JP2004213546A - 複数の売買注文を同時発注する売買注文処理システム及び売買注文処理の方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】主として株式などの金融商品のオンライン取引において、複数の売買注文を商品の取引市場に同時に発注することが可能であり、さらにその発注条件を予め設定しておくことによる自動発注も可能な売買注文処理システム及び売買注文処理の方法を提供する。
【解決手段】注文者から受けた売買注文のうち、同時発注を希望する注文にグループコード等の識別番号を付して注文データベース13に記録することにより、同時発注の指示を受けるとこの識別番号を手掛かりとして同時発注すべき注文を選択して発注処理を行うことができる。また、予め同時発注が指定された注文について同時発注の条件をトリガデータベース14にトリガとして設定しておくことにより、入力の作業による発注のタイミングの遅れと合わせて、株価を監視できない等の理由による発注のタイミングの遅れによる価格変動のリスクを軽減すこともできる。
【選択図】 図1
【解決手段】注文者から受けた売買注文のうち、同時発注を希望する注文にグループコード等の識別番号を付して注文データベース13に記録することにより、同時発注の指示を受けるとこの識別番号を手掛かりとして同時発注すべき注文を選択して発注処理を行うことができる。また、予め同時発注が指定された注文について同時発注の条件をトリガデータベース14にトリガとして設定しておくことにより、入力の作業による発注のタイミングの遅れと合わせて、株価を監視できない等の理由による発注のタイミングの遅れによる価格変動のリスクを軽減すこともできる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、主として株式などの金融商品について、複数の売買注文を商品の取引市場に同時に発注するため売買注文処理システム及び売買注文処理の方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
インターネットの普及と株式売買委託手数料の完全自由化を背景に、1999年頃よりインターネットを利用した株式等金融商品のオンライン取引が、個人投資家層を対象に急速に拡大した。そうした状況下で、多くの証券会社がオンライン取引に参入し、サービスの利便性向上や情報提供の充実などを進めている。
【0003】
株式取引は、証券会社を通じて証券取引所や店頭市場において行われるが、一般に顧客が証券会社に売買を委託する際には、証券会社の担当者に窓口や電話で注文内容を伝達し、証券会社の担当者が発注用のコンピュータシステムに当該注文内容を入力することにより、取引所のコンピュータシステムに注文が発注される。これに対してオンライン取引においては、顧客がパソコン等の端末画面から注文を行いたい個々の取引についての注文内容を入力すると、当該注文内容がインターネット等の通信ネットワークを通じて証券会社のコンピュータシステムに送信され、証券会社から取引所のコンピュータシステムに注文が発注される。
【0004】
このように、オンライン取引を受付ける証券会社のコンピュータシステムは顧客から受信した注文内容に関するデータを取引所のコンピュータシステムに仲介するものであるが、ここで単に顧客から受付けた注文をそのまま発注するだけではなく、顧客の指定した条件に従って発注のタイミングを制御することも行われている。例えば本願の出願人は、注文内容に一定の条件を付すことが選択できる独自のオンライン取引システムを構築して、サービスを提供している(http://www.kabu.com/)。このシステムにおける特殊な条件注文は、発注条件をトリガとして指定し、指定されたトリガを監視する技術により実現されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
前記の発明においては、発注条件として株価や時刻、他の注文の約定を指定すると、これらをトリガにして市場における時価や時刻、注文の約定状況をリアルタイムで監視し、トリガに指定された状況に合致すると、自動的に取引所に対して注文が発注される。このようにトリガを用いて条件の監視を自動化することにより、顧客が指定した条件に達した場合に注文を自動発注する条件付注文の受付が可能となり、注文のタイミングを逃すことにより生じる価格変動リスクの管理に対応することが可能となっている。
【0006】
【特許文献1】特開2001−155086号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
前記特許文献1記載の発明により、株式のように取引対象の価格が刻々と変動する商品の売買注文を行う顧客は、注文のタイミングを逃すことにより生じる価格変動リスクを軽減することが可能になった。しかしながら、先に説明した通り、株式等のオンライン取引においては顧客がパソコン等の端末画面から注文一件毎に注文内容を入力することが必要であるため、複数の売買注文を同時に発注したい場合に注文内容の入力に時間を要してしまって、注文のタイミングを逃してしまうことも生じ得る。
【0008】
例えば、株式市場全体が急落しているために持株の全てを売却したいという場合、持株の銘柄数が多数に渡る場合は、それぞれの銘柄についての売り注文を入力している間にさらに株価が下落してしまうリスクが生じてしまう。このような場合に備えて、例えば持株全てを売却というように、複数の注文について同時に売り注文を発注する設定を予め行えることが好ましい。
【0009】
また、保有する株式全体の収益目標を設定して、含み益が目標水準に達したために全ての保有株式を売却したいという場合、同様に全ての銘柄についての売り注文を入力している間に株価が変動し、売却後には目標利益が確保できなくなるリスクも生じ得る。このような場合に備えて、例えば保有株式全体の含み益が一定水準に達したら持株全てを売却というように、一定条件の下で複数の売買注文について同時に売却注文を発注する設定を予め行えると、なお好ましい。
【0010】
さらに、ある業種間の好不調の変化が明らかになったために、保有株式のポートフォリオの入れ換えを行いたいという場合、ある業種について保有する全ての銘柄についての売り注文を入力し、別の業種について複数銘柄についての買い注文を入力すると、その間に当該変化に関する情報が市場に広がって売却価格が低下、購入価格が上昇してしまうというリスクも生じ得る。このような場合に備えて、例えば複数の注文について同時に売り注文を発注し、その全ての注文が約定したら複数の買い注文を同時に発注するといった設定を予め行えると、なお好ましい。
