JP2004214424A - マイクロ波励起ガスレーザ装置 - Google Patents

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忠弘 大見
Kiwamu Takehisa
究 武久
Masaki Hirayama
昌樹 平山
Hidetoshi Wakamatsu
秀利 若松
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Abstract

【課題】レーザガス内において、細く小さい体積中でマイクロ波放電を起こし、しかも、放電体積中のレーザガスを高速で置換できる装置を提供することであり、それによって連続動作が可能なマイクロ波励起紫外レーザ装置を提供すること。
【解決手段】マイクロ波を伝播させる導波路と、レーザガスを循環させるガス循環経路と、前記ガス循環経路の一部を構成するとともに前記導波路からマイクロ波を導入してレーザ光を発生させるチャンバとを備えたマイクロ波励起ガスレーザ装置であって、前記導波路は前記レーザガスの流入を阻止する封止部材を有し、前記チャンバには前記導波路からのマイクロ波を導入する内部導波路を設け、前記内部導波路には前記レーザガスを導入するスリット状のガス流入領域を設けたことを特徴とするマイクロ波励起ガスレーザ装置。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、マイクロ波を励起源として動作する、マイクロ波励起ガスレーザ装置及びこの装置等のマイクロ波を励起源とした処理を行う処理装置に用いる封止構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
紫外域でレーザ動作するガスレーザ(以下、紫外レーザと呼ぶ。)としては、エキシマレーザやフッ素分子レーザ(以下、F2レーザと呼ぶ。)などがあり、例えば光リソグラフィの光源として広く用いられている。これらの紫外レーザを動作させるには、一般に直流パルス電源が用いられる。すなわち、コンデンサーに蓄えられた電気的エネルギーを、チャンバ内でパルス放電させることで、パルス状のレーザ光が発生する。なお、レーザガスの成分として、フッ素分子レーザでは、フッ素ガスとNe(ネオン)との混合ガスが用いられる。波長248nmのKrFエキシマレーザでは、F2、Kr(クリプトン)、及びNeの混合ガス、波長193nmのArFエキシマレーザでは、F2、Ar(アルゴン)、及びNeの混合ガスが一般に用いられる。なお、これらの紫外レーザ、及びリソグラフィ用光源に関しては、例えば、非特許文献1において説明されている。
一方、従来、エキシマレーザに関しては、動作源としてマイクロ波を用いる場合もあった。これはマイクロ波励起エキシマレーザと呼ばれ、一般的な構造としては、マイクロ波を発生させるマイクロ波発振器、マイクロ波を伝播させる導波管、及びレーザガスが満たされたチャンバとで構成されている。
従来のマイクロ波励起エキシマレーザの構造としては、図19に示したマイクロ波励起エキシマレーザ装置のように、マイクロ波発振器101から放射されたマイクロ波を、導波路102a、102bを通して、電極104a、104bまで導き、これらの電極104a、104b間でマイクロ波放電を起こし、それらの間にレーザチューブ105を配置することで、その内部に満たされたレーザガスを励起し、レーザ動作を行っていた。また、導波路102a、102bはインピーダンス整合器103を通っており、マイクロ波発振器101とレーザチューブ105とのインピーダンス整合を行っている。なお、従来装置に関しては、例えば、非特許文献2から非特許文献4に示されている。
【0003】
【非特許文献1】
レーザー研究、第27巻、第7号、第473頁から478頁(1999年7月)
【非特許文献2】
OPTICS LETTERS, Vol.12, No.3, p.169−171, 1987
【非特許文献3】
APPLIED OPTICS, Vol.29, No.9, p.1246−1248, 1990
【非特許文献4】
APPL. Phys. Lett., Vol.41, No.9,p.794−796, 1982
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来の装置では、エキシマレーザを連続的にレーザ発振させることが困難であり、一般に、パルス幅数マイクロ秒以下のパルス動作しかできなかった。すなわち、従来のマイクロ波励起紫外レーザ装置におけるマイクロ波発振器101には、パルス動作のものが用いられており、これを連続動作のものに換えても、連続的にレーザ光を発生させることは困難であった。
その第1の理由は、レーザの連続動作を行うには、連続的に動作するマイクロ波発振器を用い、連続的に発生するマイクロ波でレーザガスを励起する必要があるが、連続動作のマイクロ波はピークパワーが低いため、発振に心要な数百kW/cm以上の高い励起密度(単位体積当たりの励起パワー)で放電させることができないことから、レーザ発振が困難であったということである。すなわち、レーザガスを十分励起させるには、マイクロ波のパワーを上げる心要があるが、連続動作のマイクロ波発振器では、得られるマイクロ波のパワーはせいぜい数KW程度であり、パルス動作によって一般に得られる数百kWから数MWのピークパワーに比べて、2桁程度も小さいからである。したがって、低ピークパワーのマイクロ波によってレーザ動作させるためには、放電体積が十分小さい構造をとる必要があるが、従来装置の多くは、放電体積が数立方センチメートル程度と大きく、数KWのマイクロ波で放電させても、励起密度は数KW/cmにしかならない。そのため、ピークパワー数MWが大出力するパルス型マイクロ波を用いて、パルス放電させ、パルスレーザ光を発生させていた。
またレーザの連続動作が困難である第2の理由は、放電が開始すると、レーザガスに含まれるフッ素や塩素などのハロゲンが枯渇していくため、レーザ発振の基になるエキシマが生成されなくなると広く考えられていたことである。すなわち、ハロゲンが枯渇する時間は、数マイクロ秒のオーダーであると考えられていたため、マイクロ秒以内の短時間にガスを置換させることができれば、連続的にレーザ動作させることが可能と考えられていた。
これに対して、低いピークパワーのマイクロ波を励起源としてレーザ発振を行うには、レーザガスにおいて励起される体積を十分小さくして、励起密度を十分高める心要がある。そこで従来の装置では、一対の電極104a、104bの間にレーザチューブ105を配置して、電極間で放電させる構造がとられることがあった。すなわち、レーザチューブ105の内部体積、つまり、内径を小さくすることで、レーザガスの励起密度を高めるようにし、レーザ発振をさせていた。ところがこのような従来装置では、放電空間に存在するレーザガスを高速に置換させることが困難であった。その理由は、従来のマイクロ波励起紫外レーザ装置150においてレーザガスを循環させるには、チューブの長さ方向にガスを流す心要があるが、特にチューブの内径が小さくなると、流体損失が大きくなるため、内部のガスを瞬時にチューブ外に吐き出すことができないからである。
以上のように、従来のマイクロ波励起紫外レーザ装置においては、ガスが満たされる放電部に長いチューブや管が用いられている場合が多く、細長い放電部の長さ方向にガスを流す構造をとっていたことから、特に内径を小さくすると、放電部から数マイクロ秒以内の短時間にガスを置換させることが原理的に困難であり、その結果、連続的にレーザ動作させることができなかった。
【0005】
本発明の目的は、レーザガス内において、細く小さい体積中でマイクロ波放電を起こし、しかも、放電体積中のレーザガスを高速で置換できる装置を提供することであり、それによって連続動作が可能なマイクロ波励起紫外レーザ装置を提供することである。また、本発明の他の目的は、マイクロ波励起による処理を行う部分をマイクロ波伝播部分から隔離しうる封止構造を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の本発明のマイクロ波励起ガスレーザ装置は、マイクロ波を伝播させる導波路と、レーザガスを循環させるガス循環経路と、前記ガス循環経路の一部を構成するとともに前記導波路からマイクロ波を導入してレーザ光を発生させるチャンバとを備えたマイクロ波励起ガスレーザ装置であって、前記導波路は前記レーザガスの流入を阻止する封止部材を有し、前記チャンバには前記導波路からのマイクロ波を導入する内部導波路を設け、前記内部導波路には前記レーザガスを導入するスリット状のガス流入領域を設けたことを特徴とする。
