JP2004202926A - 樹脂成形における構成要素のクリーニング方法及び装置 - Google Patents

樹脂成形における構成要素のクリーニング方法及び装置 Download PDF

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Abstract

【課題】樹脂成形する際の構成要素、例えば、金型、インサート部材、成形品等における付着物を除去する、クリーニング方法及び装置を提供する。
【解決手段】クリーニング装置に、エキシマランプ15を有するランプユニット14と、被クリーニング物である導光板用金型19を予熱するヒータ21を有するステージ20と、ハロゲンランプ25を有し導光板用金型19の型面を加熱するヒータユニット24と、その型面に不活性ガス29を噴射するノズル12とを備える。ヒータ21とヒータユニット24とを使用して導光板用金型19の型面を加熱し、ヒータユニット24を退出させ、型面にノズル12を使用して高圧で不活性ガス29を噴射しつつエキシマランプ15を使用してエキシマUV光18を照射する。これにより、エキシマUV光18と高圧の不活性ガス29との作用により、加熱されて活性化された付着物23を型面から効果的に分解・除去する。
【選択図】 図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、樹脂成形することにより成形品を製造する場合における構成要素、例えば、樹脂成形用の金型、樹脂成形前のインサート部材、及び樹脂成形後の成形品等の表面における付着物を除去する、クリーニング方法及び装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、樹脂成形により製造される成形品には、ますます高い品質、例えば、良好な寸法精度や外観品位等が要求されている。このことから、金型・成形品間における離型性の確保が、いっそう重要になっている。
ここで、トランスファ成形や射出成形等のように、金型のキャビティに溶融樹脂を注入してこれを硬化させる樹脂成形においては、成形品を取り出した後の金型の表面、すなわち型面に、溶融樹脂に含まれる成分等が付着物として残存することがある。このような付着物は、金型・成形品間における離型性を低下させるとともに、成形品の外観品位を低下させるおそれがあるので、信頼性や歩留りの低下を招く原因になる。特に、透明樹脂(クリアーレジン)を用いて成形される光学系成形品、例えば、レンズ、液晶表示装置用の導光板、光コネクタ等にあっては、わずかな汚れや曇りであっても透明度を低下させて不良の原因になる。したがって、型面における付着物を除去する必要性はいっそう高くなる。
【0003】
また、樹脂成形によって成形された光学系成形品については、完成後に付着した付着物も、透明度を低下させる原因になる。この観点から、金型の型面だけでなく、それらの成形品自体をクリーニングする必要性が高い。
更に、半導体チップの樹脂封止に使用されるプリント基板やリードフレーム等のインサート部材についても、これらのインサート部材と、溶融樹脂が硬化して形成された硬化樹脂との間の密着性を確保する必要がある。この観点から、樹脂封止する前にインサート部材をクリーニングする必要性が高い。
【0004】
以下、被クリーニング物として、成形品としての液晶表示装置用の導光板と、その導光板を成形する際に使用される金型とについて、図7を参照しながら説明する。図7(A)は、液晶表示装置用の導光板を示す斜視図であり、図7(B)は、導光板を成形した後に型開きした状態の金型を示す部分断面図である。
【0005】
図7(A)に示される導光板51は、長方形の平面形状と長手方向においてテーパ状になっている断面形状とを有する平板であって、上面には多数の溝部52と突起53とが形成されている。各突起53は、三角形状の断面を有し、いずれも短辺に平行に形成されている。この導光板51は、例えば、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリカーボネートその他の、光学系成形品を形成する透明樹脂によって構成されている。
液晶表示装置に取り付けられた導光板51は、次のようにして機能する。光源である冷陰極管(図示なし)等からの光が、側面54に対して入射する。また、光源からの光は、導光板51の下方に配置された反射板(図示なし)によって反射して、その反射光が下面55に対して入射する。導光板51に入射したこれらの光は、突起53が有するプリズム面56から上方へと出射し、更に拡散シートを透過して液晶パネル本体(いずれも図示なし)を照射する。したがって、導光板51において透明度が低下した部分が発生した場合には、出射光が減衰することから、不良の原因になるおそれがある。
【0006】
図7(B)に示される下型57と上型58とは、導光板51を製造する際に使用される樹脂成形用金型である。下型57は、下型ベース59と、その下型ベース59に着脱自在に嵌装された金型部材60とから構成されている。金型部材60の上面には、導光板51の溝部52に対応する凸部61と、突起53に対応する凹部62とが設けられており、凸部61の斜面が、導光板51のプリズム面56を成形する際の成形部として機能する。
上型58には、キャビティ63が設けられている。そして、下型57と上型58とが型締めすることにより、キャビティ63が、下型57において凸部61と凹部62とが設けられた部分の型面によって、閉じられた空間になる。この状態で、例えば、上型58において導光板51の側面54に対応する部分に設けられたゲート部(図示なし)を経由して、キャビティ63に溶融樹脂(図示なし)が注入される。その後に、キャビティ63に注入された溶融樹脂が硬化してアクリル樹脂等からなる硬化樹脂が形成され、下型57と上型58とが型開きして、硬化樹脂からなる完成した導光板51が取り出される。
【0007】
ところで、下型57及び上型58の型面における付着物は、成形品である導光板51と型面との間の離型性を低下させる。また、導光板51において、金型形状が正確に転写されないことにより汚れや曇り等を引き起こすので、透明度を低下させて不良の原因になる。そこで、金型の型面における付着物を除去するために、ブラシを使用して型面をクリーニングする方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、成形後に導光板51の表面に付着した付着物は、直ちに、導光板51の透明度を低下させる原因になる。特に、導光板51の溝部52においては、その底部付近に付着物が堆積しやすくなる。また、金型についても、型面における付着物は、成形品の不良の原因になる。そこで、エキシマUV光を使用して、金型の型面や成形品を照射して、付着物を分解・揮発させて型面や成形品をクリーニングする方法が提案されている(例えば、非特許文献1参照)。