【0011】
本発明は、このような課題に対応するために、主として株式などの金融商品のオンライン取引において、複数の売買注文を商品の取引市場に同時に発注することが可能であり、さらにその発注条件を予め設定しておくことによる自動発注も可能な売買注文処理システム及び売買注文処理の方法を提供することを目的とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
これらの課題を解決するために、本発明は、複数の売買注文を商品の取引市場に同時に発注するための売買注文処理システムであって、同時に発注すべき複数の売買注文に関連付けられた識別情報を含む売買注文の注文情報を格納する注文情報格納手段と、前記識別情報を参照して前記注文情報格納手段から前記取引市場に同時発注する複数の売買注文の注文情報を選択する注文情報選択手段と、前記複数の売買注文の注文情報を参照して前記複数の売買注文の発注処理を行う発注処理手段と、を備えることを特徴とする。
【0013】
この発明においては、注文者から受けたそれぞれの売買注文のうち、同時発注を希望する注文にグループコード等の識別番号を付すことにより、同時発注の指示を受けるとこの識別番号を手掛かりとして同時発注すべき注文を選択して発注処理を行うことができる。ここで売買注文の対象となる商品には、株式等の金融商品のように、仲介者を通じて取引市場に発注することが可能な全ての商品が含まれる。
【0014】
また、本発明は、前記複数の売買注文の同時発注の指示を受信する売買注文受信手段と、前記複数の売買注文に対応する前記識別情報を特定する識別情報特定手段と、を備えることを特徴とすることもできる。
【0015】
このように構成すると、予めグループコード等の識別番号によりグループ化された注文について、注文者の直接の指示により、例えば注文者が端末画面から同時発注指示のボタンを選択して指示を行うと、対応する識別番号をキーにして発注すべき注文を選択することにより、容易に同時発注することが可能になる。
【0016】
さらに、本発明は、前記複数の売買注文を同時発注する発注条件をトリガとして格納するトリガ格納手段と、前記トリガに定められた状況の合致を監視するトリガ監視手段と、を備えており、前記トリガはそれぞれ前記識別情報と関連付けて格納されていて、前記トリガに定められた状況に合致すると、前記注文情報選択手段は前記トリガに対応する識別情報から前記複数の売買注文を選択することを特徴とすることもできる。前記トリガを設定すると対応する識別情報を付与して前記トリガ格納手段に格納するトリガ設定手段と、前記トリガに定められた状況に合致すると売買注文が発注される複数の注文を選択した選択情報を受信すると前記注文情報格納手段の対応する注文情報に前記識別情報を記録する識別情報記録手段と、を備えることを特徴としてもよい。
【0017】
ここで設定されるトリガは、発注条件として株価、株価指数、時刻、他の注文の約定などが用いられ、これらをトリガにして市場における時価や時刻、注文の約定状況をリアルタイムで監視し、トリガに指定された状況に合致すると、自動的に取引所に対する発注指示がなされる。トリガとなる条件自体にも、例えば一定の株価に達したら特定の株価を監視するトリガを設定するというように、さらにトリガを設けることとしてもよい。
【0018】
上記の構成においては、予め同時発注が指定された注文について、その同時発注の条件をトリガとして設定しておくことにより、入力の作業による発注のタイミングの遅れと合わせて、株価を監視できない等の理由による発注のタイミングの遅れによる価格変動のリスクを軽減すことができる。
【0019】
また、例えば注文者が端末画面から同時発注の条件を設定するとグループコード等の識別番号を付与し、続いて注文者が同時発注したい注文を選択すると選択されたそれぞれの注文にこの識別番号を記録することとすれば、注文者は発注条件の設定と合わせて、容易に同時発注すべき注文の設定を行うことができる。
【0020】
前記トリガには前記取引市場における特定の取引状況が設定されていて、前記トリガ監視手段は前記取引状況の変動を監視することを特徴とすることもできる。前記商品は取引市場において売買される金融商品であって、前記取引状況は金融商品の取引市場における売買価格であることを特徴としてもよい。
【0021】
この構成においては、取引市場における取引状況として、株価などの金融商品の売買価格、株価指数など金融商品の売買価格に関する指数などをトリガとして設定することにより、例えば株価指数が一定値まで下がれば複数銘柄についての売り注文を発注するといった設定を行うことができる。
【0022】
前記トリガには前記注文情報格納手段に格納された注文情報に対応する特定の注文の約定が設定されていて、前記トリガ監視手段は前記特定の注文の約定状況を監視することを特徴とすることもできる。前記商品は取引市場において売買される金融商品であって、前記注文の約定は金融商品の前記取引市場における売買成立であることを特徴としてもよい。
【0023】
この構成においては、特定の注文をトリガとして設定することにより、例えばある銘柄の売り注文が約定すれば、その売却資金を原資に他の複数銘柄についての買い注文を発注するといった設定を行うことができる。トリガとなる注文の約定は、1件の注文の約定であってもよいし、グループ設定された複数の注文の約定であってもよい。
【0024】
前記トリガには前記複数の売買注文を発注する注文者の保有資産に関する損益状況が設定されていて、前記トリガ監視手段は前記損益状況の変動を監視することを特徴とすることもできる。前記商品は取引市場において売買される金融商品であって、前記保有資産は金融資産であり、前記損益状況は前記金融資産の実現損益又は含み損益を含むものであることを特徴としてもよい。
【0025】
この構成においては、注文者の保有資産に関する損益状況として、株式などの金融資産の含み損益や過去の実現損益を含めた投資損益などをトリガとして設定することにより、例えば保有株式全体の含み損益が一定値を超えれば保有株式全てについての売り注文を発注することにより利益を確定する、といった設定を行うことができる。
【0026】
