JP2004208550A - 莓の栽培方法及び莓の子苗の生産方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】子苗の輸送労力を極めて低減化することが可能で、子苗の活着率もよく、かつ、安定した株数の子苗を供給することが可能な莓の栽培技術を提供する
【解決手段】温暖地で採苗した莓の子苗を冷涼地に輸送し、前記冷涼地において莓の子苗の育苗を行い、前記育苗した莓の子苗を前記温暖地に輸送して栽培する莓の栽培方法において、前記温暖地において、莓の親株から成長するランナーの発根基部に、保水した吸水性繊維を取り付けて発根させ、前記発根した発根基部近傍のランナーを切り取って莓の子苗を採取し、前記莓の子苗を、前記吸水性繊維を取り付けたままの状態で前記冷涼地に輸送し、育苗圃場又は育苗容器に定植して子苗の育苗を行う。
【選択図】 図2
【解決手段】温暖地で採苗した莓の子苗を冷涼地に輸送し、前記冷涼地において莓の子苗の育苗を行い、前記育苗した莓の子苗を前記温暖地に輸送して栽培する莓の栽培方法において、前記温暖地において、莓の親株から成長するランナーの発根基部に、保水した吸水性繊維を取り付けて発根させ、前記発根した発根基部近傍のランナーを切り取って莓の子苗を採取し、前記莓の子苗を、前記吸水性繊維を取り付けたままの状態で前記冷涼地に輸送し、育苗圃場又は育苗容器に定植して子苗の育苗を行う。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、莓の栽培技術に関し、特に、炭疽病等の病害にあいにくく、かつ、低廉なコストで実施することが可能な莓の栽培技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、九州をはじめする日本各地の温暖地域において、莓の栽培が盛んに行われている。これら温暖地域での莓の栽培において、特に問題となるのが、莓苗における病害の発生である。特に、莓の育苗期間である高温期に多発する炭疽病は、莓の栽培に壊滅的な被害を及ぼす。炭疽病の病菌は土壌中に生存しており、主としてイチゴの托葉や冠部等、保菌株で越冬し、夏期に分生胞子を形成する。そして、ランナー等に形成した分生胞子が雨滴とともに飛散し、他の莓株に蔓延する。発育適温は28℃前後であるため、高温となる夏期に発病する。炭疽病が発病すると、ランナー、葉柄、托葉などが局部的に変色したり、株が萎凋枯死する。
【0003】
このような、夏期に多く発生する病害を避けるため、近年は、莓の高冷地育苗(例えば、非特許文献1〜3参照)や冷涼地との間の輸送栽培(例えば、非特許文献4,5参照)等のリレー栽培の方法が採られるようになってきている。
【0004】
莓の高冷地育苗には、通常の高冷地育苗、早期山上げ育苗、山下げ栽培が知られている。
【0005】
通常の高冷地育苗は、平地の圃場に定植された莓の親株からランナーを発生させ、子苗を採苗し、子苗を平地で仮植して養成した後、高冷地に山上げする。そして、高冷地で莓の子苗を育苗した後、山下げし、平地に定植して莓を栽培するものである。この場合、通常、採苗された子苗はポット等の育苗容器において養成され、育苗容器ごと山上げが行われる。
【0006】
早期山上げ育苗は、上記と同様に平地で莓の親株からランナー発生させた後、莓の子苗の採苗と同時に山上げをし、高冷地で莓の子苗の育苗を行う。そして、莓の子苗を育苗後、山下げして、平地に定植して莓を栽培する。
【0007】
山下げ栽培は、高地で親株を定植してランナーを発生させ、子苗を採苗下後に、子苗を山下げし、平地に定植して莓を栽培するものである。
【0008】
このように、平地の気温が高温となる育苗期に、子苗を高冷地で育苗することにより、炭疽病の発生を抑えることができる。また、夏期の高冷地は日中の気温がせいぜい25℃程度であるため、莓の光合成の適温域と一致する。また、夜間の最低温度は高くても20℃を超えることはあまりない(通常10℃台である)ため、莓の苗の消耗が少ないという特徴もある。
【0009】
同様に、冷涼地と温暖地との間のリレー栽培においても、高冷地育苗と同様に、莓の育苗を冷涼地(例えば、北海道夕張郡栗山町等)で行い、生育した莓の苗を温暖地(例えば、九州地区や四国地区、安房地区等)に輸送して、温暖地の本圃に定植し、莓の栽培を行う。
【0010】
【非特許文献1】
植松徳雄,「イチゴ栽培の理論と実際」,株式会社誠文堂,1998年6月30日,p.30−34
【非特許文献2】
横溝剛 他,「促成莓栽培の研究(第1報)・準高冷地育苗による花芽分化期促進について」,神奈川県農事試験場園芸部研究報告第1号,p.21−28
【非特許文献3】
農林水産省統計情報部 農林漁業現地情報ホームページ,“いちご栽培を分業化 高冷地育苗で生産農家の労力軽減”,[online],農林水産省統計情報部,[平成14年12月25日検索],インターネット,<URL:http://www.toukei.maff.go.jp/genti/1997_08/97_083_1.html>
【非特許文献4】
近藤弘志,小早川弘文,「『北海道養成苗』利用によるイチゴ育苗の省力化」,香川県農業試験場報告 第47号,1996年,p.31−35
【非特許文献5】
染谷肇,“平成13年いちごリレ−苗の収量結果と今後の管理”,[onine],千葉県農業改良普及センター,[平成14年12月25日検索],インターネット,<URL:http://www.tokyo−bay.ne.jp/ ̄awafukyu/green/g594−03kai.html>
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記莓のリレー栽培では、莓の苗の輸送を伴うことから、輸送費用が嵩むという問題がある。特に、北海道と九州のように、育苗を行う冷涼地と莓産地である温暖地とが離れている場合、莓の苗の輸送コストが大きな負担となり、採算があうようにリレー栽培を行うことに困難を伴う。
【0012】
すなわち、従来の育苗容器で栽培された子苗(以下、「ポット苗」という。)の場合、遠隔地に輸送するには、専用のトラック等にポット苗を積み込み、ポット苗が転倒したり乾燥したりしないように注意しながら輸送する必要があった。そのため、輸送コストが高くならざるを得ないという問題が生じる。
【0013】