【0008】
【特許文献1】
特開平6−179022号公報(第2−3頁、第1図)
【非特許文献1】
特願2002−155131号(第12−13頁、第20−21頁、
第2図)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の技術のうち、ブラシを使用して型面をクリーニングする方法によれば、次のような問題がある。まず、微細な凹凸を有する金型の凹部にはブラシの毛先が入らないので、型面における付着物を充分に除去することができない。また、ブラシを使用して物理的に付着物を掻き落とすので、型面そのものや型面に形成されためっき層等を傷つけるおそれがある。特に、液晶表示用の導光板等の、透明樹脂を使用した光学部品用の金型の場合には、図7(B)の微細な凹部62に残存した付着物や型面における傷は、成形品である導光板等に汚れや曇りを引き起こして透明度を低下させるので、不良の原因になる。
【0010】
次に、エキシマUV光によって型面を照射することにより、付着物を分解・揮発させて型面をクリーニングする方法によれば、次のような問題がある。幅が微小で、かつ幅に比べて深さが大きい溝、例えば、図7(B)に示された導光板用の金型の凹部62の底部には、付着物が堆積しやすい。そして、このような溝の底部に堆積した付着物は、他の部分における付着物に比較して、エキシマUV光を照射しても分解・揮発しにくい。したがって、付着物が残存して、導光板の透明度を低下させて不良の原因になるおそれがあり、また、クリーニングに長時間を要するという問題がある。
【0011】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであって、樹脂成形することによって成形品を製造する場合における構成要素、例えば、樹脂成形用の金型、樹脂成形前のインサート部材、及び樹脂成形後の成形品等における付着物を除去する、クリーニング方法及び装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上述の技術的課題を解決するために、本発明に係るクリーニング方法は、金型が有するキャビティに溶融樹脂を注入し硬化させて樹脂成形することにより成形品を製造する場合における構成要素を浄化するクリーニング方法であって、構成要素の表面を加熱する工程と、構成要素の表面にエキシマUV光を照射する工程とを備えたことを特徴とする。
【0013】
これによれば、構成要素の表面を加熱することによってその表面における付着物を活性化させ、単一ピーク波長を有し光子のエネルギーが大きいエキシマUV光を、その表面に照射する。このことにより、構成要素の表面における活性化された付着物、特に有機物の分子結合を切断するので、その表面と付着物との間の密着性を低下させる。また、エキシマUV光が酸素に作用することによって発生した主に活性酸素により、分子結合が切断された付着物を酸化分解する。したがって、構成要素の表面に物理的なダメージを与えることなく、その表面にエキシマUV光を照射することにより行う付着物の除去を、促進することができる。
【0014】
また、本発明に係るクリーニング方法は、金型が有するキャビティに溶融樹脂を注入し硬化させて樹脂成形することにより成形品を製造する場合における構成要素を浄化するクリーニング方法であって、構成要素の表面にエキシマUV光を照射する工程と、構成要素の表面に流体を噴射することにより表面における付着物を除去する工程とを備えたことを特徴とする。
【0015】
これによれば、単一ピーク波長を有し光子のエネルギーが大きいエキシマUV光を、構成要素の表面に照射する。このことにより、構成要素の表面における付着物、特に有機物の分子結合を切断するので、その表面と付着物との間の密着性を低下させる。また、エキシマUV光が酸素に作用することによって発生した主に活性酸素により、分子結合が切断された付着物を酸化分解する。更に、構成要素の表面に流体を噴射することにより、表面に対する密着性が低下した付着物を飛ばしてこれを除去する。したがって、構成要素の表面に物理的なダメージを与えることなく、その表面にエキシマUV光を照射することにより行う付着物の除去を、促進することができる。
【0016】
また、本発明に係るクリーニング方法は、上述のクリーニング方法において、構成要素は金型であることを特徴とする。
【0017】
これによれば、金型の表面に対して、単一ピーク波長を有し光子のエネルギーが大きいエキシマUV光を照射するとともに、その表面を加熱して付着物を活性化させ、又はその表面に対して流体を噴射する。したがって、金型の型面における付着物を、効果的に除去することができる。
【0018】
また、本発明に係るクリーニング方法は、上述のクリーニング方法において、構成要素は成形品であることを特徴とする。
【0019】
これによれば、成形品の表面に対して、単一ピーク波長を有し光子のエネルギーが大きいエキシマUV光を照射するとともに、その表面を加熱して付着物を活性化させ、又はその表面に対して流体を噴射する。したがって、成形品の表面における付着物を、効果的に除去することができる。
【0020】
また、本発明に係るクリーニング方法は、上述のクリーニング方法において、成形品は液晶表示装置用の導光板であることを特徴とする。
【0021】
これによれば、液晶表示装置用の導光板の表面、又は導光板成形用の金型の型面に対して、単一ピーク波長を有し光子のエネルギーが大きいエキシマUV光を照射するとともに、その表面を加熱して付着物を活性化させ、又は、その表面に対して流体を噴射する。したがって、導光板の表面、又は金型の型面における付着物を、効果的に除去することができる。
【0022】
また、本発明に係るクリーニング方法は、上述のクリーニング方法において、流体はエキシマUV光の減衰を抑制する性質を有する気体であることを特徴とする。
【0023】
