JP2004207039A - 燃料電池のガス流通安定方法及びその方法に用いるセパレータ並びにそのセパレータを備えた固体高分子形燃料電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】燃料電池におけるセパレータのガス流路が水滴により閉塞された時、反応ガスを安定して流通できるようにする。
【解決手段】セパレータ1に凹溝状のガス流路2がストレートに複数並設され、これらガス流路2間に位置するリブ3の上面にバイパス流路となる凹溝12を設ける。ガス流路2に水滴が付着して流路閉塞した時、反応ガスは膜電極接合体の電極(アノード電極又はカソード電極)外面のガス拡散層13を介してガスリークし、前記凹溝12内に流入する。凹溝12内に流入した反応ガスは、凹溝12の下端部で再びガス拡散層13を介してガスリークし、元のガス流路2又は隣接するガス流路に流入し、ガス流路2の出口から排出用マニホールド6に排出される。
【選択図】 図2
【解決手段】セパレータ1に凹溝状のガス流路2がストレートに複数並設され、これらガス流路2間に位置するリブ3の上面にバイパス流路となる凹溝12を設ける。ガス流路2に水滴が付着して流路閉塞した時、反応ガスは膜電極接合体の電極(アノード電極又はカソード電極)外面のガス拡散層13を介してガスリークし、前記凹溝12内に流入する。凹溝12内に流入した反応ガスは、凹溝12の下端部で再びガス拡散層13を介してガスリークし、元のガス流路2又は隣接するガス流路に流入し、ガス流路2の出口から排出用マニホールド6に排出される。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃料電池のガス流通安定方法及びその方法に用いるセパレータ並びにそのセパレータを備えた固体高分子形燃料電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
燃料電池例えば固体高分子形燃料電池は、固体高分子電解質膜の両面にアノード電極及びカソード電極を接合してなる膜電極接合体(MEA)の両面を、ガス流路を設けたセパレータで挟持してセルを構成し、このセルを複数積層すると共に両端部に端板を添えてロッド等で締め付け一体化することにより電池スタックを構成したものである。そして、アノード電極側に対向するセパレータのガス流路には燃料ガスを流通させ、カソード電極側に対向するセパレータのガス流路には酸化剤ガスを流通させ、固体高分子電解質膜を介して電気化学反応を生じさせることにより直流電力を発電する。
【0003】
上記直流電力を発電する際に水が生成されるが、この生成水はセパレータのガス流路に付着してガス流路を閉塞することがある。又、固体高分子電解質膜の湿潤を保持するために、加湿した反応ガスをセパレータのガス流路に流通させるのが一般的である。このため、反応ガス中の水蒸気が過飽和になったり或は露点が下がったりするとガス流路内で結露し、その水滴がセパレータのガス流路に付着してガス流路を閉塞することもある。
【0004】
このようにセパレータのガス流路内に水が付着して流路を閉塞すると、反応ガスの流れが阻害され、各流路を流れる反応ガス量にバラツキが生じて電池スタックの動作が不安定になり、又電極に対する反応ガスの供給量が不足して発電性能の低下を招く等の不具合が発生する。
【0005】
従来、電池スタックに供給する反応ガス特に酸化剤ガスとしての空気を、流量調節弁を備えた加湿用空気供給管と、流量調節弁を備えた無加湿用空気供給管に分流して供給し、これら流量調節弁の開度を制御器により負荷電流に基づいて制御することによって、反応空気中の水分量を制御し、これによりガス流路への結露や流路閉塞を防止する先行技術が開示されている(例えば、特許文献1)。
【0006】
又、電池スタックの単位セル中への水滴の滞留を回避し、安定して運転できる方法として、燃料電池本体を複数の電池スタックにより構成し、所望の出力に対応して各電池スタックを全負荷運転状態と発電停止状態のいずれかの状態に選定し、電磁開閉弁を制御装置により制御して、全負荷状態に選定した電池スタックには定格流量の燃料ガスと酸化剤ガスを供給し、発電停止状態に選定した電池スタックには燃料ガスと酸化剤ガスの供給を停止して運転を行うようにした先行技術も開示されている(例えば、特許文献2)。
【0007】
【特許文献1】
特開2002−141085号公報
【特許文献2】
