JP2004202295A - ノズルおよびそのノズルを使用した液体供給装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】微少流量の液体供給システム、あるいはデスペンサー、分析装置用定量ポンプ、マイクロ化学反応器用定量ポンプ等に好適な液体供給装置を提供する。
【解決手段】粘度の異なった液体を精密に微少量滴下注入するために使用するノズルNであって、前記ノズルは濡れやすい内面を持つ液体保持用細管1と、その内径に嵌合され、かつ、撥水性が高く濡れにくい表面をもつ気体供給用細管2とを組み合わせて構成したことを特徴とするノズル。
【選択図】 図1
【解決手段】粘度の異なった液体を精密に微少量滴下注入するために使用するノズルNであって、前記ノズルは濡れやすい内面を持つ液体保持用細管1と、その内径に嵌合され、かつ、撥水性が高く濡れにくい表面をもつ気体供給用細管2とを組み合わせて構成したことを特徴とするノズル。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は粘度の異なった試薬などの液体を精密に微少量滴下注入するためのノズルおよびそのノズルを使用した液体供給装置に関するものであり、たとえば、装置情報・精密機器、工作機械、FAなどの分野、あるいは半導体、液晶、ディスプレイ、表面実装などの様々な生産行程で必要とされる微少流量の液体供給システム、あるいはデスペンサー、分析装置用定量ポンプ、マイクロ化学反応器用定量ポンプ等に好適な液体供給用のノズルおよびそのノズルを使用した液体供給装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
これまでの試薬供給システムではタンクにためた試薬に一定の圧力を一定時間かけることにより、一定量の試薬をタンク先端のノズルから放出させるタイプや試薬貯から毛細管により試薬を吸い取り検査部に移動させ、吸い取った試薬の一部を空気圧により放出させるタイプなどが知られている。このような従来の方法を用いて微少の試薬を供給しようとすると、ノズルと試薬との接触角の関係から、ノズル外面に試薬が残留し、供給量が少なくなるに従いその残留割合が大きくなり、供給量精度が非常に悪くなるという問題がある。また、液体を精密に微少量滴下注入するためのノズルでは、供給を停止したはずのノズルから周囲に付いていた余分な液体が小さな滴の形で滴下しやすいという問題もある。
【0003】
このように液体を供給する際の切れがよくないと、滴の分だけ供給量が当然狂って来ることになり種々の不都合を招く。このためノズル内における液体の残留量を減少させるには排出圧力を上げる方法があるが、容器内にためた試薬の一部を供給する機構であるため、供給量そのものの精度をあげるには、圧力の微妙な制御が必要で自動化には不適切である。
【0004】
また、液体の供給を停止させる際に余分な液体をノズル内に吸い込む手段も従来からとられているが、それでも若干は余分な液体が残りやすいので液体の粘度が低い場合には供給停止後の滴の滴下を完全に防止できず、かつ吸い込み量を常に一定にしないと次回の液体の供給量が狂って来るので定量ポンプの動作を停止させる時の制御が非常に厄介になる。また、ノズルの径を極力小さくすれば供給量の精度は若干は改善するが余分な液体の付着量はあまり減少せず、かつ粘度の高い液体の供給が困難になる。
【0005】
一方、微少液量注入方法としてはまったく分野が異なるが、プリンター(バブルジェット(登録商標)プリンタあるいはインクジェットプリンタとよばれるもの)のインク供給システムがある。このシステムは、例えば微小気泡、超磁歪素子、圧電素子などをマイクロ・アクチュエータとして使用するものであり、微少量の液滴を高速で噴射させることができるようになっている。
【0006】
図2は、インクジェット記録装置におけるヘッド部の従来例(特許文献1)を示すもので、401は基台、402は振動板、403は積層型圧電素子、404はインク室、405は共通インク室、406はインク流路、407はノズルプレート、408は吐出ノズルである。
【0007】
