; 254nm
【0032】
合成例1 2−ベンズイミダゾロンの合成
1L 反応フラスコに水361gと36%塩酸の52.2gを入れ攪拌しながら次にオルトフェニレンジアミン 55.2gを装入し 溶解させた。この溶液にホスゲンガス52.1gを80分間かけて吹き込んだ。ホスゲンガス吹き込みの間、25%水酸化ナトリウム253.1gを滴下しながら反応マスのpHを2.7〜3.3の間に保持、また反応温度は30〜40℃に保持した。吹き込み終了後、窒素ガスを吹き込み 残存ホスゲンガスを除去した後、濾過、水洗、乾燥と行ない純度100%の2−ベンズイミダゾロン 67.28g(オルトフェニレンジアミンに対する収率98.4%)を得た。
【0033】
実施例1 1,3−ジメチル−2−ベンズイミダゾリノンの合成
小型反応容器に 合成例1 で得た 2−ベンズイミダゾロンの2.00g(0.0149mol)と35%水酸化ナトリウム水溶液30gを装入し、攪拌しながら容器の内容物を84℃まで昇温した。該内容物を激しく攪拌しながら、ジメチル硫酸4.14g(0.0328mol)を10分間で滴下した。滴下中の内容物の温度は84 〜98℃であった。ジメチル硫酸を滴下後さらに84〜98℃で1時間攪拌した後、得られた反応混合物を60℃まで冷却し、これにトルエン20gと水20gを添加して攪拌した。攪拌後静置し、分離したトルエン層を回収した。トルエン層の一部をHPLCで分析を行ない1,3−ジメチル−2−ベンズイミダゾリノン 2.341g(0.0144mol、2−ベンズイミダゾロンに対する収率 96.9%)が生成していたことを確認した。
【0034】
実施例2 1,3−ジメチル−2−ベンズイミダゾリノンの合成
ジメチル硫酸を滴下中の内容物の温度を98〜107℃に、滴下終了後の攪拌中の反応混合物の温度を98〜105℃に変更した以外は、実施例1と同様に行った。反応混合物をHPLC分析した結果、1,3−ジメチル−2−ベンズイミダゾリノン2.320g(0.0143mol、2−ベンズイミダゾロンに対する収率 96%)が生成していたことを確認した。
【0035】
実施例3 1,3−ジメチル−2−ベンズイミダゾリノンの合成
ジメチル硫酸を滴下中の温度を31〜33℃に、滴下終了後の攪拌中の反応混合物の温度を40〜50℃に変更した以外は実施例1と同様に行なった。分析の結果から 1,3−ジメチル−2−ベンズイミダゾリノン0.598g(0.0037mol、2−ベンズイミダゾロンに対する収率 24.7%)が生成していることを確認した。
【0036】
実施例4 1,3−ジメチル−2−ベンズイミダゾリノンの合成
13.5重量%の水酸化ナトリウム水溶液を使用した以外は実施例1 と同様に行った。分析の結果、1,3−ジメチル−2−ベンズイミダゾリノン0.904g(0.0056mol、 2−ベンズイミダゾロンに対する収率 37.3%)が生成していることを確認した。
【0037】
実施例5 1,3−ジメチル−2−ベンズイミダゾリノンの合成
合成例1と同様に反応を行なって得たホスゲンガスを除去した反応マスの一部、58.4g(2−ベンズイミダゾロン 5.0g、0.0372mol含有)に水酸化ナトリウム31gを装入し溶解させた。58℃まで昇温して、激しく攪拌しながらこれにジメチル硫酸10.35g(0.0821mol)を0.5時間かけて滴下した。次いで、60℃で1.5時間攪拌した後、トルエン55gと水80gを装入して抽出、分液操作を行ないトルエン層58.83gを得た。トルエン層を分析した結果、1,3−ジメチル−2−ベンゾイミダゾリノン5.353g(0.033mol、 2−ベンズイミダゾロンに対する収率88.5%)が生成していることを確認した。
【0038】
【発明の効果】
本発明によれば、安価なジアルキル硫酸およびアルカリ金属の水酸化物を用いて容易にかつ高収率で1,3−ジアルキル−2−ベンズイミダゾリノン類を得ることができる。[0001]
TECHNICAL FIELD OF THE INVENTION
The present invention relates to a method for producing 1,3-dialkyl-2-benzimidazolinones useful as intermediates such as medicines and agricultural chemicals.
