JP2004209383A - ひも状繊維集合体を使用した水処理装置 - Google Patents

ひも状繊維集合体を使用した水処理装置 Download PDF

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Abstract

【課題】ろ過部材を短時間で容易に取付けて、水処理装置を容易に製造することができる技術を提供する。
【解決手段】水処理装置は、曝気槽と、ひも状繊維集合体6により構成された複数のろ過部材3を筒状のホルダ20の間に支持して曝気槽に設けられたろ過手段7と、処理水排出手段とを備えている。ろ過部材3を被処理水に浸して、ろ過機能を発揮する微生物コロニー11を形成する。被処理水は、水位差により流れて、コロニーの内部の微小な隙間に入るところでろ過された後、微小な隙間を流れ、ひも状繊維集合体の繊維間隙間を流れる。ろ過部材を出てホルダの内部空間Sに流入した処理水8は、ろ過手段から流出し処理水排出手段で曝気槽の外に排出される。
【選択図】 図4

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ひも状繊維集合体の集合により構成されたろ過部材を使用した水処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
原水にはいろいろな種類があるが、この原水に応じて各種の方法で水処理が行われる。排水処理法のうち代表的な活性汚泥法では、生活排水などの原水を曝気槽に流入させ、この曝気槽内の高濃度微生物群により水処理を行なっている。
本発明の関連技術として、特許文献1(特開2002−263408号公報)には、ひも状繊維集合体からなるろ過部材による水処理方法およびその装置が記載されている。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−263408号公報(第11頁,図10)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
この関連技術では、ろ過部材支持部(ろ過手段)が円筒状の仕切り壁を有し、この仕切り壁には複数のスリットが形成されている。このスリットにろ過部材が係合されている。
ろ過部材をろ過部材支持部に取付ける際には、ろ過部材をスリットに係合させなければならない。このろ過部材の取付け作業が煩雑で時間がかかるので、水処理装置の製造が困難な原因となっていた。
【0005】
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、ろ過部材を短時間で容易に取付けて、水処理装置を容易に製造することができる水処理装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するため、本発明にかかるひも状繊維集合体を使用した水処理装置は、被処理水が貯留される被処理水貯留部と、複数のひも状繊維集合体の集合により構成された複数のろ過部材を複数の隣り合う筒状のホルダの間に支持して、前記被処理水貯留部に設けられたろ過手段と、このろ過手段から流出する処理水を排出させるための処理水排出手段とを備え、前記ろ過部材を前記被処理水に浸して、ろ過機能を発揮する微生物コロニーを形成し、前記被処理水は、水位差により流れて前記微生物コロニーの内部の微小な隙間に入るところでろ過された後、この微小な隙間を流れ、次いで、前記ひも状繊維集合体の長手方向に生じた圧力勾配により前記ひも状繊維集合体の繊維の間の隙間を流れていき、前記ろ過部材を出て前記ホルダの内部空間に流入した前記処理水は、前記ろ過手段から流出して前記処理水排出手段により前記被処理水貯留部の外部に排出されるようにしている。
具体的な実施態様にかかる水処理装置は、被処理水が貯留される被処理水貯留部と、複数のひも状繊維集合体の集合により構成された複数のろ過部材を複数の隣り合う筒状のホルダの間に支持して前記被処理水貯留部に設けられたろ過手段と、このろ過手段から流出する処理水を排出させるための処理水排出手段とを備え、前記ろ過部材を前記被処理水に浸した状態で、前記被処理水は、水位差により前記ろ過部材の表面から繊維の間の隙間に入ることにより、この繊維間隙間に入れない微生物の小集団は前記ひも状繊維集合体の表面にパイプ状に付着し、前記被処理水は、前記ひも状繊維集合体の長手方向に生じた圧力勾配により前記繊維間隙間を流れていき、前記ひも状繊維集合体の表面にパイプ状に付着した前記微生物の小集団は次第に大きくなって、内部に微小な隙間を有してろ過機能を発揮する微生物コロニーが形成され、前記被処理水は、前記水位差により流れてこの微生物コロニーの内部の前記微小な隙間に入るところでろ過された後、この微小な隙間を流れ、次いで前記繊維間隙間を前記圧力勾配により流れていき、前記ろ過部材を出て前記ホルダの内部空間に流入した前記処理水は、前記ろ過手段から流出して前記処理水排出手段により前記被処理水貯留部の外部に排出されるようにしている。
【0007】
前記ろ過手段は、複数の連通孔が外周面の所定位置に穿設された集水管と、この集水管に支持され、前記ろ過部材用の開口部を形成した状態で連結手段により互いに連結される複数の筒状の前記ホルダと、隣り合うこのホルダの間に形成された複数の前記開口部を遮蔽してこの開口部に取付けられた複数の前記ろ過部材と、前記ホルダと前記ろ過部材とを交互に配置した状態で長手方向両端部側から挟持する二つの挟持部材とを有し、前記処理水は、前記ホルダの前記内部空間から前記連通孔を通って前記集水管の内部を流れた後、前記ろ過手段から流出するように構成するのが好ましい。
前記ホルダは、前記連結手段が形成された中空円筒状の円筒部と、この円筒部の内方に一体的に形成され、前記集水管に係合する係合孔が穿設され、前記内部空間同士を連通させるための連通孔が形成された板状部とを有し、前記連結手段は、前記円筒部の一方の端面に形成された複数の凹部と、前記円筒部の他方の端面に一体的に突出形成され、隣り合う他の前記ホルダの前記一方の端面と当接して前記開口部を形成するための複数の大径の突起部と、この大径の突起部の先端部に一体的に突出形成され、隣り合う前記他のホルダの前記一方の端面の前記凹部に挿入されて前記ホルダ同士を連結するための複数の小径の突起部とを有しているのが好ましい。