請求項2記載の本発明のマイクロ波励起ガスレーザ装置は、マイクロ波を伝播させる導波路と、レーザガスを循環させるガス循環経路と、前記ガス循環経路の一部を構成するとともに前記導波路からマイクロ波を導入してレーザ光を発生させるチャンバとを備えたマイクロ波励起ガスレーザ装置であって、前記導波路は前記レーザガスの流入を阻止する封止部材を有し、前記チャンバには前記導波路からのマイクロ波を導入する内部導波路を設け、前記内部導波路には前記レーザガスを導入するスリット状のガス流入領域を設け、前記内部導波路において前記マイクロ波の伝播経路は前記ガス流入領域から導入されたレーザガスの流路と交叉し、交叉部においてプラズマを発生させて前記レーザ光を発生させることを特徴とする。
請求項3記載の本発明のマイクロ波励起ガスレーザ装置は、マイクロ波を伝播させる導波路と、レーザガスを循環させるガス循環経路と、前記ガス循環経路の一部を構成するとともに前記導波路からマイクロ波を導入してレーザ光を発生させるチャンバとを備えたマイクロ波励起ガスレーザ装置であって、前記導波路は前記レーザガスの流入を阻止する封止部材を有し、前記チャンバには前記導波路からのマイクロ波を導入する内部導波路を設け、前記内部導波路には前記レーザガスを導入するスリット状のガス流入領域を設け、前記内部導波路において前記マイクロ波は前記ガス流入領域から導入されたレーザガスの流路と実質的に平行に伝播し、プラズマを発生させて前記レーザ光を発生させることを特徴とする。請求項4記載の本発明は、請求項1から請求項3のいずれかに記載のマイクロ波励起ガスレーザ装置において、前記内部導波路に、レーザガスを流出させるガス流出領域を設け、前記ガス流出領域を、マイクロ波が通過しない大きさの複数の孔によって構成したことを特徴とする。
請求項5記載の本発明は、請求項1から請求項3のいずれかに記載のマイクロ波励起ガスレーザ装置において、前記内部導波路の対向する一方の面に前記ガス流入領域を設け、対向する他方の面に前記ガス流出領域を設けたことを特徴とする。
請求項6記載の本発明は、請求項1から請求項3のいずれかに記載のマイクロ波励起ガスレーザ装置において、前記スリット状のガス流入領域を、導波路とは異なる部品である電極を取り付けることによって形成することを特徴とする。
請求項7記載の本発明は、請求項1から請求項3のいずれかに記載のマイクロ波励起ガスレーザ装置において、前記内部導波路内に、マイクロ波を透過させるとともにレーザガスの流れを規制するガス整流板を設けたことを特徴とする。
請求項8記載の本発明は、請求項7に記載のマイクロ波励起ガスレーザ装置において、前記ガス整流板として、フッ素耐性を有する絶縁部材を用いたことを特徴とする。
請求項9記載の本発明のマイクロ波励起ガスレーザ装置は、マイクロ波を伝播させる導波路と、レーザガスを循環させるガス循環経路と、前記ガス循環経路の一部を構成するとともに前記導波路からマイクロ波を導入してレーザ光を発生させるチャンバとを備えたマイクロ波励起ガスレーザ装置であって、前記チャンバから前記導波管へのガスの流入を防止する封止構造を有し、前記封止構造は、マイクロ波が透過しうる絶縁材料を含み前記チャンバの内部空間と前記導波管の内部空間とを遮断するように配置された絶縁部材と、前記絶縁部材の側面に配置され前記マイクロ波を伝播する機能を有する導電部と、前記絶縁部材及び前記導電部よりも外側に配され前記絶縁部材による封止を機械的に保証する手段とを備えたことを特徴とする。
請求項10記載の本発明は、請求項9に記載のマイクロ波励起ガスレーザ装置において、前記導電部として、金、銅、アルミあるいは銀を主成分とする金属ペーストを用いたことを特徴とする。
請求項11記載の本発明は、請求項9に記載のマイクロ波励起ガスレーザ装置において、前記導電部として金属製リングを用い、前記金属製リングを前記絶縁部材の外周にロウ付けしたことを特徴とする。
請求項12記載の本発明は、請求項9に記載のマイクロ波励起ガスレーザ装置において、前記絶縁部材による封止を機械的に保証する前記手段として、Oリングを用いたことを特徴とする。
請求項13記載の本発明のマイクロ波励起ガスレーザ装置は、マイクロ波を伝播させる導波路と、レーザガスを循環させるガス循環経路と、前記ガス循環経路の一部を構成するとともに前記導波路からマイクロ波を導入してレーザ光を発生させるチャンバとを備えたマイクロ波励起ガスレーザ装置であって、前記チャンバから前記導波管へのガスの流入を防止する封止部材を有し、前記封止部材として絶縁部材を用い、前記封止部材の絶縁部材の厚みを、絶縁部材の厚みに対するマイクロ波の反射特性が極小値の近傍となる厚みとしたことを特徴とする。
請求項14記載の本発明は、請求項13に記載のマイクロ波励起ガスレーザ装置において、前記封止部材の絶縁部材の厚みとして、最初の極小値を用いたことを特徴とする。
請求項15記載の本発明のマイクロ波励起ガスレーザ装置は、マイクロ波を伝播させる導波路と、レーザガスを循環させるガス循環経路と、前記ガス循環経路の一部を構成するとともに前記導波路からマイクロ波を導入してレーザ光を発生させるチャンバとを備えたマイクロ波励起ガスレーザ装置であって、前記チャンバから前記導波管へのガスの流入を防止する封止部材を有し、前記封止部材として絶縁部材を用い、前記封止部材の絶縁部材の厚みを、マイクロ波の反射率が10%以下の厚みとしたことを特徴とする。
請求項16記載の本発明は、請求項1、請求項2、請求項3、請求項9、請求項13、又は請求項15に記載のマイクロ波励起ガスレーザ装置において、前記封止部材の材料として、セラミックを用いたことを特徴とする。
請求項17記載の本発明は、請求項1、請求項2、請求項3、請求項9、請求項13、又は請求項15に記載のマイクロ波励起ガスレーザ装置において、前記封止部材の材料として石英を用い、前記封止部材のレーザガスが接触する面に、フッ化マグネシウムのコーティングを施したことを特徴とする。
請求項18記載の本発明の露光装置は、請求項1、請求項2、請求項3、請求項9、請求項13、又は請求項15に記載のマイクロ波励起ガスレーザ装置を光源に用いたことを特徴とする。
請求項19記載の本発明の処理装置は、マイクロ波を励起源とした処理が行われるチャンバと、前記チャンバにマイクロ波を導入する導波管と、前記チャンバから前記導波管へのガスの流入を防止する封止構造とを有する処理装置であって、前記封止構造は、マイクロ波が透過しうる絶縁材料を含み前記チャンバの内部空間と前記導波管の内部空間とを遮断するように配置された絶縁部材と、前記絶縁部材の側面に配置され前記マイクロ波を伝播する機能を有する導電部と、前記絶縁部材及び前記導電部よりも外側に配され前記絶縁部材による封止を機械的に保証する手段とを備えたことを特徴とする。
請求項20記載の本発明の処理装置は、マイクロ波を励起源とした処理が行われるチャンバと、前記チャンバにマイクロ波を導入する導波管と、前記チャンバから前記導波管へのガスの流入を防止する封止部材とを有する処理装置であって、前記封止部材は、マイクロ波が透過しうる絶縁材料を含み前記チャンバの内部空間と前記導波管の内部空間とを遮断するように配置された絶縁部材を有し、前記絶縁部材の厚みを、絶縁部材の厚みに対するマイクロ波の反射特性が極小値の近傍となる厚みとしたことを特徴とする。
請求項21記載の本発明の処理装置は、マイクロ波を励起源とした処理が行われるチャンバと、前記チャンバにマイクロ波を導入する導波管と、前記チャンバから前記導波管へのガスの流入を防止する封止部材とを有する処理装置であって、前記封止部材は、マイクロ波が透過しうる絶縁材料を含み前記チャンバの内部空間と前記導波管の内部空間とを遮断するように配置された絶縁部材を有し、前記絶縁部材の厚みを、マイクロ波の反射率が10%以下の厚みとしたことを特徴とする。
請求項22記載の本発明の処理装置は、マイクロ波を励起源とした処理が行われるチャンバと、前記チャンバにマイクロ波を導入する導波管と、前記チャンバから前記導波管へのガスの流入を防止する封止部材とを有する処理装置であって、前記封止部材は、マイクロ波が透過しうる絶縁材料を含み前記チャンバの内部空間と前記導波管の内部空間とを遮断するように配置された絶縁部材を有し、前記絶縁部材の材料として石英を用い、レーザガスが接触する面に、フッ化マグネシウムのコーティングを施したことを特徴とする。
