JP2004216952A - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】電動パワーステアリング装置において、トルクセンサ3と目標電流値設定部16との間に伝達関数が(s2+2ζ2ω2s+ω2 2)/(s2+2ζ1ω1s+ω1 2)で表される位相補償器15を設け、以下のようにパラメータを設定することにより、トルク開ループ伝達関数のゲイン特性におけるピークを低減または打ち消しつつ機械系の固有振動に基づく不安定化を回避することで、安定性を確保しつつ応答性を改善する。ωm>ω1=ω2=2π・fp、2−1/2≦ζ1≦1、0<ζ2≦2−1/2。ここで、sはラプラス演算子、ζ1は補償後の減衰係数、ζ2は被補償系の減衰係数、ω1は補償後の自然角周波数、ω2は被補償系の自然角周波数、ωmは機械系固有振動の角周波数である。
【選択図】 図4
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両操舵のための操作に応じて電動モータを駆動することにより当該車両のステアリング機構に操舵補助力を与える電動パワーステアリング装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、運転者がハンドル(ステアリングホイール)に加える操舵トルクに応じて電動モータを駆動することによりステアリング機構に操舵補助力を与える電動パワーステアリング装置が用いられている。この電動パワーステアリング装置では、典型的には比例積分制御器により、トルクセンサからのトルク検出信号が示す操舵トルクに基づき設定される目標値の電流が電動モータに流れるように電流制御(フィードバック制御)が行われる。
【0003】
この比例積分制御器の比例ゲインおよび積分ゲイン(以下「PIゲイン」という)の値は、システム全体の応答性を上げるためには高い方が望ましい。しかし、電動パワーステアリング装置は、操舵トルクの検出のためにステアリングシャフトに介装されるトーションバーをバネ要素とし電動モータを慣性要素とする機械的な共振系を含んでいるため、上記PIゲインの値を高くしすぎると、その共振系の共振周波数すなわち電動パワーステアリング装置における機械系固有振動周波数の近傍(具体的には10〜25Hz近傍)でシステムが不安定(振動的)となりやすくなる。したがって従来では、PIゲインの値はあまり高く設定することなくシステム全体の応答性を犠牲にしてシステムを安定化し、さらに実用周波数帯域における位相特性を改善するために位相補償器が設けられている。具体的には、トルクセンサからのトルク検出信号が位相補償器に与えられ、位相補償器によりトルク検出信号の位相が進められることにより実用周波数帯域におけるシステム全体の応答性が向上する。
【0004】
しかし、位相補償器は、対象とする制御系の位相特性の改善を主目的としており、これによりゲイン特性が高くなる周波数帯域については、ローパスフィルタを更に追加するというような対処療法的な設計手法が採られることも少なくない。この場合、位相補償器の次数が高くなり、制御装置の主要部がマイクロコンピュータで実現される場合には、そのマイクロコンピュータにおける演算負荷が過大になるという問題があった。
【0005】
一方、位相補償の設計指針として、位相補償器の伝達関数とパラメータを下記のように与える従来技術も知られている。
(s2+2ζ2ω2s+ω2 2)/(s2+2ζ1ω1s+ω1 2) …(1)
0<ζ1<1 …(2)
0<ζ2<1 …(3)
ここで、sはラプラス演算子(微分演算に相当するラプラス変換の変数)、ζ1は補償後の減衰係数、ζ2は被補償系の減衰係数、ω1は補償後の自然角周波数、ω2は被補償系の自然角周波数である。
【0006】
また、トルクセンサの後段に以下の伝達関数で表される安定化補償器を設け、安定性と応答性を改善する提案がされている(例えば特許文献1参照)。
(s2+2a1s+a2)/(s2+2b1s+b2) …(4)
