JP2004209863A - 液体貯留体及び液体噴射装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】簡単な構成で液体を攪拌することができる液体貯留体及び該液体貯留体を搭載した液体噴射装置を提供すること。
【解決手段】インクジェット式プリンタのインクカートリッジは、インクを貯留する内ケース30と、内ケース30のインクを外部に排出する外ケース40と、内ケース30を外ケース40内で揺動可能に支持する可撓性チューブ55とから構成される。
【選択図】 図2
【解決手段】インクジェット式プリンタのインクカートリッジは、インクを貯留する内ケース30と、内ケース30のインクを外部に排出する外ケース40と、内ケース30を外ケース40内で揺動可能に支持する可撓性チューブ55とから構成される。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液体貯留体及び液体噴射装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
液体噴射ヘッドとキャリッジとを有する液体噴射装置として、インクジェット式プリンタがある。これまで、インクジェット式プリンタに使用されるインクとしては、色再現性が高く、水系の溶媒への溶解性が高い等の利点を有する染料インクが多用されてきた。しかし、最近は、顔料を色材として用いた顔料インクが使用されるようになってきている。顔料インクは、染料インクに比べ、耐光性や耐水性に優れる利点を有する。
【0003】
一方、顔料インクは色材として使用された顔料が水溶性でないため、静置されると、インクを貯留したインクカートリッジ等の底部に、顔料が徐々に沈み、全体としてインクの濃度が不均一になる。このため、濃度が過度に高いインク又は濃度が過度に低いインクが、液体噴射ヘッドとしての記録ヘッドから吐出される可能性があった。
【0004】
これに対し、記録ヘッドとインクカートリッジとの間に、駆動モータの駆動により揺動あるいは反転あるいは回転するインクタンクを設けて、記録ヘッドへ攪拌されたインクを供給するようにする場合があった(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
【特許文献1】
特開平5−338195号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、記録ヘッドとインクカートリッジとの間に、インクタンクを設ける場合は、インクタンクに連結した回転ギア等を設ける必要が生じ、装置が大型化又は複雑化させる可能性があった。
【0007】
本発明は、簡単な構成で液体を攪拌することができる液体貯留体及び該液体貯留体を搭載した液体噴射装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、液体を貯留する液体収容部材と、該液体収容部材の液体を外部に排出する筐体と、前記液体収容部材を前記筐体内で揺動可能に支持する支持部材とからなる。
【0009】
これによれば、支持部材により液体収容部材を揺動させることができる。このため、攪拌を要する液体を、揺動する液体収容部材に貯留して攪拌し、攪拌した液体を外部に排出することができる。
【0010】
この液体貯留体において、前記液体収容部材は、底部に第1連結部を設けると共に、該第1連結部に第1排出口を形成し、前記筐体は、底部に第2連結部を設けると共に、該第2連結部に第2排出口を形成し、前記支持部材は、可撓性チューブであって、前記第1連結部と前記第2連結部とを連結して、前記第1排出口と前記第2排出口とを、前記可撓性チューブを介して連通すると共に、前記液体収容部材を前記筐体に対して揺動可能に支持する。
【0011】
これによれば、攪拌を要する液体を液体収容部材に貯留して、液体収容部材を支持する可撓性チューブによって、液体収容部材を揺動することができる。そして、液体収容部材内の液体を攪拌し、攪拌した液体を可撓性チューブを介して、第2排出口に供給することができる。また、液体収容部材は、筐体内に収容されるため、液体収容部材の揺動動作を規制することができる。
【0012】
この液体貯留体において、前記可撓性チューブは、蛇腹状に形成されたチューブである。
これによれば、可撓性チューブは蛇腹状であるため、液体収容部材が揺動する際は伸縮及び湾曲することができる。
【0013】
この液体貯留体において、前記支持部材は、前記筐体に設けた支持軸であって、該支持軸は前記液体収容部材を回動可能に支持する。
これによれば、支持軸を回動中心として、液体収容部材を揺動することができる。このため、攪拌を要する液体を、揺動する液体収容部材に貯留して攪拌し、攪拌した液体を外部に排出することができる。また、液体収容部材は、支持軸に嵌挿されているため、安定した揺動動作を行うことができる。
【0014】
この液体貯留体において、前記液体収容部材は、少なくとも底面が曲面である。
これによれば、液体収容体を揺動させる際に、底部や偶部における液体の停滞等を極力防止することができる。このため、液体全体を攪拌することができる。
【0015】
この液体貯留体において、前記液体収容部材は、半円形状又は球形に形成される。
これによれば、液体収容体を揺動させる際に、底部や偶部における液体の停滞等を極力防止することができる。このため、液体全体を攪拌することができる。
【0016】
本発明の液体噴射装置は、上記に記載の液体貯留体を、往復移動するキャリッジに搭載すると共に、前記キャリッジに、前記液体貯留体から供給される液体を吐出する液体噴射ヘッドを備えた。
【0017】
これによれば、濃度の不均一を発生しやすい液体等を、揺動する液体収容部材に貯留して攪拌することができる。さらに、攪拌された液体を、液体噴射ヘッドに供給することにより、液体噴射ヘッドから吐出される液滴の濃度を均一化することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
(第1の実施形態)
以下、本発明を具体化した第1の実施形態を図1〜図3に従って説明する。
【0019】
