JP2004216249A - 油汚染環境修復剤、油汚染環境修復方法 - Google Patents
油汚染環境修復剤、油汚染環境修復方法 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】油汚染土壌等の油汚染環境を修復させることができる油汚染環境修復剤、油汚染環境修復方法を提供する。
【解決手段】油汚染環境修復剤は、鶏糞等の家畜糞を熱処理により炭化して形成された炭化家畜糞を主成分とする。鶏糞等の家畜糞を熱処理により炭化して形成された炭化家畜糞を主成分とする油汚染環境修復剤を、油汚染された土壌に設置する。
【選択図】図1
【解決手段】油汚染環境修復剤は、鶏糞等の家畜糞を熱処理により炭化して形成された炭化家畜糞を主成分とする。鶏糞等の家畜糞を熱処理により炭化して形成された炭化家畜糞を主成分とする油汚染環境修復剤を、油汚染された土壌に設置する。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は油汚染環境修復剤、油汚染環境修復方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
人為的な活動により、油類等の有害物質や難分解性物質によって土壌が汚染され、環境問題を引き起こしている。近年、土壌汚染の浄化・修復技術として、バイオメディレーションが着目されている。この技術は、微生物の働きによって、汚染物質を無機化し無毒化させることにより、汚染土壌を浄化させるという方法である。この場合、微生物の働きを活性化させるために、微生物の栄養源となり得る各種無機塩類を土壌中に水溶液として投入している。また従来、鶏糞を炭化させた炭化鶏糞を敷料として再利用する技術が開示されている(特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】特開2002−176869号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記した実情に鑑みてなされたものであり、家畜糞を有効利用し、油汚染土壌等の油汚染環境を修復させることができる油汚染環境修復剤、油汚染環境修復方法を提供することを課題とするにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る油汚染環境修復剤は、家畜糞を熱処理により炭化して形成された炭化家畜糞を主成分とすることを特徴とするものである。
【0006】
本発明に係る油汚染環境修復方法は、家畜糞を熱処理により炭化して形成された炭化家畜糞を主成分とする油汚染環境修復剤を、油汚染された土壌に設置することを特徴とするものである。
【0007】
鶏糞等の鳥糞に代表される家畜糞(動物糞)は、植物や微生物の栄養となり得る窒素、リン、カリウム等の栄養成分を含む。従って、家畜糞を熱処理により炭化させて形成された炭化家畜糞は、栄養成分は多い。
【0008】
また家畜糞を熱処理により炭化して形成された炭化家畜糞は、多数の細孔を有する多孔質であり、微生物の住処となり得、微生物の繁殖、活性化に有利であり、そればかりか栄養成分が水等に溶けた溶液を細孔に長期にわたり保持する効果も期待できる。従って、油汚染の除去に有効な微生物の繁殖、活性化を長期にわたり維持することができる。このような炭化家畜糞を主成分とする油汚染環境修復剤を油汚染土壌に設置すれば、土壌中の微生物が活性化し、油汚染土壌において油分の分解速度を速めることができる。更に炭化家畜糞を主成分とする油汚染環境修復剤は窒素、リン、カリウム等の栄養成分を多く含むため、油汚染土壌の修復の終了後には肥料としての効果も期待できる。
【0009】
【発明の実施の形態】
熱処理は、一般的には、空気よりも低酸素状態または無酸素状態で家畜糞を高温に蒸し焼き状態に加熱することにより行われる。家畜糞としては鶏糞等の鳥糞が代表的なものであるが、場合によっては、牛糞、豚糞、馬糞等も挙げられる。鶏糞等の鳥糞は一般的には牛糞、豚糞等に比較して栄養成分が多いとされている。油汚染環境修復剤は、家畜糞を熱処理で炭化させた炭化家畜糞を主成分とする。主成分とするとは、油汚染環境修復剤を重量比で100%としたとき、炭化鶏糞等の炭化家畜糞を30%以上含む意味である。従って油汚染環境修復剤は重量比で炭化家畜糞を50%以上、60%以上、70%以上、80%以上含むことができる。炭化家畜糞を主成分とする油汚染環境修復剤と他の油汚染環境修復剤とを混ぜて使用しても良い。なお、油汚染環境修復剤となる炭化家畜糞に予め微生物を担持させておいても良い。この場合、環境修復の短時間化に有利となる。ここで、油汚染環境修復剤を重量比で100%としたとき、重量比で炭素を30%以上含むことができる。また油汚染環境修復剤は、窒素、リン成分、カリウム成分、ナトリウム成分、マグネシウム成分、カルシウム成分、鉄成分、マンガン成分、亜鉛成分のうちの1種または2種以上を含むことができる。
【0010】