特開2002−334711号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記先行技術によると流量調節弁や電磁開閉弁等を必要とし、且つこれらを含む所要の回路が必要となって構成が複雑化し、コスト高を招く原因になる。又、発電反応に伴って電池スタック内で生じる生成水に対する対策としては不満足なものといえる。
【0009】
そこで、本発明は、極めて簡単な構成により生成水や結露水によりガス流路が閉塞された時に、反応ガスの流通を安定させ得るようにした燃料電池のガス流通安定方法及びその方法に用いるセパレータ並びにそのセパレータを備えた固体高分子形燃料電池を提供することを目的とする。
【0010】
本発明者らは、上記の目的において鋭意研究した結果、ガス流路が並設されたセパレータにおいて、ガス流路間に位置するリブにバイパス流路を設けることにより、水滴によってガス流路が閉塞された時、反応ガスを安定して流通させることができることを見出して本発明を完成するに至った。
【0011】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明に係る請求項1は、反応ガスを流通するガス流路が並設されたセパレータを有する燃料電池において、前記セパレータのガス流路間に位置するリブにバイパス流路を設け、ガス流路が水滴で閉塞された時に前記バイパス流路を介して反応ガスが流通することを特徴とする燃料電池のガス流通安定方法である。
【0012】
又、本発明に係る請求項2は、反応ガスを流通するガス流路が並設されたセパレータであって、前記ガス流路間に位置するリブの上面に当該リブの長さ方向に沿って凹溝を設けたことを特徴とする燃料電池のセパレータである。
【0013】
更に、本発明に係る請求項3は、反応ガスを流通するガス流路が並設されたセパレータであって、前記ガス流路間に位置するリブの下流側端部に、当該リブの側面から下端面に抜けるバイパス流路を設けたことを特徴とする燃料電池のセパレータである。
【0014】
本発明に係る請求項4は、請求項2又は請求項3記載のセパレータが電池スタック内に組み込まれていることを特徴とする固体高分子形燃料電池である。
【0015】
【発明の実施の形態】
次に、本発明方法及び本発明に係るセパレータ並びにそのセパレータを備えた固体高分子形燃料電池の実施形態について説明する。図1は、電池スタックに組み込まれるセパレータの構成例を示す平面図である。このセパレータ1は、片面に反応ガスを流通させる複数の凹溝状のガス流路2がストレートに並設され、これらガス流路2間にはリブ3が位置している。
【0016】
又、ガス流路2の入口には凹部状の供給用マニホールド4が各ガス流路入口に連通して設けられ、この供給用マニホールド4は第1ガス供給孔5に連結している。ガス流路2の出口には同じく凹部状の排出用マニホールド6が各ガス流路の出口に連通して設けられ、この排出用マニホールド6は第1ガス排出孔7に連結している。
【0017】
上記第1ガス供給孔5及び第1ガス排出孔7は、電池スタックの積層方向に沿って連通孔を構成し、電池スタックに供給される反応ガスは、第1ガス供給孔5を通って電池スタック内の各セパレータに分配されると共に、各セパレータのガス流路を流通する。即ち、上記セパレータ1で説明すると、分配された反応ガスは第1ガス供給孔5から供給用マニホールド4内に流れ込み、この供給用マニホールド4から各ガス流路2の入口に流入し、これらガス流路2内を出口に向かって流通する。
【0018】
ガス流路2内を流通した反応ガスは、各ガス流路出口から排出用マニホールド6に排出され、この排出用マニホールド6で合流した反応ガスは第1ガス排出孔7に排出される。この第1ガス排出孔7は前記のように電池スタックの積層方向に連通しているため、その連通孔を通って外部に排出される。
【0019】
図示は省略したが、上記セパレータ1のもう一方の片面には、ガス流路又は冷却水を流通させる水流路が設けられるのが一般的であり、そのためセパレータ1には第2ガス供給孔8、第2ガス排出孔9、水供給孔10、水排出孔11が設けられ、これらの孔はそれぞれ電池スタックの積層方向に連通するようにしてある。
【0020】
本発明では、図2及び図3に示すようにセパレータ1のリブ3の上面にバイパス流路となる凹溝12をそれぞれガス流路2とほぼ並行に設ける構成とする。図2(a)では、凹溝12はリブ3のほぼ上流端部から下流端部にかけて連続する1つの長溝となっているが、リブ3の長さ方向に沿って複数個に分断した短溝の集合であっても良い。
【0021】