好ましくは、互いに平行に配置された複数の前記ろ過手段と、この複数のろ過手段を支持するフレームとによりろ過部ユニットが構成され、少なくとも一つの前記ろ過部ユニットを前記被処理水貯留部に設置している。
また、前記ろ過部ユニットの下部には、前記ろ過部材を洗浄するための空気を排出可能な洗浄用ノズルが設けられているのが好ましい。前記ろ過手段の中心軸線は、縦方向を向いているのが好ましい。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明にかかる実施の形態の一例を、図1ないし図12を参照して説明する。
本実施形態にかかる水処理装置は、下水処理法のうち代表的な活性汚泥法における曝気槽内部の高濃度微生物群による水処理に適用されている。なお、本発明は、浮遊固形物の濃度(SS)の比較的低い原水(処理前の水)を処理して、清浄な処理水(処理済みの水)を得るのにも適用される。
水処理装置を使用する場合としては、たとえば、河川や湖から取水した河川水や湖水(原水)を処理して上水(飲料水)にする場合、井戸水(原水)を処理して上水にする場合、プールの水(原水)を処理して循環使用する場合、極細繊維を使用して高度な水処理を行う場合、従来の排水処理設備の沈殿槽と砂ろ過装置とによる水処理に相当する処理を行う場合、魚を養殖するための養殖池の水を浄化する場合などがある。その他、本発明は、住宅の下水処理用の浄化槽にも適用可能である。
【0009】
図1は水処理装置の概略構成図、図2は、前記水処理装置のろ過部ユニットの概略斜視図、図3は、前記ろ過部ユニットのろ過手段の正面図、図4は、前記ろ過手段の拡大正面断面図、図5(A)は図4のV−V線平面断面図、図5(B)は図5(A)中のB部拡大図である。
図6(A)は、微生物の小集団がひも状繊維集合体に付着しはじめた状態の顕微鏡写真に相当する図である。図6(B)は、前記微生物の小集団が集まって微生物コロニーを形成しはじめた状態の顕微鏡写真に相当する図である。
図7は、一つのひも状繊維集合体の経時変化を示す概略構成図である。図8は、前記ろ過手段の分解斜視図である。図9(A),(B),(C)は、それぞれ前記ろ過手段のホルダの平面図,正面断面図,底面図である。
図10(A)は、前記ひも状繊維集合体からなるろ過部材を示す説明図、図10(B)は、前記ひも状繊維集合体の拡大断面図である。図11(A),(B)は、図10に示す前記ろ過部材を円形に縫い合わせた状態を示す平面図,正面図である。
【0010】
図1ないし図11に示すように、水処理装置1は、ひも状繊維集合体6を使用して被処理水10を処理する装置である。水処理装置1は、被処理水貯留部としての曝気槽2と、ろ過手段7と、処理水排出手段4とを備えている。
曝気槽2には被処理水10が貯留される。ろ過手段7は、細長い複数のひも状繊維集合体6の集合により構成された複数のろ過部材3を、複数の隣り合う筒状のホルダ20の間に支持して、曝気槽2に設けられている。処理水排出手段4は、ろ過手段7から流出する処理水8を排出する。
水処理装置1では、ひも状のろ過部材3を被処理水10に浸すことにより、ろ過機能を発揮する微生物コロニー(微生物の可視的な集塊であり、たとえば、活性汚泥のコロニー)11が形成されている。
被処理水10は、水位差Hに基づく重力による位置のエネルギーを駆動源として流れる。被処理水10は、微生物コロニー(以下、コロニーと記載)11の内部の微小な隙間31に入るところでろ過された後、微小な隙間31を流れる。ろ過された被処理水10は、ひも状繊維集合体6の長手方向に生じた圧力勾配により、ひも状繊維集合体6の繊維9の間の隙間9aを流れていく。
ろ過部材3を出てホルダ20の内部空間Sに流入した処理水8は、ろ過手段7から流出して、処理水排出手段4により曝気槽2の外部に排出される。
【0011】
より具体的な実施態様にかかる水処理装置1は、曝気槽2とろ過手段7と処理水排出手段4とを備えている。水処理装置1の運転当初は、ろ過部材3にはコロニー11が形成されていない。
ろ過部材3を被処理水10に浸した状態で、被処理水10は、水位差Hにより流れて、ろ過部材3の表面から繊維9の間の隙間9aに入る。繊維間隙間9に入れない微生物の小集団(微生物の集合体であり、以下、フロックと記載)30は、ひも状繊維集合体6の表面にパイプ状に付着する。
被処理水10は、ひも状繊維集合体6の長手方向に生じた圧力勾配により、繊維間隙間9aを流れていく。ひも状繊維集合体6の表面にパイプ状に付着したフロック30は次第に大きくなって、内部に微小な隙間31を有してろ過機能を発揮するコロニー11が形成される。
【0012】
そうすると、被処理水10は、水位差Hにより流れて、コロニー11の内部の微小な隙間31に入るところでろ過される。次いで、被処理水10は、微小な隙間31を流れたのち繊維9のところに到達し、繊維間隙間9aを圧力勾配により流れていく。この状態のとき、コロニー11は、被処理水10のろ過を行う機能を発揮する。
ひも状繊維集合体6は、コロニー11を保持する機能を有する。ひも状繊維集合体6の繊維間隙間9aは、コロニー11でろ過された水を下流側に流すための導管としての機能を発揮する。
ろ過部材3を出てホルダ20の内部空間Sに流入した処理水8は、ろ過手段7から流出して処理水排出手段4により曝気槽2の外部に排出される。
【0013】
ろ過部材3は、細長い複数のひも状繊維集合体6の集合により構成されている。一本のひも状繊維集合体6は、微細な多数の繊維9が集合したたて糸を複数本合わせることにより構成されている。すなわち、ひも状のろ過部材3は、たて糸のみからなるひも状繊維集合体6により「すだれ状」に構成されているので、目詰まりを起こしにくい。
