JP2004211799A - 煙霧発生器 - Google Patents

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Kennosuke Kojima
小島建之助
Hiroji Kamisaka
上坂博二
Toshiyuki Nomura
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Abstract

【課題】前記煙霧濃度検出センサの出力値を予め校正でき、煙霧濃度とセンサ出力値との相関関係を明確化できる煙霧発生器を提供することにより、その煙霧濃度検出センサを用いて、船舶のエンジン異常等に対し、定量化されたデータを用いてより正確かつ安全な対応を可能ならしめる。
【解決手段】船舶のエンジン等に用いられる潤滑油を煙霧化するものであって、所定容積の空間内に一定量の潤滑油を注入する潤滑油注入手段4と、その潤滑油を所定温度に加熱し煙霧化する加熱手段5と、前記加熱手段5により煙霧化された潤滑油を前記空間内で略一様に拡散させる拡散手段2とを備え、前記空間の容積又は前記潤滑油の注入量の少なくとも一方を変更可能に構成した。
【選択図】図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、船舶のエンジン等で用いられる潤滑油を煙霧化する煙霧発生器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
大型船舶等では、エンジンが損傷して停止すると損害が非常に大きく、また航行の安全性にも大きな問題が生じ得るため、例えばエンジンの気筒の一部に何らかの異常により焼き付きが生じても、その気筒のみを駆動系から切り離すことによって、エンジンを停止させることなく運航できるように構成してある。
【0003】
一方、その気筒に係る軸受部等が完全に焼き付くと、修理不能となるなど、完全復旧に大きな手間がかかることから、焼き付きの前段階でそれを検知し、修理又は気筒の切り離しを行うべく、高温化により生じる潤滑油の煙霧化を検出するための煙霧濃度検出センサを設ける場合がある。
【0004】
しかしてこの種の検出センサには、特許文献1段落0028に記載されているようなものを用いるが、この種の煙霧濃度の検出の際には、その絶対的な値の測定は行われておらず、例えば同一エンジンにおける他の各気筒から発生する煙霧濃度との比較や、正常運転時に発生している煙霧濃度との比較において、煙霧の発生濃度の異常に高い気筒に焼き付きのおそれがあると判断するようにしている。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−126909公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
このように従来、どれくらいの煙霧濃度で異常と判断するかについての定量化は従来全くなされておらず、しかも異常と判断する値に関しては、永年の運用経験から比較的大雑把にかつ安全サイドよりに設定してあるため、誤判断が生じるおそれがある。また、その判断も正常か、初期異常か、最終異常かの3値判断のみであり、煙霧濃度とセンサ出力値との正確な相関関係を取得できないため、異常に至るまでの煙霧濃度に係るプロセスを知ることができない。
【0007】
そこで本発明は、前記煙霧濃度検出センサの出力値を予め校正でき、煙霧濃度とセンサ出力値との相関関係を明確化できる煙霧発生器を提供することにより、感度校正され煙霧濃度の定量測定可能となった煙霧濃度検出センサを用いて、船舶のエンジン異常等に対し、より正確かつ安全な対応を可能化すべく図ったものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明に係る煙霧発生器は、船舶のエンジン等に用いられる潤滑油を煙霧化するものであって、所定容積の空間内に一定量の潤滑油を注入する潤滑油注入手段と、その潤滑油を所定温度に加熱し煙霧化する加熱手段と、前記加熱手段により煙霧化された潤滑油を前記空間内で略一様に拡散させる拡散手段とを備え、前記空間の容積又は前記潤滑油の注入量の少なくとも一方を変更可能に構成したものであることを特徴とする。
【0009】