油汚染環境修復剤の形態は特に限定されるものではなく、粒状、粉末状、ペレット状とすることができ、あるいは、バインダ等でれんが状等の塊状化することもでき、サイズとして平均で1μm〜20cm、5μm〜20cm、10μm〜5cm、10μm〜1cm等を例示することができるが、これらに限定されるものではない。油汚染環境修復剤については、細孔の細孔容積としては、例えば0.1〜10cc/g、0.2〜5cc/g、0.2〜2cc/g(水銀圧入法)とすることができ、比表面積としては例えば0.5〜500m2/g、1〜300m2/g、1〜100m2/g(水銀圧入法)とすることができるが、これらに限定されるものではない。油汚染された環境に油汚染環境修復剤を設置するにあたり、油汚染土壌等の汚染環境中に油汚染環境修復剤を埋設して用いても良いし、散布して用いても良い。
【0011】
【実施例】
本発明の実施例について比較例と共に説明する。まず、園芸用の培養土3kgに機械油を150g添加して模擬汚染土壌を作成した。これを園芸用6号ポットに充填した。処理区として、炭化鶏糞を54g(肥料としての利用時の量に基づく)添加した炭化鶏糞区(実施例)、何も添加しない土壌のみの無添加区(比較例1)、NH4NO3を64.3g、KH2PO4を19.7g(バイオレメディエーション標準量)添加した栄養塩類区(比較例2)を設けた。上記した炭化鶏糞は、乾燥鶏糞、または乾燥鶏糞のペレットを700〜900℃(炭化温度)で低酸素状態で5〜30分間むし焼きして熱処理し、粒状(平均粒径:1〜15mm)のものであり、土壌の全層に混合した。表1は、炭化鶏糞を燃やして灰分とした状態における成分含有量を示す。この場合、灰分を分析しているため、酸化物の形態で示されているが、炭化鶏糞の形態では各栄養成分は必ずしも酸化物の形態で含有されているものではない。なお、表1に示す含有量の残部は、主として揮発分である水素や酸素、微量に硫黄や塩素等である。表1に示すように、炭化鶏糞は、栄養成分となり得る窒素、リン成分、カリウム成分、ナトリウム成分、マグネシウム成分、カルシウム成分、鉄成分、マンガン成分、亜鉛成分を含む。
【0012】
【表1】
【0013】
栄養塩類については、水溶液にして土壌に添加した。灌水方法としては、実施例,比較例1,2共に、土壌の表面が乾燥したらシャワー状のホースで5秒間水を土壌表面に供給し、土壌中の水分量がなるべく一定となるようにした。また1週間に1度、ポット内で土壌を攪拌させ、土壌中に空気を混合させた。試験開始から7日、14日、30日、60日後にポットの土壌をサンプリングし、n−ヘキサン抽出法にて土壌中の油の含有量を測定した。その測定結果に基づいて土壌中の油分解率を求めた。油分解率の結果を図1に示す。図1において■印は炭化鶏糞区の結果を示し、◆印は無添加区の結果を示し、○印は栄養塩類区の結果を示す。
【0014】
図1に示すように、比較例1に係る無添加区においても、油分解率が得られた。これは土壌中の微生物によるものと推察される。これが油汚染に対する自然分解速度となる。図1に示すように、すべてのサンプリング日において、実施例に係る炭化鶏糞区の油分解率は、比較例1,2に係る処理区よりも高かった。即ち、実施例に係る炭化鶏糞区の油分解率は、比較例1に係る無添加区よりも20〜25%程度高かった。殊に、試験開始から30〜40日までの短期間において、油分解率を80%以上に到達させることができ、速効性を示すことができる。
【0015】
これに対して、比較例2に係る栄養塩類区は、開始7日後には無添加区よりも油分解率が高かく、実施例に係る炭化鶏糞区に準じる程度の油分解率が得られたが、それ以降のサンプリング日では油分解率が最も低かった。比較例2に係る栄養塩類区については、初期の段階では油分解率が良好であるものの、栄養塩類が灌水と共にポット外に流れ出てしまったため、微生物の活性に必要な栄養源が欠乏したためと推察される。このため従来から使用されている栄養塩類は、土壌中に繰り返して複数回添加しないと、改善効果が得にくいものと推察される。
【0016】
■印で示す実施例では、炭化鶏糞を油汚染土壌に添加したことにより、上記した自然分解速度よりも速く分解されたことから、炭化鶏糞は、土壌中の油を速く分解し、土壌の修復速度を速めることに有効であることがわかる。更に、実施例に係る炭化鶏糞区は、比較例2に係る栄養塩類区に比べて、高い油分解率が長期にわたり持続していることから、炭化鶏糞は土壌に栄養を持続的に供給し、土壌中の微生物の活性状態を長期にわたりを持続することができるものと推察される。即ち、炭化鶏糞は多孔質であり細孔を有するため、栄養成分を含有する溶液を炭化鶏糞の細孔に長期にわたり保持できるためと推察される。なお上記試験では60日まで試験しているが、1年以上経過すれば、無添加区であっても、油分解率は100%近くとなる。炭化鶏糞区はそれよりも速い時期に油分解率が100%となると考えられる。
【0017】
更に土壌中の水分量、土壌中のpHについても測定し、これを表2,表3に示す。表2に示すように、土壌中の水分量は実施例、比較例1、比較例2については基本的には同様であった。表3に示すように、土壌中のpHについては、実施例に係る炭化鶏糞区はややpH値が高いことが多かった。これは炭化鶏糞等の炭化家畜糞がアルカリ性を示すためと推察される。
【0018】
【表2】
【0019】
【表3】
【0020】