これによれば、構成要素の表面に噴射した気体によって、エキシマUV光の減衰を抑制するので、エキシマUV光による付着物の分子結合を切断する能力と活性酸素を発生させる能力とを、維持することができる。したがって、付着物の分子結合を切断する能力と分子結合が切断された付着物を酸化分解する能力とを、言い換えれば、付着物を除去して構成要素を浄化する能力を、維持することができる。加えて、構成要素に溝(凹部)が存在する場合であっても、照射距離が長くなる部分である溝の底部において、エキシマUV光の減衰を抑制することにより、付着物を効果的に除去することができる。
【0024】
また、本発明に係るクリーニング方法は、上述のクリーニング方法において、流体は付着物を溶解する性質を有することを特徴とする。
【0025】
これによれば、付着物を溶解する性質を有する流体を構成要素の表面に噴射することにより、表面に対する密着性が低下した付着物を流体の噴射によって除去する作用に加えて、その流体により付着物を融解して除去する作用が生ずる。したがって、付着物をいっそう効果的に除去することができる。
【0026】
また、本発明に係るクリーニング装置は、金型が有するキャビティに溶融樹脂を注入し硬化させて樹脂成形することにより成形品を製造する場合における構成要素を浄化するクリーニング装置であって、構成要素の表面を加熱する加熱手段と、構成要素の表面にエキシマUV光を照射する照射手段とを備えたことを特徴とする。
【0027】
これによれば、加熱手段を使用して構成要素の表面が加熱されるので、その表面における付着物が活性化される。そして、照射手段を使用して、構成要素の表面が、単一ピーク波長を有し光子のエネルギーが大きいエキシマUV光によって照射される。このことにより、構成要素の表面における活性化された付着物、特に有機物の分子結合が切断されるので、構成要素の表面と付着物との間の密着性が低下する。また、エキシマUV光が酸素に作用することによって発生した主に活性酸素により、分子結合が切断された付着物が酸化分解される。したがって、構成要素の表面が物理的なダメージを受けることなく、その表面にエキシマUV光を照射することによって行う付着物の除去が促進される。
【0028】
また、本発明に係るクリーニング装置は、金型が有するキャビティに溶融樹脂を注入し硬化させて樹脂成形することにより成形品を製造する場合における構成要素を浄化するクリーニング装置であって、構成要素の表面にエキシマUV光を照射する照射手段と、構成要素の表面に流体を噴射することにより表面における付着物を除去する噴射手段とを備えたことを特徴とする。
【0029】
これによれば、照射手段を使用して、構成要素の表面が、単一ピーク波長を有し光子のエネルギーが大きいエキシマUV光によって照射される。このことにより、構成要素の表面における付着物、特に有機物の分子結合が切断されるので、構成要素の表面と付着物との間の密着性が低下する。また、エキシマUV光が酸素に作用することによって発生した主に活性酸素により、分子結合が切断された付着物が酸化分解される。更に、噴射手段を使用して構成要素の表面に流体を噴射することにより、表面に対する密着性が低下した付着物が飛ばされて除去される。したがって、構成要素の表面が物理的なダメージを受けることなく、その表面にエキシマUV光を照射することによって行う付着物の除去が促進される。
【0030】
また、本発明に係るクリーニング装置は、上述のクリーニング装置において、流体はエキシマUV光の減衰を抑制する性質を有する気体であることを特徴とする。
【0031】
これによれば、噴射手段を使用して構成要素の表面に噴射された気体により、エキシマUV光の減衰が抑制されるので、エキシマUV光による付着物の分子結合を切断する能力と活性酸素を発生させる能力とが、維持される。したがって、付着物の分子結合を切断する能力と分子結合が切断された付着物を酸化分解する能力とが、言い換えれば、付着物を除去して構成要素を浄化する能力が維持される。加えて、構成要素に溝(凹部)が存在する場合であっても、照射距離が長くなる部分である溝の底部において、エキシマUV光の減衰が抑制されるので、付着物が効果的に除去される。
【0032】
また、本発明に係るクリーニング装置は、上述のクリーニング装置において、流体は付着物を溶解する性質を有することを特徴とする。
【0033】
これによれば、噴射手段を使用して、付着物を溶解する性質を有する流体が構成要素の表面に噴射される。このことにより、表面に対する密着性が低下した付着物が流体の噴射によって除去される作用に加えて、その流体によって付着物が融解して除去される作用が生ずる。したがって、付着物がいっそう効果的に除去される。
【0034】
【発明の実施の形態】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態を、図1と図2とを参照して説明する。図1は、本実施形態に係るクリーニング装置が樹脂封止装置に組み込まれた状態を示す、概略正面図である。図2は、図1に示されたクリーニング装置がエキシマUV光によって型面を照射する状態を示す、概略側面図である。
本実施形態では、樹脂成形の一例として、インサート部材としてのプリント基板やリードフレーム等(以下「基板」という。)に装着されたチップ状の電子部品を樹脂封止して、成形品としてLSI等のパッケージを製造する場合について説明する。そして、成形品を製造する場合における構成要素の例として、樹脂封止用の金型について説明する。
【0035】
図1において、モールドユニット1は樹脂封止を行うユニットであり、待機ユニット2はモールドユニット1に連結され後述するランプユニット(照射手段)が待機するユニットである。モールドユニット1が有する上型3と下型4とは、相対向して設けられた樹脂封止用の金型であり、被クリーニング物である。上型3と下型4とには、これらの金型の型面を所定の成形温度(例えば、180℃)に加熱するために、埋込式のヒータ(図示なし)が設けられている。
上型3は固定型であって、カル5,カル5に順次連通するランナ6,キャビティ7がそれぞれ設けられている。カル5とランナ6とキャビティ7とは、併せて上型3の側の樹脂流動部8を構成する。下型4は可動型であって、カル5に対向する位置にはポット9が、キャビティ7に対向する位置にはキャビティ10がそれぞれ設けられている。ポット9とキャビティ10とは、併せて下型4の側の樹脂流動部11を構成する。
【0036】
