JP2004198141A - 光透過性容器の中の液体の有無を検知する装置 - Google Patents

光透過性容器の中の液体の有無を検知する装置 Download PDF

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Abstract

【課題】頻繁なメンテナンスが不要であり、小型化が容易で、かつ、容器の外表面に結露が付着した光透過性容器に対しても、その中の液体の有無を正確に検知するための装置を提供する。
【解決手段】光透過性容器の中に液体が存在するか又は存在しない場合に投光手段から入射させた光が光透過性容器壁を透過して前記受光手段に至る光路が形成されるように、投光手段、受光手段および光透過性容器の相互配置を設定し、さらに、前記投光手段からの光が前記光透過性容器の外側面と交わる位置およびその光が光透過性容器の内部を通り受光手段に至る場合、光透過性容器の外側面と交わるにそれぞれ配設された光透過性部材と、光透過性部材に光透過性容器側面を押圧密着させるための弾性保持部材とを備えた装置。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光透過性容器の中の液体の有無を光によって非接触的に検知する装置に関し、特に臨床検査などに用いられる自動分析装置において、液体試薬または検体を収容する光透過性容器の中の検体の有無を自動的に検出する装置として好適に利用できる装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
光透過性容器中の液体の有無を検知するために光の屈折を利用した従来の技術は次のとおりである。
【0003】
円筒型透明容器に液体が入った状態を側面から凸レンズと見立てて、これが平行光束を屈折・集光させる性質を利用した液面の検出技術が、特許文献1および特許文献2に記載されている。
【0004】
一方、発光ダイオードなどの発光素子からの光ビームを光透過性容器の中へ、その内側面と直交しない方向に入射させることによって、前記内側面が接している媒質が液体か気体かにより光ビームの屈折角度が変わることを利用した液面の検出技術が多数報告されている。特許文献3は、マノメータの透明管に上下スライド可能に取り付けられる、光放出ダイオード(光源)とフォトトランジスタ(光検出器)とを備えた液面感知装置を開示している。光源と光検出器を、透明管を軸として144°程度の角度をなすように配設し、透明管中に液体がないときは全反射光を含む光検出量が高くなり、逆に液体が存在するときは光ビームの屈折により光検出量が低下するように設定してある。特許文献4は、光源と光検出器との間の光学距離を短くするために、発光素子と受光素子を透明管の外周面に近接して対向配設した液位検出器を開示している。
【0005】
【特許文献1】実公昭37−5174号公報
【特許文献2】実全昭55−112223号公報
【特許文献3】特開昭50−137565号公報
【特許文献4】特開平8−293234号公報
【発明が解決しようとする課題】
臨床検査などに用いられる自動分析装置においては、装置の稼動にしたがって消費される各種の液体試薬または検体を収容するガラス瓶等の光透過性容器の中に液体がどれだけ残っているかを自動的に監視することがしばしば必要となる。そして臨床検査用の自動分析装置には、煩雑なメンテナンスをできるだけ省くことが可能であるとともに、省スペース型であることが通常要求される。
【0006】
ところが前述した特許文献1や特許文献2に記載された発明では、光源、円筒型透明容器および光検出器を直線上に配設し、光源からの平行光束の中心が円筒型透明容器の中心軸と直交するように設定するので、測定すべき液体の有無に起因する光検出量の差を最大にするために、円筒型透明容器の前後にレンズ、スリットまたは遮蔽板を正確に配設することが必要となり、その配設の正確性を確保するためのメンテナンスがしばしば必要になるとともに、装置が大型化してしまうという課題があった。
【0007】
また上記以外にも、臨床検査用の自動分析装置に使われる生化学的または免疫化学的試薬や検体は室温放置による変性を防ぐため冷蔵保存され、測定直前に冷蔵庫から取り出して容器ごと装置に装填する場合があるため、容器の外表面に結露が付着し易い。容器の外表面に結露が付着したまま分析を進めて行くと、その結露が上記した光の屈折を利用した液面(残量)検知に悪影響をもたらすことがあるが、前述した特許文献に記載された発明ではかかる課題を解決し得ない。