なお、前述したように炭化鶏糞はアルカリ性を示すことが多いため、酸性土壌のpH調整に有利である。更に炭化鶏糞のアルカリ性を中和させるべく、酸性を示すpH調整材と炭化鶏糞(炭化家畜糞)とを混合してpHを調整した混合物を形成し、混合物の形態で土壌等に使用しても良い。pH調整材としては、有機性酸性資材であるピートモス等を例示できる。ピートモスはpHが3.5〜4.0と酸性を示すため、アルカリ性を示す炭化鶏糞(pH9〜12)と混合すると、その混合物のpHを下げることができる。この場合、炭化鶏糞(pH11)とピートモス(pH3.8〜4.0)とを次のように混合し、pHを調整できる。重量比で炭化鶏糞:ピートモス=1:1のときpHは6.92となった。炭化鶏糞:ピートモス=1:0.5のときpHは7.50となった。炭化鶏糞:ピートモス=1:0.3のときpHは8.11となった。炭化鶏糞:ピートモス=1:0.1のときpHは9.49となった。
【0021】
また、油汚染された土壌中に炭化鶏糞等の炭化家畜糞(平均粒径:1〜15mm)を混ぜた状態で、栄養塩類を含む水溶液を定期的にまたは不定期的に与えて油汚染土壌を修復させることにしても良い。この場合、炭化鶏糞等の炭化家畜糞の細孔に栄養塩類を含む水溶液等の溶液を長期にわたり保持するのに有利となり、栄養塩類を含む溶液の流出を抑えることができ、微生物の活性化をより期待できる。
【0022】
(製造例)
以下、本発明に係る製造例について図2を参照して説明する。この炭化炉1は、上下方向に複数段に固定状態に設けられた複数個の乾留室2を有する炭化炉本体6と、複数段の乾留室2を同軸的またはほぼ同軸的に隣設され乾留室2の外側から包囲する横断面でリング形状をなす燃焼室3を形成する包囲壁4と、乾留室2に連通し乾留室2内で発生した乾留ガスを燃焼室3に案内して燃焼させる乾留ガス燃焼手段として機能するガスパイプ5と、燃焼室3のガスを燃焼室3外に排気する排気口8とを備えている。
【0023】
燃焼室3から乾留室2への伝熱を考慮して、乾留室2は耐熱性及び高温耐食性をもつ壁2pで形成されている。上下複数段方向(Y方向)の最上側の乾留室2には、原料が供給される原料供給口90が設けられている。上下複数段方向(Y方向)の最下側の乾留室2には、原料が炭化された後の炭化物が排出される炭化物排出口91が設けられている。炭化物排出口91から排出された炭化物は、スクリュー式の搬送装置94により排出される。更に、上下に隣設する乾留室2同士を連通する原料落下口92が乾留室2の横方向に沿った床面2xに設けられている。
【0024】
ガスパイプ5は、各乾留室2と燃焼室3とを連通させており、乾留室2で発生した可燃性の乾留ガスを燃焼室3に導くように燃焼室3内に導出されている。乾留室2は、原料供給口90、炭化物排出口91、ガスパイプ5以外は、基本的には密閉構造とされており、乾留室2への空気の供給は制限されており、乾留室2において原料の蒸し焼きに適するようにされている。複数段式の炭化炉1には、鶏糞等の家畜糞の原料Aを攪拌させる攪拌要素である旋回式の攪拌手段10が設けられている。攪拌手段10は、各乾留室2の中央域において縦方向に沿って配置された回転可能な駆動軸11と、駆動軸11に接続されて各乾留室2内を旋回して各乾留室2内の原料を攪拌する羽根状の攪拌部12とを有する。駆動軸11は図略の駆動源11c(モータ機構等)により回転される。攪拌部12の旋回速度は一定でも可変でも良い。
【0025】
原料Aは、投入装置96により、複数段式の炭化炉1の上側の原料供給口90から最上側の乾留室2に供給される。ここで攪拌部12が各乾留室2で回転するため、各乾留室2の原料は攪拌部12によって攪拌され、原料Aは攪拌の際に原料落下口92を通り、下側の乾留室2に次第に落下する。このようにして原料Aは炭化されつつ順次下方に搬送される。燃焼室3の底部付近には加熱部としてのバーナ17が装備されている。バーナ17は、主として、炭化炉1の立ち上げ時期に複数段式の炭化炉1の燃焼室3を予熱したり、乾留ガスの発生量が著しく少ないときに乾留室2の温度を確保したり、ガスパイプ5の火口55から吹き出される可燃性をもつ乾留ガスを着火させたりするために使用される。本実施形態に係るガスパイプ5は、図1に示すように、複数本配設されており、耐熱性及び高温耐食性をもつ材料で形成されている。ガスパイプ5の先端である下端には火口55が設けられている。火口55は、乾留室2で生成された乾留ガスを燃焼室3内で燃焼させるノズルである。
【0026】
さて炭化炉1で乾留加熱処理を行う場合には、炭化炉1の燃焼室3内をバーナ17で予熱しておく。そして原料Aを投入装置96により原料供給口90から最上側の乾留室2に供給する。原料Aとしては、鶏糞、牛糞、豚糞等の家畜糞である。乾留室2内において攪拌部12が回転するため、各乾留室2の原料Aは攪拌部12によって攪拌され、攪拌途中において各乾留室2の床面2xの原料落下口92を介して、下部の乾留室2に落下して順次下方に搬送される。乾留室2は前述したように基本的には密閉構造であり、空気の供給が制限されているため、乾留室2における原料Aの燃焼は抑えられ、蒸し焼き状態で熱処理される。よって乾留室2で搬送されている原料Aは、炭化が次第に進行すると共に、可燃性の乾留ガスが熱分解により原料Aから乾留室2内で発生する。そして、排気口8に連通する負圧生成用の図略の負圧発生機が作動するため、排気口8に吸引作用が生じる。このため、乾留室2で発生した乾留ガスはガスパイプ5を経て、ガスパイプ5の先端の火口55から燃焼室3に導かれる。火口55から吹き出される乾留ガスは燃焼室3の熱で燃焼火炎WAを火口55で生成する。このように燃焼室3に導かれた可燃性の乾留ガスは、燃焼室3の熱で燃焼火炎WAとして燃焼する。この乾留ガスの燃焼熱が乾留室2で原料を蒸し焼きする熱源となる。このように燃焼室3は、原料Aの乾留により発生した可燃性の乾留ガスの燃焼により加熱される。従ってバーナ17は、つまり乾留ガス以外の燃料は、複数段式の炭化炉1の立ち上げ時期以外は、ほとんど必要とされず、省エネルギを図り得る。