[0002]
[Prior art]
Several methods are known as methods for producing 1,3-dialkyl-2-benzimidazolinones. For example, there is a method of producing by reacting 2-benzimidazolone and methyl iodide in a DMF solvent in the presence of potassium tert-butoxide (Patent Documents 1 and 2). This method is not economical due to the use of expensive methyl iodide and potassium tert-butoxide. Also, there is a method of producing 2-benzimidazolone and urea by reacting them with neat at 140 to 145 ° C. (Non-patent Document 1). However, this method is not efficient because the reaction conditions are severe and the yield is as low as 65.5%.
[0003]
Furthermore, 1,3-dimethyl-2-benzimidazolone is obtained by reacting 2-benzimidazolone obtained by reacting 1,1'-carbonyldiimidazole with orthophenylenediamine with methyl iodide in the presence of sodium hydride. A method for producing linone is known (Patent Document 3). This method is not industrial because it uses expensive 1,1'-carbonyldiimidazole and uses sodium hydride.
[0004]
There is also a report that 1,3-dimethyl-2-benzimidazolinone can be obtained almost quantitatively in one pot by reacting orthophenylenediamine and dimethyl carbonate at 200 ° C. for 20 hours in the presence of lead acetate or tin acetate ( Non-patent document 2), however, has the disadvantage that the use of a catalyst containing heavy metal is not preferable from an environmental point of view, and that it is a long-time reaction at high temperature and high pressure, requiring an expensive high-pressure reactor.
[0005]
[Patent Document 1]
Japanese Patent Application Laid-Open No. 2001-322984 [Patent Document 2]
JP 2001-288119 A [Patent Document 3]
JP-A-4-243865 [Non-Patent Document 1]
Tetrahedron 56 (2000) p. 9949-p. 9955
[Non-patent document 2]
Journal of Catalysis 197, p. 91-p. 97 (2001)
[0006]
[Problems to be solved by the invention]
The present invention has been made to solve the above-described problems of the related art. That is, an object of the present invention is to provide a method capable of producing 1,3-dialkyl-2-benzimidazolinones safely and inexpensively as compared with the conventional method.
[0007]
[Means for Solving the Problems]
The present inventors have conducted intensive studies to solve the above problems, and as a result, by reacting 2-benzimidazolone and dimethyl sulfate in an aqueous solvent in the presence of sodium hydroxide, 1,3-dimethyl-2- They have found that benzimidazolinone can be obtained in high yield, and have completed the present invention. That is, the present invention
(1) General formula (1)
[0008]
Embedded image
(Wherein, R1 and R2 represent a hydrogen atom, a halogen atom, an alkyl group having 1 to 4 carbon atoms, a trifluoromethyl group, a phenyl group, a phenoxy group, and a nitro group, respectively) and a compound represented by the general formula ( 2)
[0009]
Embedded image
(Wherein, R 3 represents a methyl group or an ethyl group) in an aqueous solution of an alkali metal hydroxide in a general formula (3).
[0010]
Embedded image
(Wherein, R1 and R2 each represent a hydrogen atom, a halogen atom, an alkyl group having 1 to 4 carbon atoms, a trifluoromethyl group, a phenyl group, a phenoxy group, or a nitro group, and R3 represents a methyl group or an ethyl group. The method for producing a compound represented by
(2) The compound represented by the general formula (1) is 2-benzimidazolone, and the compound represented by the general formula (3) is 1,3-dimethyl-2-benzimidazolinone. The method described,
(3) General formula (4)
[0011]
Embedded image
(Wherein, R1 and R2 represent a hydrogen atom, a halogen atom, an alkyl group having 1 to 4 carbon atoms, a trifluoromethyl group, a phenyl group, a phenoxy group, and a nitro group, respectively) and phosgene. General formula (1) obtained by reacting in an aqueous solvent
[0012]
Embedded image
(Wherein, R1 and R2 each represent a hydrogen atom, a halogen atom, an alkyl group having 1 to 4 carbon atoms, a trifluoromethyl group, a phenyl group, a phenoxy group, or a nitro group). Instead of the compound represented by the general formula (1) and the general formula (2)
[0013]
Embedded image
(Wherein, R 3 represents a methyl group or an ethyl group) in an aqueous solution of an alkali metal hydroxide in a general formula (3)
[0014]
Embedded image
(Wherein, R1 and R2 each represent a hydrogen atom, a halogen atom, an alkyl group having 1 to 4 carbon atoms, a trifluoromethyl group, a phenyl group, a phenoxy group, or a nitro group, and R3 represents a methyl group or an ethyl group. The method for producing a compound represented by the formula:
(4) The compound according to (3), wherein the compound represented by the general formula (4) is orthophenylenediamine and the compound represented by the general formula (3) is 1,3-dimethyl-2-benzimidazolinone. Method
(5) When the compound represented by the general formula (1) and the compound represented by the general formula (2) are reacted in an aqueous solution of an alkali metal hydroxide, an aqueous solution of the alkali metal hydroxide is used in an amount of from 20 to 50. (1) to (4), wherein the reaction temperature is 50 to 110 ° C. using a 10% by weight aqueous solution of sodium hydroxide and the aqueous solution is used in an amount of 10 to 30 times the weight of the compound represented by the general formula (1). ).
