【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、集積回路チップの製造において利用されるシリコンウエハー等を含む半導体部材を運搬・保管するための容器に関する。
【0002】
【従来の技術】
ウエハーを含む半導体部材(以下ウエハー等という)の処理においては、ウエハー等を運搬・保管する容器とウエハー等を処理するための処理容器とが使用される。後者の容器は一般にウエハー等を処理する液浴に浸される。この液浴は腐食性化学物質を含み、ある場合は100〜200℃と高温である。このため処理工程中、シリコンウエハーを含む半導体部材の保持に用いられるウエハー処理用容器は、使用化学物質に対してだけでなく、高い液浴温度に対しても安全である必要がある。
また、製造工程時のウエハーの出し入れや搬送によるウエハーと容器との摩擦や接触により発生した静電気によりウエハー等を損傷させてしまう。
例えば、ポリエーテルケトン樹脂100重量部に対して、平均繊維径が5〜20μm、平均繊維長が30〜500μmである炭素繊維5〜100重量部を配合した樹脂組成物を成形した半導体ウエハ加工・処理用キャリアが知られている。(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
〔特許文献1〕特開平10−7898号公報(請求項1、〔0007〕)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の特許文献1に記載のポリエーテルケトン樹脂組成物は、一般的な炭素繊維を含むものであり、この様な樹脂組成物を半導体ウエハーキャリヤーとして用いると、200℃程度の高温に晒されると、ガスが発生し、このガスが半導体ウエハーを損傷させ好ましくない。
本発明の課題は、1,000Vから5Vまでの平均帯電減衰時間が、1〜5秒であり、かつ、使用条件においてガスが発生することが殆ど無いウエハーを含む半導体部材の運搬・保管用容器を提供することにある。
また本発明の課題は、成形品の帯電減衰時間が測定箇所でばらつきが非常に少ない半導体部材の運搬・保管用容器を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、溶融温度が300℃以上である合成樹脂に炭素フィブリルを配合した樹脂組成物を成形してなり、該成形体の1,000Vから5Vまでの平均帯電減衰時間が、1〜5秒であることを特徴とするウエハーを含む半導体部材の運搬・保管用容器に係る。
【0006】
本発明によれば、従来の半導体ウエハー加工・処理用キャリアのように、炭素繊維ではなく、炭素フィブリルを溶融温度が300℃以上である合成樹脂に配合してなる樹脂組成物を成形してなるウエハーを含む半導体部材の運搬・保管用容器は、1,000Vから5Vまでの平均帯電減衰時間が、1〜5秒であり、かつ、200℃程度の高温に晒されるという条件においても、ガスの発生が十分に少なくなることが判明した。
しかも、成形品の帯電減衰時間を測定したところ、測定箇所でのばらつきが非常に少ないことが判明した。
従って、本発明のウエハーを含む半導体部材の運搬・保管用容器は、1,000Vから5Vまでの平均帯電減衰時間が、1〜5秒であり、かつ、高温に晒されてもガスの発生が少なく、耐熱性、耐薬品性、成型加工性等に優れ、あらゆる工程において、半導体ウエハーが損傷を受ける可能性を著しく低下させることができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明で使用できる溶融温度が300℃以上である合成樹脂としては、具体的には、例えば、ポリアリルエーテルケトン、ポリエーテルサルフォン、ポリサルフォン、ポリエーテルイミド、液晶ポリマー、熱可塑性ポリイミド、ポリアリレート、ポリエーテルニトリル、ポリフェニレンサルファイド、ポリフェニレンエーテル、ポリアミドイミド等を挙げることができる。これらの中でも、ポリアリルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリアリレート、ポリサルフォン、液晶ポリマー、熱可塑性ポリイミドが好ましい。これらの合成樹脂は、1種を単独で使用でき又は必要に応じて2種以上を併用してもよい。
【0008】
本発明で使用できる炭素フィブリルとしては、特に制限なく公知のものをいずれも使用でき、例えば、気相成長法(遷移金属含有粒子をCO、炭化水素等の炭素含有ガスと高温で接触させ、熱分解により生成した炭素を、遷移金属含有粒子を起点として繊維状に成長させる方法)によって製造される極細の中空炭素繊維等を挙げることができる。好ましくは、平均径0.1μm(100nm)以下及ぴアスペクト比(平均径/平均厚み)5以上、さらに好ましくは平均径3.5〜75nm及びアスペクト比5〜1000の炭素フィブリルが良い。
