JP2004209066A - 検査装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】MR信号を計測するパルスシーケンスの実行中に超音波画像をリアルタイム計測して超音波画像の表示ができる検査装置を提供する。
【解決手段】時間区間(1)で、スライス傾斜磁場4−1と同時にRFパルス1を照射して、スライス断面の原子核を励起する。区間(2)で、ディフェーズ用傾斜磁場Gs、エンコード傾斜磁場2−1、3−1を印加する。区間(3)で、リードアウト傾斜磁場3−2を印加して、MR信号6を計測する。区間(4)で、ディフェーズ用傾斜磁場Gs、Gp、3−3を印加する。以下、エンコード傾斜磁場2−1の印加量を変化させ、パルスシーケンスを時間TRで複数回繰返す。超音波の送受信(T/R)は、区間(2)9−1及び区間(4)9−2で行なう。超音波画像を得るための1スキャンが96ラインで構成され、MR画像を得るに要するパルスシーケンスの繰返し回数を128回とすると、ほぼリアルタイムに超音波撮影ができる。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、超音波及び核磁気共鳴を用いた検査装置に係わり、超音波の送信、又は、超音波の送信及び受信を行なう超音波装置の駆動シーケンスと、MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置の駆動シーケンスとを、並行して実行可能な検査装置に係わる。
【0002】
【従来の技術】
医療コスト低減に最も効果的な方法は入院期間を短縮することである。内視鏡下での手術、超音波加熱凝固治療等の低侵襲手術の普及により、入院期間の劇的な短縮が期待されている。
【0003】
図11の斜視図により示すような、広い開口部をもつオープン型MRI装置は、開口部を通して多方向から患者にアクセスでき、かつ、放射線被曝の問題がないことから、低侵襲手術の実現のための最有力機器と目され、インターベンショナルMRI装置(術中MRI装置)の実用化が期待されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
一方、超音波装置は、リアルタイム性に優れ、装置が簡便であるという特徴を有しているため、最近では超音波装置による診断のみならず、超音波装置による超音波加熱療法や音響化学療法といった非観血的治療技術への応用が進んでいる。
【0005】
超音波装置とMRI装置の機能は相補的なものであることから、ユーザー(医師)からは超音波装置/MRI装置の同時使用の要望が高まっている。オープン型MRI装置は開放度が高いことから、超音波診断装置又は超音波治療装置の超音波探触子、手術道具等をマグネット内部に容易に持ち込むことが可能である。しかし、マグネット内部に持ち込む超音波装置又は超音波治療装置の超音波探触子、手術道具等が磁性体を含む物質から構成される場合、マグネット内部の静磁場の均一性を乱すため、MRIに於ける画像に著しい影響を与える。
【0006】
これに対し、MRI装置による画像を劣化させない超音波装置を実現するために、超音波探触子のバッキング材及び音響整合層を非磁性かつ絶縁材料で構成する方法が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0007】
この特許文献2の方法を用いれば、MRI装置に於ける一連のパルスシーケンスの終了の後に時間を十分おいて、超音波装置による撮影を実行すれば、互いに干渉無く撮影できる。すなわち、MR画像の取得と、超音波画像の取得を交互に行うことができる。しかしながら、一般に、超音波の1画像の取得にかかる撮影時間は数十ミリ秒程度であるのに対して、1枚のMR画像の取得にかかる撮影時間は1秒程度は必要であり、MR画像の取得時間は、超音波画像の取得時間に対して長い。MR画像の取得時間の間は、超音波装置による撮影は中断されてしまうため、超音波装置は、リアルタイム性は損なわれる。
【0008】
また、スピン共鳴信号計測用アンテナの生体内部での位置を超音波画像から決定する方法が知られている(例えば、特許文献3参照)。
【0009】
この特許文献3の方法は、MRIについて画像を取得するのではなく、スピン共鳴信号を計測することを対象としている。磁気共鳴信号を利用して画像を取得する場合、その画像再構成には、傾斜磁場の印加状態を変化させて得た共鳴信号が、画像の画素の個数以上必要であるが、特許文献3では、共鳴信号の計測のみを目的としているため、特定の検出領域からの共鳴信号計測は1回の計測で良い。
【0010】
特許文献3においても、スピン共鳴信号計測装置と超音波装置の、互いの干渉を回避するため、スピン共鳴信号を計測するための一連の動作(高周波磁場の印加や、傾斜磁場スイッチングや、信号の計測)を行う時間と、超音波装置が動作する時間を、分けて交互に行うタイミングが開示されている。具体的には、高周波磁場によりスピンを励起し、スピン信号を計測した後、再びスピンが元の状態に戻るのに要する時間、すなわち、待ち時間の間のみ超音波撮像を行うタイミングが開示されている。スピン信号を計測する際の待ち時間は通常1秒から2秒程度であるのに対して、スピン共鳴信号を計測するための一連の動作(高周波磁場の印加や、傾斜磁場スイッチングや、信号の計測)を行う時間は長くても0.2秒程度である。スピン信号を計測する際の待ち時間を1秒とし、超音波の1画像の取得にかかる撮影時間を25ミリ秒とすると、待ち時間の間に超音波を40スキャン取得でき、その間にスピン共鳴信号計測用アンテナの生体内部での位置を知ることができる。
【0011】
特許文献3に記載の方法は、特定の検出領域からのスピン共鳴信号を計測する際は有効であるが、MR画像を取得する際は待ち時間の間に超音波画像を取得することは現実的でない。待ち時間の定義を、磁気共鳴信号を計測するための一連の動作(高周波磁場の印加や、傾斜磁場スイッチングや、信号の計測)を行っていない時間とすると、近年のMRI装置では、撮影全体に必要な時間を少なくする目的で、待ち時間を極力少なくするようにパルスシーケンスが設定されているためである。例えば、近年注目されている待ち時間が全く存在しないMRIの高速撮影法としては、3軸補償のSteady−State−Free−Precessionシーケンス(BASGシーケンス)がある。また、従来から臨床に用いられているスピンエコー(SE)シーケンス、グラディエントエコー(GRE)シーケンス、グラディエントエコーシーケンスとスピンエコーシーケンスを組合わせたGRASEシーケンス等においても、マルチスライス撮影法と併用するなど、待ち時間を極力少なくするようにパルスシーケンスが工夫されている。
【0012】
【特許文献1】
特開平10−57344号公報
【特許文献2】
特開2002−136514号公報
【特許文献3】
特開平7−184876号公報
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、特許文献3に記載の方法は、特定の検出領域からのスピン共鳴信号を計測する際は有効であるが、MR画像を取得する際は待ち時間の間に超音波画像を取得することは現実的でない。特に近年注目されているBASGシーケンスには待ち時間が存在しないため全く適用できない。
【0014】
また、特許文献2に記載の方法では、超音波の送信(照射)、又は、超音波の送信及び受信を行なう超音波装置の駆動シーケンスと、MRI装置の駆動シーケンスとを、並行して同時に実行する場合、即ち、超音波装置及びMRI装置による撮影とをほぼリアルタイムで行なう場合、超音波装置とMRI装置との干渉により、MRIに於ける画像(MR画像)及び超音波画像は、共に劣化するという課題がある。超音波を照射(送信)中に、核磁気共鳴信号(MR信号)を受信するとMR画像にスパイク状のノイズが混入するという課題がある。
【0015】
また、超音波信号の受信中にMRI装置によりRFパルスを照射すると超音波画像にノイズが混入するという課題がある。更に、MRI装置による撮影の期間中に、超音波探触子のケーブルの信号線又はグランド線が、MRI装置と切り離されていないと、MR画像のSN比が劣化するという課題がある。MRI装置による撮影と超音波装置による撮影をほぼリアルタイムで行なう場合に、双方の装置による画像の劣化を防ぐことが大きな課題である。
【0016】
本発明の目的は、上記の課題を解決し、MRI装置によりMR画像を得るための核磁気共鳴信号を計測するパルスシーケンスの実行中に、超音波画像をリアルタイム計測して超音波画像の表示ができる検査装置を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明では、MRI装置による撮影のパルスシーケンスと超音波装置による撮影のパルスシーケンスを同期させて制御する手段を備えることにより、MRI装置で、励起用RFパルスを照射する時間区間、180度RFパルスを照射する時間区間、及び、MR信号を受信する時間区間を除いた時間区間で、超音波の送信(送波)、又は、超音波の送受信(送信(送波)及び受信(受波))を行なう。更に、一定時間間隔毎に1回、MRI装置で、励起用RFパルス、180度RFパルスを照射せずに、MR信号を参照信号として受信する。超音波装置のデジタル制御系に起因するノイズ信号を含む参照信号を、計測された検査対象からのMR信号から参照信号を減算する。