【0027】
上記のように熱処理が進行すると、原料Aは黒色の炭化物となり、運転中または運転停止後に炭化物排出口91を経て搬送装置94により取り出される。なお、本実施例では熱処理の温度は原料Aの性状等に応じて異なるものの、一般的には400〜1100℃、殊に400〜900℃、400〜800℃となる。油汚染環境修復剤は鶏糞を熱処理により炭化して形成された炭化鶏糞(炭化家畜糞)で形成されているため、栄養分を有し、油汚染を修復させた後であっても、そのまま放置しておけば、芝生や樹木等の植物育成用の肥料としての効果も期待でき、油汚染土壌の有効利用に有利である。更に油汚染環境修復剤は炭化鶏糞等の炭化家畜糞で形成されており、黒色であり、太陽エネルギの吸収が高い。このため太陽エネルギを吸収できる場所で油汚染環境修復剤を使用すれば、積雪地帯では、油汚染土壌等の環境を微生物で修復させる油汚染環境修復剤ばかりでなく、融雪剤としての機能も期待できる。
【0028】
上記した製造例に係るペレット状または粉末状の炭化家畜糞における栄養成分を増量させることも必要に応じてできる。例えば、窒素成分、リン成分、カリウム成分、ナトリウム成分、マグネシウム成分、カルシウム成分、鉄成分、マンガン成分、亜鉛成分等の少なくとも1種または2種以上を含む液状物を準備する。その液状物と炭化家畜糞とを所定時間接触させ、炭化家畜糞の細孔に液状物を含浸させることができる。この場合、炭化鶏糞等の炭化家畜糞における栄養成分を増量させることができる。接触形態としては、炭化家畜糞を液状物に浸漬させる形態を例示できる。
【0029】
その他、本発明は上記しかつ図面に示した実施例のみに限定されるものではなく、例えば、炭化家畜糞の製造は上記した製造例に限定されるものではない等、要旨を逸脱しない範囲内で必要に応じて適宜変更できる。上記した本明細書の記載から次の技術的思想も把握できる。
(付記項1)炭化鶏糞等の炭化家畜糞と酸性を示すpH調整材とを主成分としpH値を調整した混合物を形成することを特徴とする炭化家畜糞のpH調整方法。炭化家畜糞はアルカリ性を示すことが多いため、これを中和させた状態で用いることができる。
(付記項2)家畜糞を熱処理により炭化して形成された炭化家畜糞を主成分とすると共にpH調整剤を含む油汚染環境修復剤を、油汚染された環境(土壌等)に設置することを特徴とする油汚染環境修復方法。炭化家畜糞はアルカリ性を示すことが多いため、これを中和させた状態で、油汚染土壌等の環境に用いることができ、環境のアルカリ化を抑えることができる。
(付記項3)油汚染された土壌に炭化鶏糞等の炭化家畜糞を混ぜ、その状態で、栄養塩類を含む溶液を定期的にまたは不定期的に与えて油汚染土壌を修復させることを特徴とする油汚染環境修復方法。
【0030】
【発明の効果】
本発明によれば、油汚染土壌等の油汚染環境は細孔と栄養分を有するため、微生物の活性化に有利であり、油汚染環境を早期に修復させることができる。更に油汚染環境修復剤は、前述したように栄養分を有するため、肥料としての効果も期待でき、油汚染を修復させた後であっても、芝生や樹木等の植物育成用の肥料としての効果も期待でき、油汚染環境の有効利用に有利である。更に油汚染環境修復剤は炭化鶏糞等の炭化家畜糞で形成されており、黒色であり、太陽エネルギの吸収が高く、積雪地帯では、油汚染土壌等の環境を微生物で修復させる環境修復剤ばかりでなく、融雪剤としての機能も期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】油分解率の試験結果を示すグラフである。
【図2】炭化炉の概念を示す断面図である。
【符号の説明】
図中、1は炭化炉、2は乾留室、3は燃焼室、4は包囲壁を示す。
【発明の属する技術分野】
本発明は油汚染環境修復剤、油汚染環境修復方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
人為的な活動により、油類等の有害物質や難分解性物質によって土壌が汚染され、環境問題を引き起こしている。近年、土壌汚染の浄化・修復技術として、バイオメディレーションが着目されている。この技術は、微生物の働きによって、汚染物質を無機化し無毒化させることにより、汚染土壌を浄化させるという方法である。この場合、微生物の働きを活性化させるために、微生物の栄養源となり得る各種無機塩類を土壌中に水溶液として投入している。また従来、鶏糞を炭化させた炭化鶏糞を敷料として再利用する技術が開示されている(特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】特開2002−176869号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記した実情に鑑みてなされたものであり、家畜糞を有効利用し、油汚染土壌等の油汚染環境を修復させることができる油汚染環境修復剤、油汚染環境修復方法を提供することを課題とするにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る油汚染環境修復剤は、家畜糞を熱処理により炭化して形成された炭化家畜糞を主成分とすることを特徴とするものである。