本実施形態のひも状繊維集合体6には、糸に「より」がかけられた「ねん糸」が使用されているが、ねん糸でない場合でもよい。ひも状繊維集合体6は、本実施形態で示すもののほか、直径の細い糸状の繊維集合体や、たて糸と若干のよこ糸とからなる繊維集合体などであってもよい。また、たとえば、布状の不織布などを細く切ることにより、若干幅が広くて細長い形状のひも状繊維集合体6を成形する場合であってもよい。
ろ過部材3の組成は、ポリエステル系合成繊維,レーヨンおよびアクリル繊維などの化学繊維から少なくとも一つ選択されるのが好ましい。たとえば、ろ過部材3は、約40重量%のポリエステル系合成繊維と、約40重量%のレーヨンと、約20重量%のアクリル繊維により構成されている。
【0014】
なお、ろ過部材3の素材として、次の高分子化合物を使用してもよい。たとえば、エチルセルロース,酢酸セルロース,ナイロン,ビニロン,アセテート,キュプラ,アクリルニトリル,ポリエチレン,ポリ塩化ビニル,ポリ塩化ビニリデン,ポリ酢酸ビニル,ポリスチレン,ポリテトラフルオロエチレン,ポリテレフタル酸エチレン,ポリトリフルオロエチレン,ポリクロロトリフルオロエチレン,ポリビニルアルコール,ポリプロピレン,ポリメタクリル酸メチルなどが挙げられる。
【0015】
ひも状繊維集合体6は、繊維9同士が絡みあって、繊維9と繊維9との間が細い隙間9aになっている。ひも状繊維集合体6の繊維9と、他のひも状繊維集合体6の繊維9との間も、細い隙間9aになっている。これら繊維間隙間9aが、あたかも微細な管と同じような擬似微細管を構成している。
ろ過部材3にコロニー11が形成されている状態のとき、ひも状繊維集合体6の繊維間隙間9aの水圧は、静水圧よりも低くなっている。しかも、ひも状繊維集合体6の周囲はフロック30により覆われているので、繊維間隙間9aは一種のパイプのようになっている。
その結果、繊維間隙間9aには、ひも状繊維集合体6の長手方向に圧力勾配が生じて、水の流れが誘起される。これにより、被処理水10は、繊維間隙間9aを流れて曝気槽2の外部方向に吸引される。
【0016】
ろ過部材3の周囲に形成されたコロニー11には、多くの微生物(小動物群)が生息している。この微生物としては、バクテリアのほかに、線虫類や鞭毛虫類などの原生動物,かなり高等な糸ミミズなど多種類にわたっている(図5(B)参照)。
これらの微生物(特に、線虫類)は、大食漢で多量のバクテリアなどを食べるので、有機物が分解される。このように、微生物は、被処理水10中の有機物を分解して水を浄化し、また、ひも状繊維集合体6の周囲を覆うコーティングとしての機能も発揮する。
微生物はコロニー11の内部を活発に動き回るので、コロニー11には、水の通り道となる多数の微小な隙間31が常に新たに形成される。この微小な隙間31を水が流れるので、ろ過部材3は目詰まりが起こりにくい。
繊維9の間の隙間9aの寸法(たとえば、内径が約20〜30μm)、微生物の寸法(たとえば、約1〜2μm)、および、コロニー11の内部の微小な隙間31の寸法(たとえば、内径が約1μm以下)などは、顕微鏡写真により確認されている(図6(A),(B))。
【0017】
曝気槽2の上流側には原水槽5が設けられている。原水槽5の上流側には、原水10aのごみを除去するためのスクリーン(図示せず)と、油分を除去するための油水分離槽(図示せず)などが設けられている。
原水10aは、スクリーンによりごみが除去され、油水分離槽により油分が除去された後、原水槽5に貯留される。なお、原水10aにごみや油分が含まれていない場合には、スクリーンと油水分離槽を省略してもよい。
原水槽5に貯留された原水10aは、ポンプ24により計量槽25を通って曝気槽2に移送され、曝気槽2内で被処理水10となる。計量槽25はせき(たとえば、三角せき)26を有している。曝気槽2に流入する原水10aの流量は、バルブの操作により調整可能であり、この流量はせき26で計量される。
曝気槽2には空気供給装置21が設けられている。空気供給装置21は、ブロア22で供給された空気23を、曝気槽2の下部に設けられた攪拌用ノズル29に供給している。空気23は、空気用配管28を通って攪拌用ノズル29から被処理水10中に分散して被処理水10を攪拌する。
ろ過部材3に付着しているフロック30やコロニー11が、壊れたりろ過部材3から離脱しない程度に、空気供給装置21は、攪拌用ノズル29から空気23を排出させている。これにより、被処理水10は、矢印Cに示すように、曝気槽2内でゆっくりと攪拌されるので、汚泥の沈殿が防止される。
【0018】
ろ過手段7の下方には、ろ過部材3を洗浄するための空気23を排出可能な洗浄用ノズル27が設けられている。洗浄用ノズル27は、空気用配管28を介してブロア22と接続されている。
洗浄用ノズル27から排出される空気の気泡23aにより、ろ過手段7のろ過部材3が洗浄される。洗浄用の空気23は、空気用配管28に接続された電動弁32をオン,オフ動作させることにより、洗浄用ノズル27から間欠的に排出される。これにより、ろ過部材3は間欠的に洗浄される。
【0019】
曝気槽2の下流側には放流槽(処理水貯留部)12が配設されている。放流槽12は、ろ過部材3を出てろ過手段7から処理水排出手段4を流れた処理水8を受けて貯留する。
ろ過手段7と放流槽12は、処理水排出手段4の排出用配管33により接続されている。排出用配管33には、処理水計量槽34と、この処理水計量槽34の上流側に位置するコントロール弁35とが接続されている。処理水計量槽34には、せき(たとえば、三角せき)36が設けられており、せき36を流れる流量は流量計37で検出される。
制御部38は、ポンプ24,ブロア22,電動弁32,コントロール弁35にそれぞれ信号を出力して制御する。制御部38は、流量計37から出力される信号に基づいて、コントロール弁35を動作させることにより、所望の流量の処理水8がせき36を流れるように制御している。