【0018】
本発明による、超音波及び核磁気共鳴を用いた検査装置は、以下の特徴を有する。
【0019】
本発明の検査装置は、静磁場の中に置かれた検査対象に、高周波磁場、傾斜磁場を印加して、検査対象から発生する核磁気共鳴信号を検出するための所定のパルスシーケンスを、繰返し実行する核磁気共鳴装置と、検査対象に対して、超音波の送信、又は、超音波の送信及び受信を行なう超音波装置と、から構成される。超音波装置は、制御手段により、核磁気共鳴装置を駆動する制御信号に基づいて、超音波の送信、又は、超音波の送信及び受信を繰返し行なうように、次のように制御される。
(1)上記の所定のパルスシーケンスの実行中に制御される。
(2)上記の所定のパルスシーケンスの中の、特定の時間区間で制御される。
(3)上記の所定のパルスシーケンスの実行中に、所定のパルスシーケンスの中の、特定の時間区間で制御される。
【0020】
特定の時間区間は、所定のパルスシーケンスの中の次の何れかの時間区間である。
(a)高周波磁場が印加される時間区間及び核磁気共鳴信号が検出される時間区間を除く少なくとも1つの時間区間。
(b)高周波磁場が印加される時間区間と核磁気共鳴信号が検出される時間区間により挟まれる少なくとも1つの時間区間。
(c)核磁気共鳴信号が検出される時間区間の直前及び/又は直後の少なくとも1つの時間区間。
(d)核磁気共鳴信号が検出される時間区間の前及び/又は後の時間区間で、且つ、高周波磁場が印加される時間区間を除く時間区間。
【0021】
超音波装置の駆動に起因するノイズ信号が検出される核磁気共鳴信号に及ぼす影響は、次のようにして、低減できる。超音波装置の駆動に起因するノイズ信号は、デジタル制御系に起因するノイズ信号である。高周波磁場が印加されない所定のパルスシーケンス、又は、高周波磁場、スライス傾斜磁場、及び、位相エンコード傾斜磁場が印加されない所定のパルスシーケンスを、実行して検出された核磁気共鳴信号を参照信号とする。
【0022】
この参照信号を、所定のパルスシーケンスで検出された核磁気共鳴信号から減算することにより、検出された核磁気共鳴信号に含まれる、超音波装置の駆動に起因するノイズ信号を低減できる。この結果、MR画像のSN比の劣化が防止できる。
【0023】
一般に、1枚のMR画像を得るに必要な撮影時間は、超音波の送信及び受信により、1枚の画像を得る1スキャンに必要な撮影時間よりも長い。
【0024】
従って、本発明の検査装置では、1枚のMR画像を得る撮影時間中に、超音波画像をリアルタイム計測して、少なくとも1枚以上の超音波画像の表示を行なうことが可能である。
【0025】
本発明の検査装置によれば、MR画像を得るためのMR信号を計測するパルスシーケンスの実行中に、リアルタイム性を損なうことなく、超音波撮像を並行して同時に実行でき、超音波画像をリアルタイム計測して超音波画像の表示ができる。
【0026】
また、本発明の検査装置によれば、検査対象への超音波の送信中、及び、検査対象から反射された超音波信号の受信中に、MRI装置はRFパルス(高周波磁場)を照射しない構成とするので、RFパルスに起因するノイズ信号は、超音波の送信信号、又は、送信信号及び受信信号に混入しないという効果がある。また、MR信号の受信中に、超音波の送信、又は、送信及び受信をしない構成とするので、超音波の送信、又は、送信及び受信に起因するノイズ信号は、MR信号に混入しないという効果がある。従って、MR画像、超音波画像の双方のS/Nが劣化しない撮像を実行できる。
【0027】
本発明の検査装置の代表的な構成を、図2を参照して以下に説明する。
【0028】
時間区間(1)で、スライス傾斜磁場4−1と同時に励起用RFパルス1を照射して、スライス断面の原子核を励起する。
【0029】
時間区間(2)で、ディフェーズ用傾斜磁場Gs、エンコード傾斜磁場2−1、ディフェーズ用傾斜磁場3−1を印加する。
【0030】
時間区間(3)(MR信号の取得区間7)で、リードアウト傾斜磁場3−2を印加して、MR信号6を計測する。
【0031】
時間区間(4)で、ディフェーズ用傾斜磁場Gs、ディフェーズ用傾斜磁場Gp、ディフェーズ用傾斜磁場3−3を印加する。
【0032】
以下、エンコード傾斜磁場2−1の印加量を変化させ、パルスシーケンスを繰返し時間TRで複数回繰返す。
【0033】
超音波の送受信(T/R)は、時間区間(1)及び時間区間(3)を除いた、時間区間(2)9−1及び時間区間(4)9−2で行なう。
【0034】
1ラインの超音波ビームの送受信に要する時間を0.14msとし、1枚の超音波画像を得るための1スキャンが96ラインで構成され、1枚のMR画像を得るに要するパルスシーケンスの繰返し回数を128回とすると、TVと同等のフレームレートで、ほぼリアルタイムに超音波撮影が可能である。
【0035】
本発明の、超音波及び核磁気共鳴を用いた検査方法は、以下に記載する特徴を有する。
【0036】
(1)静磁場の中に置かれた検査対象に、高周波磁場、傾斜磁場を印加して、前記検査対象から発生する核磁気共鳴信号を検出する所定のパルスシーケンスを、所定のパルスシーケンス制御信号に基づいて、繰返し実行する第1の工程と、前記所定のパルスシーケンス制御信号に基づいて、前記検査対象に対して、超音波の送信、又は、前記超音波の送信及び受信を繰返し行なう第2の工程とを有することを特徴とする検査方法。
【0037】
(2)静磁場の中に置かれた検査対象に、高周波磁場、傾斜磁場を印加して、前記検査対象から発生する核磁気共鳴信号を検出する所定のパルスシーケンスを、所定のパルスシーケンス制御信号に基づいて、繰返し実行する第1の工程と、前記所定のパルスシーケンス制御信号に基づいて、前記所定のパルスシーケンスの実行中に、前記検査対象に対して、超音波の送信、又は、前記超音波の送信及び受信を繰返し行なう工程とを有することを特徴とする検査方法。
【0038】
(3)静磁場の中に置かれた検査対象に、高周波磁場、傾斜磁場を印加して、前記検査対象から発生する核磁気共鳴信号を検出する所定のパルスシーケンスを、所定のパルスシーケンス制御信号に基づいて、繰返し実行する第1の工程と、前記所定のパルスシーケンス制御信号に基づいて、前記所定のパルスシーケンスの中の特定の時間区間で、前記検査対象に対して、超音波の送信、又は、前記超音波の送信及び受信を繰返し行なう第2の工程とを有することを特徴とする検査方法。
【0039】
(4) 前記(3)に記載の検査方法において、前記特定の時間区間が、前記所定のパルスシーケンスの中の、(a)前記高周波磁場を印加する時間区間及び前記核磁気共鳴信号を検出する時間区間を除く少なくとも1つの時間区間、(b)前記高周波磁場を印加する時間区間と前記核磁気共鳴信号を検出する時間区間により挟まれる少なくとも1つの時間区間、(c)前記核磁気共鳴信号を検出する時間区間の直前及び/又は直後の少なくとも1つの時間区間、(d)前記核磁気共鳴信号を検出する時間区間の前及び/又は後の時間区間で、且つ、前記高周波磁場を印加する時間区間を除く時間区間、のうちの何れかの時間区間であることを特徴とする検査方法。
【0040】
(5)前記(3)に記載の検査方法において、前記高周波磁場を印加しない前記所定のパルスシーケンスを実行して、前記核磁気共鳴信号を参照信号として検出する第3の工程と、前記参照信号を用いて、前記所定のパルスシーケンスで検出された前記核磁気共鳴信号から、前記超音波の送信、又は、前記超音波の送信及び受信に起因するノイズ信号を低減する第4の工程とを有することを特徴とする検査方法。
【0041】
(6)静磁場の中に置かれた検査対象に、高周波磁場、傾斜磁場を印加して、前記検査対象から発生する核磁気共鳴信号を検出する所定のパルスシーケンスを、所定のパルスシーケンス制御信号に基づいて、繰返し実行する第1の工程と、検出された前記核磁気共鳴信号から核磁気共鳴画像に変換する第2の工程と、前記所定のパルスシーケンス制御信号に基づいて、前記検査対象の患部に超音波を繰返し照射する第3の工程と、検出された前記核磁気共鳴信号から変換された、前記患部の前記核磁気共鳴画像を、時系列に表示する第4の工程とを有することを特徴とする検査方法。
【0042】
(7)静磁場の中に置かれた検査対象に、正の極性のスライス傾斜磁場と共に高周波磁場を印加する第1の時間区間と、前記検査対象に、負の極性の前記スライス傾斜磁場、位相エンコード傾斜磁場、及び、負の極性のリードアウト傾斜磁場の各傾斜磁場を印加する第2の時間区間と、正の極性の前記リードアウト傾斜磁場が印加された状態で、前記検査対象から発生する核磁気共鳴信号を検出する第3の時間区間と、前記検査対象に、負の極性の前記スライス傾斜磁場、前記第2の時間区間で印加した前記位相エンコード傾斜磁場の極性と反対の極性をもつ前記位相エンコード傾斜磁場、及び、負の極性の前記リードアウト傾斜磁場の各傾斜磁場を印加する第4の時間区間とを具備する所定のパルスシーケンスを、所定のパルスシーケンス制御信号に基づいて、前記位相エンコード傾斜磁場の大きさを変化させて複数回繰返して実行する第1の工程と、前記所定のパルスシーケンス制御信号に基づいて、前記第2の時間区間及び/又は前記第4の時間区間で、前記検査対象に対して、超音波探触子により、超音波の送信、又は、前記超音波の送信及び受信を繰返し行なう第2の工程とを有することを特徴とする検査方法。