ノズル12は、バルブを介して気体供給源(いずれも図示なし)に接続されており、上型3と下型4との型面に対して、所望の圧力で所定の気体を噴射して供給する噴射手段である。この供給される気体は、酸素以外の気体であってエキシマUV光の減衰を抑制する性質を有する気体、例えば、窒素ガスのような不活性ガスであり、この気体を噴射する圧力は可変である。排気管13は、バルブを介して吸引ポンプ(いずれも図示なし)に接続されており、モールドユニット1内のガスを外部に排出する排気手段である。
【0037】
ランプユニット14は、被クリーニング物、すなわち、上型3と下型4との型面に対して所定の距離を置いてエキシマUV光を照射する照射手段である。エキシマランプ15は、ランプユニット14の内部に取り付けられており、例えば、キセノン(Xe)を放電ガスとして使用した誘電体バリア放電により、波長172nmのエキシマUV光を発生するランプである。透光窓16は、ランプユニット14の上下両面に設けられ、例えば、合成石英ガラスからなる照射用の窓である。型面におけるエキシマUV光の放射照度低下を防止する観点から、透光窓16と各型面との間の距離は、できるだけ小さいことが好ましい。レール17は、ランプユニット14を移動させる移動手段であって、モータ(図示なし)によって駆動されたランプユニット14がレール17に沿って水平移動する。
【0038】
本実施形態に係るクリーニング装置の動作を、図1と図2とを参照して説明する。上型3と下型4との型面は、埋込式のヒータ(図示なし)によって、予め所定の成形温度(例えば、180℃)に加熱されている。ここで、上型3と下型4との樹脂流動部8,11の型面には、樹脂封止を行うことにより、例えば、次のような主として有機物からなる付着物が付着している場合がある。
第1に、樹脂封止工程において離型性のフィルムを使用しない場合に、溶融樹脂に起因する成分、すなわち、溶融樹脂の一部からなる樹脂かす等が、型面に付着する場合がある。ここでいう溶融樹脂には、熱硬化性樹脂及び熱可塑性樹脂の双方が含まれる。第2に、離型性のフィルムを使用する場合に、フィルムに起因する成分、すなわち、フィルムから溶出した物質が型面に付着する場合がある。第3に、離型性のフィルムを使用する場合に、溶融樹脂に起因する成分、すなわち、加熱された溶融樹脂に含まれるガス成分が、加圧されることによりフィルムの微小孔を経由してそのフィルムを透過した後に凝縮して、型面に付着する場合がある。
【0039】
本実施形態では、まず、図1において、ランプユニット14を、待機ユニット2からレール17に沿って移動させ、透光窓16を通過したエキシマUV光が上型3と下型4との型面における所望の領域を一様に照射する所定の位置で、停止させる。また、上型3と下型4との型面に対して、ノズル12(図2の下型4の側では図示を省略している)を使用して、窒素ガスを低圧で噴射して供給する。これにより、型面の近傍が低酸素濃度の雰囲気になる。
【0040】
次に、エキシマランプ15に対して、所定の高周波電圧を印加する。このことにより、図2に示すように、エキシマランプ15は、所定の中心波長(例えば、Xeを放電ガスとして使用した場合には172nm)を有するエキシマUV光18を発生する。ランプユニット14は、透光窓16を介して、エキシマUV光18を上型3と下型4との型面、すなわち、図1に示された樹脂流動部8,11における型面に照射する。このエキシマUV光18は、真空紫外線(VUV;Vacuum Ultra Violet)と呼ばれ、中心波長を中心に極めて狭い範囲の波長、すなわち、単一ピーク波長を有しており、光子のエネルギーが大きいという特性を有する。型面に対してエキシマUV光18を照射することによって、後述するように、型面と付着物との間の密着性が低下して、その型面における付着物が分解・除去される。
【0041】
次に、型面に対してエキシマUV光18を照射しながら、又は、エキシマUV光18を照射した後に、上型3と下型4との型面に対して、ノズル12によって窒素ガスを高圧で噴射する。これにより、型面と付着物との間の密着性が低下した状態で、型面における付着物が高圧の窒素ガスの噴射によって吹き飛ばされるので、型面における付着物の除去を促進することができる。また、高圧の窒素ガスの噴射は、エキシマUV光18を照射する前から行っていてもよい。
【0042】
次に、型面を一定時間照射した後に、エキシマランプ15を消灯する。これにより、型面にエキシマUV光18を一定時間照射して、型面のクリーニングを完了する。
【0043】
次に、ノズル12による窒素ガスの供給を停止し、ランプユニット14をレール17に沿って図1に示された待機ユニット2まで移動させる。その後に、下型4の上にチップを装着した基板を載置し、上型3と下型4とを型締めし、ポット9からカル5,ランナ6を順次経由してキャビティ7,10にそれぞれ溶融樹脂(図示なし)を注入し、これを硬化させて硬化樹脂を形成する。
【0044】
次に、上型3と下型4とを型開きして、基板と硬化樹脂とからなる成形品(図示なし)を取り出す。これにより、チップの樹脂封止が完了する。
【0045】
次に、再び、ランプユニット14を待機ユニット2から所定の位置まで移動させ、ノズル12により上型3と下型4との型面に対して窒素ガスを供給する。そして、図2に示すように、ランプユニット14は、エキシマUV光18を上型3と下型4との型面に照射する。以下、型面のクリーニングとチップの樹脂封止とを繰り返す。
【0046】
本実施形態では、エキシマUV光18を照射する際の照射条件は、次のように定められている。まず、エキシマUV光18のエネルギーは、型面を一定時間照射した場合に、型面の保護や離型性の確保等を目的として型面に予め形成されためっき層等の層を、剥離させない程度の値になるように定められる。また、このエネルギーは、型面を一定時間照射した場合に、型面における付着物を十分に分解・除去できる程度の値になるように定められる。したがって、このようなエネルギーを有するエキシマUV光18によって型面を照射することにより、型面において、めっき層等を剥離させることなく、付着物を十分に分解・除去することができる。
【0047】