また、平地と高冷地間の移動では、一般に交通事情の悪さから、多数の苗を平地と高冷地間を往復して運搬するのは多くの労力を要することとなる。現在、莓の高冷地育苗の普及が遅れている原因は、このような輸送労力の大きさに原因があると考えられている(例えば、非特許文献1参照)。
【0014】
また、莓の子苗を或る程度養成した後に高冷地又は冷涼地に輸送する方法では、子苗の植え替え回数が多くなり、活着率が低下する。また、植え替え回数が多く、労力を要する。そこで、非特許文献1では、子苗を採苗後、仮植することなく山上げを行う早期山上げ育苗が提案されている。この方法であれば、莓の苗の植え替えは2回ですむため、植え替えに要する労力は低減される。しかし、この場合でも、苗の輸送労力は低減されることはない。
【0015】
また、山下げ栽培(非特許文献1参照)や北海道におけるリレー栽培(非特許文献)では、冷涼地において親株からランナーを発生させて、子苗を採苗する方法が採られている。しかし、この場合、冷涼地ではランナーの発生がその年の気温によって大きく左右される場合が多く、1つの親株から採苗される子苗の数が、その年の気温によって大きく左右される。従って、供給する子苗の数を安定させるためには、余分に多くの親株を用意する必要があり、効率が悪いという問題がある。従って、温暖地において子苗の採苗を行う方が、採苗される子苗の数が安定するため有利である。
【0016】
そこで、本発明の目的は、子苗の輸送労力を極めて低減化することが可能で、子苗の活着率もよく、かつ、安定した株数の子苗を供給することが可能な莓の栽培技術を提供することにある。
【0017】
また、本発明の目的は、リレー栽培において、輸送労力を低減化することを可能とし、育苗圃場又は育苗容器に定植した後にも活着のよい子苗の生産方法を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る莓の栽培方法は、温暖地で採苗した莓の子苗を冷涼地に輸送し、前記冷涼地において莓の子苗の育苗を行い、前記育苗した莓の子苗を前記温暖地に輸送して栽培する莓の栽培方法であって、前記温暖地において、莓の親株から成長するランナーの発根基部に、保水した吸水性繊維を取り付けて発根させ、前記発根した発根基部近傍のランナーを切り取って莓の子苗を採取し、前記莓の子苗を、前記吸水性繊維を取り付けたままの状態で前記冷涼地に輸送し、育苗圃場又は育苗容器に定植して子苗の育苗を行うことを特徴とする。
【0019】
ここで、「温暖地で採苗した莓の子苗を冷涼地に輸送し、前記冷涼地において莓の子苗の育苗を行い、前記育苗した莓の子苗を前記温暖地に輸送して栽培する莓の栽培方法」とは、いわゆる莓の高冷地育苗や冷涼地育苗等のリレー栽培をいう。また、「温暖地」とは、一義的に定義することは困難であるが、例えば、九州地域、四国地域のように春期(4〜5月)の平均気温が10℃を超えるような地域をいう。「冷涼地」も、一義的に定義することは困難であるが、例えば、北海道地域や高原地域のように、夏期(6〜9月)の平均気温が25℃を超えないような地域をいう。
【0020】
このように、莓の子苗を、吸水性繊維を取り付けた状態で冷涼地に輸送するため、輸送する子苗の容量が、ポット苗に比べて極めて小さく、重量も軽い。そのため、輸送が極めて容易となり、輸送コストも低廉となる。
【0021】
すなわち、このようにな形態の子苗であれば、ビニール袋等の乾燥防止部材に包んで保冷容器等に詰め込み、郵便や宅配便のサービスを利用して冷涼地に輸送することが可能となるため、子苗の輸送労力は極めて低減化されるとともに、輸送コストも極めて低廉となる。
【0022】
また、ランナーに吸水性繊維を取り付けた状態で、吸水性繊維内に発根させて子苗を生産するため、子苗の採苗が容易であり、採苗時の作業性がよい。更に、吸水性繊維内に発根した莓の苗の根は、常に湿潤状態を保持されることから、根部が乾燥して成長が停止するようなことがないため、育苗圃場や育苗容器に定植した際に活着が良好となる。
【0023】
更に、採苗される子苗の大きさが1本のランナーにおける何次の子苗であるかによらず、ほぼ一定となる。これは次のような理由による。各次数の子苗は、親株から伝わってくる養分と発根した根から吸い上げる養分により成長する。子苗が発根して土中に根を張った場合、子苗は土中からの養分により葉が大きく生長する。従って、親株から近い順、すなわち、次数の低い順に大きな子苗ができる。しかし、子苗を保水した吸水性繊維に発根させた場合、子苗の根は水分は吸収できるが養分は吸収できない。従って、子苗にはランナーを通して親株のみから養分が供給されるため、どの次数の子苗も葉が大きく生長しない。従って、総ての次数の子苗の大きさは、小さく揃ったものとなる。このように、小さめに揃った大きさの子苗が得られるため、輸送容量が小さくでき、また、生産される莓の苗の大きさを揃えることができる。
【0024】
また、本発明においては、前記冷涼地において、前記莓の子苗が花芽分化する直前又は直後に、前記莓の子苗を温暖地に輸送し、前記温暖地の本圃に定植することができる。
【0025】
このように、花芽分化する時期まで冷涼地で育苗すると、温暖地において花芽分化させた場合に比べて花芽の数が多くなる傾向がみられる。これは、冷涼地の夏期の気候が、日中においても25℃を超えること少ないため、莓の光合成適温域と一致し、莓の生育が促進されるためであると考えられる。そのため、莓の子苗の生長が速いため、温暖地で育苗した場合に比べて子苗の株が大きく成長する。そして、株が大きいために花芽に供給される養分も多くなり、花芽の数が多くなる。従って、この方法により、頂花房による収穫量を上げることができ、莓の収穫量を増加させることが可能となる。
【0026】
また、本発明においては、前記莓の子苗を前記冷涼地に輸送する際において、輸送中の莓の子苗の環境温度を0℃以上5℃以下とすることができる。
【0027】
このように、輸送中の莓の子苗の環境温度を0℃以上5℃以下とすることで、苗の活性化が促進され子苗を育苗圃場に定植後に、子苗の発根が促進される。その結果、子苗の活着が良好となる。また、子苗は、吸水性繊維を取り付けた状態で冷涼地に輸送するため、輸送する子苗の容量が小さく、子苗の冷却には大きな冷蔵設備は必要としない。すなわち、輸送中に冷蔵することも容易である。例えば、子苗を発泡スチロール等の保冷容器に保冷剤と共に収容し、現在広く行われている郵便や宅急便(登録商標)等の冷蔵運送サービスを利用することができる。従って、安価なコストで保冷輸送することも容易である。