【0006】
本発明に係る油汚染環境修復方法は、家畜糞を熱処理により炭化して形成された炭化家畜糞を主成分とする油汚染環境修復剤を、油汚染された土壌に設置することを特徴とするものである。
【0007】
鶏糞等の鳥糞に代表される家畜糞(動物糞)は、植物や微生物の栄養となり得る窒素、リン、カリウム等の栄養成分を含む。従って、家畜糞を熱処理により炭化させて形成された炭化家畜糞は、栄養成分は多い。
【0008】
また家畜糞を熱処理により炭化して形成された炭化家畜糞は、多数の細孔を有する多孔質であり、微生物の住処となり得、微生物の繁殖、活性化に有利であり、そればかりか栄養成分が水等に溶けた溶液を細孔に長期にわたり保持する効果も期待できる。従って、油汚染の除去に有効な微生物の繁殖、活性化を長期にわたり維持することができる。このような炭化家畜糞を主成分とする油汚染環境修復剤を油汚染土壌に設置すれば、土壌中の微生物が活性化し、油汚染土壌において油分の分解速度を速めることができる。更に炭化家畜糞を主成分とする油汚染環境修復剤は窒素、リン、カリウム等の栄養成分を多く含むため、油汚染土壌の修復の終了後には肥料としての効果も期待できる。
【0009】
【発明の実施の形態】
熱処理は、一般的には、空気よりも低酸素状態または無酸素状態で家畜糞を高温に蒸し焼き状態に加熱することにより行われる。家畜糞としては鶏糞等の鳥糞が代表的なものであるが、場合によっては、牛糞、豚糞、馬糞等も挙げられる。鶏糞等の鳥糞は一般的には牛糞、豚糞等に比較して栄養成分が多いとされている。油汚染環境修復剤は、家畜糞を熱処理で炭化させた炭化家畜糞を主成分とする。主成分とするとは、油汚染環境修復剤を重量比で100%としたとき、炭化鶏糞等の炭化家畜糞を30%以上含む意味である。従って油汚染環境修復剤は重量比で炭化家畜糞を50%以上、60%以上、70%以上、80%以上含むことができる。炭化家畜糞を主成分とする油汚染環境修復剤と他の油汚染環境修復剤とを混ぜて使用しても良い。なお、油汚染環境修復剤となる炭化家畜糞に予め微生物を担持させておいても良い。この場合、環境修復の短時間化に有利となる。ここで、油汚染環境修復剤を重量比で100%としたとき、重量比で炭素を30%以上含むことができる。また油汚染環境修復剤は、窒素、リン成分、カリウム成分、ナトリウム成分、マグネシウム成分、カルシウム成分、鉄成分、マンガン成分、亜鉛成分のうちの1種または2種以上を含むことができる。
【0010】
油汚染環境修復剤の形態は特に限定されるものではなく、粒状、粉末状、ペレット状とすることができ、あるいは、バインダ等でれんが状等の塊状化することもでき、サイズとして平均で1μm〜20cm、5μm〜20cm、10μm〜5cm、10μm〜1cm等を例示することができるが、これらに限定されるものではない。油汚染環境修復剤については、細孔の細孔容積としては、例えば0.1〜10cc/g、0.2〜5cc/g、0.2〜2cc/g(水銀圧入法)とすることができ、比表面積としては例えば0.5〜500m2/g、1〜300m2/g、1〜100m2/g(水銀圧入法)とすることができるが、これらに限定されるものではない。油汚染された環境に油汚染環境修復剤を設置するにあたり、油汚染土壌等の汚染環境中に油汚染環境修復剤を埋設して用いても良いし、散布して用いても良い。
【0011】
【実施例】
本発明の実施例について比較例と共に説明する。まず、園芸用の培養土3kgに機械油を150g添加して模擬汚染土壌を作成した。これを園芸用6号ポットに充填した。処理区として、炭化鶏糞を54g(肥料としての利用時の量に基づく)添加した炭化鶏糞区(実施例)、何も添加しない土壌のみの無添加区(比較例1)、NH4NO3を64.3g、KH2PO4を19.7g(バイオレメディエーション標準量)添加した栄養塩類区(比較例2)を設けた。上記した炭化鶏糞は、乾燥鶏糞、または乾燥鶏糞のペレットを700〜900℃(炭化温度)で低酸素状態で5〜30分間むし焼きして熱処理し、粒状(平均粒径:1〜15mm)のものであり、土壌の全層に混合した。表1は、炭化鶏糞を燃やして灰分とした状態における成分含有量を示す。この場合、灰分を分析しているため、酸化物の形態で示されているが、炭化鶏糞の形態では各栄養成分は必ずしも酸化物の形態で含有されているものではない。なお、表1に示す含有量の残部は、主として揮発分である水素や酸素、微量に硫黄や塩素等である。表1に示すように、炭化鶏糞は、栄養成分となり得る窒素、リン成分、カリウム成分、ナトリウム成分、マグネシウム成分、カルシウム成分、鉄成分、マンガン成分、亜鉛成分を含む。
【0012】
【表1】
【0013】