【0043】
(8)前記(7)に記載の検査方法において、前記高周波磁場、前記スライス傾斜磁場、及び、前記位相エンコード傾斜磁場を印加しない前記所定のパルスシーケンスを実行して、前記核磁気共鳴信号を参照信号として検出する第3の工程と、前記参照信号を用いて、前記所定のパルスシーケンスで検出された前記核磁気共鳴信号から、前記超音波の送信、又は、前記超音波の送信及び受信に起因するノイズ信号を低減する第4の工程とを有することを特徴とする検査方法。
【0044】
(9)静磁場の中に置かれた検査対象に、正の極性のスライス傾斜磁場と共に第1の高周波磁場を印加する第1の時間区間と、前記検査対象に、負の極性の前記スライス傾斜磁場を印加する第2の時間区間と、前記検査対象に、正の極性の前記スライス傾斜磁場と共に第2の高周波磁場を印加する第3の時間区間と、前記検査対象に、位相エンコード傾斜磁場、及び、負の極性のリードアウト傾斜磁場を印加する第4の時間区間と、正の極性の前記リードアウト傾斜磁場が印加された状態で、前記検査対象から発生する核磁気共鳴信号を検出する第5の時間区間と、核磁化の回復をまつための第6の時間区間とを具備する所定のパルスシーケンスを、所定のパルスシーケンス制御信号に基づいて、前記位相エンコード傾斜磁場の大きさを変化させて複数回繰返して実行する第1の工程と、前記所定のパルスシーケンス制御信号に基づいて、前記第2の時間区間、前記第4の時間区間、及び、前記第6の時間区間の少なくとも1つの時間区間で、前記検査対象に対して、前記超音波探触子により、超音波の送信、又は、前記超音波の送信及び受信を繰返し行なう第2の工程とを有することを特徴とする検査方法。
【0045】
(10)前記(9)に記載の検査方法において、前記第1の高周波磁場、前記第2の高周波磁場、前記スライス傾斜磁場、及び、前記位相エンコード傾斜磁場を印加しない前記所定パルスシーケンスを実行して前記核磁気共鳴信号を参照信号として検出する第3の工程と、前記参照信号を用いて、前記所定のパルスシーケンスで検出された前記核磁気共鳴信号から、前記超音波の送信、又は、前記超音波の送信及び受信に起因するノイズ信号を低減する第4の工程とを有することを特徴とする検査方法。
【0046】
【発明の実施の形態】
本発明の検査装置は、核磁気共鳴装置と超音波装置を具備する。核磁気共鳴装置は、静磁場の中に置かれた検査対象に、高周波磁場、傾斜磁場を印加して、検査対象から発生する核磁気共鳴信号を検出する所定のパルスシーケンスを繰返して実行する制御を行なう第1の制御装置を具備する。
【0047】
超音波装置は、検査対象に対して、超音波の送信、又は、超音波の送信及び受信を制御する第2の制御装置を具備する超音波装置とを具備する。
【0048】
第2の制御装置は、制御手段より、第1の制御装置からの制御信号に基づいて、所定のパルスシーケンスの中の特定の時間区間で、超音波の送信、又は、超音波の送信及び受信を繰返し行なうように、制御される。所定のパルスシーケンスの中の特定の時間区間は、前述した時間区画である。
【0049】
本発明の検査装置は、静磁場の中に置かれた検査対象に、高周波磁場、傾斜磁場を印加して、検査対象から発生する核磁気共鳴信号を検出する所定のパルスシーケンスを、繰返し実行する制御を行なうパルスシーケンス制御装置と、検査対象の患部に超音波を照射する超音波装置と、を具備する。
【0050】
超音波装置は、制御手段より、パルスシーケンス制御装置からの制御信号に基づいて、超音波の送信を繰返し行なうように、制御される。超音波の送信を繰返しの後に、検出された核磁気共鳴信号から、変換手段により変換された患部の核磁気共鳴画像は、時系列に表示手段に表示される。
【0051】
本発明の検査装置は、核磁気共鳴装置と超音波装置を具備する。核磁気共鳴装置は、静磁場の中に置かれた検査対象に、高周波磁場、スライス傾斜磁場、位相エンコード傾斜磁場、リードアウト傾斜磁場の各傾斜磁場を印加する所定のパルスシーケンスを、繰返して実行する制御を行なうパルスシーケンス制御装置と、リードアウト傾斜磁場が印加された状態で、検査対象から発生する核磁気共鳴信号を検出する信号検出手段とを具備する。
【0052】
超音波装置は、検査対象に対して、超音波探触子により、超音波の送信、又は、超音波の送信及び受信を行なう手段と、超音波の送信及び受信のタイミングを制御するタイミング制御装置とを具備する。
【0053】
タイミング制御手段は、制御手段により、パルスシーケンス制御装置からの制御信号に基づいて、所定のパルスシーケンスの中の特定の時間区間で、超音波の送信、又は、超音波の送信及び受信を繰返し行なうように、制御される。所定のパルスシーケンスの中の特定の時間区間は、前述した時間区画である。
【0054】
上記で説明した本発明の検査装置は、検出された核磁気共鳴信号を核磁気共鳴画像に変換する手段と、核磁気共鳴画像を表示する第1の表示手段とを具備する。
【0055】
また、超音波装置は、受信された超音波の信号を超音波画像に変換する手段と、超音波画像を表示する第2の表示手段とを具備する。
【0056】
そして、所定のパルスシーケンスの繰返しにより検出された核磁気共鳴信号から得られる1枚の核磁気共鳴画像が、第1の表示手段に表示される以前に、少なくとも1枚の超音波画像が第2の表示手段に表示される。
【0057】
また、上記で説明した本発明の検査装置では、核磁気共鳴装置は、検出された核磁気共鳴信号を核磁気共鳴画像に変換する手段を具備する。
【0058】
また、超音波装置は、受信された反射超音波の信号を超音波画像に変換する手段と、超音波画像を表示する表示手段とを具備する。
【0059】
そして、1枚の核磁気共鳴画像を得るための所定のパルスシーケンスの繰返しの中で、少なくとも1枚の超音波画像が表示手段に表示される。
【0060】
本発明の検査装置は、核磁気共鳴装置と超音波装置を具備する。核磁気共鳴装置は、所定のパルスシーケンスを、複数回繰返して実行する制御を行なうパルスシーケンス制御装置と、核磁気共鳴信号を検出する信号検出手段とを具備する。
【0061】
所定のパルスシーケンスは、第1の時間区間、第2の時間区間、第3の時間区間、及び、第4の時間区間から、構成される、高速撮影シーケンスである。
【0062】
第1の時間区間では、静磁場の中に置かれた検査対象に、正の極性のスライス傾斜磁場と共に高周波磁場が印加される。
【0063】
第2の時間区間では、検査対象に、負の極性のスライス傾斜磁場、位相エンコード傾斜磁場、及び、負の極性のリードアウト傾斜磁場の各傾斜磁場が印加される。
【0064】
第3の時間区間では、正の極性のリードアウト傾斜磁場が印加された状態で、検査対象から発生する核磁気共鳴信号が検出される。
【0065】
第4の時間区間では、検査対象に、負の極性のスライス傾斜磁場、第2の時間区間で印加した位相エンコード傾斜磁場の極性と反対の極性をもつ位相エンコード傾斜磁場、及び、負の極性のリードアウト傾斜磁場の各傾斜磁場が印加される。
【0066】
所定のパルスシーケンスは、位相エンコード傾斜磁場の大きさを変化させて複数回繰返して実行される。
【0067】
超音波装置は、検査対象に対して、超音波探触子により、超音波の送信、又は、超音波の送信及び受信を行なう手段と、超音波の送信、又は、超音波の送信及び受信のタイミングを制御するタイミング制御装置とを具備する。
【0068】
タイミング制御装置は、制御手段により、パルスシーケンス制御装置からの制御信号に基づいて、第2の時間区間及び/又は第4の時間区間で、超音波の送信、又は、超音波の送信を行なうように、制御される。
【0069】
本発明の検査装置は、核磁気共鳴装置と超音波装置を具備する。核磁気共鳴装置は、所定のパルスシーケンスを、複数回繰返して実行する制御を行なうパルスシーケンス制御装置と、核磁気共鳴信号を検出する信号検出手段とを具備する。
【0070】
所定のパルスシーケンスは、第1の時間区間、第2の時間区間、第3の時間区間、第4の時間区間、第5の時間区間、及び、第6の時間区間、から構成される、高速撮影シーケンスである。
【0071】
第1の時間区間では、静磁場の中に置かれた検査対象に、正の極性のスライス傾斜磁場と共に第1の高周波磁場が印加される。
【0072】
第2の時間区間では、検査対象に、負の極性のスライス傾斜磁場が印加される。
【0073】
第3の時間区間では、検査対象に、正の極性のスライス傾斜磁場と共に第2の高周波磁場が印加される。
【0074】
第4の時間区間では、検査対象に、位相エンコード傾斜磁場、及び、負の極性のリードアウト傾斜磁場が印加される。
【0075】
