JP2004195230A - 円筒形繊維強化インプラント - Google Patents

Abstract

【課題】２つの隣接する脊椎骨間に挿入される円筒形繊維強化インプラントを提供する。
【解決手段】このインプラントは、概して円筒形または楕円形の形状を有する外壁２を有し、且つ好ましくは骨を充填するための開口容積を有する。前記壁は、少なくとも部分的に第１の方向に配向された強化繊維を有する。支持体６が前記容積に中に延び、少なくとも部分的に第２の方向に配向された強化繊維を有し、前記第１および前記第２の方向は異なっている。外壁の繊維は少なくとも部分的に同心円状に配向されていることが好ましい。支持体は、外壁内に挿入される別個に形成された部分であることが好ましい。
【選択図】図１

Description

本発明は、３次元繊維強化インプラント、特に請求項１のプリアンブルによる、２つの隣接する脊椎骨間に挿入されるように設計された脊椎ケージに関する。

繊維強化インプラントは良く知られている。例えば、米国５，４２９，８６３は、繊維強化複合構造であるブロックから製造された脊椎インプラントケージを開示している。炭素繊維がブロックのあらゆる部分に配置され、不規則に結合（インターロック）されている。このケージは円筒形のロッドの形状を有していてもよく、骨の材料が充填された空洞が設けられていると共に、隣接する脊椎骨間に挿入されるように設計されている。

米国５，９０６，６１６は、外側円錐面の一部として形成されたネジ山が設けられた円錐状癒合（固定）ケージを開示している。骨の成長のために、噛み合った縦の骨とケージ内に詰められた骨材料との間に隙間が設けられている。

米国５，９６８，０９８は、概して楕円形の断面を有する癒合ケージを開示している。このケージは、差込端部と、後続端部と、外側円錐面の一部としてのネジ山と、を含む。このケージは、予め骨材料が充填されており、よく知られている外科用器具を用いて所望の手術位置に挿入される。

また、放射線透過性材料で形成された癒合ケージがＥＰ−Ａ−０３０７２４１に開示されている。このケージは、骨の内部成長を受け入れる粗い外面と、これをツールの上に固着して脊椎の所望の位置上に挿入する手段を持つ端面と、を有している。

脊椎インプラントの役割は、脊椎分節を安定させ、周囲の骨が固まる間の負荷に耐え、機械的機能を成長可能な骨の癒合で引き継ぐことである。一方で、インプラントは、挿入時の回転、また、体重負荷時の軸方向負荷、ずれおよび疲労に耐えるように十分に堅牢でなければならない。他方において、インプラントは、骨移植片が装置を貫いてまたは装置の周囲に成長するための十分な空間を提供しなければならない。従って、ケージの設計者は、インプラントが負荷に耐えるようにするものと、骨の硬化に要求される十分な骨組織を運ばなければならない骨ポートと間の妥協に直面している。さらに、インプラント内の応力遮蔽によって、インプラントを貫く成長可能な骨の癒合が防止されるようにすることと共に、強度および剛性が可能な限り周囲の骨組織に近づくようにすることが要求されている。

体内ケージには様々な材料が使用されており、最も一般的なものはチタン合金、ＰＥＥＫおよび炭素複合材料である。チタンは確かに適用されるに十分な強度を有しているが、放射線を通さないという欠点があるため、骨がケージを貫いて成長した場合、標準的なＸ線では見ることが不可能である。また、チタンはＣＴまたはＭＲＩ等の他の放射線検査のために人工物を生成することも知られている。

（発明の開示）
本発明の目的は、放射線透過性があり且つ機械的な性能が向上していると同時に、骨移植のための空間を最大限にする３次元繊維強化インプラントを提供することである。

