JP2004204163A - ポリオレフィン微多孔膜及びそれを用いた電池セパレータ並びに電池 - Google Patents
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Abstract
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は機械的特性、透過性及び熱収縮性に優れ、かつ高温保存安定性に優れたポリオレフィン微多孔膜及びそれを用いた電池セパレータ並びに電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
熱可塑性樹脂微多孔膜は、リチウム二次電池、ニッケル-水素電池、ニッケル-カドミウム電池、ポリマー電池等に用いる電池用セパレータをはじめ、電解コンデンサー用セパレータ、逆浸透濾過膜、限外濾過膜、精密濾過膜等の各種フィルター、透湿防水衣料、医療用材料等に幅広く使用されている。微多孔膜を電池用セパレータ、特にリチウムイオン電池用セパレータとして用いる場合、その性能は電池特性、電池生産性及び電池安全性に深く関わっている。そのため微多孔膜には、優れた機械的特性、耐熱性、透過性、寸法安定性、シャットダウン特性、メルトダウン特性等が要求される。
【0003】
例えば強度に優れる微多孔膜を製造する方法として、特開昭60-242035号、特開昭60-255107号及び特開昭63-273651号は、超高分子量ポリオレフィンを用いた微多孔膜の製造方法を提案している。これらは超高分子量ポリオレフィンと各種可塑剤又は溶剤を溶融混練し、得られた溶融混練物を押出してゲル状シートを成形し、次いで延伸する方法である。しかし、これらの方法では超高分子量ポリオレフィンを用いるため、溶融混練物を押出成形するためには可塑剤又は溶剤を大量に使用しなければならず、可塑剤又は溶剤の除去に時間がかかり、生産性に問題がある上、得られる微多孔膜の強度も十分とは言えなかった。
【0004】
このため、特開平3-064334号は、超高分子量ポリオレフィンを含有し、ポリオレフィン組成物の質量平均分子量/数平均分子量の値を特定の範囲内に制御することにより、溶剤の使用量を低減するとともに優れた強度と透水性を兼ね備えた微多孔膜を開示している。また、特開平4-126352号、特開平5-234578号、特開平6-093130号、特開平6-096753号及び特開平6-223802号はポリエチレン及びポリプロピレンを含む組成物からなる微多孔膜を開示している。
【0005】
近年、電池特性については強度、透過性及び耐熱性だけでなく、高温保存安定性等電池の寿命に関わる特性も重視されている。電池を高温(60〜80℃)で保存した場合、電池正極の酸化反応によるセパレータ(微多孔膜)の変性により電池性能が劣化する。かかる熱劣化を防止するため、一般に、樹脂を押出機に投入する際に酸化防止剤、中和剤等の安定化剤を加えている(例えば、特許文献1参照。)。しかしながら、微多孔膜を電池用セパレータとして用いた場合、現在使用されている安定化剤は微多孔膜の熱劣化を防止する上で充分とは言えず、電池性能を長期間高く維持できないことが問題となっている。
【0006】
【特許文献1】
特開2000-030685号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従って本発明の目的は、機械的特性、透過性及び熱収縮性に優れ、かつ熱保存安定性に優れたポリオレフィン微多孔膜及びそれを用いた電池セパレータ並びに電池を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的に鑑み鋭意研究の結果、本発明者らは、ポリオレフィンと溶剤を溶融混練し、溶融混練物をダイより押し出し、冷却して得られたゲル状シートを延伸して得られるポリオレフィン微多孔膜に所定の安定化剤を含有させることにより、機械的特性、透過性及び熱収縮性とともに熱保存安定性に優れたポリオレフィン微多孔膜が得られることを発見し、本発明に想到した。
【0009】
すなわち、本発明のポリオレフィン微多孔膜は、安定化剤として下記一般式(1)で表される化合物を含有することを特徴とする。
【化2】
(一般式(1)中、R1〜R4はそれぞれ独立に、酸素原子、イオウ原子又は窒素原子で遮断されていてもよいアルキル基又はアラルキル基を表し、R5はアルキル基又はアラルキル基を表す。)
【0010】
前記安定化剤の含有量は、ポリオレフィン微多孔膜の質量に対し1〜1,000 ppmであるのが好ましい。
【0011】
機械的特性、透過性及び熱収縮性に優れた微多孔膜を得るために、ポリエチレンは下記条件を満たすのが好ましい。
(1) 上記ポリエチレンの質量平均分子量は5×105以上である。
