JP2004205157A - 円弧状燃焼ガス通路における伝熱効率を向上させた多管ボイラ - Google Patents
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Abstract
【課題】燃焼ガス流路での燃焼ガス流に乱流を発生させることで、燃焼ガス流路に面している水管の熱吸収効率を向上させる。
【解決手段】中央に燃焼室1、周囲に内外2列の水管列12・13、水管列間に燃焼ガス通路8を設け、燃焼室内で発生した燃焼ガスは、内側水管2の各すきまを放射状に流れて燃焼ガス通路8に入り、燃焼ガス通路では燃焼ガスを円弧状に流す構成としているボイラにおいて、内側水管の燃焼ガス通路に面している表面に、断面扇紙型の内側水管フィンを上下に間隔を開けて多数段取り付け、内側水管フィンは燃焼ガス通路8を円弧状に流れる燃焼ガス流の上流側に当たる側面を燃焼ガス流誘導面とし、燃焼ガス流誘導面が内側水管間のすきま部分を燃焼ガス通路側へ延長した線上に突出するように内側水管フィンを水管真裏からずらして設ける。
【選択図】 図1
【解決手段】中央に燃焼室1、周囲に内外2列の水管列12・13、水管列間に燃焼ガス通路8を設け、燃焼室内で発生した燃焼ガスは、内側水管2の各すきまを放射状に流れて燃焼ガス通路8に入り、燃焼ガス通路では燃焼ガスを円弧状に流す構成としているボイラにおいて、内側水管の燃焼ガス通路に面している表面に、断面扇紙型の内側水管フィンを上下に間隔を開けて多数段取り付け、内側水管フィンは燃焼ガス通路8を円弧状に流れる燃焼ガス流の上流側に当たる側面を燃焼ガス流誘導面とし、燃焼ガス流誘導面が内側水管間のすきま部分を燃焼ガス通路側へ延長した線上に突出するように内側水管フィンを水管真裏からずらして設ける。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、円弧状燃焼ガス通路における伝熱効率を向上させた多管ボイラに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば実開平1−117402号に記載があるように、中央に燃焼室を設け、燃焼室周囲を内外2列の水管列で環状に取り囲み、内側水管列と外側水管列の間に燃焼ガス通路を設けた形状のボイラが広く普及している。このボイラは燃焼室内で火炎の燃焼を行うことで高温の燃焼ガスを発生し、燃焼室周囲を取り囲む水管表面に燃焼ガスを接触させることで水管内の缶水を加熱する。内側水管は隣り合う水管間に間隔を開けて配置しておき、中央の燃焼室から内側水管の各すきまへ向けて燃焼ガスを分散させて流すことで、特定の水管に加熱が集中することを防止している。外側水管は一部の外側水管間にのみすきまを設けてほかの外側水管間はふさいでいるため、燃焼室から放射状に分散させて燃焼ガス通路に入った燃焼ガスは、燃焼ガス通路内を外側水管の開口部へ向けて円弧状に流れ、その際に燃焼ガス通路に面している水管を加熱する。
【0003】
図5は、従来例での燃焼ガスが燃焼ガス通路に入る部分における燃焼ガス流動状態説明図である。燃焼室内の燃焼ガスは内側水管のすきまへ向かって流れ、内側水管すきまから燃焼ガス通路内に入った燃焼ガスは、円弧方向に流れている燃焼ガスに側面から押されることによって、流れの方向が燃焼ガス通路内を流れている燃焼ガスと同じ向きに変化していく。内側水管列のすきまを通過した燃焼ガスは、燃焼ガス通路内を流れている燃焼ガスにとりこまれる形となり、外側水管の開口部へ向けて流れ、燃焼ガス通路に面した水管を加熱していく。
【0004】