図1は、液体噴射装置としてのインクジェット式プリンタ本体(以下、プリンタ本体とする。)11の要部斜視図である。プリンタ本体11にはフレーム12が備えられ、このフレーム12内にはプラテン13が配設されている。そして、プラテン13上には、図示しない紙送り機構により記録紙Pが送り出される。また、フレーム12内には、ガイド部材14が配設され、キャリッジ15がガイド部材14に沿って移動可能に支持されている。キャリッジ15は、キャリッジモータ16によりタイミングベルト17を介して往復移動される。
【0020】
キャリッジ15の下部には、液体としてのブラックインク及び各種カラーインクを吐出するノズル列が形成された、液体噴射ヘッドとしての記録ヘッド20が、記録紙Pに対向するように設けられている。記録ヘッド20のノズル列は、キャリッジ15に搭載された、液体貯留体としての各インクカートリッジ21〜26からインクの供給を受ける。そして、ノズルから記録紙Pに、インク滴を吐出して文字や画像を印刷するようになっている。
【0021】
キャリッジ15に搭載された、インクカートリッジ21〜26には、例えば、濃イエロー、淡マゼンタ、濃マゼンタ、淡シアン、濃シアン、ブラックの6種類のインクがそれぞれ収容されている。各インクカートリッジ21〜26は、キャリッジ15に1個ずつ着脱可能に設けられている。このインクカートリッジ21〜26について、図2及び図3に従って詳述する。尚、各インクカートリッジ21〜26は、同じ構成であるため、説明の便宜上、インクカートリッジ21の構成を説明し、他のインクカートリッジ22〜26の説明は省略する。
【0022】
図2は、インクカートリッジ21を分解した斜視図、図3はインクカートリッジ21の要部断面図である。インクカートリッジ21は、インクが貯留されている、液体収容部材としての内ケース30、前記内ケース30を収容する筐体としての外ケース40、及び前記内ケース30を前記外ケース40に連結支持する、支持部材としての可撓性チューブ55を有する。
【0023】
内ケース30は、ケース本体31と蓋32とを有する。ケース本体31は、図2に示すように、対向する半円形状の側面31a,31bと、この側面31a,31bの外周縁間に形成される、円弧状に湾曲した曲面である側面31c,31dとから構成され、上方が開口した合成樹脂からなるケースである。ケース本体31は、図3に示すように、側面31a〜31dにより内側に空間部33が形成され、この空間部33にインクを貯留する。
【0024】
また、ケース本体31の開口は、図3に示すように蓋32により封止されている。蓋32には、インク注入口32a、大気口32bが貫通形成されている。また、蓋32には、溝32cが形成され、その溝32cの上方はフィルム32dにより閉塞されている。この溝32cは、大気口32bに通じており、空間部33を大気に連通させるための大気通路となっている。尚、フィルム32dは、出荷前に、蓋32のインク注入口32aからケース本体31内にインクを充填した後に、シールされるものであって、前記溝32cとにより大気通路を形成すると共に、ケース本体31内のインク溶媒が直接大気にさらされて蒸発するのを防止している。
【0025】
ケース本体31の底部には、第1連結部としての連結部34が下方へ向かって突出形成されている。この連結部34には、図3に示すように、空間部33に連通する、第1排出口としての排出口35が貫通形成されている。このため、空間部33に貯留されたインクは、排出口35を介して流出する。
【0026】
ケース本体31に形成された連結部34には、可撓性チューブ55の一端が連結固定されており、可撓性チューブ55の他端は、外ケース40に連結固定されている。
【0027】
可撓性チューブ55は、蛇腹状に形成された合成樹脂からなるチューブであり、伸縮可能であって、前後左右に撓むことができる。可撓性チューブ55の連結部34に接続された側の端部は、図示しないバンド、クリップ等で連結部34に絞めつけられ、固定されている。このように連結固定された内ケース30及び可撓性チューブ55は、外ケース40に収容されている。
【0028】
外ケース40は、図2に示すように、直方体の筐体であり、硬質の合成樹脂等からなる。外ケース40は、本体42、同本体42の底部に形成された第2連結部としての供給部43、及び蓋42aを有している。本体42は、本体42の各側面により形成された空間部41を有しており、この空間部41に内ケース30及び可撓性チューブ55を収容する。
【0029】
本体42の底部に形成された供給部43は、空間部41側及び外側に突出形成されている。この供給部43は、前記内ケース30のインクを外部に供給するものである。従って、前記供給部43は、可撓性チューブ55の端部に連結固定されており、この端部は図示しないバンド、クリップ等で固定されている。
【0030】
供給部43の上面には、図3に示すように、フィルタ44が貼着されており、このフィルタ44の下側には、フィルタ44を介して導出されたインクが流入する、第2排出口を構成する吸引孔45が形成されている。吸引孔45よりも下方には、供給部43の下方へ向かって形成された、第2排出口を構成する供給孔46が形成されている。この供給孔46の上部には、下方へ向かって突出した有底筒状の筒体48が形成されており、同筒体48の底部には孔49が貫通形成されている。この孔49には、弁体50が嵌挿されている。弁体50の上部には、抜け止め50aが形成され、孔49より抜け落ちるのが防止されている。また、弁体50の下端は径が大きくなっており、拡径部50bとなっている。この拡径部50bと、前記筒体48の上部外縁との間には、バネ51が配設されている。
【0031】
そして、弁体50は、バネ51の付勢力により下方へ押圧されて、前記拡径部50bが、弁体50よりも下方の供給孔46に配設された弁座52に当接するように構成されている。弁座52は、エラストマー等の弾性部材からなり、ほぼ円筒形状を呈している。弁座52の内部には、キャリッジ15に設けられた供給針15aが挿入する中心孔53が形成されている。このため、供給針15aが中心孔53に挿入されないとき、供給針15aは弁体50を押し上げない。その結果、拡径部50bは、バネ51の付勢により常時弁座52に押しつけられ、インクの流路は閉状態となっている。一方、インクカートリッジ21がキャリッジ15にセットされ、供給針15aが中心孔53に挿入されると、拡径部50bは弁座52から離間する。このため、供給孔46等からなるインクの流路は開状態となり、内ケース30内のインクを記録ヘッド20へ流出させる。
【0032】