ここで、sはラプラス演算子であり、a1、a2、b1およびb2は慣性要素とバネ要素からなる機械共振系の共振周波数に応じて決定されるパラメータである。
【0007】
【特許文献1】
特開平8−290778号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記のような従来技術では、伝達関数のパラメータの自由度が大きく、最適な値が特定されていない。そのため、パラメータの設定によっては、次のような問題が生じる。
【0009】
ω1>ω2と設定した場合において、電動パワーステアリング装置における機械系固有振動の角周波数ωmが補償後の自然角周波数ω1よりも低いと(ωm<ω1)、電動パワーステアリング装置がシステム全体として不安定(振動的)となりやすい。また、補償後の減衰係数ζ1を0<ζ1<2−1/2と設定した場合にも不安定となりやすい。さらに、被補償系の減衰係数ζ2を2−1/2<ζ2<1と設定した場合にも、十分な位相補償をすることができないことから不安定になりやすい。
【0010】
本発明は、上記問題を解決すべくなされたものであって、位相補償器の次数を高くすることなく制御系としての安定性を確保しつつ応答性を改善した電動パワーステアリング装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
第1の発明は、車両操舵のための操作に応じて電動モータの駆動を制御する制御装置を備え、当該制御装置による制御の下に前記電動モータを駆動することによって当該車両のステアリング機構に操舵補助力を与える電動パワーステアリング装置であって、
前記制御装置は、下記の式で表される伝達関数Gc(s)を有する位相補償手段を備え、当該伝達関数Gc(s)のパラメータζ2およびω2は、当該電動パワーステアリング装置のトルク開ループ伝達関数のゲイン特性において機械系固有振動と前記モータの逆起電力とに基づき現れるピークを低減または打ち消すような値に設定されていることを特徴とする:
Gc(s)=(s2+2ζ2ω2s+ω2 2)/(s2+2ζ1ω1s+ω1 2)
ここで、ζ1は補償後の減衰係数、ζ2は被補償系の減衰係数、ω1は補償後の自然角周波数、ω2は被補償系の自然角周波数で、前記伝達関数Gc(s)のパラメータである。
【0012】
このような第1の発明によれば、トルク開ループ伝達関数のゲイン特性において機械系固有振動とモータの逆起電力とに基づき現れるピークが位相補償手段によって低減または打ち消されることで、安定性を確保しつつ応答性を改善することが可能となる。なお、当該位相補償手段の入出力定常ゲインを1とすべく、下記式のように、Gc(s)においてゲイン補正係数としてω1 2/ω2 2を乗じた形態をとることもできる。
Gc(s)=ω1 2(s2+2ζ2ω2s+ω2 2)/{ω2 2(s2+2ζ1ω1s+ω1 2)}
【0013】
第2の発明は、第1の発明において、
前記位相補償手段の伝達関数Gc(s)のパラメータζ1およびζ2は、下記の式を満たすように設定されていることを特徴とする。
2−1/2≦ζ1≦1、
0<ζ2≦2−1/2
【0014】
このような第2の発明によれば、被補償系の減衰係数となるべきパラメータζ2が0<ζ2≦2−1/2の範囲から選定されるので、十分な位相補償をおこなうことができ、補償後の減衰係数となるべきパラメータζ1が2−1/2≦ζ1≦1の範囲から選定されるので、位相補償により安定性を確保しつつ応答性を改善することができる。
【0015】
第3の発明は、第2の発明において、
前記位相補償手段の伝達関数Gc(s)のパラメータω1およびω2は、下記の式を満たし、かつ、前記トルク開ループ伝達関数のゲイン特性における前記ピークの周波数をfpとしたとき共に2π×fp近傍の値となるように設定されていることを特徴とする。
ω1=ω2
【0016】