第5の時間区間では、正の極性のリードアウト傾斜磁場が印加された状態で、検査対象から発生する核磁気共鳴信号が検出される。
【0076】
第6の時間区間は、核磁化の回復をまつための時間である。所定のパルスシーケンスは、位相エンコード傾斜磁場の大きさを変化させて複数回繰返して実行される。
【0077】
超音波装置は、検査対象に対して、超音波探触子により、超音波の送信、又は、超音波の送信を行なう手段と、超音波の送信のタイミングを制御するタイミング制御装置とを具備する。
【0078】
タイミング制御装置は、制御手段により、パルスシーケンス制御装置からの制御信号に基づいて、第2の時間区間、第4の時間区間、及び、第6の時間区間の少なくとも1つの時間区間で、超音波の送信、又は、超音波の送信を行なうように、制御される。
【0079】
上記で説明した検査装置では、第1の時間区間から第4の時間区間から構成される所定のパルスシーケンス、又は、第1の時間区間から第6の時間区間から構成される所定のパルスシーケンスが実行されるが、上記で説明した検査装置では、高周波磁場(励起用RFパルス、180度RFパルス)、スライス傾斜磁場、及び、位相エンコード傾斜磁場を印加しない所定のパルスシーケンスを実行して検出された核磁気共鳴信号を参照信号とする。
【0080】
この参照信号を、所定のパルスシーケンスで検査対象から検出された核磁気共鳴信号から減算することにより、超音波装置の駆動に起因するノイズ信号を低減することができる。
【0081】
以下の説明で使用する図2、図7、図8、図9に示す検査装置の撮影シーケンスの横軸は時間tであり、図3、図4、図5に示す撮影シーケンスのタイミングチャートの横軸は時間tである。
【0082】
図1は、本発明の実施例に於ける検査装置の構成例を示す図である。被写体(検査対象)103は、静磁場を発生する静磁場発生装置101、傾斜磁場コイル102の近隣に置かれる。MRI制御系(パルルシーケンサ)104は、傾斜磁場電源105、高周波磁場(RFパルス)発生器106に命令を送り、傾斜磁場を傾斜磁場コイル102より発生させ、RFパルスを照射用コイル107より発生させる制御を行なう。
【0083】
通常、RFパルスは、RFパルス発生器106の出力をRFパワーアンプ115により増幅し、照射用コイル107から検査対象103に印加される。検査対象103から発生した核磁気共鳴信号は、受信用コイル(プローブ)116により受波される。受信用コイル116は、検査対象103の検査対象部位(撮影部位)に近接する空間に配置される。受信用コイル116は、検査対象103の内部に挿入される場合もある。
【0084】
受信用コイル116により受波された信号は、受信器108により、A/D変換(サンプリング)、検波が行われる。検波の基準とする中心周波数(磁気共鳴周波数)は、シーケンサ104によりセットされる。検波された信号は計算機109に送られ、ここでリサンプリング処理された後、画像再構成等の信号処理が行われる。画像再構成等の結果はディスプレイ110に表示される。
【0085】
通常、傾斜磁場コイルと、照射用/受信用コイルの電磁気的干渉を低減するために、空間的な両者の間に、RFシールド119が設置される。RFシールド119は空中を伝搬する電磁気的ノイズを遮断し、受信用コイルへ伝えない役目も持っている。
【0086】
必要に応じて、記憶媒体111に信号や測定条件を記憶させることもできる。静磁場均一度を調整する必要がある時は、シムコイル112を使う。シムコイル112は複数のチャネルからなり、シム電源113により電流が供給される。静磁場均一度の調整時には、複数のチャネルの各コイルに流れる電流をシーケンサ104により制御する。シーケンサ104はシム電源113に命令を送り、静磁場の不均一を補正する付加的な磁場をシムコイル112より発生させる。
【0087】
なお、MRI制御系104は、プログラムされた所定のタイミングで、核磁気共鳴装置の、傾斜磁場電源105、高周波磁場(RFパルス)発生器106、受信器108の各部を、所定のパルスシーケンス(撮影シーケンス)でを制御する。MRI制御系(パルルシーケンサ)104は、静磁場発生装置101による静磁場の発生を制御することもできる。
【0088】
図1において、MRI制御系104から送られる時間制御用トリガー201により、超音波装置の駆動シーケンスの時間が制御されている。超音波制御系(デジタル制御系)226をMRI制御系104に同期制御させることより、超音波装置の駆動シーケンス及びMRI装置の駆動シーケンスの時間が、共通の時間軸で制御されている。
【0089】
図1において、超音波制御系226は、送波ビームフォーマ222に命令を送る。送波ビームフォーマ222は、送波波形メモリ221から送波波形を読み出して、超音波探触子210の超音波素子の送波駆動を行なうための駆動信号を生成し、送波側に切り替えられている送受波切り替えSW(スイッチ)223へ出力する。
【0090】
この駆動信号は、超音波探触子210のケーブル233、オン(接続)状態にある探触子切り離しSW(スイッチ)232を通して、超音波探触子210の超音波素子へ伝達され、超音波探触子210の超音波素子から超音波が発生され、検査対象103に送波される。超音波探触子210は検査対象103の内部に挿入される場合もある。
【0091】
検査対象103から反射された超音波信号は、超音波探触子210の超音波素子により受波される。受波された超音波信号は、超音波探触子210のケーブル233、オン(接続)状態にある探触子切り離しSW232、受波側に切り替えらている送受波切り替えSW223を通して、超音波制御系226の制御下にある、TGCAMP(時間・ゲイン増幅器)224及び受波ビームフォーマ225を経て、検波回路208によりA/D変換(サンプリング)され、検波が行われる。
【0092】
検波された受波信号は、計算機209に送られ、画像再構成等の信号処理が行われる。画像再構成された超音波画像は、図示しない表示装置に表示される。超音波画像をディスプレイ110に表示する構成としてもよい。
【0093】
なお、MRI制御系104が行なう各部の制御を計算機109で実行することもでき、超音波制御系226が行なう各部の制御を計算機209で実行することもできる。更に、計算機109、209は、同一の計算機で構成することもできる。
【0094】
(第1の実施例)
第1の実施例では、MRI装置の高速撮影法の1つであるBASGシーケンスによるMR撮像と同時に、超音波撮像をする場合について説明する。
【0095】
図2は、本発明の第1の実施例の検査装置に於ける撮影シーケンスの例を示す図であり、MRI装置による撮影シーケンス(パルスシーケンス)と超音波の送受信のタイミングを説明する図である。
【0096】
Gsはスライス傾斜磁場であり、Gpはエンコード傾斜磁場であり、Grはリードアウト傾斜磁場である。以下の説明では、再構成される2次元画像の位相エンコード方向の画素数を128とする。従って、MRI装置では、時間区間(1)から時間区間(4)からなる図2のパルスシーケンスを、繰返し時間TRで128回繰返す。時間区間(1)から時間区間(4)の長さはそれぞれ1msである。図2のパルスシーケンス繰返し時間TRは4msである。
【0097】
時間区間(1)で、静磁場の中に置かれた検査対象に、スライス方向の傾斜磁場(スライス傾斜磁場Gs)4−1と同時に励起用RFパルス1を照射して、所定の位置で所定の厚さをもつスライス断面の内部に存在する原子核を励起する。
【0098】
時間区間(2)で、検査対象に、時間区間(1)で印加したスライス傾斜磁場Gs4−1と逆の極性をもつディフェーズ用傾斜磁場Gs、エンコード傾斜磁場(Gp)2−1、負の極性をもつディフェーズ用傾斜磁場(Gr)3−1を印加する。
【0099】
時間区間(3)(MR信号の取得区間7)で、検査対象に、正の極性をもつリードアウト方向の傾斜磁場(リードアウト傾斜磁場Gr)3−2を印加して、検査対象から発生するMR信号6を、受信用コイル116を用いて計測する。
【0100】
時間区間(4)で、検査対象に、負の極性をもつディフェーズ用傾斜磁場Gs、時間区間(2)で印加したエンコード傾斜磁場(Gp)2−1と逆の極性をもつディフェーズ用傾斜磁場Gp、負の極性をもつディフェーズ用傾斜磁場(Gr)3−3を印加する。
【0101】
以下、エンコード傾斜磁場(Gp)2−1の印加量を変化させ、図2のパルスシーケンスを、繰返し時間TRで128回繰返し、繰返し時間TR毎にMR信号6の受信(計測)を行なう。計測された128個の信号を2次元フーリエ変換することにより、2次元画像を得る。
【0102】
図2に示すように、繰返し時間TRを4msにすると、4ms×128=512msで2次元画像を再構成するためのMR信号6が得られる。あるGp印加量について新たに計測したデータを、同じGp印加量で1巡前に計測されたデータと入れ替えながら撮影すれば、準リアルタイムに動画を表示することもできる。
【0103】
超音波の送受信(T/R)は、励起用RFパルス1を照射する時間区間(1)及びMR信号を受信する時間区間(3)を除いた、時間区間(2)9−1及び時間区間(4)9−2で行なう。超音波の生体内部での伝播速度は約1500m/sであり、生体表面から10cmの領域を撮影対象とすると、この領域を超音波が往復するには約0.14msを要する。