円筒形のインプラントは挿入が容易であるという利点を有している。リーマ仕上げおよび空間の準備、およびケージの挿入の両方がねじり運動によって行われる。

一方、正方形または矩形のケージは、垂直な支柱によってより容易に強化することができる。円筒形ケージの破壊を防止するために、壁厚を増して空洞の大きさを縮小することによって成長可能な骨の形成を防止する。ここに記載される本発明は、様々なケージ部品の繊維の選択的配向を利用することによって破壊および回転に耐えるケージを提供しているが、骨のための十分な空洞も維持している。

本発明によるインプラントは、外壁の中に延びる支持体が設けられており、外壁内に埋め込まれた繊維の配向と異なる方向に少なくとも部分的に配向された強化繊維を有している。支持体内の繊維の補助的な配向は、外壁の繊維が曲げられて破損点を越えるインプラントの変形を防止する。軸方向の負荷、曲げ、回転、衝撃およびせん断における、破損点を越える変形が防止される。

支持体を、外壁内に挿入される別個に形成された部分とすることが好ましいが、外壁の一部とすることも可能である。

本発明の他の利点および特徴は、付随する図面を参照して以下の明細書を精読することによって当業者には明らかとなるであろう。

図面を参照すると、同様部分は同様の番号で示されており、この発明のケージは番号１で示されている。ケージ１は、１対の前面１３および１４と、外面３と、内面１５とを有している。円筒形の外壁２は、外面を空洞と接続し且つケージを貫いて骨の癒合を可能にするいくつかの穿孔またはポート４を有している。さらに、外面３にはネジ山８が設けられている。ケージには図示されていない骨片はたは骨の代用物が詰められている。

プレートの形状を有する支持体６が空洞（キャビティ）５の溝９内に挿入されている。支持体６は、矢印７で示されるように、外壁２の長手方向に挿入される。外壁２および支持体は炭素繊維複合材料から作成される。繊維１０および１１は長手方向に対して斜めであることが好ましいが、長手方向に対して直角となるようにしてもよい。図４において、長手方向が線１６で示されている。支持体内の繊維１０および１１は、図４に示されているように２つの配向方向を有していることが好ましく、支持体６の全長に沿って延びることが可能である。支持体６および外壁２の基質はＰＥＥＫまたはＰＥＫＥＫＫから、好ましくは市販のＯｓｔａ−ＰＥＫ（登録商標）から作成される。

支持体６内の長繊維は、インプラントの機械的特性の最適な強度および規則性を提供する部分の軸に完全に沿って延びることができる。同心円状繊維についても同様である。これらの繊維はこの部分の中で数回シリンダに巻きつくことができ、向かい合う繊維がこの部分全体を異なる方向に交差することができる。交差方向によってこの部分を結合して、異なる方向からインプラントに与えられる負荷に耐えることを可能にする。短炭素繊維複合材料と、配向の調節された長繊維複合材料との間の機械的特性の違いは、削片板および良好に工作されたオークにおける構造と比較し得るものである。削片板は接着によって結合されるが、オークの構造は木材の繊維配向を用いることによってこの構造が受ける力に対抗している。

外壁２内の繊維１２および１７は同心円状におよび／または長手方向に配向されていることが好ましい。繊維１２は長繊維であることが好ましく、外壁の全周に沿って延びるようにしてもよい。繊維１７も同様に長繊維であることが好ましく、長手方向に全長に沿って延びるようにしてもよい。支持体６の繊維１０および１１、および外壁２の繊維１２が異なる配向を有していることが本発明の重要な特徴である。繊維１０および１１の補助的な配向は、繊維１２が曲げられて破損点を越えるケージ１の変形を防止する。繊維１２は必ずしも同心円状に配向される必要はなく、長手方向１６に平行することも可能である。さらに、一部の繊維を同心円状に配向し、他の繊維は長手方向１６に平行させることも可能である。