さらに、外ケース40は上面に開口を有している。この開口には、蓋42aを嵌挿して、空間部41を閉じることが可能である。このとき、内ケース30の蓋32と、外ケース40の上面とは、内ケース30が揺動してもぶつからない距離をおいて離間している。
【0033】
インクカートリッジ21を組み立てる際は、外ケース40の供給部43の上端に、可撓性チューブ55の下端を嵌挿する。そして、供給部43に固定された可撓性チューブ55の上端を、内ケース30の連結部34の下端に嵌挿する。このとき、供給部43と連結部34は離間した状態で可撓性チューブ55に固定されている。また、可撓性チューブ55は、内ケース30を支持することが可能な剛性を有している。また、内ケース30は半円形状に形成されているため、上部が重くなっている。従って、インクカートリッジ21に振動が与えられると、内ケース30は、その重みによって可撓性チューブ55を撓ませ、前後左右に揺動することができる。また、内ケース30を外ケース40に固定した後、外ケース40の開口に蓋42aを嵌挿して、空間部41を閉じた状態にする。
【0034】
このように形成されたインクカートリッジ21をキャリッジ15にセットすると、キャリッジ15の往復動作により、可撓性チューブ55が前後左右に撓み、内ケース30が揺動する。このため、顔料インクを使用するときも、揺動によりインクが攪拌され、インクの濃度が不均一になるのが極力防止される。また、内ケース30が揺動しても、内ケース30は外ケース40に収容されているため、揺動する動作を規制される。従って、内ケース30は、隣のインクカートリッジ22〜26の内ケース30にぶつかることがないと共に、過大な角度まで傾くようなことがない。
【0035】
第1の実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)第1の実施形態では、インクジェット式プリンタのインクカートリッジ21〜26を、内ケース30、外ケース40、及び可撓性チューブ55から構成した。そして、この内ケース30の連結部34と、外ケース40の供給部43とを、可撓性チューブ55を介して連結固定するようにした。そして、可撓性チューブ55により、内ケース30が揺動可能に支持されるようにした。
【0036】
このため、内ケース30は、キャリッジ15の往復移動の際、可撓性チューブ55の撓みにより揺動することができる。従って、内ケース30に貯留された、濃度の不均一を発生しやすい顔料インクを攪拌し、攪拌したインクを可撓性チューブ55及び供給部43を介して、記録ヘッド20に供給することができる。このため、記録ヘッド20に供給されるインクには、濃度の不均一が生じにくい。また、内ケース30は可撓性チューブ55に揺動可能に支持されるため、内ケース30を揺動させる装置等を設置する必要がなく、装置の複雑化、コストの上昇を防止することができる。
【0037】
(2)第1の実施形態では、内ケース30は、外ケース40に収容されるようにした。このため、内ケース30を揺動させても、隣接させて配置された他のインクカートリッジ21〜26や、他の部材にぶつかって、衝撃を与えたり、破損させることがない。また、外ケース40は内ケース30の動きを規制するため、過大な角度まで揺動するのを防止できる。
【0038】
(3)第1の実施形態では、可撓性チューブ55は、内ケース30を支持可能な剛性を有する、蛇腹状に形成されたチューブとした。このため、可撓性チューブ55は、伸縮及び湾曲して内ケース30を揺動させると共に、内ケース30の重力を受けても、つぶれたりすることなく、確実に支持することができる。
【0039】
(4)第1の実施形態では、内ケース30は、半円形状に形成されるようにした。このため、内ケース30を揺動させても偶部等にインクが停滞する等の問題がなく、インク全体を攪拌することができる。また、内ケース30は上部が重いため、より不安定となり揺動しやすくなる。このため、より確実に液体を攪拌することができる。
【0040】
(第2の実施形態)
次に、本発明を具体化した第2の実施形態を図4に従って説明する。なお、第2の実施形態は、第1の実施形態のインクカートリッジの構成を変更したのみの構成であるため、同様の部分についてはその詳細な説明を省略する。
【0041】
図4は、インクカートリッジ21の構成を模式的に示した説明図である。インクカートリッジ21は、液体収容部材としての内ケース56、可撓性チューブ57、及び筐体としての外ケース58を有している。内ケース56は、本体59、図示しないインク注入口や大気孔が形成された蓋60、同蓋60から上方へ突出され、中心に軸孔61aが形成された軸受け部61を有している。
【0042】
本体59は、対向する半円形状の側面と、この側面の外周縁間に形成される湾曲した側面とから構成され、上方が開口した合成樹脂からなるケースである。本体59は、各側面により内側に形成された空間を備えており、この空間にインクを貯留する。さらに、本体59の底部には、吸引孔45が形成されている。内ケース56に貯留されたインクは、この吸引孔45から、第1実施の実施形態で構成したものと同様な、図示しない通路を通って、外部(記録ヘッド20)へ供給されるようになっている。
【0043】
また、本体59の上面の開口には、蓋60が装着される。この蓋60の上面に突出形成された軸受け部61の軸孔61aには、外ケース58の壁面の内側から突出するように形成された、支持部材としての支持軸58aが嵌挿されるようになっている。このため、内ケース56は、例えば、図4の2点鎖線に示すように、支持軸58aを回動中心として、左右45°以下の範囲で回転し、揺動することが可能である。
【0044】
内ケース56に形成されたインクの排出口に連通した可撓性チューブ57は、軟質のポリエチレン等から形成され、排出口に接続された側と反対側の端部において、突出形成された抜け止め57aが配設されている。また、外ケース58の底部には、供給部58bが形成されている。同供給部58bの内部には、可撓性チューブ57から排出されるインクを受ける排出部58cが形成されている。また、この供給部58bには、上方から排出部58cに貫通したチューブ用孔58dが形成されている。可撓性チューブ57は、チューブ用孔58dを介して、排出部58cに挿入され、その可撓性チューブ57の抜け止め57aが排出部58cに配置されるように固定されている。このため、内ケース56の揺動により、可撓性チューブ57がA方向に上下動しても、抜け止め57aが形成されることにより、可撓性チューブ57は抜けることがない。