このような第3の発明によれば、ω1=ω2とすることで位相補償の設計パラメータが1つ削減され、かつ、補償後の自然角周波数となるべきパラメータω1が2π×fp近傍の値となることで機械系固有振動による不安定化が防止されるので、位相補償の設計を簡易化しつつ制御系の更なる安定化を図ると共に応答性を改善することができる。
【0017】
第4の発明は、第2または第3の発明において、
前記位相補償手段の伝達関数Gc(s)のパラメータω1は、下記の式を満たすように設定されていることを特徴とする:
ω1<ωm
ここで、ωmは前記機械系固有振動の角周波数である。
【0018】
このような第4の発明によれば、補償後の自然角周波数となるべきパラメータω1が機械系固有振動の角周波数ωmよりも小さいので、機械系の固有振動による制御系の不安定化が防止され、より確実に安定性を保持しつつ応答性を改善することが可能となる。
【0019】
【発明の実施の形態】
<0.基礎検討>
まず、本発明に際してなされた基礎検討について説明する。
【0020】
電動パワーステアリング装置の制御設計における位相補償に関する既述の従来技術は、機械的な共振周波数である機械系固有振動周波数のピーク(以下「機械系ピーク」という)を補償するものとして提案されているが、これにはモータにおける逆起電力の影響が考慮されていない。すなわち、電動パワーステアリング装置のシステムとしてのゲイン特性すなわちトルク開ループ伝達関数のゲイン特性におけるピーク(以下「システムピーク」という)が機械系ピークであるとみなされていた。しかし、下記のシミュレーションを行った結果、モータにおける逆起電力がシステムの特性に与えている影響は大きいものであり、機械系ピークとシステム全体のピーク(システムピーク)とは別の周波数であることが判明した。このことについて図1を参照しつつ説明する。なお、トルク開ループ伝達関数とは、モータが発生すべきトルクの目標値を入力とし、舵角を(例えばハンドルを中立位置に)固定した状態でモータが実際に発生するトルク(以下「モータトルク」という)を出力とする伝達関数をいう。そして、モータが発生すべきトルクの目標値は電流制御系における電流目標値に対応し、モータトルクはモータに実際に流れる電流に対応するので、トルク開ループ伝達関数は、舵角を固定した状態の電動パワーステアリング装置において電流目標値を入力とし実際にモータに流れる電流を出力とする伝達関数に相当する。
【0021】
図1は、ブラシレスモータを用いた電動パワーステアリング装置のトルク開ループ伝達関数のボード線図(ゲイン特性図および位相特性図)をシミュレーション(数値実験)により求めたものであって、同モータのd軸およびq軸電流制御系において非干渉化をおこなった場合と非干渉化をおこなわなかった場合とについてのボード線図を示している。非干渉化をおこなうことにより、逆起電力による影響を取り除き、機械系の特性を得ることができる。なお、このシミュレーションの際の条件は下記の通りである。
モータ出力側の慣性: Im=7.89×10−5[N・m・s2/rad]、
モータ出力側の粘性: Cm=1.39×10−3[N・m・s/rad]、
減速器の減速比: n=9.7、
トーションバーの弾性: K=162.95[N・m/rad]、
モータのトルク定数: KT=5.12×10−2[N・m/A]、
モータのインダクタンス:L=9.2×10−5[H]、
モータの抵抗: R=6.1×10−2[Ω]、
モータの極対数: P=4、
逆起電力定数: φfp=4.93×10−2[V・s/rad]、
PI制御部の比例ゲイン:Kp=L×(2π×75)、
PI制御部の積分ゲイン:Ki=R×(2π×75)。
【0022】
図1のゲイン特性を示す図に着目する。図1において、曲線aは非干渉化をおこなっていない場合のゲイン特性を示しており、そのピーク周波数すなわちシステムピークの周波数(以下「システムピーク周波数」または単に「ピーク周波数」といい、記号“fp”で表すものとする)は約17Hzである。曲線bは非干渉化をおこなった場合のゲイン特性を示しており、ピーク周波数fpは約22Hzである。また、曲線cは弾性・慣性のみのゲイン特性すなわち機械的要素のみのゲイン特性を示しており、このピーク周波数も約22Hzとなっている。したがって、機械系ピークの周波数(以下「機械系ピーク周波数」といい、記号“fm”で表すものとする)は約22Hzであり、システムピークが機械系ピークとは異なる周波数にあることがわかる。
