JP2004215205A - 水晶ユニットと水晶発振器 - Google Patents

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Hirofumi Kawashima
宏文 川島
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Abstract

【課題】主振動の等価直列抵抗Rの小さい、Q値の高い、周波数温度特性に優れた超小型の幅縦水晶振動子を具えた水晶ユニットと水晶発振器を提供することにある。
【解決手段】振動部と接続部と支持部からなる幅縦水晶振動子を電気変換効率の良い水晶板から形成し、かつ、任意の温度で零温度係数を有するので、広い温度範囲に亙って周波数変化が小さく、主振動の等価直列抵抗Rの小さい超小型の幅縦水晶振動子を具えた水晶ユニットと水晶発振器を提供することができる。
【選択図】 図6

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は高い電気機械変換効率を有し、主振動が他の振動との結合のない単一の振動モードで振動する幅縦水晶振動子を具えた水晶ユニットと水晶発振器に関する。特に、小型化、高精度、耐衝撃性、低廉化などの要求の強い携帯機器用、情報通信機器用、計測機器用、及び民生機器用の基準信号源として最適な新カット、新電極構成の幅縦水晶振動子を具えた水晶ユニットと水晶発振器に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の技術としては、水晶を用いた幅縦モード振動と長さ縦モード振動が結合したNS−GTカット幅・長さ縦結合水晶振動子を具えて構成される水晶ユニットと水晶発振器がよく知られている。図9の(a)と(b)は従来の水晶ユニットと水晶発振器に用いられているNS−GTカット水晶振動子の平面図と側面図を示す。図9の(a)において水晶振動子200は振動部201、接続部203、206及び支持部204、207を具えて構成されている。支持部204、207はそれぞれマウント部205、208を包含している。更に、図9の(a)と(b)に示されているように、振動部201の上下面には電極202と211が配置され、振動部の電極202は接続部203を介してマウント部205にまで延在している。これに対して、振動部の電極211も同様に接続部206を介してマウント部208にまで延在している。電極202と電極211は異極となるように構成され、2電極端子を構成している。そして、図10に示すように、振動子200はマウント部205、208で台座313に接着剤などで固定され、更に、台座313はリード線314、315に固定されている。即ち、腕時計で多様されている円筒型の金属容器300に収納されている。金属容器300はステム311とキャップ312から構成されている。今、両電極202、211間に交番電圧を印加すると、図9の(b)の実線と点線で示すように、電界Eは厚みT方向に交互に働く。その結果、幅Wに反比例して大略周波数が決まる幅縦モード振動と長さLに反比例して大略周波数が決まる長さ縦モード振動が同時に励振され、逆相で両振動モードが結合したNS−GTカット幅・長さ縦結合水晶振動子が得られる。また、上記水晶振動子は化学的エッチング法によって一体に形成される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来の水晶ユニットと水晶発振器に用いられているNS−GTカット幅・長さ縦結合水晶振動子では、振動部の面積が大きい程(低周波数)等価直列抵抗Rが小さくなり、品質係数Q値が大きくなる。しかしながら2つの振動モードが結合した、NS−GTカット幅・長さ縦結合水晶振動子は、それらの周波数はそれぞれ幅Wと長さLに反比例し、且つ、周波数温度特性が幅Wと長さLの比、いわゆる辺比W/Lによって決定され、更に、周波数温度特性が良好となる辺比W/L≒0.95となるので、小型化(高周波数化)しようとすると、振動部の面積が小さくなる。そのため、電気機械変換効率が小さくなり、その結果、等価直列抵抗Rが大きくなり、品質係数Q値が小さくなるなどの課題が残された。このようなことから、超小型で、等価直列抵抗Rが小さく、品質係数Q値が高くなるような新カットで、電気機械変換効率が高くなる電極構成から成る水晶振動子を具えた水晶ユニットと水晶発振器が所望されていた。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、以下の方法で従来の課題を有利に解決した幅縦水晶振動子を具えた水晶ユニットと水晶発振器を提供することを目的とするものである。
【0005】
即ち、本発明の水晶ユニットの第1の態様は、水晶振動子とケースと蓋とを具えて構成されている水晶ユニットで、前記水晶振動子は振動部と接続部と支持部とを具えて構成され、前記振動部の幅寸法は長さ寸法より小さく、厚み寸法より大きい幅縦水晶振動子を具えて構成される水晶ユニットで、前記幅縦水晶振動子は表面実装型のケースと蓋を具えて構成されるユニットに収納されていて、振動部と接続部と支持部とを具えて構成される前記幅縦水晶振動子の接続部は前記振動部の長さ方向の両端部に少なくとも第一接続部と第二接続部を有し、前記振動部の幅寸法は長さ寸法より小さく、厚み寸法より大きく、かつ、前記振動部と前記接続部と前記支持部とを具えて構成される幅縦水晶振動子は粒子法により一体に形成され、前記振動部の上下面には極性の異なる少なくとも一対の電極が対抗して配置され、基本波モード又は高調波モードの振動次数が圧電定数に依存しないように前記振動部と前記電極が構成され、前記幅縦水晶振動子の主振動の等価直列抵抗Rが副振動の等価直列抵抗Rより小さい幅縦水晶振動子を具えて構成されている水晶ユニットである。