(2) 上記(1)に記載の質量平均分子量5×105 以上のポリエチレンは超高分子量ポリエチレンである。
(3) 上記(2)に記載の超高分子量ポリエチレンの質量平均分子量は1×106 〜15×106 である。
(4) 上記(2)又は(3)に記載の超高分子量ポリエチレンの質量平均分子量は1×106〜5×106 である。
(5) 上記(2)〜(4)のいずれかに記載の超高分子量ポリエチレンは、エチレンホモポリマー、又は他のα-オレフィンを少量含有するエチレン・α-オレフィン共重合体である。
(6) 上記(1)〜(5)のいずれかに記載の質量平均分子量5×105以上のポリエチレンのMw/Mnは5〜300である。
(7) 上記ポリエチレンは、上記(1)〜(6)のいずれかに記載の質量平均分子量5×105以上のポリエチレンと、質量平均分子量1×104 以上、5×105 未満のポリエチレン、質量平均分子量1×104 〜4×106 のポリプロピレン、質量平均分子量1×104 〜4×106 のポリブテン-1、質量平均分子量1×103〜1×104のポリエチレンワックス、及び質量平均分子量1×104 〜4×106 のエチレン・α-オレフィン共重合体からなる群から選ばれた少なくとも一種の他のポリオレフィンとからなるポリエチレン組成物である。
(8) 上記(7)に記載のポリエチレン組成物は、質量平均分子量5×105 以上の超高分子量ポリエチレンと質量平均分子量1×104 以上、5×105 未満のポリエチレンとからなる組成物である。
(9) 上記(8)に記載のポリエチレン組成物中の質量平均分子量1×104 以上、5×105 未満のポリエチレンは、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、分岐状低密度ポリエチレン及び線状低密度ポリエチレンからなる群から選ばれた少なくとも一種である。
(10) 上記(9)に記載のポリエチレン組成物は、質量平均分子量5×105 以上の超高分子量ポリエチレンと質量平均分子量1×104 以上、5×105 未満の高密度ポリエチレンである。
(11) 上記(7)〜(10)のいずれかに記載のポリエチレン組成物のMw/Mnは5〜300である。
【0012】
【発明の実施の形態】
[1] ポリオレフィン微多孔膜
(1) 安定化剤
本発明のポリオレフィン微多孔膜は、安定化剤として下記一般式(1)で表される化合物を含有する。
【化3】
(一般式(1)中、R1〜R4はそれぞれ独立に、酸素原子、イオウ原子又は窒素原子で遮断されていてもよいアルキル基又はアラルキル基を表し、R5はアルキル基又はアラルキル基を表す。)
【0013】
R1〜R5で表されるアルキル基としては、炭素数1〜20のアルキル基が好ましく、炭素数1〜12のアルキル基がより好ましい。アルキル基は、直鎖でも分岐があってもよく、さらに置換基を有していてもよい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、ペンチル基、t-ペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、へプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、メトキシメチル基等が挙げられる。
【0014】
R1〜R5で表されるアラルキル基としては、炭素数7〜20のアラルキル基が好ましく、具体的には、ベンジル基、フェニルエチル基、2-フェニル-2-プロピル基、フェネチル基、ナフチルメチル基等のアラルキル基が挙げられる。これらのアラルキル基はさらに置換基を有していてもよい。
【0015】
R1〜R4は、それぞれ独立にアルキル基又はアラルキル基を表す。アルキル基又はアラルキル基が複数の場合、複数のアルキル基又はアラルキル基は同じであっても異なっていてもよい。
【0016】
R1〜R4は、酸素原子、イオウ原子又は窒素原子で遮断されていてもよい。すなわち、R1〜R4はそれぞれ-O-R、-S-R又は-N(X)-Rであってよい(Rはアルキル基又はアラルキル基を表し、Xは水素原子、アルキル基又はアラルキル基を表す。)。この場合、R及びXで表されるアルキル基又はアラルキル基の好ましい範囲は上記R1〜R4で表されるアルキル基又はアラルキル基の好ましい範囲と同じである。R及びXは、さらに他の置換基で置換されていてもよく、RとXが連結して環(ピロリジン環、ピぺリジン環等)を形成していてもよい。R1〜R4は全部が酸素原子、イオウ原子又は窒素原子で遮断されていてもよいし、一部が酸素原子、イオウ原子又は窒素原子で遮断されていてもよい。また、R1〜R4は同じヘテロ原子で遮断されていても異なるヘテロ原子で遮断されていてもよい。
【0017】