【0023】
次に、上記電動パワーステアリング装置において位相補償をおこなった場合のトルク開ループ伝達関数のゲイン特性を示す図2に着目する。図2において、曲線dは位相補償なしの場合のゲイン特性を示しており、図1における曲線a(非干渉化をおこなっていない場合のゲイン特性を示す曲線)に相当し、曲線dが示すゲイン特性におけるピークPは、前述のとおり、逆起電力の影響を反映したピークである。そして、このピークPは、機械系ピークPm(これは図1における曲線bまたは曲線cのピークに相当する)よりも低い周波数にある。
【0024】
既述の従来技術では、逆起電力の影響が考慮されていなかったため、上記ピークPを機械系ピークPmと見なし、このピークPを打ち消すべく位相補償が行われていた。このため、位相補償器の設計によっては、位相補償後も機械系ピークPmの影響によってシステム全体が不安定化する(振動的となる)ことがあった。そこで、本発明に係る電動パワーステアリング装置では、逆起電力の影響によってシステム全体のゲイン特性のピークPが機械系ピークPmと異なる点を考慮して位相補償器が設計される。以下、このような本発明の実施形態につき図面を参照しつつ説明する。
【0025】
<1.第1の実施形態>
<1.1 全体構成>
図3は、本発明の第1の実施形態に係る電動パワーステアリング装置の構成を、それに関連する車両構成と共に示す概略図である。この電動パワーステアリング装置は、操舵のための操作手段としてのハンドル(ステアリングホイール)100に一端が固着されるステアリングシャフト102と、そのステアリングシャフト102の他端に連結されたラックピニオン機構104と、ハンドル100の操作によってステアリングシャフト102に加えられる操舵トルクを検出するトルクセンサ3と、ハンドル操作(操舵操作)による運転者の負荷を軽減するための操舵補助力を発生させる電動モータ6と、そのモータ6の発生する操舵補助力をステアリングシャフト102に伝達する減速ギヤ7と、車載バッテリ8から電源の供給を受けて、トルクセンサ3や車速センサ4からのセンサ信号に基づきモータ6の駆動を制御する電子制御ユニット(ECU)5とを備えている。このような電動パワーステアリング装置を搭載した車両において運転者がハンドル100を操作すると、その操作による操舵トルクがトルクセンサ3によって検出され、その操舵トルクTsの検出値と車速センサによって検出された車速の検出値とに基づいてECU5によりモータ6が駆動される。これによりモータ6は操舵補助力を発生し、この操舵補助力が減速ギヤ7を介してステアリングシャフト102に加えられることにより、操舵操作による運転者の負荷が軽減される。すなわち、ハンドル操作によって加えられる操舵トルクTsとモータ6の発生する操舵補助力によるトルク(以下「操舵補助トルク」という)Taとの和が、出力トルクTbとして、ステアリングシャフト102を介してラックピニオン機構104に与えられる。これによりピニオン軸が回転すると、その回転がラックピニオン機構104によってラック軸の往復運動に変換される。ラック軸の両端はタイロッドおよびナックルアームから成る連結部材106を介して車輪108に連結されており、ラック軸の往復運動に応じて車輪108の向きが変わる。
【0026】
<1.2 制御装置の構成および関連動作>
図4は、本発明に係る電動パワーステアリング装置の制御装置としてのECU5を中心とする要部構成を示すブロック図である。この電動パワーステアリング装置は、上記のように電動モータ6を駆動制御するためのECU5を備えている。ECU5には、ハンドル100に加えられた操舵トルクを検出するトルクセンサ3および車速を検出する車速センサ4の出力信号が与えられている。
【0027】