請求項23記載の本発明のマイクロ波励起ガスレーザ装置は、請求項19から請求項22のいずれかに記載の処理装置を備え、前記封止部材によって前記導波管へのレーザガスの流入を阻止することを特徴とする。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の第1の実施の形態によるマイクロ波励起ガスレーザ装置は、封止部材を設けることで、ガス循環経路と内部導波路とを結合させてもレーザガスが導波路の上流側、すなわちマイクロ波発生器側に逆流することはない。また本実施の形態は、内部導波路にスリット状のガス流入領域を設けることで、内部導波路内にマイクロ波を伝播させると、このガス流入領域でマイクロ波放電を起こすことができる。しかも、このガス流入領域をスリットとすることで、放電体積を小さくでき、励起密度を十分高めることが可能である。
本発明の第2の実施の形態によるマイクロ波励起ガスレーザ装置は、封止部材を設けることで、ガス循環経路と内部導波路とを結合させてもレーザガスが導波路の上流側、すなわちマイクロ波発生器側に逆流することはない。また本実施の形態は、内部導波路においてマイクロ波の伝播経路はガス流入領域から導入されたレーザガスの流路と交叉し、交叉部においてプラズマを発生させることでレーザ光を発生させるものである。
本発明の第3の実施の形態によるマイクロ波励起ガスレーザ装置は、封止部材を設けることで、ガス循環経路と内部導波路とを結合させてもレーザガスが導波路の上流側、すなわちマイクロ波発生器側に逆流することはない。また本実施の形態は、内部導波路においてマイクロ波をガス流入領域から導入されたレーザガスの流路と実質的に平行に伝播させることで、内部導波管内でのレーザガスのデッドスペース(すなわちレーザガスの澱む空間)を小さくすることができ、プラズマの発生を円滑に行うことができる。
本発明の第4の実施の形態は、第1から第3の実施の形態によるマイクロ波励起ガスレーザ装置において、ガス流出領域を設けたことで、内部導波路に入ったレーザガスを、速やかにガス循環経路に戻すことができる。しかも、マイクロ波が通過しない大きさの複数の孔によってガス流出領域を構成したことで、マイクロ波が漏れ出すことを抑制できる。
本発明の第5の実施の形態は、第1から第3の実施の形態によるマイクロ波励起ガスレーザ装置において、内部導波路の対向する一方の面にガス流入領域を設け、対向する他方の面にガス流出領域を設けたことにより、ガスを円滑に流すことができる。
本発明の第6の実施の形態は、第1から第3の実施の形態によるマイクロ波励起ガスレーザ装置において、スリット状のガス流入領域を、導波路とは異なる部品である電極を取り付けることによって形成するものである。本実施の形態によれば、1個の金属ブロックからの削り出しによって、スリット入りの内部導波路をチャンバ内部に形成できる。したがって、内部導波路の形成に際して、溶接は不要になることから、高い気密構造にすることが容易になるだけでなく、チャンバ製作時に熱歪が入らないため、製作精度が高い。しかも、マイクロ波放電によって生成されるプラズマが接触する部品は電極のみであり、チャンバのボディ自体には接触しないため、長期間動作後の劣化による交換も容易であり、コストも安くなる。
本発明の第7の実施の形態は、第1から第3の実施の形態によるマイクロ波励起ガスレーザ装置において、内部導波路内に、マイクロ波を透過させるとともにレーザガスの流れを規制するガス整流板を設けたことにより、ガスを円滑に流すことができる。
本発明の第8の実施の形態は、第7の実施の形態によるマイクロ波励起ガスレーザ装置において、ガス整流板として、フッ素耐性を有する絶縁部材を用いたことにより、フッ素を含む場合が多い、ガスレーザ装置に用いることができる。
本発明の第9の実施の形態によるマイクロ波励起ガスレーザ装置は、封止部材を設けることで、ガス循環経路と内部導波路とを結合させてもレーザガスが導波路の上流側、すなわちマイクロ波発生器側に逆流することはない。また本実施の形態は、封止部材を導波路と内部導波路との接合部に配置し、封止部材として絶縁部材を用いるとともに絶縁部材の側面に導電部を設けることで、封止部材を挟む両側の部材を電気的に導通させることができ、封止部材自体も導波路と同等の作用を有することになる。また、導電部よりも外側に例えばシーリング材等の絶縁部材による封止を機械的に保証する手段を配置したことにより、シーリング材にマイクロ波が当たらなくなり、シーリング材にダメージが生じることがない。本発明の第10の実施の形態は、第9の実施の形態によるマイクロ波励起ガスレーザ装置において、導電部として、金、銅、アルミあるいは銀を主成分とする金属ペーストを用いることが好ましい。この金属ペーストにより、ガラス材やセラミック材に対して良好に密着することができる。また、金、銅、アルミあるいは銀は、金属の中でも特に導電率が高いことから、導電部自体を導波路として機能させやすく、マイクロ波に大きな損失を与えることがない。中でも、金ペーストを用いると、金は化学反応を生じにくいことから、チャンバ内に腐食性のガスを用いる場合には特に有効である。
本発明の第11の実施の形態は、第9の実施の形態によるマイクロ波励起ガスレーザ装置において、導電部として金属製リングを用い、金属製リングを絶縁部材の外周にロウ付けすることが好ましい。本実施の形態によれば、金属製リングによって取り付けることができるので、絶縁部材に締め付け力などが加わることなく、封止部材を破損させることなく確実に取り付けることができる。
本発明の第12の実施の形態は、第9の実施の形態によるマイクロ波励起ガスレーザ装置において、シーリング材としてOリングを用いたことで、確実に密封することができる。
本発明の第13の実施の形態によるマイクロ波励起ガスレーザ装置は、封止部材を設けることで、ガス循環経路と内部導波路とを結合させてもレーザガスが導波路の上流側、すなわちマイクロ波発生器側に逆流することはない。また本実施の形態は、封止部材の絶縁部材の厚みを、絶縁部材の厚みに対するマイクロ波の反射特性が極小値の近傍となる厚みとしたことで、マイクロ波の反射を抑制できるだけでなく、封止部材の機械的強度が高まり、チャンバ内に数気圧以上の高い圧力でガスを満たすこともできる。このように本実施の形態によれば、チャンバにて、数気圧以上の高圧ガスを用いることができるため、より高い密度のプラズマを発生させることができる。
本発明の第14の実施の形態は、第13の実施の形態によるマイクロ波励起ガスレーザ装置において、封止部材の絶縁部材の厚みとして、最初の極小値を用いたものであり、封止部材内部でのマイクロ波の吸収損失が少ない厚みとすることができる。
本発明の第15の実施の形態によるマイクロ波励起ガスレーザ装置は、封止部材を設けることで、ガス循環経路と内部導波路とを結合させてもレーザガスが導波路の上流側、すなわちマイクロ波発生器側に逆流することはない。また本実施の形態は、封止部材の絶縁部材の厚みを、マイクロ波の反射率が10%以下の厚みとしたことで、マイクロ波の反射を抑制することができる。
本発明の第16の実施の形態は、第1、第2、第3、第9、第13、第15の実施の形態によるマイクロ波励起ガスレーザ装置において、封止部材の材料として、セラミックを用いたものである。これは、ガスレーザ装置に用いるレーザガスにはフッ素を含む場合が多く、フッ素耐性が低い石英等からなるガラスに比べて、セラミック材が適しているためである。なお、特にフッ素耐性を有する材料としては、アルミナ系のセラミック材が好ましい。
本発明の第17の実施の形態は、第1、第2、第3、第9、第13、第15の実施の形態によるマイクロ波励起ガスレーザ装置において、封止部材の材料として石英を用い、封止部材のレーザガスが接触する面に、フッ化マグネシウムのコーティングを施すものである。本実施の形態によれば、フッ化マグネシウムのコーティングを施すことで、レーザガスにフッ素を含む場合でも対応できるとともに、石英によって封止部材を構成するため、その比誘電率が約4と、セラミックの約10に比べて半分以下になることから、封止部材の表面と裏面でマイクロ波の反射を打ち消すような構造を取らなくても、封止部材を単に薄くするだけで、反射率を小さくすることができる。
本発明の第18の実施の形態による露光装置は、第1、第2、第3、第9、第13、第15の実施の形態によるマイクロ波励起ガスレーザ装置を光源に用いたものであり、連続的に発光する光源により光学部品が劣化しない露光装置を提供することができる。