【0009】
本発明で使用し得る炭素フィブリルは、例えば、米国特許第4663230号明細書、特公平3−64606号公報、特公平3−77288号公報、特開平3−287821号公報、特開平5−125619号公報、特開平3−55709号公報(特許第3029115号)、特開平3−74465号公報(特許第2862578号)、特開平7−102112号公報、特開平2−232244号公報、特開平2−235945号公報、特開平2−276839号公報等の多数の特許公報に記載されている。
【0010】
本発明においては、市販の炭素フィブリルを使用することもできる。市販品としては、例えば、ハイピリオン・カタリシス社(米国)製カーボンナノチューブ、カーボンナノテクノロジーズ社(米国)製カーボンナノチューブ等を挙げることができる。
なお、炭素フィブリルは、予めマスターバッチ化して用いても良い。マスターバッチのマトリックスになる合成樹脂としては、上記と同様の合成樹脂でよい。マスターバッチ中の炭素フィブリル含量は、特に制限はないが、通常5〜50重量%、好ましくは10〜30重量%である。マスターバッチの粒径も特に制限はないが、通常0.5〜10mm、好ましくは1〜5mmとすればよい。
【0011】
炭素フィブリルの配合量は、マトリックスである合成樹脂の種類や炭素フィブリルそのものの寸法等に応じて広い範囲から適宜選択すればよいが、1,000Vから5Vまでの平均帯電減衰時間が1〜5秒であり、かつ使用条件においてガスが発生することが殆ど無いこと、成型加工性、寸法精度を合わせ持つという観点から、合成樹脂100重量部に対して1〜10重量部、好ましくは、3〜8重量部が良い。
【0012】
本発明のウエハーを含む半導体部材の運搬・保管用容器に用いられる樹脂組成物は、所定量の溶融温度が300℃以上である合成樹脂と炭素フィブリルとを公知の手段により混合及び/又は混練することにより製造できる。例えば、粉末、ビーズ、フレーク又はペレット状の各成分を、1軸押出機、2軸押出機等の押出機、バンバリーミキサー、加圧ニーダー、2本ロール等の混練機を用いて混合及び/又は混練することにより、ペレットを製造することができる。より具体的には、例えば、合成樹脂を二軸押出機内で溶融させながら、炭素フィブリルをサイドホッパーから投入し、二軸押出機内で樹脂と炭素フィブリルを混練することにより、本発明の半導体ウエハーキャリヤーに用いられる樹脂組成物のペレットを得ることができる。
【0013】
この樹脂組成物を、射出成形、圧縮成形、押出成形等の公知の樹脂成形法に従って成形することにより、本発明のウエハーを含む半導体部材の運搬・保管用容器を得ることができる。
本発明のウエハーを含む半導体部材の運搬・保管用容器の形状は特に制限されず、一定の間隔を空けて、半導体ウエハーを保護し得る形状のものであれば公知のものをいずれも使用でき、その一例として、バスケット型やオープンカセット型のものを挙げることができる。
【0014】
【実施例】
以下に実施例、比較例及び試験例を挙げ、本発明を具体的に説明する。なお、本実施例で使用した合成樹脂及び充填材は、具体的には次の通りである。
ポリエーテルイミド〔商品名:ウルテム #1010−1000〕
ポリエーテルエーテルケトン〔商品名:VICTREX 151G、ビクトレックス・エムシー(株)製、以下「PEEK−1」と略記する〕
ポリエーテルエーテルケトン〔商品名:VlCTREX 450G、ビクトレックス・エムシー(株)製、以下「PEEK−2」と略記する〕
炭素フィブリル〔商品名:グラファイトフィブリル、平均外径15nm、平均内径5nm、長さ0.2〜20μm、ハイピリオン・カタリシス社製、以下「HP」という〕
炭素繊維〔商品名:ダイヤリードK223NM、平均繊維径10μm、平均繊維長6mm、三菱化学産資(株)製、以下「CF」という〕
カーボンブラック〔商品名:ケッチェンEC 600JD〕
【0015】
実施例1
ポリエーテルエーテルケトン(PEEK−1)95重量部を二軸押出機のメインホッパーに投入して溶融混練した後、サイドフィーダーから炭素フィブリル(HP)5重量部を加え、溶融混練して押出し、ペレットを製造した。
【0016】
実施例2
ポリエーテルエーテルケトン(PEEK−1)95重量部に代えて、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK−2)93重量部、炭素フィブリル(HP)5重量部を7重量部に代えた以外は、実施例1と同様にして、ペレットを製造した。
