JP2004209367A - 沈殿物回収移送装置及び下水処理システム - Google Patents

沈殿物回収移送装置及び下水処理システム Download PDF

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Abstract

【課題】設備負荷を軽減し、効率的に沈殿物(例えば、沈殿池の汚泥等)を排出できるようにした沈殿物回収移送装置を提供する。
【解決手段】貯留池の底に半割形状の固定パイプ11を埋め込むことで、上面が開口した断面半円形の沈殿物回収溝10を設ける。回収溝10の内部に回転パイプ12を回転自在に配設する。回転パイプ12は、回収溝10の上面開口部を開閉可能で、開位置にあるとき回収溝10の内周壁に沿った状態に保持され、且つ、閉位置にあるとき回収溝10と共に断面円形の閉空間13を形成する半円筒部12aを備える。回転パイプ12を閉位置に移動した状態で、閉空間13内に閉じ込められた沈殿物Fを液体と共に外部に排出する。沈殿物Fの排出は、排出管の排出口の高さと貯留池の水位との水頭差を利用したサイフォンの原理とエアリフトの原理を利用して行う。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、水処理施設に使用される沈殿物回収移送装置、及び、同装置を使用した下水処理システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、沈殿池に汚泥やスラッジ等の沈殿物が堆積すると、水路が狭められて流速が増し、フロックの破壊等を生じて沈殿効率が低下する。そこで、一般にこれを防止するために、沈殿池には機械的な汚泥掻き寄せ機を主体とする排泥装置が備えられ、池底に沈降堆積した汚泥を排泥ピットに寄せ集めて、排泥管の開閉により汚泥を排出するようにしている(例えば、特許文献1、2、3参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−239107号公報
【特許文献2】
特開2000−342906号公報
【特許文献3】
特開2000−288311号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、これら従来の排泥装置は、堆積汚泥の排出効率を高めるため、排泥ピットや掻き寄せ機などの大がかりな設備が必須であり、設備コストが嵩む問題があった。
【0005】
本発明は、上記事情を考慮し、設備負荷を軽減し、効率的に沈殿物(例えば、沈殿池の汚泥等)を排出できるようにした沈殿物回収移送装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明の沈殿物回収移送装置は、貯留池の底に上面が開口した断面半円形の沈殿物回収溝を設け、この沈殿物回収溝の内部に、該回収溝の上面開口部を開閉可能であり、開位置にあるとき回収溝の内周壁に沿った状態に保持され、且つ、閉位置にあるとき回収溝と共に断面円形の閉空間を形成する半円筒部を備えた回転パイプを周方向スライド自在に配設し、更に、回転パイプを開位置と閉位置との間で回転駆動するパイプ駆動機構と、回転パイプを閉位置に移動した状態で前記閉空間内に閉じ込められた沈殿物を液体と共に外部に排出する排出機構とを設けたことを特徴とする。
【0007】
貯留池内の原水を静置すると、沈殿物(汚泥等)が池底に沈降する。貯留池の底には、開口部を上方に向けた沈殿物回収溝が設けられており、回転パイプの半円筒部を回収溝の内周壁に沿った開位置に保持し、回収溝の上面開口部を開いていると、沈殿物が回収溝内に入り堆積する。一定以上の堆積が進んだ段階で、回転パイプを閉位置まで略半回転すると、回転パイプの半円筒部が回収溝の上面開口部を閉鎖し、回収溝と回転パイプの半円筒部により形成される閉空間内に沈殿物が閉じ込められる。この状態で排出機構を作動させると、前記閉空間に閉じ込められた沈殿物が外部に移送される。従って、掻き寄せ手段や汚泥ピットなどの設備が不要になり、設備コストを低減することができる。
【0008】
請求項2の発明の沈殿物回収移送装置は、請求項1において、前記上面が開口した断面半円形の沈殿物回収溝を、貯留池の池底に埋め込んだ半割パイプで構成したことを特徴とする。
【0009】
前記沈殿物回収溝は、貯留池の底壁を構成するコンクリート面でそのまま形成することもできるが、請求項2の発明では、沈殿物回収溝を、貯留池の池底に埋め込んだ半割パイプで構成している。このように半割パイプを池底に埋めた場合、断面半円形の沈殿物回収溝を簡単に構成することができるので、設備コストを更に低減できる。また、既成の半割パイプの内周面はコンクリート面よりも平滑にできているので、回転パイプを円滑に回転させることができる。なお、半割パイプとしては、鋼管を加工したものを利用するのがコスト面からは好ましいが、他の金属パイプを加工したものを利用してもよいし、樹脂等の他材料のパイプを加工したものを利用してもよい。