【0028】
ここで、輸送中の莓の子苗の環境温度を0℃以上としたのは、0℃以下では莓の子苗が凍傷を起こすからである。また、5℃以下としたのは、5℃より温度が高いと、輸送中に莓の子苗の呼吸等の活動が活発となり、輸送中の子苗の消耗が大きくなるからである。
【0029】
また、本発明においては、前記親株は高設栽培により栽培容器内で栽培し、前記ランナーを栽培容器外へ伸長させるようにすることができる。
【0030】
これにより、ランナーが接地して発根することを防ぐことができる。従って、吸水性繊維をランナーに取り付け、発根させたい時期に保水処理を施すことで、子苗の発根時期を調整することが容易となる。また、子苗が空中にあるため、子苗の採苗の作業性も向上する。
【0031】
また、本発明においては、前記ランナーに吸水性繊維を取り付ける時期は、前記温暖地の平均気温が15℃以上25℃以下の時期とすることができる。
【0032】
この温度域において、ランナーに吸水性繊維を取り付けると、子苗は通常2〜3日で発根を始める。そして、10〜14日程度が経過した後には、根の長さが4cm程度に達し、輸送に適した状態となる。このように、輸送時期と子苗の根の成長度の調節が容易となる。上記吸水性繊維を取り付ける時期の平均気温が15℃よりも低くなると、吸水性繊維を取り付けてから子苗の発根するまでの期間が長くなるとともに、発根までの期間のばらつきが大きくなるため輸送時期と子苗の根の成長度の調節が難しくなる。逆に、吸水性繊維を取り付ける時期の平均気温が25℃を超えると、炭疽病の発育適温である28℃に近くなり、子苗が発病しやすくなるため好ましくない。
【0033】
また、上述のように、平均気温が15℃以上25℃以下の時期に前記ランナーに吸水性繊維を取り付けた場合、前記ランナーから子苗を採取する時期は、ランナーに吸水性繊維を取り付け保水処理を開始してから7日以上20日以下の期間が経過した後とするのが好適である。通常、子苗の根の長さが4cm程度となり、輸送に適した大きさの子苗が得られるからである。尚、20日を経過すると、根の成長が停止する傾向が見られ、定植後の子苗の活着が悪くなる傾向が見られる。また、7日よりも短いと、子苗の根の成長が十分でないため、子苗の定植後の活着が悪くなる傾向が見られる。
【0034】
また、本発明においては、前記子苗が花芽分化時期の直前から10日後以内の時期に、前記育苗圃場で育苗した子苗を温暖地に輸送し、本圃に定植することができる。
【0035】
花芽分化後に育苗圃場で育苗した子苗を温暖地に輸送し、本圃に定植した場合、花芽はそのまま成長を続ける。また、花芽分化直前に育苗圃場で育苗した子苗を温暖地に輸送し、本圃に定植した場合、移植時のストレスによって、花芽の生育はしばらくの間停滞し、数日間経過後に花芽の成長が再開する。そのため、花芽分化直後に輸送し本圃に定植した場合とほぼ同じペースで花芽が成長し開花する。従って、子苗が花芽分化時期の前前から10日後以内の時期に、前記育苗圃場で育苗した子苗を温暖地に輸送し、本圃に定植することで、各莓株の花芽の成長速度を合わせ、各莓株の頂花房の成長を合わせることができる。
【0036】
本発明に係る莓の子苗の生産方法は、温暖地において、莓の親株から成長するランナーの発根基部に、保水した吸水性繊維を取り付けて発根させ、発根した発根基部近傍を切り取って子苗を採取し、前記子苗を、吸水性繊維を取り付けた状態で冷涼地に輸送し、育苗圃場又は育苗容器に定植することを特徴とする。
【0037】
また、前記子苗を冷涼地に輸送する際において、輸送中の子苗の環境温度を0℃以上5℃以下の温度とすることを特徴とする。
【0038】
これにより、上述したように、リレー栽培において、輸送労力を低減化することを可能とし、育苗圃場又は育苗容器に定植した後にも活着のよい子苗の生産が可能となる。
【0039】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
まず、温暖地において、高設栽培により親株を育成する。親株の栽培は、高設栽培の架台上に接地された栽培槽内で行われる。温暖地とは、例えば、莓の産地として有名な筑後平野等である。
【0040】
図1は親株から発生したランナーの状態を示す模式図である。
図1(a)は親株からランナーが発生した状態、図1(b)はランナーの発根基部に保水した吸水性繊維を取り付けて発根させた状態を示す。なお、ここでは、吸水性繊維としては、レーヨンの不織布等の繊維集合体を使用している。また、輸送中の保水性を高くするためには、高吸水性ポリマーを使用してもよい。
【0041】
図1(a)のように、莓の親株Pを架台1上に設置された栽培槽2において栽培する。親株のクラウン(樹冠)AからはランナーRが発生し、成長する。この際、ランナーRを、図1(a)のように、栽培槽2の外側に伸長させる。ランナーRは、伸長するに従って節が形成され、この節が発根基部B1,B2,B3,・・・となる。また、この節部に新たなクラウンが形成され、葉が成長し子苗C1,C2,C3,・・・となる。ここで、親株からランナーRに沿ってn番目にある子苗Cnをn次の子苗という。
【0042】
親株Pは温暖地で栽培されるため、4〜5月の春期においては、平均気温は10℃を超え、ランナーRの成長は速い。従って、冷涼地で親株Pを栽培する場合に比べて、子苗の数を安定して生産することが可能である。
【0043】
上述のように親株Pを高設栽培により育成した場合、各子苗C1,C2,C3,・・・の発根基部B1,B2,B3,・・・は空中につり下がった状態にあり、乾燥しているために発根しない。そこで、この状態で、各発根基部B1,B2,B3,・・・に、4cm角程度の吸水性繊維からなる不織布3をステープルで付着し、散水や寒冷紗被覆下での散水により不織布3内の水分を保つようにする。これにより、各発根基部B1,B2,B3,・・・の発根が促進される。
【0044】
ここで、不織布3を取り付けた際の親株P周辺の気温が低いと、子株C1,C2,C3,・・・の成長は鈍く、不織布3を取り付けてから発根時期が遅く、ばらつきが大きい。従って、平均気温が15℃以上の時期に不織布3を取り付ける。これにより、各発根基部B1,B2,B3,・・・のほぼ総てが、不織布3を取り付けてから2〜3日で発根を始める。そして、7〜20日程度が経過した後には、根の長さが4cm程度に達し、丁度、不織布3の幅いっぱいに根が成長する。