【0045】
このように形成されたインクカートリッジ21をキャリッジ15にセットすると、内ケース56は支持軸58aを支点として、図中矢印で示すB方向に回動可能であるため、キャリッジ15の往復移動によってB方向に揺動する。このため、顔料インクを使用するときも、インクが攪拌され、インクの濃度が不均一になるのが極力防止される。また、内ケース56が揺動しても、内ケース56は外ケース58に収容されているため、隣のインクカートリッジ22〜26の内ケース56にぶつかることがない。さらに、内ケース56は、外ケース58によって回転動作が規制されているため、過大な回転角度まで回転するのが防止される。
【0046】
従って、第2の実施形態によれば、第1の実施形態の(2)及び(4)に記載の効果に加えて以下の効果を得ることができる。
(5)第2の実施形態では、インクジェット式プリンタのインクカートリッジ21〜26を、軸受け部61を有する内ケース56、支持軸58a、外ケース58及び可撓性チューブ57で構成した。また、この内ケース56は、外ケース58の供給部58bと、可撓性チューブ57を介して接続されるようにした。さらに、可撓性チューブ57は、内ケース56の揺動に追従するようにした。このため、内ケース56を支持軸58aを回動中心として揺動させることができる。その結果、濃度の不均一を発生しやすい顔料インクを、揺動する内ケース56に貯留して攪拌し、攪拌したインクを可撓性チューブ57を介して、記録ヘッド20に供給することができる。このため、記録ヘッド20に供給されるインクには、濃度の不均一が生じにくい。また、内ケース56は、支持軸58aに嵌挿された状態で揺動するため、安定した揺動動作を行うことができる。
【0047】
なお、上記各実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記各実施形態では、インクカートリッジ21〜26は、キャリッジ15に6個配設されるようにしたが、単数以上であれば何個でもよい。
【0048】
・上記各実施形態は、内ケース30,56は空間を有するようにしたが、この空間に、ウレタンフォーム等からなる多孔質部材を収容するようにしてもよい。このようにすると、記録ヘッド20へ安定してインクを供給することができる。
【0049】
・上記各実施形態では、内ケース30,56を半円形状としたが、球形や多面体形状でもよい。
・上記各実施形態では、内ケース30,56には顔料インクが貯留されるとしたが、インクの粘度を増大させない等の目的で染料インクを貯留してもよい。
【0050】
・第1の実施形態では、可撓性チューブ55は、合成樹脂からなり、バンド、クリップ等で連結部34及び供給部43に締め付けるようにした。これ以外に、可撓性チューブ55を、エラストマー等の弾性体から形成してもよい。このようにすると、可撓性チューブ55と、連結部34及び供給部43との密着性を向上させることができる。このとき、連結部34の外周に、外側へ突出した環状の突部を連結部34又は供給部43と一体に形成するようにしてもよい。突部の側面は外側へ傾斜し、連結部34又は供給部43はいわゆるタケノコ継ぎ手のように形成されている。このようにすると、連結部34又は供給部43からの、可撓性チューブ55の抜け落ちを極力防止できる。
【0051】
・第1の実施形態では、可撓性チューブ55は、蛇腹状に形成されるとしたが、可撓性チューブ55が内ケース30を支持できる、充分な剛性を有している場合には、壁面を平滑にしてもよい。
【0052】
・第2の実施形態では、可撓性チューブ57は、抜け止め57aが形成されると共に、排出部58cに嵌挿されるようにした。これ以外に、可撓性チューブ57を、蛇腹状のチューブ等の伸縮性を有するチューブとしてもよい。このようにすると、供給部58bに可撓性チューブ57を固定するのみの構成でよい。
【0053】
・第2の実施形態では、支持軸58aにモータ等を接続して、強制的に内ケース56を揺動させてもよい。このようにすると、所望の速度、角度等で内ケース56内のインクを攪拌することができる。
【0054】
・第2の実施形態では、左右45°以下の範囲で回転し、揺動することが可能であるとしたが、内ケース56の回転角度は、左右90°以下であればよい。
・上記各実施形態では、液体噴射装置をインクジェット式プリンタに使用したが、インク以外の液体を噴射する液体噴射装置に応用してもよい。例えば、液晶ディスプレイやELディスプレイ、FED(面発光ディスプレイ)等の製造などに用いられる電極材や色材などの液体を噴射する液体噴射装置、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を噴射する液体噴射装置、精密ピペットとしての試料噴射装置であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態のプリンタ本体の要部斜視図。
【図2】第1の実施形態のインクカートリッジの斜視図。
【図3】第1の実施形態のインクカートリッジの要部断面図。
【図4】第2の実施形態のインクカートリッジの説明図。
【符号の説明】
11…液体噴射装置としてのプリンタ本体、15…キャリッジ、20…液体噴射ヘッドとしての記録ヘッド、21〜26…液体貯留体としてのインクカートリッジ、30,56…液体収容部材としての内ケース、34…第1連結部としての連結部、35…第1排出口としての排出口、40,58…筐体としての外ケース、43…第2連結部としての供給部、45…第2排出口としての吸引孔、46…第2排出口としての供給孔、55…支持部材としての可撓性チューブ、58a…支持部材としての支持軸。
【発明の属する技術分野】
本発明は、液体貯留体及び液体噴射装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
液体噴射ヘッドとキャリッジとを有する液体噴射装置として、インクジェット式プリンタがある。これまで、インクジェット式プリンタに使用されるインクとしては、色再現性が高く、水系の溶媒への溶解性が高い等の利点を有する染料インクが多用されてきた。しかし、最近は、顔料を色材として用いた顔料インクが使用されるようになってきている。顔料インクは、染料インクに比べ、耐光性や耐水性に優れる利点を有する。