ECU5は、マイクロコンピュータを含む構成であって、このマイクロコンピュータがプログラム処理を実行することにより、複数の機能処理部を実質的に有している。複数の機能処理部は、トルクセンサ3の出力信号であるトルク信号に対してフィルタリング処理を行うことにより位相補償を行う位相補償器15と、この位相補償器15を通過した後のトルク信号および車速センサ4から出力される車速信号に応じた目標電流値を設定する目標電流値設定部16と、目標電流値設定部16によって設定された目標電流値に基づいて電動モータ6をフィードバック制御するモータ制御部17とを含んでいる。
【0028】
トルクセンサ3は、ハンドル100の操作によって与えられる操舵トルクTsを検出する。すなわち、ステアリングシャフト102におけるハンドル側の部分と減速ギヤ7を介して操舵補助トルクTaの加えられる部分との間にトーションバーが介装されており、トルクセンサ3は、そのトーションバーのねじれを検出することにより操舵トルクTsを検出する。このようにして検出された操舵トルクTsの検出値は、操舵トルク検出信号(以下、これも符号“Ts”で示すものとする)としてトルクセンサ3から出力され、ECU5内の位相補償器15に入力される。
【0029】
位相補償器15は、この操舵トルク検出信号Tsに対して位相補償のためのフィルタリング処理を施し、その処理後の信号を出力する。一方、車速センサ4は、この電動パワーステアリング装置が搭載される車両の車速を検出し、その検出値を示す信号を車速信号として出力する。目標電流値設定部16は、位相補償のためのフィルタリング処理後の信号と上記車速信号とに基づき、モータ6に供給すべき電流の目標値を算出し、目標電流値Itとして出力する。モータ制御部17は、目標電流値設定部16が出力した目標電流値Itを受け取り、その目標電流値Itに対し、実際にモータ6に流れる電流値Isが一致するように電流制御をおこなう。その電流制御としては、例えば、目標電流値Itと実電流値Isとの偏差が打ち消されるようにモータ6に印加すべき電圧の指令値を算出する比例積分制御がおこなわれる。モータ制御部17は、その電圧指令値に応じてモータ6に電圧を印加する。
【0030】
モータ6は、その電圧印加によって流れる電流に応じた操舵補助力としてのトルクTmを発生し、このトルクTmは、減速ギヤ7を介し操舵補助トルクTaとしてステアリングシャフト102に伝達される。
【0031】
<1.3 位相補償器>
電動パワーステアリング装置のシステム全体としての特性を示すトルク開ループ伝達関数の周波数特性は、実用的な周波数帯域においては2次遅れ系の伝達関数で近似できることが知られている。図2は、本実施形態に係る電動パワーステアリング装置において、位相補償をおこなわない場合と本発明に係る位相補償をおこなった場合のボード線図である。図2においても、2次遅れ系の伝達関数の特徴が表れている。
【0032】
まず、位相補償をおこなわない場合について説明する。曲線dは、位相補償をおこなわない場合のゲイン特性を示しており、この曲線dから、システム全体のゲイン特性を示すトルク開ループ伝達関数のゲイン特性のピーク周波数fpは約17Hzであって、そのときのゲインは約9dBとなっており、安定性が低いことがわかる。また、位相補償をおこなわない場合の位相特性を示す曲線fより、20Hz〜30Hz付近で位相の遅れが大きくなっていることがわかる。2次遅れ系の伝達関数G(s)の一般式を次式に示す。
G(s)=ωn 2/(s2+2ζ2ωns+ωn 2) …(5)
ただし、sはラプラス演算子、ζ2は減衰係数、ωnは自然角周波数である。
【0033】
位相補償器15の伝達関数Gc(s)は、被補償系を示す上記2次遅れ系の伝達関数G(s)のゲイン特性におけるピークであるシステムピークPを打ち消すべく設定されるものであって、本実施形態では次式で与えられる。
Gc(s)=(s2+2ζ2ω2s+ω2 2)/(s2+2ζ1ω1s+ω1 2)…(6)
