JP2004212265A - 粒子形状分析装置および粒子形状分析方法 - Google Patents

粒子形状分析装置および粒子形状分析方法 Download PDF

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勝 米村
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Abstract

【課題】粒子の形状特性を簡便に且つ正確に見極めて数値情報として表すことができ、粒子の大きさに拘わらず幅広い粉体製品に適用することのできる粒子形状分析方法および粒子形状分析装置を提供する。
【解決手段】本発明は、収容部に収容された粒子懸濁液を攪拌し、粒子懸濁液の流れを形成するとともに粒子懸濁液流に光を照射し、懸濁粒子流からの光を検知し、検知結果に基づいて、粒子懸濁液の流れに生じた縞模様の縞の濃度、縞の周期、または縞の数を、粒子形状を示す指標として求める粒子形状分析方法並びに粒子形状分析装置に関する。
【選択図】 図4

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、粒子の形状に関する情報を求める粒子形状分析方法および粒子形状分析装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ファインセラミックス、トナー、顔料、研磨剤等の粉体の品質を管理する上で、粒子の粒径を測定、管理することは非常に重要である。また最近では、より付加価値の高い粉体の開発、商品化が進められており、粒子の大きさだけでなく、形状パラメータの測定及びその品質管理も重要になってきている。特に、粉体のロット間での形状の管理は、同じ特性の粉体を安定して供給する上で重要な検査項目となってきている。
【0003】
このような要望に答えるため、粒子懸濁液中の粒子を順次撮像して得られた粒子画像を解析処理して、円形度等の形状パラメータを算出して分布図として表示することが可能な粒子画像分析装置が開発されている(例えば、特許文献1)。
【0004】
また、粒子の形状を表すパラメータとして扁平度が挙げられるが、粉体製品において粒子の扁平度を正確に測定することは困難である。このため、撮像された粒子画像(SEM写真等)における粒子の長径と短径との比を便宜的に扁平度として採用することが行われている(例えば、特許文献2)。
【0005】
【特許文献1】
米国特許第5721433号明細書
【特許文献2】
米国特許第5958643号明細書
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1に記載された粒子画像分析装置は、撮像された粒子画像を解析して、(粒子投影像面積値/π)1/2×2という式により円相当径を算出し、(粒子像と同じ投影面積値を持つ円の周囲長)/(粒子投影像の周囲長)という式により円形度を算出するものである。
【0007】
一方、特許文献2に記載された扁平度は、粒子のSEM写真の解析から(一粒子における最長粒径)/(一粒子における最短粒径)という式により求められるものである。これらの先行技術文献に記載された技術は、何れも粒子の2次元画像に基づいて得られた所定のパラメータによって粒子形状を表そうとするものである。このため得られた粒子形状は粒子の2次元画像に依存してしまい、必ずしも正確な粒子形状を反映するものではない。例えば、正面から見た形状が図1の(a)で表され、側面から見た形状が図1の(b)で表される扁平状の粒子の場合、粒子が正面から撮像されるとその2次元画像は図1の(a)となり、扁平度は1となる。また、粒子が側面から撮像されると2次元画像は図1の(b)となり、扁平度は5となる。通常、粉体を撮像する場合に各粒子の向きを揃えて撮像することは困難であり、実際には図1(a)(b)の2次元画像のみならず斜めから撮像された2次元画像も混在してしまう。このため得られる扁平度はこれらの各2次元画像から算出された扁平度の平均値となってしまい、実際の粒子形状とは異なるものになってしまう。また、各粒子毎に違う角度からSEM写真を撮り正確な扁平度を求める方法が考えられるが、この方法では非常に手間と時間がかかってしまうという問題がある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上述した問題を解決するために、従来のように粒子の2次元画像から粒子形状を求める場合に比べて、粒子の形状特性を簡便に且つ正確に見極めて数値情報として表すことのできる粒子形状分析方法並びに粒子形状分析装置を提供することを目的とするものである。