【特許文献1】特開2002−301414号公報
【0008】
この装置において、圧力印加手段である圧電素子403に電圧を加えると、圧電素子403は振動板402を厚み方向に変形させ、インク室404の容積が減少する。流体が圧縮されてインク室の圧力が上昇するため、流体の一部はインク通路を通過して共通インク室405側に逆流するが、残り分はノズル408から大気に放出される。
このように、圧力振動子を用いた液体供給装置では、ごく微少量の液滴を供給制御することが可能でこれを応用すれば1ストロークで放出する液滴の数を調整することにより供給量の正確な制御が可能である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、試薬はプリンターに使用する液体とは異なり、試薬は様々な粘性や表面張力を持っており、供給量制御には試薬の特性ごとに微少気泡の大きさや発生時間あるいは振動子の圧力値とその時間的挙動を調整する必要があり、このような制御は現状では不可能である。特に、各種の検査システムにおいてはコストの面から使用する試薬の量をできるだけ少なくすることが望まれており、また最近様々な検査が自動でできるようになってきたとともに高価な試薬を使用する場合が増えてきたため、薬液の使用量をできるだけ少なくかつ正確な量を注入することが要求されるようになってきた。即ち、粘度の異なる液体を、高速・高精度で、精密に微少量滴下注入できるようにすることが最大の課題となっている。
【0010】
そこで本発明では上記諸問題を解決するために、壁面の濡れ性の違いを利用して一定量の試薬をノズルに保持し、その全量を外部に放出供給することができるノズルおよびそのノズルを使用した液体供給装置を提供することにより、ノズルでの液体の切れを良好にして供給量の精度を向上させることを目的とする。本装置により液体(試薬)の物性に依存せず微少の液量を精度よく供給することができる。
【0011】
【課題を解決するための手段】
このため、本発明が採用した技術解決手段は、
粘度の異なった液体を精密に微少量滴下注入するために使用するノズルであって、前記ノズルは濡れやすい内面を持つ液体保持用細管と、その内径に嵌合され、かつ、撥水性が高く濡れにくい表面をもつ気体供給用細管とを組み合わせて構成したことを特徴とするノズルである。
また、前記液体保持用細管の内面以外は撥水性が高く濡れにくい表面で構成したことを特徴とするノズルである。
また、前記液体保持用細管は、前記気体供給用細管に対して摺動自在に構成されていることを特徴とするノズルである。
また、液体を容器から細い管を介して所定の少量ずつを供給する液体供給装置であって、前記装置は、液を保持することができる濡れやすい内面を持つ液体保持用細管と同細管内径に嵌合され、かつ撥水性が高く濡れにくい表面をもつ気体供給用細管とからなるノズルと、前記液体保持用細管を気体供給用細管に対して摺動するための駆動手段と、前記気体供給用細管に接続されたバルブと、バルブに接続された加圧気体供給手段と、液体保持用細管内に加圧気体を吹き込むことを制御する制御装置とから構成したことを特徴とする液体供給装置である。
また、前記加圧供給手段は、濡れやすい内面をもつ細管に保持された薬液全量を気体圧により排出するべく構成されていることを特徴とする液体供給装置である。
【0012】
【実施の形態】
以下、図1を参照して本発明の実施形態に係る液体供給装置の構成を説明する。
図1において、Nはノズルであり、このノズルNは濡れやすい内面を持つ液体保持用細管1と、濡れにくい表面を持つ気体供給用細管(本例では気体として空を使用)2とによって構成されており、前記液体保持用細管1の内径には気体供給用細管2が摺動自在に嵌合され、液体保持用細管1が気体供給用細管2に対して上下に移動できる構成となっている。そして液体保持用細管1には図示のように液体保持用細管1を気体供給用細管2に対して図中上下方向に移動するための駆動手段(電動微動送り装置)6が取り付けられている。また、気体供給用細管2には気体空間部4が形成されるとともに気体供給用細管2の上方には3方電磁バルブ5が取り付けられており、この3方電磁バルブ5には大気開放管8および加圧気体注入管7が接続されている。加圧気体注入管7は気体供給手段9に接続されており、また前記3方電磁バルブ5および気体供給手段9はコントローラ10に接続されている。なお、上記気体は通常を空気を使用するが、試薬によっては他の気体(例えばアルゴン、窒素ガス等)を使用することが望ましい。