【0104】
1ラインの超音波ビームの送受信に必要な時間を0.14msとすると、時間区間(2)9−1、時間区間(4)9−2のそれぞれ1msの間で、7ラインの超音波ビームの送受信が可能である。即ち、TR(4ms)の間に14ラインの超音波ビームの送受信が可能である。超音波探触子は、超音波素子の1次元アレイ又は2次元アレイから構成され、1枚の超音波画像を得るための1スキャンでは、超音波素子を切り替えながら複数ラインの超音波ビームの送受信を行ない、受信信号を画像化する。
【0105】
96ラインで1スキャンが構成されるとすると、1スキャンに7×TR=28msの時間が必要である。つまり、TVのフレームレートと同等のフレームレートで、ほぼリアルタイムに超音波撮影が可能である。このため、MR信号を取得するパルスシーケンスを実行しながら、リアルタイム性を損なうことなく、超音波撮像を並行して同時に実行できる。
【0106】
図3は、本発明の第1の実施例における、MRI装置での送信(T)及び受信(R)のタイミング、超音波の送信(T)及び受信(R)のタイミングを、より理解しやすいように、簡略化して示すタイミングチャートである。MRI装置で、励起用RFパルスを照射する時間区間(1)及びMR信号を受信する時間区間(3)を除いた、時間区間(2)及び時間区間(4)で、超音波の送受信を行なっている。時間区間(2)及び時間区間(4)では、時間区間51−1、51−2、…、51−7に示すように、超音波を送信して検査対象から反射された超音波信号を受信する。時間区間51−1、51−2、…、51−7の各時間区間が、1ライン分の超音波ビームによる計測の時間単位である。
【0107】
図4は、本発明の第1の実施例におけるMR画像と超音波画像の更新タイミングの例を示すタイミングチャートである。図4では、MR画像及び超音波画像が形成されるタイミングと、図2に示すパルスシーケンスの繰返し時間TRとの関係を、理解しやすいように、タイミングチャートで示している。超音波画像は7×TR=28ms毎に、MR画像は4ms×128=512msR毎に、それぞれ更新されていく。
【0108】
US−i(i=1、2、…、37、…)はそれぞれ、i番目のスキャンの超音波画像が形成されていく時間区間を示している。i(i=1、2、…、37、…)番目のスキャンによる超音波画像は、i×28ms後に、画像形成が完了し表示装置に表示される(UI−i)。MR−j(j=1、2、3、…)はそれぞれ、j枚目のMR画像が形成されていく時間区間を示している。j(j=1、2、3、…)枚目のMR画像それぞれ、j×512ms後に、画像形成が完了し表示装置に表示される(MI−j)。第1の実施例では、MR画像が更新される間に、超音波画像は約18回更新される。
【0109】
図5は、本発明の第1の実施例の検査装置における、MRI装置での送信(T)及び受信(R)のタイミング、超音波の送信(T)のタイミングを、より理解しやすいように、簡略化して示すタイミングチャートである。超音波による撮像ではなく、超音波加熱療法や音響化学療法といった超音波による治療を行なう場合は、図5に示すように、超音波は送信(T)のみを行なう。MRI装置では、時間区間(1)から時間区間(4)からなる図2のパルスシーケンスを、繰返し時間TRで繰返す。超音波の送信(T)は、励起用RFパルス1を照射する時間区間(1)及びMR信号を受信する時間区間(3)を除いた、時間区間(2)及び時間区間(4)で行なう。
【0110】
図6は、本発明の第1の実施例の検査装置を用いる超音波加熱凝固治療に於いて撮影されるMR画像を模式的に示す図である。時間1でMR画像はある臓器の治療前の画像であり、腫瘍部位10−1が見られる。超音波加熱凝固治療を行ないながら、時間k(k=2、3、4、…)で、連続してMR画像の撮影を行なっていく。MR画像は512msR毎に更新されていく。時間k(k=2、3、4、…)でのMR画像はそれぞれ、k×1024ms後に、画像形成が完了し表示装置に表示されていく。
【0111】
超音波加熱凝固治療を行なうと、加熱凝固した部分10−2の組織コントラストが、治療前の組織コントラストと変化していくので、治療の済んだ場所を確認できる。時間3、時間4でのMR画像では、治療の済んだ部分(加熱凝固した部分10−2)が広がっていくことを示している。医師は、患部の治療による状態の変化を、約0.5s毎のMR画像の観察により効率よく把握でき、患部の状態の変化に応じた適切な処置を行なうことができる。
【0112】
超音波の送信、又は、超音波の送信及び受信を行なう時間区間を、MRI装置で、励起用RFパルスを照射する時間区間(1)及びMR信号を受信する時間区間(3)を除いた、時間区間(2)及び時間区間(4)に設定するためには、超音波制御系226とMRI制御系104を同期制御する必要がある。これら2つの制御系を同期させる構成として、以下の4種類(A)〜(D)がある。
【0113】
(A)MRI装置から超音波装置へ時間制御用トリガーを送る構成とする。
【0114】
(B)超音波装置からMRI装置へ時間制御用トリガーを送る構成とする。
【0115】
(C)MRI装置と超音波装置の双方の装置と独立した時間制御用系を設け、双方の装置へ時間制御用トリガーを送る構成とする。
【0116】
(D)一定時間間隔毎に1回、MRI装置で励起用RFパルス、180度RFパルスを照射せずに、MR信号を参照信号として受信して、図2に示すパルスシーケンスにより計測される検査対象からのMR信号から、この参照信号を減算することにより、超音波装置のデジタル制御系に起因するノイズ信号を低減する構成とする。
【0117】
(A)の構成では、MRI装置制御系104は、高周波磁場(RFパルス)発生器106にRFパルスの照射命令を送ると同時に、超音波制御系226に、MRI装置のパルスシーケンスの時間区間(2)内で、超音波の送信、又は、超音波の送受信を行なう命令を送る。また、MRI装置制御系104は、受信器108にMR信号を計測する命令を送ると同時に、超音波制御系226に、MRI装置のパルスシーケンスの時間区間(4)内で、超音波の送信、又は、超音波の送受信を行なう命令を送る。
【0118】
図1に示す構成では、Aの構成により、MRI制御系104から送られる時間制御用トリガー201により、超音波装置の駆動シーケンスの時間が制御されている。超音波制御系226をMRI制御系104に同期制御させることより、超音波装置の駆動シーケンス及びMRI装置の駆動シーケンスの時間が、共通の時間軸で制御されている。
【0119】
(B)の構成では、超音波制御系226からMRI装置制御系104に、MRI装置のパルスシーケンスの繰返し時間TR毎に、MRI装置のパルスシーケンスの開始を行なう命令を送る。
【0120】
(C)の構成では、超音波制御系226とMRI装置制御系104の双方と独立した、時間制御用トリガーを発生する時間制御用系から、MRI装置制御系104に、MRI装置のパルスシーケンスの繰返し時間TR毎に、MRI装置のパルスシーケンスの開始を行なう命令を送り、さらに、時間制御用系から超音波制御系226に、MRI装置のパルスシーケンスの時間区間(2)内及び時間区間(4)内で、超音波の送信、又は、超音波の送受信を行なう命令を送る。
【0121】
以上説明した構成により、検査対象から反射された超音波信号の受信中に、MRI装置は励起用RFパルス、180度RFパルスを照射しない構成とするので、超音波画像に、MRI装置の励起用RFパルス、180度パルスに起因するノイズ信号は混入しないという効果がある。また、MR信号6の受信中に超音波を照射(送信)しない構成とするので、MR画像に、超音波の照射に起因するノイズ信号は混入しないという効果がある。
【0122】
超音波撮像装置のデジタル制御系(超音波制御系226)が発生する電磁ノイズが超音波探触子210のケーブル233を伝わってMR信号に混入するため、上記の構成のみでは、MRI装置のパルスシーケンスのMR信号6の取得区間7(時間区間(3))で、超音波探触子210のケーブル233の信号線又はグランド線が、MRI装置と切り離されていないと、MR画像のSN比が劣化する。
【0123】
MRI装置のパルスシーケンスのMR信号6を取得する時間区間(3)の開始の前の時点で、MRI制御系104から送られる時間制御用トリガー201により、探触子切り離しSW232に入力して、探触子切り離しSW232を構成するダイオードスイッチをオフ状態とする。この結果、探触子切り離しSW232はオフ状態となる。探触子切り離しSW232は、図1に示しているように、RFシールド119の外側に設置する必要がある。RFシールド119の内側に探触子切り離しSW232を設置すると、送受切り替えSW223と探触子切り離しSW232を結ぶケーブル233から、超音波撮像装置のデジタル制御系起因の電磁ノイズが、RFシールド119内へ伝わり、結果としてMR画像のSN比が劣化する。RFシールド119の外側に探触子切り離しSW232を設置すると、探触子切り離しSW232と超音波探触子210を結ぶケーブル233には、超音波撮像装置のデジタル制御系起因の電磁ノイズは伝わらないため、MR画像のSN比劣化を防ぐことができる。