尚、本発明は、本発明にかかるそれぞれの構成の売買注文処理システムに対応して、それぞれのシステムを用いた売買注文の処理方法として構成することもできる。
【0027】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について、図面を用いて以下に詳細に説明する。尚、ここでは証券会社が株式の売買注文を取扱う例について説明するが、本発明にかかる売買注文処理システムの運営者は価格が変動する商品の販売を取次ぐ者であれば証券会社には限られず、商品先物等の取次業者も含まれる。また、取扱う商品も株式に限定されるものではなく、設定されるトリガについても以下に説明する例に限定されるものではない。
【0028】
図1は、本発明にかかる売買注文処理システムの構成を示すブロック図である。図2は、本発明にかかる売買注文処理システムの注文データベースの構成の一例を示す図である。図3〜図5は、本発明にかかる売買注文処理システムのトリガデータベースの構成のそれぞれ第一〜第三の例を示す図である。図6、図7は、本発明にかかる売買注文処理システムにより複数の売買注文を同時発注するそれぞれ第一、第二のフローチャートである。
【0029】
図1において、本発明にかかる売買注文処理システム10は、入力処理部11、出力処理部12、注文データベース13、トリガデータベース14、発注処理部15、トリガ監視部16及び残高データベース17から構成されている。また、売買注文処理システム10のトリガ監視部16は時価データベース20と、売買注文処理システム10の発注処理部15は取引所システム40とそれぞれ接続されている。さらに売買注文処理システム10の入力処理部11及び出力処理部12は、顧客端末30とインターネット等の通信ネットワークを通じて接続されている。
【0030】
売買注文処理システム10の注文データベース13は、例えば図2の例のようにそれぞれの売買注文を記録したテーブルを有している。このテーブルには注文毎にレコードが設けられ、それぞれのレコードには注文者である顧客を特定する顧客ID、注文を特定する注文コード、注文の具体的内容等に関するフィールドが設けられている。
【0031】
本発明の特徴的な部分としては、これらの一般的なフィールドに加えて、同時発注を行う注文をグループ化して特定するためのグループコードを記録するフィールドが設けられている。例えば、注文コード0001−001〜004までの4件の注文には全てa001というグループコードが付されており、これらは同時に発注されるものであることを意味している。このグループコードは、注文者が端末からの操作で同時発注したい注文を選択すると、グループコードのフィールドに同一のコード番号が記録されるよう構成されている。
【0032】
一方、売買注文処理システム10のトリガデータベース14は、図3〜図5の例に示したように、同時発注のグループであるグループコード別のトリガを記録したテーブルを有している。トリガ監視部16は、トリガデータベース14に記録された発注条件に従って、注文データベース13、残高データベース17、時価データベース20等のデータの変動状況について監視を行い、発注条件に該当すると当該グループコードに対応する複数の売買注文を注文データベース13から抽出して、発注処理部15より取引所システム40に売買注文を発注する。
【0033】
上記のように同時発注のタイミングをトリガとして設定する方式の他に、注文者の指示をトリガとして発注するよう構成することもできる。この場合は、注文者が顧客端末30からグループを特定して発注指示を送信すると、指定されたグループのグループコードをキーとして注文データベース13から発注すべき複数の売買注文を抽出し、発注処理部15より取引所システム40に売買注文を発注する。
【0034】
次に、同時発注のタイミングとしてトリガを設定する方式について、具体例をもとに説明する。図3は、取引市場における取引状況をトリガとする場合の例である。同時発注のグループであるグループコード毎に設けられたレコードに対して、監視すべき取引状況の対象を特定する対象コード、トリガとなる価格を記録したフィールドが設けられている。対象コードには、株式等の特定銘柄を指定してもよいし、株価指数等の指数を指定してもよい。この場合、トリガ監視部16は、時価データベース20など株価等の取引状況を記録するデータベース等を監視する。
【0035】
例えばグループコードa001であれば、TOPIX(東証株価指数)が900ポイントとなることをトリガとして指定しており、株価指数をリアルタイムで反映したデータベースを監視し、トリガに定めた条件に合致すると、注文データベース13においてグループコードa001が付された全ての注文を選択して、発注処理部15より同時発注される。例えば図3であれば、グループコードのフィールドを参照して、注文コード0001−001〜004の4件の売り注文が同時に発注される。
【0036】
図4は、特定の注文の約定をトリガとする場合の例である。同時発注のグループであるグループコード毎に設けられたレコードに対して、約定状況を監視すべき対象を特定する注文コード、その注文についての種類を記録したフィールドが設けられている。注文種類としては、通常の1件の注文の他に、グループコードで特定できる同時発注された複数の注文、条件が付された注文など特殊な注文を指定してもよい。この場合、トリガ監視部16は、注文データベース13など注文の約定状況を記録するデータベース等を監視する。
【0037】
このように設定すると、例えばある銘柄の売り注文の約定を条件に、そこで生じた売却代金を原資に複数銘柄の買い注文を発注して、ポートフォリオの分散に活用することができる。また、グループ化した複数銘柄の注文をトリガにすることにより、あるグループを売却して別のグループを購入する、例えば業種入れ替えによるポートフォリオの変更を行うこともできる。
【0038】
図5は、注文者の保有資産の損益状況をトリガとする場合の例である。同時発注のグループであるグループコード毎に設けられたレコードに対して、資産状況を監視すべき顧客を特定する顧客ID、その顧客に就いて注文発注の基準となる損益を記録したフィールドが設けられている。損益計算の対象となるのは、売買処理システム10を運営する証券会社等の仲介者の預かり資産であってもよいし、顧客が預かり資産の他に有する全て保有資産であってもよい。この場合、トリガ監視部16は、残高データベース17など顧客の資産状況を記録するデータベース等を監視する。