また、実開平1−117402号公報に記載しているような内側水管のほぼ全長に渡るフィンを設ける場合は、内側水管間を通過した燃焼ガスを燃焼ガス通路の流動方向に近づける方向にフィンを設ける。フィンの角度を実開平1−117402号と逆向きにしたのでは、燃焼ガス通路内を流れている燃焼ガス流がフィンと内側水管の間に入って、燃焼室側へ逆流することがあり、炉内圧力の上昇などを招く恐れがある。そのため、フィンを設けるのであれば、内側水管間を通過した燃焼ガスが燃焼ガス通路内を流れる燃焼ガス流と浅い角度で合流する向きにフィンを設ける。
【0005】
ところで、ボイラにとって最も重要な改良テーマは、ボイラの効率を向上させることであり、効率向上の研究が盛んに行われている。燃焼ガスの熱を水管に伝える効率を向上させる要素の一つとして、燃焼ガスに乱流を発生させるというのがある。前記構造のボイラであっても、燃焼ガス通路内を流れる燃焼ガス流に乱流を発生させることで伝熱効率の向上が望めるが、どのようにして乱流を発生させるかが問題となる。
【0006】
【特許文献1】実開平1−117402号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、燃焼ガス流路での燃焼ガス流に乱流を発生させることで、燃焼ガス流路に面している水管の熱吸収効率を向上させることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、中央に燃焼室を設け、燃焼室周囲に多数の内側水管と外側水管を設けて内側水管列及び外側水管列を形成し、内側水管列と外側水管列の間を燃焼ガス通路としておき、内側水管列は隣り合う内側水管間に燃焼ガス流動用のすきまを設け、外側水管列は一部の外側水管間にのみすきまを設けてほかの外側水管間はふさいでおくことで、燃焼室内で発生した高温の燃焼ガスは、内側水管の各すきまを放射状に流れて燃焼ガス通路に入り、燃焼ガス通路では燃焼ガスを外側水管列のすきまを設けた部分に向けて円弧状に流す構成としているボイラにおいて、内側水管の燃焼ガス通路に面している表面に、前後を円弧とし左右の側面を直線とした断面扇紙型の内側水管フィンを上下に間隔を開けて多数段取り付け、内側水管フィンは燃焼ガス通路を円弧状に流れる燃焼ガス流の上流側に当たる側面を燃焼ガス流誘導面とし、燃焼ガス流誘導面が内側水管間のすきま部分を燃焼ガス通路側へ延長した線上に突出するように内側水管フィンを水管真裏からずらして設けることで、内側水管の間を通過した燃焼ガスの一部は燃焼ガス流誘導面に衝突するようにしておき、燃焼ガス流誘導面に衝突させることで流れの方向を変えた燃焼ガス流と、燃焼ガス通路内を円弧状に流れてきたガス流が衝突するようにしたことを特徴とする円弧状燃焼ガス通路における伝熱効率を向上させた多管ボイラである。
【0009】
請求項2に記載の発明は、前記の円弧状燃焼ガス通路における伝熱効率を向上させた多管ボイラにおいて、内側水管のすきまを燃焼室の周方向へ延長した線上に外側水管がくるように、内側水管と外側水管をずらして配置しておき、外側水管の燃焼ガス通路に面している部分に、外側水管の周方向に間隔を開けて配置した二枚一組の外側水管フィンを設けたことを特徴とする円弧状燃焼ガス通路における伝熱効率を向上させた多管ボイラである。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施例を図面を用いて説明する。図1は本発明を実施しているボイラの横断面図、図2は図1のA−Aで切断した一部断面正面図、図3は図1の一部を拡大した燃焼ガス流動状況説明図、図4は内側水管の一部を抜き出した一部透過斜視図である。ボイラは中央に燃焼室1を設け、燃焼室1を取り囲むように多数の垂直水管を配置する。水管は内側水管2と外側水管3からなり、内側水管2による内側水管列12と外側水管3による外側水管列13を設けている。内側水管2と外側水管3は同じピッチ角で配置しているが、内側水管2のすきまを燃焼室1の周方向へ延長した線上に外側水管3が来るように、内側水管2と外側水管3はずらして配置する。内側水管列12と外側水管列13で挟まれた環状の空間を第1燃焼ガス通路8、外側水管列13と炉筒11の間を第2燃焼ガス通路9としておき、第2燃焼ガス通路9の一端に燃焼ガス出口10を設ける。