上記凹溝12の幅はリブ3の幅の1/3〜1/2程度、深さはリブ3の高さの1/3〜1/2程度とする。具体的には、リブ3の幅が例えば1mmの時は、凹溝12の幅を0.3〜0.5mmとし、リブ3の高さが例えば1mmの時は、凹溝12の深さを0.3〜0.5mmとする。尚、凹溝12の断面形状は方形に限らず、例えば半円形その他の形状であっても良い。
【0022】
このようにして、リブ3の上面に凹溝12を設けることにより、ガス流路2内に水滴が付着して流路閉塞が生じた時に、反応ガスが凹溝12を介して流れ、反応ガスの流通を確保することができる。
【0023】
図2(b)のようにセパレータ1のガス流路2面には前記MEAの電極(アノード電極又はカソード電極)が接しており、その電極の外面に位置するガス拡散層13が当接している。ガス流路2を流通する反応ガスは、ガス流路2の出口から前記排出用マニホールド6に排出されるが、ガス流路2の途中に水滴が付着して流路が閉塞されていると、前記ガス拡散層13内に流れ込んでガスリークし、リブ3の凹溝12内に流れ込む。この凹溝12内に流れ込んだ反応ガスは、凹溝12に沿って下端部まで流れ、この下端部で再びガス拡散層13内に流れ込んでガスリークし、元のガス流路2又は隣接するガス流路内に流れ込む。そして、ガス流路2の出口から排出用マニホールド6に排出される。これにより、ガス流路2内に水滴が付着して流路閉塞が生じた時、反応ガスの流通は確保される。
【0024】
水滴による流路閉塞が生じたガス流路2においては、上記のように反応ガスはその水滴を避けて凹溝12内に流れ込むため、厳密にいえばその水滴より下方のガス流路には反応ガスが流れないことになる。しかしながら、前記のように凹溝12を複数個に分断して設けている場合には、いずれかの凹溝内に流れ込んだ反応ガスを元のガス流路に戻すか或は隣接するガス流路に流し込むことができ、ガス流路2は複数個並設されていることから反応ガス流量をある程度平均化することができる。いずれにしても、反応ガスの流通が確保されるために電池スタックの動作が不安定になることはなく、発電性能をほぼ定格に維持することができる。
【0025】
反応ガスは通常、MEAの高分子電解質膜を湿潤状態に保持するために予め加湿されて電池スタックに供給される。この加湿反応ガスがセパレータ1のガス流路2を流通すると、露点が下がった時に反応ガス中の水蒸気が結露して水滴が発生する。従って、発電反応で生じる生成水のみならず、反応ガス中の水蒸気結露により生じる水滴もガス流路に付着して流路閉塞を起こすことが多い。
【0026】
前記のように流路閉塞時に反応ガスが凹溝12内に流れ込むと、凹溝12内で結露して水滴が発生する。この水滴により凹溝12が閉塞されると、バイパス流路としての機能が減退又は喪失するが、その閉塞部分を境にして凹溝12が分断される状態となり、その分断された個々の凹溝がバイパス流路としての機能を発揮するため反応ガスの流通が著しく阻害されることはない。このことはガス流路2内で生じる結露水を減少させる結果になるので却って好都合である。
【0027】
仮に凹溝12全体が水滴により閉塞されたとしたならば、バイパス流路としての機能は失われるが、ガス流路2から凹溝12内に流れ込む反応ガスが遮断されることになり、この結果ガス流路2内の反応ガスの圧力が高くなり、ガス流路2を閉塞している水滴を吹き飛ばして排出用マニホールド6に排出することが可能となる。これにより、ガス流路12での反応ガスの流通を正常に戻すことができる。
【0028】
図4は、本発明に係るセパレータの他の実施形態を示す概略部分平面図である。図4において、複数の凹溝状のガス流路2がストレートに並設され、これらガス流路2間にはリブ3が位置している。リブ3の下端部には、当該リブ3の側面から下端面に抜ける凹溝状のバイパス流路14が設けられている。
【0029】
このバイパス流路14は、ガス流路2に対して直交方向の流路と、この流路に続く並行方向の流路とから構成された平面形状略L字形のものであり、並行方向の流路の長さは限定されない。又、平面形状も略L字形のものに限定されず、例えば直交方向の流路をガス流路2に対して下向き状態に傾斜させ、或は湾曲させるといった形状にすることが可能である。
【0030】
この実施形態では、特にガス流路2の出口付近に溜まる水滴Wに対して有効である。即ち、水滴Wによりガス流路2の出口付近が閉塞された時に、反応ガスはバイパス流路14に流れ込み、このバイパス流路14から排出用マニホールド6に排出する。これにより、ガス流路2を流れる反応ガスの流通を確保することができる。発電反応により生じた生成水はガス流路2の出口付近に溜まり易く、この出口付近に溜まる生成水対策として本実施形態のバイパス流路14は極めて有効である。