【0045】
そこで、この状態で、発根基部B1,B2,B3,・・・の近傍(図1(b)のL1,L2,L3,・・・の区間)のランナーRを切り取り、子株C1,C2,C3,・・・を採苗する。このとき、子苗C1,C2,C3,・・・の根が、不織布3からはみ出すと、根の先端の成長点が空気中に曝されて乾燥する。従って、採苗は、子苗の根が不織布からはみ出す前に行うのがよい。
【0046】
尚、平均気温が25℃より高くなると、炭疽病が発病しやすくなるため、子苗C1,C2,C3,・・・の採苗は、気温が15〜25℃となる時期に行うようにする。
【0047】
図2は採苗された子苗を表す図である。
このように、採苗された子苗は、ポット苗のように根鉢がなく、最小限の茎、葉及び根からなるため、容量が小さく軽量であり、極めて運搬に適している。そこで、採苗した子苗を、冷涼地に輸送する。このとき、輸送時の子苗の周囲温度は、0〜5℃に保つようにする。このように低温に保つことで、輸送中の子苗の呼吸等の活動が抑制され、輸送中における子苗の消耗を抑えることができる。また、低温に保つことで、冷涼地の育苗圃場に定植した後に、温度上昇が刺激となって子苗の根の成長が促進されるため、子苗の活着が更に良好となる。
【0048】
尚、子苗は図2のように、極めてコンパクトな形態であるため、輸送にあたっては、保冷容器(例えば、発泡スチロールの密閉容器)に、保冷剤と共に子苗を詰めて輸送することができる。輸送は、専用のトラック等は必要なく、一般に広く普及している冷蔵輸送サービス(郵便や宅配便のサービス)を利用できるため、輸送費用は極めて安価となる。
【0049】
実際に、実験で使用した莓の苗を箱詰めしたところ、25cm×35cm×45cmの保冷箱に子苗を800本収容することが可能であり、重量は約5kgであった。
【0050】
冷涼地に輸送した子苗は、吸水性繊維の不織布3が付いたままの状態で、育苗圃場に定植する。そして、冷涼地の育苗圃場で、子苗を育苗する。冷涼地とは、例えば、リレー育苗の育苗地としてよく利用される北海道等である。このように、冷涼地において子苗を育苗することで、育苗期に子苗が炭疽病等の高温を発育適温とする病害にあうことを避けることができる。また、子苗の育苗を冷涼地で行うと、夏期でも平均気温が25℃を超え超えること少ないため、莓の光合成適温域と一致し、温暖地で育苗した場合に比べて子苗の株が大きく成長する。そして、花芽の数も多くなる。従って、頂花房による収穫量を上げることができ、莓の収穫量を増加させることが可能となる。
【0051】
成長した子苗は、花芽分化の前3日から花芽分化の後10日の間に育苗圃場から掘り出して、搬送容器に収容する。そして、温暖地に輸送され、温暖地の本圃に定植される。
【0052】
図3は温暖地である福岡と寒冷地である札幌の間でリレー育苗を行う場合の莓の栽培期間の平均気温の変化を表す図である。
【0053】
図3のように、福岡で5月頃に子苗を採苗して札幌に輸送し、6月から9月までの期間札幌で育苗を行い、9月上旬に、成長した莓の苗を福岡に輸送して、福岡の本圃に定植する。このようにすれば、福岡での平均気温が25℃を上回る7月〜8月には、札幌の平均気温は20℃程度であるため、育苗期間中の炭疽病等の病害の発生は抑えることができる。
【0054】
従来は、このようなリレー育苗をしようとした場合、子苗の輸送費が高額となるために採算性に問題があったが、本実施形態のように、吸水性繊維からなる不織布内に発根させた子苗を使用することで、輸送費用が低廉化され、十分に採算のとれる費用で福岡−札幌間のリレー育苗が可能となる。
【0055】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、子苗を、吸水性繊維を取り付けた状態で冷涼地に輸送するため、輸送する子苗の容量が、ポット苗に比べて小さく、重量も軽い。そのため、輸送が容易であり、輸送コストも低廉となる。従って、莓の産地である温暖地に対して育苗地である冷涼地が遠隔の地である場合(例えば、温暖地が九州、冷涼地が北海道の場合等。)であっても、十分に採算がとれるようにリレー栽培を行うことが可能となる。
【0056】
また、温暖地で、ランナーの発根基部に、吸水性繊維を取り付けて発根させるため、冷涼地で子苗を採取する場合に比べて、1つの親株から採取可能な子苗の株数を安定させることができる。そのため、親株の数から採取可能な子苗の数の予測が容易である。従って、親株の数に大幅な余裕をもたせる必要がなく、子苗生産の歩留まりがよい。
【0057】
また、花芽分化する直前又は直後に、莓の子苗を温暖地に輸送し、温暖地の本圃に定植することで、莓苗の1株あたりの頂花房の数を増やし、頂花房による収穫量を上げ、頂花房による莓の収穫量を増加させることが可能となる。特に、莓の頂花房による収穫期は、莓の需要の最も高まる時期(12月中旬のクリスマスシーズン)に一致することから、頂花房による収穫量を上げることにより、莓生産による収益を大きく伸ばすことが可能となる。
【0058】
また、輸送中の莓の子苗の環境温度を0℃以上5℃以下とすることで、冷涼地に定植後の子苗の発根が促進され、花芽分化時期までに大きな株の子苗を育成することが可能となる。
【0059】
また、莓の親株を高設栽培により栽培容器内で栽培し、ランナーを栽培容器外へ伸長させることで、子苗の発根時期を調整することが容易となるため、子苗の栽培の時期的管理を正確に行うことができる。また、子苗の採苗の労力も軽減される。
【図面の簡単な説明】
【図1】親株から発生したランナーの状態を示す模式図である。
【図2】採苗された子苗を表す図である。
【図3】温暖地である福岡と寒冷地である札幌の間でリレー育苗を行う場合の莓の栽培期間の平均気温の変化を表す図である。
【符号の説明】
1 架台
2 栽培槽
3 不織布
P 親株
R ランナー
A クラウン
B1,B2,B3 発根基部
C1,C2,C3 子苗
【発明の属する技術分野】
本発明は、莓の栽培技術に関し、特に、炭疽病等の病害にあいにくく、かつ、低廉なコストで実施することが可能な莓の栽培技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、九州をはじめする日本各地の温暖地域において、莓の栽培が盛んに行われている。これら温暖地域での莓の栽培において、特に問題となるのが、莓苗における病害の発生である。特に、莓の育苗期間である高温期に多発する炭疽病は、莓の栽培に壊滅的な被害を及ぼす。炭疽病の病菌は土壌中に生存しており、主としてイチゴの托葉や冠部等、保菌株で越冬し、夏期に分生胞子を形成する。そして、ランナー等に形成した分生胞子が雨滴とともに飛散し、他の莓株に蔓延する。発育適温は28℃前後であるため、高温となる夏期に発病する。炭疽病が発病すると、ランナー、葉柄、托葉などが局部的に変色したり、株が萎凋枯死する。