本発明の第19の実施の形態による処理装置は、封止構造が、マイクロ波が透過しうる絶縁材料を含みチャンバの内部空間と導波管の内部空間とを遮断するように配置された絶縁部材と、絶縁部材の側面に配置されマイクロ波を伝播する機能を有する導電部と、絶縁部材及び導電部よりも外側に配され絶縁部材による封止を機械的に保証する手段とを備えたものである。本実施の形態によれば、封止部材として絶縁部材を用いるとともに、絶縁部材の側面に導電部を設けることで、封止部材を挟む両側の部材を電気的に導通させることができ、封止部材自体も導波管と同等の作用を有することになる。また、導電部よりも外側に例えばシーリング材等の絶縁部材による封止を機械的に保証する手段を配置したことにより、シーリング材にマイクロ波が当たらなくなり、シーリング材にダメージが生じることがない。
本発明の第20の実施の形態による処理装置は、封止部材が、マイクロ波が透過しうる絶縁材料を含みチャンバの内部空間と導波管の内部空間とを遮断するように配置された絶縁部材を有し、マイクロ波を伝播させる絶縁部材の厚みを、絶縁部材の厚みに対するマイクロ波の反射特性が極小値の近傍となる厚みとしたことで、マイクロ波の反射を抑制できるだけでなく、封止部材の機械的強度が高まり、チャンバ内に数気圧以上の高い圧力でガスを満たすこともできる。このように本実施の形態によれば、チャンバにて、数気圧以上の高圧ガスを用いることができるため、より高い密度のプラズマを発生させることができる。
本発明の第21の実施の形態による処理装置は、マイクロ波を伝播させる絶縁部材の厚みを、マイクロ波の反射率が10%以下の厚みとしたことで、マイクロ波の反射を抑制することができる。
本発明の第22の実施の形態による処理装置は、マイクロ波を伝播させる絶縁部材の材料として石英を用い、レーザガスが接触する面に、フッ化マグネシウムのコーティングを施したことで、レーザガスにフッ素を含む場合でも対応できるとともに、石英によって封止部材を構成するため、その比誘電率が約4と、セラミックの約10に比べて半分以下になることから、封止部材の表面と裏面でマイクロ波の反射を打ち消すような構造を取らなくても、封止部材を単に薄くするだけで、反射率を小さくすることができる。
本発明の第23の実施の形態によるマイクロ波励起ガスレーザ装置は、第19から第22の実施の形態による処理装置を備えたことで、レーザガスが導波管の上流側、すなわちマイクロ波発生器側に逆流することはない。
【0008】
【実施例】
以下、本発明の一実施例によるマイクロ波励起ガスレーザ装置を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施例であるマイクロ波励起エキシマレーザ装置100の構成図である。
マイクロ波励起エキシマレーザ装置100は、電源1から供給された電力によってマイクロ波を発生させるマイクロ波発振器2と、このマイクロ波発振器2で発振させたマイクロ波を伝播させる導波管(導波路)3と、レーザガスを循環させるガス循環経路10と、導波管3からマイクロ波を導入してレーザ光を発生させるチャンバ4とを備えている。なお、マイクロ波発振器2で発信させるマイクロ波の周波数は、Sバンドの2.45GHzが好ましいが、Lバンドの1.3GHzや、約9GHzのXバンドを用いてもよい。また、マイクロ波発振器2の出力は、レーザを発振させるためには2〜3kWで行えるが、この閾値よりできる限り大きい方が、電気効率が高くなるため、10kW程度が好ましい。また、KrFエキシマレーザにおけるレーザガスの成分は、F2:Kr:He=0.1%:5%:94.9%であり、全圧は2気圧である。なお、バッファガスであるHeの代わりにNeを用いてもよい。
導波管3は、導波管3a、3b、L字導波管3c、及び接続導波管3dとから構成されている。導波管3aは、マイクロ波発振器2とアイソレータ7とを接続し、導波管3bは、アイソレータ7とチューナ5とを接続し、L字導波管3cと接続導波管3dは、チューナ5とチャンバ4とを接続している。
ガス循環経路10は、配管によって熱交換器11、チャンバ4、及びブロア12とを環状に接続した構成である。熱交換器11は、チャンバ4の下流側に配置されている。
チャンバ4内では、レーザガスはX軸方向に流れ、マイクロ波はY軸方向から注入され、発生するレーザ光L1はガスの流れ方向及びマイクロ波の発振方向と直交する方向(Z軸)から取り出される。レーザ光L1を取り出すレーザミラー6は、チャンバ4の側方に設けられている。
【0009】
次に、このマイクロ波励起エキシマレーザ装置100の動作について以下に説明する。
電源1から供給された電力により、マイクロ波発振器2からは、マイクロ波(ここでは2.45GHz)が発生する。マイクロ波は、導波管3a、アイソレータ7、導波管3b、チューナ5を順次通過し、L字導波管3cで下方に曲がり、接続導波管3dに進む。そしてマイクロ波は、接続導波管3dからチャンバ4内のレーザガス中に注入される。
レーザガスは、ブロア12によって、ループ状に構成されているガス循環経路10内を高速で循環し、チャンバ4内に満たされる。熱交換器11は、マイクロ波によって加熱されたレーザガスを冷却する。
レーザ光L1は、チャンバ4の外側に配置されたレーザミラー6から取り出される。
【0010】
次にチャンバ4の内部構造に関して、図2を用いて説明する。
図2は、チャンバ4の内部を示した斜視図、チャンバ4の断面図、及びチャンバ4の側面図である。
チャンバ4に接続された接続導波管3dの内部を伝わってきたマイクロ波Mは、封止部材20を透過して、チャンバ4の内部に進む。なお、接続導波管3dが方形導波管の場合には、一般に、断面の長方形の短辺側に相当する面はH面、長辺側に相当する面はE面と呼ばれている。チャンバ4の内部には、内部導波管3eが形成されている。また、内部導波管3e内のガス流入領域31の端部近傍には、ガス整流板19が設けられている。また、接続導波管3dと内部導波管3eとの接合部には、封止部材20が設けられている。
封止部材20は、接続導波管3dへのレーザガスの流入を防止するものであり、気密性があり、フッ素ガスに強い絶縁材料で構成するが、具体的には、硬度、耐薬品性、および耐熱性の観点からアルミナセラミックス(Al)が好ましい。また、このアルミナセラミックス(Al)は、99%以上の純度のものが好ましい。さらに、一般に、ポアフリーと呼ばれる気孔率が低いものが気密性の点から好ましい。なお封止部材20は、接続導波管3d又は内部導波管3e内に設けてもよい。
内部導波管3eのレーザガスG1が入り込む側面には、ガス流入領域31が形成されており、レーザガスG2が流れ出る側面には、ガス流出領域32が形成されている。ガス流入領域31とガス流出領域32とは、内部導波管3eの対向するそれぞれの面に形成されており、これらの面は接続導波管3dのH面と連続する面となっている。ガス流入領域31は、所定幅のスリットによって構成され、ガス流出領域32は、多数の小孔によって構成されている。
【0011】
ガス整流板19は、フッ素耐性を有し、しかもマイクロ波を透過させる絶縁材料である心要があり、それにはテフロン(登録商標)やセラミックが適している。さらに、ガス整流板19は、その面をガス流の方向と一致させ、ガス流入領域31からガス流出領域32に向かってレーザガスを導くように配置され、内部導波管3eの内周面にはめ込まれている。
本実施例のガス整流板19は、テフロンから成る厚み0.5mmの薄板であり、ガスがスムースに出入りできるように、直径2mm程度の小さな穴を複数個設けている。ガス整流板19の材料として用いるテフロンは、比誘電率が約2.1であり、耐フッ素特性を有する絶縁材料の中でも特に小さい比誘電率であるため、板の表面と裏面とで生じるマイクロ波の反射損失を低く抑えることができる。レーザガスG1は、ガス流入領域31から内部導波管3e内に流れ込む際に、このガス整流板19によって拡大する方向への流れ、特に封止部材20の方向への流れを規制して、速やかにガス流出領域32から放出させるものである。これにより、内部導波管3e内のガスの平均流速を高めることができ、ガス流入領域31におけるガス流速を向上させることができる。
チャンバ4には、レーザ光を取り出すウインド33a、33bが設けられている。