【0003】
一方、顔料インクは色材として使用された顔料が水溶性でないため、静置されると、インクを貯留したインクカートリッジ等の底部に、顔料が徐々に沈み、全体としてインクの濃度が不均一になる。このため、濃度が過度に高いインク又は濃度が過度に低いインクが、液体噴射ヘッドとしての記録ヘッドから吐出される可能性があった。
【0004】
これに対し、記録ヘッドとインクカートリッジとの間に、駆動モータの駆動により揺動あるいは反転あるいは回転するインクタンクを設けて、記録ヘッドへ攪拌されたインクを供給するようにする場合があった(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
【特許文献1】
特開平5−338195号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、記録ヘッドとインクカートリッジとの間に、インクタンクを設ける場合は、インクタンクに連結した回転ギア等を設ける必要が生じ、装置が大型化又は複雑化させる可能性があった。
【0007】
本発明は、簡単な構成で液体を攪拌することができる液体貯留体及び該液体貯留体を搭載した液体噴射装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、液体を貯留する液体収容部材と、該液体収容部材の液体を外部に排出する筐体と、前記液体収容部材を前記筐体内で揺動可能に支持する支持部材とからなる。
【0009】
これによれば、支持部材により液体収容部材を揺動させることができる。このため、攪拌を要する液体を、揺動する液体収容部材に貯留して攪拌し、攪拌した液体を外部に排出することができる。
【0010】
この液体貯留体において、前記液体収容部材は、底部に第1連結部を設けると共に、該第1連結部に第1排出口を形成し、前記筐体は、底部に第2連結部を設けると共に、該第2連結部に第2排出口を形成し、前記支持部材は、可撓性チューブであって、前記第1連結部と前記第2連結部とを連結して、前記第1排出口と前記第2排出口とを、前記可撓性チューブを介して連通すると共に、前記液体収容部材を前記筐体に対して揺動可能に支持する。
【0011】
これによれば、攪拌を要する液体を液体収容部材に貯留して、液体収容部材を支持する可撓性チューブによって、液体収容部材を揺動することができる。そして、液体収容部材内の液体を攪拌し、攪拌した液体を可撓性チューブを介して、第2排出口に供給することができる。また、液体収容部材は、筐体内に収容されるため、液体収容部材の揺動動作を規制することができる。
【0012】
この液体貯留体において、前記可撓性チューブは、蛇腹状に形成されたチューブである。
これによれば、可撓性チューブは蛇腹状であるため、液体収容部材が揺動する際は伸縮及び湾曲することができる。
【0013】
この液体貯留体において、前記支持部材は、前記筐体に設けた支持軸であって、該支持軸は前記液体収容部材を回動可能に支持する。
これによれば、支持軸を回動中心として、液体収容部材を揺動することができる。このため、攪拌を要する液体を、揺動する液体収容部材に貯留して攪拌し、攪拌した液体を外部に排出することができる。また、液体収容部材は、支持軸に嵌挿されているため、安定した揺動動作を行うことができる。
【0014】
この液体貯留体において、前記液体収容部材は、少なくとも底面が曲面である。
これによれば、液体収容体を揺動させる際に、底部や偶部における液体の停滞等を極力防止することができる。このため、液体全体を攪拌することができる。
【0015】
この液体貯留体において、前記液体収容部材は、半円形状又は球形に形成される。
これによれば、液体収容体を揺動させる際に、底部や偶部における液体の停滞等を極力防止することができる。このため、液体全体を攪拌することができる。
【0016】
本発明の液体噴射装置は、上記に記載の液体貯留体を、往復移動するキャリッジに搭載すると共に、前記キャリッジに、前記液体貯留体から供給される液体を吐出する液体噴射ヘッドを備えた。
【0017】
これによれば、濃度の不均一を発生しやすい液体等を、揺動する液体収容部材に貯留して攪拌することができる。さらに、攪拌された液体を、液体噴射ヘッドに供給することにより、液体噴射ヘッドから吐出される液滴の濃度を均一化することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
(第1の実施形態)
以下、本発明を具体化した第1の実施形態を図1〜図3に従って説明する。
【0019】
図1は、液体噴射装置としてのインクジェット式プリンタ本体(以下、プリンタ本体とする。)11の要部斜視図である。プリンタ本体11にはフレーム12が備えられ、このフレーム12内にはプラテン13が配設されている。そして、プラテン13上には、図示しない紙送り機構により記録紙Pが送り出される。また、フレーム12内には、ガイド部材14が配設され、キャリッジ15がガイド部材14に沿って移動可能に支持されている。キャリッジ15は、キャリッジモータ16によりタイミングベルト17を介して往復移動される。
【0020】
キャリッジ15の下部には、液体としてのブラックインク及び各種カラーインクを吐出するノズル列が形成された、液体噴射ヘッドとしての記録ヘッド20が、記録紙Pに対向するように設けられている。記録ヘッド20のノズル列は、キャリッジ15に搭載された、液体貯留体としての各インクカートリッジ21〜26からインクの供給を受ける。そして、ノズルから記録紙Pに、インク滴を吐出して文字や画像を印刷するようになっている。
【0021】
キャリッジ15に搭載された、インクカートリッジ21〜26には、例えば、濃イエロー、淡マゼンタ、濃マゼンタ、淡シアン、濃シアン、ブラックの6種類のインクがそれぞれ収容されている。各インクカートリッジ21〜26は、キャリッジ15に1個ずつ着脱可能に設けられている。このインクカートリッジ21〜26について、図2及び図3に従って詳述する。尚、各インクカートリッジ21〜26は、同じ構成であるため、説明の便宜上、インクカートリッジ21の構成を説明し、他のインクカートリッジ22〜26の説明は省略する。
【0022】