【0006】
本発明の水晶発振器の第1の態様は、水晶振動子と増幅器とコンデンサーと抵抗素子とを具えて構成されていて、前記水晶振動子は振動部と接続部と支持部とを具えて構成され、前記振動部の幅寸法は長さ寸法より小さく、厚み寸法より大きい幅縦水晶振動子を具えて構成される水晶発振器で、振動部と接続部と支持部とを具えて構成される前記幅縦水晶振動子の接続部は前記振動部の長さ方向の両端部に少なくとも第一接続部と第二接続部を有し、前記振動部の幅寸法は長さ寸法より小さく、厚み寸法より大きく、かつ、前記振動部と前記接続部と前記支持部とを具えて構成される幅縦水晶振動子は粒子法により一体に形成され、前記振動部の上下面には極性の異なる少なくとも一対の電極が対抗して配置され、基本波モード又は高調波モードの振動次数が圧電定数に依存しないように前記振動部と前記電極が形成され、前記幅縦水晶振動子の主振動の等価直列抵抗Rが副振動の等価直列抵抗Rより小さい幅縦水晶振動子を具えて前記水晶発振器は構成されると共に、増幅回路と帰還回路を具えて構成される前記水晶発振器の増幅回路の主振動の負性抵抗の絶対値|−RL|と主振動の等価直列抵抗Rとの比が増幅回路の副振動の負性抵抗の絶対値|−RL|と副振動の等価直列抵抗Rとの比より大きくなるように前記水晶発振器は構成され、前記幅縦水晶振動子を具えて構成された前記水晶発振器の出力信号が主振動の周波数を持つ水晶発振器である。
【0007】
【作用】
このように、本発明は幅縦水晶振動子を具えた水晶ユニットと水晶発振器で、特に、振動子のカット角と電極配置により、高い電気機械変換効率を有する振動子が得られる。その結果、主振動の等価直列抵抗Rの小さい、品質係数Q値の高い、超小型の幅縦水晶振動子を具えた水晶ユニットと水晶発振器が得られる。
【0008】
【本発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を図面に基づき具体的に述べる。
(第1実施例)
図1は本発明の水晶ユニットと水晶発振器を構成する幅縦水晶振動子の形成に用いられる水晶板1のカット角とその座標系との関係である。座標系は原点O、電気軸x、機械軸y、光軸zからなりO−xyzを構成している。まず、x軸に垂直な水晶板、いわゆる、X板水晶を考える。このとき、X板水晶の各寸法である幅W、長さL、及び厚みTはそれぞれy軸、z軸、及びx軸方向に一致している。更に、このX板水晶をx軸の廻りに角度θ=−25°〜+25°回転し、更に、y軸の新軸y′軸の廻りに角度θ=−30°〜+30°回転される。このとき、x軸の新軸はx′軸に、z軸は2軸の廻りに回転されるので、新軸はz″と成る。本実施例の幅縦水晶振動子は前記した回転水晶板から形成される。尚、本実施例の電気軸+x軸の定義はJIS規格に従い、反時計方向の回転角を正(プラス)とする。
【0009】
また、前記振動子の頂点温度を室温付近に設定するには、角度θはθ=−12°〜−13.5°、−18.5°〜−19.8°又は、角度θ、θはそれぞれθ=−13°〜−18°、θ=+/−(0.5°〜30°)により得られる。本実施例では、X板水晶を最初に、x軸の廻りに角度θ=−25°〜+25°回転し、次に、y′軸の廻りに角度θ=−30°〜+30°回転されているが、最初に、x軸の廻りに角度θ=−25°〜+25°回転し、次に、z軸の新軸z′軸の廻りに角度θ=−15°〜+15°回転してもよい。本実施例では、幅縦水晶振動子の形成に用いる水晶板のカット角について述べたが、本発明の振動子のカット角はこれに限定されるものでなく、形成された幅縦水晶振動子が前記した角度を有する振動子であれば良く、本発明はそれらの振動子をも包含するものである。例えば、水晶板の面内回転をしないで、振動子形成に用いるマスク等で面内回転を行うものである。
【0010】
更に詳述するならば、幅縦水晶振動子の厚み方向を電気軸x軸方向に、幅方向を機械軸y軸方向に、長さ方向を光軸z軸方向にそれぞれ一致させ、前記幅縦水晶振動子を最初に厚み方向の軸(x軸)を回転軸として角度θ回転させ、次に、幅方向の軸(y軸の回転後の新軸y′軸)を回転軸として角度θ回転させるか、又は、前記幅縦水晶振動子を最初に厚み方向の軸(x軸)を回転軸として角度θ回転させ、次に、長さ方向の軸(光軸z軸の回転後の新軸z′軸)を回転軸として角度θ回転させ、前記角度θ、θとθがそれぞれθ=−25°〜+25°、θ=−30°〜+30°、θ=−15°〜+15°を有するように幅縦水晶振動子は形成される。これらのカット角の組み合わせにより、広い温度範囲に亙って頂点温度を設定することができる。
【0011】