【0009】
また、本発明は、粒子の大きさに拘わらず粒子形状を測定でき、微粒子から大粒子まで幅広い粉体製品に適用することができる粒子形状分析方法並びに粒子形状分析装置を提供することを目的とするものである。
【0010】
また、本発明は、粉体のロット間の形状検査に有用な粒子形状分析方法並びに粒子形状分析装置を提供することを目的とするものである。
【0011】
即ち、本発明は、収容部に収容された粒子懸濁液を攪拌し、粒子懸濁液の流れを形成する第1工程と、粒子懸濁液の流れに生じた縞模様を解析し粒子形状を示す指標を求める第2工程とからなる粒子形状分析方法に関する。
【0012】
また、本発明は、粒子懸濁液を収容する収容部と、この収容部内の粒子懸濁液を攪拌し、収容部内に粒子懸濁液の流れを形成する攪拌部と、この粒子懸濁液流に光を照射する発光部と、粒子懸濁液流からの光を受光する受光部と、受光部での検知結果に基づいて粒子形状を示す指標を求める解析部と、解析部による解析結果を出力する出力部と、を備えた粒子形状分析装置に関する。
【0013】
本発明は、容器内に収容された粒子懸濁液を攪拌して粒子懸濁液の流れを形成すると、粒子の形状に応じて粒子懸濁液流に発生する縞模様が変化することに着目し、この縞模様を解析して数値化することによって、これを粒子形状の指標とすることを見出したものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の分析対象となる粒子は、トナー、ファインセラミックス、研磨剤、顔料、化粧品用パウダー、食品添加物、細胞、細菌のような有機物および無機物の粒子を含むものであり、予め染料や標識試薬によって染色処理された粒子であってもよい。
【0015】
以下、粒子形状測定装置について図2を用いて説明するが、これに限定されるものではない。
【0016】
図2において、粒子形状測定装置は、粒子懸濁液2を収容する収容部である収容容器3、粒子懸濁液2を攪拌する攪拌部(攪拌部材4および駆動部5)、収容容器3内の粒子懸濁液流に光を照射する発光部6、粒子懸濁液流を透過した光を受光する受光部7、および装置本体1の動作制御を行う本体制御部8を備えた装置本体1と、受光部7からの信号を解析する解析部9と、解析結果を表示出力する出力部10と、操作入力部11とを備えている。
【0017】
粒子懸濁液2は分析対象となる粒子を溶媒に分散させて調整したものである。このとき用いる溶媒は粒子の性質に応じて適宜選択すれば良い。また、粒子懸濁液の粒子濃度についても粒子の性質や溶媒との組み合わせにおいて適宜設定すればよい。なお、粒子の分散安定性を向上させるために粒子懸濁液に界面活性剤等を添加しても良い。
【0018】
粒子懸濁液2を収容する収容容器3は少なくとも発光部6および受光部7に対向する位置が光を透過する材料で構成される。また、収容容器3の形状は限定されるものではないが円筒状であることが好ましい。攪拌部を構成する攪拌部材4は駆動部5によって回転駆動され、収容容器3内の粒子懸濁液2を攪拌し、収容容器3内に粒子懸濁液流(円周流)を形成する。また、攪拌部としては測定する粒子懸濁液の性質に合わせて攪拌速度を調整できるものが好ましく、駆動部5は攪拌部材4の回転速度(回転数)を変更することが可能である。また、攪拌部として速度可変のマグネットスターラを用いることもできる。
【0019】
粒子懸濁液2に光を照射する発光部6には、ハロゲン光源、レーザー光源、LED等を用いることができる。また、発光部6は発光波長が変更できるものが好ましく、発光波長の異なる複数の光源を備えて切替可能にしたり、発光部6に分光器を備えて光源から出た光を分光し波長を選択して粒子懸濁流に照射するようにしても良い。このように照射する光の波長を変更可能な発光部6を用いると、粒子や媒体の種類や性質に応じて照射光の波長を選択できるようになり好ましい。受光部7は光を電気量に変換する検出器であればよく、例えば光電子増倍管やフォトダイオード等を用いることができる。また、CCDカメラ等の撮像素子を受光部7として用いることも可能である。なお、図2においては、受光部7は粒子懸濁液流を透過した光を受光する位置に配置されているが、粒子懸濁液流からの反射光を受光する位置に配置しても良い。本体制御部8はCPUおよびメモリを備えており、装置本体1の動作制御を行う。装置本体1の動作制御としては、例えば駆動部5を制御することによる攪拌部材4の回転数制御や発光部6の発光制御等が挙げられる。
【0020】