【0031】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る請求項1の発明によれば、反応ガスを流通するガス流路が並設されたセパレータを有する燃料電池において、前記セパレータのガス流路間に位置するリブにバイパス流路を設け、ガス流路が水滴で閉塞された時に前記バイパス流路を介して反応ガスが流通するように構成したので、反応ガスの流通安定化を図ることができる。これにより、電池スタックの動作を安定させると共に発電性能を向上させることができる。
【0032】
又、本発明に係る請求項2の発明によれば、反応ガスを流通するガス流路が並設されたセパレータであって、前記ガス流路間に位置するリブの上面に当該リブの長さ方向に沿って凹溝を設けたので、この凹溝がバイパス流路としての機能を発揮することができる。
【0033】
更に、本発明に係る請求項3の発明によれば、反応ガスを流通するガス流路が並設されたセパレータであって、前記ガス流路間に位置するリブの下流側端部に、当該リブの側面から下端面に抜けるバイパス流路を設けたので、特にガス流路の出口付近に溜まる生成水に対して有効に対処することができる。
【0034】
本発明に係る請求項4の発明によれば、請求項2又は請求項3のセパレータが電池スタック内に組み込まれていることを特徴とする固体高分子形燃料電池であるから、常時反応ガスの流通を確保することにより固体高分子形燃料電池の安定化と良好な発電性能を保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】電池スタックに組み込まれるセパレータの構成例を示す平面図である。
【図2】本発明に係るセパレータの実施形態を示すもので、(a)はガス流路間に位置するリブの上面に凹溝を設けた例の概略部分平面図、(b)はその概略部分断面図である。
【図3】本発明に係るセパレータの実施形態を示す概略部分斜視図である。
【図4】本発明に係るセパレータの他の実施形態を示す概略部分平面図である。
【符号の説明】
1…セパレータ
2…ガス流路
3…リブ
4…供給用マニホールド
5…第1ガス供給孔
6…排出用マニホールド
7…第1ガス排出孔
12…凹溝
13…ガス拡散層
14…バイパス流路
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃料電池のガス流通安定方法及びその方法に用いるセパレータ並びにそのセパレータを備えた固体高分子形燃料電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
燃料電池例えば固体高分子形燃料電池は、固体高分子電解質膜の両面にアノード電極及びカソード電極を接合してなる膜電極接合体(MEA)の両面を、ガス流路を設けたセパレータで挟持してセルを構成し、このセルを複数積層すると共に両端部に端板を添えてロッド等で締め付け一体化することにより電池スタックを構成したものである。そして、アノード電極側に対向するセパレータのガス流路には燃料ガスを流通させ、カソード電極側に対向するセパレータのガス流路には酸化剤ガスを流通させ、固体高分子電解質膜を介して電気化学反応を生じさせることにより直流電力を発電する。
【0003】
上記直流電力を発電する際に水が生成されるが、この生成水はセパレータのガス流路に付着してガス流路を閉塞することがある。又、固体高分子電解質膜の湿潤を保持するために、加湿した反応ガスをセパレータのガス流路に流通させるのが一般的である。このため、反応ガス中の水蒸気が過飽和になったり或は露点が下がったりするとガス流路内で結露し、その水滴がセパレータのガス流路に付着してガス流路を閉塞することもある。
【0004】
このようにセパレータのガス流路内に水が付着して流路を閉塞すると、反応ガスの流れが阻害され、各流路を流れる反応ガス量にバラツキが生じて電池スタックの動作が不安定になり、又電極に対する反応ガスの供給量が不足して発電性能の低下を招く等の不具合が発生する。
【0005】
従来、電池スタックに供給する反応ガス特に酸化剤ガスとしての空気を、流量調節弁を備えた加湿用空気供給管と、流量調節弁を備えた無加湿用空気供給管に分流して供給し、これら流量調節弁の開度を制御器により負荷電流に基づいて制御することによって、反応空気中の水分量を制御し、これによりガス流路への結露や流路閉塞を防止する先行技術が開示されている(例えば、特許文献1)。
【0006】