【0003】
このような、夏期に多く発生する病害を避けるため、近年は、莓の高冷地育苗(例えば、非特許文献1〜3参照)や冷涼地との間の輸送栽培(例えば、非特許文献4,5参照)等のリレー栽培の方法が採られるようになってきている。
【0004】
莓の高冷地育苗には、通常の高冷地育苗、早期山上げ育苗、山下げ栽培が知られている。
【0005】
通常の高冷地育苗は、平地の圃場に定植された莓の親株からランナーを発生させ、子苗を採苗し、子苗を平地で仮植して養成した後、高冷地に山上げする。そして、高冷地で莓の子苗を育苗した後、山下げし、平地に定植して莓を栽培するものである。この場合、通常、採苗された子苗はポット等の育苗容器において養成され、育苗容器ごと山上げが行われる。
【0006】
早期山上げ育苗は、上記と同様に平地で莓の親株からランナー発生させた後、莓の子苗の採苗と同時に山上げをし、高冷地で莓の子苗の育苗を行う。そして、莓の子苗を育苗後、山下げして、平地に定植して莓を栽培する。
【0007】
山下げ栽培は、高地で親株を定植してランナーを発生させ、子苗を採苗下後に、子苗を山下げし、平地に定植して莓を栽培するものである。
【0008】
このように、平地の気温が高温となる育苗期に、子苗を高冷地で育苗することにより、炭疽病の発生を抑えることができる。また、夏期の高冷地は日中の気温がせいぜい25℃程度であるため、莓の光合成の適温域と一致する。また、夜間の最低温度は高くても20℃を超えることはあまりない(通常10℃台である)ため、莓の苗の消耗が少ないという特徴もある。
【0009】
同様に、冷涼地と温暖地との間のリレー栽培においても、高冷地育苗と同様に、莓の育苗を冷涼地(例えば、北海道夕張郡栗山町等)で行い、生育した莓の苗を温暖地(例えば、九州地区や四国地区、安房地区等)に輸送して、温暖地の本圃に定植し、莓の栽培を行う。
【0010】
【非特許文献1】
植松徳雄,「イチゴ栽培の理論と実際」,株式会社誠文堂,1998年6月30日,p.30−34
【非特許文献2】
横溝剛 他,「促成莓栽培の研究(第1報)・準高冷地育苗による花芽分化期促進について」,神奈川県農事試験場園芸部研究報告第1号,p.21−28
【非特許文献3】
農林水産省統計情報部 農林漁業現地情報ホームページ,“いちご栽培を分業化 高冷地育苗で生産農家の労力軽減”,[online],農林水産省統計情報部,[平成14年12月25日検索],インターネット,<URL:http://www.toukei.maff.go.jp/genti/1997_08/97_083_1.html>
【非特許文献4】
近藤弘志,小早川弘文,「『北海道養成苗』利用によるイチゴ育苗の省力化」,香川県農業試験場報告 第47号,1996年,p.31−35
【非特許文献5】
染谷肇,“平成13年いちごリレ−苗の収量結果と今後の管理”,[onine],千葉県農業改良普及センター,[平成14年12月25日検索],インターネット,<URL:http://www.tokyo−bay.ne.jp/ ̄awafukyu/green/g594−03kai.html>
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記莓のリレー栽培では、莓の苗の輸送を伴うことから、輸送費用が嵩むという問題がある。特に、北海道と九州のように、育苗を行う冷涼地と莓産地である温暖地とが離れている場合、莓の苗の輸送コストが大きな負担となり、採算があうようにリレー栽培を行うことに困難を伴う。
【0012】
すなわち、従来の育苗容器で栽培された子苗(以下、「ポット苗」という。)の場合、遠隔地に輸送するには、専用のトラック等にポット苗を積み込み、ポット苗が転倒したり乾燥したりしないように注意しながら輸送する必要があった。そのため、輸送コストが高くならざるを得ないという問題が生じる。
【0013】
また、平地と高冷地間の移動では、一般に交通事情の悪さから、多数の苗を平地と高冷地間を往復して運搬するのは多くの労力を要することとなる。現在、莓の高冷地育苗の普及が遅れている原因は、このような輸送労力の大きさに原因があると考えられている(例えば、非特許文献1参照)。
【0014】
また、莓の子苗を或る程度養成した後に高冷地又は冷涼地に輸送する方法では、子苗の植え替え回数が多くなり、活着率が低下する。また、植え替え回数が多く、労力を要する。そこで、非特許文献1では、子苗を採苗後、仮植することなく山上げを行う早期山上げ育苗が提案されている。この方法であれば、莓の苗の植え替えは2回ですむため、植え替えに要する労力は低減される。しかし、この場合でも、苗の輸送労力は低減されることはない。
【0015】
また、山下げ栽培(非特許文献1参照)や北海道におけるリレー栽培(非特許文献)では、冷涼地において親株からランナーを発生させて、子苗を採苗する方法が採られている。しかし、この場合、冷涼地ではランナーの発生がその年の気温によって大きく左右される場合が多く、1つの親株から採苗される子苗の数が、その年の気温によって大きく左右される。従って、供給する子苗の数を安定させるためには、余分に多くの親株を用意する必要があり、効率が悪いという問題がある。従って、温暖地において子苗の採苗を行う方が、採苗される子苗の数が安定するため有利である。
【0016】
そこで、本発明の目的は、子苗の輸送労力を極めて低減化することが可能で、子苗の活着率もよく、かつ、安定した株数の子苗を供給することが可能な莓の栽培技術を提供することにある。
【0017】
また、本発明の目的は、リレー栽培において、輸送労力を低減化することを可能とし、育苗圃場又は育苗容器に定植した後にも活着のよい子苗の生産方法を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る莓の栽培方法は、温暖地で採苗した莓の子苗を冷涼地に輸送し、前記冷涼地において莓の子苗の育苗を行い、前記育苗した莓の子苗を前記温暖地に輸送して栽培する莓の栽培方法であって、前記温暖地において、莓の親株から成長するランナーの発根基部に、保水した吸水性繊維を取り付けて発根させ、前記発根した発根基部近傍のランナーを切り取って莓の子苗を採取し、前記莓の子苗を、前記吸水性繊維を取り付けたままの状態で前記冷涼地に輸送し、育苗圃場又は育苗容器に定植して子苗の育苗を行うことを特徴とする。