一般式(1)で表される安定化剤の好ましい例としては、下記構造を有する2,2-メチレンビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)オクチルホスファイトが挙げられるが、本発明に用いる安定化剤はこれに限定されるものではない。
【0018】
【化4】
【0019】
一般式(1)で表される安定化剤はポリオレフィン微多孔膜の酸化防止作用を有する。本発明では上記安定化剤を単独で用いてもよいし、他の公知の酸化防止剤(フェノール系酸化防止剤等)等と併用してもよい。併用する場合は同時に添加しても添加方法を変えてもよい。例えば、他のフェノール系酸化防止剤等をポリオレフィンの溶融混練物に添加し、一般式(1)で表される安定化剤をポリオレフィン微多孔膜に塗布等により添加してもよい。
【0020】
一般式(1)で表される安定化剤の含有量は、ポリオレフィン微多孔膜の質量に対し1〜1,000 ppmが好ましく、5〜100 ppmがより好ましい。1ppm未満ではポリオレフィンの安定化効果が不足し、1,000 ppmを超えると電池性能の劣化が大きくなる。
【0021】
(2) ポリオレフィン
本発明に使用するポリオレフィンとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等が挙げられる。なかでも質量平均分子量が5×105以上のポリエチレンが好ましい。質量平均分子量が5×105未満では延伸時に破断が起こりやすい。
【0022】
質量平均分子量が5×105以上のポリエチレンとしては、超高分子量ポリエチレンが挙げられ、好ましくは質量平均分子量が1×106 〜15×106、より好ましくは1×106 〜5×106 である。超高分子量ポリエチレンは、エチレンの単独重合体のみならず、他のα-オレフィンを少量含有するエチレン・α-オレフィン共重合体であってもよい。エチレン以外の他のα-オレフィンとしては、プロピレン、ブテン-1、ヘキセン-1、ペンテン-1,4-メチルペンテン-1、オクテン、酢酸ビニル、メタクリル酸メチル、及びスチレンが好ましい。
【0023】
ポリエチレンとして質量平均分子量5×105以上のポリエチレンと、他のポリオレフィンとを含むポリエチレン組成物を用いることも可能である。質量平均分子量が5×105 以上のポリエチレンとしては、上記超高分子量ポリエチレンが好ましい。他のポリオレフィンとしては、質量平均分子量1×104 以上、5×105 未満のポリエチレン、質量平均分子量1×104 〜4×106 のポリプロピレン、質量平均分子量1×104 〜4×106 のポリブテン-1、質量平均分子量1×103〜1×104のポリエチレンワックス、及び質量平均分子量1×104 〜4×106 のエチレン・α-オレフィン共重合体からなる群から選ばれた少なくとも一種を用いることができる。他のポリオレフィンの添加量はポリエチレン組成物全体を100質量部として80質量部以下にする。
【0024】
ポリエチレン組成物を用いる場合、上記超高分子量ポリエチレンと質量平均分子量1×104 以上、5×105 未満のポリエチレンとからなる組成物を用いるのが好ましい。このポリエチレン組成物は、用途に応じて分子量分布(Mw/Mn)を容易に制御することができる。質量平均分子量が1×104 以上、5×105 未満のポリエチレンとしては、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、分岐状低密度ポリエチレン、及び線状低密度ポリエチレンからなる群から選ばれた少なくとも一種が好ましい。これらの質量平均分子量が1×104 以上、5×105 未満のポリエチレンは、エチレンの単独重合体のみならず、プロピレン、ブテン-1、ヘキセン-1等の他のα-オレフィンを少量含有する共重合体であってもよい。ポリエチレン組成物としては、限定的ではないが、質量平均分子量5×105 以上の超高分子量ポリエチレンと質量平均分子量1×104 以上、5×105 未満の高密度ポリエチレンとからなる組成物がより好ましい。
【0025】
ポリエチレンの分子量分布Mw/Mnは限定的でないが、5〜300が好ましく、10〜100がより好ましい。Mw/Mnが5未満だと高分子量成分が多過ぎて溶融押出が困難であり、Mw/Mnが300超だと低分子量成分が多過ぎて強度低下を招く。Mw/Mnは分子量分布の尺度として用いられるものであり、この値が大きいほど分子量分布の幅は拡大する。すなわち、ポリエチレンがエチレンホモポリマー又はエチレン・α-オレフィン共重合体の場合、Mw/Mnはその分子量分布の広がりを示し、その値が大きいほど分子量分布は広がっている。エチレンホモポリマー及びエチレン・α-オレフィン共重合体のMw/Mnは、これらを多段重合により調製することにより適宜調整することができる。多段重合法としては、一段目で高分子量成分を重合し、次いで二段目で低分子量成分を重合する二段重合が好ましい。ポリエチレンがポリエチレン組成物の場合、Mw/Mnが大きいほど配合する各ポリオレフィンの質量平均分子量の差が大きく、またMw/Mnが小さいほど各ポリオレフィンの質量平均分子量の差が小さい。ポリエチレン組成物のMw/Mnは、各成分の分子量や混合割合を調整することにより適宜調整することができる。