【0010】
請求項3の発明の沈殿物回収移送装置は、請求項1または2において、前記回転パイプの外周に、回収溝内で回転パイプを回転させたときに回転パイプと回収溝の隙間に溜まった沈殿物を掻き取るトラフスクレーパを設けたことを特徴とする。
【0011】
前記回転パイプの外周面と回収溝の内周面との間には、回転パイプが回転する上で必要な隙間があいているが、ここに沈殿物が残留すると、回転パイプの回転動作に支障を来す可能性がある。そこで、請求項3の発明では、回転パイプの外周にトラフスクレーパを設け、回収溝内で回転パイプを回転させたときにその隙間に溜まった沈殿物を掻き取るようにしている。こうすることで、回転パイプと回収溝の隙間への沈殿物の残留を防止することができ、回転パイプの円滑駆動を確保することができる。
【0012】
請求項4の発明の沈殿物回収移送装置は、請求項1〜3のいずれかにおいて、前記排出機構が、前記回収溝の端部に接続され且つ排出口の高さ位置が前記貯留池の予定貯留水水位よりも低い位置に設定された排出管と、該排出管を開閉する弁と、からなることを特徴とする。
【0013】
請求項4の発明では、沈殿物の揚送にサイフォンの原理を利用することができる。即ち、回収溝の上への沈殿物の堆積を待つ間は排出管の弁を閉じておき、堆積した沈殿物を排出するために回転パイプを回転させてその半円筒部で回収溝の上面開口部を閉鎖した段階で、排出管の弁を開く。そうすると、排出管の排出口が貯留池の水位より低い位置にあるから、サイフォンの原理により、回収溝と回転パイプの半円筒部とで形成される閉空間内に閉じ込められた沈殿物が、液体と共に移送されて排出口から排出される。従って、移送のための特別な動力を用いることなく、弁を操作するだけで、サイフォンの原理により沈殿物を移送することができる。
【0014】
請求項5の発明の沈殿物回収移送装置は、請求項1〜3のいずれかにおいて、前記排出機構が、前記回収溝に接続された排出管と、該排出管を開閉する弁と、前記排出管内の沈殿物を揚送するエアリフトポンプと、からなることを特徴とする。
【0015】
請求項5の発明では、エアを排出管内に噴出させることにより、エアリフトの原理で排出管内の沈殿物を効率良く揚送することができる。
【0016】
請求項6の発明は、請求項5記載の沈殿物回収移送装置を利用した下水処理システムであって、前記貯留池が沈殿池であり、前記エアリフトポンプで利用するエアとして、活性汚泥槽に送り込むエアから分岐したものを利用することを特徴とする。
【0017】
請求項6の発明では、活性汚泥処理に使用するエアレーション用のエアの一部を利用して、排出管内の沈殿物(汚泥)をエアリフトするため、沈殿物の移送のための付帯設備を軽減することができ、効率的な処理が可能となる。
【0018】
請求項7の発明は、請求項6において、前記沈殿池が最終沈殿池であり、前記エアリフトポンプによって揚送する汚泥を活性汚泥槽に送り込むことを特徴とする。
【0019】
請求項7の発明では、最終沈殿池の沈降汚泥を、エアレーション用のエアの一部を利用してエアリフトしながら活性汚泥槽に送り込むので、より効率的な処理が可能となる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は実施形態の沈殿物回収移送装置の要部構成図、図2は同沈殿物回収移送装置を装備した貯留池の全体構成を示す断面図、図3は同貯留池の底部に装備した固定パイプ及び回転パイプの構成を拡大して示す断面図、図4は固定パイプ及び回転パイプを取り出して示す斜視図、図5は図2のV−V矢視断面図、図6は図3のVI−VI矢視断面図である。
【0021】
図2に示す貯留池1は下水処理システムにおける沈殿池であり、原水は、図2の左側から流入して右側から出ていく。この貯留池1の池底1aには、上面が開口した断面半円形の沈殿物回収溝10を構成する半割形状の固定パイプ11が埋め込まれている。固定パイプ11は、原水の流れ方向に対して平行に互いに所定間隔をおいて複数設置されている。各固定パイプ11は、図4に示すように、長手方向中央部の大半が上面の開放した半円筒部11aとして構成されており、両端部だけが全周円筒部11bとして構成されている。なお、全周円筒部11bについても、先にパイプを半割にしておき、後から上側の半円筒部分を下側の半円筒部分に組み付けて構成してもよい。