ただし、sはラプラス演算子、ζ1は補償後の減衰係数、ζ2は被補償系の減衰係数、ω1は補償後の自然角周波数、ω2は被補償系の自然角周波数である。本実施形態は、所望の周波数特性を有する制御系を実現する上で効果的にパラメータが設定される位相補償器を備えた電動パワーステアリング装置を提供するものである。
【0034】
ここで、被補償系のゲイン特性においてピークが存在する場合、その伝達関数G(s)を表す式(5)におけるパラメータζ2がζ2<2−1/2となることが知られている。したがって、位相補償器15の伝達関数を表す式(6)のパラメータζ2を次式で示される範囲から選定すると、十分な位相補償をすることができず、その結果、電動パワーステアリング装置が制御系として不安定(振動的な系)になりやすい。
2−1/2<ζ2<1 …(7)
したがって、位相補償器15の伝達関数におけるパラメータζ2は上記式(7)で示される範囲以外から選定すべきである。
【0035】
また、位相補償器15による補償後の減衰係数ζ1は、次式で表される範囲で選定されると、既述のように、補償後のゲイン特性においてピークが存在し補償後の制御系が不安定となりやすい。
0<ζ1<2−1/2 …(8)
したがって、位相補償器15の伝達関数におけるパラメータζ1は上記式(8)で示される範囲以外から選定すべきである。
【0036】
そこで本実施形態では、式(6)で表される伝達関数Gc(s)を有する位相補償器15のパラメータζ1およびζ2を、下記の式が満たされるように設定する。
2−1/2≦ζ1≦1 …(9)
0<ζ2≦2−1/2 …(10)
このように設定することにより、安定性を確保しつつ応答性を改善することができる。
【0037】
また、前述のようにシステム全体のピーク周波数fpと機械系ピーク周波数fmとは異なっており、機械系ピーク周波数fmの方がシステムピーク周波数fpよりも高くなっている。そのためω1近傍の周波数帯域で不安定(振動的な系)とならないようにするためには、機械系固有振動の角周波数ωmにおいてゲインが十分に低下している必要がある。ωm<ω1であれば、ωmにおいてゲインが十分に低下せずω1近傍の周波数帯域で振動的な系となる。したがって、機械系ピークを効果的に補償するために位相補償器15のパラメータω1を下記の式が満たされるように設定するのが好ましい。
ωm>ω1 …(11)
【0038】
以上のように設定すると(式(9)〜(11))、図2において曲線eで示すようなゲイン特性および曲線gで示すような位相特性が得られる。これらより、上記設定による位相補償によれば、ゲインのピーク値が大きく低下し、20Hz付近での位相の遅れが改善されることがわかる。
【0039】
<1.4 効果>
以上のような本実施形態によれば、位相補償設計の簡易化を図りつつ、制御系の安定性を確保すると共に応答性を向上させて所望の周波数特性のトルク開ループ伝達関数を得ることができる。また、本実施形態によれば、式(6)の伝達関数Gc(s)の位相補償器以外にローパスフィルタ等を位相補償器に追加することなく制御系の安定性を確保することができるので、位相補償器の次数を高くすることなく安定性と応答性の双方を向上させることが可能となる。
【0040】
<2.第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。本実施形態は、位相補償器の構成を除けば第1の実施形態と同様であるので、同一または対応する部分には同一の参照符号を付して説明を省略し、以下では、本実施形態における位相補償器15について説明する。なお、本実施形態においても、電動パワーステアリング装置のシステム全体の特性を示すトルク開ループの伝達関数G(s)は、式(5)で近似できるものとし、位相補償器15の伝達関数Gc(s)は式(6)で与えられるものとする。
【0041】
<2.1 位相補償器>