図2は、インクカートリッジ21を分解した斜視図、図3はインクカートリッジ21の要部断面図である。インクカートリッジ21は、インクが貯留されている、液体収容部材としての内ケース30、前記内ケース30を収容する筐体としての外ケース40、及び前記内ケース30を前記外ケース40に連結支持する、支持部材としての可撓性チューブ55を有する。
【0023】
内ケース30は、ケース本体31と蓋32とを有する。ケース本体31は、図2に示すように、対向する半円形状の側面31a,31bと、この側面31a,31bの外周縁間に形成される、円弧状に湾曲した曲面である側面31c,31dとから構成され、上方が開口した合成樹脂からなるケースである。ケース本体31は、図3に示すように、側面31a〜31dにより内側に空間部33が形成され、この空間部33にインクを貯留する。
【0024】
また、ケース本体31の開口は、図3に示すように蓋32により封止されている。蓋32には、インク注入口32a、大気口32bが貫通形成されている。また、蓋32には、溝32cが形成され、その溝32cの上方はフィルム32dにより閉塞されている。この溝32cは、大気口32bに通じており、空間部33を大気に連通させるための大気通路となっている。尚、フィルム32dは、出荷前に、蓋32のインク注入口32aからケース本体31内にインクを充填した後に、シールされるものであって、前記溝32cとにより大気通路を形成すると共に、ケース本体31内のインク溶媒が直接大気にさらされて蒸発するのを防止している。
【0025】
ケース本体31の底部には、第1連結部としての連結部34が下方へ向かって突出形成されている。この連結部34には、図3に示すように、空間部33に連通する、第1排出口としての排出口35が貫通形成されている。このため、空間部33に貯留されたインクは、排出口35を介して流出する。
【0026】
ケース本体31に形成された連結部34には、可撓性チューブ55の一端が連結固定されており、可撓性チューブ55の他端は、外ケース40に連結固定されている。
【0027】
可撓性チューブ55は、蛇腹状に形成された合成樹脂からなるチューブであり、伸縮可能であって、前後左右に撓むことができる。可撓性チューブ55の連結部34に接続された側の端部は、図示しないバンド、クリップ等で連結部34に絞めつけられ、固定されている。このように連結固定された内ケース30及び可撓性チューブ55は、外ケース40に収容されている。
【0028】
外ケース40は、図2に示すように、直方体の筐体であり、硬質の合成樹脂等からなる。外ケース40は、本体42、同本体42の底部に形成された第2連結部としての供給部43、及び蓋42aを有している。本体42は、本体42の各側面により形成された空間部41を有しており、この空間部41に内ケース30及び可撓性チューブ55を収容する。
【0029】
本体42の底部に形成された供給部43は、空間部41側及び外側に突出形成されている。この供給部43は、前記内ケース30のインクを外部に供給するものである。従って、前記供給部43は、可撓性チューブ55の端部に連結固定されており、この端部は図示しないバンド、クリップ等で固定されている。
【0030】
供給部43の上面には、図3に示すように、フィルタ44が貼着されており、このフィルタ44の下側には、フィルタ44を介して導出されたインクが流入する、第2排出口を構成する吸引孔45が形成されている。吸引孔45よりも下方には、供給部43の下方へ向かって形成された、第2排出口を構成する供給孔46が形成されている。この供給孔46の上部には、下方へ向かって突出した有底筒状の筒体48が形成されており、同筒体48の底部には孔49が貫通形成されている。この孔49には、弁体50が嵌挿されている。弁体50の上部には、抜け止め50aが形成され、孔49より抜け落ちるのが防止されている。また、弁体50の下端は径が大きくなっており、拡径部50bとなっている。この拡径部50bと、前記筒体48の上部外縁との間には、バネ51が配設されている。
【0031】
そして、弁体50は、バネ51の付勢力により下方へ押圧されて、前記拡径部50bが、弁体50よりも下方の供給孔46に配設された弁座52に当接するように構成されている。弁座52は、エラストマー等の弾性部材からなり、ほぼ円筒形状を呈している。弁座52の内部には、キャリッジ15に設けられた供給針15aが挿入する中心孔53が形成されている。このため、供給針15aが中心孔53に挿入されないとき、供給針15aは弁体50を押し上げない。その結果、拡径部50bは、バネ51の付勢により常時弁座52に押しつけられ、インクの流路は閉状態となっている。一方、インクカートリッジ21がキャリッジ15にセットされ、供給針15aが中心孔53に挿入されると、拡径部50bは弁座52から離間する。このため、供給孔46等からなるインクの流路は開状態となり、内ケース30内のインクを記録ヘッド20へ流出させる。
【0032】
さらに、外ケース40は上面に開口を有している。この開口には、蓋42aを嵌挿して、空間部41を閉じることが可能である。このとき、内ケース30の蓋32と、外ケース40の上面とは、内ケース30が揺動してもぶつからない距離をおいて離間している。
【0033】
インクカートリッジ21を組み立てる際は、外ケース40の供給部43の上端に、可撓性チューブ55の下端を嵌挿する。そして、供給部43に固定された可撓性チューブ55の上端を、内ケース30の連結部34の下端に嵌挿する。このとき、供給部43と連結部34は離間した状態で可撓性チューブ55に固定されている。また、可撓性チューブ55は、内ケース30を支持することが可能な剛性を有している。また、内ケース30は半円形状に形成されているため、上部が重くなっている。従って、インクカートリッジ21に振動が与えられると、内ケース30は、その重みによって可撓性チューブ55を撓ませ、前後左右に揺動することができる。また、内ケース30を外ケース40に固定した後、外ケース40の開口に蓋42aを嵌挿して、空間部41を閉じた状態にする。
【0034】
このように形成されたインクカートリッジ21をキャリッジ15にセットすると、キャリッジ15の往復動作により、可撓性チューブ55が前後左右に撓み、内ケース30が揺動する。このため、顔料インクを使用するときも、揺動によりインクが攪拌され、インクの濃度が不均一になるのが極力防止される。また、内ケース30が揺動しても、内ケース30は外ケース40に収容されているため、揺動する動作を規制される。従って、内ケース30は、隣のインクカートリッジ22〜26の内ケース30にぶつかることがないと共に、過大な角度まで傾くようなことがない。