図2は本発明の第1実施例の水晶ユニットと第1実施例の水晶発振器に用いられる幅縦水晶振動子の上面図(a)と側面図(b)である。幅縦水晶振動子2は振動部3、接続部6、9とマウント部8、11をそれぞれ含む支持部7、10を具えて構成されている。更に、支持部7と支持部10にはそれぞれ穴7aと穴10aが設けられている。詳細には、第一接続部6と第二接続部9は振動部3の長さ方向の反対に位置する端部に設けられている。即ち、一方の第一支持部7は第一接続部6を介して振動部3に接続されていて、他方の第二支持部10は第二接続部9を介して振動部3に接続されている。また、振動部3の上面と下面には電極4と電極5が対抗して配置され、それらの電極は異極となるように構成されている。即ち、一対の電極が配置されている。更に、電極4は一方の第二接続部9を介して第二マウント部11にまで延在して配置されている。また、電極5は他方の第一接続部6を介して第一マウント部8にまで延在して配置されている。本実施例では、振動部3に配置された電極4と電極5は互いに異なる方向に延在してマウント部まで配置されているが、同方向に延在するように配置しても良い。
また、本実施例の振動子はマウント部8、11が台座等に接着剤や半田によって固定される。本実施例では、第一接続部と第二接続部が対抗して一対設けられているが、本発明はこれに限定されるものでなく、複数対の接続部を対抗して設けても良い。即ち、少なくとも第一接続部と第二接続部が設けられている。
【0012】
更に、振動部3は幅W、長さL、及び厚みTの寸法を有し、幅W、長さL、及び厚みTはそれぞれy′軸、z″軸、及びx′軸方向と一致している。すなわち、x′軸に垂直な面となる振動部3の上面と下面に電極4と電極5が配置されている。又、電極4に対抗する電極5は異極となるように構成されている。更に、振動部3の長さLは幅Wより大きく、厚みTは幅Wより小さくなるように設計される。即ち、幅縦モード振動と長さ縦モード振動との結合を無視できるほどに小さく、且つ、振動部の電極面積を大きくして、主振動の等価直列抵抗Rの小さい幅縦水晶振動子を得るためには、幅Wと長さLのW/Lは0.8より小さく、且つ、電界Eを大きくして、等価直列抵抗Rの小さい幅縦水晶振動子を得るためには、厚みTと幅Wとの比T/Wは0.85より小さくすることが必要である。実際のこれらの寸法の決定は幅縦水晶振動子に要求される特性によって決まる。通常、厚みTは250μm以下に設計される。
【0013】
更に詳述するならば、幅縦水晶振動子の共振周波数は幅寸法Wに反比例し、他の寸法(長さ、厚み、接続部と支持部)には殆ど依存しない。それ故、幅Wを小さくすることにより、小型で、高周波数化が図れる。また、前記した寸法の関係から不要振動のない単一振動モードで振動する幅縦水晶振動子が得られる。
と同時に、厚み方向に電界がかかるように振動部に電極を配置することにより、幅縦水晶振動子の基本波モードと高調波(オーバートーン)モードの振動次数が圧電定数に依存しなくなる。即ち、基本波モードと高調波モードの振動次数が圧電定数に依存しないように振動部とその上に配置される電極との構成がなされる。それ故、本発明の幅縦水晶振動子の共振周波数は圧電定数に依存しないので、振動子の設計が非常に容易になると言う著しい効果を有する。
【0014】
次に、本実施例の幅縦水晶振動子を駆動するのに必要な圧電定数e12の値について説明する。この圧電定数e12の値が大きいほど、電気機械変換効率は高くなる。本実施例の幅縦水晶振動子の圧電定数e12の絶対値は0.095〜0.18C/mを有する。即ち、本実施例の幅縦水晶振動子は高い電気機械変換効率を有するので、主振動の等価直列抵抗Rの小さい、品質係数Q値の高い、しかも、超小型の幅縦水晶振動子を得ることができる。
【0015】
すなわち、本実施例の幅縦水晶振動子は高い電気機械変換効率を有するので、等価直列抵抗の小さい、品質係数Q値の高い、しかも、超小型の幅縦水晶振動子を得ることができる。
【0016】
今、図2の電極4と電極5の間に交番電圧を印加すると、電界Eは図2の側面図(b)の実線と点線の矢印で示したように厚み方向に交互に働く。その結果、振動部3は幅方向に伸縮する振動をすることになる。即ち、電界方向に対して垂直方向に振動する、いわゆる横効果型の幅縦水晶振動子を得ることができる。
この主(幅縦)振動の共振周波数は圧電定数に依存しない振動子である。また、本発明の幅縦水晶振動子は、電界方向に対して平行に振動するKTカット幅縦水晶振動子とは異なる振動子である。と同時に、KTカット水晶振動子はその振動次数が圧電定数に依存する、いわゆる縦効果型の振動子である。即ち、共振周波数が圧電定数に依存する振動子である。
【0017】
(第2実施例)
図3は本発明の第2実施例の水晶ユニットと第2実施例の水晶発振器に用いられる幅縦水晶振動子12の上面図(a)と下面図(b)である。幅縦水晶振動子12は振動部13、接続部14、21、マウント部16とそれに接続される支持フレーム17,18、19を含む支持部15とマウント部23とそれに接続されるマウント部20を含む支持部22を具えて構成されている。更に、支持フレーム17の両端部は支持フレーム18,19の一端部に接続され、支持フレーム18、19の他端部はマウント部20に接続されている。支持部15には穴15aが、支持部22には穴22aが設けられている。
【0018】