【0019】
ここで、「温暖地で採苗した莓の子苗を冷涼地に輸送し、前記冷涼地において莓の子苗の育苗を行い、前記育苗した莓の子苗を前記温暖地に輸送して栽培する莓の栽培方法」とは、いわゆる莓の高冷地育苗や冷涼地育苗等のリレー栽培をいう。また、「温暖地」とは、一義的に定義することは困難であるが、例えば、九州地域、四国地域のように春期(4〜5月)の平均気温が10℃を超えるような地域をいう。「冷涼地」も、一義的に定義することは困難であるが、例えば、北海道地域や高原地域のように、夏期(6〜9月)の平均気温が25℃を超えないような地域をいう。
【0020】
このように、莓の子苗を、吸水性繊維を取り付けた状態で冷涼地に輸送するため、輸送する子苗の容量が、ポット苗に比べて極めて小さく、重量も軽い。そのため、輸送が極めて容易となり、輸送コストも低廉となる。
【0021】
すなわち、このようにな形態の子苗であれば、ビニール袋等の乾燥防止部材に包んで保冷容器等に詰め込み、郵便や宅配便のサービスを利用して冷涼地に輸送することが可能となるため、子苗の輸送労力は極めて低減化されるとともに、輸送コストも極めて低廉となる。
【0022】
また、ランナーに吸水性繊維を取り付けた状態で、吸水性繊維内に発根させて子苗を生産するため、子苗の採苗が容易であり、採苗時の作業性がよい。更に、吸水性繊維内に発根した莓の苗の根は、常に湿潤状態を保持されることから、根部が乾燥して成長が停止するようなことがないため、育苗圃場や育苗容器に定植した際に活着が良好となる。
【0023】
更に、採苗される子苗の大きさが1本のランナーにおける何次の子苗であるかによらず、ほぼ一定となる。これは次のような理由による。各次数の子苗は、親株から伝わってくる養分と発根した根から吸い上げる養分により成長する。子苗が発根して土中に根を張った場合、子苗は土中からの養分により葉が大きく生長する。従って、親株から近い順、すなわち、次数の低い順に大きな子苗ができる。しかし、子苗を保水した吸水性繊維に発根させた場合、子苗の根は水分は吸収できるが養分は吸収できない。従って、子苗にはランナーを通して親株のみから養分が供給されるため、どの次数の子苗も葉が大きく生長しない。従って、総ての次数の子苗の大きさは、小さく揃ったものとなる。このように、小さめに揃った大きさの子苗が得られるため、輸送容量が小さくでき、また、生産される莓の苗の大きさを揃えることができる。
【0024】
また、本発明においては、前記冷涼地において、前記莓の子苗が花芽分化する直前又は直後に、前記莓の子苗を温暖地に輸送し、前記温暖地の本圃に定植することができる。
【0025】
このように、花芽分化する時期まで冷涼地で育苗すると、温暖地において花芽分化させた場合に比べて花芽の数が多くなる傾向がみられる。これは、冷涼地の夏期の気候が、日中においても25℃を超えること少ないため、莓の光合成適温域と一致し、莓の生育が促進されるためであると考えられる。そのため、莓の子苗の生長が速いため、温暖地で育苗した場合に比べて子苗の株が大きく成長する。そして、株が大きいために花芽に供給される養分も多くなり、花芽の数が多くなる。従って、この方法により、頂花房による収穫量を上げることができ、莓の収穫量を増加させることが可能となる。
【0026】
また、本発明においては、前記莓の子苗を前記冷涼地に輸送する際において、輸送中の莓の子苗の環境温度を0℃以上5℃以下とすることができる。
【0027】
このように、輸送中の莓の子苗の環境温度を0℃以上5℃以下とすることで、苗の活性化が促進され子苗を育苗圃場に定植後に、子苗の発根が促進される。その結果、子苗の活着が良好となる。また、子苗は、吸水性繊維を取り付けた状態で冷涼地に輸送するため、輸送する子苗の容量が小さく、子苗の冷却には大きな冷蔵設備は必要としない。すなわち、輸送中に冷蔵することも容易である。例えば、子苗を発泡スチロール等の保冷容器に保冷剤と共に収容し、現在広く行われている郵便や宅急便(登録商標)等の冷蔵運送サービスを利用することができる。従って、安価なコストで保冷輸送することも容易である。
【0028】
ここで、輸送中の莓の子苗の環境温度を0℃以上としたのは、0℃以下では莓の子苗が凍傷を起こすからである。また、5℃以下としたのは、5℃より温度が高いと、輸送中に莓の子苗の呼吸等の活動が活発となり、輸送中の子苗の消耗が大きくなるからである。
【0029】
また、本発明においては、前記親株は高設栽培により栽培容器内で栽培し、前記ランナーを栽培容器外へ伸長させるようにすることができる。
【0030】
これにより、ランナーが接地して発根することを防ぐことができる。従って、吸水性繊維をランナーに取り付け、発根させたい時期に保水処理を施すことで、子苗の発根時期を調整することが容易となる。また、子苗が空中にあるため、子苗の採苗の作業性も向上する。
【0031】
また、本発明においては、前記ランナーに吸水性繊維を取り付ける時期は、前記温暖地の平均気温が15℃以上25℃以下の時期とすることができる。
【0032】
この温度域において、ランナーに吸水性繊維を取り付けると、子苗は通常2〜3日で発根を始める。そして、10〜14日程度が経過した後には、根の長さが4cm程度に達し、輸送に適した状態となる。このように、輸送時期と子苗の根の成長度の調節が容易となる。上記吸水性繊維を取り付ける時期の平均気温が15℃よりも低くなると、吸水性繊維を取り付けてから子苗の発根するまでの期間が長くなるとともに、発根までの期間のばらつきが大きくなるため輸送時期と子苗の根の成長度の調節が難しくなる。逆に、吸水性繊維を取り付ける時期の平均気温が25℃を超えると、炭疽病の発育適温である28℃に近くなり、子苗が発病しやすくなるため好ましくない。
【0033】
また、上述のように、平均気温が15℃以上25℃以下の時期に前記ランナーに吸水性繊維を取り付けた場合、前記ランナーから子苗を採取する時期は、ランナーに吸水性繊維を取り付け保水処理を開始してから7日以上20日以下の期間が経過した後とするのが好適である。通常、子苗の根の長さが4cm程度となり、輸送に適した大きさの子苗が得られるからである。尚、20日を経過すると、根の成長が停止する傾向が見られ、定植後の子苗の活着が悪くなる傾向が見られる。また、7日よりも短いと、子苗の根の成長が十分でないため、子苗の定植後の活着が悪くなる傾向が見られる。