【0026】
(3) 微多孔膜の製造方法
本発明のポリオレフィン微多孔膜は公知の方法を用いて製造してよい。例えば、(a) ポリエチレン及びポリエチレンの溶剤を溶融混練し、樹脂溶液を調製する工程、(b) 樹脂溶液をダイより押し出し、冷却してゲル状シートを形成する工程、(c) 延伸・溶剤除去工程、及び(d) 得られた膜を乾燥する工程を含む一連の工程により製造することができる。安定化剤の添加方法は特に限定されず、ポリエチレンの溶融混練物に添加しても、溶剤除去工程の洗浄剤に添加してもよい。また、微多孔膜を形成した後で塗布等の方法により添加してもよい。以下、各製造工程について説明する。
【0027】
(a) 樹脂溶液の調製工程
まずポリエチレン及びポリエチレンの溶剤を溶融混練し、樹脂溶液を調製する。
一般式(1)で表される安定化剤を本工程で添加する場合、ポリエチレンに安定化剤を添加した後、溶剤(可塑剤)を加えて溶融混練してもよいし、予め安定化剤を溶剤(可塑剤)に溶解した後、これをポリエチレンに添加してもよい。樹脂溶液には上記安定化剤以外に必要に応じて紫外線吸収剤、アンチブロッキング剤、顔料、染料、無機充填材等の各種添加剤を本発明の目的を損なわない範囲で添加することができる。
【0028】
ポリエチレンの溶剤としては室温で液状の液体溶剤を用いるのが好ましい。液体溶剤を用いることにより比較的高倍率の延伸が可能となる。液体溶剤としてはノナン、デカン、デカリン、パラキシレン、ウンデカン、ドデカン、流動パラフィン等の脂肪族又は環式の炭化水素、及び沸点がこれらに対応する鉱油留分、並びにジブチルフタレート、ジオクチルフタレート等の室温では液状のフタル酸エステルを用いることができる。液体溶剤含有量が安定なゲル状シートを得るためには、流動パラフィンのような不揮発性の液体溶剤を用いるのが好ましい。なお加熱溶融混練状態においてはポリエチレンと混和状態になるが、室温で固体状の固体溶剤を液体溶剤に混合してもよい。このような固体溶剤として、ステアリルアルコール、セリルアルコール、パラフィンワックス等を使用することができる。なお固体溶剤のみを使用すると、延伸むら等が発生する恐れがある。
【0029】
液体溶剤の粘度は25℃において30〜500 cStであるのが好ましく、50〜200 cStであるのがより好ましい。25℃における粘度が30 cSt未満では発泡し易く、混練が困難である。一方500 cSt超では液体溶剤の除去が困難である。
【0030】
溶融混練の方法は特に限定されないが、通常は二軸押出機中で均一に混練することにより行う。この方法はポリエチレンの高濃度溶液を調製するのに適する。一般的に溶融温度は160〜300℃であるのが好ましく、180〜220℃であるのがより好ましい。液体溶剤は混練開始前に添加しても、混練中に押出機の途中から添加してもよいが、混練開始前に添加して予め溶液化するのが好ましい。溶融混練にあたってはポリエチレンの酸化を防止するために酸化防止剤を添加するのが好ましい。
【0031】
樹脂溶液中の樹脂(ポリオレフィン)と液体溶剤との配合割合は、両者の合計を100質量%として、樹脂が好ましくは1〜50質量%、より好ましくは20〜40質量%である。樹脂が1質量%未満ではゲル状シートを形成する際にダイス出口でスウェルやネックインが大きくなり、ゲル状シートの成形性及び自己支持性が低下する。一方50質量%を超えるとゲル状シートの成形性が低下する。
【0032】
(b) ゲル状シートの形成工程
溶融混練した樹脂溶液を直接に又は別の押出機を介して、或いは一旦冷却してペレット化した後再度押出機を介してダイから押し出す。ダイとしては、通常は長方形の口金形状をしたシート用ダイを用いるが、二重円筒状の中空状ダイ、インフレーションダイ等も用いることができる。シート用ダイの場合、ダイのギャップは通常0.1〜5mmであり、押し出し時にはこれを140〜250℃に加熱する。加熱溶液の押し出し速度は0.2〜15 m/分であるのが好ましい。
【0033】
このようにしてダイから押し出した溶液を冷却することによりゲル状シートを形成する。冷却は少なくともゲル化温度以下までは50 ℃/分以上の速度で行うのが好ましい。また25 ℃以下まで冷却するのが好ましい。このようにしてポリエチレン相と溶剤とからなる相がゲル化するとともに、非ポリエチレン系熱可塑性樹脂が微粒子としてポリエチレン相に分散した相分離構造を固定化することができる。一般に冷却速度が遅いと得られるゲル状シートの高次構造が粗くなり、それを形成する擬似細胞単位も大きなものとなるが、冷却速度が速いと密な細胞単位となる。冷却速度が50 ℃/分未満では結晶化度が上昇し、延伸に適したゲル状シートとなりにくい。冷却方法としては冷風、冷却水、その他の冷却媒体に直接接触させる方法、冷媒で冷却したロールに接触させる方法等を用いることができる。