解析部9はCPUと粒子形状分析のプログラムを格納したメモリを備えており、受光部7からの電気信号を解析することによって粒子懸濁液流に生じる縞模様を解析し、解析結果として粒子形状を表す数値データ(粒子形状を示す指標)や図表を作成する。解析部9による解析結果を出力する出力部10は液晶ディスプレイやCRT等の表示出力部が好ましいが、プリンタ等のプリント出力部とすることも可能である。操作入力部11は各種の操作やデータ入力を行うためのキーボードであり、マウスを用いることも可能である。また、解析部9、出力部10および操作入力部11としてパーソナルコンピュータを用いることができる。なお、図2の粒子形状分析装置においては、解析部9、出力部10および操作入力部11を装置本体1とは別構成としたが、このような構成に限定されるものではなく、例えば装置本体1に解析部9、出力部10および操作入力部11を組み込んで一体化した構成としても良い。また、解析部9、出力部10及び操作入力部11の何れか1つ又は2つを装置本体1に組み込んで一体化し、その余を別構成としても良い。
【0021】
上述したように収容容器3内の粒子懸濁液流を形成すると、粒子の形状に応じて縞模様が発生する。収容容器3内に生じた縞模様の模式図を図3に示す。この縞模様は粒子が流体中で流れの抵抗を受けることによって、抵抗の少ない向きに揃うようになる配向性のために生じると考えられる。このため扁平状の粒子ではハッキリとした縞模様が発現し、一方真球状の粒子ではほとんど縞模様は発現しない。このように粒子懸濁液に発現する縞模様の情報を受光部7によって光情報として検出し、これを解析部9で数値化して表すことにより、粒子の形状を表す指標とすることができる。粒子形状の違いに起因して縞模様の違いとなって現れるファクターとして縞の濃度が挙げられる。即ち、扁平な形状の粒子は、流体中において抵抗が少なくなる方向に粒子の向きが揃う配向性が高いので粒子懸濁液流の背景部分に対して縞部分の濃度が高くなる。一方、粒子形状が真球粒子に近づく程、配向性が弱くなるため、背景部分に対する縞部分の濃度は低くなる。縞の濃度、即ち縞部分の濃度と背景部分の濃度との濃度差は、受光部7で検出される電気信号の強度差、即ち縞部分と背景部分との光量差によって表される。
【0022】
具体的には、所定の測定時間を設定し、その測定時間内において受光部7で検出される電気信号の変化を解析部9で光量(例えば吸光度)の変化として解析する。解析部9において測定時間に対する吸光度変化を示すグラフを作成し出力部10に表示出力した表示画面の一例を図4に示す。解析部9では図4に示される吸光度の第1最大値(Pmax1)、第2最大値(Pmax2)及び第3最大値(Pmax3)の平均値と、吸光度の第1最小値(Pmin1)及び第2最小値(Pmin2)の平均値との差を吸光度差(光量差)として算出し、算出された数値を測定粒子の粒子形状を示す指標とする。ここでは粒子形状指標として各最大値の平均値と各最小値の平均値との差を採用するようにしたが、単に吸光度(光量)の最大値と最小値との差を粒子形状指標としてもよい。また、粒子形状の違いに起因して縞模様の違いとなって現れるファクターとして縞の周期が挙げられる。このため解析部9は図4に示されるグラフにおける吸光度(光量)変化の周期を求め、これを粒子形状の指標としても良い。また、解析部9は所定測定時間内に出現する吸光度(光量)の山の数または谷の数を求め、これを粒子形状の指標とすることも可能である。
【0023】
出力部10に表示出力する表示画面としては、図4に示すように所定測定時間における光量(吸光度)の経時変化を示すグラフと、解析部9によって算出された粒子形状指標(例えば吸光度差(光量差))とを一つの画面に表示することが好ましい。また、必要に応じて他の粒子形状指標(例えば周期、縞の数)を補助指標として合わせて表示するようにしても良い。また、グラフと粒子形状指標を別々の表示画面に表示するようにしても良い。
【0024】
なお、受光部7としてCCDカメラ等の撮像素子を用いた場合には、懸濁粒子流に生じた縞模様をCCDカメラで撮像し、撮像した縞模様の画像を解析部9で解析し、縞模様の濃度、縞模様の周期、縞模様の個数等の粒子形状を示す指標を求めるようにすればよい。
【0025】
上述した粒子形状を示す指標を用いた粒子形状分析方法は、従来の撮像画像(2次元画像)から粒子の形状(扁平度等)を求める方法に比べて、粒子の形状の違いを簡便に且つ正確に測定できるので、例えば粉体の製品を検査する際に極めて有効である。また、上記の方法は粒子の大きさに拘わらず粒子形状を測定することができるので、nmオーダーの微粒子からmmオーダーの大粒子まで幅広い粉体製品に適用することができる。なお、測定条件(溶媒の種類、粒子濃度、攪拌速度、発光波長、測定時間)は、測定する粒子の種類等に応じて適宜決定すればよい。但し、同一性質の粉体を検査する際(例えば、粉体製品のロット間差の検査)には、同じ測定条件で測定する必要がある。