又、電池スタックの単位セル中への水滴の滞留を回避し、安定して運転できる方法として、燃料電池本体を複数の電池スタックにより構成し、所望の出力に対応して各電池スタックを全負荷運転状態と発電停止状態のいずれかの状態に選定し、電磁開閉弁を制御装置により制御して、全負荷状態に選定した電池スタックには定格流量の燃料ガスと酸化剤ガスを供給し、発電停止状態に選定した電池スタックには燃料ガスと酸化剤ガスの供給を停止して運転を行うようにした先行技術も開示されている(例えば、特許文献2)。
【0007】
【特許文献1】
特開2002−141085号公報
【特許文献2】
特開2002−334711号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記先行技術によると流量調節弁や電磁開閉弁等を必要とし、且つこれらを含む所要の回路が必要となって構成が複雑化し、コスト高を招く原因になる。又、発電反応に伴って電池スタック内で生じる生成水に対する対策としては不満足なものといえる。
【0009】
そこで、本発明は、極めて簡単な構成により生成水や結露水によりガス流路が閉塞された時に、反応ガスの流通を安定させ得るようにした燃料電池のガス流通安定方法及びその方法に用いるセパレータ並びにそのセパレータを備えた固体高分子形燃料電池を提供することを目的とする。
【0010】
本発明者らは、上記の目的において鋭意研究した結果、ガス流路が並設されたセパレータにおいて、ガス流路間に位置するリブにバイパス流路を設けることにより、水滴によってガス流路が閉塞された時、反応ガスを安定して流通させることができることを見出して本発明を完成するに至った。
【0011】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明に係る請求項1は、反応ガスを流通するガス流路が並設されたセパレータを有する燃料電池において、前記セパレータのガス流路間に位置するリブにバイパス流路を設け、ガス流路が水滴で閉塞された時に前記バイパス流路を介して反応ガスが流通することを特徴とする燃料電池のガス流通安定方法である。
【0012】
又、本発明に係る請求項2は、反応ガスを流通するガス流路が並設されたセパレータであって、前記ガス流路間に位置するリブの上面に当該リブの長さ方向に沿って凹溝を設けたことを特徴とする燃料電池のセパレータである。
【0013】
更に、本発明に係る請求項3は、反応ガスを流通するガス流路が並設されたセパレータであって、前記ガス流路間に位置するリブの下流側端部に、当該リブの側面から下端面に抜けるバイパス流路を設けたことを特徴とする燃料電池のセパレータである。
【0014】
本発明に係る請求項4は、請求項2又は請求項3記載のセパレータが電池スタック内に組み込まれていることを特徴とする固体高分子形燃料電池である。
【0015】
【発明の実施の形態】
次に、本発明方法及び本発明に係るセパレータ並びにそのセパレータを備えた固体高分子形燃料電池の実施形態について説明する。図1は、電池スタックに組み込まれるセパレータの構成例を示す平面図である。このセパレータ1は、片面に反応ガスを流通させる複数の凹溝状のガス流路2がストレートに並設され、これらガス流路2間にはリブ3が位置している。
【0016】
又、ガス流路2の入口には凹部状の供給用マニホールド4が各ガス流路入口に連通して設けられ、この供給用マニホールド4は第1ガス供給孔5に連結している。ガス流路2の出口には同じく凹部状の排出用マニホールド6が各ガス流路の出口に連通して設けられ、この排出用マニホールド6は第1ガス排出孔7に連結している。
【0017】
上記第1ガス供給孔5及び第1ガス排出孔7は、電池スタックの積層方向に沿って連通孔を構成し、電池スタックに供給される反応ガスは、第1ガス供給孔5を通って電池スタック内の各セパレータに分配されると共に、各セパレータのガス流路を流通する。即ち、上記セパレータ1で説明すると、分配された反応ガスは第1ガス供給孔5から供給用マニホールド4内に流れ込み、この供給用マニホールド4から各ガス流路2の入口に流入し、これらガス流路2内を出口に向かって流通する。
【0018】
ガス流路2内を流通した反応ガスは、各ガス流路出口から排出用マニホールド6に排出され、この排出用マニホールド6で合流した反応ガスは第1ガス排出孔7に排出される。この第1ガス排出孔7は前記のように電池スタックの積層方向に連通しているため、その連通孔を通って外部に排出される。
【0019】
図示は省略したが、上記セパレータ1のもう一方の片面には、ガス流路又は冷却水を流通させる水流路が設けられるのが一般的であり、そのためセパレータ1には第2ガス供給孔8、第2ガス排出孔9、水供給孔10、水排出孔11が設けられ、これらの孔はそれぞれ電池スタックの積層方向に連通するようにしてある。