【0017】
実施例3
ポリエーテルエーテルケトン(PEEK−1)95重量部に代えて、ポリエーテルイミド(PEI)96重量部、炭素フィブリル(HP)5重量部を4重量部に代えた以外は、実施例1と同様にして、ペレットを製造した。
【0018】
比較例1
炭素フィブリル(HP)に代えて、炭素繊維(CF)を用いる以外は、実施例1と同様にして、比較用のペレットを製造した。
【0019】
比較例2
炭素フィブリル(HP)に代えて、カーボンブラック(CB)を用いる以外は、実施例1と同様にして、比較用のペレットを製造した。
【0020】
試験例1
実施例及び比較例のペレットを、JIS試験片作成用金型(金型温度140℃)を装着した射出成形機〔商品名:J75SSII−A、(株)日本製鋼所製、シリンダー温度350〜360℃〕に投入して射出成形し、各種JIS試験片を作成し、以下の試験に供した。結果を表1に示す。
(1)表面抵抗値(Ω)及び体積固有抵抗値(Ωm):JlS K6911に準じて測定した。これらは、導電性の指標となる物性である。
(2)引張強さ(MPa)及び引張破断伸び(%):J1S K7113に準じて測定した。
(3)曲げ強さ(MPa)及び曲げ弾性率(GPa):JIS K7171に準じて測定した。
(4)ノッチ付きIZOD衝撃値(J/m):JIS K7110に準じ、1号試験片で評価した。(2)〜(4)は、機械的強度の指標になる物性である。
【0021】
【表1】
【0022】
試験例2
1.耐摩耗試験A[摩耗量(mg/mm2)]:
実施例及び比較例で得られたペレットを成形温度350〜360℃、射出圧力(1次圧)1200kgf/cm2、保圧(2次圧)500kgf/cm2、射出・保圧時間20秒の条件で射出成形することにより、摩耗試験片(外径25.6mm、内径20mm、高さ15mmの中空円筒)を作成し、次の条件で摩耗量(mg/mm2)を測定した。鈴木式摩擦摩耗試験機〔オリエンテック(株)製〕、相手材S45C(中炭素鋼)、摩擦面圧1.2kgf/cm2、摩擦速度30cm/sec、走行時間1時間。
(2)耐摩耗試験B[摩耗深さ(μm)]:
耐摩耗試験Aと同様にして、90×50×3.2mmの摩耗試験片を作成した。この摩耗試験片を、往復摺動試験機を用い、厚さ1mmのガラス板を摩耗試験片に対し垂直に立て、ガラス板に荷重718g/cm2をかけ、速度300mm/秒、距離4cmの条件で5000往復させた後、摩耗深さ(μm)を表面粗さ計〔商品名:サーフコム300B、(株)東京精密製〕により測定した。
結果を表2に示す。
【0023】
【表2】
【0024】
表2から、本発明の成形体が、良好な耐摩耗性を有し、特に摩耗深さの点で、比較例の成形体よりも著しく優れていることが判る。
【0025】
試験例3
実施例1及び比較例1の材料1gをヘッドスペースバイアルに取り、セプタム(蓋)で密封した後、オートサンプラーにセットし、ヘッドスペース前処理装置付きガスクロマトグラフィー(Tekmer 7050/GL サイエンスGC353/SlC Labchart 180)にて次の条件で分析し、ガス発生量を測定したところ、実施例1が43,000area/gであるのに対し、比較例1は85,000area/gとほぼ2倍の量に達し、本発明の成形体の高温時におけるガス発生量が少ないことが判る。
試料温度:180℃×20分
カラム:TC−WAX 0.53×30000mm
カラム温度:40℃(10分)→10℃/分→200℃(5分)
検出器:FlD
検出温度:240℃
【0026】
試験例4
実施例及び比較例で得られたペレットを射出成形機にて成形し、90×50×3.2mmの試験片を作成した。得られた試験片の下記図1の▲1▼〜▲9▼の部分の帯電減衰時間を測定器(Charget Plate monitor)にて測定した。結果を図2に示す。
比較例1,2の測定位置▲7▼〜▲9▼に関しては、電圧が5Vまで減圧しなかった。
【0027】
図2から、本発明の成形体は、1,000Vから5Vまでの平均帯電減衰時間が1〜5秒であり、あまり早く減衰するのもウエハーに大きな障害を与えよくないが、測定箇所でのばらつきが非常に少ないことが判る。
【0028】
試験例5
実施例1及び比較例2で得られたペレットを射出成形機にて成形し、図3に示すウエハーバスケットを作成した。このウエハーバスケットを純水に浸漬させ、超音波洗浄装置にて40kHzで8分問洗浄後、洗浄液をパーティクルカウンターを用い洗浄液中のパーティクル数をカウントした。同一成形品を用い、純水を取り替えて同様の試験を8回行い、2回目から8回目までの洗浄液それぞれについて測定したパーティクルの数を積算したものを表3に示す。