【0013】
なお、前記3方電磁バルブ5は電磁式に変えて手動式のバルブを使用することも可能であり、気体供給手段9はエアポンプ、蓄圧式タンクなど加圧気体を供給できるものであれば種々の手段を使用することが可能である。また、コントローラはパソコンあるいは専用電子回路等を使用することができ、3方電磁バルブの開閉時間、気体供給手段からの加圧気体の供給圧力、吐出時間を制御するだけでなく、駆動手段6による位置制御も行うことができるようにすることができる。さらに液体保持用細管1を駆動する駆動手段6として電動微動送り装置に代えて油圧駆動機構等を使用することも可能である。
【0014】
次に、前記液体保持用細管1の内面を濡れやすい表面とする作成方法について説明する。
また前記液体保持用細管1の内面を濡れやすい表面とするには、表面がなめらかで清浄ならば何でもよく、金属あるいはガラス製で作成することができる。水に対する接触角が60°以下ならばよく、特にコーティングなど表面処理する必要はなく、金属の場合は腐食などの問題からステンレスを使用することが望ましい。
【0015】
また、前記液体保持用細管1の内面以外の表面および気体供給用細管の表面を濡れにくい表面とする作成方法について説明する。
ここで濡れにくい表面とは水に対する接触角が100°以上であればよいので、ステンレスにテフロン(登録商標)コーティングするだけでよい。ただし、表面張力が非常に小さな試薬も使用できるようにするには、水に対して接触角が150°以上となる超撥水面とする必要がある。その場合も現在は種々の方法が開発されている。たとえば金属(ステンレスやアルミ)表面に水和酸化物被膜を作り、その表面にフルオロアルキルシランを電着コーティングする方法がある。その場合接触角は160度となる。
【0016】
以上の構成からなる液体供給装置の作動を説明する。なおここでは、対象となる液体として、試溶媒液として用いる酢酸ナトリウム、DNAなどの生体分子抽出液として用いられるフェノール液、血清中ビリルリン検査に使用されるジアゾ試薬等を想定しているが、上記以外の試薬を対象とすることも可能であり、さらには他の液体でもよい。
【0017】
まず、液体保持用細管1の駆動手段6により、液体保持用細管内の液保持空間の体積3Aを調整する。また、3方電磁バルブ5を制御し液体保持用細管1内の液保持空間3Aと大気開放管8を気体空間部4を介して導通させ液保持空間を大気圧にする。装置全体あるいはノズル部を試薬貯めに移動し、液体保持用細管1の先端を試薬につけ、毛細管力を利用して液保持空間3Aに試薬3を保持する。この時気体供給用細管2は撥水性があるため、試薬3は気体供給用細管2内には流入しない。そのため、液保持空間3Aには微動送り装置で調整された高さに応じた細管内の体積に応じた試薬3が保持される。このように試薬3を保持した状態で、3方電磁バルブ5を閉じ、ノズルNあるいは装置全体を試薬を供給すべき場所に移動する。
【0018】
供給場所に移動した後、3方電磁バルブ5を制御し液保持空間3Aと加圧気体注入管7を導通させ、液保持空間3Aに加圧気体を流入させその圧力で液保持空間3Aに保持された試薬3の全量を外部に放出する。こうして、本装置では壁面の濡れ性の違いを手順して一定量の試薬を液体保持用細管に保持し、その全量を加圧気体を利用して外部に一気に放出供給することができるため、試薬の物性に依存せず微少量を精度よく供給することができる。なお、ノズルNの液体保持用細管に直接試薬タンクを取り付ける方法もある。この場合装置全体を移動する必要はなくなり、時間短縮を図ることが可能となる。
【0019】
実施例