図５および６は、概して円形の断面を持つ壁２４と、壁２４に一体に接続された支持体２３と、を有するケージ２０を開示している。ケージ２０は放射線透過性材料で形成されており、埋め込まれた長強化繊維２１および２２を含んでいる。壁２４の繊維２１は概して同心円状に配向されるか、または長手方向１６に平行している。支持体６の繊維２２は少なくとも１つの補助的な（追加の）配向を有し、その配向は長手方向１６に対して斜めであることが好ましい。図６に示されているように、繊維２２ａは繊維２２ｂと異なる配向を有してもよい。繊維２２を長手方向１６に対して直角にすることもできる。

図７は、同様に放射線透過性材料で形成され、且つ異なる配向の繊維３１および３７を含むケージ３０を示している。このケージは、概して円形または楕円形の断面を有する外壁３９と、引出しのように壁３９の中にスライドする箱状支持体３３と、の２つの部分からなっている。支持体３３の中の開口部３４は骨成長のために設けられており、これに骨材料を予め充填することができる。壁３９も、骨成長のための図示されていない開口部、および外面３６の一部としてのネジ山を有することができる。繊維３１は同心円内に配向されることが好ましく、繊維３７は例えば長手方向１６に対して直角な補助的な配向を有する。

図８もまた、外壁４２と、異なる配向を有する繊維４５および４６を含み、挿入部分である支持体４３と、の２つの部分からなるケージ４０を示している。外壁４２は同心円状に配向された繊維４１を含み、概して円形または楕円形の断面を有している。支持体４３には、骨材料を予め充填することができる開口部４４が設けられており、支持体４３は矢印４８で示されるように、引出しのように外壁４２の中にスライドする。繊維４５および４６は長炭素繊維であることが好ましく、互いにおよび繊維４１と異なる配向を有している。繊維４５は縦方向に配向され、繊維４６は横方向に配向され且つ長手方向１６に平行している。図９には、繊維４１、４５および４６の配向が矢印４７乃至４９で概略的に示されている。

図１は、この発明の繊維強化ケージの概略斜視図である。 図２は、支持体が部分的に外壁から引き出されている、図１によるケージの概略斜視図である。 図３は、図１の線ＩＩＩ−ＩＩＩに沿った断面図である。 図４は、図３に見られる支持体の一部の概略斜視図である。 図５は、本発明のさらなる実施の形態の平面図である。 図６は、図５の線ＶＩ−ＶＩに沿った断面図である。 図７は、本発明のさらなる実施の形態によるケージの概略斜視図である。 図８は、本発明のさらなる実施の形態によるケージの概略斜視図である。 図９は、図８によるケージにおける繊維の配向を示す。

Claims (9)

1. 特に２つの隣接する脊椎骨間に挿入されるように設計された脊椎ケージである、３次元繊維強化インプラントであって、概して円筒形または楕円形の形状を有し、且つ好ましくは骨を充填するための開口容積を有する外壁であって、少なくとも部分的に第１の方向に配向された強化繊維を有する外壁と、前記容積内に延び、且つ少なくとも部分的に第２の方向に配向された強化繊維を有する支持体と、を有し、前記第１および前記第２の方向が異なる、インプラント。
2. 外壁の繊維は少なくとも部分的に同心円状に配向されている、請求項１に記載のインプラント。
3. 外壁の繊維は少なくとも部分的に平行して配向されている、請求項１または２に記載のインプラント。
4. 支持体の繊維は少なくとも部分的に平行して配向されている、請求項１または２に記載のインプラント。
5. 支持体は別個の挿入部分である、請求項１乃至４のいずれか１項に記載のインプラント。
6. 支持体は支柱である、請求項１乃至５のいずれか１項に記載のインプラント。
7. 支持体は、前記容積内に挿入される引出し状である、請求項１乃至６のいずれか１項に記載のインプラント。
8. 支持体は、円形の引出し状である、請求項７に記載のインプラント。
9. 前記外壁の繊維は少なくとも部分的に同心円状に配向され、支持体の繊維は少なくとも部分的に長手方向に配向されている、請求項１乃至８のいずれか１項に記載のインプラント。

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