栄養塩類については、水溶液にして土壌に添加した。灌水方法としては、実施例,比較例1,2共に、土壌の表面が乾燥したらシャワー状のホースで5秒間水を土壌表面に供給し、土壌中の水分量がなるべく一定となるようにした。また1週間に1度、ポット内で土壌を攪拌させ、土壌中に空気を混合させた。試験開始から7日、14日、30日、60日後にポットの土壌をサンプリングし、n−ヘキサン抽出法にて土壌中の油の含有量を測定した。その測定結果に基づいて土壌中の油分解率を求めた。油分解率の結果を図1に示す。図1において■印は炭化鶏糞区の結果を示し、◆印は無添加区の結果を示し、○印は栄養塩類区の結果を示す。
【0014】
図1に示すように、比較例1に係る無添加区においても、油分解率が得られた。これは土壌中の微生物によるものと推察される。これが油汚染に対する自然分解速度となる。図1に示すように、すべてのサンプリング日において、実施例に係る炭化鶏糞区の油分解率は、比較例1,2に係る処理区よりも高かった。即ち、実施例に係る炭化鶏糞区の油分解率は、比較例1に係る無添加区よりも20〜25%程度高かった。殊に、試験開始から30〜40日までの短期間において、油分解率を80%以上に到達させることができ、速効性を示すことができる。
【0015】
これに対して、比較例2に係る栄養塩類区は、開始7日後には無添加区よりも油分解率が高かく、実施例に係る炭化鶏糞区に準じる程度の油分解率が得られたが、それ以降のサンプリング日では油分解率が最も低かった。比較例2に係る栄養塩類区については、初期の段階では油分解率が良好であるものの、栄養塩類が灌水と共にポット外に流れ出てしまったため、微生物の活性に必要な栄養源が欠乏したためと推察される。このため従来から使用されている栄養塩類は、土壌中に繰り返して複数回添加しないと、改善効果が得にくいものと推察される。
【0016】
■印で示す実施例では、炭化鶏糞を油汚染土壌に添加したことにより、上記した自然分解速度よりも速く分解されたことから、炭化鶏糞は、土壌中の油を速く分解し、土壌の修復速度を速めることに有効であることがわかる。更に、実施例に係る炭化鶏糞区は、比較例2に係る栄養塩類区に比べて、高い油分解率が長期にわたり持続していることから、炭化鶏糞は土壌に栄養を持続的に供給し、土壌中の微生物の活性状態を長期にわたりを持続することができるものと推察される。即ち、炭化鶏糞は多孔質であり細孔を有するため、栄養成分を含有する溶液を炭化鶏糞の細孔に長期にわたり保持できるためと推察される。なお上記試験では60日まで試験しているが、1年以上経過すれば、無添加区であっても、油分解率は100%近くとなる。炭化鶏糞区はそれよりも速い時期に油分解率が100%となると考えられる。
【0017】
更に土壌中の水分量、土壌中のpHについても測定し、これを表2,表3に示す。表2に示すように、土壌中の水分量は実施例、比較例1、比較例2については基本的には同様であった。表3に示すように、土壌中のpHについては、実施例に係る炭化鶏糞区はややpH値が高いことが多かった。これは炭化鶏糞等の炭化家畜糞がアルカリ性を示すためと推察される。
【0018】
【表2】
【0019】
【表3】
【0020】
なお、前述したように炭化鶏糞はアルカリ性を示すことが多いため、酸性土壌のpH調整に有利である。更に炭化鶏糞のアルカリ性を中和させるべく、酸性を示すpH調整材と炭化鶏糞(炭化家畜糞)とを混合してpHを調整した混合物を形成し、混合物の形態で土壌等に使用しても良い。pH調整材としては、有機性酸性資材であるピートモス等を例示できる。ピートモスはpHが3.5〜4.0と酸性を示すため、アルカリ性を示す炭化鶏糞(pH9〜12)と混合すると、その混合物のpHを下げることができる。この場合、炭化鶏糞(pH11)とピートモス(pH3.8〜4.0)とを次のように混合し、pHを調整できる。重量比で炭化鶏糞:ピートモス=1:1のときpHは6.92となった。炭化鶏糞:ピートモス=1:0.5のときpHは7.50となった。炭化鶏糞:ピートモス=1:0.3のときpHは8.11となった。炭化鶏糞:ピートモス=1:0.1のときpHは9.49となった。
【0021】
また、油汚染された土壌中に炭化鶏糞等の炭化家畜糞(平均粒径:1〜15mm)を混ぜた状態で、栄養塩類を含む水溶液を定期的にまたは不定期的に与えて油汚染土壌を修復させることにしても良い。この場合、炭化鶏糞等の炭化家畜糞の細孔に栄養塩類を含む水溶液等の溶液を長期にわたり保持するのに有利となり、栄養塩類を含む溶液の流出を抑えることができ、微生物の活性化をより期待できる。
【0022】
(製造例)
以下、本発明に係る製造例について図2を参照して説明する。この炭化炉1は、上下方向に複数段に固定状態に設けられた複数個の乾留室2を有する炭化炉本体6と、複数段の乾留室2を同軸的またはほぼ同軸的に隣設され乾留室2の外側から包囲する横断面でリング形状をなす燃焼室3を形成する包囲壁4と、乾留室2に連通し乾留室2内で発生した乾留ガスを燃焼室3に案内して燃焼させる乾留ガス燃焼手段として機能するガスパイプ5と、燃焼室3のガスを燃焼室3外に排気する排気口8とを備えている。
【0023】