更に詳述するならば、第一接続部14と第二接続部21は振動部13の端部の互いに反対の位置に設けられている。そして、振動部13は第一接続部14と第一支持部15の第一マウント部16を介して第一支持フレーム17に接続されている。更に、第一支持フレーム17の両端部はそれぞれ第二支持フレーム18と第三支持フレーム19の端部に接続されている。同様に、振動部13は第二接続部21と第二支持部22の第二マウント部23を介して第三マウント部20に接続されている。そして、第二支持フレーム18と第三支持フレーム19の端部はそれぞれ第三マウント部20に接続されている。
【0019】
また、振動部13の上面と下面には異極で対抗する電極24と電極26が配置されている。更に、電極24は一方の接続部21を介してマウント部20にまで延在して配置され、マウント部20に一方の電極端子となる電極25が形成される。又、電極26は他方の接続部14と支持フレーム17、19を介してマウント部20にまで延在して配置され、マウント部20に他方の電極端子となる電極27が形成される。すなわち、2電極端子を形成する。本実施例では、振動部の電極のみが対抗するように配置されている。しかし、他の部分での電極が対抗して配置されてもよく、等価直列抵抗Rに及ぼす影響は無視できる程に小さい。
【0020】
更に、振動部13は幅W、長さLと厚みT(図示されていない)の寸法を有し、幅W、長さLと厚みTはそれぞれy′軸、z″軸とx′軸方向と一致している。すなわち、x′軸に垂直な面となる振動部13の上面と下面には電極24と電極26が配置されている。又、電極24と電極26は異極となるように構成されている。更に振動部13の長さLは幅Wより大きく、厚みTは幅Wより小さくなるように設計される。具体的な関係については第1実施例で述べた通りである。
【0021】
このように幅縦水晶振動子を形成することにより、振動子の強度をより強くすることができる。その結果、振動子の一端部を接着剤や半田により台座、あるいはリード線に固定できるので、量産での作業性に優れ、工数を削減することができる。すなわち、安価な幅縦水晶振動子を得ることができる。同時に、衝撃に対して強い幅縦水晶振動子が実現できる。更に、支持部に穴が設けられているので、幅縦モードを圧電的に容易に引き起こすことができる。それ故、主振動の等価直列抵抗Rの小さい、Q値の高い超小型の幅縦水晶振動子が得られる。
【0022】
尚、本実施例では、互いに異極となる電極がマウント部20の上面に電極25を、下面に電極27を配置しているが、マウント部20の同一平面に異極となる電極を配置してもよく、同様に安価な振動子が得られる。この方法として、一方の電極を支持フレームの側面、あるいはマウント部の側面を介して同一平面の同極となる電極に接続される。更に、本実施例では振動部に平行に支持フレームが2本設けられているが、1本でも十分な機械的強度を有するので、一本でもよく、十分な特性が得られる。
【0023】
図4は上記第1実施例と第2実施例の幅縦水晶振動子の周波数温度特性の一例を示す線図である。前記した角度θと角度θの選択により任意の温度で一次温度係数αが零になり、2次曲線で表すことができる。例えば、曲線44で示されるように、頂点温度Tを約22℃に設定することができる。又、曲線45は頂点温度Tを0℃付近に設定した場合である。更に、頂点温度Tは任意に設定でき、曲線46は頂点温度Tを約−23℃に設定した場合である。上記実施例の角度θと角度θを有する幅縦水晶振動子では、頂点温度Tを約−200℃から約+60℃と極めて広い温度範囲に設定することができる。頂点温度Tは用いられる機器等によって決定される。
【0024】
このように本発明の幅縦水晶振動子は頂点温度を極めて広い温度範囲で任意に設定でき、且つ、周波数温度特性が2次曲線で近似できるので、広い温度範囲に亘って周波数変化の小さい、優れた周波数温度特性を有する振動子である。
【0025】
(第3実施例)
図5は本発明の第3実施例の水晶ユニットと第3実施例の水晶発振器に用いられる幅縦水晶振動子の上面図(a)と下面図(b)である。幅縦水晶振動子50は振動部51、接続部52、55、及びマウント部54、57をそれぞれ含む支持部53、56を具えて構成されている。更に、支持部53と支持部56にはそれぞれ穴53aと穴56aが設けられ、振動部51の上面と下面にはそれぞれ複数個の電極が配置されている。また、上面、及び下面の幅方向に隣接する電極は異極となるように構成される。且つ、上面と下面に配置された対抗電極は異極となるように構成される。本実施例では、電極58,59,60と電極61,62,63が配置されている。それ故、本実施例の電極配置では主振動が3次高調波モードの幅縦水晶振動子が得られる。
【0026】
更に詳述するならば、電極58とそれに隣接する電極59は異極に、さらに、電極58とそれに対抗する電極63は異極となるように構成されている。電極58とそれとは異極となる電極63で一対の電極を構成している。全く同様に、電極59とそれに隣接する電極58、60は異極に、更に、電極59とそれに対抗する電極62は異極となるように構成されている。電極59とそれとは異極となる電極62で一対の電極を構成している。更に電極60とそれに隣接する電極59は異極に、さらに、電極60とそれに対抗する電極61は異極となるように構成されている。電極60とそれとは異極となる電極61で一対の電極を構成している。又、上面の電極58と電極60は接続電極58aを介して接続されている。更に、下面の電極61と電極63は接続電極61aを介して接続されている。
【0027】