このようなものであれば、空間の容積又は前記潤滑油の注入量の少なくとも一方を変更設定することで、予め把握された種々の濃度の煙霧を発生させることができるため、煙霧濃度検出センサの出力値の校正や、煙霧濃度とセンサ出力値との相関関係を明確化できる。そしてこのように煙霧濃度との関係における特性を定量化した煙霧濃度検出センサを用いることにより、例えば船舶のエンジン異常に対してより迅速かつ正確な対応が可能となるうえ、異常に至るまでの煙霧濃度に係るプロセスを知ることができるため、異常発生原因の解明等にも寄与し得る。
【0010】
具体的には、吸入ポート及び吐出ポートを有する筒状体と、その筒状体内部に前記吸入ポートから吐出ポートに向かって一定流量の気体を流す気体流動手段と、前記筒状体内の上流側に設けた煙霧化部と、その煙霧化部に一定流量の潤滑油を送り込む潤滑油注入手段と、前記煙霧化部に送り込まれた潤滑油を所定温度に加熱し煙霧化する加熱手段とを備え、前記気体流動手段により流される気体流量又は潤滑油注入手段により送り込まれる潤滑油流量の少なくとも一方を変更可能に構成しているものを挙げることができる。
【0011】
このようなものであれば、単位時間あたりに気体流動手段によって形成される所定容積の気体内、すなわち空間内に、常に一定量の煙霧化された潤滑油が含まれることとなるため、やはり一定濃度の煙霧を得ることができる。さらにこのものによれば、筒状体の長さを適宣設定することにより、煙霧化部から十分に離れた下流側に校正すべき濃度検出センサを取り付けることができるため、加熱手段による熱の影響を排除できるうえ、気体流動手段が前記拡散手段の機能も発揮するため、十分に拡散され空間的にも時間的にも均一化された煙霧を濃度検出センサの校正に利用できる。
【0012】
前記気体流動手段の具体的実施態様としては、筒状体のいずれかのポートに取り付けられて内部に外部気体を吸入させるファンと、そのファンの回転数を変更可能に制御する気体流量制御部とを備えたものを挙げることができる。
【0013】
また前記潤滑油注入手段の具体的実施態様としては、潤滑油を前記煙霧化部に送り込むポンプと、そのポンプの吐出量を変更可能に制御する潤滑油流量制御部とを備えたものを挙げることができる。
【0014】
潤滑油は種類により煙霧化する温度が異なる。したがって種々の潤滑油に好適に対応して煙霧を発生することができるようにするには、加熱手段が、ヒータとそのヒータの温度を変更可能に制御する温度制御部とを備えたものであることが望ましい。
【0015】
潤滑油が配管出口で滴状となって断続的に落下する等して、潤滑油が煙霧化部に断続的に供給されると、煙霧も不連続に発生し、濃度に空間的或いは時間的な不均一が生じて校正等に好ましくない。これを回避する一態様としては、煙霧化部が底板とその底板周縁から立ち上げた立板を備えたものであって、潤滑油注入用配管の出口端面を斜めにカットした形状にするとともに、前記煙霧化部の立板内面に前記配管の出口端部を略沿わせるようにしたものを挙げることができる。潤滑油は立板を伝わって滑らかにかつ連続的に煙霧化部に供給されることとなるからである。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の一実施形態について図1、図2を参照して説明する。
【0017】
本実施形態に係る煙霧発生器10は、図1に示すように、吸入ポート1a及び吐出ポート1bを有した筒状体1と、その筒状体1の内部に前記吸入ポート1aから吐出ポート1bに向かって一定流量の気体を流す気体流動手段2と、前記筒状体1内の上流側に設けた煙霧化部3と、その煙霧化部3に一定流量の潤滑油を送り込む潤滑油注入手段4と、前記煙霧化部3に送り込まれた潤滑油を所定温度に加熱し煙霧化する加熱手段5とを備えたものである。
【0018】
各部を詳述する。
【0019】
筒状体1は、例えば両端を開口させた円筒状のもので、それら開口部の一方を吸入ポート1aとし他方を吐出ポート1bとしているものである。
【0020】
拡散手段たる気体流動手段2は、前記吸入ポート1aに取り付けられて外部空気を筒状体1の内部に吸い込むファン21と、そのファン21の回転数を変更可能に制御する気体流量制御部22とを備えたものである。より具体的に気体流量制御部22は、例えば筒状体1内に取り付けた図示しない流量計の出力値が、オペレータの設定した流量に対応したものとなるように、ファン21の回転数をFB制御するものである。もちろんオープン制御方式でも構わない。