以上の構成により、マイクロ波Mは、内部導波管3d内に導かれ、内部導波管3dにおいてマイクロ波Mの伝播経路はスリット状のガス流入領域31から導入されたレーザガスの流路と交叉し、このガス流入領域31で放電する。スリット状のガス流入領域31を流れるレーザガスG1によって、細い線状のプラズマが発生し、レーザ発振する。また、放電したレーザガスは、速やかに多数の小孔からなるガス流出領域32から下流に流れ去る。
【0012】
本実施例では、スリット状のガス流入領域31を形成するために、一対の電極34aを用いている。一対の電極34aは、チャンバ4に対して、ボルト34bによって固定され、内部導波管3eの1つの面を形成している。そして一対の電極34aは、僅かに離間して固定されることで、スリット状のガス流入領域31が形成される。
以上のように本実施例では、内部導波管3eに形成されるスリット状のガス流入領域31を、内部導波管3eとは異なる部品である一対の電極34aで構成することで、チャンバ4の製作が容易となる。すなわち、1つの金属ブロックから内部導波管3eに相当する空間をくり貫いて形成するためには、スリット状のガス流入領域31を形成する面(図3の左側)から、エンドミル等の切削工具(あるいは放電加工の場合は電極)を挿入するだけで製作が可能となる。また、多数の小孔からなるガス流出領域32の面を形成するためには、ガス流出領域32の面の部分のみを残して、両側から切削工具で削り出した後に、ドリルで孔を空ければよい。以上により、本実施例のチャンバ4は、1つの金属ブロックを削り出すことで、その内部導波管3eを製作でき、気密性が向上するだけでなく、溶接も不要になる。
なお、ガス流出領域32を形成する面を冷却することで、図1に示す熱交換器11を無くし、又は熱交換器11を小型化することができる。
【0013】
次に本発明の他の実施例による内部導波管について図3を用いて説明する。なお、同一機能、同一構成を有する部材には、同一番号を付与して一部説明を省略する。以下のそれぞれの実施例においても同様とする。
本実施例による内部導波管30Aは、一端側開口をマイクロ波Mの導入側とし、他端側の端面にスリット状のガス流入領域31Aを設けている。また、内部導波管30Aの一端側の屈折部には、ガス流出領域32を設けている。また、ガス流出領域32よりもマイクロ波Mの導入側には、封止部材20を設けている。
本実施例に示すように、内部導波管30Aにおいてマイクロ波Mを、スリット状のガス流入領域31Aから導入されたレーザガスの流路と実質的に平行に伝播させる構成とすることにより、図2に示すようなガス整流板19を用いなくても、内部導波管30A内でのレーザガスのデッドスペース(すなわちレーザガスの澱む空間)を小さくすることができる。
【0014】
次に本発明の他の実施例による内部導波管について図4を用いて説明する。
本実施例による内部導波管30Bは、一端側開口を、接続導波管3dと接合し、他端側開口を、レーザガスのガス流出領域35としたものである。
本実施例に示すように、他端側開口を、レーザガスのガス流出領域35とすることによって、図2及び図3に示すような多数の小孔からなるガス流出領域32は不要になる。ただし、レーザガスの排出部が、ガス流の中心位置からシフトするため、図1に示したガス循環経路10と異なる構成をすることが心要である。本実施例によれば、ガスの排出部の断面積を大きくとれるため、ガス流の流体抵抗を小さくでき、レーザガスの流速を高めることができる。その結果、特に高速なガス流が心要なエキシマレーザでは、レーザ発振効率が向上する。
【0015】
次に本発明の更に他の実施例による内部導波管について図5を用いて説明する。
本実施例による内部導波管30Cは、一端側開口だけでなく他端側開口にも、接続導波管3dを接合したものである。
本実施例に示すように、両端開口に接続導波管3dを接合することで、マイクロ波を2つの方向から内部導波管30Cに導くことができる。すなわち、図2に示すような一方向からマイクロ波Mを入射させるだけでなく、他端側開口からもマイクロ波Mを入射できるようになっている。
本実施例によれば、マイクロ波の供給パワーを2倍にできるため、レーザの高出力化が可能となる。
なお、図4及び図5の実施例では、封止部材20を省略して説明したが、接続導波管3dと内部導波管30B、30Cとの接合部、接続導波管3d内、又は内部導波管30B、30C内に封止部材が設けられている。
【0016】
次に本発明の一実施例による封止構造について以下に図面を用いて説明する。
図6は、本発明の一実施例による封止構造を示す要部断面図である。
封止部材20は、チャンバ4と接続導波管3dとの接合部に設けられる。チャンバ4の端部内周面には、段差部43が形成されている。一方、接続導波管3dの端部には、外方向に延出したフランジ部44が形成されている。
チャンバ4の端面とフランジ部44とを当接させ、複数のボルト42によってチャンバ4の端面とフランジ部44とを結合する。このとき、チャンバ4の段差部43内に、封止部材20による封止を機械的に保証するシーリング材となるOリング41を介在させて、封止部材20を配置する。なお、Oリング41は、封止部材20よりもチャンバ4側に配置する。
比誘電率が空気やレーザガスと大きく異なるセラミック材を、封止部材20として用いた場合、封止部材20によるマイクロ波の反射を抑制するには、封止部材20の板厚を可能な限り薄くするのが好ましく、具体的には封止部材20は、1mm程度以下とすることが好ましい。
【0017】
次に本発明の他の実施例による封止構造について図7を用いて説明する。
図7は、本発明の他の実施例による封止構造を示す要部断面図である。
本実施例による封止部材20Aは、約32mm程度の厚さのセラミック材を用いている。
図8に、封止部材20Aの絶縁部材の厚みに対する、マイクロ波の反射率特性を示す。
このグラフからも判るように、マイクロ波チャンバ用の絶縁部材における、マイクロ波の反射を抑制するためには、厚みが数mm程度の薄い絶縁部材を用いることによって実現できる他、絶縁部材の厚さを増していくと、マイクロ波の反射特性が極小値をとる厚みが存在する。従って、このようなマイクロ波の反射特性が極小値をとる厚み近傍でも、マイクロ波の反射率を10%以下とすることができる。
本実施例では、ウインドの厚みを、図8に示す反射率のグラフにおいて、最初の極小値の約32mmを選択している。その結果、マイクロ波は、ほとんど反射すること無く、チャンバ1内に導くことができる。なお、反射率のグラフの、最初の極小値をとる絶縁部材の厚みは、導波管の内寸法、絶縁部材の大きさ、及び材質によって異なる。
本実施例によれば、封止部材20Aの厚さを約32mmにした結果、封止部材20Aの強度が高くなり、チャンバ4内に高圧ガスを封入することができる。なお、接続導波管3d側の圧力は1気圧程度であるのに対し、レーザガスが存在するチャンバ4側の圧力は数気圧以上、好ましくは4気圧以上である。本実施例の封止部材20Aでは、このような差圧に対して強度的に全く問題がなく、特に高密度のプラズマを発生させることができる。
【0018】
なお、絶縁部材の厚みが増えると反射率が低下する原因としては、封止部材の表面と裏面でのマイクロ波の反射が打ち消し合うことであると考えられる。したがって、図8に示した極小値をとる厚みよりも、その倍程度さらに厚くしても反射率が低くなる(第2の極小値となる)厚みが存在すると考えられる。しかし、あまり厚くなりすぎると、封止部材内部でのマイクロ波の吸収損失が増大することも考えられる。したがって封止部材の厚みとしては、最初の極小値をとる厚みにするのが最も好ましい。
【0019】
次に本発明の更に他の実施例による封止構造について図9を用いて説明する。
図9は、本発明の他の実施例による封止構造を示す要部断面図である。
本実施例による封止部材20Bは、封止部材20Bの側面を形成する周囲の面と、封止部材20Bの端面の外周部とに、導電部である金ペースト22が塗布されている。なお、封止部材20Bの斜視図を後述する図17に示す。
チャンバ4の端面内周側には、約45度の角度にカットされた傾斜面45が形成されている。
本実施例において、Oリング41は傾斜面45とフランジ部44と封止部材20Bとによって形成される空間に配置される。
本実施例では、接続導波管3dは、封止部材20Bの上端面の外周部に塗布された金ペースト22と電気的に接続され、また、チャンバ4は、封止部材20Bの下端面の外周部に塗布された金ペースト22と電気的に接続される。その結果、封止部材20B自体も接続導波管3dと同様の作用をするようになり、接続導波管3d側から伝播してくるマイクロ波Mは、封止部材20Bを透過する際に、封止部材20Bの外周に配置されたOリング41に当たることはない。したがって、Oリング41には、ダメージが生じることはないので、特にマイクロ波耐性の高いものを用いる心要はない。