【0011】
内側水管列12は隣り合う水管間には、燃焼ガス流動用のすきまを開けおり、内側水管2に対して交差方向に燃焼ガスが流れるようにしている。外側水管列13は一部の水管間にのみ燃焼ガス流動用のすきまを設け、ほかの水管間は閉鎖用ヒレ4でふさいでおり、外側水管間にすきまを設けた部分と燃焼ガス出口10は燃焼室1を挟んで反対側となるように配置する。燃焼室1と第1燃焼ガス通路8は内側水管列12のすきまで接続し、第1燃焼ガス通路8と第2燃焼ガス通路9は外側水管列13のすきまで接続することで、燃焼室1で発生した燃焼ガスは、第1燃焼ガス通路8、第2燃焼ガス通路9を通って燃焼ガス出口10から出ていくことになる。
【0012】
図4は、内側水管部分を抜き出したものであり、内側水管2の一部を透過させることで、内側水管フィン5の形状が分かるようにしている。内側水管2の第1燃焼ガス通路8に面している側に内側水管フィン5を設ける。内側水管フィン5は、図4に示した通り、幅を持った円弧形の面である上面及び下面、内側水管2と同心円の面である内面及び外面、長方形の面である左側面及び右側面の6面からなり、図4では内側水管フィン5の左側面が燃焼ガス流誘導面6となる。内側水管フィン5は、内面で内側水管2と接合し、上下に一定の間隔を開けて多数段設けており、内側水管間のすきまを通過した燃焼ガスが燃焼ガス流誘導面に衝突するように、内側水管2の真裏から少しずらして設け、燃焼ガス流誘導面6の先端が、第1燃焼ガス通路8内を流れている燃焼ガス流に対して上流側を向くようにしておく。内側水管フィン5の厚さは、薄すぎると燃焼ガス流の誘導効果が少なくなり、熱吸収用フィンとして慣用されている厚さが1mm程度のフィンでは、燃焼ガス流の誘導効果が少ない。また、厚くし過ぎても設置できるフィンの数が少なくなるため、厚さが3〜5mmのフィンを設けることが好ましい。
【0013】
外側水管3の第1燃焼ガス通路8に面した部分にも、外側水管フィン7を多数段設けておく。外側水管3に設ける外側水管フィン7は、内側水管フィン5と同形状であるが、各段に2枚ずつ設けており、2枚の外側水管フィン7は外側水管3の周方向にすきまを開けて設け、外側水管フィン7の間に空間を開けておく。
【0014】
燃焼室1内で火炎の燃焼を行うと、火炎の熱が内側水管2の表側である燃焼室1に面している部分を加熱する。燃焼によって発生した燃焼ガスは各内側水管2のすきまへ向けて放射状に流れる。隣り合う内側水管のすきまは、上下に長く幅の細いものであるため、燃焼ガスの流れも上下に長く幅の細い流れとなって内側水管のすきま部分を流れる。
【0015】
内側水管すきま部分には、燃焼ガス流誘導面6を突き出させるように内側水管フィン5を設けており、内側水管フィン5は上下に間隔を開けて多数段設けているものであるため、内側水管のすきまを流れてきた燃焼ガスは、内側水管フィン5の燃焼ガス流誘導面6に衝突するものと、内側水管フィン5上下のすきまに入るものに分かれる。内側水管フィン5の燃焼ガス流誘導面6に衝突した燃焼ガスは、燃焼ガス流誘導面6に沿って流れることになるため、燃焼ガスの流れ方向が変更される。燃焼ガス流誘導面6の先端は、第1燃焼ガス通路8内を流れている燃焼ガス流に対して上流側を向くようにしているため、燃焼ガス流誘導面6によって流れ方向変更された燃焼ガスは、第1燃焼ガス通路8内を流れている燃焼ガス流と対向する向きに流れることになる。