[0015]
BEST MODE FOR CARRYING OUT THE INVENTION
Examples of the compound represented by the general formula (1) used in the present invention include 2-benzimidazolone, 5-nitro-2-benzimidazolone, 5-methoxy-2-benzimidazolone, 5-methyl-2. -Benzimidazolone, 5-chloro-2-benzimidazolone, 5-bromo-2-benzimidazolone, 5-trifluoromethyl-2-benzimidazolone, 5-phenoxy-2-benzimidazolone, 5-phenyl -2-benzimidazolone, 2-benzimidazolone, 5-nitro-2-benzimidazolone, 5-methoxy-2-benzimidazolone, 5-methyl-2-benzimidazolone, 5-chloro-2-benz Imidazolone, 5-bromo-2-benzimidazolone, 5-trifluoromethyl-2-benzimidazolone, 5-phenoxy 2-benzimidazolone, 5-phenyl-2-benzimidazolone, and the like. Among these, 2-benzimidazolone is preferable because of easy synthesis.
[0016]
The compound represented by the general formula (1) can be produced from the compound represented by the general formula (4) as a raw material, using the method described in US Pat. No. 5,030,079 and a method analogous thereto. . That is, it can be produced by reacting the compound represented by the general formula (4) with phosgene while adjusting the pH of the reaction solution to 6 to 12 in an aqueous solvent. In producing 2-benzimidazolone, which is a compound represented by the general formula (1), the reaction of orthophenylenediamine, which is a compound represented by the general formula (4), with phosgene in an aqueous solvent is carried out at pH of the reaction solution. By adjusting to 2.7 to 3.3, 2-benzimidazolone can also be obtained in good yield.
[0017]
The compound represented by the general formula (1) produced in the above reaction is cooled after completion of the reaction, and crystals precipitated in the reaction mixture are isolated by filtration, washed, dried, or dried. Can be used for the next reaction without isolation, but can be used for the reaction with the compound represented by the general formula (2) without isolating the compound represented by the general formula (1) from the reaction mixture. . The latter method is effective for simplifying the manufacturing process. The compound represented by the general formula (2) used in the present invention is dimethyl sulfate or diethyl sulfate. Of these, dimethyl sulfate is preferred because it is easily available at low cost.
[0018]
Examples of the aqueous solution of an alkali metal hydroxide used in the present invention include an aqueous solution of sodium hydroxide, potassium hydroxide, cesium hydroxide and the like. Among these, an aqueous solution of sodium hydroxide is preferable because it is easily available at low cost.
[0019]
In the present invention, the compound represented by the general formula (1) and the compound represented by the general formula (2) are reacted in an aqueous solution of an alkali metal hydroxide.
[0020]
The amount of the compound represented by the general formula (1) and the compound represented by the general formula (2) used in the reaction is the amount of the compound represented by the general formula (2) per 1 mol of the compound represented by the general formula (1). Is used in the range of 2 to 2.5 mol. In consideration of the post-treatment, it is preferable to use 2 to 2.2 mol of the compound represented by the general formula (2) per 1 mol of the compound represented by the general formula (1).
[0021]
The aqueous solution of the alkali metal hydroxide can be used in an amount of 10 to 30 times the weight of the compound represented by the general formula (1), but is preferably used in an amount of 15 to 25 times the weight. It is preferable to use an amount of 10 times by weight or more in terms of stirring efficiency, and it is preferable to use an amount of 30 times or less in terms of cost.
[0022]
The concentration of the alkali metal hydroxide in the aqueous solution of the alkali metal hydroxide is in the range of 20 to 50% by weight, preferably 25 to 40% by weight. The concentration of the alkali metal hydroxide is preferably 20% or more from the viewpoint of the reaction yield, and is preferably 50% or less from the viewpoint of operability.