【0020】
次に本発明の更に他の実施例による封止構造について図10を用いて説明する。
図10は、本発明の他の実施例による封止構造を示す要部断面図である。
本実施例による封止部材20Cは、両端面に突出部を設けたもので、一方の突出部の外形寸法は、接続導波管3dの内形寸法と等しく、他方の突出部の外形寸法は、チャンバ4の内形寸法と等しく形成されている。封止部材20Cの側面を形成する周囲の面と、封止部材20Cの両端面の外周部とに、導電部である金ペースト22が塗布されている。
本実施例によれば、チャンバ4の段差部43を変更することなく、厚さの異なる封止部材20Cに変更が可能となる。
【0021】
次に本発明の更に他の実施例による封止構造について図11を用いて説明する。
図11は、本発明の他の実施例による封止構造を示す要部断面図である。
本実施例による封止部材20Dは、封止部材20Bと同一構成であり、封止部材20Dの側面を形成する周囲の面と、封止部材20Dの端面の外周部とに、導電部である金ペースト22が塗布されている。
本実施例では、Oリング41を押さえつけるために、アルミ製の固定リング47を用いている。すなわち、固定リング47をボルト42bによってチャンバ4に固定することで、Oリング41を締め付けている。接続導波管3dは、この固定リング47をボルト42aによって固定している。
本実施例では、Oリング41を接続導波管3dで押さえつけないため、封止部材20Dでチャンバ4内のガスを保ったまま、接続導波管3dを着脱できる。したがって、接続導波管3dを外す作業をともなうメンテナンスを行いやすい。
【0022】
次に本発明の更に他の実施例による封止構造について図12を用いて説明する。
図12は、本発明の他の実施例による封止構造を示す要部断面図である。
本実施例による封止部材20Eは、封止部材20Bと同一構成であり、封止部材20Eの側面を形成する周囲の面と、封止部材20Eの端面の外周部とに、導電部である金ペースト22が塗布されている。
本実施例では、チャンバ4の段差部43に更に、溝46を形成したものである。そして、封止部材20EをシールするためのOリング41が、この溝46内に配置している。
【0023】
次に本発明の更に他の実施例による封止構造について図13を用いて説明する。
図13は、本発明の他の実施例による封止構造を示す要部断面図である。
本実施例による封止部材20Fは、側面を二つの傾斜面で形成しており、封止部材20Fの側面は、二つの傾斜面によって外方向に突出した構成となっている。そして、この二つの傾斜面のみに金ペースト22が塗布されている。
接続導波管3dのフランジ44の内周側には、封止部材20Fの側面を形成する、一方の傾斜面と当接する傾斜面48を形成している。また、チャンバ4の段差部43の内周側には、封止部材20Fの側面を形成する、他方の傾斜面と当接する傾斜面47を形成している。
Oリング41は、段差部43と封止部材20Fとによって形成される空間に配置される。
本実施例によれば、Oリング41にマイクロ波Mが当たることはない。
また本実施例によれば、封止部材20Fの側面を形成する傾斜面だけに金ペースト22を塗布すればよく、封止部材20Fの端面側の一部に金ペースト22を塗布しなくても、接続導波管3dやチャンバ4と電気的に接続することができる。
【0024】
次に本発明の更に他の実施例による封止構造について図14を用いて説明する。
図14は、本発明の他の実施例による封止構造を示す要部断面図である。
本実施例による封止部材20Gは、側面を連続的に傾斜角度が変化する曲面によって外方向に突出した構成となっている。そして、この傾斜面のみに金ペースト22が塗布されている。
Oリング41は、段差部43と封止部材20Gとによって形成される空間に配置される。
本実施例によれば、Oリング41にマイクロ波Mが当たることはない。
また本実施例によれば、封止部材20Gの側面を形成する曲面だけに金ペースト22を塗布すればよく、封止部材20Gの端面側の一部に金ペースト22を塗布しなくても、接続導波管3dやチャンバ4と電気的に接続することができる。
【0025】
次に本発明の更に他の実施例による封止構造について図15を用いて説明する。
図15は、本発明の他の実施例による封止構造を示す要部断面図である。
本実施例による封止部材20Hは、絶縁部材の外周に金属リング23がロウ付けにより取り付けられている。封止部材20HをシールするOリング41は、チャンバ4の段差部43に設けられた溝46に配置している。ここで絶縁部材の外形は、接続導波管3dやチャンバ4の内形と同じ寸法であることが好ましい。
なお、接続導波管3dは、金属リング23の一端側端面に接触し、さらに金属リング23の他端側端面がチャンバ4と接触する。なお、金属リング23の材質としては、安価でかつ伝導性が良好なアルミや銅が好ましい。
本実施例は、前述してきた実施例とは異なり、封止部材に金属のペーストを塗布せずに、金属のリングをロウ付けするものである。
本実施例によれば、接続導波管3dが、金属リング23と良好に接触するように強く固定しても、金属リング23のみに力が加わり、絶縁部材自体に力が加わらないことから、絶縁部材が割れる恐れがない。
【0026】
次に本発明の更に他の実施例による封止構造について図16を用いて説明する。
図16は、本発明の他の実施例による封止構造を示す要部断面図である。
本実施例による封止部材20Kは、材質として石英が用いられている。ただし、封止部材20Kは、チャンバ4側のレーザガスに触れる面に、フッ化マグネシウム(MgF)のコーティング21が施されている。このフッ化マグネシウム(MgF)のコーティング21は、分子構造自体にフッ素を含むため、フッ素ガスへの耐性が強い。したがって、チャンバ4内に満たされるフッ素ガスを含むレーザガスに接触しても、封止部材20Kが腐食することはない。したがって、フッ素ガスに比較的に弱いとされる石英を封止部材20Kの材料に用いることができる。
その他の構成は、図12で説明した構成と同様である。
【0027】
本実施例によれば、封止部材20Kの材料として石英を用いることで、チャンバ4内部が見えるため、プラズマ状態を観測できる。また、石英は比誘電率が約4と、セラミックの約10に比べて半分以下である。その結果、封止部材20Kの表面におけるマイクロ波の反射率が小さくなる。そのため、封止部材の表面と裏面でマイクロ波の反射を打ち消すような構造をとらなくても、封止部材を単に薄くするだけで、反射率を小さくすることができる。
なお、本実施例では、フッ素ガスを含むレーザガスを対象としたチャンバに適用したものであるが、それだけではなく、フッ化マグネシウム(MgF)がフッ素を含む分子構造のガスに対して耐性が高いことから、一般の半導体プロセスチャンバの封止部材としても適する。すなわち、半導体プロセスチャンバでは、クリーニングガスとして、NF(3フッ化窒素)、SF(6フッ化硫黄)、ClF(3フッ化塩素)などを用いるが、フッ化マグネシウム(MgF)はこれらのガスに高い耐性を有するからである。これに対して、従来、半導体プロセスチャンバでは、内部が観測できる透明な封止部材として、AlN(窒化アルミ)が広く用いられていたが、これは非常に高価であることと、比誘電率が約8.8と大きいため、マイクロ波の反射が大きいことも問題であった。したがって、本実施例で説明したような封止部材20Kの構造によって、半導体プロセスチャンバの封止部材が安価になり、かつマイクロ波の反射損失が低減できるようになる。
【0028】
次に本発明の実施例による封止構造の斜視図を図17に示す。
本実施例による封止部材20B、20Jは、側面と端面の外周部とに、導電部である金ペースト22を塗布したものである。図に示すように、封止部材は、立方体状の封止部材20Bであっても、円柱状の封止部材20Jであってもよい。なお上記実施例では、導電部として、金ペーストを用いて説明したが、銅、アルミあるいは銀を主成分とする金属ペーストであってもよい。金属として、金、銅、アルミ、又は銀を主成分とする金属ペーストを用いることで、ガラスやセラミックに対して良好に密着することができる。また、金、銅、アルミ、又は銀は、金属の中でも特に導電率が高いことから、封止部材自体を導波管として機能させやすく、マイクロ波に大きな損失を与えることがない。また、特に金ペーストを用いると、金は化学反応を生じにくいことから、チャンバ内に腐食性のガスを用いる場合に特に有効である。特に、エキシマレーザに用いるレーザガスには、フッ素ガスが含まれる場合が多く、フッ素ガスは腐食性が高いため、金ペーストを用いることが有効である。