更に、上面の同極となる電極58、60は一方の接続部52を介してマウント部54にまで延在して配置されている。又、電極59は他方の接続部55を介してマウント部57にまで延在して配置されている。更に、下面の電極62は一方の接続部52を介してマウント部54にまで延在して配置されている。又、下面の同極となる電極61、63は他方の接続部55を介してマウント部57にまで延在して配置されている。図5から明らかなように、一方の接続部と支持部の上下面には同極となる電極が振動部から延在して配置され、他方の接続部と支持部の上下面には同極となる電極が振動部から延在して配置されている。
【0028】
それ故、一方の電極58,60、62は同極に、他方の電極59,61、63は同極となるように配置され、それらは互いに異極となる2電極端子構造を形成している。本実施例では三対の電極を構成している。本発明の電極構成は前記実施例のn対(n=1,3)に限定されるものでなく、対称モードを使用する場合にはn対(n=5,7,9・・・)と奇数対の電極構成をも包含するものである。又、非対称モードを使用する場合にはm対(m=2,4,6・・・)と偶数対の電極構成をも包含するものである。詳細には、奇数対の電極構成では、奇数次の幅縦モードで振動し、これが主振動となる。例えば、一対の電極構成では、基本波モードが主振動となる。また、三対の電極構成では、3次高調波(オーバートーン)モード振動が主振動となる。同様に、偶数対の電極構成では、偶数次の幅縦モードで振動し、これが主振動となる。例えば、二対の電極構成では、2次高調波(オーバートーン)モード振動が主振動となる。本発明では、幅縦モードで振動し、主振動以外の振動を副振動と呼ぶ。
【0029】
次に、振動部の幅W、長さL、厚みTと電極との関係について述べる。
本実施例では、三対の電極を構成している。それ故、図4で説明した良好な周波数温度特性、及び電界Eを大きくし、等価直列抵抗Rの小さい幅縦水晶振動子を得るためには、厚みTと幅Wとの関係は3T/Wが0.85より小さくする必要がある。又、幅縦モード振動と長さ縦モード振動との結合を無視できるほどに小さく、且つ、電極面積を大きくし、主振動の等価直列抵抗Rの小さい幅縦水晶振動子を得るためには、幅Wと長さLとの関係はW/3Lが0.8より小さくする事が必要である。
【0030】
本実施例では三対の電極構成の場合について説明したが、n対(n=5,7,9、・・・)と奇数対の電極構成では、主振動がn次高調波モードの幅縦水晶振動子が得られる。この場合、前記した優れた特性を有する水晶振動子を得るには、厚みTと幅Wとの関係はnT/Wが0.85より小さく、且つ、幅Wと長さLとの関係はW/nLが0.8より小さくする必要がある。又、m対(m=2,4,6、・・・)と偶数対の電極では、厚みTと幅Wとの関係はmT/Wが0.85より小さく、且つ、幅Wと長さLとの関係はW/mLが0.8より小さくすることが必要である。
【0031】
このように、本実施例の幅縦水晶振動子は、特に、振動部の電極の配置の仕方を工夫することにより、主振動の等価直列抵抗Rが副振動の等価直列抵抗Rより小さくすることができる。と同時に、周波数温度特性に優れた超小型の高調波モードの幅縦水晶振動子を実現することができる。又、幅縦水晶振動子の周波数は高調波次数に比例するので、高周波数化が可能になる。なお、本実施例で詳細に述べた電極構成は図3の振動子形状にも適用できるものである。また、本実施例の振動子形状とその形状の構成は図2の振動子と同じである。
【0032】
(第4実施例)
図6は本発明の第4実施例の水晶ユニットの断面図と第4実施例の水晶発振器に用いられる水晶ユニットの断面図である。水晶ユニット170は表面実装型のケース71と蓋72と幅縦水晶振動子70から構成されている。ケース71には固定部74,75が設けられていて、本実施例では、第1実施例で述べた幅縦水晶振動子70が収納され、その振動子のマウント部が接着剤76,77等により固定部で固定されている。更に、図示されていないが、ケース71の下面には少なくとも2分割された電極が設けられていて、振動子70の電極と接続されている。即ち、2電極端子構造を形成している。
【0033】
本実施例では、固定部を2個設け両端部で接着材等により固定しているが、固定部は1個でも良く、片側固定でも良い。即ち、本実施例の水晶ユニットには、第1実施例から第3実施例で述べたいずれかの幅縦水晶振動子が収納されている。図示されていないが、特に、複数個の幅縦水晶振動子を収納する時には、振動子間の干渉を防止するための仕切り部が振動子の間に設けられている。2個以上の振動子がケース内に収納される場合には、それらの振動子は一体形成されていても良く、又は、個々に形成されていても良い。更に、複数個の振動子は電気的には並列になるように、接続、構成されている。
【0034】
更に、上記実施例の幅縦水晶振動子は、振動部、接続部と支持部とを具えて構成されているように複雑な形状をしている。又、本発明のカット角を有する幅縦水晶振動子を化学的エッチング法によって加工した場合、その加工速度が極めて遅いのが実状である。換言するならば、水晶の分子間の結合エネルギーが非常に大きいために、化学的エッチング法ではそのエッチング速度が極めて遅く、特に、このような複雑な形状を有する振動子を上手く加工できないのが実状である。