【0034】
また、本発明においては、前記子苗が花芽分化時期の直前から10日後以内の時期に、前記育苗圃場で育苗した子苗を温暖地に輸送し、本圃に定植することができる。
【0035】
花芽分化後に育苗圃場で育苗した子苗を温暖地に輸送し、本圃に定植した場合、花芽はそのまま成長を続ける。また、花芽分化直前に育苗圃場で育苗した子苗を温暖地に輸送し、本圃に定植した場合、移植時のストレスによって、花芽の生育はしばらくの間停滞し、数日間経過後に花芽の成長が再開する。そのため、花芽分化直後に輸送し本圃に定植した場合とほぼ同じペースで花芽が成長し開花する。従って、子苗が花芽分化時期の前前から10日後以内の時期に、前記育苗圃場で育苗した子苗を温暖地に輸送し、本圃に定植することで、各莓株の花芽の成長速度を合わせ、各莓株の頂花房の成長を合わせることができる。
【0036】
本発明に係る莓の子苗の生産方法は、温暖地において、莓の親株から成長するランナーの発根基部に、保水した吸水性繊維を取り付けて発根させ、発根した発根基部近傍を切り取って子苗を採取し、前記子苗を、吸水性繊維を取り付けた状態で冷涼地に輸送し、育苗圃場又は育苗容器に定植することを特徴とする。
【0037】
また、前記子苗を冷涼地に輸送する際において、輸送中の子苗の環境温度を0℃以上5℃以下の温度とすることを特徴とする。
【0038】
これにより、上述したように、リレー栽培において、輸送労力を低減化することを可能とし、育苗圃場又は育苗容器に定植した後にも活着のよい子苗の生産が可能となる。
【0039】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
まず、温暖地において、高設栽培により親株を育成する。親株の栽培は、高設栽培の架台上に接地された栽培槽内で行われる。温暖地とは、例えば、莓の産地として有名な筑後平野等である。
【0040】
図1は親株から発生したランナーの状態を示す模式図である。
図1(a)は親株からランナーが発生した状態、図1(b)はランナーの発根基部に保水した吸水性繊維を取り付けて発根させた状態を示す。なお、ここでは、吸水性繊維としては、レーヨンの不織布等の繊維集合体を使用している。また、輸送中の保水性を高くするためには、高吸水性ポリマーを使用してもよい。
【0041】
図1(a)のように、莓の親株Pを架台1上に設置された栽培槽2において栽培する。親株のクラウン(樹冠)AからはランナーRが発生し、成長する。この際、ランナーRを、図1(a)のように、栽培槽2の外側に伸長させる。ランナーRは、伸長するに従って節が形成され、この節が発根基部B1,B2,B3,・・・となる。また、この節部に新たなクラウンが形成され、葉が成長し子苗C1,C2,C3,・・・となる。ここで、親株からランナーRに沿ってn番目にある子苗Cnをn次の子苗という。
【0042】
親株Pは温暖地で栽培されるため、4〜5月の春期においては、平均気温は10℃を超え、ランナーRの成長は速い。従って、冷涼地で親株Pを栽培する場合に比べて、子苗の数を安定して生産することが可能である。
【0043】
上述のように親株Pを高設栽培により育成した場合、各子苗C1,C2,C3,・・・の発根基部B1,B2,B3,・・・は空中につり下がった状態にあり、乾燥しているために発根しない。そこで、この状態で、各発根基部B1,B2,B3,・・・に、4cm角程度の吸水性繊維からなる不織布3をステープルで付着し、散水や寒冷紗被覆下での散水により不織布3内の水分を保つようにする。これにより、各発根基部B1,B2,B3,・・・の発根が促進される。
【0044】
ここで、不織布3を取り付けた際の親株P周辺の気温が低いと、子株C1,C2,C3,・・・の成長は鈍く、不織布3を取り付けてから発根時期が遅く、ばらつきが大きい。従って、平均気温が15℃以上の時期に不織布3を取り付ける。これにより、各発根基部B1,B2,B3,・・・のほぼ総てが、不織布3を取り付けてから2〜3日で発根を始める。そして、7〜20日程度が経過した後には、根の長さが4cm程度に達し、丁度、不織布3の幅いっぱいに根が成長する。
【0045】
そこで、この状態で、発根基部B1,B2,B3,・・・の近傍(図1(b)のL1,L2,L3,・・・の区間)のランナーRを切り取り、子株C1,C2,C3,・・・を採苗する。このとき、子苗C1,C2,C3,・・・の根が、不織布3からはみ出すと、根の先端の成長点が空気中に曝されて乾燥する。従って、採苗は、子苗の根が不織布からはみ出す前に行うのがよい。
【0046】
尚、平均気温が25℃より高くなると、炭疽病が発病しやすくなるため、子苗C1,C2,C3,・・・の採苗は、気温が15〜25℃となる時期に行うようにする。
【0047】
図2は採苗された子苗を表す図である。
このように、採苗された子苗は、ポット苗のように根鉢がなく、最小限の茎、葉及び根からなるため、容量が小さく軽量であり、極めて運搬に適している。そこで、採苗した子苗を、冷涼地に輸送する。このとき、輸送時の子苗の周囲温度は、0〜5℃に保つようにする。このように低温に保つことで、輸送中の子苗の呼吸等の活動が抑制され、輸送中における子苗の消耗を抑えることができる。また、低温に保つことで、冷涼地の育苗圃場に定植した後に、温度上昇が刺激となって子苗の根の成長が促進されるため、子苗の活着が更に良好となる。
【0048】
尚、子苗は図2のように、極めてコンパクトな形態であるため、輸送にあたっては、保冷容器(例えば、発泡スチロールの密閉容器)に、保冷剤と共に子苗を詰めて輸送することができる。輸送は、専用のトラック等は必要なく、一般に広く普及している冷蔵輸送サービス(郵便や宅配便のサービス)を利用できるため、輸送費用は極めて安価となる。
【0049】
実際に、実験で使用した莓の苗を箱詰めしたところ、25cm×35cm×45cmの保冷箱に子苗を800本収容することが可能であり、重量は約5kgであった。
【0050】