【0029】
次に、図1に示した本発明のマイクロ波励起エキシマレーザ装置100を露光光源として用いた露光装置の一実施例に関して、図18を用いて説明する。
図18は、露光装置300の構成図である。
露光装置300では、図1に示したマイクロ波励起エキシマレーザ装置100が露光光源81として使われている。露光装置300を構成する露光光源81と露光機本体82は、グレーチング83上に設置されている。
露光光源81から取り出された紫外域のレーザ光L1は、露光機本体82内に進み、ミラー84aで反射して上方に進み、均一化光学系85内を進む。これによってビーム断面内の光強度分市が均一化されたレーザ光L2が作られ、ミラー84bで反射して整形光学系86に進み、ビームが拡大される。ここを出射したレーザ光L3は、ミラー84cで反射して、コンデンサレンズ87を通過し、レチクル88を照射する。レチクル88から出射したレーザ光L4は、縮小投影レンズ89を通過してレーザ光L5となり、このレーザ光L5が、レジストが塗布されたウエハー90を照射する。この際に、レチクル88上でのパターンを有する光が、ウエハー90上に転写されることで、パターン状に露光される。なお、ウエハー90は、ステージ91上に乗せられており、露光のショットごとにウエハー90が瞬時に移動できるようになっている。
本実施例では、マイクロ波励起エキシマレーザ装置100が、露光光源81として用いられていることから、利用されるレーザ光L1は、連続波である。したがって、均一化光学系85、整形光学系86、コンデンサレンズ87、縮小投影レンズ89などの光学部品にダメージが生じない。特に、露光光源81であるマイクロ波励起エキシマレーザ装置100では、従来装置に比べて効率良く、マイクロ波のパワーをプラズマの生成に利用できるため、レーザ光の出力が向上している。その結果、露光装置300としての露光処理速度も向上する。なお、これに関しては、従来のパルス型のエキシマレーザを露光光源に用いた場合、レーザ出力の増加は、前述した種々の光学部品へのダメージを増加させて、寿命を減らすことがあった。しかし、本発明により、光源からのレーザパワーを増加しても、露光機本体内の光学部品の寿命が短くなることはなくなった。
【0030】
なお、本実施例では、封止部材の導電部としてセラミックを用いて説明したが、ガラスを用いることもできる。マイクロ波は、比誘電率に差が存在する境界面において反射するため、比誘電率の差が大きくなると反射率が大きくなる。セラミックの比誘電率(約10)よりも、ガラスの比誘電率(約3.8)の方が、導波管内の空気やチャンバの内部に満たされるガスの比誘電率(約1)に近いため、導電部の反射率を小さくする上ではガラスの方がセラミックよりも適している。
また、封止部材の導電部表面への金属層を設ける方法としては、ろう付け、高融点金属法、又はガラス封着による方法があるが、高融点金属法か、ろう付けが好ましい。ろう付けの処理手順の一実施例としては、セラミックの上にMo−Mn(モリブデン、マンガン)層を付け、その上にニッケル層をメッキする方法がある。また、高融点金属法では、Mo,Mo−Mn,Au,Wなどの高融点金属の粉末に、有機成分を混合してペースト状にし、これをセラミック表面に塗布して、1000〜1700℃の高温にして加熱焼結する。また、セラミック同士をロウ付けによってつなぐ場合は、各セラミックの表面に、Mo−Mn層+ニッケル層を付け、全体を加熱した上で、それらの隙間にロウ(金ロウ)を流して冷やすことによって行うとよい。
【0031】
【発明の効果】
本発明は、封止部材を設けることで、ガス循環経路と導波管の内部とを結合させてもレーザガスが導波管の上流側、すなわちマイクロ波発生器側に逆流することはない。
また本発明は、導波管の側面にスリット状のガス流入領域を設けることで、導波管内にマイクロ波を伝播させると、このスリット間でマイクロ波放電を起こすことができる。しかもスリット幅を小さくすることで、放電体積を小さくできるため、励起密度を十分高めることが可能である。さらに、このスリット状のガス流入領域以外にもガス循環系と導波管の内部空間とを結合させることで、スリット状のガス流入領域から導波管内部に入ったレーザガスを速やかにガス循環経路に戻すことができる。
また本発明は、ガス循環経路と導波管の内部空間とを結合させるスリット状のガス流入領域以外の領域が、マイクロ波の波長以下の半径を有する多数の小孔にすることで、これらの多数の孔からレーザガスを流すことができ、しかもこれらの小孔からマイクロ波が漏れ出すことを抑制できる。
また本発明は、導波管とは異なる部品である電極を取り付けることによって、スリット状のガス流入領域を形成することで、1個の金属ブロックからの削り出しによって、スリット入り導波管をチャンバ内部に形成できる。したがって、内部導波管の形成に際して、溶接は不要になることから、高い気密構造にすることが容易になるだけでなく、チャンバ製作時に熱歪が入らないため、製作精度が高くなる。しかも、マイクロ波放電によって生成されるプラズマが接触する部品が電極のみであり、チャンバのボディ自体には接触しないため、長期間動作後の劣化による交換も容易であり、コストも安くなる。
また本発明は、レーザガスを封止する封止部材として、セラミック材を用い、マイクロ波の反射特性が、最初の極小値の近傍になるような、比較的大きな厚みにしたことで、マイクロ波の反射を抑制できるだけでなく、封止部材の機械的強度が高まり、チャンバ内に数気圧以上の高い圧力で、レーザガスを満たすこともできる。その結果、高い密度のプラズマを発生できることから、レーザの連続動作が、一層実現しやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例であるマイクロ波励起エキシマレーザ装置の全体構成図
【図2】本実施例によるチャンバの構成を示す斜視図、断面図、及び側面図
【図3】本発明の他の実施例による内部導波管の斜視図
【図4】本発明の他の実施例による内部導波管の斜視図
【図5】本発明の更に他の実施例による内部導波管の斜視図
【図6】本発明の一実施例による封止構造の取り付け状態を示す要部断面図
【図7】本発明の他の実施例による封止構造を示す要部断面図
【図8】絶縁部材の厚みに対するマイクロ波の反射率特性を示すグラフ
【図9】本発明の更に他の実施例による封止構造を示す要部断面図
【図10】本発明の更に他の実施例による封止構造を示す要部断面図
【図11】本発明の更に他の実施例による封止構造を示す要部断面図
【図12】本発明の更に他の実施例による封止構造を示す要部断面図
【図13】本発明の更に他の実施例による封止構造を示す要部断面図
【図14】本発明の更に他の実施例による封止構造を示す要部断面図
【図15】本発明の更に他の実施例による封止構造を示す要部断面図
【図16】本発明の更に他の実施例による封止構造を示す要部断面図
【図17】本発明の実施例による封止構造の斜視図
【図18】本実施例のマイクロ波励起エキシマレーザ装置を露光光源として用いた露光装置の構成図
【図19】従来のマイクロ波励起紫外レーザ装置の構成図
【符号の説明】
2 マイクロ波発信器
3 導波管
3d 接続導波管
3e 内部導波管
4 チャンバ
10 ガス循環経路
20 封止部材
20A 封止部材
20B 封止部材
20C 封止部材
20D 封止部材
20E 封止部材
20F 封止部材
20G 封止部材
20H 封止部材
20J 封止部材
22 金ペースト(導電部)
30A 内部導波管
30B 内部導波管
31 ガス流入領域
32 ガス流出領域
34a 電極
35 ガス流出領域
41 シーリング材(Oリング)

Claims (23)

  1. マイクロ波を伝播させる導波路と、レーザガスを循環させるガス循環経路と、前記ガス循環経路の一部を構成するとともに前記導波路からマイクロ波を導入してレーザ光を発生させるチャンバとを備えたマイクロ波励起ガスレーザ装置であって、前記導波路は前記レーザガスの流入を阻止する封止部材を有し、前記チャンバには前記導波路からのマイクロ波を導入する内部導波路を設け、前記内部導波路には前記レーザガスを導入するスリット状のガス流入領域を設けたことを特徴とするマイクロ波励起ガスレーザ装置。