【0016】
燃焼ガス流誘導面6に沿って流れた燃焼ガスと、第1燃焼ガス通路8内を流れている燃焼ガスは、対向する流れとなっているため、合流部分では深い角度で衝突し、渦を作るような形で乱流を発生しながら混合する。その後、2つの燃焼ガス流は合流して1つの流れとなり、閉鎖用ヒレ4を設けていない外側水管3のすきまを目指して、第1燃焼ガス通路8内を流れていくことになる。燃焼ガス流は合流する際に乱流を発生しているため、乱流効果によって伝熱効率は上昇する。
【0017】
内側水管フィン5は上下に間隔を開けて設置しているものであるため、第1燃焼ガス通路8内を流れる燃焼ガス流は、内側水管フィン5の上下にある空間を通過する。内側水管フィン5は第1燃焼ガス通路8内を流れる燃焼ガス流と平行なフィンであるため、内側水管フィン5が燃焼ガス流にとって抵抗となり、炉圧が大幅に上昇するということにはならない。
【0018】
また、外側水管フィン7は同じ段に設けている外側水管フィン7間に空間を開けており、外側水管3は内側水管間のすきまを燃焼室の周方向へ延長した線上に配置しているため、外側水管フィン間の空間は第1燃焼ガス通路8内の燃焼ガス流と燃焼ガス流誘導面6に沿って流れてきた燃焼ガス流の混合場所近くとなる。そのため、内側水管2のすきまを通過した燃焼ガスと第1燃焼ガス通路8の燃焼ガスが衝突することで発生した乱流は、外側水管フィン7の間である空間内に入りこむ。外側水管フィン7の間に入った燃焼ガスの乱流は、すぐ下流にある外側水管フィン7の上下を乱流の状態で流れるため、外側水管フィン7に対する伝熱効率も向上することになる。
【0019】
第1燃焼ガス通路8内を流れる燃焼ガス流は、内側水管2間にすきまを開けている部分に達するごとに燃焼室1からの燃焼ガス流と混合を繰り返し、そのたびに乱流を発生することになるため、乱流による伝熱効率増大の効果は第1燃焼ガス通路8の最後まで継続する。第1燃焼ガス通路8を通過しながら内側水管2及び外側水管3を加熱した燃焼ガスは、外側水管3間に閉鎖用ヒレ4を設けていない部分を通って第2燃焼ガス通路9へ入り、第2燃焼ガス通路9内でも円弧状に流れて燃焼ガス出口10からボイラ外へと出ていく。
【0020】
【発明の効果】
本発明を実施することで、燃焼ガス通路における燃焼ガス流に乱流を発生させることができ、燃焼ガス通路に面している水管の熱吸収効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を実施しているボイラの横断面図
【図2】図1のA−Aで切断した一部断面正面図
【図3】図1の一部を拡大した燃焼ガス流動状況説明図
【図4】内側水管の一部を抜き出した一部透過斜視図
【図5】従来のボイラにおける燃焼ガス流動状況説明図
【符号の説明】
1 燃焼室
2 内側水管
3 外側水管
4 閉鎖用ヒレ
5 内側水管フィン
6 燃焼ガス流誘導面
7 外側水管フィン
8 第1燃焼ガス通路
9 第2燃焼ガス通路
10 燃焼ガス出口
11 炉筒
12 内側水管列
13 外側水管列
【産業上の利用分野】
本発明は、円弧状燃焼ガス通路における伝熱効率を向上させた多管ボイラに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば実開平1−117402号に記載があるように、中央に燃焼室を設け、燃焼室周囲を内外2列の水管列で環状に取り囲み、内側水管列と外側水管列の間に燃焼ガス通路を設けた形状のボイラが広く普及している。このボイラは燃焼室内で火炎の燃焼を行うことで高温の燃焼ガスを発生し、燃焼室周囲を取り囲む水管表面に燃焼ガスを接触させることで水管内の缶水を加熱する。内側水管は隣り合う水管間に間隔を開けて配置しておき、中央の燃焼室から内側水管の各すきまへ向けて燃焼ガスを分散させて流すことで、特定の水管に加熱が集中することを防止している。外側水管は一部の外側水管間にのみすきまを設けてほかの外側水管間はふさいでいるため、燃焼室から放射状に分散させて燃焼ガス通路に入った燃焼ガスは、燃焼ガス通路内を外側水管の開口部へ向けて円弧状に流れ、その際に燃焼ガス通路に面している水管を加熱する。