エキシマUV光18の作用を詳しく説明すれば、次のようになる。まず、エキシマUV光18のエネルギーにより、型面における付着物、特に有機物の分子結合が切断される。これにより、型面と付着物との間の密着性が低下する。それとともに、エキシマUV光18のエネルギーにより、モールドユニット1内に存在する酸素から、オゾン(O)及び活性酸素が発生する。次に、これらのうち主として活性酸素が、分子結合が切断された付着物に作用することにより、その付着物が酸化分解して揮発する。これにより、型面における付着物が分解・除去される。
なお、モールドユニット1内のガスは、人体に有害であり金属材料や高分子材料等を劣化・腐食させるオゾンを含んでいる。そこで、このガスを、排気管13によって樹脂封止装置の外部に排出している。また、ランプユニット14の周辺をカーテン状の部材で囲んで、その内側を局所排気することもできる。
【0048】
本実施形態によれば、上型3と下型4との型面がヒータ(図示なし)によって加熱された状態で、それらの型面に対してエキシマUV光18を照射する。したがって、型面が加熱されることにより、型面における付着物が活性化するので、エキシマUV光18を照射することによる付着物の分解・除去が促進される。
【0049】
また、本実施形態では、上型3と下型4との型面に対してエキシマUV光18を照射しながら、又は照射した後に、型面に対して、ノズル12を使用して窒素ガスを高圧で噴射する。これにより、型面と付着物との間の密着性が低下した状態で、型面における付着物が高圧の窒素ガスの噴射によって吹き飛ばされる。したがって、型面における付着物の除去が促進される。
【0050】
加えて、型面の近傍、すなわち、透光窓16と型面との間の空間が、エキシマUV光18の減衰を抑制する性質を有する窒素ガスを供給することによって、低酸素濃度の雰囲気になっている。これにより、酸素に起因するエキシマUV光18の減衰を抑制することになる。
したがって、エキシマUV光18により付着物の分子結合を切断する能力と活性酸素を発生させる能力とを、維持することになる。これにより、付着物の分子結合を切断するとともに分子結合が切断された付着物を酸化分解する能力、すなわち、構成要素をクリーニングする能力を、維持することができる。加えて、構成要素に凹凸が存在する場合であっても、照射距離が長くなる部分である凹部、例えば、キャビティ7,10においてエキシマUV光18の減衰を抑制する。したがって、キャビティ7,10のような凹部における付着物を効果的に除去することができる。
【0051】
以上説明したように、本実施形態によれば、チップ状の電子部品を樹脂封止する合間に、単一ピーク波長を有し光子のエネルギーが大きいエキシマUV光18により、上型3と下型4との型面を照射して、非接触の方法により型面のクリーニングを行う。このことにより、樹脂封止を中断して別工程としてブラシ等によるクリーニングを行う必要がないので、型面に物理的なダメージを与えることなく、連続して樹脂封止を行うことができる。
また、予め型面を加熱することにより、型面における付着物を活性化させるので、エキシマUV光18を照射することによる付着物の分解・除去を促進することができる。
また、型面に対してエキシマUV光18を照射しながら、又は照射した後に、型面に対して窒素ガスを高圧で噴射することにより、エキシマUV光18を照射することによる付着物の分解・除去を促進することができる。
また、窒素ガスを供給することによって、酸素に起因するエキシマUV光18の減衰を抑制する。したがって、型面に凹凸が存在する場合であっても、照射距離が長くなる部分である凹部における付着物を、効果的に分解・除去することができる。
【0052】
なお、本実施形態の説明では、所定の位置でランプユニット14を停止させた後に、エキシマランプ15を点灯してエキシマUV光18を照射した。これに代えて、エキシマランプ15を点灯させた状態で、型面に対してエキシマUV光18を照射しながら、ランプユニット14を移動させてもよい。この場合には、エキシマUV光18のエネルギーのみならずランプユニット14の移動速度をも考慮して、型面に対する照射条件を定めることが好ましい。また、図1の紙面に垂直に、1本又は複数本のエキシマランプ15を設けることが好ましい。
【0053】
また、本実施形態の説明では、1回の樹脂封止ごとに型面を照射することとした。これに限らず、樹脂封止の連続回数と、型面の状態と、成形品、すなわち、パッケージの品質等との関係を事前に評価しておいて、その評価に応じて、所定の回数だけ樹脂封止を行った後に型面を照射してもよい。これにより、ランプユニット14が必要最小限の回数だけ動作することになるので、樹脂封止の作業効率が向上する。
【0054】
また、窒素ガスを供給することによって、酸素に起因するエキシマUV光18の減衰を抑制している。しかし、窒素ガスの濃度が高くなると、酸素ガスの濃度が低くなり、その結果、オゾン及び活性酸素が発生しにくくなるという現象が生じる。したがって、クリーニングの効率が低下するおそれがある。そこで、エキシマUV光18の放射照度に応じた最適な窒素ガスの濃度を予め実験的に調べておき、窒素ガスがその最適な濃度になることを目標にして、窒素ガスの供給を制御することが好ましい。これにより、エキシマUV光18の放射照度とその放射照度に応じた最適な窒素ガスの濃度という最適な条件の下で、型面のクリーニングを行うことができる。
【0055】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態を、図3と図4とを参照して説明する。図3(A),(B)は、本実施形態に係るクリーニング装置が、金型を予熱する状態と、その金型をクリーニングする状態とを、それぞれ示す部分断面図である。図4は、図3のクリーニング装置が金型をクリーニングする状態を側面から示す、部分断面図である。
本実施形態では、金型の一例として、液晶表示装置用の導光板を成形する際に使用され、多数の微細な溝が設けられている導光板用金型(図7の金型部材60に相当)を説明する。また、その導光板用金型を樹脂成形装置から取り外した状態でクリーニングする場合について説明する。
【0056】
図3及び図4において、昇降自在に設けられたランプユニット14の真下において、樹脂成形装置から取り外した導光板用金型19が、ステージ20上に配置されている。ステージ20にはヒータ21が埋設され、このヒータ21により導光板用金型19の型面は所定の温度に予め加熱されている。また、導光板用金型19には、導光板のプリズム面を成形するための凸部(図示なし、図7の凸部61に相当)と凹部22(図7の凹部62に相当)とが形成されている。この凹部22の底部には、樹脂封止の際に付着した付着物23が堆積しやすい。