【0034】
(c) 延伸・溶剤除去工程
次いで、得られたゲル状シートを延伸した後液体溶剤を除去するか、ゲル状シートから液体溶剤を除去した後延伸するか、又はゲル状シートを延伸した後液体溶剤を除去しさらに延伸する。
【0035】
ゲル状シートに延伸を施すことにより、ポリエチレン相が引き延ばされてフィブリルが形成されるとともに、フィブリルが、ポリエチレン中に分散した非ポリオレフィン系熱可塑性樹脂を主成分とする微粒子を中心として開裂することにより、クレーズ状の空隙が形成され、もって微粒子を中心とする空孔(細孔)が形成される。
【0036】
延伸は、ゲル状シートを加熱後、通常のテンター法、ロール法、インフレーション法、圧延法又はこれらの方法の組合せによって所定の倍率で行う。延伸は一軸延伸でも二軸延伸でもよいが、二軸延伸が好ましい。また二軸延伸の場合は、同時二軸延伸、逐次延伸又は多段延伸(同時二軸延伸及び逐次延伸の組合せ)のいずれでもよいが、特に同時二軸延伸が好ましい。延伸により機械的強度が向上する。
【0037】
延伸倍率はゲル状シートの厚さによって異なるが、一軸延伸を行う場合は2倍以上とするのが好ましく、3〜30倍とするのがより好ましい。二軸延伸ではいずれの方向でも少なくとも3倍以上とし、面倍率で9倍以上とするのが好ましく、面倍率で25倍以上とするのがより好ましい。面倍率で9倍以上とすることにより、突刺強度を向上させることができる。一方面倍率を400倍超とすると、延伸装置、延伸操作等の点で制約が生じる。
【0038】
延伸温度は、ポリエチレンがホモポリマー又はエチレン・α-オレフィン共重合体の場合、その融点+10℃以下にするのが好ましく、結晶分散温度から結晶融点未満の範囲にするのがより好ましい。延伸温度が融点+10℃を超えるとポリエチレンが溶融し、延伸による分子鎖の配向ができない。また延伸温度が結晶分散温度未満ではポリエチレンの軟化が不十分で、延伸において破膜しやすく、高倍率の延伸ができない。但し逐次延伸又は多段延伸を行う場合は、一次延伸を結晶分散温度未満で行ってもよい。ここで結晶分散温度とは、ASTM D 4065に基づいて動的粘弾性の温度特性測定により求められる値を言う。ポリエチレンの結晶分散温度は、一般的に90℃である。
【0039】
ポリエチレンが他のポリオレフィンを含むポリエチレン組成物である場合、延伸温度は、係る組成物が含むポリエチレンの結晶分散温度〜結晶融点+10℃の範囲にするのが好ましい。係るポリエチレン組成物を用いる場合、本発明では延伸温度を通常は100〜140℃、好ましくは110〜120℃にする。
【0040】
所望の物性に応じて、膜厚方向に温度分布を設けて延伸したり、比較的低温で一次延伸した後さらに高温で二次延伸する逐次延伸又は多段延伸をしたりすることができる。膜厚方向に温度分布を設けて延伸することにより一般的に機械的強度に優れた微多孔膜が得られる。その方法としては、例えば特開平7-188440号に開示の方法を適用することができる。
【0041】
液体溶剤の除去(洗浄)には洗浄溶媒を用いる。ポリエチレン相は溶剤と相分離しているので、液体溶剤を除去すると多孔質の膜が得られる。液体溶剤の除去(洗浄)は、公知の洗浄溶媒により行うことができる。公知の洗浄溶媒としては、例えば塩化メチレン、四塩化炭素等の塩素化炭化水素、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の炭化水素、三フッ化エタン等のフッ化炭化水素、ジエチルエーテル、ジオキサン等のエーテル、メチルエチルケトン等の易揮発性溶媒が挙げられる。また洗浄溶媒としては、上記公知の洗浄溶媒の他に、特開2002-256099号に開示されている、25℃における表面張力が24mN/m以下になる洗浄溶媒を用いることができる。このような表面張力を有する洗浄溶媒を用いることにより、洗浄後の乾燥時に微多孔内部で生じる気-液界面の表面張力によって起る網状組織の収縮緻密化を抑制することができ、その結果微多孔膜の空孔率及び透過性が一層向上する。
【0042】
洗浄方法は、延伸後の膜又はゲル状シートを洗浄溶媒に浸漬する方法、延伸後の膜又はゲル状シートに洗浄溶媒をシャワーする方法、又はこれらの組合せによる方法等により行うことができる。洗浄溶媒は、ゲル状シート100質量部に対し300〜30000質量部使用するのが好ましい。洗浄溶媒による洗浄は、残留した液体溶剤がその添加量に対して1質量%未満になるまで行うのが好ましい。
【0043】