【0022】
図1に示すように、沈殿物回収溝10を構成する半割形状の固定パイプ11は、池底1aを構成する両側傾斜壁1b、1bの底部に埋め込まれており、沈降堆積した沈殿物Fが全て沈殿物回収溝10に集まるようになっている。このように半割形状の固定パイプ11を池底1aのコンクリート底壁に埋め込んだ場合、断面半円形の沈殿物回収溝10を簡単に池底1aに構成することができるので、設備コストを低減できる利点がある。また、既成製品の固定パイプ11の内周面はコンクリート面よりも平滑にできているので、後述する回転パイプ12を円滑に回転させることができるという利点が得られる。なお、固定パイプ11としては、例えば鋼管を加工したものを利用するのがコスト面からは好ましいが、他の金属パイプを加工したものを利用してもよいし、樹脂等の他材料のパイプを加工したものを利用してもよい。
【0023】
半割形状の固定パイプ11で構成される沈殿物回収溝10の内部には、図1の矢印Aで示す周方向に回転スライド自在に回転パイプ12が配設されている。この回転パイプ12は、図4に示すように、固定パイプ11の半円筒部11aの上面開口部を開閉可能な半円筒部12aと、パイプ状の形態を保持するための全周円筒部12bとを有している。全周円筒部12bは、図1、図3に示す軸受機構15A、15B、15Cによって回転支持される部分であり、長手方向の両端と、両端間の適当な間隔をおいた数箇所に設けられ、全周円筒部12b以外の部分が半円筒部12aとなっている。
【0024】
軸受機構15A、15B、15Cは、図3、図6に示すように、軸受ハウジング16A、16B、16Cと、各軸受ハウジング16A、16B、16Cに装備されることで回転パイプ12を回転自在に支持する軸受17A、17B、17Cとからなる。軸受17A、17B、17Cとしては、例えば、ライニング材などの滑り軸受を利用することができる。
【0025】
回転パイプ12は、その回転位置によって、半円筒部12aにより沈殿物回収溝10の上面開口部を開閉する機能を果たす。図1(a)に示す開位置にあるときには、回収溝10の内周壁に沿った状態に保持され、沈殿物Fが集積できるようになる。また、図1(b)に示す閉位置にあるときには、回収溝10と共に断面円形の閉空間13を形成する。
【0026】
図2に示すように、回転パイプ12の長手方向の一端側(原水の流れ方向の上流側)には、回転パイプ12を開位置と閉位置との間で回転駆動するためのパイプ駆動機構20が設けられている。パイプ駆動機構20は、図5に示すように、貯留池1の上部に設けられたモータ21と、モータ21の回転を伝達する伝達軸22と、伝達軸22の回転を回転パイプ12の回転運動に変換するウォームピニオン23及びウォームホイール24とからなる。なお、ウォームピニオン23及びウォームホイール24は、回転パイプ12の一端を支持する軸受機構15Aのハウジング16Aなどに装備されている。
【0027】
また、図2に示すように、固定パイプ11の一端部(原水の流れ方向の上流側の端部)には、汚泥排出機構30が接続されている。汚泥排出機構30は、回転パイプ12を閉位置に移動した状態で回転パイプ12及び固定パイプ11で形成される閉空間13内に閉じ込められた沈殿物(汚泥)F〔図1(b)参照〕を液体と共に外部に排出するもので、水平排出管31及び垂直排出管33と、水平排出管31に介在された開閉弁32とで構成されている。この場合、垂直排出管33の上端排出口34は、その高さ位置H2が、貯留池1の予定貯留水水位H1よりも所定量Hだけ低い位置に設定されており、サイフォンの原理でパイプ11、12内の沈殿物を排出口34まで移送できるようになっている。なお、排出口34は排泥槽37内に開口している。
【0028】
この場合、垂直排出管33の下部には、エアリフトポンプを構成するエアARの噴出口36が設けられており、この噴出口36からエアARを噴出することにより、排出管33内の沈殿物を揚送できるようになっている。
【0029】
また、固定パイプ11の他端開口部(原水の流れ方向の下流側の端部開口)には、流量調整用のゲートバルブ41が設けられている。このゲートバルブ41は、貯留池1の上部からスピンドル42を操作することで制御できるようになっている。
【0030】
次に作用を説明する。
貯留池1内の原水を静置すると、沈殿物(汚泥等)Fが池底1aに沈降する。貯留池1の池底1aには、開口部を上方に向けた沈殿物回収溝10が設けられており、図1(a)に示すように、回転パイプ12の半円筒部12aを回収溝10の内周壁に沿った開位置に保持し、回収溝10の上面開口部を開いていると、沈殿物Fが回収溝10内に入り堆積する。このときは、排出機構30の開閉板32は閉じておく。