ノズルを構成する寸法の一例を示すと、たとえば、液体保持用細管の内径0.1mm、機構としての外径の制約はなく、長さは最小30mmが望ましい。また、気体供給用細管は外径0.095mm、内径0.05mm、長さ最小液体保持用細管の長さ+10mm、液体保持用細管の微動送り装置による制御範囲は距離2mm〜20mm、さらに供給液量としては、20nL〜200nL(精度±1nL)である。
【0020】
なお、ノズルの寸法は上記例に限定されることなく、試薬に応じて種々の径のものを採用することができる。また、本発明はその精神または主要な特徴から逸脱することなく、他のいかなる形でも実施できる。そのため、前述の実施形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず限定的に解釈してはならない。
【0021】
【発明の効果】
本発明によれば、液体保持用細管の内面を濡れやすい表面とし、気体供給用細管の表面を濡れにくい表面とし、壁面の濡れ性の違いを利用して一定量の試薬をノズルに保持し、その全量を外部に放出供給することを可能にしたため、ノズルからの液体の供給量の精度を向上させることができる等の特有の優れた効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るノズルおよびそのノズルを使用した液体供給装置の構成図である。
【図2】従来の液体供給用のノズルの例である。
【符号の説明】
1 液体保持用細管
2 気体供給用細管
3 液体(試薬)
3A 液保持空間
4 気体空間部
5 3方電磁バルブ
6 駆動手段
7 加圧気体注入管
8 大気開放管
9 気体供給手段
10 コントローラ
【発明の属する技術分野】
本発明は粘度の異なった試薬などの液体を精密に微少量滴下注入するためのノズルおよびそのノズルを使用した液体供給装置に関するものであり、たとえば、装置情報・精密機器、工作機械、FAなどの分野、あるいは半導体、液晶、ディスプレイ、表面実装などの様々な生産行程で必要とされる微少流量の液体供給システム、あるいはデスペンサー、分析装置用定量ポンプ、マイクロ化学反応器用定量ポンプ等に好適な液体供給用のノズルおよびそのノズルを使用した液体供給装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
これまでの試薬供給システムではタンクにためた試薬に一定の圧力を一定時間かけることにより、一定量の試薬をタンク先端のノズルから放出させるタイプや試薬貯から毛細管により試薬を吸い取り検査部に移動させ、吸い取った試薬の一部を空気圧により放出させるタイプなどが知られている。このような従来の方法を用いて微少の試薬を供給しようとすると、ノズルと試薬との接触角の関係から、ノズル外面に試薬が残留し、供給量が少なくなるに従いその残留割合が大きくなり、供給量精度が非常に悪くなるという問題がある。また、液体を精密に微少量滴下注入するためのノズルでは、供給を停止したはずのノズルから周囲に付いていた余分な液体が小さな滴の形で滴下しやすいという問題もある。
【0003】
このように液体を供給する際の切れがよくないと、滴の分だけ供給量が当然狂って来ることになり種々の不都合を招く。このためノズル内における液体の残留量を減少させるには排出圧力を上げる方法があるが、容器内にためた試薬の一部を供給する機構であるため、供給量そのものの精度をあげるには、圧力の微妙な制御が必要で自動化には不適切である。
【0004】
また、液体の供給を停止させる際に余分な液体をノズル内に吸い込む手段も従来からとられているが、それでも若干は余分な液体が残りやすいので液体の粘度が低い場合には供給停止後の滴の滴下を完全に防止できず、かつ吸い込み量を常に一定にしないと次回の液体の供給量が狂って来るので定量ポンプの動作を停止させる時の制御が非常に厄介になる。また、ノズルの径を極力小さくすれば供給量の精度は若干は改善するが余分な液体の付着量はあまり減少せず、かつ粘度の高い液体の供給が困難になる。
【0005】
一方、微少液量注入方法としてはまったく分野が異なるが、プリンター(バブルジェット(登録商標)プリンタあるいはインクジェットプリンタとよばれるもの)のインク供給システムがある。このシステムは、例えば微小気泡、超磁歪素子、圧電素子などをマイクロ・アクチュエータとして使用するものであり、微少量の液滴を高速で噴射させることができるようになっている。