一般式(1)で表される安定化剤を溶剤除去工程で添加してもよい。その場合、液体溶剤を除去するための洗浄溶媒に添加するのが好ましい。延伸後の膜又はゲル状シートを洗浄する際に洗浄溶媒が液体溶剤と置き換わり、延伸後の膜又はゲル状シートの表面もしくは細孔内に安定化剤を保持することができる。洗浄溶媒に添加する安定化剤の量は、浸漬法、シャワー法等の洗浄方法により適宜変えてよい。
【0044】
(d) 膜の乾燥工程
延伸及び溶剤除去により得られた膜を、加熱乾燥法又は風乾法等により乾燥することができる。乾燥温度は、ポリエチレンの結晶分散温度以下の温度であるのが好ましく、特に結晶分散温度より5℃以上低い温度であるのが好ましい。
【0045】
乾燥後の膜質量を100質量%とすると、乾燥処理により微多孔膜中に残存する洗浄溶媒の含有量を5質量%以下にするのが好ましく、3質量%以下にするのがより好ましい。乾燥が不十分で膜中に洗浄溶媒が多量に残存していると、後の熱処理で空孔率が低下し、透過性が悪化するので好ましくない。
【0046】
(e) 熱処理工程
洗浄溶媒除去後に熱処理を行うのが好ましい。熱処理によって結晶が安定化し、ラメラ層が均一化される。熱処理方法としては、熱延伸処理、熱固定処理又は熱収縮処理のいずれの方法を用いてもよく、これらは微多孔膜に要求される物性に応じて適宜選択することができる。これらの熱処理は、微多孔膜の融点以下、好ましくは60℃以上、融点−10℃以下で行う。
【0047】
熱延伸処理は、通常用いられるテンター方式、ロール方式又は圧延方式により行い、少なくとも一方向に延伸倍率1.01〜2.0倍で行うのが好ましく、1.01〜1.5倍で行うのがより好ましい。
【0048】
熱固定処理は、テンター方式、ロール方式又は圧延方式により行う。また熱収縮処理は、テンター方式、ロール方式若しくは圧延方式により行うか、又はベルトコンベア若しくはフローティングを用いて行ってもよい。なお熱収縮処理は、少なくとも一方向に50%以下の範囲で行うのが好ましく、30%以下の範囲で行うのがより好ましい。
【0049】
なお上述の熱延伸処理、熱固定処理及び熱収縮処理を多数組み合せて行ってもよい。特に熱固定処理後に熱延伸処理を行うと、得られる微多孔膜の透過性が向上するとともに、孔径が拡大する。また熱延伸処理後に熱収縮処理を行うと、低収縮率で高強度の微多孔膜が得られるため好ましい。
【0050】
(f) 膜の架橋処理工程
延伸・溶剤除去により得られた膜を加熱乾燥法、風乾法等により乾燥した後、電離放射により架橋処理を施すことができる。電離放射線としてはα線、β線、γ線、電子線等を用いることができ、0.1〜100 Mradの電子線量、及び100〜300 kVの加速電圧により行う。これによりメルトダウン温度を向上させることができる。
【0051】
(g) 親水化処理工程
延伸・溶剤除去により得られた微多孔膜に親水化処理を施してもよい。親水化処理としては、モノマーグラフト、界面活性剤処理、コロナ放電処理等を用いる。なおモノマーグラフト処理は電離放射後に行うのが好ましい。
【0052】
界面活性剤を使用する場合、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤又は両イオン系界面活性剤のいずれも使用することができるが、ノニオン系界面活性剤を使用するのが好ましい。界面活性剤を使用する場合、界面活性剤を水溶液にするか又はメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等の低級アルコールの溶液にして、ディッピングするか、又はドクターブレードを用いる方法により親水化する。
【0053】
得られた親水化微多孔膜を乾燥する。このとき透過性を向上させるため、微多孔膜の融点以下の温度で収縮を防止しながら熱処理するのが好ましい。収縮を防止しながら熱処理する方法としては、例えば延伸しながら熱処理する方法が挙げられる。
【0054】
(h) 安定化剤添加工程
一般式(1)で表される安定化剤は、上記のいずれかの工程で添加する代わりに微多孔膜を形成した後、塗布法、印刷法等により添加することができる。例えば、安定化剤を適当な溶媒に溶解して塗布液を作製し、スピンコート法、グラビアコート法、マイクログラビアコート法、ディップコート法、キャスト法、ダイコート法、ロールコート法、バーコート法、エクストルージェンコート法、インクジェット塗布法等により微多孔膜表面に塗布し、乾燥することにより添加することができる。
【0055】
以上のように、本発明のポリオレフィン微多孔膜は、機械的特性、透過性、熱収縮性及び熱保存安定性に優れているので、電池用セパレータ、フィルター等として好適に使用できる。なお、微多孔膜の膜厚は用途に応じて適宜選択しうるが、例えば電池用セパレータとして使用する場合は5〜200μmにするのが好ましい。