【0057】
導光板用金型19の型面とランプユニット14との間には、加熱手段として、ヒータユニット24が進退自在に設けられている。ヒータユニット24は、赤外線を発光するハロゲンランプ25とその赤外線を反射する反射ミラー26とを有し、反射した赤外線27を一定の範囲に照射する。また、第1の実施形態と同様に、導光板用金型19の型面の近傍に所望の圧力で所定の不活性ガスを噴射して供給する、ノズル12が設けられている。このノズル12は、気体用配管28に接続され、更にバルブを介して気体供給源(いずれも図示なし)に接続され、必要に応じて、適当な圧力(可変)によって不活性ガス29を噴射する。
【0058】
本実施形態に係るクリーニング装置の動作について、図3と図4とを参照して説明する。まず、図3(A)に示すように、ヒータ21によって導光板用金型19を下方から加熱して、その型面を所定の温度に予熱する。そして、導光板用金型19の型面とランプユニット14との間において、ヒータユニット24を前進させて所定の位置に停止させる。
【0059】
次に、ヒータユニット24が有するハロゲンランプ25を点灯させ、導光板用金型19の型面に上方から赤外線27を照射させて、所定の温度まで型面を加熱する。ここで、導光板用金型19の型面は、ヒータ21により予熱されているので、ヒータユニット24によって更に加熱されて昇温することになる。
【0060】
次に、ハロゲンランプ25を消灯させ、導光板用金型19の型面とランプユニット14との間からヒータユニット24を退出させた後に、図3(B)に示すようにランプユニット14を下降させる。そして、エキシマランプ15によって発光したエキシマUV光18を導光板用金型19の型面に照射するとともに、その型面に対してノズル12によって不活性ガス29を高圧で噴射する。
これにより、第1の実施形態と同様に、エキシマUV光18の作用によって型面における付着物23を分解・除去するとともに、噴射された高圧の不活性ガス29の作用によって付着物23の除去を促進することができる。また、不活性ガス29の存在により、第1の実施形態と同様に、酸素に起因するエキシマUV光18の減衰を抑制するので、このことによっても付着物23の除去を促進することができる。
【0061】
次に、第1の実施形態と同様に、エキシマランプ15を消灯し、ランプユニット14を上昇させる。ここで、高圧の不活性ガス29を引き続き噴射して付着物23の除去を図ってもよく、噴射を停止してもよい。
以下、導光板用金型19を、ステージ20から取り外し、樹脂成形装置に取り付けて、ダミーの樹脂成形を行った後に本成形を開始する。
【0062】
以上説明したように、本実施形態によれば、樹脂成形装置から取り外した導光板用金型19の型面における付着物23を、その型面を加熱することによって活性化する。そして、その状態でエキシマUV光18を照射することにより、活性化された付着物23を効果的に分解・除去することができる。
また、導光板用金型19の型面に、ハロゲンランプ26によって上方から赤外線27を照射して、所定の温度まで型面を加熱する。これにより、ヒータ21による下方からの加熱だけを使用した場合よりも、少ないエネルギーで型面を所定の温度まで加熱することができる。
また、導光板用金型19の上方から付着物23を加熱することにより、付着物23を効果的に活性化することができる。この点からも、活性化された付着物23を、短時間にかつ効果的に分解・除去することができる。
また、噴射された高圧の不活性ガス29の作用によって、付着物23の除去を促進することができる。
【0063】
なお、第1の実施形態では、被クリーニング物である金型は、予め所定の成形温度(例えば、180℃)に加熱されていた。これに対して、本実施形態では、取り外した状態にある導光板用金型19を、クリーニングを行うために最適な温度に加熱することができる。例えば、装置や工程等において許される範囲内で、また、付着物23の種類、量、型面に対する密着強度等に応じて、成形温度よりも高温で、又は低温で、導光板用金型19を加熱することができる。
更に、付着物23が分解されやすい性質を有する場合には、導光板用金型19が常温にある状態で、その型面にエキシマUV光18を照射し、高圧の不活性ガス29を噴射してもよい。
【0064】
また、ここまで説明した各実施形態において、高圧で噴射される窒素ガスと不活性ガス29とを、加熱又は冷却して噴射してもよい。これらの場合には、加熱して噴射することにより、付着物23を活性化する効果を促進することができ、冷却して噴射することにより、加熱された付着物23を熱衝撃によって除去することができる。
更に、高圧で噴射されるガスを冷却するとともに、そのガスにドライアイスの微小な粒体を混在させてもよい。この場合には、固体である低温のドライアイスが衝突することで発生する機械的及び熱的な衝撃によって、付着物23を効果的に除去することができる。
【0065】
(第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態を、図5を参照して説明する。図5は、本実施形態に係るクリーニング装置が液体によって金型をクリーニングする状態を示す、部分断面図である。
【0066】
図5において、ノズル30は、型面における付着物23を溶解する性質を有する液体31を型面に噴射する噴射手段である。本実施形態においては、エキシマ光の照射による付着物の除去に加えて、付着物を溶解することによってその除去を図るものである。
【0067】
本実施形態に係るクリーニング装置の動作について、説明する。まず、エキシマランプ15を使用して、導光板用金型19の型面に対してエキシマUV光を照射する。次に、ランプユニット14を上昇させた後に、エキシマUV光によって型面と付着物23との間の密着性が低下した状態で、ノズル30を使用して、付着物23を溶解する性質を有する液体31を型面に噴射する。この液体31としては、水系としては純水、イオン交換水等が、アルカリ系としては界面活性剤等が、酸系としてはフッ酸、硫酸、塩酸等が、有機溶剤としてはアセトン、エタノール、メタノール、イソプロピルアルコール、ベンゼン、エーテル等が使用可能である。
【0068】
本実施形態によれば、型面に対してエキシマUV光を照射した後に、型面に対して、付着物23を溶解する性質を有する液体31を噴射する。これにより、エキシマUV光を照射した後において、特に凹部22の底部における付着物23の溶解・除去を促進することができる。