それ故、本発明の幅縦水晶振動子の加工は、物理的、あるいは機械的な方法を用いて行われ、前記振動子は一体に形成される。即ち、質量を有する粒子を水晶板に物理的、あるいは機械的方法で衝突させ、それにより水晶板の原子、分子を飛散させて振動子の形状を加工するものである。ここではこの方法を粒子法と呼ぶことにする。この方法は化学的エッチング法による加工法とは異なる方法であると同時に、加工速度が極めて早いのが特長である。外形形状の加工時間が非常に短縮されるので安価な振動子を提供することができる。
【0035】
図7は本発明の水晶発振器の一実施例を示す構成図である。本実施例では、水晶発振回路180は増幅器(CMOSインバータ)80、帰還抵抗82、ドレイン抵抗85、コンデンサー83,84と幅縦水晶振動子81から構成されている。即ち、水晶発振回路180は、増幅器80と帰還抵抗82から成る増幅回路とドレイン抵抗85、コンデンサー83,84と幅縦水晶振動子81から成る帰還回路から構成されている。詳細には、本実施例の水晶発振器は、増幅回路と帰還回路から構成され、増幅回路は少なくとも増幅器から構成され、帰還回路は少なくとも幅縦水晶振動子とコンデンサーから構成されている。又、本実施例の水晶発振器に用いられる水晶振動子は既に図2、図3と図5で詳述されている。
【0036】
今、幅縦水晶振動子の角周波数をω、ドレイン抵抗85の抵抗をR、コンデンサー83、84の容量をC、C、水晶のクリスタルインピーダンスをRei、帰還回路のドレイン側の入力電圧をV,ゲート側の出力電圧をVとすると、帰還率βはβ=|V|i/|Vで定義される。但し、iは幅縦モード振動の振動次数を表す。例えば、i=1のとき、基本波モード振動(1次高調波モード振動)、i=2のとき、2次高調波モード振動、i=3のとき、3次高調波モード振動である。即ち、i=nのとき、n次高調波モード振動である。ここでは、単にn次モード振動と言う。又、n対の電極構成で、n次モードで振動する幅縦モード振動を主振動と言い、その他のモードで振動する幅縦モード振動を副振動と言う。更に、負荷容量CはC=C/(C+C)で与えられ、C=C=CgsとR>>Reiとすると、帰還率βはβ=1/(1+kC )で与えられる。但し、kはω、R、Reiの関数で表される。又、Reiは近似的に等価直列抵抗Rに等しくなる。
【0037】
このように、帰還率βと負荷容量Cとの関係から、負荷容量Cが小さくなると、n次モード振動の共振周波数の帰還率はそれぞれ大きくなる。それ故、負荷容量Cが小さくなると、基本波モード振動よりも高調波モード振動の方が発振し易くなる。その理由は高調波モード振動の最大振動振幅が基本波モード振動の最大振動振幅より小さいために、発振持続条件である振幅条件と位相条件を同時に満足するためである。
【0038】
本発明の水晶発振器は、消費電流が少なく、しかも、出力周波数が高い周波数安定性(高い時間精度)を有する水晶発振器を提供することを目的としている。
それ故、消費電流を少なくするために、本実施例では、負荷容量Cは10pF以下を用いる。より消費電流を少なくするには、消費電流は負荷容量に比例するので、C=8pF以下が好ましい。ここで言う、容量C、Cは回路の浮遊容量を含まない数値であるが、実際には、回路構成により浮遊容量が存在する。
それ故、本実施例では、この回路構成による浮遊容量を含んだ負荷容量Cは18pF以下を用いる。又、副振動の周波数を抑え、n対の電極構成で主振動がn次モードの振動する発振器の出力信号が主振動の周波数を得るために、α/α>β/βとαβ>1を満足するように本実施例の水晶発振回路は構成される。但し、α、αは主振動と副振動の増幅回路の増幅率で、β、βは主振動と副振動の帰還回路の帰還率である。
【0039】
換言するならば、増幅回路の主振動の増幅率αと副振動の増幅率αとの比が帰還回路の副振動の帰還率βと主振動の帰還率βとの比より大きく、かつ、主振動の増幅率αと主振動の帰還率βの積が1より大きくなるように構成される。即ち、消費電流の少ない、出力信号が主振動の周波数である水晶発振器が実現できる。尚、前記周波数とは、幅縦水晶振動子の主振動の基準周波数、又はそれの分周された周波数である。更に、高い周波数安定性については後述される。又、出力信号はバッフア回路を介して水晶発振回路のドレイン側から出力される。
【0040】
又、本実施例の水晶発振回路を構成する増幅回路の増幅部は負性抵抗−RLでその特性を示すことができる。i=1のとき基本波モード振動(1次モード振動)の負性抵抗で、i=nのときn次モード振動の負性抵抗である。即ち、n=2,3のとき、2次、3次モード振動の負性抵抗である。本実施例の水晶発振器は、増幅回路の主振動の負性抵抗の絶対値|−RL|と主振動の等価直列抵抗Rとの比が増幅回路の副振動の負性抵抗の絶対値|−RL|と副振動の等価直列抵抗Rとの比より大きくなるように発振回路が構成されている。即ち、|−RL|/R>|−RL|/Rを満足するように構成されている。このように水晶発振回路を構成することにより、副振動の発振起動が抑えられ、その結果、主振動の発振起動が得られるので主振動の周波数が出力信号として得られる。
【0041】