【0008】
そこで本願発明の目的は、頻繁なメンテナンスが不要であり、小型化が容易で、かつ、容器の外表面に結露が付着した光透過性容器に対しても、その中の液体の有無を正確に検知するための装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するためになされた本願発明は、液体を収容可能な光透過性容器の中の液体の有無を検知する装置であって、投光手段および受光手段を備え、前記光透過性容器の中に液体が存在するか又は存在しない場合に前記投光手段から前記光透過性容器壁内側面と直交しない方向に入射させた光が光透過性容器壁を透過して前記受光手段に至る光路が形成されるように、前記投光手段、前記受光手段および前記光透過性容器の相互配置を設定し、さらに、前記投光手段からの光が前記光透過性容器の外側面と交わる第一の位置、およびその光が前記光透過性容器の内部を通り前記受光手段に至る場合、その光が前記光透過性容器の外側面と交わる第二の位置にそれぞれ配設された光透過性部材と、前記光透過性部材に前記光透過性容器側面を押圧密着させるための弾性保持部材と、を備えたことを特徴とする。以下、本願発明を詳細に説明する。
【0010】
光透過性容器とは、少なくともその側面の一部(第一の位置および第二の位置)が光すなわち赤外線、近赤外線、可視光線および紫外線の少なくとも一部を透過することができる、円筒形状、箱状、その他任意の形状の、液体の収容容器をいう。この容器は、少なくとも本願発明に従って光を通過させる部分(第一の位置および第二の位置)の材質が光透過性であれば特に制限はない。具体的な材質としてはガラスや石英、さらにアクリル樹脂やポリカーボネートなどの熱可塑性樹脂を好適に利用できる。光が通過する部分以外は特に制限されないが、前記のような光透過性の材質で一体化形成されていてもよいし、光を透過しない金属などで形成されていても、あるいは光透過性の材質で形成された後、光を透過しない塗装などを施されていてもよい。
【0011】
本願発明の投光手段としては、赤外線、近赤外線、可視光線または紫外線を方向制御した形で発することのできるものであれば特に制限はなく、発光ダイオード、レーザダイオード、ネオンランプなどの発光素子を好適に用いることができる。また、必要に応じてレンズや光ファイバなどを用いてもよい。受光手段としては、フォトダイオードやフォトトランジスタを用いた光検出器が好適に使用できる。この受光手段には、受光量の大小により警告音を出力する装置や、自動分析装置の場合に装置の稼動を停止させたりする制御系などを接続することができる。
【0012】
前記投光手段から前記光透過性容器の内側面と直交しない方向に入射させた光は、前記光透過性容器壁を透過してその内部へ進入する(入射する光が光透過性容器の外表面と交わる位置を第一の位置という)。そのとき、容器中に液体媒質が存在し、光が液体媒質中を通過するか、又は、容器中に液体媒質が存在せず、光が気体媒質中を通過するかによって異なった光路が形成され、光透過性容器の他方の壁(射出光が光透過性容器の外表面と交わる位置を第二の位置という)を再度通過した後に光透過性容器の外に到達する。従って、該他方の壁の外で、異なった光路上のどちらか一方に受光手段を置けば、光が通過する容器の内部に液体が存在するかどうかを受光量の測定により知ることができる。
【0013】
例えば前記光透過性容器が円筒形状の場合を例示すれば、前記投光手段から前記光透過性容器への入射光の角度は、前記光透過性容器の壁の厚さや屈折率、中に入れる液体の屈折率、および詳細を後述する光透過性部材の厚さや屈折率、投光手段からの光の波長などを考慮して決定することができる。前記光透過性容器として例えば液体が入った円筒形のガラス瓶を鉛直に置いた場合、入射光は水平方向とし前記光透過性容器の内側面との入射光の角度を予備的に設定し、実際に前記光透過性容器の中に液があるときと液がないときとで前記受光量の差が最大となるように入射光の角度を適宜調整すればよい。
【0014】