【0020】
本発明では、図2及び図3に示すようにセパレータ1のリブ3の上面にバイパス流路となる凹溝12をそれぞれガス流路2とほぼ並行に設ける構成とする。図2(a)では、凹溝12はリブ3のほぼ上流端部から下流端部にかけて連続する1つの長溝となっているが、リブ3の長さ方向に沿って複数個に分断した短溝の集合であっても良い。
【0021】
上記凹溝12の幅はリブ3の幅の1/3〜1/2程度、深さはリブ3の高さの1/3〜1/2程度とする。具体的には、リブ3の幅が例えば1mmの時は、凹溝12の幅を0.3〜0.5mmとし、リブ3の高さが例えば1mmの時は、凹溝12の深さを0.3〜0.5mmとする。尚、凹溝12の断面形状は方形に限らず、例えば半円形その他の形状であっても良い。
【0022】
このようにして、リブ3の上面に凹溝12を設けることにより、ガス流路2内に水滴が付着して流路閉塞が生じた時に、反応ガスが凹溝12を介して流れ、反応ガスの流通を確保することができる。
【0023】
図2(b)のようにセパレータ1のガス流路2面には前記MEAの電極(アノード電極又はカソード電極)が接しており、その電極の外面に位置するガス拡散層13が当接している。ガス流路2を流通する反応ガスは、ガス流路2の出口から前記排出用マニホールド6に排出されるが、ガス流路2の途中に水滴が付着して流路が閉塞されていると、前記ガス拡散層13内に流れ込んでガスリークし、リブ3の凹溝12内に流れ込む。この凹溝12内に流れ込んだ反応ガスは、凹溝12に沿って下端部まで流れ、この下端部で再びガス拡散層13内に流れ込んでガスリークし、元のガス流路2又は隣接するガス流路内に流れ込む。そして、ガス流路2の出口から排出用マニホールド6に排出される。これにより、ガス流路2内に水滴が付着して流路閉塞が生じた時、反応ガスの流通は確保される。
【0024】
水滴による流路閉塞が生じたガス流路2においては、上記のように反応ガスはその水滴を避けて凹溝12内に流れ込むため、厳密にいえばその水滴より下方のガス流路には反応ガスが流れないことになる。しかしながら、前記のように凹溝12を複数個に分断して設けている場合には、いずれかの凹溝内に流れ込んだ反応ガスを元のガス流路に戻すか或は隣接するガス流路に流し込むことができ、ガス流路2は複数個並設されていることから反応ガス流量をある程度平均化することができる。いずれにしても、反応ガスの流通が確保されるために電池スタックの動作が不安定になることはなく、発電性能をほぼ定格に維持することができる。
【0025】
反応ガスは通常、MEAの高分子電解質膜を湿潤状態に保持するために予め加湿されて電池スタックに供給される。この加湿反応ガスがセパレータ1のガス流路2を流通すると、露点が下がった時に反応ガス中の水蒸気が結露して水滴が発生する。従って、発電反応で生じる生成水のみならず、反応ガス中の水蒸気結露により生じる水滴もガス流路に付着して流路閉塞を起こすことが多い。
【0026】
前記のように流路閉塞時に反応ガスが凹溝12内に流れ込むと、凹溝12内で結露して水滴が発生する。この水滴により凹溝12が閉塞されると、バイパス流路としての機能が減退又は喪失するが、その閉塞部分を境にして凹溝12が分断される状態となり、その分断された個々の凹溝がバイパス流路としての機能を発揮するため反応ガスの流通が著しく阻害されることはない。このことはガス流路2内で生じる結露水を減少させる結果になるので却って好都合である。
【0027】
仮に凹溝12全体が水滴により閉塞されたとしたならば、バイパス流路としての機能は失われるが、ガス流路2から凹溝12内に流れ込む反応ガスが遮断されることになり、この結果ガス流路2内の反応ガスの圧力が高くなり、ガス流路2を閉塞している水滴を吹き飛ばして排出用マニホールド6に排出することが可能となる。これにより、ガス流路12での反応ガスの流通を正常に戻すことができる。
【0028】
図4は、本発明に係るセパレータの他の実施形態を示す概略部分平面図である。図4において、複数の凹溝状のガス流路2がストレートに並設され、これらガス流路2間にはリブ3が位置している。リブ3の下端部には、当該リブ3の側面から下端面に抜ける凹溝状のバイパス流路14が設けられている。
【0029】
このバイパス流路14は、ガス流路2に対して直交方向の流路と、この流路に続く並行方向の流路とから構成された平面形状略L字形のものであり、並行方向の流路の長さは限定されない。又、平面形状も略L字形のものに限定されず、例えば直交方向の流路をガス流路2に対して下向き状態に傾斜させ、或は湾曲させるといった形状にすることが可能である。