【0003】
図5は、従来例での燃焼ガスが燃焼ガス通路に入る部分における燃焼ガス流動状態説明図である。燃焼室内の燃焼ガスは内側水管のすきまへ向かって流れ、内側水管すきまから燃焼ガス通路内に入った燃焼ガスは、円弧方向に流れている燃焼ガスに側面から押されることによって、流れの方向が燃焼ガス通路内を流れている燃焼ガスと同じ向きに変化していく。内側水管列のすきまを通過した燃焼ガスは、燃焼ガス通路内を流れている燃焼ガスにとりこまれる形となり、外側水管の開口部へ向けて流れ、燃焼ガス通路に面した水管を加熱していく。
【0004】
また、実開平1−117402号公報に記載しているような内側水管のほぼ全長に渡るフィンを設ける場合は、内側水管間を通過した燃焼ガスを燃焼ガス通路の流動方向に近づける方向にフィンを設ける。フィンの角度を実開平1−117402号と逆向きにしたのでは、燃焼ガス通路内を流れている燃焼ガス流がフィンと内側水管の間に入って、燃焼室側へ逆流することがあり、炉内圧力の上昇などを招く恐れがある。そのため、フィンを設けるのであれば、内側水管間を通過した燃焼ガスが燃焼ガス通路内を流れる燃焼ガス流と浅い角度で合流する向きにフィンを設ける。
【0005】
ところで、ボイラにとって最も重要な改良テーマは、ボイラの効率を向上させることであり、効率向上の研究が盛んに行われている。燃焼ガスの熱を水管に伝える効率を向上させる要素の一つとして、燃焼ガスに乱流を発生させるというのがある。前記構造のボイラであっても、燃焼ガス通路内を流れる燃焼ガス流に乱流を発生させることで伝熱効率の向上が望めるが、どのようにして乱流を発生させるかが問題となる。
【0006】
【特許文献1】実開平1−117402号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、燃焼ガス流路での燃焼ガス流に乱流を発生させることで、燃焼ガス流路に面している水管の熱吸収効率を向上させることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、中央に燃焼室を設け、燃焼室周囲に多数の内側水管と外側水管を設けて内側水管列及び外側水管列を形成し、内側水管列と外側水管列の間を燃焼ガス通路としておき、内側水管列は隣り合う内側水管間に燃焼ガス流動用のすきまを設け、外側水管列は一部の外側水管間にのみすきまを設けてほかの外側水管間はふさいでおくことで、燃焼室内で発生した高温の燃焼ガスは、内側水管の各すきまを放射状に流れて燃焼ガス通路に入り、燃焼ガス通路では燃焼ガスを外側水管列のすきまを設けた部分に向けて円弧状に流す構成としているボイラにおいて、内側水管の燃焼ガス通路に面している表面に、前後を円弧とし左右の側面を直線とした断面扇紙型の内側水管フィンを上下に間隔を開けて多数段取り付け、内側水管フィンは燃焼ガス通路を円弧状に流れる燃焼ガス流の上流側に当たる側面を燃焼ガス流誘導面とし、燃焼ガス流誘導面が内側水管間のすきま部分を燃焼ガス通路側へ延長した線上に突出するように内側水管フィンを水管真裏からずらして設けることで、内側水管の間を通過した燃焼ガスの一部は燃焼ガス流誘導面に衝突するようにしておき、燃焼ガス流誘導面に衝突させることで流れの方向を変えた燃焼ガス流と、燃焼ガス通路内を円弧状に流れてきたガス流が衝突するようにしたことを特徴とする円弧状燃焼ガス通路における伝熱効率を向上させた多管ボイラである。