【0056】
[2] 電池
本発明のポリオレフィン微多孔膜は、ニッケル−水素電池、ニッケル−カドミウム電池、ニッケル−亜鉛電池、銀−亜鉛電池、リチウム二次電池、リチウムポリマー二次電池等の二次電池のセパレータとして好ましく用いることができるが、特にリチウム二次電池のセパレータとして用いるのが好ましい。以下リチウム二次電池を例にとって説明する。
【0057】
リチウム二次電池は、正極と負極がセパレータを介して積層されており、セパレータは電解液(電解質)を含有している。電極の構造は特に限定されず、公知の構造であってよい。例えば、円盤状の正極及び負極が対向するように配設された電極構造(コイン型)、平板状の正極及び負極が交互に積層された電極構造(積層型)、帯状の正極及び負極が重ねられて巻回された電極構造(巻回型)等の構造とすることができる。
【0058】
正極は、通常集電体とその表面に形成されたリチウムイオンを吸蔵放出可能な正極活物質を含む正極活物質層とを有する。正極活物質としては、遷移金属酸化物、リチウムと遷移金属との複合酸化物(リチウム複合酸化物)、遷移金属硫化物等の無機化合物等が挙げられ、遷移金属としては、V、Mn、Fe、Co、Ni等が挙げられる。正極活物質の中でリチウム複合酸化物の好ましい例としては、ニッケル酸リチウム、コバルト酸リチウム、マンガン酸リチウム、α-NaFeO2型構造を母体とする層状リチウム複合酸化物等が挙げられる。
【0059】
負極は、集電体とその表面に形成された負極活物質を含む負極活物質層とを有する。負極活物質としては、天然黒鉛、人造黒鉛、コークス類、カーボンブラック等の炭素質材料が挙げられる。電解液はリチウム塩を有機溶媒に溶解することにより得られる。リチウム塩としては、LiClO4、LiPF6、LiAsF6、LiSbF6、LiBF4、LiCF3SO3、LiN(CF3SO2)2、LiC(CF3SO2)3、Li2B10Cl10、LiN(C2F5SO2)2、LiPF4(CF3)2、LiPF3(C2F5)3、低級脂肪族カルボン酸リチウム塩、LiAlCl4等が挙げられる。これらは単独で用いても2種以上を混合して用いてもよい。有機溶媒としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、エチルメチルカーボネート、γ-ブチロラクトン等の高沸点及び高誘電率の有機溶媒や、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジオキソラン、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等の低沸点及び低粘度の有機溶媒が挙げられる。これらは単独で用いても2種以上を混合して用いてもよい。特に高誘電率の有機溶媒は粘度が高く、低粘度の有機溶媒は誘電率が低いため、両者を混合して用いるのが好ましい。
【0060】
電池を組み立てる際に、セパレータに電解液を含浸させる。これによりセパレータ(微多孔膜)にイオン透過性を付与することができる。通常、含浸処理は微多孔膜を常温で電解液に浸漬して行う。例えば、円筒型電池を組み立てる場合、まず正極シート、ポリオレフィン微多孔膜からなるセパレータ、及び負極シートをこの順に積層し、この積層体を一端より巻き取って巻回型電極素子とする。次にこの電極素子を電池缶に挿入し、上記電解液を含浸させ、さらに安全弁を備えた正極端子を兼ねる電池蓋をガスケットを介してかしめることにより電池を得ることができる。
【0061】
【実施例】
本発明を以下の実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。
【0062】
実施例1
(1) ポリオレフィン微多孔膜の作製
30質量部の超高分子量ポリエチレン(質量平均分子量2×106)と70質量部の高密度ポリエチレン(質量平均分子量3.5×105)の合計100質量部からなる熱可塑性樹脂組成物(Mw/Mn=16、融点135℃、結晶分散温度90℃)30質量部をドライブレンドし、二軸押出機(内径58 mm、L/D=42、強混練タイプ)に投入した。二軸押出機に設けられているサイドフィーダーから、0.5質量%のジブチルヒドロキシトルエン(BHT)と0.5質量%のテトラキス[メチレン-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン(Ir1010)を含有する流動パラフィン(35cSt/40℃)70質量部を供給し、200℃で溶融混練した。これをTダイより押出し、冷却ロールにより0℃まで50℃/分の速度で冷却し、ゲル状シートを形成した。得られたゲル状シートをテンター延伸機を用いて機械方向(MD)及び垂直方向(TD)ともに5倍となるように同時二軸延伸し、延伸膜を得た。得られた延伸膜を20 cm×20 cmのアルミニウム製の枠に固定し、25 ℃に温調された塩化メチレン(表面張力27.3 mN/m(25 ℃)、沸点40.0 ℃)を含有する洗浄槽中に浸漬し、100 rpmで3分間揺動させながら洗浄した。得られた膜を室温で風乾した後、テンターに膜を保持しながら125 ℃で10分間熱固定処理することにより厚さ20μmの微多孔膜を得た。