【0031】
一定以上の堆積が進んだ段階で、回転パイプ12を図1(b)に示す閉位置まで略半回転すると、回転パイプ12の半円筒部12aが回収溝10の上面開口部を閉鎖し、回収溝10と回転パイプ12の半円筒部12aにより形成される閉空間13内に沈殿物Fが閉じ込められる。
【0032】
この状態で開閉弁32を開くと、閉空間13に閉じ込められた沈殿物Fがサイフォンの原理を利用して外部に移送される。即ち、堆積した沈殿物Fを排出するために回転パイプ12を回転させてその半円筒部12aで回収溝10の上面開口部を閉鎖した段階で、排出管31の開閉弁32を開く。すると、垂直排出管33の排出口34が貯留池1の水位より低い位置にあるから、サイフォンの原理により、回収溝10と回転パイプ12の半円筒部12aとで形成される閉空間13内に閉じ込められた沈殿物Fが、ゲートバルブ41側の開口から流入する液体と共に移送されて排出口34から排泥槽37内に排出される。従って、移送のための特別な動力を用いることなく、開閉弁32を操作するだけで、サイフォンの原理により沈殿物(汚泥)Fを移送することができる。
【0033】
また、この移送の際に、エアARを垂直排出管33の下部に設けた噴出口34から噴出させることにより、エアリフトの原理で、排出管31、33内の沈殿物を効率良く揚送することができる。
【0034】
このように貯留池1の池底1aに固定パイプ11と回転パイプ12を配設し、更に、回転パイプ12を回転させる駆動機構20と、サイフォン及びエアリフトの原理を利用した排出機構30を設けるだけで、効率良く沈降堆積汚泥を排出できるようにしたので、従来のように機械式で複雑な構造の掻き寄せ手段や汚泥ピットなどの設備を設ける必要がなく、設備コストを低減することができる。
【0035】
図7は前記沈殿物回収移送装置を適用した下水処理システムの概略構成を示す図である。
この下水処理システムは、原水121が流入する沈砂池101と、沈砂池101を通過した原水が順次流入する最初沈殿池102、エアレーションタンク(活性汚泥槽)103、最終沈殿池104と、処理水を消毒する消毒タンク105と、最初沈殿池102からの生汚泥125及び最終沈殿池104からの余剰汚泥127を処理する汚泥処理設備106とを有しており、最終沈殿池104の排泥手段112として前記沈殿物回収移送装置を利用している。
【0036】
この場合、沈殿物回収移送装置(排泥手段112)のエアリフトポンプで利用するエアARとして、エアレーションタンク(活性汚泥槽)103に送り込むエアから分岐したエアARを利用している。また、最終沈殿池104のエアリフトポンプによって揚送した汚泥のうち、返送汚泥をエアレーションタンク(活性汚泥槽)103に移送するようにしている。
【0037】
このようにエアレーション用のエアの一部を利用して最終沈殿池104の汚泥を移送するようにした場合、汚泥移送のための付帯設備を軽減することができ、効率的な処理が可能となる。
【0038】
なお、最初沈殿池102の排泥手段110として前記沈殿物回収移送装置を利用してもよいし、その場合のエアリフト用のエアとして、エアレーション用のエアの一部を利用してもよい。
【0039】
また、他の貯留池に本発明の沈殿物回収移送装置を適用することも可能であり、下水処理システム以外の施設に本発明の沈殿物回収移送装置を適用することもできる。
【0040】
また、上記実施形態では、半割形状のパイプ(固定パイプ11)を池底1aのコンクリート壁に埋め込むことで沈殿物回収溝10を構成した場合について述べたが、図8に示すように、貯留池の底壁を構成するコンクリート面でそのまま沈殿物回収溝81を形成することもできる。
【0041】
また、図8に示すように、回転パイプ82の外周に、回収溝81内で回転パイプ82を回転させたときに回転パイプ82と回収溝81の隙間Sに溜まった沈殿物を掻き取るトラフスクレーパ85を設けてもよい。こうした場合、回収溝81内で回転パイプ82を回転させたときにその隙間Sに溜まった沈殿物を掻き取ることができるので、回転パイプ82と回収溝81の隙間Sへの沈殿物の残留を防止することができ、回転パイプ82の円滑駆動を確保することができる。
【0042】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1〜5の発明の沈殿物回収移送装置によれば、貯留池の底に断面半円形の沈殿物回収溝を設け、この沈殿物回収溝の内部に、回収溝の上面開口部を開閉する半円筒部を備えた回転パイプを配設し、更に、回転パイプを駆動するパイプ駆動機構と、回収溝内の沈殿物を液体と共に排出する排出機構とを設けた構成としているので、簡単な構造で効率良く沈殿物を排出することができる。従って、従来のように機械式で複雑な構造の掻き寄せ手段や汚泥ピットなどの設備を設ける必要がなく、設備コストを低減することができる。