【0039】
このように設定すると、例えば全ての保有銘柄の含み損益が一定の目標利益に達した場合は、全ての銘柄を同時に売却して目標利益を確定させるといった、利益や損失の確定による投資リスクの軽減に活用することができる。
【0040】
図6を用いて、本発明にかかる売買注文処理システムにより複数の売買注文を注文者の指示により同時発注するフローについて説明する。まず、注文者である顧客があるグループ化された複数の売買注文について端末画面より発注指示を送信すると、売買注文処理システム側では、当該グループ注文を特定するグループコードに関するデータを受信する(S01)。
【0041】
続いて、グループコードをキーとして注文データベースを参照する(S02)。それぞれの注文に関するレコードに当該グループコードが記録されているか否かを参照して、グループコードを含む注文が存在しているか否かを確認する(S03)。グループコードを含む注文が存在している場合は、該当する注文を選択し(S04)、選択した全ての注文についてそれぞれの注文の注文内容を注文データベースで参照する(S05)。その後に、参照した注文内容について発注処理がなされて(S06)、処理を終了する。
【0042】
尚、注文データベースにグループ注文に含まれる注文が登録されていない場合は、顧客端末に対してエラー表示を行うためのデータが送信されて(S07)、処理を終了する。
【0043】
次に、図7を用いて、本発明にかかる売買注文処理システムにより複数の売買注文を予め登録された条件に従って同時発注するフローについて説明する。まず、トリガデータベースに登録された発注のための監視条件を抽出すると(S11)、当該監視条件に従って、時価データベースや残高データベース等の監視を行い(S12)、当該監視条件が成就しているか否かを確認する(S13)。監視条件が成就していない場合は、当該条件付の同時発注にかかる注文が有効である間は、引き続き監視を継続する(S12)。
【0044】
監視条件が成就すると、当該監視条件に該当するグループ注文のグループコードをトリガデータベースから特定する(S14)。次に、注文データベースを参照し(S15)、それぞれの注文のレコードに当該グループコードが記録されているか否かを参照して、グループコードを含む注文が存在しているか否かを確認する(S16)。
【0045】
グループコードを含む注文が存在している場合は、図7の例と同様の処理に従って、同時発注処理が進められる(S17〜S19)。グループコードを含む注文が存在していない場合は、顧客端末に対してエラー表示を行うためのデータが送信されて(S20)、処理を終了する。
【0046】
【発明の効果】
この発明により、主として株式などの金融商品のオンライン取引において、複数の売買注文を商品の取引市場に同時に発注することが可能となる。その結果、投資家等の注文者は、オンライン取引において入力の作業による発注のタイミングの遅れによる対象商品の価格変動のリスクを軽減すことができる。
【0047】
さらに、上記の同時発注の発注条件を予め設定しておくことにより、同時発注を所定の条件下で自動的に発注することも可能になる。その結果、投資家等の注文者は、入力の作業による発注のタイミングの遅れと合わせて、株価を監視できない等の理由による発注のタイミングの遅れによる商品の価格変動のリスクをも、合わせて軽減すことができる。
【0048】
このように本発明は、オンライン取引により金融商品への投資を行う投資家のうち、特に機関投資家と異なり取引状況等をチェックしたり取引のためのインフラが十分でない個人投資家に対しても、容易に効果的なリスク管理のツールを提供することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる売買注文処理システムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明にかかる売買注文処理システムの注文データベースの構成の一例を示す図である。
【図3】本発明にかかる売買注文処理システムのトリガデータベースの構成の第一の例を示す図である。
【図4】本発明にかかる売買注文処理システムのトリガデータベースの構成の第二の例を示す図である。
【図5】本発明にかかる売買注文処理システムのトリガデータベースの構成の第三の例を示す図である。
【図6】本発明にかかる売買注文処理システムにより複数の売買注文を同時発注する第一のフローチャートである。
【図7】本発明にかかる売買注文処理システムにより複数の売買注文を同時発注する第二のフローチャートである。
【符号の説明】
10 売買注文処理システム
11 入力処理部
12 出力処理部
13 注文データベース
14 トリガデータベース
15 発注処理部
16 トリガ監視部
17 残高データベース
20 時価データベース
30 顧客端末
40 取引所システム
【発明の属する技術分野】
本発明は、主として株式などの金融商品について、複数の売買注文を商品の取引市場に同時に発注するため売買注文処理システム及び売買注文処理の方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
インターネットの普及と株式売買委託手数料の完全自由化を背景に、1999年頃よりインターネットを利用した株式等金融商品のオンライン取引が、個人投資家層を対象に急速に拡大した。そうした状況下で、多くの証券会社がオンライン取引に参入し、サービスの利便性向上や情報提供の充実などを進めている。
【0003】
株式取引は、証券会社を通じて証券取引所や店頭市場において行われるが、一般に顧客が証券会社に売買を委託する際には、証券会社の担当者に窓口や電話で注文内容を伝達し、証券会社の担当者が発注用のコンピュータシステムに当該注文内容を入力することにより、取引所のコンピュータシステムに注文が発注される。これに対してオンライン取引においては、顧客がパソコン等の端末画面から注文を行いたい個々の取引についての注文内容を入力すると、当該注文内容がインターネット等の通信ネットワークを通じて証券会社のコンピュータシステムに送信され、証券会社から取引所のコンピュータシステムに注文が発注される。
【0004】