【0006】
図2は、インクジェット記録装置におけるヘッド部の従来例(特許文献1)を示すもので、401は基台、402は振動板、403は積層型圧電素子、404はインク室、405は共通インク室、406はインク流路、407はノズルプレート、408は吐出ノズルである。
【0007】
【特許文献1】特開2002−301414号公報
【0008】
この装置において、圧力印加手段である圧電素子403に電圧を加えると、圧電素子403は振動板402を厚み方向に変形させ、インク室404の容積が減少する。流体が圧縮されてインク室の圧力が上昇するため、流体の一部はインク通路を通過して共通インク室405側に逆流するが、残り分はノズル408から大気に放出される。
このように、圧力振動子を用いた液体供給装置では、ごく微少量の液滴を供給制御することが可能でこれを応用すれば1ストロークで放出する液滴の数を調整することにより供給量の正確な制御が可能である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、試薬はプリンターに使用する液体とは異なり、試薬は様々な粘性や表面張力を持っており、供給量制御には試薬の特性ごとに微少気泡の大きさや発生時間あるいは振動子の圧力値とその時間的挙動を調整する必要があり、このような制御は現状では不可能である。特に、各種の検査システムにおいてはコストの面から使用する試薬の量をできるだけ少なくすることが望まれており、また最近様々な検査が自動でできるようになってきたとともに高価な試薬を使用する場合が増えてきたため、薬液の使用量をできるだけ少なくかつ正確な量を注入することが要求されるようになってきた。即ち、粘度の異なる液体を、高速・高精度で、精密に微少量滴下注入できるようにすることが最大の課題となっている。
【0010】
そこで本発明では上記諸問題を解決するために、壁面の濡れ性の違いを利用して一定量の試薬をノズルに保持し、その全量を外部に放出供給することができるノズルおよびそのノズルを使用した液体供給装置を提供することにより、ノズルでの液体の切れを良好にして供給量の精度を向上させることを目的とする。本装置により液体(試薬)の物性に依存せず微少の液量を精度よく供給することができる。
【0011】
【課題を解決するための手段】
このため、本発明が採用した技術解決手段は、
粘度の異なった液体を精密に微少量滴下注入するために使用するノズルであって、前記ノズルは濡れやすい内面を持つ液体保持用細管と、その内径に嵌合され、かつ、撥水性が高く濡れにくい表面をもつ気体供給用細管とを組み合わせて構成したことを特徴とするノズルである。
また、前記液体保持用細管の内面以外は撥水性が高く濡れにくい表面で構成したことを特徴とするノズルである。
また、前記液体保持用細管は、前記気体供給用細管に対して摺動自在に構成されていることを特徴とするノズルである。
また、液体を容器から細い管を介して所定の少量ずつを供給する液体供給装置であって、前記装置は、液を保持することができる濡れやすい内面を持つ液体保持用細管と同細管内径に嵌合され、かつ撥水性が高く濡れにくい表面をもつ気体供給用細管とからなるノズルと、前記液体保持用細管を気体供給用細管に対して摺動するための駆動手段と、前記気体供給用細管に接続されたバルブと、バルブに接続された加圧気体供給手段と、液体保持用細管内に加圧気体を吹き込むことを制御する制御装置とから構成したことを特徴とする液体供給装置である。
また、前記加圧供給手段は、濡れやすい内面をもつ細管に保持された薬液全量を気体圧により排出するべく構成されていることを特徴とする液体供給装置である。
【0012】
【実施の形態】
以下、図1を参照して本発明の実施形態に係る液体供給装置の構成を説明する。