【0021】
煙霧化部3は、例えば底板31とその底板31周縁から起立させた立板32とを具備する皿状をなすものであり、筒状体1内の上流側であってファン21近傍に設置してある。ここでは煙霧化部3は扁平なものである。
【0022】
潤滑油注入手段4は、筒状体1の外部に設置した潤滑油タンク41と、そのタンク41から潤滑油を吸い込むポンプ42と、ポンプ42から吐出される潤滑油を前記煙霧化部3に導く配管43と、前記ポンプ42の吐出量を変更可能に制御する潤滑油流量制御部44とを備えたものである。前記配管43は、ポンプ42吐出ポートに一端を接続し、煙霧化部3に他端を開口させたもので、本実施形態では、特に図2に示すように、配管43の出口端面を斜めにカットした形状にするとともに、前記煙霧化部3の立板32における内面に前記配管43の出口端部を略沿わせるようにしてある。潤滑油流量制御部44は、例えば配管43内に取り付けた図示しない流量計の出力値が、オペレータの設定した流量に対応したものとなるように、ポンプ42の駆動回転数をFB制御するものである。もちろんオープン制御方式でも構わない。
【0023】
加熱手段5は、ヒータ51とそのヒータ51の温度を変更可能に制御する温度制御部52とを備えたものである。ヒータ51は例えば前記煙霧化部3の底板31に装着した電熱式のものである。温度制御部52は、前記煙霧化部3の底板31に装着した温度センサ53の出力値が、オペレータの設定した温度に対応したものとなるように、ヒータ51に与える電流量又は電圧値をFB制御するものである。もちろんこれはオープン制御方式でも構わない。
【0024】
このように構成した本煙霧発生器10によれば、気体流動手段2によって筒状体1内を一定流量で空気が流れ、単位時間あたりに形成される所定容積の空気内に、常に一定量の煙霧化された潤滑油が含まれることとなるため、一定濃度でかつ定速で動く煙霧を得ることができる。
【0025】
また本実施形態では、前記筒状体1の下流側に煙霧濃度検出センサ6を取り付け、種々の濃度の煙霧を発生させるとともに、所定濃度で発生させた煙霧に対する当該センサの出力値を測定することにより、煙霧濃度検出センサ6の検量や出力値の校正、あるいは煙霧濃度とセンサ出力値との相関関係取得に、この煙霧発生器10を用いている。なお、図1中における煙霧濃度検出センサ6は、発光素子61と受光素子62とを備え、発光素子61から射出された光が煙霧に当たって反射散乱する量を受光素子62で検出することにより煙霧濃度を検出するタイプのものである。もちろんこの他に透過型のものや、全く異なった方式のものでもよいのは言うまでもない。
【0026】
そして、このように煙霧濃度との関係における特性を定量化した煙霧濃度検出センサ6を用いることにより、例えば船舶のエンジン異常に対し、より迅速かつ正確な対応が可能となる。また異常に至るまでの煙霧濃度に係るプロセスを知ることができるため、異常発生原因の解明等にも寄与し得る。
【0027】
さらに本実施形態では、筒状体1の長さを適宣設定することにより、煙霧化部3から十分に離れた下流側に煙霧濃度検出センサ6を取り付けることができるため、気体流動手段2によって十分に拡散され空間的にも時間的にも均一化された煙霧によるセンサの正確な校正等が可能となるうえ、加熱手段5による熱の影響をも排除できる。
【0028】
また、加熱手段5によって煙霧化部3の温度を変更可能に設定できるため、煙霧化温度の異なる複数種の潤滑油にもそれぞれ好適に対応して煙霧を発生することができる。
【0029】
加えて潤滑油が配管43の出口で滴状となって断続的に落下する等して、潤滑油が煙霧化部3に断続的に供給されると、煙霧も不連続に発生し、濃度に空間的或いは時間的な不均一が生じて校正等に好ましくないが、前述したように、潤滑油注入用配管43の出口端面を斜めにカットした形状にするとともに、前記煙霧化部3の立板32内面に前記配管43の出口端部を略沿わせているため、潤滑油は立板32を伝わって滑らかにかつ連続的に煙霧化部3に供給され、上述した不具合を生じない。
【0030】