このように、オンライン取引を受付ける証券会社のコンピュータシステムは顧客から受信した注文内容に関するデータを取引所のコンピュータシステムに仲介するものであるが、ここで単に顧客から受付けた注文をそのまま発注するだけではなく、顧客の指定した条件に従って発注のタイミングを制御することも行われている。例えば本願の出願人は、注文内容に一定の条件を付すことが選択できる独自のオンライン取引システムを構築して、サービスを提供している(http://www.kabu.com/)。このシステムにおける特殊な条件注文は、発注条件をトリガとして指定し、指定されたトリガを監視する技術により実現されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
前記の発明においては、発注条件として株価や時刻、他の注文の約定を指定すると、これらをトリガにして市場における時価や時刻、注文の約定状況をリアルタイムで監視し、トリガに指定された状況に合致すると、自動的に取引所に対して注文が発注される。このようにトリガを用いて条件の監視を自動化することにより、顧客が指定した条件に達した場合に注文を自動発注する条件付注文の受付が可能となり、注文のタイミングを逃すことにより生じる価格変動リスクの管理に対応することが可能となっている。
【0006】
【特許文献1】特開2001−155086号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
前記特許文献1記載の発明により、株式のように取引対象の価格が刻々と変動する商品の売買注文を行う顧客は、注文のタイミングを逃すことにより生じる価格変動リスクを軽減することが可能になった。しかしながら、先に説明した通り、株式等のオンライン取引においては顧客がパソコン等の端末画面から注文一件毎に注文内容を入力することが必要であるため、複数の売買注文を同時に発注したい場合に注文内容の入力に時間を要してしまって、注文のタイミングを逃してしまうことも生じ得る。
【0008】
例えば、株式市場全体が急落しているために持株の全てを売却したいという場合、持株の銘柄数が多数に渡る場合は、それぞれの銘柄についての売り注文を入力している間にさらに株価が下落してしまうリスクが生じてしまう。このような場合に備えて、例えば持株全てを売却というように、複数の注文について同時に売り注文を発注する設定を予め行えることが好ましい。
【0009】
また、保有する株式全体の収益目標を設定して、含み益が目標水準に達したために全ての保有株式を売却したいという場合、同様に全ての銘柄についての売り注文を入力している間に株価が変動し、売却後には目標利益が確保できなくなるリスクも生じ得る。このような場合に備えて、例えば保有株式全体の含み益が一定水準に達したら持株全てを売却というように、一定条件の下で複数の売買注文について同時に売却注文を発注する設定を予め行えると、なお好ましい。
【0010】
さらに、ある業種間の好不調の変化が明らかになったために、保有株式のポートフォリオの入れ換えを行いたいという場合、ある業種について保有する全ての銘柄についての売り注文を入力し、別の業種について複数銘柄についての買い注文を入力すると、その間に当該変化に関する情報が市場に広がって売却価格が低下、購入価格が上昇してしまうというリスクも生じ得る。このような場合に備えて、例えば複数の注文について同時に売り注文を発注し、その全ての注文が約定したら複数の買い注文を同時に発注するといった設定を予め行えると、なお好ましい。
【0011】
本発明は、このような課題に対応するために、主として株式などの金融商品のオンライン取引において、複数の売買注文を商品の取引市場に同時に発注することが可能であり、さらにその発注条件を予め設定しておくことによる自動発注も可能な売買注文処理システム及び売買注文処理の方法を提供することを目的とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
これらの課題を解決するために、本発明は、複数の売買注文を商品の取引市場に同時に発注するための売買注文処理システムであって、同時に発注すべき複数の売買注文に関連付けられた識別情報を含む売買注文の注文情報を格納する注文情報格納手段と、前記識別情報を参照して前記注文情報格納手段から前記取引市場に同時発注する複数の売買注文の注文情報を選択する注文情報選択手段と、前記複数の売買注文の注文情報を参照して前記複数の売買注文の発注処理を行う発注処理手段と、を備えることを特徴とする。
【0013】
この発明においては、注文者から受けたそれぞれの売買注文のうち、同時発注を希望する注文にグループコード等の識別番号を付すことにより、同時発注の指示を受けるとこの識別番号を手掛かりとして同時発注すべき注文を選択して発注処理を行うことができる。ここで売買注文の対象となる商品には、株式等の金融商品のように、仲介者を通じて取引市場に発注することが可能な全ての商品が含まれる。
【0014】
また、本発明は、前記複数の売買注文の同時発注の指示を受信する売買注文受信手段と、前記複数の売買注文に対応する前記識別情報を特定する識別情報特定手段と、を備えることを特徴とすることもできる。
【0015】
このように構成すると、予めグループコード等の識別番号によりグループ化された注文について、注文者の直接の指示により、例えば注文者が端末画面から同時発注指示のボタンを選択して指示を行うと、対応する識別番号をキーにして発注すべき注文を選択することにより、容易に同時発注することが可能になる。
【0016】
さらに、本発明は、前記複数の売買注文を同時発注する発注条件をトリガとして格納するトリガ格納手段と、前記トリガに定められた状況の合致を監視するトリガ監視手段と、を備えており、前記トリガはそれぞれ前記識別情報と関連付けて格納されていて、前記トリガに定められた状況に合致すると、前記注文情報選択手段は前記トリガに対応する識別情報から前記複数の売買注文を選択することを特徴とすることもできる。前記トリガを設定すると対応する識別情報を付与して前記トリガ格納手段に格納するトリガ設定手段と、前記トリガに定められた状況に合致すると売買注文が発注される複数の注文を選択した選択情報を受信すると前記注文情報格納手段の対応する注文情報に前記識別情報を記録する識別情報記録手段と、を備えることを特徴としてもよい。
【0017】
ここで設定されるトリガは、発注条件として株価、株価指数、時刻、他の注文の約定などが用いられ、これらをトリガにして市場における時価や時刻、注文の約定状況をリアルタイムで監視し、トリガに指定された状況に合致すると、自動的に取引所に対する発注指示がなされる。トリガとなる条件自体にも、例えば一定の株価に達したら特定の株価を監視するトリガを設定するというように、さらにトリガを設けることとしてもよい。