【0069】
なお、第1及び第2の実施形態、すなわち、型面に対する、不活性ガスの噴射又は加熱による付着物23の除去の促進に加えて、本実施形態における付着物23を溶解する性質を有する液体の噴射を行ってもよい。これにより、付着物23の除去をいっそう促進することができる。
また、液体を噴射した後の型面に対して不活性ガスを噴射して、その型面を乾燥させることもできる。
【0070】
(第4の実施形態)
本発明の第4の実施形態を、図6を参照して説明する。図6は、本実施形態に係るクリーニング装置がエキシマUV光によって液晶表示装置用の導光板の表面をクリーニングする状態を示す、部分断面図である。
【0071】
図6に示されているように、本実施形態においては、液晶表示装置用の導光板32が、治具33の上に固定されている。導光板32には、溝部34(図7の溝部52に相当)と突起35(図7の突起53に相当)とが形成されている。そして、第1又は第2の実施形態と同様に、導光板32の表面に対して、その表面を加熱し、エキシマUV光18を照射し、更に、ノズル12(図示を一部省略)を使用して不活性ガス29を高圧で噴射する。また、第3の実施形態と同様に、導光板32の表面に対して、付着物23を溶解する性質を有する液体を噴射することもできる。これらの場合には、導光板32を構成する材料の特性に応じて、導光板32の表面を加熱する温度や、不活性ガス29や噴射する液体の種類について、最適な値又は種類を選択すればよい。また、不活性ガス29や液体の温度についても、加熱又は冷却して最適な温度にして、不活性ガス29や液体を導光板32の表面に対して噴射することができる。
【0072】
本実施形態によれば、次のようにして、導光板32の表面に対して物理的なダメージを与えることなく、その表面をクリーニングすることができる。
まず、導光板32の表面を照射したエキシマUV光18の作用により、その表面における付着物23を分解・除去することができる。更に、導光板32の表面を加熱することにより、付着物23の除去を促進することができる。
また、導光板32の表面と付着物23との間の密着性が低下した状態で、その表面に、高圧の不活性ガス29を噴射する。したがって、導光板32の表面における付着物23の除去を促進することができる。
また、導光板32の表面と付着物23との間の密着性が低下した状態で、その表面に、付着物23を溶解する性質を有する液体を噴射する。したがって、その液体の作用によって、導光板32の表面における、特に溝部34の底部における付着物23を溶融・除去することができる。
【0073】
なお、上述の各実施形態においては、被クリーニング物として、樹脂封止用の金型(上型3及び下型4)、導光板用金型19、及び成形品である導光板32を例に挙げて説明した。これに限らず、樹脂成形における他の構成要素を、被クリーニング物にすることもできる。
例えば、樹脂封止前における単体としての基板やチップが装着された状態の基板等のインサート部材としての基板を、被クリーニング物にしてもよい。また、成形品としての樹脂封止後のパッケージを、被クリーニング物にしてもよい。また、導光板以外の成形品自体、インサート部材や成形品を吸着・搬送する治具、インサート部材や成形品を収納するトレイ類、更に、樹脂封止用金型及び導光板用金型以外の成形用金型、例えば、射出成形用金型に対しても、本発明を適用することができる。
【0074】
また、クリーニングを促進するには、本質的には被クリーニング物の表面だけを加熱すればよい。したがって、被クリーニング物が小型で小さい熱容量を有する場合には、第2の実施形態における、ハロゲンランプ26を内蔵したヒータユニット24だけを使用することができる。例えば、上型3,下型4,導光板用金型19,導光板32等のような、樹脂成形における構成要素が小型で小さい熱容量を有する場合には、図3に示された埋込式のヒータ21を使用することなく、ヒータユニット24だけを使用すればよい。これにより、クリーニングのいっそうの省エネルギー化を図ることができる。
【0075】
また、クリーニングを効果的に行うためには、一般的に、付着物23が活性化されていることが好ましい。そこで、図1〜図4,図6に示されたノズル12から噴射される窒素ガス等の不活性ガス29や、図5に示されたノズル30から噴射される液体31を、一定の温度に保温しておくとよい。保温する際の温度としては、付着物23の種類や型面との密着強度等によって、適当な温度を定めればよい。例えば、不活性ガス29又は液体31を、室温付近に保温してもよい。また、付着物23と型面との間の密着強度が大きい場合には、装置や工程等において許される範囲内で、不活性ガス29又は液体31を最適な温度にまで加熱することもできる。
また、加熱された付着物23との間の温度差によって、すなわち、熱衝撃によって、付着物23を除去することも可能である。この場合には、不活性ガス29又は液体31を適当な温度に冷却して、型面に対して噴射すればよい。
【0076】
また、上述の各実施形態においては、放電ガスとしてキセノン(Xe)単体からなるガスを使用して、波長172nmのエキシマUV光を発生させた。これに限らず、F,Ar,Kr,Xe等の元素のうち少なくとも1つを含む放電ガスを使用することもできる。これらの場合にも、波長172nm以外の単一ピーク波長、特に波長172nmよりも短い単一ピーク波長を有するエキシマUV光が得られる。
【0077】
また、ここまで、型面等における付着物23として、次の物を挙げた。すなわち、溶融樹脂の一部からなる樹脂かす、フィルムから溶出した物質、溶融樹脂に含まれるガス成分がフィルムの微小孔を経由してそのフィルムを透過した後に凝縮した物質である。型面等における付着物23としては、これらに限らず、工程で使用される粘着テープの粘着層等に起因する物質、作業者がうっかり型面等に触れたことにより付着した油脂成分や、機構部の潤滑油が揮発して付着した物質等が含まれる。
【0078】
また、付着物23の量が少ない場合や、被クリーニング物の表面に対する密着性が低い場合等、又は、付着物23の種類によっては、型面に対する加熱、不活性ガスの噴射、又は付着物23を溶解する性質を有する液体の噴射を必要としない場合がある。この場合には、エキシマUV光18の照射のみによってクリーニングを行うことができる。
【0079】