上記第1の実施形態よりもさらに好適な補償器設計を実現するために、まず式(6)で表される伝達関数Gc(s)におけるω1とω2について検討する。ω1は補償後の自然角周波数、言い換えれば目標の自然角周波数である。ここで、ω1とω2が異なるということは、被補償系の自然角周波数が、目標の自然角周波数になっていないということである。電動パワーステアリング装置の制御系における位相補償では、被補償系の自然角周波数と目標の自然角周波数とが同じであることが望ましいので、ω1=ω2とする。ここで、ωn=ω1=ω2とおき、以下、これを「補償器自然角周波数」というものとする。そして、システム全体のゲイン特性を示すトルク開ループ伝達関数のゲイン特性におけるピーク周波数fpに対して、補償後の自然角周波数ωnをωn=2π・fpと設定すれば、機械系ピークPmに対応する角周波数ωmでのゲインは十分に小さい値となり、機械系ピークPmの影響によるシステムの不安定化(振動的となること)が回避される。また、第1の実施形態の説明において既述しているとおり、機械系ピークPmの影響によって振動的な系とならないようにωm>ω1とするのが好ましい。
【0042】
そこで、本実施形態では、位相補償器15の伝達関数のパラメータを下記の式が満たされるように設定する。
ωm>ω1=ω2=ωn …(12)
ωn=2π・fp …(13)
2−1/2≦ζ1≦1 …(14)
0<ζ2≦2−1/2 …(15)
【0043】
このようにω1とω2を同じ値に設定することにより、設計パラメータが1つ削減され、効果的かつ簡単に応答性と安定性を満足させることができる。なお、上記式(14)、(15)は、第1の実施形態における位相補償器15におけるパラメータ設定のための式(9)、(10)にそれぞれ対応するものである。
【0044】
また、ωn=2π・fpのfp(以下、これをシステムピーク周波数fpと区別するために記号“fn”で表し、「補償器自然周波数」という)については、ピーク周波数fpと同一の値でなくてもピーク周波数fpの近傍の値であれば十分に実用的である。したがって、補償器自然角周波数ωnは次式のように設定してもよい。
2π×(fp−α)≦ωn≦2π×(fp+β) …(16)
ここでαおよびβは、fpの値によって変動するパラメータである。αおよびβの値の設定方法については以下の変形例にて説明する。なお、αおよびβの値は、以下の変形例に限定されるものではなく、実用上十分な周波数特性が得られる値であればよい。
【0045】
<2.2 効果>
以上のような本実施形態によれば、位相補償器を上記のように設計することで、位相補償器の次数を高くすることなく、位相補償設計の更なる簡易化を図りつつ、制御系の安定性を確保すると共に応答性を向上させて所望の周波数特性のトルク開ループ伝達関数を得ることができる。
【0046】
<3.第1の変形例>
上述のように、補償器自然周波数fnはピーク周波数fpと同一の値でなくてもピーク周波数fpの近傍の値であれば十分に実用的(有効)である。そこで、上記第2の実施形態における式(16)のパラメータであるαおよびβを、特定の係数を掛けて算出する変形例を説明する。
【0047】
αおよびβは、fpに特定の係数を掛けて算出する。例えば、α=fp×0.1、β=fp×0.2、fp=16Hzとする。この場合、α=fp×0.1=1.6Hz、β=fp×0.2=3.2Hzとなり、補償器自然角周波数ωn=2π・fpは次式で与えられる。
2π×(16−1.6)Hz≦ωn≦2π×(16+3.2)Hz
すなわち
2π×14.4Hz≦ωn≦2π×19.2Hz
である。
【0048】
<4.第2の変形例>
第2の実施形態に係る式(16)のパラメータであるαおよびβを、予め作成されたマップに基づいて決定するようにしてもよい。この場合、αおよびβとして、ピーク周波数fpに応じてマップから対応する値を得る。
【0049】
ここで、例えば、図5に示したマップが作成されており、fp=40Hzとする。この場合、図5よりピーク周波数fp=40Hzに対応するαは2.0Hz、βは4.0Hzである。したがって補償器自然角周波数ωnは次式で与えられる。
2π×(40−2.0)Hz≦ωn≦2π×(40+4.0)Hz
すなわち
2π×38Hz≦ωn≦2π×44Hz