【0018】
上記の構成においては、予め同時発注が指定された注文について、その同時発注の条件をトリガとして設定しておくことにより、入力の作業による発注のタイミングの遅れと合わせて、株価を監視できない等の理由による発注のタイミングの遅れによる価格変動のリスクを軽減すことができる。
【0019】
また、例えば注文者が端末画面から同時発注の条件を設定するとグループコード等の識別番号を付与し、続いて注文者が同時発注したい注文を選択すると選択されたそれぞれの注文にこの識別番号を記録することとすれば、注文者は発注条件の設定と合わせて、容易に同時発注すべき注文の設定を行うことができる。
【0020】
前記トリガには前記取引市場における特定の取引状況が設定されていて、前記トリガ監視手段は前記取引状況の変動を監視することを特徴とすることもできる。前記商品は取引市場において売買される金融商品であって、前記取引状況は金融商品の取引市場における売買価格であることを特徴としてもよい。
【0021】
この構成においては、取引市場における取引状況として、株価などの金融商品の売買価格、株価指数など金融商品の売買価格に関する指数などをトリガとして設定することにより、例えば株価指数が一定値まで下がれば複数銘柄についての売り注文を発注するといった設定を行うことができる。
【0022】
前記トリガには前記注文情報格納手段に格納された注文情報に対応する特定の注文の約定が設定されていて、前記トリガ監視手段は前記特定の注文の約定状況を監視することを特徴とすることもできる。前記商品は取引市場において売買される金融商品であって、前記注文の約定は金融商品の前記取引市場における売買成立であることを特徴としてもよい。
【0023】
この構成においては、特定の注文をトリガとして設定することにより、例えばある銘柄の売り注文が約定すれば、その売却資金を原資に他の複数銘柄についての買い注文を発注するといった設定を行うことができる。トリガとなる注文の約定は、1件の注文の約定であってもよいし、グループ設定された複数の注文の約定であってもよい。
【0024】
前記トリガには前記複数の売買注文を発注する注文者の保有資産に関する損益状況が設定されていて、前記トリガ監視手段は前記損益状況の変動を監視することを特徴とすることもできる。前記商品は取引市場において売買される金融商品であって、前記保有資産は金融資産であり、前記損益状況は前記金融資産の実現損益又は含み損益を含むものであることを特徴としてもよい。
【0025】
この構成においては、注文者の保有資産に関する損益状況として、株式などの金融資産の含み損益や過去の実現損益を含めた投資損益などをトリガとして設定することにより、例えば保有株式全体の含み損益が一定値を超えれば保有株式全てについての売り注文を発注することにより利益を確定する、といった設定を行うことができる。
【0026】
尚、本発明は、本発明にかかるそれぞれの構成の売買注文処理システムに対応して、それぞれのシステムを用いた売買注文の処理方法として構成することもできる。
【0027】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について、図面を用いて以下に詳細に説明する。尚、ここでは証券会社が株式の売買注文を取扱う例について説明するが、本発明にかかる売買注文処理システムの運営者は価格が変動する商品の販売を取次ぐ者であれば証券会社には限られず、商品先物等の取次業者も含まれる。また、取扱う商品も株式に限定されるものではなく、設定されるトリガについても以下に説明する例に限定されるものではない。
【0028】
図1は、本発明にかかる売買注文処理システムの構成を示すブロック図である。図2は、本発明にかかる売買注文処理システムの注文データベースの構成の一例を示す図である。図3〜図5は、本発明にかかる売買注文処理システムのトリガデータベースの構成のそれぞれ第一〜第三の例を示す図である。図6、図7は、本発明にかかる売買注文処理システムにより複数の売買注文を同時発注するそれぞれ第一、第二のフローチャートである。
【0029】
図1において、本発明にかかる売買注文処理システム10は、入力処理部11、出力処理部12、注文データベース13、トリガデータベース14、発注処理部15、トリガ監視部16及び残高データベース17から構成されている。また、売買注文処理システム10のトリガ監視部16は時価データベース20と、売買注文処理システム10の発注処理部15は取引所システム40とそれぞれ接続されている。さらに売買注文処理システム10の入力処理部11及び出力処理部12は、顧客端末30とインターネット等の通信ネットワークを通じて接続されている。
【0030】
売買注文処理システム10の注文データベース13は、例えば図2の例のようにそれぞれの売買注文を記録したテーブルを有している。このテーブルには注文毎にレコードが設けられ、それぞれのレコードには注文者である顧客を特定する顧客ID、注文を特定する注文コード、注文の具体的内容等に関するフィールドが設けられている。
【0031】
本発明の特徴的な部分としては、これらの一般的なフィールドに加えて、同時発注を行う注文をグループ化して特定するためのグループコードを記録するフィールドが設けられている。例えば、注文コード0001−001〜004までの4件の注文には全てa001というグループコードが付されており、これらは同時に発注されるものであることを意味している。このグループコードは、注文者が端末からの操作で同時発注したい注文を選択すると、グループコードのフィールドに同一のコード番号が記録されるよう構成されている。
【0032】
一方、売買注文処理システム10のトリガデータベース14は、図3〜図5の例に示したように、同時発注のグループであるグループコード別のトリガを記録したテーブルを有している。トリガ監視部16は、トリガデータベース14に記録された発注条件に従って、注文データベース13、残高データベース17、時価データベース20等のデータの変動状況について監視を行い、発注条件に該当すると当該グループコードに対応する複数の売買注文を注文データベース13から抽出して、発注処理部15より取引所システム40に売買注文を発注する。
【0033】