燃焼室3から乾留室2への伝熱を考慮して、乾留室2は耐熱性及び高温耐食性をもつ壁2pで形成されている。上下複数段方向(Y方向)の最上側の乾留室2には、原料が供給される原料供給口90が設けられている。上下複数段方向(Y方向)の最下側の乾留室2には、原料が炭化された後の炭化物が排出される炭化物排出口91が設けられている。炭化物排出口91から排出された炭化物は、スクリュー式の搬送装置94により排出される。更に、上下に隣設する乾留室2同士を連通する原料落下口92が乾留室2の横方向に沿った床面2xに設けられている。
【0024】
ガスパイプ5は、各乾留室2と燃焼室3とを連通させており、乾留室2で発生した可燃性の乾留ガスを燃焼室3に導くように燃焼室3内に導出されている。乾留室2は、原料供給口90、炭化物排出口91、ガスパイプ5以外は、基本的には密閉構造とされており、乾留室2への空気の供給は制限されており、乾留室2において原料の蒸し焼きに適するようにされている。複数段式の炭化炉1には、鶏糞等の家畜糞の原料Aを攪拌させる攪拌要素である旋回式の攪拌手段10が設けられている。攪拌手段10は、各乾留室2の中央域において縦方向に沿って配置された回転可能な駆動軸11と、駆動軸11に接続されて各乾留室2内を旋回して各乾留室2内の原料を攪拌する羽根状の攪拌部12とを有する。駆動軸11は図略の駆動源11c(モータ機構等)により回転される。攪拌部12の旋回速度は一定でも可変でも良い。
【0025】
原料Aは、投入装置96により、複数段式の炭化炉1の上側の原料供給口90から最上側の乾留室2に供給される。ここで攪拌部12が各乾留室2で回転するため、各乾留室2の原料は攪拌部12によって攪拌され、原料Aは攪拌の際に原料落下口92を通り、下側の乾留室2に次第に落下する。このようにして原料Aは炭化されつつ順次下方に搬送される。燃焼室3の底部付近には加熱部としてのバーナ17が装備されている。バーナ17は、主として、炭化炉1の立ち上げ時期に複数段式の炭化炉1の燃焼室3を予熱したり、乾留ガスの発生量が著しく少ないときに乾留室2の温度を確保したり、ガスパイプ5の火口55から吹き出される可燃性をもつ乾留ガスを着火させたりするために使用される。本実施形態に係るガスパイプ5は、図1に示すように、複数本配設されており、耐熱性及び高温耐食性をもつ材料で形成されている。ガスパイプ5の先端である下端には火口55が設けられている。火口55は、乾留室2で生成された乾留ガスを燃焼室3内で燃焼させるノズルである。
【0026】
さて炭化炉1で乾留加熱処理を行う場合には、炭化炉1の燃焼室3内をバーナ17で予熱しておく。そして原料Aを投入装置96により原料供給口90から最上側の乾留室2に供給する。原料Aとしては、鶏糞、牛糞、豚糞等の家畜糞である。乾留室2内において攪拌部12が回転するため、各乾留室2の原料Aは攪拌部12によって攪拌され、攪拌途中において各乾留室2の床面2xの原料落下口92を介して、下部の乾留室2に落下して順次下方に搬送される。乾留室2は前述したように基本的には密閉構造であり、空気の供給が制限されているため、乾留室2における原料Aの燃焼は抑えられ、蒸し焼き状態で熱処理される。よって乾留室2で搬送されている原料Aは、炭化が次第に進行すると共に、可燃性の乾留ガスが熱分解により原料Aから乾留室2内で発生する。そして、排気口8に連通する負圧生成用の図略の負圧発生機が作動するため、排気口8に吸引作用が生じる。このため、乾留室2で発生した乾留ガスはガスパイプ5を経て、ガスパイプ5の先端の火口55から燃焼室3に導かれる。火口55から吹き出される乾留ガスは燃焼室3の熱で燃焼火炎WAを火口55で生成する。このように燃焼室3に導かれた可燃性の乾留ガスは、燃焼室3の熱で燃焼火炎WAとして燃焼する。この乾留ガスの燃焼熱が乾留室2で原料を蒸し焼きする熱源となる。このように燃焼室3は、原料Aの乾留により発生した可燃性の乾留ガスの燃焼により加熱される。従ってバーナ17は、つまり乾留ガス以外の燃料は、複数段式の炭化炉1の立ち上げ時期以外は、ほとんど必要とされず、省エネルギを図り得る。
【0027】
上記のように熱処理が進行すると、原料Aは黒色の炭化物となり、運転中または運転停止後に炭化物排出口91を経て搬送装置94により取り出される。なお、本実施例では熱処理の温度は原料Aの性状等に応じて異なるものの、一般的には400〜1100℃、殊に400〜900℃、400〜800℃となる。油汚染環境修復剤は鶏糞を熱処理により炭化して形成された炭化鶏糞(炭化家畜糞)で形成されているため、栄養分を有し、油汚染を修復させた後であっても、そのまま放置しておけば、芝生や樹木等の植物育成用の肥料としての効果も期待でき、油汚染土壌の有効利用に有利である。更に油汚染環境修復剤は炭化鶏糞等の炭化家畜糞で形成されており、黒色であり、太陽エネルギの吸収が高い。このため太陽エネルギを吸収できる場所で油汚染環境修復剤を使用すれば、積雪地帯では、油汚染土壌等の環境を微生物で修復させる油汚染環境修復剤ばかりでなく、融雪剤としての機能も期待できる。
【0028】
上記した製造例に係るペレット状または粉末状の炭化家畜糞における栄養成分を増量させることも必要に応じてできる。例えば、窒素成分、リン成分、カリウム成分、ナトリウム成分、マグネシウム成分、カルシウム成分、鉄成分、マンガン成分、亜鉛成分等の少なくとも1種または2種以上を含む液状物を準備する。その液状物と炭化家畜糞とを所定時間接触させ、炭化家畜糞の細孔に液状物を含浸させることができる。この場合、炭化鶏糞等の炭化家畜糞における栄養成分を増量させることができる。接触形態としては、炭化家畜糞を液状物に浸漬させる形態を例示できる。