容器内に液がないにもかかわらず液があると判定することが重大な障害をもたらす場合、たとえば液体試薬の残液検知のような場合は、液があるときに形成される光路上に受光手段を置くのが好ましい。これは、トラブル発生のときすなわち投光手段または受光手段が故障したときや光路上にごみが侵入したときに、液があると判定するのではなく液がないと判定するほうが安全だからである。もし、液がないときに形成される光路上に受光手段を置くと、受光していない状態が液がある状態なのか、前記トラブル発生の状態なのか区別ができなくなるという不都合を生じる。また本願発明の装置は、容器中の液体の残量検知のために容器の底部近くに置くのが好適である
容器内に液があるにもかかわらず液がないと判定することが重大な障害をもたらす場合、たとえば容器から液があふれ出ることを検知するために容器上部に本発明による装置を設置する場合は、液がないときに形成される光路上に受光手段を置くのが好ましい。これは、前記トラブル発生時に、液がないと判定するのではなく液があると判定するほうが安全だからである。もし、液があるときに形成される光路上に受光手段を置くと、受光していない状態が液がない状態なのか、前記トラブル発生の状態なのか区別ができなくなるという不都合を生じる。
【0015】
なお、一つの容器に対して複数の高さ位置に複数の本願発明装置を配置すれば、徐々に減少又は増加する容器中の液体の検知を行うことも可能となる。
【0016】
前記投光手段からの光が前記光透過性容器の外側面と交わる位置(第一の位置)、およびその光が前記光透過性容器の内部を通り前記受光手段に至る場合、その光が前記光透過性容器の他方の外側面と交わる位置(第二の位置)に、それぞれ光透過性部材を密着させるのは、容器の外表面が結露により曇った状態になっていると、投光手段からの光が結露した容器の外表面で乱反射し受光手段に光が届かなくなってしまうことを防止するためである。結露した容器の表面に光透過性部材を押し当てることによって、結露を形成する水の小滴が容器と光透過性部材の隙間を満たし、前記入射した光が乱反射することなく光透過性部材を通って容器に進入することになる。
【0017】
光透過性部材としては、透明な板状の固体であれば特に制限はなく、アクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニルなどの加工性に優れた熱可塑性樹脂が好適に利用できる。前記板状の固体と言っても、平板に限定されるものではなく、押圧密着させる容器の曲率よりも若干小さい曲率をもった曲面状の板であってもよい。その厚さは、結露した容器とを押圧密着させたとき、容器の低温が光透過性部材に伝わって今度は光透過性部材自身が結露することがない程度の厚さを有することが好ましい。
【0018】
前記投光手段または前記受光手段と、容器に密着した投光手段側または受光手段側の前記光透過性部材との配設距離は、特に制限はないが、通常5〜30mmが好ましい。そして前記投光手段または前記受光手段とそれぞれの側の前記光透過性部材との間に、外乱光やごみ、埃をさえぎって光路を確保するためのフードまたはブロック状アダプターを設置することが特に好ましい。ブロック状アダプターには、前記光透過性部材と接触する側とは反対側の管状開口縁に、発光素子または受光素子を挿入設置するための段差のついた挿入部を設けてもよい。フードまたはブロック状アダプターの設置の仕方は、これらを前記光透過性部材に直接ネジ止めしてもよいし、密閉性を増すためにパッキンやスペーサを介して固定してもよいし、前記光透過性部材を固定する基板を用意した上で、その基板面に共に固定してもよい。フードまたはブロック状アダプターの材質は、特に制限はないが、切削加工性・寸法安定性のすぐれたポリアセタール樹脂などのエンジニアリングプラスチックが好適に利用できる。その色は外乱光をさえぎるために黒色であることが好ましい。
【0019】
前記光透過性容器側面を投光手段側の光透過性部材と受光手段側の光透過性部材との双方に押圧密着させるための弾性保持部材を設ける。簡単で効果的な構成として、投光手段側の光透過性部材と受光手段側の光透過性部材との双方と略等距離の位置に例えば板ばね、コイルばね、ゴムなどの弾性保持部材を設置し、投光手段側の光透過性部材と受光手段側の光透過性部材と弾性保持部材との3点で前記光透過性容器を囲んで保持することが例示できる。この構成は、光透過性容器を頻繁に取りかえることが必要な臨床検査用自動分析装置上の液体試薬の残液検知において特に有用である。またこの弾性部材は、例えば光透過性容器を固定保持するための保持手段として機能させることが可能である。また更には、この弾性部材を適当なスイッチング機構と連動させておくことにより、光透過性容器の存在又は不存在を検知することも容易である。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について、図面に基づき説明する。