【0029】
【表3】
【0030】
表3から、本発明のウエハーを含む半導体部材の運搬・保管用容器は、ウエハーバスケットの洗浄液におけるパーティクルの数が少なく、耐洗浄性においても炭素繊維を含む材料よりも著しく優れている。
【0031】
【発明の効果】
本発明の、炭素フィブリルを溶融温度が300℃以上である合成樹脂に配合してなる樹脂組成物を成形してなるウエハーを含む半導体部材の運搬・保管用容器は、1,000Vから5Vまでの平均帯電減衰時間が1〜5秒であり、かつ、200℃程度の高温に晒されるという条件においても、ガスの発生が十分に少ない。しかも、成形品の帯電減衰時間を測定したところ、測定箇所でのばらつきが非常に少ないという特徴を有する。
また本発明のウエハーを含む半導体部材の運搬・保管用容器は、ウエハーバスケットの洗浄液におけるパーティクルの数が少なく、耐洗浄性においても著しく優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】試験片の帯電減衰時間の測定部位を示す上面図である。
【図2】試験片の測定部位と帯電減衰時間の関係を示すグラフである。
【図3】ウエーハバスケットの図である。[0001]
TECHNICAL FIELD OF THE INVENTION
The present invention relates to a container for transporting and storing a semiconductor member including a silicon wafer and the like used in manufacturing an integrated circuit chip.
[0002]
[Prior art]
In processing semiconductor members including wafers (hereinafter, referred to as wafers, etc.), a container for transporting and storing wafers and the like and a processing container for processing wafers and the like are used. The latter container is generally immersed in a liquid bath for processing wafers and the like. This liquid bath contains corrosive chemicals and in some cases is as high as 100-200C. Therefore, a wafer processing container used for holding a semiconductor member including a silicon wafer during the processing step needs to be safe not only for the used chemical substance but also for a high liquid bath temperature.
In addition, the wafer and the like may be damaged by static electricity generated by friction and contact between the wafer and the container due to the transfer of the wafer in and out of the wafer during the manufacturing process and the transfer.
For example, for a semiconductor wafer processing, a resin composition in which 5 to 100 parts by weight of carbon fiber having an average fiber diameter of 5 to 20 μm and an average fiber length of 30 to 500 μm is blended with respect to 100 parts by weight of polyether ketone resin. Processing carriers are known. (For example, see Patent Document 1).