である。
【0050】
<5.その他の変形例>
上記各実施形態では、トルクセンサ3からの操舵トルク検出信号Tsに対して所定のフィルタリングを行うこと等により、操舵トルク検出信号Tsに基づき位相補償を行っているが(図4)、他の信号に基づいて位相補償を行う構成であってもよい。
【0051】
なお、電動パワーステアリング装置における駆動源としてはブラシ付きモータが使用されることが多いが、本発明は、駆動源をブラシ付きモータに限定するものではなく、ブラシレスモータを駆動源とする電動パワーステアリング装置にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】電動パワーステアリング装置におけるトルク開ループ伝達関数の特性をシミュレーションにより求めたものであって、非干渉化をおこなった場合と非干渉化をおこなわなかった場合とについてのボード線図である。
【図2】電動パワーステアリング装置において位相補償をおこなわない場合のボード線図、および、本発明に係る位相補償をおこなった場合のボード線図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る電動パワーステアリング装置の構成をそれに関連する車両構成と共に示す概略図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る電動パワーステアリング装置の要部構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の第2の実施形態の変形例における位相補償器のパラメータ(補償器自然角周波数)を設定するためのマップを示す図である。
【符号の説明】
3 …トルクセンサ
4 …車速センサ
5 …EUC(制御装置)
6 …電動モータ
7 …減速ギヤ
8 …バッテリ
15…位相補償器
16…目標電流値設定部
17…モータ制御部
Ts…操舵トルク(操舵トルク検出信号)
fp …システムピーク周波数
fm …機械系ピーク周波数
P …システムピーク
Pm…機械系ピーク
Claims (4)
- 車両操舵のための操作に応じて電動モータの駆動を制御する制御装置を備え、当該制御装置による制御の下に前記電動モータを駆動することによって当該車両のステアリング機構に操舵補助力を与える電動パワーステアリング装置であって、
前記制御装置は、下記の式で表される伝達関数Gc(s)を有する位相補償手段を備え、当該伝達関数Gc(s)のパラメータζ2およびω2は、当該電動パワーステアリング装置のトルク開ループ伝達関数のゲイン特性において機械系固有振動と前記モータの逆起電力とに基づき現れるピークを低減または打ち消すような値に設定されていることを特徴とする電動パワーステアリング装置:
Gc(s)=(s2+2ζ2ω2s+ω2 2)/(s2+2ζ1ω1s+ω1 2)
ここで、ζ1は補償後の減衰係数、ζ2は被補償系の減衰係数、ω1は補償後の自然角周波数、ω2は被補償系の自然角周波数で、前記伝達関数Gc(s)のパラメータである。 - 前記位相補償手段の伝達関数Gc(s)のパラメータζ1およびζ2は、下記の式を満たすように設定されていることを特徴とする、請求項1に記載の電動パワーステアリング装置。
2−1/2≦ζ1≦1、
0<ζ2≦2−1/2 - 前記位相補償手段の伝達関数Gc(s)のパラメータω1およびω2は、下記の式を満たし、かつ、前記トルク開ループ伝達関数のゲイン特性における前記ピークの周波数をfpとしたとき共に2π×fp近傍の値となるように設定されていることを特徴とする、請求項2に記載の電動パワーステアリング装置。
ω1=ω2 - 前記位相補償手段の伝達関数Gc(s)のパラメータω1は、下記の式を満たすように設定されていることを特徴とする、請求項2または3に記載の電動パワーステアリング装置:
ω1<ωm
ここで、ωmは前記機械系固有振動の角周波数である。
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