ろ過手段7から流出した処理水8は、排出用配管33,コントロール弁35,処理水計量槽34,排出用配管33の順に流れて放流槽12に貯留された後、水処理装置1の外部に放流される。
【0020】
処理水計量槽34のせき36における処理水8の水位Lbは、曝気槽2内の被処理水10の水位Laより下方に位置している。この場合の水位差Hは、処理水8の水位Lbから被処理水10の水位Laまでの高さ寸法(すなわち、H=La−Lb)である。制御部38が、流量計37の検出結果に基づいてコントロール弁35を動作させて処理水8の流量を制御することにより、水位差Hを調整可能になっている。
【0021】
被処理水10は、流れの駆動源(エネルギー源)となる水位差Hに基づく重力による位置のエネルギーと、水の分子間の凝集力とにより自然に流れて、曝気槽2から放流槽12に移動する。
すなわち、ろ過部材3は、繊維間隙間9aにより構成されている擬似微細管を有しているので、曝気槽2内の被処理水10は、ひも状繊維集合体6の長手方向に生じた圧力勾配により擬似微細管内を流れる。
被処理水10に含まれている浮遊固形物30aのうち、擬似微細管の内径より大きい浮遊固形物30aは、擬似微細管を通り抜けることができない。したがって、浮遊固形物30aは、ろ過部材3に付着して除去される。ろ過部材3によるこのろ過は、曝気槽2に貯留されている被処理水10の水中で行われる。
このように、擬似微細管の内径寸法により、除去される浮遊固形物30aの大きさが決まることになる。したがって、被処理水10に含まれる浮遊固形物30aの種類,サイズ,粒度分布などに応じて、最適なろ過部材3の材質や、ひも状繊維集合体6および繊維9のサイズ,密度などの選定を行えばよい。
【0022】
コロニー11内の固形物(すなわち、汚泥)の濃度の範囲は、3重量%〜5重量%であるのが好ましい。
曝気槽2内の被処理水10の水温が低いと微生物の活動が低下するが、被処理水10の水温が所定範囲(好ましくは、18℃〜30℃)であれば、微生物の活動が活発になって良好に水処理が行われる。
そこで、水処理装置1には、被処理水10の水温を所定の範囲に調節するための水温調節手段を設けるのが好ましい。たとえば、曝気槽2の被処理水10中にヒータを設け、このヒータをオン,オフ制御して被処理水10の水温を18℃〜30℃の範囲に調節するのが好ましい。
【0023】
ろ過部材3は、複数のひも状繊維集合体6を平たい束状にするための縫い合わせ部40を有している。縫い合わせ部40では、ひも状繊維集合体6同士を圧縮せずにほぐした状態にしている。したがって、処理水8は、縫い合わせ部40の内部を流れる場合でも、抵抗なく容易に通ることができる。
ひも状繊維集合体6の直径e(図10(B))は、微生物の種類,サイズ,粒度分布などに応じて適宜選定されるものであり、たとえば直径e=約3mm〜約4mmである。
ろ過部材3は、図10(A)に示す平たい形状のものを、図11(A),(B)に示すように、縫い合わせ部40の両方の端部40a,40bを縫い合わせて環状に形成されている。なお、図11(B)では、ひも状繊維集合体6の一部の図示を省略している。
【0024】
環状に形成された縫い合わせ部40の外周面には、環状のバンド45が取付けられている。バンド45は、縫い合わせ部40を環状に保持するとともに、ひも状繊維集合体6がほぐれてしまうのを防止している。
縫い合わせ部40とバンド45を支持部として、一方側のひも状繊維集合体6と他方側のひも状繊維集合体6を、それぞれ半径方向外方に広がるように折り返して使用することになる。
【0025】
ろ過手段7は、集水管50,複数の筒状のホルダ20,複数のろ過部材3および二つの挟持部材51,52を有している。複数のろ過部材3は、複数の隣り合う筒状のホルダ20の間に支持されている。
したがって、多数のろ過部材3を短時間で容易に取付けてろ過手段7を構成し、水処理装置1を容易に製造することができる。また、ホルダ20は、金型により一体的に形成できるので量産が容易である。
ろ過手段7は、その中心軸線CLを縦方向に向けて曝気槽2に設置され、ろ過部材3は、中心軸線CLのまわりにほぼ均等に配置されている。洗浄用ノズル27から空気を吐出して洗浄するときに、ろ過部材3は、片寄りなく全体が均等に且つ効果的に洗浄される。なお、ろ過手段7の中心軸線CLが横方向または斜め方向を向いた場合であってもよい。
【0026】
集水管50は、ステンレス管などの金属製であり、複数の連通孔53が外周面の所定位置に穿設されている。集水管50にはホルダ20が支持されている。ホルダ20は、ポリ塩化ビニル製などの合成樹脂製で円筒形に一体形成されている。なお、処理水8をろ過手段7から流出させることができれば、集水管50に代えて棒状部材でホルダ20を支持してもよい。
複数のホルダ20は、連結手段55により互いに連結された状態で、ろ過部材3用の開口部54を形成している。複数のろ過部材3は、隣り合う上下のホルダ20の間に形成された複数の開口部54を遮蔽(シール)して取付けられている。
挟持部材としての二枚の支持板(上部支持板51と下部支持板52)は、ホルダ20とろ過部材3とを、交互に配置した状態で長手方向両端部側から挟持している。ろ過手段7を組立てる際に、集水管50にホルダ20とろ過部材3を交互に組み込めばよいので、組立てが容易である。
処理水8は、ホルダ20の内部空間Sから連通孔53を通って集水管50の内部を流れた後、ろ過手段7から流出する。
【0027】
ホルダ20は、円筒部60と板状部61とを有して一体的に形成されている。円筒部60は中空円筒状に形成され、連結手段55を有している。板状部61は、円筒部60の内方に一体的に形成されている。
板状部61には、集水管50に係合する係合孔62が中心部に穿設され、また、内部空間S同士を連通させるための一つまたは複数の連通孔63が形成されている。
連結手段55は、複数(ここでは、四つ)の凹部64と、複数(ここでは、四つ)の大径の突起部65と、複数(ここでは、四つ)の小径の突起部66とを有している。四つの凹部64は、円筒部60の一方の端面67に形成され、ホルダ20の中心C0のまわりに90度ずつ離れて均等に配置されている。