【0124】
なお、超音波の送信、又は超音波の送信及び受信を行なう場合には、MRI制御系104から送られる時間制御用トリガー201により、超音波の送信、又は超音波の送信及び受信に先だって、探触子切り離しSW232はオン状態に制御されている。
【0125】
MRI装置のパルスシーケンスのMR信号6の時間区間(3)で、超音波探触子210のケーブル233の信号線又はグランド線を、ダイオードスイッチから構成される探触子切り離しSW232を用いて、MRI装置から切り離すことにより、MR画像のSN比劣化を低減できる。
【0126】
しかし、ダイオードスイッチによる超音波探触子とMRI装置の切り離しは、超音波探触子を構成する超音波素子の全てに結線された信号線並びにグランド線にダイオードスイッチを接続する必要があり、更に、これらのダイオードスイッチを高速にオンオフ制御するためのハードウェア構成が必要であり、コストの増加を招く。
【0127】
(D)の構成では、ハードウェアの追加無しで、ダイオードスイッチによる超音波探触子のケーブルの切り離しによる構成と、同様の効果を得ることができる。
【0128】
図7は、本発明の第1の実施例の検査装置に於いて、超音波装置のデジタル制御系に起因するノイズ信号を含む参照信号を計測する時の、MRI装置のパルスシーケンスと超音波の送受信のタイミングを説明する図である。図7に示すMRI装置のパルスシーケンスと、図2に示すMRI装置のパルスシーケンスとの相違点について、以下、説明する。
【0129】
図7に示すように、時間区間(1)では、図2に示す、スライス傾斜磁場(Gs)4−1の印加、励起用RFパルス1の照射はしない。時間区間(2)では、図2に示す、ディフェーズ用傾斜磁場Gs、エンコード傾斜磁場(Gp)2−1を印加せず、負の極性をもつディフェーズ用傾斜磁場(Gr)3−1のみを印加する。時間区間(3)(MR信号の取得区間7)では、図2に示すように、正の極性をもつリードアウト傾斜磁場(Gr)3−2を印加して、発生するMR信号6−1を、受信用コイル116を用いて計測する。
【0130】
時間区間(4)では、図2に示す、負の極性をもつディフェーズ用傾斜磁場Gs、ディフェーズ用傾斜磁場Gpを印加せず、負の極性をもつディフェーズ用傾斜磁場Gr3−3のみを印加する。超音波の送受信(T/R)は、図2に示すように、時間区間(1)及び時間区間(3)を除いた、時間区間(2)及び時間区間(4)で行なう。
【0131】
以下、図7に示すMRI装置のパルスシーケンスを複数回繰返す。複数回計測された信号の平均値を求め、この平均値を、超音波装置のデジタル制御系から伝播するノイズ信号を含む参照信号とする。図7に示すパルスシーケンスによる参照信号の計測は、図2に示す撮影シーケンスを予め定めた回数だけ繰返す毎に、即ち、予め定めた一定時間間隔毎に、1回行なう。
【0132】
図7に示すパルスシーケンスによる参照信号の計測の後に、図2に示す撮影シーケンスを繰返し実行する。図2に示す撮影シーケンスで計測されるMR信号には、超音波装置のデジタル制御系に起因するノイズ信号を含む前述の参照信号が、含まれている。
【0133】
図2に示す撮影シーケンスで計測されるMR信号から、参照信号を減算することにより、超音波装置のデジタル制御系に起因するノイズ信号に基づく、MR画像のSN比の劣化を低減できる。また、MR信号と参照信号に対して用いる演算処理は減算に限らず、統計的演算処理等の別の演算処理を用いても同様の効果をもたらすことができる。
【0134】
(第2の実施例)
第2の実施例では、MRI装置の最も基本的な撮影法の1つであるスピンエコーシーケンスによるMR撮像と並行して同時に、超音波撮像をする場合について説明する。
【0135】
図8は、本発明の第2の実施例の検査装置における撮影シーケンスの例を示す図であり、MRI装置によるスピンエコーシーケンスと超音波の送受信のタイミングを説明する図である。
【0136】
Gsはスライス傾斜磁場であり、Gpはエンコード傾斜磁場であり、Grはリードアウト傾斜磁場である。以下の説明では、再構成される2次元画像の位相エンコード方向の画素数を128とする。従って、MRI装置では、時間区間(1)から時間区間(6)からなる図8のパルスシーケンスを、繰返し時間TRで128回繰返す。時間区間(1)、時間区間(3)の長さはそれぞれ4msであり、時間区間(2)19−2、時間区間(5)の長さはそれぞれ12msであり、時間区間(4)19−2の長さは8msであり、核磁化の回復の待ち時間である時間区間(6)19−3の長さは20msである。図8のパルスシーケンス繰返し時間TRは60msである。
【0137】
時間区間(1)で、静磁場の中に置かれた検査対象に、スライス傾斜磁場(Gs)4−1と同時に励起用RFパルス1を照射して、所定の位置で所定の厚さをもつスライス断面の内部に存在する原子核を励起する。
【0138】
時間区間(2)19−1で、検査対象に、時間区間(1)で印加したスライス傾斜磁場(Gs)4−1と逆の極性をもつディフェーズ用傾斜磁場Gsを印加する。
【0139】
時間区間(3)で、検査対象に、180度RFパルス71を照射し、スライス断面内部に存在する磁化を反転させる。
【0140】
時間区間(4)19−2で、検査対象に、エンコード傾斜磁場(Gp)2−1、負の極性をもつディフェーズ用傾斜磁場(Gr)3−1を印加する。
【0141】
時間区間(5)(MR信号の取得区間7)で、検査対象に、正の極性をもつリードアウト傾斜磁場(Gr)3−2を印加して、検査対象から発生するMR信号6を、受信用コイル116を用いて計測する。
【0142】
以下、エンコード傾斜磁場(Gp)2−1の印加量を変化させ、図8のパルスシーケンスを、繰返し時間TRで128回繰返し、繰返し時間TR毎にMR信号6の受信(計測)を行なう。計測された128個の信号を2次元フーリエ変換することにより、2次元画像を得る。
【0143】
図8に示すように、繰返し時間TRを60msにすると、60ms×128=7680msで2次元画像を再構成するためのMR信号6が得られる。
【0144】
超音波の送受信(T/R)は、励起用RFパルス1を照射する時間区間(1)、180度RFパルスを照射する時間区間(3)、及び、MR信号を受信する時間区間(5)を除いた、時間区間(2)19−1、時間区間(4)19−2、及び、時間区間(6)19−3で行なう。
【0145】
超音波の送信、又は、超音波の送信及び受信を行なう時間区間を、MRI装置で、励起用RFパルスを照射する時間区間(1)、180度RFパルス71を照射する時間区間(3)、及び、MR信号を受信する時間区間(5)を除いた、時間区間(2)、時間区間(4)、及び、時間区間(6)に設定するためには、超音波制御系226とMRI制御系104を同期制御する必要がある。これら2つの制御系を同期させる構成として、前述のAの構成を用いる。
【0146】
超音波の生体内部での伝播速度は約1500m/sであり、生体表面から10cmの領域を撮影対象とすると、この領域を超音波が往復するには約0.14msを要する。
【0147】
1ラインの超音波ビームの送受信に必要な時間を0.14msとすると、時間区間(2)19−1、時間区間(4)19−2、時間区間(6)19−3の長さを合計した40msの間に、285ラインの超音波ビームの送受信が可能である。
【0148】
即ち、TR(60ms)の間に285ラインの超音波ビームの送受信が可能である。第1の実施例と同様に、超音波探触子は、超音波素子の1次元アレイ又は2次元アレイから構成され、1枚の超音波画像を得るための1スキャンでは、超音波素子を切り替えながら複数ラインの超音波ビームの送受信を行ない、受信信号を画像化する。
【0149】
95ラインで1スキャンが構成されるとすると、TR(60ms)の間に3スキャンできる。つまり、TVのフレームレートと同等のフレームレートで、ほぼリアルタイムに超音波撮影が可能である。このため、MR信号を取得するパルスシーケンスを実行しながら、リアルタイム性を損なうことなく、超音波撮像を並行して同時に実行できる。
【0150】
検査対象から反射された超音波信号の受信中に、MRI装置は、励起用RFパルス、180度RFパルスを照射しない構成とするので、超音波画像に、MRI装置のRFパルスに起因するノイズ信号は混入しないという効果がある。また、MR信号6の受信中に超音波を照射(送信)しない構成とするので、MR画像に、超音波の照射に起因するノイズ信号は混入しないという効果がある。
【0151】
また、第1の実施例と同様に、一定時間間隔毎に1回、MRI装置で励起用RFパルス、180度RFパルスを照射せずに、MR信号を参照信号として受信する。超音波装置のデジタル制御系に起因するノイズ信号を含む参照信号を、計測された検査対象からのMR信号から参照信号を減算することにより、超音波装置のデジタル制御系に起因するノイズ信号を低減できる(前述のDの構成)。