【0035】
第1の実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)第1の実施形態では、インクジェット式プリンタのインクカートリッジ21〜26を、内ケース30、外ケース40、及び可撓性チューブ55から構成した。そして、この内ケース30の連結部34と、外ケース40の供給部43とを、可撓性チューブ55を介して連結固定するようにした。そして、可撓性チューブ55により、内ケース30が揺動可能に支持されるようにした。
【0036】
このため、内ケース30は、キャリッジ15の往復移動の際、可撓性チューブ55の撓みにより揺動することができる。従って、内ケース30に貯留された、濃度の不均一を発生しやすい顔料インクを攪拌し、攪拌したインクを可撓性チューブ55及び供給部43を介して、記録ヘッド20に供給することができる。このため、記録ヘッド20に供給されるインクには、濃度の不均一が生じにくい。また、内ケース30は可撓性チューブ55に揺動可能に支持されるため、内ケース30を揺動させる装置等を設置する必要がなく、装置の複雑化、コストの上昇を防止することができる。
【0037】
(2)第1の実施形態では、内ケース30は、外ケース40に収容されるようにした。このため、内ケース30を揺動させても、隣接させて配置された他のインクカートリッジ21〜26や、他の部材にぶつかって、衝撃を与えたり、破損させることがない。また、外ケース40は内ケース30の動きを規制するため、過大な角度まで揺動するのを防止できる。
【0038】
(3)第1の実施形態では、可撓性チューブ55は、内ケース30を支持可能な剛性を有する、蛇腹状に形成されたチューブとした。このため、可撓性チューブ55は、伸縮及び湾曲して内ケース30を揺動させると共に、内ケース30の重力を受けても、つぶれたりすることなく、確実に支持することができる。
【0039】
(4)第1の実施形態では、内ケース30は、半円形状に形成されるようにした。このため、内ケース30を揺動させても偶部等にインクが停滞する等の問題がなく、インク全体を攪拌することができる。また、内ケース30は上部が重いため、より不安定となり揺動しやすくなる。このため、より確実に液体を攪拌することができる。
【0040】
(第2の実施形態)
次に、本発明を具体化した第2の実施形態を図4に従って説明する。なお、第2の実施形態は、第1の実施形態のインクカートリッジの構成を変更したのみの構成であるため、同様の部分についてはその詳細な説明を省略する。
【0041】
図4は、インクカートリッジ21の構成を模式的に示した説明図である。インクカートリッジ21は、液体収容部材としての内ケース56、可撓性チューブ57、及び筐体としての外ケース58を有している。内ケース56は、本体59、図示しないインク注入口や大気孔が形成された蓋60、同蓋60から上方へ突出され、中心に軸孔61aが形成された軸受け部61を有している。
【0042】
本体59は、対向する半円形状の側面と、この側面の外周縁間に形成される湾曲した側面とから構成され、上方が開口した合成樹脂からなるケースである。本体59は、各側面により内側に形成された空間を備えており、この空間にインクを貯留する。さらに、本体59の底部には、吸引孔45が形成されている。内ケース56に貯留されたインクは、この吸引孔45から、第1実施の実施形態で構成したものと同様な、図示しない通路を通って、外部(記録ヘッド20)へ供給されるようになっている。
【0043】
また、本体59の上面の開口には、蓋60が装着される。この蓋60の上面に突出形成された軸受け部61の軸孔61aには、外ケース58の壁面の内側から突出するように形成された、支持部材としての支持軸58aが嵌挿されるようになっている。このため、内ケース56は、例えば、図4の2点鎖線に示すように、支持軸58aを回動中心として、左右45°以下の範囲で回転し、揺動することが可能である。
【0044】
内ケース56に形成されたインクの排出口に連通した可撓性チューブ57は、軟質のポリエチレン等から形成され、排出口に接続された側と反対側の端部において、突出形成された抜け止め57aが配設されている。また、外ケース58の底部には、供給部58bが形成されている。同供給部58bの内部には、可撓性チューブ57から排出されるインクを受ける排出部58cが形成されている。また、この供給部58bには、上方から排出部58cに貫通したチューブ用孔58dが形成されている。可撓性チューブ57は、チューブ用孔58dを介して、排出部58cに挿入され、その可撓性チューブ57の抜け止め57aが排出部58cに配置されるように固定されている。このため、内ケース56の揺動により、可撓性チューブ57がA方向に上下動しても、抜け止め57aが形成されることにより、可撓性チューブ57は抜けることがない。
【0045】
このように形成されたインクカートリッジ21をキャリッジ15にセットすると、内ケース56は支持軸58aを支点として、図中矢印で示すB方向に回動可能であるため、キャリッジ15の往復移動によってB方向に揺動する。このため、顔料インクを使用するときも、インクが攪拌され、インクの濃度が不均一になるのが極力防止される。また、内ケース56が揺動しても、内ケース56は外ケース58に収容されているため、隣のインクカートリッジ22〜26の内ケース56にぶつかることがない。さらに、内ケース56は、外ケース58によって回転動作が規制されているため、過大な回転角度まで回転するのが防止される。
【0046】
従って、第2の実施形態によれば、第1の実施形態の(2)及び(4)に記載の効果に加えて以下の効果を得ることができる。
(5)第2の実施形態では、インクジェット式プリンタのインクカートリッジ21〜26を、軸受け部61を有する内ケース56、支持軸58a、外ケース58及び可撓性チューブ57で構成した。また、この内ケース56は、外ケース58の供給部58bと、可撓性チューブ57を介して接続されるようにした。さらに、可撓性チューブ57は、内ケース56の揺動に追従するようにした。このため、内ケース56を支持軸58aを回動中心として揺動させることができる。その結果、濃度の不均一を発生しやすい顔料インクを、揺動する内ケース56に貯留して攪拌し、攪拌したインクを可撓性チューブ57を介して、記録ヘッド20に供給することができる。このため、記録ヘッド20に供給されるインクには、濃度の不均一が生じにくい。また、内ケース56は、支持軸58aに嵌挿された状態で揺動するため、安定した揺動動作を行うことができる。