【0063】
安定化剤として2,2-メチレンビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)オクチルホスファイト(アデカスタブHP-10、旭電化工業(株)製)を濃度が0.001質量%となるように塩化メチレン(MC)に溶解した。この液を得られたポリオレフィン微多孔膜の表面にディップコート法により塗布することにより、ポリオレフィン微多孔膜の質量に対し、上記安定化剤を100 ppm含有するポリオレフィン微多孔膜を得た。
【0064】
(2) リチウム二次電池の作製
(a) 正極の作製
まず、リチウム・コバルト複合酸化物(LiCoO2)87質量部、鱗片状グラファイト10質量部及びポリフッ化ビニリデン(PVDF)3質量部をN-メチル-2-ピロリドンに加え、1時間撹拌して充分に混合し、ペースト状の正極活物質剤を得た。
【0065】
集電体としてアルミニウム箔を用い、このアルミニウム箔上に得られた正極活物質剤をドクターブレード法を用いて層状に塗布して均一な厚さの層を形成し、これを乾燥して正極活物質層とした。得られた積層体をφ14 mmの円形に打ち抜いて集電体表面に正極活物質層が形成された正極を得た。
【0066】
(b) 負極の作製
メソフェーズカーボンマイクロビーズ95質量部、及びポリフッ化ビニリデン(PVDF)5質量部をN-メチル-2-ピロリドン(分散媒)に加え、よく混合してペースト状の負極活物質剤を得た。集電体として銅箔を用い、この銅箔上に得られた負極活物質剤をドクターブレード法を用いて層状に塗布し、均一な厚さの層を形成し、これを乾燥して負極活物質層とした。得られた積層体をφ14 mmの円形に打ち抜いて集電体表面に負極活物質層が形成された負極を得た。
【0067】
(c) 電池の組み立て
得られた正極及び負極を減圧下、150℃で加熱し、電極中の水分及びN-メチル-2-ピロリドンをほぼ完全に除去した。次にエチレンカーボネート/ジエチルカーボネートの体積比が30/70となるようにエチレンカーボネートとジエチルカーボネートを混合して有機溶媒を調製した。この有機溶媒にLiPF6を1モル/リットルとなるように添加して電解液を調製した。図1はコイン型リチウム二次電池の断面図である。集電体1a表面に正極活物質層1bが形成された正極1及び集電体2a表面に負極活物質層2bが形成された負極2をそれぞれ正極ケース11及び負極ケース12に溶接し、これらの間に(1)で作製したポリオレフィン微多孔膜からなるセパレータ4を挟んで重ね合わせた。次いで電解液3を注入した後、ガスケット5で密封して図1に示すコイン型リチウム二次電池を得た。
【0068】
(3) 高温保存試験
得られたリチウム二次電池の高温保存前の放電容量を充放電試験機により測定した。次にこの電池を80℃で30日間保存した後再充電し、保存後の放電容量を同様の方法で測定した。保存前後の放電容量から容量回復率(%)を保存後の容量×100/初期の容量により算出した。リチウム二次電池の構成及び容量回復率を表1に示す。
【0069】
比較例1
安定化剤をポリオレフィン微多孔膜表面に被覆しなかった以外実施例1と同様にしてポリオレフィン微多孔膜及びリチウム二次電池を作製した。実施例1と同様にして高温保存試験を行った結果を表1に示す。
【0070】
【表1】
【0071】
アデカスタブHP-10を添加していない比較例の電池では容量回復率が60〜70%であるのに対し、実施例の電池では80%以上の容量回復率が得られたことから、本発明のポリオレフィン微多孔膜は高温保存安定性に優れていることがわかる。
【0072】
【発明の効果】
上記の通り、本発明のポリオレフィン微多孔膜は、一般式(1)で表される安定化剤を含有するので、酸化による変性を受けにくい。そのため、これを電池用セパレータとして用いると充電状態の高温保存安定性に優れた電池を得ることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例によるコイン型リチウム二次電池を示す概略断面図である。
【符号の説明】
1・・・正極
1a・・・集電体
1b・・・正極活性物質層
2・・・負極
2a・・・集電体
2b・・・負極活性物質層
3・・・電解液
4・・・セパレータ
5・・・ガスケット
11・・・正極ケース
12・・・負極ケース
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