【0026】
【実施例】
(実施例1) 扁平状の合成雲母粒子(商品名:Mica Synthetic、和光純薬工業社製)20mgを秤量し、10mlの0.1%界面活性剤水溶液に分散させ粒子懸濁液とした。この粒子懸濁液を収容容器に入れ攪拌した。ここに光を照射し600nmでの吸光度変化を測定した。吸光度は0.02秒間隔で測定し約1秒間測定した。測定結果を表1及び図5に示す。なお、表1中、斜体字の箇所は吸光度の各周期における最大値と最小値を示す。
【0027】
【表1】
Figure 2004212265
【0028】
上記の測定結果から合成雲母粒子の粒子形状指標(吸光度差)は0.7682、補助形状指標(周期)は0.54秒であった。
【0029】
(実施例2) 球状ラッテクス粒子分散液(商品名:Polymer Microspheres、Duke Scientific Corp.製)50μlを、20mlの精製水に分散させ粒子懸濁液とした。この粒子懸濁液を収容容器に入れ攪拌した。ここに光を照射し600nmでの吸光度変化を測定した。吸光度は0.02秒間隔で測定し約1秒間測定した。測定結果を表2及び図6に示す。なお、表2中、斜体字の箇所は吸光度の各周期における最大値と最小値を示す。
【0030】
【表2】
Figure 2004212265
【0031】
上記の測定結果から球状ラテックス粒子の粒子形状指標(吸光度差)は0.0119、補助形状指標(周期)は0.66秒であった。
【0032】
【発明の効果】
本発明によれば、従来のように粒子の2次元画像から粒子形状を求める場合に比べて、粒子の形状特性を簡便に且つ正確に見極めて数値情報として表すことができる。
【0033】
また、本発明によれば、粒子の大きさに拘わらず粒子形状を測定できるので、幅広い粉体製品に適用することができる。
【0034】
また、本発明によれば、粒子の形状の違いを正確に測定できるので、粉体のロット間差検査を精密に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は扁平状粒子を正面から見た模式図、(b)は扁平状粒子を側面から見た模式図である。
【図2】本発明の粒子形状分析装置の構成図である。
【図3】収容容器内の懸濁粒子液の流れに生じた縞模様の模式図である。
【図4】本発明の粒子形状分析装置による表示画面の一例を示す図である。
【図5】合成雲母粒子を測定した測定結果を示す図である。
【図6】球状ラテックス粒子を測定した測定結果を示す図である。
【符号の説明】
1:装置本体、2:粒子懸濁液、3:収容容器、4:攪拌部材、5:駆動部、6:発光部、7:受光部、8:本体制御部、9:解析部、10:出力部、11:操作入力部。

Claims (7)

  1. 収容部に収容された粒子懸濁液を攪拌し、粒子懸濁液の流れを形成する第1工程と、粒子懸濁液の流れに生じた縞模様を解析し粒子形状を示す指標を求める第2工程とからなることを特徴とする粒子形状分析方法。
  2. 前記第2工程が、粒子懸濁液流に光を照射する工程と、懸濁粒子流からの光を検知する工程と、検知結果に基づいて粒子形状を示す指標を求める工程とからなることを特徴とする請求項1記載の粒子形状分析方法。
  3. 前記粒子形状を示す指標が、縞の濃度、縞の周期、または縞の数に基づいて求められることを特徴とする請求項1または請求項2記載の粒子形状分析方法。
  4. 粒子懸濁液を収容する収容部と、この収容部内の粒子懸濁液を攪拌し、収容部内に粒子懸濁液の流れを形成する攪拌部と、この粒子懸濁液流に光を照射する発光部と、粒子懸濁液流からの光を受光する受光部と、受光部での検知結果に基づいて粒子形状を示す指標を求める解析部と、解析部による解析結果を出力する出力部と、を備えたことを特徴とする粒子形状分析装置。
  5. 前記粒子形状を示す指標が、粒子懸濁液の流れに生じた縞模様の縞の濃度、縞の周期または縞の数に基づいて求められることを特徴とする請求項4記載の粒子形状分析装置。
  6. 前記解析部が、前記受光部での検知結果に基づいて、所定の測定期間内における光量の経時変化を示す図表を作成することを特徴とする請求項4または請求項5記載の粒子形状分析装置。
  7. 前記出力部が、前記粒子形状を示す指標と前記図表とを表示する表示画面を出力することを特徴とする請求項6記載の粒子形状分析装置。
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