【0028】
四つの大径の突起部65は、円筒部60の他方の端面68に一体的に突出形成され、ホルダ20の中心C0のまわりに90度ずつ離れて均等に配置されている。四つの大径の突起部65が、隣り合う他のホルダ20の一方の端面67と当接することにより、開口部54が形成される。
小径の突起部66は、大径の突起部65の先端部から同一方向に突出して一体的に形成されている。小径の突起部66は、隣り合う他のホルダ20の一方の端面67の凹部64に挿入されて、ホルダ20同士を重ね合わせて連結する機能を有している。大径の突起部65と小径の突起部66は、同心の円筒状に形成されているが、同心で四角形,六角形などの多角形であってもよい。
大径の突起部65を設けたので、隣り合うホルダ20の間に開口部54を容易に形成することができる。小径の突起部66を凹部64に挿入することにより、ろ過部材3を支持するための複数のホルダ20同士を互いに連結するようにしている。ホルダ20とろ過部材3とを交互に順次組み込むことにより、ろ過部材3をホルダ20に容易に取付けることができる。
【0029】
下部支持板52には、固定用部材52aが固定されている。固定用部材52aを、ボルト・ナット80でフレーム81に締結固定することにより、ろ過手段7がフレーム81に取付けられる。
集水管50の上端部の外周面には、平行ねじの雄ねじ50aが形成されている。フランジ57には、内周面に雌ねじが形成されたソケット56が固定されている。ソケット56は、集水管50の雄ねじ50aにねじ込み可能になっている。ソケット56と上部支持板51との間は、ゴム製のパッキン58によりシールされている。フランジ57は、排出用配管33のフランジ33aにボルト・ナット33bにより締結固定されている。
【0030】
次に、ろ過手段7を組立てる手順について説明する。
まず初めに、下部支持板52に固定された集水管50を上方に向けて位置決めする。次いで、一番目の環状のろ過部材3を集水管50の上部から嵌め込んで下方に下げる。ろ過部材3を取付けるときは、ひも状繊維集合体6はほぼ放射状になるように広げておくのが好ましい。
次に、一番目のホルダ20を集水管50の上部から嵌め込む。このホルダ20を、下方に移動させてろ過部材3の上に載置する。このとき、突起部65,66が上方を向くようにして、ホルダ20を集水管50に嵌め込む。
二番目のろ過部材3を集水管50の上部から嵌め込んで下方に移動させ、一番目のホルダ20の上に置く。このとき、一番目のホルダ20の突起部66がろ過部材3により隠れないで露出するようにしておく。
【0031】
次に、二番目のホルダ20を、突起部65,66が上方を向くようにして集水管50に嵌め込む。そして、この二番目のホルダ20の下部の凹部64に、その下方の一番目のホルダ20の小径の突起部66を嵌合させる。
こうして連結された一番目のホルダ20と二番目のホルダ20との間に、開口部54が形成される。開口部54に、二番目のろ過部材3の根元部の近傍が、隙間がないように充填され、ひも状繊維集合体6の大部分は、開口部54から外方に延びて広がることになる。
開口部54にはろ過部材3の根元部の近傍が充填されるので、曝気槽2内の被処理水10に対して内部空間Sが遮蔽されることになり、被処理水10のショートパスを防止することができる。
【0032】
その後は、前記手順と同様にして、ろ過部材3とホルダ20を交互に順次、集水管50に嵌め込む。本実施形態では、一つの集水管50に、20個のホルダ20と21個のろ過部材3を嵌め込んだ場合を示している。
最上部にろ過部材3を取付けたのち、上部支持板51を集水管50に嵌め込んで、最上部のろ過部材3を押さえる。なお、最上部のホルダ20の小径の突起部66は予め除去されている。これにより、最上部の開口部54の高さ寸法hが、他の段の開口部54の高さ寸法hと同一になる。
【0033】
次に、パッキン58を集水管50に嵌め込んだ後、ソケット56を集水管50の雄ねじ50aにねじ込む。このとき、当初はろ過部材3が嵩張っているので、ホルダ20同士は密着していない場合が多い。
この状態で、ソケット56を雄ねじ50aにねじ込めば、各ホルダ20の大径の突起部65の上端面65aが、その上のホルダ20の端面67に密着する。また、最上部のホルダ20の大径の突起部65の上端面65aは上部支持板51の下面に当接する。第一番目のろ過部材3は、第一番目のホルダ20と下部支持板52との間に押さえ付けられた状態で装着される。
このようにして、複数のホルダ20とろ過部材3は、交互に配置された状態で長手方向両端部側から上部支持板51と下部支持板52とにより挟持されて位置決めされる。こうして、多数のろ過部材3を短時間で容易に取付けて、ろ過手段7を組み立てることができる。
【0034】
水処理装置1では、互いに平行に配置された複数(ここでは、16個)のろ過手段7と、この複数(16個)のろ過手段7を支持するフレーム81とにより、ろ過部ユニット82が構成されている。複数のろ過手段7をユニット化し、少なくとも一つのろ過部ユニット82が曝気槽2に設置されている。
ろ過部ユニット82は、上下に並んで配置され、上下のろ過手段7同士は直列に接続されている。下方のろ過部ユニット82の下部では、複数の洗浄用ノズル27がフレーム81に取付けられている。洗浄用ノズル27から空気23を間欠的に吐出することにより、ろ過部材3を間欠的に洗浄することができる。
図2に示す上下二つのろ過部ユニット82と洗浄用ノズル27とを組合せた一組のユニット83を、水平方向に四組並べた状態で曝気槽2の内部に設置している。
このように、多数のろ過部材3を有する複数のろ過手段7をフレーム81で支持してユニット化することにより、設置工事が容易になるとともに、水処理の能力や被処理水貯留部の形状などに応じて容易に設計変更することができる。
【0035】