[0023]
The compound represented by the general formula (3) is obtained by the above reaction. Examples of the compound represented by the general formula (3) include 1,3-dimethyl-2-benzimidazolone, 1,3-dimethyl-5-nitro-2-benzimidazolone, and 1,3-dimethyl-5. -Methoxy-2-benzimidazolone, 1,3-dimethyl-5-methyl-2-benzimidazolone, 1,3-dimethyl-5-chloro-2-benzimidazolone, 1,3-dimethyl-5-bromo -2-benzimidazolone, 1,3-dimethyl-5-trifluoromethyl-2-benzimidazolone, 1,3-dimethyl-5-phenoxy-2-benzimidazolone, 1,3-dimethyl-5-phenyl -2-benzimidazolone, 1,3-diethyl-2-benzimidazolone, 1,3-diethyl-5-nitro-2-benzimidazolone, 1,3-diethyl-5-methoxy 2-benzimidazolone, 1,3-diethyl-5-methyl-2-benzimidazolone, 1,3-diethyl-5-chloro-2-benzimidazolone, 1,3-diethyl-5-bromo-2- Benzimidazolone, 1,3-diethyl-5-trifluoromethyl-2-benzimidazolone, 1,3-diethyl-5-phenoxy-2-benzimidazolone, 1,3-diethyl-5-phenyl-2- And benzimidazolone.
[0024]
Reaction temperature for producing a compound represented by the general formula (3) by reacting a compound represented by the general formula (1) with a compound represented by the general formula (2) in an aqueous solution of an alkali metal hydroxide. The reaction conditions such as reaction pressure and the like can be appropriately determined depending on the compound used. Usually, the reaction temperature is from 50 ° C. to the boiling temperature of the reaction mixture, and the reaction pressure is atmospheric pressure.
[0025]
When reacting the compound represented by the general formula (1) with the compound represented by the general formula (2) in an aqueous solution of an alkali metal hydroxide, the compound represented by the general formula (2) is usually A general method is to add a compound represented by the general formula (2) to a mixture containing the compound represented by the formula (1) and an aqueous solution of an alkali metal hydroxide. In particular, this method comprises reacting the compound represented by the general formula (4) with phosgene in an aqueous solvent without isolating the compound represented by the general formula (1), and isolating the compound represented by the general formula (1). This is advantageous when the compound represented by the general formula (2) is reacted in an aqueous solution of an alkali metal hydroxide to produce the compound represented by the general formula (3).
[0026]
Since the reaction between the compound represented by the general formula (1) and the compound represented by the general formula (2) in the presence of an alkali metal hydroxide is an exothermic reaction, the compound represented by the general formula (2) When the compound represented by the general formula (1) is reacted at a stretch, it is often difficult to control the reaction. Therefore, the compound represented by the general formula (2) is preferably reacted with the compound represented by the general formula (1) little by little.
[0027]
The above reaction proceeds in an uneven state from the start to the end of the reaction because the compounds represented by the general formula (1) and the compound represented by the general formula (3) have low solubility in water. If carried out, the compound represented by the general formula (3) can be obtained with high yield.
[0028]
The time course of the reaction can be monitored by removing a part of the reaction mixture and performing HPLC analysis.
[0029]
After completion of the reaction, the compound represented by the general formula (3) is recovered from the reaction mixture. As a method for recovering the compound represented by the general formula (3), for example, a compound represented by the general formula (3) is dissolved in a reaction mixture, and an organic solvent insoluble in water, such as an aromatic hydrocarbon, is added. Then, the compound represented by the general formula (3) is extracted into the organic solvent, and the organic layer containing the compound represented by the general formula (3) is dried and concentrated. A method in which an organic solvent that hardly dissolves the compound to be dissolved is added to crystallize the compound represented by the general formula (3), and then the crystals are recovered.
[0030]
【Example】
Hereinafter, the present invention will be described in more detail with reference to Examples, but the present invention is not limited to these Examples. The analysis of 1,3-dimethyl-2-imidazolinone was performed by liquid chromatography (hereinafter abbreviated as "HPLC"). Next, the analysis conditions are shown.