【0009】
請求項2に記載の発明は、前記の円弧状燃焼ガス通路における伝熱効率を向上させた多管ボイラにおいて、内側水管のすきまを燃焼室の周方向へ延長した線上に外側水管がくるように、内側水管と外側水管をずらして配置しておき、外側水管の燃焼ガス通路に面している部分に、外側水管の周方向に間隔を開けて配置した二枚一組の外側水管フィンを設けたことを特徴とする円弧状燃焼ガス通路における伝熱効率を向上させた多管ボイラである。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施例を図面を用いて説明する。図1は本発明を実施しているボイラの横断面図、図2は図1のA−Aで切断した一部断面正面図、図3は図1の一部を拡大した燃焼ガス流動状況説明図、図4は内側水管の一部を抜き出した一部透過斜視図である。ボイラは中央に燃焼室1を設け、燃焼室1を取り囲むように多数の垂直水管を配置する。水管は内側水管2と外側水管3からなり、内側水管2による内側水管列12と外側水管3による外側水管列13を設けている。内側水管2と外側水管3は同じピッチ角で配置しているが、内側水管2のすきまを燃焼室1の周方向へ延長した線上に外側水管3が来るように、内側水管2と外側水管3はずらして配置する。内側水管列12と外側水管列13で挟まれた環状の空間を第1燃焼ガス通路8、外側水管列13と炉筒11の間を第2燃焼ガス通路9としておき、第2燃焼ガス通路9の一端に燃焼ガス出口10を設ける。
【0011】
内側水管列12は隣り合う水管間には、燃焼ガス流動用のすきまを開けおり、内側水管2に対して交差方向に燃焼ガスが流れるようにしている。外側水管列13は一部の水管間にのみ燃焼ガス流動用のすきまを設け、ほかの水管間は閉鎖用ヒレ4でふさいでおり、外側水管間にすきまを設けた部分と燃焼ガス出口10は燃焼室1を挟んで反対側となるように配置する。燃焼室1と第1燃焼ガス通路8は内側水管列12のすきまで接続し、第1燃焼ガス通路8と第2燃焼ガス通路9は外側水管列13のすきまで接続することで、燃焼室1で発生した燃焼ガスは、第1燃焼ガス通路8、第2燃焼ガス通路9を通って燃焼ガス出口10から出ていくことになる。
【0012】
図4は、内側水管部分を抜き出したものであり、内側水管2の一部を透過させることで、内側水管フィン5の形状が分かるようにしている。内側水管2の第1燃焼ガス通路8に面している側に内側水管フィン5を設ける。内側水管フィン5は、図4に示した通り、幅を持った円弧形の面である上面及び下面、内側水管2と同心円の面である内面及び外面、長方形の面である左側面及び右側面の6面からなり、図4では内側水管フィン5の左側面が燃焼ガス流誘導面6となる。内側水管フィン5は、内面で内側水管2と接合し、上下に一定の間隔を開けて多数段設けており、内側水管間のすきまを通過した燃焼ガスが燃焼ガス流誘導面に衝突するように、内側水管2の真裏から少しずらして設け、燃焼ガス流誘導面6の先端が、第1燃焼ガス通路8内を流れている燃焼ガス流に対して上流側を向くようにしておく。内側水管フィン5の厚さは、薄すぎると燃焼ガス流の誘導効果が少なくなり、熱吸収用フィンとして慣用されている厚さが1mm程度のフィンでは、燃焼ガス流の誘導効果が少ない。また、厚くし過ぎても設置できるフィンの数が少なくなるため、厚さが3〜5mmのフィンを設けることが好ましい。
【0013】
外側水管3の第1燃焼ガス通路8に面した部分にも、外側水管フィン7を多数段設けておく。外側水管3に設ける外側水管フィン7は、内側水管フィン5と同形状であるが、各段に2枚ずつ設けており、2枚の外側水管フィン7は外側水管3の周方向にすきまを開けて設け、外側水管フィン7の間に空間を開けておく。