図7は、複数のひも状繊維集合体6のうちの一つのひも状繊維集合体6を例にとって、その経時変化を示している。図7(A)は、運転当初、ひも状繊維集合体6に固形物(コロニー11)が付着していない状態を示している。
この状態のときには、被処理水10の大部分は、ひも状繊維集合体6の根元部で、水位差Hにより、ひも状繊維集合体6の表面から繊維9の間の隙間9aに入る。
繊維間隙間9aに入れないフロック30は、ひも状繊維集合体6の表面にパイプ状に付着する(図7(B))。被処理水10は、ひも状繊維集合体6の長手方向に生じた圧力勾配により繊維間隙間9aを流れていく。
【0036】
時間が経過すると、フロック30が、ひも状繊維集合体6の表面に次第にパイプ状に伸びて付着していく(図7(C))。フロック30は、次第に大きくなって、活性汚泥(付着固形物)からなるコロニー11をやがて形成する(図7(D))。
コロニー11が付着して周囲を囲まれたひも状繊維集合体6は、あたかも複数の繊維間隙間9aで構成された擬似パイプ(または、ハニカム)のような構造をなしている。コロニー11の内部には、ろ過機能を発揮する多数の微小な隙間31が形成されている。
したがって、被処理水10は、水位差Hに基づく重力による位置のエネルギーと、水の分子間の凝集力とにより、擬似パイプ内の隙間を流れることになる。また、被処理水10は、コロニー11の内部の微小な隙間31を水位差Hにより流れる。
こうして定常状態では、被処理水10は、水位差Hにより流れてコロニー11の微小な隙間31に入るところでろ過される。その後、被処理水10は、微小な隙間31を流れたのち繊維9のところに到達し、繊維間隙間9aを圧力勾配により流れていく。やがて、被処理水10は、ろ過部材3を出て処理水8となり、ホルダ20の内部空間Sに流れ込む。
【0037】
ろ過が長時間継続し、コロニー11のサイズが大きくなってろ過の速度が低下すると、ろ過部材3の洗浄が行われる。この場合、間欠的に電動弁32を開いて、ろ過部材3の下方で、洗浄用ノズル27から空気23を被処理水10中に分散して供給する(図7(E))。
すると、上昇する多数の気泡23aによりひも状繊維集合体6が揺すられるので、ひも状繊維集合体6に付着していたコロニー11の一部が脱落する。その結果、コロニー11のサイズが小さくなって、微生物の働きが再び活発化し、ろ過速度が上昇する。
この洗浄中もコロニー11によるろ過は継続されるので、処理水8の流量は低下せず、長時間連続運転することができる。
【0038】
次に、水処理装置1の動作について説明する。
原水槽5内の原水10aは、ポンプ24で曝気槽2に移送され、ここで被処理水10として貯留される。曝気槽2への被処理水10の供給量は、被処理水計量槽25により計量されている。
曝気槽2内の被処理水10の水位Laは、処理水計量槽34の水位Lbより高くなっている。曝気槽2では、ブロア22で被処理水10内に空気23が供給されて、被処理水10は常に攪拌されている。
ろ過手段7を有するろ過部ユニット82は、曝気槽2の内部に設置されており、ろ過部材3は被処理水10に浸された状態になっている。ろ過部材3により、曝気槽2内の被処理水10は処理される。
【0039】
被処理水10は、水位差Hに基づく重力による位置のエネルギーにより流れて、ろ過部材3の表面から繊維9の間の隙間9aに入る。繊維間隙間9aに入れないフロック30は、ひも状繊維集合体6の表面にパイプ状に付着する。水位差Hは、制御部38の指令でコントロール弁35を制御することにより、常に最適の値に維持されている。
被処理水10は、ひも状繊維集合体6の長手方向に生じた圧力勾配により繊維間隙間9aを流れていく。ひも状繊維集合体6の表面にパイプ状に付着したフロック30は、次第に大きくなってコロニー11を形成する。
【0040】
その後、被処理水10は、水位差Hにより流れて、コロニー11の内部の微小な隙間31に入るところでろ過される。次いで、被処理水10は、微小な隙間31を流れたのち繊維間隙間9aを圧力勾配により流れていく。
ろ過部材3から流出した処理水8は、ホルダ20の内部空間Sから連通孔63と連通孔53を通って集水管50内に流入するか、または内部空間Sから直接連通孔53を通って集水管50内に流入する。
次いで、処理水8は、集水管50から流出して、処理水排出手段4により曝気槽2の外部に排出される。処理水8は、排出用配管33,コントロール弁35,処理水計量槽34などを通って放流槽12に流れ込んだのち外部に放流される。
【0041】
水処理装置1の運転中に、ひも状繊維集合体6に付着した活性汚泥によるコロニー11が大きくなり過ぎてろ過速度が低下すると、ろ過部材3を洗浄することになる。
この場合、流量計37で計測している処理水8の流量が所定値より低下すると、その旨の信号が流量計37から制御部38に出力される。制御部38は、この信号に基づいて、洗浄開始の信号を電動弁32に出力する。すると、電動弁32が開いて、空気23が洗浄用ノズル27から噴出する。
ろ過部材3に付着していたコロニー11が、気泡23aに接触して小さくなる。こうして、ろ過部材3の洗浄が完了すると、制御部38から洗浄完了の信号が出力される。この信号により電動弁32が閉じ、洗浄用ノズル27からの空気の噴出が停止する。
洗浄されたろ過部材3により、被処理水10のろ過が継続して行われ、処理水8の流量が増加する。洗浄動作中も、ろ過部材3による水処理は継続して行われている。
このようにして、ろ過部材3を自動的に且つ間欠的に洗浄しているので、水処理装置1を長時間自動的に連続運転することができる。
上述のようにして水処理装置1を運転することにより、被処理水10を処理して清浄な処理水8を得ることができる。
【0042】
従来の水処理技術では、微生物は曝気槽の内部全体を常に浮遊した状態であり、この微生物などからなる浮遊固形物の濃度をそれほど高くすることができず、せいぜい0.3%〜0.5%が濃度の上限であった。