【0047】
なお、上記各実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記各実施形態では、インクカートリッジ21〜26は、キャリッジ15に6個配設されるようにしたが、単数以上であれば何個でもよい。
【0048】
・上記各実施形態は、内ケース30,56は空間を有するようにしたが、この空間に、ウレタンフォーム等からなる多孔質部材を収容するようにしてもよい。このようにすると、記録ヘッド20へ安定してインクを供給することができる。
【0049】
・上記各実施形態では、内ケース30,56を半円形状としたが、球形や多面体形状でもよい。
・上記各実施形態では、内ケース30,56には顔料インクが貯留されるとしたが、インクの粘度を増大させない等の目的で染料インクを貯留してもよい。
【0050】
・第1の実施形態では、可撓性チューブ55は、合成樹脂からなり、バンド、クリップ等で連結部34及び供給部43に締め付けるようにした。これ以外に、可撓性チューブ55を、エラストマー等の弾性体から形成してもよい。このようにすると、可撓性チューブ55と、連結部34及び供給部43との密着性を向上させることができる。このとき、連結部34の外周に、外側へ突出した環状の突部を連結部34又は供給部43と一体に形成するようにしてもよい。突部の側面は外側へ傾斜し、連結部34又は供給部43はいわゆるタケノコ継ぎ手のように形成されている。このようにすると、連結部34又は供給部43からの、可撓性チューブ55の抜け落ちを極力防止できる。
【0051】
・第1の実施形態では、可撓性チューブ55は、蛇腹状に形成されるとしたが、可撓性チューブ55が内ケース30を支持できる、充分な剛性を有している場合には、壁面を平滑にしてもよい。
【0052】
・第2の実施形態では、可撓性チューブ57は、抜け止め57aが形成されると共に、排出部58cに嵌挿されるようにした。これ以外に、可撓性チューブ57を、蛇腹状のチューブ等の伸縮性を有するチューブとしてもよい。このようにすると、供給部58bに可撓性チューブ57を固定するのみの構成でよい。
【0053】
・第2の実施形態では、支持軸58aにモータ等を接続して、強制的に内ケース56を揺動させてもよい。このようにすると、所望の速度、角度等で内ケース56内のインクを攪拌することができる。
【0054】
・第2の実施形態では、左右45°以下の範囲で回転し、揺動することが可能であるとしたが、内ケース56の回転角度は、左右90°以下であればよい。
・上記各実施形態では、液体噴射装置をインクジェット式プリンタに使用したが、インク以外の液体を噴射する液体噴射装置に応用してもよい。例えば、液晶ディスプレイやELディスプレイ、FED(面発光ディスプレイ)等の製造などに用いられる電極材や色材などの液体を噴射する液体噴射装置、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を噴射する液体噴射装置、精密ピペットとしての試料噴射装置であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態のプリンタ本体の要部斜視図。
【図2】第1の実施形態のインクカートリッジの斜視図。
【図3】第1の実施形態のインクカートリッジの要部断面図。
【図4】第2の実施形態のインクカートリッジの説明図。
【符号の説明】
11…液体噴射装置としてのプリンタ本体、15…キャリッジ、20…液体噴射ヘッドとしての記録ヘッド、21〜26…液体貯留体としてのインクカートリッジ、30,56…液体収容部材としての内ケース、34…第1連結部としての連結部、35…第1排出口としての排出口、40,58…筐体としての外ケース、43…第2連結部としての供給部、45…第2排出口としての吸引孔、46…第2排出口としての供給孔、55…支持部材としての可撓性チューブ、58a…支持部材としての支持軸。
Claims (7)
- 液体を貯留する液体収容部材と、
該液体収容部材の液体を外部に排出する筐体と、
前記液体収容部材を前記筐体内で揺動可能に支持する支持部材と
からなる液体貯留体。 - 請求項1に記載の液体貯留体において、
前記液体収容部材は、底部に第1連結部を設けると共に、該第1連結部に第1排出口を形成し、
前記筐体は、底部に第2連結部を設けると共に、該第2連結部に第2排出口を形成し、
前記支持部材は、可撓性チューブであって、前記第1連結部と前記第2連結部とを連結して、前記第1排出口と前記第2排出口とを、前記可撓性チューブを介して連通すると共に、前記液体収容部材を前記筐体に対して揺動可能に支持することを特徴とする液体貯留体。 - 請求項2に記載の液体貯留体において、
前記可撓性チューブは、蛇腹状に形成されたチューブであることを特徴とする液体貯留体。 - 請求項1に記載の液体貯留体において、
前記支持部材は、前記筐体に設けた支持軸であって、該支持軸は前記液体収容部材を回動可能に支持することを特徴とする液体貯留体。 - 請求項1〜4のいずれかに記載の液体貯留体において、
前記液体収容部材は、少なくとも底面が曲面であることを特徴とする液体貯留体。 - 請求項1〜5のいずれかに記載の液体貯留体において、
前記液体収容部材は、半円形状又は球形に形成されることを特徴とする液体貯留体。 - 請求項1〜6のいずれかに記載の液体貯留体を、往復移動するキャリッジに搭載すると共に、前記キャリッジに、前記液体貯留体から供給される液体を吐出する液体噴射ヘッドを備えたことを特徴とする液体噴射装置。
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2003
- 2003-01-07 JP JP2003000784A patent/JP2004209863A/ja active Pending
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