【0014】
燃焼室1内で火炎の燃焼を行うと、火炎の熱が内側水管2の表側である燃焼室1に面している部分を加熱する。燃焼によって発生した燃焼ガスは各内側水管2のすきまへ向けて放射状に流れる。隣り合う内側水管のすきまは、上下に長く幅の細いものであるため、燃焼ガスの流れも上下に長く幅の細い流れとなって内側水管のすきま部分を流れる。
【0015】
内側水管すきま部分には、燃焼ガス流誘導面6を突き出させるように内側水管フィン5を設けており、内側水管フィン5は上下に間隔を開けて多数段設けているものであるため、内側水管のすきまを流れてきた燃焼ガスは、内側水管フィン5の燃焼ガス流誘導面6に衝突するものと、内側水管フィン5上下のすきまに入るものに分かれる。内側水管フィン5の燃焼ガス流誘導面6に衝突した燃焼ガスは、燃焼ガス流誘導面6に沿って流れることになるため、燃焼ガスの流れ方向が変更される。燃焼ガス流誘導面6の先端は、第1燃焼ガス通路8内を流れている燃焼ガス流に対して上流側を向くようにしているため、燃焼ガス流誘導面6によって流れ方向変更された燃焼ガスは、第1燃焼ガス通路8内を流れている燃焼ガス流と対向する向きに流れることになる。
【0016】
燃焼ガス流誘導面6に沿って流れた燃焼ガスと、第1燃焼ガス通路8内を流れている燃焼ガスは、対向する流れとなっているため、合流部分では深い角度で衝突し、渦を作るような形で乱流を発生しながら混合する。その後、2つの燃焼ガス流は合流して1つの流れとなり、閉鎖用ヒレ4を設けていない外側水管3のすきまを目指して、第1燃焼ガス通路8内を流れていくことになる。燃焼ガス流は合流する際に乱流を発生しているため、乱流効果によって伝熱効率は上昇する。
【0017】
内側水管フィン5は上下に間隔を開けて設置しているものであるため、第1燃焼ガス通路8内を流れる燃焼ガス流は、内側水管フィン5の上下にある空間を通過する。内側水管フィン5は第1燃焼ガス通路8内を流れる燃焼ガス流と平行なフィンであるため、内側水管フィン5が燃焼ガス流にとって抵抗となり、炉圧が大幅に上昇するということにはならない。
【0018】
また、外側水管フィン7は同じ段に設けている外側水管フィン7間に空間を開けており、外側水管3は内側水管間のすきまを燃焼室の周方向へ延長した線上に配置しているため、外側水管フィン間の空間は第1燃焼ガス通路8内の燃焼ガス流と燃焼ガス流誘導面6に沿って流れてきた燃焼ガス流の混合場所近くとなる。そのため、内側水管2のすきまを通過した燃焼ガスと第1燃焼ガス通路8の燃焼ガスが衝突することで発生した乱流は、外側水管フィン7の間である空間内に入りこむ。外側水管フィン7の間に入った燃焼ガスの乱流は、すぐ下流にある外側水管フィン7の上下を乱流の状態で流れるため、外側水管フィン7に対する伝熱効率も向上することになる。
【0019】
第1燃焼ガス通路8内を流れる燃焼ガス流は、内側水管2間にすきまを開けている部分に達するごとに燃焼室1からの燃焼ガス流と混合を繰り返し、そのたびに乱流を発生することになるため、乱流による伝熱効率増大の効果は第1燃焼ガス通路8の最後まで継続する。第1燃焼ガス通路8を通過しながら内側水管2及び外側水管3を加熱した燃焼ガスは、外側水管3間に閉鎖用ヒレ4を設けていない部分を通って第2燃焼ガス通路9へ入り、第2燃焼ガス通路9内でも円弧状に流れて燃焼ガス出口10からボイラ外へと出ていく。
【0020】
【発明の効果】
本発明を実施することで、燃焼ガス通路における燃焼ガス流に乱流を発生させることができ、燃焼ガス通路に面している水管の熱吸収効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を実施しているボイラの横断面図