図1において、Nはノズルであり、このノズルNは濡れやすい内面を持つ液体保持用細管1と、濡れにくい表面を持つ気体供給用細管(本例では気体として空を使用)2とによって構成されており、前記液体保持用細管1の内径には気体供給用細管2が摺動自在に嵌合され、液体保持用細管1が気体供給用細管2に対して上下に移動できる構成となっている。そして液体保持用細管1には図示のように液体保持用細管1を気体供給用細管2に対して図中上下方向に移動するための駆動手段(電動微動送り装置)6が取り付けられている。また、気体供給用細管2には気体空間部4が形成されるとともに気体供給用細管2の上方には3方電磁バルブ5が取り付けられており、この3方電磁バルブ5には大気開放管8および加圧気体注入管7が接続されている。加圧気体注入管7は気体供給手段9に接続されており、また前記3方電磁バルブ5および気体供給手段9はコントローラ10に接続されている。なお、上記気体は通常を空気を使用するが、試薬によっては他の気体(例えばアルゴン、窒素ガス等)を使用することが望ましい。
【0013】
なお、前記3方電磁バルブ5は電磁式に変えて手動式のバルブを使用することも可能であり、気体供給手段9はエアポンプ、蓄圧式タンクなど加圧気体を供給できるものであれば種々の手段を使用することが可能である。また、コントローラはパソコンあるいは専用電子回路等を使用することができ、3方電磁バルブの開閉時間、気体供給手段からの加圧気体の供給圧力、吐出時間を制御するだけでなく、駆動手段6による位置制御も行うことができるようにすることができる。さらに液体保持用細管1を駆動する駆動手段6として電動微動送り装置に代えて油圧駆動機構等を使用することも可能である。
【0014】
次に、前記液体保持用細管1の内面を濡れやすい表面とする作成方法について説明する。
また前記液体保持用細管1の内面を濡れやすい表面とするには、表面がなめらかで清浄ならば何でもよく、金属あるいはガラス製で作成することができる。水に対する接触角が60°以下ならばよく、特にコーティングなど表面処理する必要はなく、金属の場合は腐食などの問題からステンレスを使用することが望ましい。
【0015】
また、前記液体保持用細管1の内面以外の表面および気体供給用細管の表面を濡れにくい表面とする作成方法について説明する。
ここで濡れにくい表面とは水に対する接触角が100°以上であればよいので、ステンレスにテフロン(登録商標)コーティングするだけでよい。ただし、表面張力が非常に小さな試薬も使用できるようにするには、水に対して接触角が150°以上となる超撥水面とする必要がある。その場合も現在は種々の方法が開発されている。たとえば金属(ステンレスやアルミ)表面に水和酸化物被膜を作り、その表面にフルオロアルキルシランを電着コーティングする方法がある。その場合接触角は160度となる。
【0016】
以上の構成からなる液体供給装置の作動を説明する。なおここでは、対象となる液体として、試溶媒液として用いる酢酸ナトリウム、DNAなどの生体分子抽出液として用いられるフェノール液、血清中ビリルリン検査に使用されるジアゾ試薬等を想定しているが、上記以外の試薬を対象とすることも可能であり、さらには他の液体でもよい。
【0017】
まず、液体保持用細管1の駆動手段6により、液体保持用細管内の液保持空間の体積3Aを調整する。また、3方電磁バルブ5を制御し液体保持用細管1内の液保持空間3Aと大気開放管8を気体空間部4を介して導通させ液保持空間を大気圧にする。装置全体あるいはノズル部を試薬貯めに移動し、液体保持用細管1の先端を試薬につけ、毛細管力を利用して液保持空間3Aに試薬3を保持する。この時気体供給用細管2は撥水性があるため、試薬3は気体供給用細管2内には流入しない。そのため、液保持空間3Aには微動送り装置で調整された高さに応じた細管内の体積に応じた試薬3が保持される。このように試薬3を保持した状態で、3方電磁バルブ5を閉じ、ノズルNあるいは装置全体を試薬を供給すべき場所に移動する。
【0018】
供給場所に移動した後、3方電磁バルブ5を制御し液保持空間3Aと加圧気体注入管7を導通させ、液保持空間3Aに加圧気体を流入させその圧力で液保持空間3Aに保持された試薬3の全量を外部に放出する。こうして、本装置では壁面の濡れ性の違いを手順して一定量の試薬を液体保持用細管に保持し、その全量を加圧気体を利用して外部に一気に放出供給することができるため、試薬の物性に依存せず微少量を精度よく供給することができる。なお、ノズルNの液体保持用細管に直接試薬タンクを取り付ける方法もある。この場合装置全体を移動する必要はなくなり、時間短縮を図ることが可能となる。