これに対して本発明では、ろ過部材3にコロニー11が形成され、コロニー11内の微小な隙間31を水が流れるようになっている。コロニー11は、微生物が棲み付いている住処でもあるので、微生物(汚泥)の大部分は、槽内で浮遊することなくほぼ同じ位置に留まることができる。
微生物が、コロニー11内でほぼ同じ場所に留まっているので、コロニー11内の汚泥の濃度を従来より著しく高く(たとえば、3〜5重量%に)することができる。
【0043】
コロニー11内には、微生物の餌となる有機物(たとえば、バクテリア)が十分にあり、必要な酸素は微小な隙間31を流れる水により常時新たに供給され、しかも微生物の濃度は従来より著しく高くなっている(たとえば、従来より約10倍)。微生物は、コロニー11内で安定した状態で生息することができるので、生物学的に良好な状態で有機物等が除去される。
こうしてコロニー11内では、微生物が有機物を餌として食べて、汚泥が消費されるので、汚泥の発生量が少なくなる。したがって、産業廃棄物となる汚泥の処理が軽減されるかまたは不要になる可能性が高い。
従来は、水中浮遊微生物が、有機物と直接接触するかまたは生物膜表面で有機物などと接触していた。これに対して、本発明では、コロニー11の内部を水が通過するので、微生物が有機物と直接接触する機会が多くなり、有機物などの除去をよりよい効率で行うことができる。
【0044】
次に、本発明者の行なった実験について説明する。実験条件は下記の通りである。
・図1に示す水処理装置1を使用。
・ろ過部材3の組成:ポリエステル系合成繊維40重量%,レーヨン40重量%,アクリル繊維20重量%
・ろ過部材3の寸法(展開時):約24cm(幅D)×約60cm(長さE)
・ひも状繊維集合体6:直径eが約3mm
・原水:食品工場の排水
・原水の水質:BOD(生物化学的酸素要求量);28〜50mg/L,
COD(化学的酸素要求量);27〜54mg/L,
SS(懸濁物質);4〜50mg/L
・処理水8の流量:平均160ml/min(ろ過部材1枚当たり)
・水位差H:20cm
・実験期間:34日間
【0045】
原水10aを曝気槽2に供給して貯留したのち汚泥を投入し、ろ過部材3がこの汚泥を吸い寄せてコロニー11が形成された状態で、被処理水10の水処理を開始した。
図12は、原水10aと処理水8の水質を示すグラフである。図12(A),(B),(C)は、それぞれBOD,COD,SSの除去に関する実験データを示している。図12の横軸は日数を示し、縦軸は濃度を示している。図12中の符号「■」は原水10aのデータを示し、符号「△」は処理水8のデータを示している。
水処理装置1により被処理水10を処理すれば、図12に示すように、BOD,COD,SSが低減または除去された清浄な処理水8を得ることができる。こうして、清浄な排水(処理水8)を放流することができるので、河川や湖などの水質を改善することができる。
【0046】
ひも状のろ過部材3を使用している本発明では、従来の活性汚泥法や凝集沈殿法などのように汚泥を沈殿させる必要がない。そのため、従来必要であった沈殿槽が不要になり、汚泥を返送する必要もない。したがって、活性汚泥が浮かないようにするための維持管理が不要になり、装置の運転にそれほど注意を払う必要はない。
コロニー11がろ過機能を発揮しているので、ろ過装置を別途設けなくても、固液分離が十分に行われて清浄な処理水8を得ることができ、処理工程も簡素で運転も容易になる。
飲料水を得るための上水場では、従来は、原水に薬品を注入して加圧浮上法などで水処理を行う場合があった。これに対して、本発明では、薬品を使用しないので、ろ過水を飲料水として使用しても安全でランニングコストも低い。
原水のCODを低減するために、従来は活性炭を使用する場合があった。これに対して、本発明では、活性炭を使用せずに簡素な構成で且つ安価にCODを低減することができる。
【0047】
本発明では、既設の被処理水貯留部2に、ろ過部材3が取付けられたユニット83などを増設すれば、水処理装置1を容易に構成することができる。
被処理水10および処理水8の移動は、流れの駆動源(エネルギー源)となる水位差Hに基づく重力による位置のエネルギーと、水の分子間の凝集力とによるものなので、動力は全く使われていない。また、水を循環する必要もない。したがって、従来の水処理技術と比べて、水処理装置1の消費エネルギーを少なくすることができ、騒音もほとんど発生しない。
なお、ろ過部材3の全部を被処理水10に浸す場合を示したが、ろ過部材3の大部分を被処理水10に浸す場合であってもよい。
本発明は、生物の食物連鎖をより促進することにより、産業廃棄物となる汚泥を自然な循環形態に組み入れることができる。また、本発明は、省エネルギーであり、設備の簡素化ができ、使用敷地の大幅な削減ができ、経費を節減することができる。
【0048】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲で種々の変形,付加などが可能である。
なお、各図中同一符号は同一または相当部分を示す。
【0049】
【発明の効果】
本発明は上述のように構成したので、ろ過部材を短時間で容易に取付けて、水処理装置を容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1ないし図12は本発明の実施形態の一例を示す図で、図1は水処理装置の概略構成図である。
【図2】前記水処理装置のろ過部ユニットの概略斜視図である。
【図3】前記ろ過部ユニットのろ過手段の正面図である。
【図4】前記ろ過手段の拡大正面断面図である。
【図5】図5(A)は図4のV−V線平面断面図、図5(B)は図5(A)中のB部拡大図である。
【図6】図6(A)は、微生物の小集団がひも状繊維集合体に付着しはじめた状態の顕微鏡写真に相当する図、図6(B)は、前記微生物の小集団が集まって微生物コロニーが形成されはじめた状態の顕微鏡写真に相当する図である。
【図7】一つのひも状繊維集合体の経時変化を示す概略構成図である。
【図8】前記ろ過手段の分解斜視図である。