【図2】図1のA−Aで切断した一部断面正面図
【図3】図1の一部を拡大した燃焼ガス流動状況説明図
【図4】内側水管の一部を抜き出した一部透過斜視図
【図5】従来のボイラにおける燃焼ガス流動状況説明図
【符号の説明】
1 燃焼室
2 内側水管
3 外側水管
4 閉鎖用ヒレ
5 内側水管フィン
6 燃焼ガス流誘導面
7 外側水管フィン
8 第1燃焼ガス通路
9 第2燃焼ガス通路
10 燃焼ガス出口
11 炉筒
12 内側水管列
13 外側水管列
Claims (2)
- 中央に燃焼室を設け、燃焼室周囲に多数の内側水管と外側水管を設けて内側水管列及び外側水管列を形成し、内側水管列と外側水管列の間を燃焼ガス通路としておき、内側水管列は隣り合う内側水管間に燃焼ガス流動用のすきまを設け、外側水管列は一部の外側水管間にのみすきまを設けてほかの外側水管間はふさいでおくことで、燃焼室内で発生した高温の燃焼ガスは、内側水管の各すきまを放射状に流れて燃焼ガス通路に入り、燃焼ガス通路では燃焼ガスを外側水管列のすきまを設けた部分に向けて円弧状に流す構成としているボイラにおいて、内側水管の燃焼ガス通路に面している表面に、前後を円弧とし左右の側面を直線とした断面扇紙型の内側水管フィンを上下に間隔を開けて多数段取り付け、内側水管フィンは燃焼ガス通路を円弧状に流れる燃焼ガス流の上流側に当たる側面を燃焼ガス流誘導面とし、燃焼ガス流誘導面が内側水管間の隙間部分を燃焼ガス通路側へ延長した線上に突出するように内側水管フィンを水管真裏からずらして設けることで、内側水管の間を通過した燃焼ガスの一部は燃焼ガス流誘導面に衝突するようにしておき、燃焼ガス流誘導面に衝突させることで流れの方向を変えた燃焼ガス流と、燃焼ガス通路内を円弧状に流れてきたガス流が衝突するようにしたことを特徴とする円弧状燃焼ガス通路における伝熱効率を向上させた多管ボイラ。
- 請求項1に記載の円弧状燃焼ガス通路における伝熱効率を向上させた多管ボイラにおいて、内側水管のすきまを燃焼室の周方向へ延長した線上に外側水管がくるように、内側水管と外側水管をずらして配置しておき、外側水管の燃焼ガス通路に面している部分に、外側水管の周方向に間隔を開けて配置した二枚一組の外側水管フィンを設けたことを特徴とする円弧状燃焼ガス通路における伝熱効率を向上させた多管ボイラ。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002376912A JP2004205157A (ja) | 2002-12-26 | 2002-12-26 | 円弧状燃焼ガス通路における伝熱効率を向上させた多管ボイラ |
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JP (1) | JP2004205157A (ja) |
Cited By (1)
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JP2007163006A (ja) * | 2005-12-13 | 2007-06-28 | Samson Co Ltd | 熱吸収用フィンを付けたボイラ |
-
2002
- 2002-12-26 JP JP2002376912A patent/JP2004205157A/ja active Pending
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JP2007163006A (ja) * | 2005-12-13 | 2007-06-28 | Samson Co Ltd | 熱吸収用フィンを付けたボイラ |
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