上記のように同時発注のタイミングをトリガとして設定する方式の他に、注文者の指示をトリガとして発注するよう構成することもできる。この場合は、注文者が顧客端末30からグループを特定して発注指示を送信すると、指定されたグループのグループコードをキーとして注文データベース13から発注すべき複数の売買注文を抽出し、発注処理部15より取引所システム40に売買注文を発注する。
【0034】
次に、同時発注のタイミングとしてトリガを設定する方式について、具体例をもとに説明する。図3は、取引市場における取引状況をトリガとする場合の例である。同時発注のグループであるグループコード毎に設けられたレコードに対して、監視すべき取引状況の対象を特定する対象コード、トリガとなる価格を記録したフィールドが設けられている。対象コードには、株式等の特定銘柄を指定してもよいし、株価指数等の指数を指定してもよい。この場合、トリガ監視部16は、時価データベース20など株価等の取引状況を記録するデータベース等を監視する。
【0035】
例えばグループコードa001であれば、TOPIX(東証株価指数)が900ポイントとなることをトリガとして指定しており、株価指数をリアルタイムで反映したデータベースを監視し、トリガに定めた条件に合致すると、注文データベース13においてグループコードa001が付された全ての注文を選択して、発注処理部15より同時発注される。例えば図3であれば、グループコードのフィールドを参照して、注文コード0001−001〜004の4件の売り注文が同時に発注される。
【0036】
図4は、特定の注文の約定をトリガとする場合の例である。同時発注のグループであるグループコード毎に設けられたレコードに対して、約定状況を監視すべき対象を特定する注文コード、その注文についての種類を記録したフィールドが設けられている。注文種類としては、通常の1件の注文の他に、グループコードで特定できる同時発注された複数の注文、条件が付された注文など特殊な注文を指定してもよい。この場合、トリガ監視部16は、注文データベース13など注文の約定状況を記録するデータベース等を監視する。
【0037】
このように設定すると、例えばある銘柄の売り注文の約定を条件に、そこで生じた売却代金を原資に複数銘柄の買い注文を発注して、ポートフォリオの分散に活用することができる。また、グループ化した複数銘柄の注文をトリガにすることにより、あるグループを売却して別のグループを購入する、例えば業種入れ替えによるポートフォリオの変更を行うこともできる。
【0038】
図5は、注文者の保有資産の損益状況をトリガとする場合の例である。同時発注のグループであるグループコード毎に設けられたレコードに対して、資産状況を監視すべき顧客を特定する顧客ID、その顧客に就いて注文発注の基準となる損益を記録したフィールドが設けられている。損益計算の対象となるのは、売買処理システム10を運営する証券会社等の仲介者の預かり資産であってもよいし、顧客が預かり資産の他に有する全て保有資産であってもよい。この場合、トリガ監視部16は、残高データベース17など顧客の資産状況を記録するデータベース等を監視する。
【0039】
このように設定すると、例えば全ての保有銘柄の含み損益が一定の目標利益に達した場合は、全ての銘柄を同時に売却して目標利益を確定させるといった、利益や損失の確定による投資リスクの軽減に活用することができる。
【0040】
図6を用いて、本発明にかかる売買注文処理システムにより複数の売買注文を注文者の指示により同時発注するフローについて説明する。まず、注文者である顧客があるグループ化された複数の売買注文について端末画面より発注指示を送信すると、売買注文処理システム側では、当該グループ注文を特定するグループコードに関するデータを受信する(S01)。
【0041】
続いて、グループコードをキーとして注文データベースを参照する(S02)。それぞれの注文に関するレコードに当該グループコードが記録されているか否かを参照して、グループコードを含む注文が存在しているか否かを確認する(S03)。グループコードを含む注文が存在している場合は、該当する注文を選択し(S04)、選択した全ての注文についてそれぞれの注文の注文内容を注文データベースで参照する(S05)。その後に、参照した注文内容について発注処理がなされて(S06)、処理を終了する。
【0042】
尚、注文データベースにグループ注文に含まれる注文が登録されていない場合は、顧客端末に対してエラー表示を行うためのデータが送信されて(S07)、処理を終了する。
【0043】
次に、図7を用いて、本発明にかかる売買注文処理システムにより複数の売買注文を予め登録された条件に従って同時発注するフローについて説明する。まず、トリガデータベースに登録された発注のための監視条件を抽出すると(S11)、当該監視条件に従って、時価データベースや残高データベース等の監視を行い(S12)、当該監視条件が成就しているか否かを確認する(S13)。監視条件が成就していない場合は、当該条件付の同時発注にかかる注文が有効である間は、引き続き監視を継続する(S12)。
【0044】
監視条件が成就すると、当該監視条件に該当するグループ注文のグループコードをトリガデータベースから特定する(S14)。次に、注文データベースを参照し(S15)、それぞれの注文のレコードに当該グループコードが記録されているか否かを参照して、グループコードを含む注文が存在しているか否かを確認する(S16)。
【0045】
グループコードを含む注文が存在している場合は、図7の例と同様の処理に従って、同時発注処理が進められる(S17〜S19)。グループコードを含む注文が存在していない場合は、顧客端末に対してエラー表示を行うためのデータが送信されて(S20)、処理を終了する。
【0046】
【発明の効果】
この発明により、主として株式などの金融商品のオンライン取引において、複数の売買注文を商品の取引市場に同時に発注することが可能となる。その結果、投資家等の注文者は、オンライン取引において入力の作業による発注のタイミングの遅れによる対象商品の価格変動のリスクを軽減すことができる。
【0047】
さらに、上記の同時発注の発注条件を予め設定しておくことにより、同時発注を所定の条件下で自動的に発注することも可能になる。その結果、投資家等の注文者は、入力の作業による発注のタイミングの遅れと合わせて、株価を監視できない等の理由による発注のタイミングの遅れによる商品の価格変動のリスクをも、合わせて軽減すことができる。
【0048】