【0021】
図1は、本発明に係る装置の全体構成と作用を説明する平面断面図である。光透過性容器1として水溶液が入った円筒形のガラス瓶を鉛直に置き、投光手段2としての赤外線発光ダイオードからの光を水平方向に発する場合の一例を示す。
【0022】
まず、投光手段2から光透過性容器1の壁内側面と直交しない方向に出た光は光透過性部材4aを貫いて光透過性容器1の外側面の第一の位置から入射し、その内部その壁材内部そして光透過性容器1の内側面に到達する。ここで前記容器1中に液が入っていないとき、光は点線8で示される光路を通り受光手段3への光路を外れる。これに対して前記容器1中に液が入っているとき、光は一点鎖線7で示される光路を通って反対側の前記容器1の内側面へ至り、その壁材内部を通過して外表面の第二の位置から外部に射出し、光透過性部材4bを貫いて受光手段3(この場合、フォトトランジスタ)に到達する。
【0023】
図中、光透過性部材としては厚さ約3mmのアクリル樹脂板を使用している。図中、ブロック状アダプター6は、黒色のポリアセタール樹脂製で、投光手段2から光透過性部材4aまでの光路および光透過性部材4bから受光手段3までの光路を保護している。
【0024】
図1において、弾性保護部材5(この場合は板ばね)は、光透過性部材4a、4bと合わせて3点が略水平な二等辺三角形を形成するような位置に置くことにより、前記容器1を双方の光透過性部材4aおよび4bに略均等に押圧密着させている。
【0025】
図1に示した実施の形態は、容器内に液がないにもかかわらず液があると判定することが重大な障害をもたらす場合に対応する。この場合、本発明による装置は、容器中の液体の残量検知のために容器の底部近くに置いている。
【0026】
【発明の効果】
本発明に係る、液体を収容可能な光透過性容器の中の液体の有無を検知する装置は、簡単な構成にもかかわらず、容器の外表面に結露が付着したまま装填された光透過性容器に対して、結露のために容器中の液体の有無を誤って検知することを効果的に防止する。また、弾性保護部材により光透過性容器を光透過性部材に押圧密着させることにより、光透過性容器を自動分析装置に装着したときの保持安定性を高め、前記容器の取り外し・再装着を容易にするという効果をもたらすものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る装置の全体構成と作用を説明する平面断面図である。一点鎖線7は光透過性容器に液が入っているとき、点線8は液が入っていないときの光路を表わす。
【符号の説明】
1 光透過性容器(ガラス瓶)
2 投光手段(赤外線発光ダイオード)
3 受光手段
4a 光透過性部材(投光手段側)
4b 光透過性部材(受光手段側)
5 弾性保持部材
6 ブロック状アダプター
7 光透過性容器に液が入っているときの光路
8 光透過性容器に液が入っていないときの光路

Claims (1)

  1. 液体を収容可能な光透過性容器の中の液体の有無を検知する装置であって、投光手段および受光手段を備え、前記光透過性容器の中に液体が存在するか又は存在しない場合に前記投光手段から前記光透過性容器壁内側面と直交しない方向に入射させた光が光透過性容器壁を透過して前記受光手段に至る光路が形成されるように、前記投光手段、前記受光手段および前記光透過性容器の相互配置を設定し、さらに、前記投光手段からの光が前記光透過性容器の外側面と交わる第一の位置、およびその光が前記光透過性容器の内部を通り前記受光手段に至る場合、その光が前記光透過性容器の外側面と交わる第二の位置にそれぞれ配設された光透過性部材と、前記光透過性部材に前記光透過性容器側面を押圧密着させるための弾性保持部材と、を備えたことを特徴とする前記装置。
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