【0030】
この実施形態では、特にガス流路2の出口付近に溜まる水滴Wに対して有効である。即ち、水滴Wによりガス流路2の出口付近が閉塞された時に、反応ガスはバイパス流路14に流れ込み、このバイパス流路14から排出用マニホールド6に排出する。これにより、ガス流路2を流れる反応ガスの流通を確保することができる。発電反応により生じた生成水はガス流路2の出口付近に溜まり易く、この出口付近に溜まる生成水対策として本実施形態のバイパス流路14は極めて有効である。
【0031】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る請求項1の発明によれば、反応ガスを流通するガス流路が並設されたセパレータを有する燃料電池において、前記セパレータのガス流路間に位置するリブにバイパス流路を設け、ガス流路が水滴で閉塞された時に前記バイパス流路を介して反応ガスが流通するように構成したので、反応ガスの流通安定化を図ることができる。これにより、電池スタックの動作を安定させると共に発電性能を向上させることができる。
【0032】
又、本発明に係る請求項2の発明によれば、反応ガスを流通するガス流路が並設されたセパレータであって、前記ガス流路間に位置するリブの上面に当該リブの長さ方向に沿って凹溝を設けたので、この凹溝がバイパス流路としての機能を発揮することができる。
【0033】
更に、本発明に係る請求項3の発明によれば、反応ガスを流通するガス流路が並設されたセパレータであって、前記ガス流路間に位置するリブの下流側端部に、当該リブの側面から下端面に抜けるバイパス流路を設けたので、特にガス流路の出口付近に溜まる生成水に対して有効に対処することができる。
【0034】
本発明に係る請求項4の発明によれば、請求項2又は請求項3のセパレータが電池スタック内に組み込まれていることを特徴とする固体高分子形燃料電池であるから、常時反応ガスの流通を確保することにより固体高分子形燃料電池の安定化と良好な発電性能を保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】電池スタックに組み込まれるセパレータの構成例を示す平面図である。
【図2】本発明に係るセパレータの実施形態を示すもので、(a)はガス流路間に位置するリブの上面に凹溝を設けた例の概略部分平面図、(b)はその概略部分断面図である。
【図3】本発明に係るセパレータの実施形態を示す概略部分斜視図である。
【図4】本発明に係るセパレータの他の実施形態を示す概略部分平面図である。
【符号の説明】
1…セパレータ
2…ガス流路
3…リブ
4…供給用マニホールド
5…第1ガス供給孔
6…排出用マニホールド
7…第1ガス排出孔
12…凹溝
13…ガス拡散層
14…バイパス流路
Claims (4)
- 反応ガスを流通するガス流路が並設されたセパレータを有する燃料電池において、前記セパレータのガス流路間に位置するリブにバイパス流路を設け、ガス流路が水滴で閉塞された時に前記バイパス流路を介して反応ガスが流通することを特徴とする燃料電池のガス流通安定方法。
- 反応ガスを流通するガス流路が並設されたセパレータであって、前記ガス流路間に位置するリブの上面に当該リブの長さ方向に沿って凹溝を設けたことを特徴とする燃料電池のセパレータ。
- 反応ガスを流通するガス流路が並設されたセパレータであって、前記ガス流路間に位置するリブの下流側端部に、当該リブの側面から下端面に抜けるバイパス流路を設けたことを特徴とする燃料電池のセパレータ。
- 請求項2又は請求項3記載のセパレータが電池スタック内に組み込まれていることを特徴とする固体高分子形燃料電池。
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JP2002374840A JP2004207039A (ja) | 2002-12-25 | 2002-12-25 | 燃料電池のガス流通安定方法及びその方法に用いるセパレータ並びにそのセパレータを備えた固体高分子形燃料電池 |
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- 2002-12-25 JP JP2002374840A patent/JP2004207039A/ja active Pending
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