【0152】
図9は、本発明の第2の実施例の検査装置に於いて、超音波装置のデジタル制御系に起因するノイズ信号を含む参照信号を計測する時の、MRI装置のパルスシーケンスと超音波の送受信のタイミングを説明する図である。図9に示すMRI装置のパルスシーケンスと、図8に示すMRI装置のパルスシーケンスとの相違点について、以下、説明する。
【0153】
図9に示すように、時間区間(1)では、図8に示す、スライス傾斜磁場(Gs)4−1の印加、励起用RFパルス1の照射はしない。時間区間(2)では、図8に示す、ディフェーズ用傾斜磁場Gsを印加しない。時間区間(3)では、図8に示す、180度RFパルス71は照射しない。時間区間(4)では、図8に示す、エンコード傾斜磁場(Gp)2−1を印加せず、ディフェーズ用傾斜磁場(Gr)3−1を印加する。
【0154】
時間区間(5)(MR信号の取得区間7)では、図8に示すように、正の極性をもつリードアウト傾斜磁場(Gr)3−2を印加して、発生するMR信号6−1を、受信用コイル116を用いて計測する。
【0155】
超音波の送受信(T/R)は、図8に示すように、時間区間(1)、時間区間(3)、及び、時間区間(5)を除いた、時間区間(2)、時間区間(4)、及び、時間区間(6)で行なう。なお、超音波加熱療法や音響化学療法といった超音波による治療を行なう場合には、図8、図9において、超音波の送受信(T/R)の代わりに、超音波の送信(T)のみを行なう。
【0156】
以下、図9に示すMRI装置のパルスシーケンスを複数回繰返す。複数回計測された信号の平均値を求め、この平均値を、超音波装置のデジタル制御系から伝播するノイズ信号を含む参照信号とする。図9に示すパルスシーケンスによる参照信号の計測は、図8に示す撮影シーケンスを予め定めた回数だけ繰返す毎に、即ち、予め定めた一定時間間隔毎に、1回行なう。
【0157】
図9に示すパルスシーケンスによる参照信号の計測の後に、図8に示す撮影シーケンスを繰返し実行する。図8に示す撮影シーケンスで計測されるMR信号には、超音波装置のデジタル制御系に起因するノイズ信号を含む前述の参照信号が、含まれている。図8に示す撮影シーケンスで計測されるMR信号から、参照信号を減算することにより、超音波装置のデジタル制御系に起因するノイズ信号に基づく、MR画像のSN比の劣化を低減できる。
【0158】
次に、本発明の検査装置に使用可能なMRI装置の例について説明する。MRI装置として、円筒状の空間に静磁場が発生されるトンネル型MRI装置、図11の斜視図に示すようなオープン型MRI装置が周知である。図11に示すオープン型MRI装置は、本発明の検査装置に好適に使用可能である。
【0159】
図10は、本発明の検査装置により好適に使用可能なフラット型MRI装置の一例を示す斜視図である。フラット型MRI装置では、ベットの上に搭載される患者の上部の空間に静磁場が形成さる。フラット型MRI装置を術中MRI装置として使用する場合、患者の上部の空間には何も存在しないので、医師は、オープン型MRI装置よりも、より広い領域、より多方向から患者にアクセスできる。
【0160】
更に、本発明の第1の実施例の検査装置において、フラット型MRI装置を術中MRI装置として使用すると、TVと同等のフレームレートで、ほぼリアルタイムに超音波撮影ができ、複数のMR画像を取得しながら複数の超音波画像を並行して同時に取得して、MR画像及び超音波画像を同時に観察できるので、医師は、手術の進行中で患部の状態の変化を効率よく観察できる。
【0161】
また、医師は、患者の上部の空間の任意の方向から患者にアクセスして、患部の状態の変化に応じた適切な処置を行なうことができる。
【0162】
以上、本発明の実施例を特定の形態について説明したが、第1の実施例及び第2の実施例以外の実施の形態についても同様に、本発明の検査装置は適用可能であることは言うまでもない。また、本発明の検査装置に使用するMRI装置のパルスシーケンスとして、BASGシーケンス、SEシーケンス以外に、周知のGREシーケンス、GRASEシーケンス等も利用可能であることは言うまでもない。
【0163】
また、図2、図8に示した撮影シーケンスでは、2次元画像撮影について説明したが、MRI装置の分野で公知技術により、容易に3次元画像撮影に拡張できることは言うまでもない。
【0164】
更に、本発明の検査装置に使用する超音波装置として、血流計測を行なうドップラー超音波装置を使用可能であることは言うまでもない。ドップラー超音波装置による血流の状態を表すドップラー血流画像により、患部の血流の状態を詳細に観察できるので、高コントラストなMR画像と、ドップラー血流画像とを合わせて同時に観察することにより、患部の診断に有用な情報を得ることができる。
【0165】
本発明の検査装置では、超音波装置の超音波制御系226と、MRI装置のMRI制御系104とを同期制御する、前述の(A)の構成からなる手段を備える。
【0166】
また、超音波の送信、又は、超音波の送信及び受信を行なう時間区間を、MRI装置で、励起用RFパルスを照射する時間区間、180度RFパルスを照射する時間区間、及び、MR信号を受信する時間区間を除いた、時間区間に設定する。
【0167】
更に、前述の(D)の構成により、超音波装置のデジタル制御系に起因するノイズ信号を含む前述の参照信号を計測し、検査対象から計測されるMR信号から参照信号を減算して、超音波装置のデジタル制御系に起因するノイズ信号に基づく、MR画像のSN比の劣化を低減できる。
【0168】
以上、実施例で詳述したように、本発明の検査装置によれば、MRI装置によりMR画像を得るためのMR信号を計測するパルスシーケンスの実行中に、超音波画像をリアルタイム計測して超音波画像の表示ができる検査装置が実現できる。換言すると、MR画像の撮像を行ないながら、リアルタイム性を損なうことなく、超音波撮像を並行して同時に実行できる。更に、MR画像、超音波画像の双方のS/Nが劣化しない撮像を実行できる。
【0169】
【発明の効果】
本発明によれば、MRI装置によりMR画像を得るためのMR信号を計測するパルスシーケンスの実行中に、超音波画像をリアルタイム計測して超音波画像の表示ができる検査装置が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例における検査装置の構成例を示す図。
【図2】本発明の第1の実施例になる検査装置における撮影シーケンスの例を示す図。
【図3】第1の実施例の検査装置における、MRI装置での送信及び受信のタイミング、超音波の送信及び受信のタイミングを簡略化して示すタイミングチャート。
【図4】第1の実施例における画像の更新タイミングの例を示すタイミングチャート。
【図5】第1の実施例の検査装置における、MRI装置での送信及び受信のタイミング、超音波の送信のタイミングを簡略化して示すタイミングチャート。
【図6】第1の実施例の検査装置を用いた超音波加熱凝固治療において撮影されるMR画像を模式的に示す図。
【図7】第1の実施例の検査装置において、超音波装置のデジタル制御系に起因するノイズ信号を含む参照信号を計測する時の、MRI装置のパルスシーケンスと超音波の送受信のタイミングを説明する図。
【図8】本発明の第2の実施例になる検査装置における撮影シーケンスの例を示す図。
【図9】第2の実施例の検査装置において、超音波装置のデジタル制御系に起因するノイズ信号を含む参照信号を計測する時の、MRI装置のパルスシーケンスと超音波の送受信のタイミングを説明する図。
【図10】本発明の検査装置により好適に使用可能なフラット型MRI装置の一例を示す斜視図。
【図11】広い開口部をもつ従来技術におけるMRI装置の例を示す斜視図。
【符号の説明】
1…励起用RFパルス、2−1…位相エンコード方向の傾斜磁場、3−1、3−3…ディフェーズ用傾斜磁場、3−2…リードアウト方向の傾斜磁場、4−1…スライス方向の傾斜磁場、6、6−1…MR信号、7…MR信号の取得区間、9−1…時間区間(2)、9−2…時間区間(4)、19−1…時間区間(2)、19−2…時間区間(4)、19−3…時間区間(6)、71…180度RFパルス、101…静磁場発生装置、102…傾斜磁場コイル、103…被写体、104…MRI制御系、105…傾斜磁場電源、106…高周波パルス発生器、107…照射用コイル、108…受信器、109…計算機、110…ディスプレイ、111…記憶媒体、112…シムコイル、113…シム電源、115…RFパワーアンプ、116…受信用コイル、201…時間制御用トリガー、208…検波回路、209…計算機、210…超音波探触子、221…送波波形メモリ、222…送波ビームフォーマ、223…送受波切り替えSW、224…TGCAMP、225…受波ビームフォーマ、226…超音波制御系、231…漏洩電波フリーズ信号、232…探触子切り離しSW、233…超音波探触子のケーブル。

Claims (12)