  2. マイクロ波を伝播させる導波路と、レーザガスを循環させるガス循環経路と、前記ガス循環経路の一部を構成するとともに前記導波路からマイクロ波を導入してレーザ光を発生させるチャンバとを備えたマイクロ波励起ガスレーザ装置であって、前記導波路は前記レーザガスの流入を阻止する封止部材を有し、前記チャンバには前記導波路からのマイクロ波を導入する内部導波路を設け、前記内部導波路には前記レーザガスを導入するスリット状のガス流入領域を設け、前記内部導波路において前記マイクロ波の伝播経路は前記ガス流入領域から導入されたレーザガスの流路と交叉し、交叉部においてプラズマを発生させて前記レーザ光を発生させることを特徴とするマイクロ波励起ガスレーザ装置。
  3. マイクロ波を伝播させる導波路と、レーザガスを循環させるガス循環経路と、前記ガス循環経路の一部を構成するとともに前記導波路からマイクロ波を導入してレーザ光を発生させるチャンバとを備えたマイクロ波励起ガスレーザ装置であって、前記導波路は前記レーザガスの流入を阻止する封止部材を有し、前記チャンバには前記導波路からのマイクロ波を導入する内部導波路を設け、前記内部導波路には前記レーザガスを導入するスリット状のガス流入領域を設け、前記内部導波路において前記マイクロ波は前記ガス流入領域から導入されたレーザガスの流路と実質的に平行に伝播し、プラズマを発生させて前記レーザ光を発生させることを特徴とするマイクロ波励起ガスレーザ装置。
  4. 前記内部導波路に、レーザガスを流出させるガス流出領域を設け、前記ガス流出領域を、マイクロ波が通過しない大きさの複数の孔によって構成したことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のマイクロ波励起ガスレーザ装置。
  5. 前記内部導波路の対向する一方の面に前記ガス流入領域を設け、対向する他方の面に前記ガス流出領域を設けたことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のマイクロ波励起ガスレーザ装置。
  6. 前記スリット状のガス流入領域を、導波路とは異なる部品である電極を取り付けることによって形成することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のマイクロ波励起ガスレーザ装置。
  7. 前記内部導波路内に、マイクロ波を透過させるとともにレーザガスの流れを規制するガス整流板を設けたことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のマイクロ波励起ガスレーザ装置。
  8. 前記ガス整流板として、フッ素耐性を有する絶縁部材を用いたことを特徴とする請求項7に記載のマイクロ波励起ガスレーザ装置。
  9. マイクロ波を伝播させる導波路と、レーザガスを循環させるガス循環経路と、前記ガス循環経路の一部を構成するとともに前記導波路からマイクロ波を導入してレーザ光を発生させるチャンバとを備えたマイクロ波励起ガスレーザ装置であって、前記チャンバから前記導波管へのガスの流入を防止する封止構造を有し、前記封止構造は、マイクロ波が透過しうる絶縁材料を含み前記チャンバの内部空間と前記導波管の内部空間とを遮断するように配置された絶縁部材と、前記絶縁部材の側面に配置され前記マイクロ波を伝播する機能を有する導電部と、前記絶縁部材及び前記導電部よりも外側に配され前記絶縁部材による封止を機械的に保証する手段とを備えたことを特徴とするマイクロ波励起ガスレーザ装置。
  10. 前記導電部として、金、銅、アルミあるいは銀を主成分とする金属ペーストを用いたことを特徴とする請求項9に記載のマイクロ波励起ガスレーザ装置。
  11. 前記導電部として金属製リングを用い、前記金属製リングを前記絶縁部材の外周にロウ付けしたことを特徴とする請求項9に記載のマイクロ波励起ガスレーザ装置。
  12. 前記絶縁部材による封止を機械的に保証する前記手段として、Oリングを用いたことを特徴とする請求項9に記載のマイクロ波励起ガスレーザ装置。
  13. マイクロ波を伝播させる導波路と、レーザガスを循環させるガス循環経路と、前記ガス循環経路の一部を構成するとともに前記導波路からマイクロ波を導入してレーザ光を発生させるチャンバとを備えたマイクロ波励起ガスレーザ装置であって、前記チャンバから前記導波管へのガスの流入を防止する封止部材を有し、前記封止部材として絶縁部材を用い、前記封止部材の絶縁部材の厚みを、絶縁部材の厚みに対するマイクロ波の反射特性が極小値の近傍となる厚みとしたことを特徴とするマイクロ波励起ガスレーザ装置。
  14. 前記封止部材の絶縁部材の厚みとして、最初の極小値を用いたことを特徴とする請求項13に記載のマイクロ波励起ガスレーザ装置。
  15. マイクロ波を伝播させる導波路と、レーザガスを循環させるガス循環経路と、前記ガス循環経路の一部を構成するとともに前記導波路からマイクロ波を導入してレーザ光を発生させるチャンバとを備えたマイクロ波励起ガスレーザ装置であって、前記チャンバから前記導波管へのガスの流入を防止する封止部材を有し、前記封止部材として絶縁部材を用い、前記封止部材の絶縁部材の厚みを、マイクロ波の反射率が10%以下の厚みとしたことを特徴とするマイクロ波励起ガスレーザ装置。
  16. 前記封止部材の材料として、セラミックを用いたことを特徴とする請求項1、請求項2、請求項3、請求項9、請求項13、又は請求項15に記載のマイクロ波励起ガスレーザ装置。
  17. 前記封止部材の材料として石英を用い、前記封止部材のレーザガスが接触する面に、フッ化マグネシウムのコーティングを施したことを特徴とする請求項1、請求項2、請求項3、請求項9、請求項13、又は請求項15に記載のマイクロ波励起ガスレーザ装置。
  18. 請求項1、請求項2、請求項3、請求項9、請求項13、又は請求項15に記載のマイクロ波励起ガスレーザ装置を光源に用いたことを特徴とする露光装置。
  19. マイクロ波を励起源とした処理が行われるチャンバと、前記チャンバにマイクロ波を導入する導波管と、前記チャンバから前記導波管へのガスの流入を防止する封止構造とを有する処理装置であって、前記封止構造は、マイクロ波が透過しうる絶縁材料を含み前記チャンバの内部空間と前記導波管の内部空間とを遮断するように配置された絶縁部材と、前記絶縁部材の側面に配置され前記マイクロ波を伝播する機能を有する導電部と、前記絶縁部材及び前記導電部よりも外側に配され前記絶縁部材による封止を機械的に保証する手段とを備えたことを特徴とする処理装置。
  20. マイクロ波を励起源とした処理が行われるチャンバと、前記チャンバにマイクロ波を導入する導波管と、前記チャンバから前記導波管へのガスの流入を防止する封止部材とを有する処理装置であって、前記封止部材は、マイクロ波が透過しうる絶縁材料を含み前記チャンバの内部空間と前記導波管の内部空間とを遮断するように配置された絶縁部材を有し、前記絶縁部材の厚みを、絶縁部材の厚みに対するマイクロ波の反射特性が極小値の近傍となる厚みとしたことを特徴とする処理装置。
  21. マイクロ波を励起源とした処理が行われるチャンバと、前記チャンバにマイクロ波を導入する導波管と、前記チャンバから前記導波管へのガスの流入を防止する封止部材とを有する処理装置であって、前記封止部材は、マイクロ波が透過しうる絶縁材料を含み前記チャンバの内部空間と前記導波管の内部空間とを遮断するように配置された絶縁部材を有し、前記絶縁部材の厚みを、マイクロ波の反射率が10%以下の厚みとしたことを特徴とする処理装置。
  22. マイクロ波を励起源とした処理が行われるチャンバと、前記チャンバにマイクロ波を導入する導波管と、前記チャンバから前記導波管へのガスの流入を防止する封止部材とを有する処理装置であって、前記封止部材は、マイクロ波が透過しうる絶縁材料を含み前記チャンバの内部空間と前記導波管の内部空間とを遮断するように配置された絶縁部材を有し、前記絶縁部材の材料として石英を用い、レーザガスが接触する面に、フッ化マグネシウムのコーティングを施したことを特徴とする処理装置。
  23. 請求項19から請求項22のいずれかに記載の処理装置を備え、前記封止部材によって前記導波管へのレーザガスの流入を阻止することを特徴とするマイクロ波励起ガスレーザ装置。
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