このように本発明は、オンライン取引により金融商品への投資を行う投資家のうち、特に機関投資家と異なり取引状況等をチェックしたり取引のためのインフラが十分でない個人投資家に対しても、容易に効果的なリスク管理のツールを提供することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる売買注文処理システムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明にかかる売買注文処理システムの注文データベースの構成の一例を示す図である。
【図3】本発明にかかる売買注文処理システムのトリガデータベースの構成の第一の例を示す図である。
【図4】本発明にかかる売買注文処理システムのトリガデータベースの構成の第二の例を示す図である。
【図5】本発明にかかる売買注文処理システムのトリガデータベースの構成の第三の例を示す図である。
【図6】本発明にかかる売買注文処理システムにより複数の売買注文を同時発注する第一のフローチャートである。
【図7】本発明にかかる売買注文処理システムにより複数の売買注文を同時発注する第二のフローチャートである。
【符号の説明】
10 売買注文処理システム
11 入力処理部
12 出力処理部
13 注文データベース
14 トリガデータベース
15 発注処理部
16 トリガ監視部
17 残高データベース
20 時価データベース
30 顧客端末
40 取引所システム
Claims (14)
- 複数の売買注文を商品の取引市場に同時に発注するための売買注文処理システムであって、
同時に発注すべき複数の売買注文に関連付けられた識別情報を含む売買注文の注文情報を格納する注文情報格納手段と、
前記識別情報を参照して前記注文情報格納手段から前記取引市場に同時発注する複数の売買注文の注文情報を選択する注文情報選択手段と、
前記複数の売買注文の注文情報を参照して前記複数の売買注文の発注処理を行う発注処理手段と、
を備えることを特徴とする売買注文処理システム。 - 前記複数の売買注文の同時発注の指示を受信する売買注文受信手段と、
前記複数の売買注文に対応する前記識別情報を特定する識別情報特定手段と、
を備えることを特徴とする請求項1記載の売買注文処理システム。 - 前記複数の売買注文を同時発注する発注条件をトリガとして格納するトリガ格納手段と、
前記トリガに定められた状況の合致を監視するトリガ監視手段と、
を備えており、
前記トリガはそれぞれ前記識別情報と関連付けて格納されていて、
前記トリガに定められた状況に合致すると、前記注文情報選択手段は前記トリガに対応する識別情報から前記複数の売買注文を選択することを特徴とする請求項1記載の売買注文処理システム。 - 前記トリガを設定すると対応する識別情報を付与して前記トリガ格納手段に格納するトリガ設定手段と、
前記トリガに定められた状況に合致すると売買注文が発注される複数の注文を選択した選択情報を受信すると前記注文情報格納手段の対応する注文情報に前記識別情報を記録する識別情報記録手段と、
を備えることを特徴とする請求項3記載の売買注文処理システム。 - 前記トリガには前記取引市場における特定の取引状況が設定されていて、
前記トリガ監視手段は前記取引状況の変動を監視することを特徴とする請求項3又は4記載の売買注文処理システム。 - 前記トリガには前記注文情報格納手段に格納された注文情報に対応する特定の注文の約定が設定されていて、
前記トリガ監視手段は前記特定の注文の約定状況を監視することを特徴とする請求項3又は4記載の売買注文処理システム。 - 前記トリガには前記複数の売買注文を発注する注文者の保有資産に関する損益状況が設定されていて、
前記トリガ監視手段は前記損益状況の変動を監視することを特徴とする請求項3又は4記載の売買注文処理システム。 - 前記商品は取引市場において売買される金融商品であって、前記取引状況は金融商品の取引市場における売買価格であることを特徴とする請求項5記載の売買注文処理システム。
- 前記商品は取引市場において売買される金融商品であって、前記注文の約定は金融商品の前記取引市場における売買成立であることを特徴とする請求項6記載の売買注文処理システム。
- 前記商品は取引市場において売買される金融商品であって、前記保有資産は金融資産であり、前記損益状況は前記金融資産の実現損益又は含み損益を含むものであることを特徴とする請求項7記載の売買注文処理システム。
- 複数の売買注文を取引市場に同時に発注するための売買注文の処理方法であって、
コンピュータが同時に発注すべき複数の売買注文に関連付けられた識別情報を含む売買注文の注文情報を記憶装置に格納するステップと、
コンピュータが前記識別情報を参照して前記記憶装置から前記取引市場に同時発注する複数の売買注文の注文情報を選択するステップと、
コンピュータが前記複数の売買注文の注文情報を参照して前記複数の売買注文の発注処理を行うステップと、
を有することを特徴とする売買注文の処理方法。 - コンピュータが前記複数の売買注文の同時発注の指示を受信するステップと、
コンピュータが前記複数の売買注文に対応する前記識別情報を特定するステップと、
を備えることを特徴とする請求項11記載の売買注文の処理方法。 - コンピュータが前記複数の売買注文を同時発注する発注条件をトリガとして記憶装置に格納するステップと、
コンピュータが前記トリガに定められた状況の合致を監視するステップと、
を有しており、
前記トリガはそれぞれ前記識別情報と関連付けて前記記憶装置に格納されていて、
前記トリガに定められた状況に合致すると、前記注文情報を選択するステップでは前記トリガに対応する識別情報から前記複数の売買注文を選択することを特徴とする請求項11記載の売買注文の処理方法。 - 前記トリガを設定するとコンピュータが対応する識別情報を付与して前記トリガを格納した記憶装置に格納するステップと、
コンピュータが前記トリガに定められた状況に合致すると売買注文が発注される複数の注文を選択した選択情報を受信すると前記注文情報を格納した記憶装置の対応する注文情報に前記識別情報を記録するステップと、
を備えることを特徴とする請求項13記載の売買注文処理システム。
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-
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