  1. 静磁場の中に置かれた検査対象に、高周波磁場、傾斜磁場を印加して、前記検査対象から発生する核磁気共鳴信号を検出するための所定のパルスシーケンスを、繰返し実行する核磁気共鳴装置と、前記検査対象に対して、超音波の送信、又は、超音波の送信及び受信を行なう超音波装置とを有し、かつ、前記核磁気共鳴装置からの制御信号に基いて、前記所定のパルスシーケンスの中の特定の時間区間で、前記超音波の送信、又は、前記超音波の送信及び受信を行う制御を繰り返すことにより、前記核磁気共鳴装置による画像の撮影中に前記超音波装置による画像を並行して表示するよう構成したことを特徴とする検査装置。
  2. 静磁場の中に置かれた検査対象に、高周波磁場、傾斜磁場を印加して、前記検査対象から発生する核磁気共鳴信号を検出するための所定のパルスシーケンスを、繰返し実行する核磁気共鳴装置と、前記検査対象に対して、超音波の送信、又は、前記超音波の送信及び受信を行なう超音波装置と、前記所定のパルスシーケンスを制御する信号に基づいて、前記超音波の送信、又は、前記超音波の送信及び受信を、前記所定のパルスシーケンスを行う時間区間を含む時間区間において繰返し行なうように、前記超音波装置を制御する手段とを有することを特徴とする検査装置。
  3. 静磁場の中に置かれた検査対象に、高周波磁場、傾斜磁場を印加して、前記検査対象から発生する核磁気共鳴信号を検出するための所定のパルスシーケンスを、繰返し実行する核磁気共鳴装置と、前記検査対象に対して、超音波の送信、又は、前記超音波の送信及び受信を行なう超音波装置と、前記核磁気共鳴装置を駆動する制御信号に基づいて、前記所定のパルスシーケンスの実行中に、前記超音波の送信、又は、前記超音波の送信及び受信を、前記所定のパルスシーケンスを行う時間区間を含む時間区間において繰返し行なうように、前記超音波装置を制御する手段とを有することを特徴とする検査装置。
  4. 静磁場の中に置かれた検査対象に、高周波磁場、傾斜磁場を印加して、前記検査対象から発生する核磁気共鳴信号を検出するための所定のパルスシーケンスを、繰返し実行する核磁気共鳴装置と、前記検査対象に対して、超音波の送信、又は、前記超音波の送信及び受信を行なう超音波装置と、前記核磁気共鳴装置を駆動する制御信号に基づいて、前記所定のパルスシーケンスの中の特定の時間区間で、前記超音波の送信、又は、前記超音波の送信及び受信を繰返し行なうように、前記超音波装置を制御する手段とを有することを特徴とする検査装置。
  5. 請求項4に記載の検査装置において、前記特定の時間区間が、前記所定のパルスシーケンスの中の、(1)前記高周波磁場を印加する時間区間及び前記核磁気共鳴信号を検出する時間区間を除く少なくとも1つの時間区間、(2)前記高周波磁場を印加する時間区間と前記核磁気共鳴信号を検出する時間区間により挟まれる少なくとも1つの時間区間、(3)前記核磁気共鳴信号を検出する時間区間の直前及び/又は直後の少なくとも1つの時間区間、(4)前記核磁気共鳴信号を検出する時間区間の前及び/又は後の時間区間で、且つ、前記高周波磁場を印加する時間区間を除く時間区間、のうちの何れかの時間区間であることを特徴とする検査装置。
  6. 請求項4に記載の検査装置において、前記高周波磁場を印加しない前記所定のパルスシーケンスを実行して検出された前記核磁気共鳴信号を参照信号として、前記参照信号を用いて、前記所定のパルスシーケンスで検出された前記核磁気共鳴信号から、前記超音波装置の駆動に起因するノイズ信号を低減するよう構成したことを特徴とする検査装置。
  7. 静磁場の中に置かれた検査対象に、高周波磁場、傾斜磁場を印加して、前記検査対象から発生する核磁気共鳴信号を検出するための所定のパルスシーケンスを、繰返し実行する制御を行なうパルスシーケンス制御装置と、前記検査対象の患部に超音波を照射する超音波装置と、前記パルスシーケンス制御装置からの制御信号に基づいて、前記超音波の送信を繰返し行なうように、前記超音波装置を制御する手段と、検出された前記核磁気共鳴信号から核磁気共鳴画像に変換する手段と、前記超音波の送信を繰返しの後に、検出された前記核磁気共鳴信号から変換された、前記患部の前記核磁気共鳴画像を、時系列に表示する前記表示手段とを有することを特徴とする検査装置。
  8. 静磁場の中に置かれた検査対象に、高周波磁場、傾斜磁場を印加して、前記検査対象から発生する核磁気共鳴信号を検出するための所定のパルスシーケンスを繰返して実行する制御を行なう第1の制御装置を具備する核磁気共鳴装置と、前記検査対象に対して、超音波の送信、又は、前記超音波の送信及び受信を制御する第2の制御装置を具備する超音波装置と、前記第1の制御装置からの制御信号に基づいて、前記所定のパルスシーケンスの中の特定の時間区間で、前記超音波の送信、又は、前記超音波の送信及び受信を繰返し行なうように、前記第2の制御装置を制御する手段とを有することを特徴とする検査装置。
  9. 静磁場の中に置かれた検査対象に、高周波磁場、スライス傾斜磁場、位相エンコード傾斜磁場、リードアウト傾斜磁場の各傾斜磁場を印加する所定のパルスシーケンスを、繰返して実行する制御を行なうパルスシーケンス制御装置と、前記リードアウト傾斜磁場が印加された状態で、前記検査対象から発生する核磁気共鳴信号を検出する信号検出手段とを具備する核磁気共鳴装置と、前記検査対象に対して、超音波探触子により、超音波の送信、又は、前記超音波の送信及び受信を行なう手段と、前記超音波の送信及び受信のタイミングを制御するタイミング制御装置とを具備する超音波装置と、前記パルスシーケンス制御装置からの制御信号に基づいて、前記所定のパルスシーケンスの中の特定の時間区間で、前記超音波の送信、又は、前記超音波の送信及び受信を繰返し行なうように、前記タイミング制御手段を制御する手段とを有することを特徴とする検査装置。
  10. 請求項9に記載の検査装置において、前記高周波磁場、前記スライス傾斜磁場、及び、前記位相エンコード傾斜磁場を印加しない前記所定のパルスシーケンスを実行して検出された前記核磁気共鳴信号を参照信号として、前記参照信号を用いて、前記所定のパルスシーケンスで検出された前記核磁気共鳴信号から、前記超音波装置の駆動に起因するノイズ信号を低減するよう構成したことを特徴とする検査装置。
  11. 静磁場の中に置かれた検査対象に、正の極性のスライス傾斜磁場と共に高周波磁場を印加する第1の時間区間と、前記検査対象に、負の極性の前記スライス傾斜磁場、位相エンコード傾斜磁場、及び、負の極性のリードアウト傾斜磁場の各傾斜磁場を印加する第2の時間区間と、正の極性の前記リードアウト傾斜磁場が印加された状態で、前記検査対象から発生する核磁気共鳴信号を検出する第3の時間区間と、前記検査対象に、負の極性の前記スライス傾斜磁場、前記第2の時間区間で印加した前記位相エンコード傾斜磁場の極性と反対の極性をもつ前記位相エンコード傾斜磁場、及び、負の極性の前記リードアウト傾斜磁場の各傾斜磁場を印加する第4の時間区間とを具備する所定のパルスシーケンスを、前記位相エンコード傾斜磁場の大きさを変化させて複数回繰返して実行する制御を行なうパルスシーケンス制御装置と、前記第3の時間区間で前記核磁気共鳴信号を検出する信号検出手段とを具備する核磁気共鳴装置と、前記検査対象に対して、超音波探触子により、超音波の送信、又は、前記超音波の送信及び受信を行なう手段と、前記超音波の送信、又は、前記超音波の送信及び受信のタイミングを制御するタイミング制御装置とを具備する超音波装置と、前記パルスシーケンス制御装置からの制御信号に基づいて、前記第2の時間区間及び/又は前記第4の時間区間で、前記超音波の送信、又は、前記超音波の送信を行なうように、前記タイミング制御装置を制御する手段とを有することを特徴とする検査装置。
  12. 静磁場の中に置かれた検査対象に、正の極性のスライス傾斜磁場と共に第1の高周波磁場を印加する第1の時間区間と、前記検査対象に、負の極性の前記スライス傾斜磁場を印加する第2の時間区間と、前記検査対象に、正の極性の前記スライス傾斜磁場と共に第2の高周波磁場を印加する第3の時間区間と、前記検査対象に、位相エンコード傾斜磁場、及び、負の極性のリードアウト傾斜磁場を印加する第4の時間区間と、正の極性の前記リードアウト傾斜磁場が印加された状態で、前記検査対象から発生する核磁気共鳴信号を検出する第5の時間区間と、核磁化の回復を待つための第6の時間区間とを具備する所定のパルスシーケンスを、前記位相エンコード傾斜磁場の大きさを変化させて複数回繰返して実行する制御を行なうパルスシーケンス制御装置と、前記第5の時間区間で前記核磁気共鳴信号を検出する信号検出手段とを具備する核磁気共鳴装置と、前記検査対象に対して、超音波探触子により、超音波の送信、又は、前記超音波の送信を行なう手段と、前記超音波の送信のタイミングを制御するタイミング制御装置とを具備する超音波装置と、前記パルスシーケンス制御装置からの制御信号に基づいて、前記第2の時間区間、前記第4の時間区間、及び、前記第6の時間区間の少なくとも1つの時間区間で、前記超音波の送信、又は、前記超音波の送信を行なうように、前記タイミング制御装置を制御する手段とを有することを特徴とする検査装置。
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