また、幅縦水晶振動子の誘導性と電気機械変換効率と品質係数を表すフイガーオブメリットMは品質係数Q値と容量比rの比(Q/r)によって定義され(i=1のとき基本波モード振動、i=2のとき2次モード振動、i=3のとき3次モード振動)、幅縦水晶振動子の並列容量に依存しない機械的直列共振周波数fと並列容量に依存する直列共振周波数fの周波数差ΔfはフイガーオブメリットMに反比例し、その値Mが大きい程Δfは小さくなる。従って、Mが大きい程、幅縦水晶振動子の共振周波数は並列容量の影響を受けないので、幅縦水晶振動子の周波数安定性は良くなる。即ち、時間精度の高い幅縦水晶振動子が得られる。
【0042】
詳細には、前記した振動子形状と電極と振動子寸法の構成により、n対の電極構成によって、主振動がn次モードで振動する幅縦水晶振動子振動のフイガーオブメリットMが副振動のフイガーオブメリットMより大きくなる。即ち、M>Mとなる。但し、Mは主振動のフイガーオブメリットである。その結果、主振動の周波数安定性が副振動の周波数安定性より良くなると共に、副振動を抑圧することができる。従って、本実施例の幅縦水晶振動子から構成される水晶発振器は主振動の周波数が出力信号として得られ、かつ、高い周波数安定性(優れた時間精度)を有する。
【0043】
図8は本発明の水晶発振器の他の実施例を示す断面図である。水晶発振器190は図7で示した水晶発振回路とケース91と蓋92を具えて構成されている。
本実施例では、水晶発振回路はケース91と蓋92からなる水晶ユニットに収納されている。水晶発振器は幅縦水晶振動子90、帰還抵抗を含む増幅器(CMOSインバータ)98、コンデンサー(図示されていない)とドレイン抵抗(図示されていない)を具えて構成されている。本実施例では、振動子90はケース91に設けられた固定部94,95の上に導電性接着材96,97によって固定されている。又、増幅器98はケース91に固定されている。更に、ケース91と蓋92は接合部材93を介して接合されている。本実施例では、振動子90は図2と図5で述べられた振動子が搭載される。
【0044】
次に、本発明の水晶発振器の製造方法について述べる。まず、第1実施例の図1で述べたように、幅縦水晶振動子の厚み方向を電気軸x軸方向に、幅方向を機械軸y軸方向に、長さ方向をz軸方向にそれぞれ一致させ、前記幅縦水晶振動子を最初に厚み方向の軸を回転軸として角度θ=−25°〜+25°回転させ、次に、幅方向の軸を回転軸として角度θ=−30°〜+30°回転させる、と同時に、前記幅縦水晶振動子は振動部と接続部と支持部とを具えて構成され、前記接続部は少なくとも第一接続部と第二接続部を有し、前記振動部の幅寸法は長さ寸法より小さく、厚み寸法より大きい幅縦水晶振動子が水晶板から粒子法により形成される。本実施例では、粒子法による加工を示したが、水晶板の厚みが非常に薄いときには、化学的エッチング法にて前記振動子形状を加工できるので、本実施例の幅縦水晶振動子の加工に化学的エッチング法を用いても良い。即ち、本実施例の振動子は粒子法と化学的エッチング法の内の少なくとも一つの方法を用いて形成される。
【0045】
次に、振動部の上下面には極性の異なる少なくとも一対の電極が対抗して配置される(図2、図3、と図5参照)。更に詳述するならば、幅縦モードの対称モードでは、n対の電極(n:奇数)が、非対称モードでは、m対の電極(m:偶数)が配置される。本粒子法による加工では水晶ウエハ内に一度に多数の振動子が形成される。それ故、最初の周波数調整はウエハの状態で行われる。更に、幅縦水晶振動子はケース、又は、蓋に接着材や半田等で固定部に固定される。その後に、2回目の共振周波数調整が最初の周波数調整と同じ方法であるプラズマエッチング法や蒸着法やレーザー法によって行われる。
【0046】
最後に、ガラスやセラミック等からなる前記ケースとガラスや金属からなる前記蓋が接合部材(金属やガラス)を介して真空中あるいは窒素の雰囲気中で接合される。本実施例では、ウエハの状態で周波数調整をしているが、この周波数調整は省略してもよく、幅縦水晶振動子をケース又は、蓋に接着材や半田等で固定した後に周波数調整をしても良い。そして、その時の周波数偏差が振動子の基準周波数に対して通常は+/−100ppm以内になるように、共振周波数は調整される。また、ケースあるいは蓋に穴を設けて、当該ケースと当該蓋とを接合部材を介して接合した後に、周波数を調整して、その後にこの穴を真空中で金属やガラスを用いてレーザで封止しても良い。この時、穴の形状は直径が異なるように少なくとも一つの階段部を有する形状であってもよい。換言するならば、穴の断面形状で示した時に、直径の異なるいわゆる階段部を有する形状である。更に、封止後に振動子の周波数をレーザにて調整しても良い。
【0047】
以上、図示例に基づき説明したが、この発明は上述の例に限定されるものではなく、例えば、本発明の水晶発振器に用いられる幅縦水晶振動子の支持部の形状は第1実施例から第3実施例で述べた形状に限定されるものでなく、本発明の支持部の形状は、接続部を介して振動部と接続されるいかなる形状をも包含するものである。更に、本発明の水晶ユニットは少なくとも1個の幅縦水晶振動子を収納していれば良く、例えば、水晶ユニットは幅縦水晶振動子と音叉形状の屈曲水晶振動子を一緒に水晶ユニットに収納しても良い。
【0048】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明の水晶ユニットと水晶発振器は多くの効果を有するが、振動子形状と電極とカット角とを有する幅縦水晶振動子を具えた水晶ユニットと水晶発振器を提供することにより、特に、次の如き著しい効果が得られる。