【図9】図9(A),(B),(C)は、それぞれ前記ろ過手段のホルダの平面図,正面断面図,底面図である。
【図10】図10(A)は、前記ひも状繊維集合体からなるろ過部材を示す説明図、図10(B)は、前記ひも状繊維集合体の拡大断面図である。
【図11】図11(A),(B)は、図10に示すろ過部材を円形に縫い合わせた状態を示す平面図,正面図である。
【図12】被処理水と処理水の水質を示すグラフである。
【符号の説明】
1 水処理装置
2 曝気槽(被処理水貯留部)
3 ろ過部材
4 処理水排出手段
6 ひも状繊維集合体
7 ろ過手段
8 処理水
9 繊維
9a 繊維の間の隙間
10 被処理水
11 微生物コロニー
20 ホルダ
27 洗浄用ノズル
30 微生物の小集団
31 微小な隙間
50 集水管
51 上部支持板(挟持部材)
52 下部支持板(挟持部材)
53 連通孔
54 開口部
55 連結手段
60 円筒部
61 板状部
62 係合孔
63 連通孔
64 凹部
65 大径の突起部
66 小径の突起部
67 一方の端面
68 他方の端面
81 フレーム
82 ろ過部ユニット
CL 中心軸線
H 水位差
S 内部空間

Claims (7)

  1. 被処理水が貯留される被処理水貯留部と、
    複数のひも状繊維集合体の集合により構成された複数のろ過部材を複数の隣り合う筒状のホルダの間に支持して、前記被処理水貯留部に設けられたろ過手段と、
    このろ過手段から流出する処理水を排出させるための処理水排出手段とを備え、
    前記ろ過部材を前記被処理水に浸して、ろ過機能を発揮する微生物コロニーを形成し、
    前記被処理水は、水位差により流れて前記微生物コロニーの内部の微小な隙間に入るところでろ過された後、この微小な隙間を流れ、次いで、前記ひも状繊維集合体の長手方向に生じた圧力勾配により前記ひも状繊維集合体の繊維の間の隙間を流れていき、
    前記ろ過部材を出て前記ホルダの内部空間に流入した前記処理水は、前記ろ過手段から流出して前記処理水排出手段により前記被処理水貯留部の外部に排出されるようにしたことを特徴とするひも状繊維集合体を使用した水処理装置。
  2. 被処理水が貯留される被処理水貯留部と、
    複数のひも状繊維集合体の集合により構成された複数のろ過部材を複数の隣り合う筒状のホルダの間に支持して前記被処理水貯留部に設けられたろ過手段と、このろ過手段から流出する処理水を排出させるための処理水排出手段とを備え、
    前記ろ過部材を前記被処理水に浸した状態で、前記被処理水は、水位差により前記ろ過部材の表面から繊維の間の隙間に入ることにより、この繊維間隙間に入れない微生物の小集団は前記ひも状繊維集合体の表面にパイプ状に付着し、前記被処理水は、前記ひも状繊維集合体の長手方向に生じた圧力勾配により前記繊維間隙間を流れていき、前記ひも状繊維集合体の表面にパイプ状に付着した前記微生物の小集団は次第に大きくなって、内部に微小な隙間を有してろ過機能を発揮する微生物コロニーが形成され、
    前記被処理水は、前記水位差により流れてこの微生物コロニーの内部の前記微小な隙間に入るところでろ過された後、この微小な隙間を流れ、次いで前記繊維間隙間を前記圧力勾配により流れていき、
    前記ろ過部材を出て前記ホルダの内部空間に流入した前記処理水は、前記ろ過手段から流出して前記処理水排出手段により前記被処理水貯留部の外部に排出されるようにしたことを特徴とするひも状繊維集合体を使用した水処理装置。
  3. 前記ろ過手段は、
    複数の連通孔が外周面の所定位置に穿設された集水管と、
    この集水管に支持され、前記ろ過部材用の開口部を形成した状態で連結手段により互いに連結される複数の筒状の前記ホルダと、
    隣り合うこのホルダの間に形成された複数の前記開口部を遮蔽してこの開口部に取付けられた複数の前記ろ過部材と、
    前記ホルダと前記ろ過部材とを交互に配置した状態で長手方向両端部側から挟持する二つの挟持部材とを有し、
    前記処理水は、前記ホルダの前記内部空間から前記連通孔を通って前記集水管の内部を流れた後、前記ろ過手段から流出することを特徴とする請求項1または2に記載のひも状繊維集合体を使用した水処理装置。
  4. 前記ホルダは、
    前記連結手段が形成された中空円筒状の円筒部と、
    この円筒部の内方に一体的に形成され、前記集水管に係合する係合孔が穿設され、前記内部空間同士を連通させるための連通孔が形成された板状部とを有し、
    前記連結手段は、
    前記円筒部の一方の端面に形成された複数の凹部と、
    前記円筒部の他方の端面に一体的に突出形成され、隣り合う他の前記ホルダの前記一方の端面と当接して前記開口部を形成するための複数の大径の突起部と、この大径の突起部の先端部に一体的に突出形成され、隣り合う前記他のホルダの前記一方の端面の前記凹部に挿入されて前記ホルダ同士を連結するための複数の小径の突起部とを有していることを特徴とする請求項3に記載のひも状繊維集合体を使用した水処理装置。
  5. 互いに平行に配置された複数の前記ろ過手段と、この複数のろ過手段を支持するフレームとによりろ過部ユニットが構成され、
    少なくとも一つの前記ろ過部ユニットを前記被処理水貯留部に設置したことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかの項に記載のひも状繊維集合体を使用した水処理装置。
  6. 前記ろ過部ユニットの下部には、前記ろ過部材を洗浄するための空気を排出可能な洗浄用ノズルが設けられていることを特徴とする請求項5に記載のひも状繊維集合体を使用した水処理装置。
  7. 前記ろ過手段の中心軸線は、縦方向を向いていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかの項に記載のひも状繊維集合体を使用した水処理装置。
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