【0043】
特に、請求項4の発明によれば、サイフォンの原理を利用して沈殿物を排出するようにしたので、沈殿物移送のために特別な動力を必要とせず、効率良く沈殿物の排出を行うことができる。また、請求項5の発明によれば、エアリフトの原理で沈殿物を揚送するようにしたので、エアを準備するだけで高効率の沈殿物移送が可能となる。
【0044】
また、請求項6、7の発明の下水処理システムによれば、活性汚泥処理に使用するエアレーション用のエアの一部を利用して沈殿池内の沈殿物(汚泥)をエアリフトするため、沈殿物の移送のための付帯設備を軽減することができ、効率的な処理が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の要部構成図で、(a)は半割形状の固定パイプ11の上面を開放した状態、(b)は閉鎖した状態をそれぞれ示す図であり、上側の図は斜視図、下側の図は断面図である。
【図2】本発明の実施形態の沈殿物回収移送装置を設備した貯留池の全体構成を示す断面図である。
【図3】同貯留池の底部に装備した固定パイプ11及び回転パイプ12の構成を拡大して示す断面図である。
【図4】図3の固定パイプ11及び回転パイプ12を取り出して示す斜視図である。
【図5】図2のV−V矢視断面図である。
【図6】図3のVI−VI矢視断面図である。
【図7】本発明の実施形態の下水処理システムの構成を示すブロック図である。
【図8】本発明の他の実施形態の構成図で、(a)は回収溝81の上面を開放した状態、(b)は回転パイプ82を回転して閉鎖した状態を示す図である。
【符号の説明】
1 貯留池
1a 池底
10 沈殿物回収溝
11 固定パイプ
11a 半円筒部
12 回転パイプ
12a 半円筒部
13 閉空間
20 パイプ駆動機構
30 排出機構
31 水平排出管
32 開閉弁
33 垂直排出管
34 排出口
36 エア噴出口
81 沈殿物回収溝
82 回転パイプ
102 最初沈殿池(貯留池)
103 エアレーションタンク(活性汚泥槽)
104 最終沈殿池(貯留池)
F 沈殿物
AR エア
S 隙間

Claims (7)

  1. 貯留池の底に上面が開口した断面半円形の沈殿物回収溝を設け、この沈殿物回収溝の内部に、該回収溝の上面開口部を開閉可能であり、開位置にあるとき前記回収溝の内周壁に沿った状態に保持され、且つ、閉位置にあるとき前記回収溝と共に断面円形の閉空間を形成する半円筒部を備えた回転パイプを周方向スライド自在に配設し、更に、前記回転パイプを前記開位置と閉位置との間で回転駆動するパイプ駆動機構と、前記回転パイプを閉位置に移動した状態で前記閉空間内に閉じ込められた沈殿物を液体と共に外部に排出する排出機構とを設けたことを特徴とする沈殿物回収移送装置。
  2. 前記上面が開口した断面半円形の沈殿物回収溝を、貯留池の池底に埋め込んだ半割パイプで構成したことを特徴とする請求項1記載の沈殿物回収移送装置。
  3. 前記回転パイプの外周に、回収溝内で回転パイプを回転させたときに回転パイプと回収溝の隙間に溜まった沈殿物を掻き取るトラフスクレーパを設けたことを特徴とする請求項1または2記載の沈殿物回収移送装置。
  4. 前記排出機構が、前記回収溝の端部に接続され且つ排出口の高さ位置が前記貯留池の予定貯留水水位よりも低い位置に設定された排出管と、該排出管を開閉する弁と、からなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の沈殿物回収移送装置。
  5. 前記排出機構が、前記回収溝に接続された排出管と、該排出管を開閉する弁と、前記排出管内の沈殿物を揚送するエアリフトポンプと、からなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の沈殿物回収移送装置。
  6. 請求項5記載の沈殿物回収移送装置を利用した下水処理システムであって、前記貯留池が沈殿池であり、前記エアリフトポンプで利用するエアとして、活性汚泥槽に送り込むエアから分岐したものを利用することを特徴とする下水処理システム。
  7. 前記沈殿池が最終沈殿池であり、前記エアリフトポンプによって揚送する汚泥を活性汚泥槽に送り込むことを特徴とする請求項6記載の下水処理システム。
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