(1)幅縦水晶振動子を駆動する圧電定数が非常に大きいので、電気機械変換効率が良くなる。その結果、主振動の等価直列抵抗Rの小さい、品質係数Q値の高い、超小型の幅縦水晶振動子を具えた水晶ユニットと水晶発振器が実現できる。
(2)振動部に複数対の電極が配置されているので、等価直列抵抗の小さい、高周波数の幅縦水晶振動子を具えた水晶ユニットと水晶発振器が超小型で、かつ、高精度で実現できる。
(3)幅縦水晶振動子を粒子法で形成するので、量産性に優れ1枚の水晶ウエハ上に多くの振動子を一度にバッチ処理にて形成できる。それ故、安価な水晶振動子を具えた、安価な水晶ユニットと水晶発振器が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の水晶ユニットと水晶発振器を構成する幅縦水晶振動子の形成に用いる水晶板のカット角とその座標系との関係である。
【図2】(a)と(b)は本発明の第1実施例の水晶ユニットと第1実施例の水晶発振器に用いられる幅縦水晶振動子の上面図と側面図である。
【図3】(a)と(b)は本発明の第2実施例の水晶ユニットと第2実施例の水晶発振器に用いられる幅縦水晶振動子の上面図と下面図である。
【図4】上記第1実施例と第2実施例の幅縦水晶振動子の周波数温度特性の一例を示す線図である。
【図5】(a)と(b)は本発明の第3実施例の水晶ユニットと第3実施例の水晶発振器に用いられる幅縦水晶振動子の上面図と下面図である。
【図6】本発明の第4実施例の水晶ユニットの断面図と第4実施例の水晶発振器に用いられる水晶ユニットの断面図である。
【図7】本発明の水晶発振器の一実施例を示す構成図である。
【図8】本発明の水晶発振器の他の実施例を示す断面図である。
【図9】(a)と(b)は従来の水晶ユニットと従来の水晶発振器に用いられるNS−GTカット幅・長さ縦結合水晶振動子の上面図と側面図である。
【図10】従来の水晶ユニットと従来の水晶発振器に用いられるNS−GTカット幅・長さ縦結合水晶振動子を収納した円筒型容器の断面図である。
【符号の説明】
振動部の幅
振動部の長さ
振動部の厚み
θ,θ,θ,θ 角度
44,45,46 曲線
頂点温度

Claims (2)

  1. 水晶振動子とケースと蓋とを具えて構成されている水晶ユニットで、前記水晶振動子は振動部と接続部と支持部とを具えて構成され、前記振動部の幅寸法は長さ寸法より小さく、厚み寸法より大きい幅縦水晶振動子を具えて構成される水晶ユニットで、
    前記幅縦水晶振動子は表面実装型のケースと蓋を具えて構成されるユニットに収納されていて、
    振動部と接続部と支持部とを具えて構成される前記幅縦水晶振動子の接続部は前記振動部の長さ方向の両端部に少なくとも第一接続部と第二接続部を有し、前記振動部の幅寸法は長さ寸法より小さく、厚み寸法より大きく、かつ、前記振動部と前記接続部と前記支持部とを具えて構成される幅縦水晶振動子は粒子法により一体に形成され、
    前記振動部の上下面には極性の異なる少なくとも一対の電極が対抗して配置され、基本波モード又は高調波モードの振動次数が圧電定数に依存しないように前記振動部と前記電極が構成され、
    前記幅縦水晶振動子の主振動の等価直列抵抗Rが副振動の等価直列抵抗Rより小さい幅縦水晶振動子を具えて構成されている事を特徴とする水晶ユニット。
  2. 水晶振動子と増幅器とコンデンサーと抵抗素子とを具えて構成されていて、前記水晶振動子は振動部と接続部と支持部とを具えて構成され、前記振動部の幅寸法は長さ寸法より小さく、厚み寸法より大きい幅縦水晶振動子を具えて構成される水晶発振器で、
    振動部と接続部と支持部とを具えて構成される前記幅縦水晶振動子の接続部は前記振動部の長さ方向の両端部に少なくとも第一接続部と第二接続部を有し、前記振動部の幅寸法は長さ寸法より小さく、厚み寸法より大きく、かつ、前記振動部と前記接続部と前記支持部とを具えて構成される幅縦水晶振動子は粒子法により一体に形成され、
    前記振動部の上下面には極性の異なる少なくとも一対の電極が対抗して配置され、基本波モード又は高調波モードの振動次数が圧電定数に依存しないように前記振動部と前記電極が形成され、
    前記幅縦水晶振動子の主振動の等価直列抵抗Rが副振動の等価直列抵抗Rより小さい幅縦水晶振動子を具えて前記水晶発振器は構成されると共に、
    増幅回路と帰還回路を具えて構成される前記水晶発振器の増幅回路の主振動の負性抵抗の絶対値|−RL|と主振動の等価直列抵抗Rとの比が増幅回路の副振動の負性抵抗の絶対値|−RL|と副振動の等価直列抵抗Rとの比より大きくなるように前記水晶発振器は構成されていて、
    前記幅縦水晶振動子を具えて構成された前記水晶発振器の出力信号が主振動の周波数であることを特徴とする水晶発振器。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013012965A (ja) * 2011-06-30 2013-01-17 Nippon Dempa Kogyo Co Ltd 圧電振動片及び圧電デバイス
CN102904544A (zh) * 2011-07-29 2013-01-30 日本电波工业株式会社 晶体振子和晶体振荡器

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