冷涼地に輸送した子苗は、吸水性繊維の不織布3が付いたままの状態で、育苗圃場に定植する。そして、冷涼地の育苗圃場で、子苗を育苗する。冷涼地とは、例えば、リレー育苗の育苗地としてよく利用される北海道等である。このように、冷涼地において子苗を育苗することで、育苗期に子苗が炭疽病等の高温を発育適温とする病害にあうことを避けることができる。また、子苗の育苗を冷涼地で行うと、夏期でも平均気温が25℃を超え超えること少ないため、莓の光合成適温域と一致し、温暖地で育苗した場合に比べて子苗の株が大きく成長する。そして、花芽の数も多くなる。従って、頂花房による収穫量を上げることができ、莓の収穫量を増加させることが可能となる。
【0051】
成長した子苗は、花芽分化の前3日から花芽分化の後10日の間に育苗圃場から掘り出して、搬送容器に収容する。そして、温暖地に輸送され、温暖地の本圃に定植される。
【0052】
図3は温暖地である福岡と寒冷地である札幌の間でリレー育苗を行う場合の莓の栽培期間の平均気温の変化を表す図である。
【0053】
図3のように、福岡で5月頃に子苗を採苗して札幌に輸送し、6月から9月までの期間札幌で育苗を行い、9月上旬に、成長した莓の苗を福岡に輸送して、福岡の本圃に定植する。このようにすれば、福岡での平均気温が25℃を上回る7月〜8月には、札幌の平均気温は20℃程度であるため、育苗期間中の炭疽病等の病害の発生は抑えることができる。
【0054】
従来は、このようなリレー育苗をしようとした場合、子苗の輸送費が高額となるために採算性に問題があったが、本実施形態のように、吸水性繊維からなる不織布内に発根させた子苗を使用することで、輸送費用が低廉化され、十分に採算のとれる費用で福岡−札幌間のリレー育苗が可能となる。
【0055】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、子苗を、吸水性繊維を取り付けた状態で冷涼地に輸送するため、輸送する子苗の容量が、ポット苗に比べて小さく、重量も軽い。そのため、輸送が容易であり、輸送コストも低廉となる。従って、莓の産地である温暖地に対して育苗地である冷涼地が遠隔の地である場合(例えば、温暖地が九州、冷涼地が北海道の場合等。)であっても、十分に採算がとれるようにリレー栽培を行うことが可能となる。
【0056】
また、温暖地で、ランナーの発根基部に、吸水性繊維を取り付けて発根させるため、冷涼地で子苗を採取する場合に比べて、1つの親株から採取可能な子苗の株数を安定させることができる。そのため、親株の数から採取可能な子苗の数の予測が容易である。従って、親株の数に大幅な余裕をもたせる必要がなく、子苗生産の歩留まりがよい。
【0057】
また、花芽分化する直前又は直後に、莓の子苗を温暖地に輸送し、温暖地の本圃に定植することで、莓苗の1株あたりの頂花房の数を増やし、頂花房による収穫量を上げ、頂花房による莓の収穫量を増加させることが可能となる。特に、莓の頂花房による収穫期は、莓の需要の最も高まる時期(12月中旬のクリスマスシーズン)に一致することから、頂花房による収穫量を上げることにより、莓生産による収益を大きく伸ばすことが可能となる。
【0058】
また、輸送中の莓の子苗の環境温度を0℃以上5℃以下とすることで、冷涼地に定植後の子苗の発根が促進され、花芽分化時期までに大きな株の子苗を育成することが可能となる。
【0059】
また、莓の親株を高設栽培により栽培容器内で栽培し、ランナーを栽培容器外へ伸長させることで、子苗の発根時期を調整することが容易となるため、子苗の栽培の時期的管理を正確に行うことができる。また、子苗の採苗の労力も軽減される。
【図面の簡単な説明】
【図1】親株から発生したランナーの状態を示す模式図である。
【図2】採苗された子苗を表す図である。
【図3】温暖地である福岡と寒冷地である札幌の間でリレー育苗を行う場合の莓の栽培期間の平均気温の変化を表す図である。
【符号の説明】
1 架台
2 栽培槽
3 不織布
P 親株
R ランナー
A クラウン
B1,B2,B3 発根基部
C1,C2,C3 子苗
Claims (9)
- 温暖地で採苗した莓の子苗を冷涼地に輸送し、前記冷涼地において莓の子苗の育苗を行い、前記育苗した莓の子苗を前記温暖地に輸送して栽培する莓の栽培方法であって、
前記温暖地において、莓の親株から成長するランナーの発根基部に、保水した吸水性繊維を取り付けて発根させ、
前記発根した発根基部近傍のランナーを切り取って莓の子苗を採取し、
前記莓の子苗を、前記吸水性繊維を取り付けたままの状態で前記冷涼地に輸送し、育苗圃場又は育苗容器に定植して子苗の育苗を行うこと
を特徴とする莓の栽培方法。 - 前記冷涼地において、前記莓の子苗が花芽分化する直前又は直後に、前記莓の子苗を温暖地に輸送し、前記温暖地の本圃に定植すること
を特徴とする請求項1記載の莓の栽培方法。 - 前記莓の子苗を前記冷涼地に輸送する際において、輸送中の莓の子苗の環境温度を0℃以上5℃以下とすることを特徴とする請求項1又は2記載の莓の栽培方法。
- 前記親株は高設栽培により栽培容器内で栽培し、前記ランナーを栽培容器外へ伸長させることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一に記載の莓の栽培方法。
- 前記ランナーに吸水性繊維を取り付ける時期は、前記温暖地の平均気温が15℃以上25℃以下の時期であることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一に記載の莓の栽培方法。
- 前記ランナーから子苗を採取する時期は、ランナーに吸水性繊維を取り付け保水処理を開始してから7日以上20日以下の期間が経過した後であることを特徴とする請求項5に記載の莓の栽培方法。
- 前記子苗が花芽分化時期の直前から10日後以内の時期に、前記育苗圃場で育苗した子苗を温暖地に輸送し、本圃に定植すること
を特徴とする請求項1乃至6の何れか一に記載の莓の栽培方法。 - 温暖地において、莓の親株から成長するランナーの発根基部に、保水した吸水性繊維を取り付けて発根させ、
発根した発根基部近傍を切り取って子苗を採取し、
前記子苗を、吸水性繊維を取り付けた状態で冷涼地に輸送し、育苗圃場又は育苗容器に定植すること
を特徴とする莓の子苗の生産方法。 - 前記子苗を冷涼地に輸送する際において、輸送中の子苗の環境温度を0℃以上5℃以下の温度とすることを特徴とする請求項8記載の莓の子苗の生産方法。
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