[0031]
Separation column; ODS eluent; acetonitrile: water: 85% phosphoric acid = 250: 750: 1 (vol / vol)
Flow rate; 1 ml / min UV detection wavelength; 254 nm
[0032]
Synthesis Example 1 Synthesis of 2-benzimidazolone 1 L 361 g of water and 52.2 g of 36% hydrochloric acid were placed in a reaction flask, and 55.2 g of orthophenylenediamine was charged and dissolved with stirring. 52.1 g of phosgene gas was blown into this solution over 80 minutes. During the injection of phosgene gas, 253.1 g of 25% sodium hydroxide was added dropwise while maintaining the pH of the reaction mass between 2.7 and 3.3, and the reaction temperature was maintained at 30 to 40 ° C. After completion of the blowing, nitrogen gas was blown thereinto to remove residual phosgene gas, followed by filtration, washing with water and drying to obtain 67.28 g of 2-benzimidazolone having a purity of 100% (yield based on orthophenylenediamine: 98.4%).
[0033]
Example 1 Synthesis of 1,3-dimethyl-2-benzimidazolinone A small reaction vessel was equipped with 2.00 g (0.0149 mol) of 2-benzimidazolone obtained in Synthesis Example 1 and 30 g of a 35% aqueous sodium hydroxide solution. The contents of the container were heated to 84 ° C. while stirring. While vigorously stirring the contents, 4.14 g (0.0328 mol) of dimethyl sulfuric acid was added dropwise over 10 minutes. The temperature of the contents during the addition was 84 to 98 ° C. After dropwise addition of dimethyl sulfuric acid, the mixture was further stirred at 84 to 98 ° C. for 1 hour, and the obtained reaction mixture was cooled to 60 ° C., and 20 g of toluene and 20 g of water were added thereto and stirred. After stirring, the mixture was allowed to stand, and the separated toluene layer was collected. A part of the toluene layer was analyzed by HPLC, and it was found that 2.341 g (0.0144 mol, 96.9% yield based on 2-benzimidazolone) of 1,3-dimethyl-2-benzimidazolinone was produced. confirmed.
[0034]
Example 2 Synthesis of 1,3-dimethyl-2-benzimidazolinone The temperature of the contents during the dropwise addition of dimethyl sulfate was 98 to 107 ° C, and the temperature of the reaction mixture during the stirring after the completion of the dropwise addition was 98 to 105 ° C. Except having changed, it carried out similarly to Example 1. HPLC analysis of the reaction mixture confirmed that 2,320 g (0.0143 mol, 96% yield based on 2-benzimidazolone) of 1,3-dimethyl-2-benzimidazolinone had been produced.
[0035]
Example 3 Synthesis of 1,3-dimethyl-2-benzimidazolinone Except that the temperature during the dropwise addition of dimethyl sulfate was changed to 31 to 33 ° C, and the temperature of the reaction mixture during stirring after the completion of the dropwise addition was changed to 40 to 50 ° C. Was performed in the same manner as in Example 1. From the results of the analysis, it was confirmed that 0.598 g (0.0037 mol, 24.7% yield based on 2-benzimidazolone) of 1,3-dimethyl-2-benzimidazolinone was produced.
[0036]
Example 4 Synthesis of 1,3-dimethyl-2-benzimidazolinone The same procedure as in Example 1 was carried out except that an aqueous solution of 13.5% by weight of sodium hydroxide was used. As a result of the analysis, it was confirmed that 0.904 g (0.0056 mol, 37.3% yield based on 2-benzimidazolone) of 1,3-dimethyl-2-benzimidazolinone was produced.
[0037]
Example 5 Synthesis of 1,3-dimethyl-2-benzimidazolinone A part of a reaction mass obtained by performing a reaction in the same manner as in Synthesis Example 1 and removing phosgene gas, 58.4 g (5.0 g of 2-benzimidazolone) , Containing 0.0372 mol) of sodium hydroxide was charged and dissolved. The temperature was raised to 58 ° C., and 10.35 g (0.0821 mol) of dimethyl sulfate was added dropwise thereto over 0.5 hours with vigorous stirring. Next, after stirring at 60 ° C. for 1.5 hours, 55 g of toluene and 80 g of water were charged and extraction and liquid separation were performed to obtain 58.83 g of a toluene layer. As a result of analyzing the toluene layer, it was confirmed that 5,353 g (0.033 mol, 88.5% yield based on 2-benzimidazolone) of 1,3-dimethyl-2-benzimidazolinone was produced.
[0038]
【The invention's effect】
According to the present invention, 1,3-dialkyl-2-benzimidazolinones can be obtained easily and in high yield using inexpensive dialkyl sulfates and alkali metal hydroxides.