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。要は所定容積の空間内に一定量の潤滑油を注入する潤滑油注入手段と、その潤滑油を所定温度に加熱し煙霧化する加熱手段と、前記加熱手段により煙霧化された潤滑油を前記空間内で略一様に拡散させる拡散手段とを備えていればよく、例えば密閉容器内で一定量の潤滑油を煙霧化し、それを密閉容器内で拡散させるものであっても構わない。
【0031】
また、前記気体流動手段により流される気体流量又は潤滑油注入手段により送り込まれる潤滑油流量の少なくとも一方を変更設定可能にしておけばよく、前記実施形態のように双方を必ずしも変更できるようにしなくともよい。このことにより、種々の濃度で煙霧を発生できるからである。
【0032】
その他本発明は、上記図示例に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0033】
【発明の効果】
以上に詳述したように、本発明によれば、予め把握された種々の濃度の煙霧を発生させることができるため、煙霧濃度検出センサの出力値の校正や、煙霧濃度とセンサ出力値との相関関係を明確化できる。そしてこのように煙霧濃度との関係における特性を定量化した煙霧濃度検出センサを用いることにより、例えば船舶のエンジン異常に対してより迅速かつ正確な対応が可能となるうえ、異常に至るまでの煙霧濃度に係るプロセスを知ることができるため、異常発生原因の解明等にも寄与し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態における煙霧発生器の内部構造を示す全体概略図。
【図2】同実施形態における煙霧化部を拡大して示す部分拡大図。
【符号の説明】
10・・・煙霧発生器
1・・・筒状体
1a・・・吸入ポート
1b・・・吐出ポート
2・・・拡散手段(気体流動手段)
21・・・ファン
22・・・気体流量制御部
3・・・煙霧化部
31・・・底板
32・・・立板
4・・・潤滑油注入手段
42・・・ポンプ
43・・・潤滑油注入用配管
44・・・潤滑油流量制御部
5・・・加熱手段
51・・・ヒータ
52・・・温度制御部

Claims (6)

  1. 内燃機関等に用いられる潤滑油を煙霧化するものであって、所定容積の空間内に一定量の潤滑油を注入する潤滑油注入手段と、その潤滑油を所定温度に加熱し煙霧化する加熱手段と、前記加熱手段により煙霧化された潤滑油を前記空間内で略一様に拡散させる拡散手段とを備え、前記空間の容積又は前記潤滑油の注入量の少なくとも一方を変更可能に構成したものである煙霧発生器。
  2. 内燃機関等に用いられる潤滑油を煙霧化するものであって、吸入ポート及び吐出ポートを有する筒状体と、その筒状体内部に前記吸入ポートから吐出ポートに向かって一定流量の気体を流す気体流動手段と、前記筒状体内の上流側に設けた煙霧化部と、その煙霧化部に一定流量の潤滑油を送り込む潤滑油注入手段と、前記煙霧化部に送り込まれた潤滑油を所定温度に加熱し煙霧化する加熱手段とを備え、前記気体流動手段により流される気体流量又は潤滑油注入手段により送り込まれる潤滑油流量の少なくとも一方を変更可能に構成している煙霧発生器。
  3. 前記気体流動手段が、筒状体のいずれかのポートに取り付けられて内部に外部気体を吸入させるファンと、そのファンの回転数を変更可能に制御する気体流量制御部とを備えたものである請求項2記載の煙霧発生器。
  4. 潤滑油注入手段が、潤滑油を前記煙霧化部に送り込むポンプと、そのポンプの吐出量を変更可能に制御する潤滑油流量制御部とを備えたものである請求項2又は3記載の煙霧発生器。
  5. 加熱手段が、ヒータとそのヒータの温度を変更可能に制御する温度制御部とを備えたものである請求項2、3又は4記載の煙霧発生器。
  6. 煙霧化部が底板とその底板周縁から立ち上げた立板を備えたものであって、潤滑油注入用配管の出口端面を斜めにカットした形状にするとともに、前記煙霧化部の立板内面に前記配管の出口端部を略沿わせている請求項2、3又は4記載の煙霧発生器。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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