【0029】
その他、本発明は上記しかつ図面に示した実施例のみに限定されるものではなく、例えば、炭化家畜糞の製造は上記した製造例に限定されるものではない等、要旨を逸脱しない範囲内で必要に応じて適宜変更できる。上記した本明細書の記載から次の技術的思想も把握できる。
(付記項1)炭化鶏糞等の炭化家畜糞と酸性を示すpH調整材とを主成分としpH値を調整した混合物を形成することを特徴とする炭化家畜糞のpH調整方法。炭化家畜糞はアルカリ性を示すことが多いため、これを中和させた状態で用いることができる。
(付記項2)家畜糞を熱処理により炭化して形成された炭化家畜糞を主成分とすると共にpH調整剤を含む油汚染環境修復剤を、油汚染された環境(土壌等)に設置することを特徴とする油汚染環境修復方法。炭化家畜糞はアルカリ性を示すことが多いため、これを中和させた状態で、油汚染土壌等の環境に用いることができ、環境のアルカリ化を抑えることができる。
(付記項3)油汚染された土壌に炭化鶏糞等の炭化家畜糞を混ぜ、その状態で、栄養塩類を含む溶液を定期的にまたは不定期的に与えて油汚染土壌を修復させることを特徴とする油汚染環境修復方法。
【0030】
【発明の効果】
本発明によれば、油汚染土壌等の油汚染環境は細孔と栄養分を有するため、微生物の活性化に有利であり、油汚染環境を早期に修復させることができる。更に油汚染環境修復剤は、前述したように栄養分を有するため、肥料としての効果も期待でき、油汚染を修復させた後であっても、芝生や樹木等の植物育成用の肥料としての効果も期待でき、油汚染環境の有効利用に有利である。更に油汚染環境修復剤は炭化鶏糞等の炭化家畜糞で形成されており、黒色であり、太陽エネルギの吸収が高く、積雪地帯では、油汚染土壌等の環境を微生物で修復させる環境修復剤ばかりでなく、融雪剤としての機能も期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】油分解率の試験結果を示すグラフである。
【図2】炭化炉の概念を示す断面図である。
【符号の説明】
図中、1は炭化炉、2は乾留室、3は燃焼室、4は包囲壁を示す。
Claims (4)
- 家畜糞を熱処理により炭化して形成された炭化家畜糞を主成分とすることを特徴とする油汚染環境修復剤。
- 請求項1において、熱処理は、家畜糞を高温(400〜1100℃)でむし焼きすることにより行われることを特徴とする油汚染環境修復剤。
- 請求項1または請求項2において、家畜糞は鳥糞であることを特徴とする油汚染環境修復剤。
- 家畜糞を熱処理により炭化して形成された炭化家畜糞を主成分とする油汚染環境修復剤を、油汚染された環境に設置することを特徴とする油汚染環境修復方法。
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JP2003005606A JP2004216249A (ja) | 2003-01-14 | 2003-01-14 | 油汚染環境修復剤、油汚染環境修復方法 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2007308325A (ja) * | 2006-05-17 | 2007-11-29 | Iwate Univ | ミミズ糞土炭化物と吸着剤 |
WO2008136134A1 (ja) * | 2007-04-24 | 2008-11-13 | Environmental Science Co., Ltd. | 畜糞処理方法 |
KR100909082B1 (ko) | 2008-07-16 | 2009-07-23 | (주)세종이엔씨 | 유기성 폐기물을 이용하여 중금속에 오염된 토양을복원하는 방법 |
JP2012246386A (ja) * | 2011-05-27 | 2012-12-13 | Osaka Prefecture | 肥効調節機能を有する土壌改質材 |
RU2481162C2 (ru) * | 2011-05-03 | 2013-05-10 | Федеральное государственное бюджетное образовательное учреждение высшего профессионального образования "Грозненский государственный нефтяной технический университет им. акад. М.Д. Миллионщикова (ГГНТУ имени акад. М.Д.Миллионщикова) | Способ мелиорации нефтезагрязненных земель |
-
2003
- 2003-01-14 JP JP2003005606A patent/JP2004216249A/ja active Pending
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