また、本発明は、上述の各実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、必要に応じて、任意にかつ適宜に組み合わせ、変更し、又は選択して採用できるものである。
【0080】
【発明の効果】
本発明によれば、単一ピーク波長を有し光子のエネルギーが大きいエキシマUV光によって、構成要素の表面において加熱されることにより活性化した付着物の分子結合を切断して、その表面と付着物との間の密着性を低下させる。更に、エキシマUV光が酸素に作用することによって発生した活性酸素により、分子結合が切断された付着物を酸化分解する。したがって、構成要素に物理的なダメージを与えることなく、構成要素の表面から付着物を除去することができる。
また、構成要素の表面に流体を噴射することにより、表面に対する密着性が低下した付着物を飛ばして、これを効果的に除去することができる。更に、構成要素の表面に、付着物を溶解する性質を有する流体を噴射することにより、付着物を溶解して効果的に除去することができる。
また、液晶表示装置用の導光板を含む成形品、導光板用金型を含む金型等の、樹脂成形における構成要素を、物理的なダメージを与えることなくクリーニングすることができる。
以上説明したように、本発明は、物理的なダメージを与えることなく樹脂成形における構成要素をクリーニングする、樹脂成形における構成要素のクリーニング方法及び装置を提供するという、優れた実用的な効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るクリーニング装置が樹脂封止装置に組み込まれた状態を示す、概略正面図である。
【図2】図1に示されたクリーニング装置がエキシマUV光によって型面を照射する状態を示す、概略側面図である。
【図3】図3(A)は、本発明の第2の実施形態に係るクリーニング装置が金型を予熱する状態を、図3(B)は、予熱された金型をそのクリーニング装置がクリーニングする状態を、それぞれ示す部分断面図である。
【図4】図3のクリーニング装置が金型をクリーニングする状態を側面から示す、部分断面図である。
【図5】本発明の第3の実施形態に係るクリーニング装置が液体によって金型をクリーニングする状態を示す、部分断面図である。
【図6】本発明の第4の実施形態に係るクリーニング装置が、エキシマUV光によって液晶表示装置用の導光板の表面をクリーニングする状態を示す、部分断面図である。
【図7】図7(A)は、液晶表示装置用の導光板を示す斜視図であり、図7(B)は、導光板を成形した後に型開きした状態の金型を示す部分断面図である。
【符号の説明】
1 モールドユニット
2 待機ユニット
3 上型(構成要素、金型)
4 下型(構成要素、金型)
5 カル
6 ランナ
7,10 キャビティ
8,11 樹脂流動部
9 ポット
12 ノズル(噴射手段)
13 排気管
14 ランプユニット(照射手段)
15 エキシマランプ
16 透光窓
17 レール
18 エキシマUV光
19 導光板用金型(構成要素、金型)
20 ステージ
21 ヒータ(加熱手段)
22 凹部
23 付着物
24 ヒータユニット(加熱手段)
25 ハロゲンランプ
26 反射ミラー
27 赤外線
28 気体用配管
29 不活性ガス(流体)
30 ノズル(噴射手段)
31 液体(流体)
32 導光板(構成要素)
33 治具
34 溝部
35 突起

Claims (11)

  1. 金型が有するキャビティに溶融樹脂を注入し硬化させて樹脂成形することにより成形品を製造する場合における構成要素を浄化するクリーニング方法であって、
    前記構成要素の表面を加熱する工程と、
    前記構成要素の表面にエキシマUV光を照射する工程とを備えたことを特徴とするクリーニング方法。
  2. 金型が有するキャビティに溶融樹脂を注入し硬化させて樹脂成形することにより成形品を製造する場合における構成要素を浄化するクリーニング方法であって、
    前記構成要素の表面にエキシマUV光を照射する工程と、
    前記構成要素の表面に流体を噴射することにより前記表面における付着物を除去する工程とを備えたことを特徴とするクリーニング方法。
  3. 請求項1又は2記載のクリーニング方法において、
    前記構成要素は前記金型であることを特徴とするクリーニング方法。
  4. 請求項1又は2記載のクリーニング方法において、
    前記構成要素は前記成形品であることを特徴とするクリーニング方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか1つに記載されたクリーニング方法において、
    前記成形品は液晶表示装置用の導光板であることを特徴とするクリーニング方法。
  6. 請求項2〜5のいずれか1つに記載されたクリーニング方法において、
    前記流体は前記エキシマUV光の減衰を抑制する性質を有する気体であることを特徴とするクリーニング方法。
  7. 請求項2〜5のいずれか1つに記載されたクリーニング方法において、
    前記流体は前記付着物を溶解する性質を有することを特徴とするクリーニング方法。
  8. 金型が有するキャビティに溶融樹脂を注入し硬化させて樹脂成形することにより成形品を製造する場合における構成要素を浄化するクリーニング装置であって、
    前記構成要素の表面を加熱する加熱手段と、
    前記構成要素の表面にエキシマUV光を照射する照射手段とを備えたことを特徴とするクリーニング装置。
  9. 金型が有するキャビティに溶融樹脂を注入し硬化させて樹脂成形することにより成形品を製造する場合における構成要素を浄化するクリーニング装置であって、
    前記構成要素の表面にエキシマUV光を照射する照射手段と、
    前記構成要素の表面に流体を噴射することにより前記表面における付着物を除去する噴射手段とを備えたことを特徴とするクリーニング装置。
  10. 請求項9に記載されたクリーニング装置において、
    前記流体は前記エキシマUV光の減衰を抑制する性質を有する気体であることを特徴とするクリーニング装置。
  11. 請求項9に記載されたクリーニング装置において、
    前記流体は前記付着物を溶解する性質を有することを特徴とするクリーニング装置。
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