【0019】
実施例
ノズルを構成する寸法の一例を示すと、たとえば、液体保持用細管の内径0.1mm、機構としての外径の制約はなく、長さは最小30mmが望ましい。また、気体供給用細管は外径0.095mm、内径0.05mm、長さ最小液体保持用細管の長さ+10mm、液体保持用細管の微動送り装置による制御範囲は距離2mm〜20mm、さらに供給液量としては、20nL〜200nL(精度±1nL)である。
【0020】
なお、ノズルの寸法は上記例に限定されることなく、試薬に応じて種々の径のものを採用することができる。また、本発明はその精神または主要な特徴から逸脱することなく、他のいかなる形でも実施できる。そのため、前述の実施形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず限定的に解釈してはならない。
【0021】
【発明の効果】
本発明によれば、液体保持用細管の内面を濡れやすい表面とし、気体供給用細管の表面を濡れにくい表面とし、壁面の濡れ性の違いを利用して一定量の試薬をノズルに保持し、その全量を外部に放出供給することを可能にしたため、ノズルからの液体の供給量の精度を向上させることができる等の特有の優れた効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るノズルおよびそのノズルを使用した液体供給装置の構成図である。
【図2】従来の液体供給用のノズルの例である。
【符号の説明】
1 液体保持用細管
2 気体供給用細管
3 液体(試薬)
3A 液保持空間
4 気体空間部
5 3方電磁バルブ
6 駆動手段
7 加圧気体注入管
8 大気開放管
9 気体供給手段
10 コントローラ
Claims (5)
- 粘度の異なった液体を精密に微少量滴下注入するために使用するノズルであって、前記ノズルは濡れやすい内面を持つ液体保持用細管と、その内径に嵌合され、かつ、撥水性が高く濡れにくい表面をもつ気体供給用細管とを組み合わせて構成したことを特徴とするノズル。
- 前記液体保持用細管の内面以外は撥水性が高く濡れにくい表面で構成したことを特徴とする請求項1に記載のノズル。
- 前記液体保持用細管は、前記気体供給用細管に対して摺動自在に構成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のノズル。
- 液体を容器から細い管を介して所定の少量ずつを供給する液体供給装置であって、前記装置は、液を保持することができる濡れやすい内面を持つ液体保持用細管と同細管内径に嵌合され、かつ撥水性が高く濡れにくい表面をもつ気体供給用細管とからなるノズルと、前記液体保持用細管を気体供給用細管に対して摺動するための駆動手段と、前記気体供給用細管に接続されたバルブと、バルブに接続された加圧気体供給手段と、液体保持用細管内に加圧気体を吹き込むことを制御する制御装置とから構成したことを特徴とする液体供給装置。
- 前記加圧供給手段は、濡れやすい内面をもつ細管に保持された薬液全量を気体圧により排出するべく構成されていることを特徴とする請求項4に記載の液体供給装置。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002371416A JP2004202295A (ja) | 2002-12-24 | 2002-12-24 | ノズルおよびそのノズルを使用した液体供給装置 |
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---|---|---|---|
JP2002371416A JP2004202295A (ja) | 2002-12-24 | 2002-12-24 | ノズルおよびそのノズルを使用した液体供給装置 |
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