[0003]
[Patent Document 1] JP-A-10-7898 (Claim 1, [0007])
[0004]
[Problems to be solved by the invention]
However, the polyetherketone resin composition described in Patent Document 1 contains general carbon fibers. When such a resin composition is used as a semiconductor wafer carrier, it is exposed to a high temperature of about 200 ° C. When this occurs, a gas is generated, which damages the semiconductor wafer, which is undesirable.
An object of the present invention is to provide a container for transporting / storing a semiconductor member including a wafer having an average charge decay time of 1,000 V to 5 V of 1 to 5 seconds and generating almost no gas under use conditions. Is to provide.
Another object of the present invention is to provide a container for transporting / storing a semiconductor member in which the charge decay time of a molded article has very little variation at measurement points.
[0005]
[Means for Solving the Problems]
The present invention is obtained by molding a resin composition obtained by blending carbon fibril with a synthetic resin having a melting temperature of 300 ° C. or higher, and the average charge decay time of the molded product from 1,000 V to 5 V is 1 to 5 seconds. The present invention relates to a container for transporting and storing semiconductor members including wafers.
[0006]
According to the present invention, a resin composition obtained by blending carbon fibrils with a synthetic resin having a melting temperature of 300 ° C. or higher, instead of carbon fibers, as in a conventional semiconductor wafer processing / processing carrier, is formed. Containers for transporting / storing semiconductor members including wafers have an average charge decay time from 1,000 V to 5 V of 1 to 5 seconds and are exposed to a high temperature of about 200 ° C. It was found that the occurrence was sufficiently reduced.
In addition, when the charging decay time of the molded article was measured, it was found that the variation at the measurement location was very small.
Therefore, the container for transporting and storing semiconductor members including the wafer of the present invention has an average charge decay time from 1,000 V to 5 V of 1 to 5 seconds, and generates gas even when exposed to high temperatures. It is excellent in heat resistance, chemical resistance, moldability, etc., and can significantly reduce the possibility of damage to a semiconductor wafer in any process.
[0007]
BEST MODE FOR CARRYING OUT THE INVENTION
Specific examples of the synthetic resin having a melting temperature of 300 ° C. or higher that can be used in the present invention include, for example, polyallyl ether ketone, polyether sulfone, polysulfone, polyetherimide, liquid crystal polymer, thermoplastic polyimide, and polyarylate. , Polyether nitrile, polyphenylene sulfide, polyphenylene ether, polyamide imide and the like. Among them, polyallyl ether ketone, polyether imide, polyarylate, polysulfone, liquid crystal polymer, and thermoplastic polyimide are preferable. One of these synthetic resins may be used alone, or two or more of them may be used in combination as needed.
[0008]
As the carbon fibrils that can be used in the present invention, any known carbon fibrils can be used without particular limitation. For example, a vapor phase growth method (contacting transition metal-containing particles with a carbon-containing gas such as CO or hydrocarbon at a high temperature, A method in which carbon produced by decomposition is grown into a fibrous form starting from transition metal-containing particles). Preferably, carbon fibrils having an average diameter of 0.1 μm (100 nm) or less and an aspect ratio (average diameter / average thickness) of 5 or more, more preferably 3.5 to 75 nm in average diameter and 5 to 1000 in aspect ratio are preferable.
[0009]
Carbon fibrils usable in the present invention are described, for example, in U.S. Pat. No. 4,663,230, Japanese Patent Publication No. 3-64606, Japanese Patent Publication No. 3-77288, Japanese Patent Application Laid-Open No. 3-287821, and Japanese Patent Application Laid-Open No. 5-125719. JP-A-3-55709 (Japanese Patent No. 3029115), JP-A-3-74465 (Japanese Patent No. 2862578), JP-A-7-102112, JP-A-2-232244, JP-A-2- It is described in a number of patent publications such as Japanese Patent Publication No.
[0010]
In the present invention, commercially available carbon fibrils can also be used. Examples of commercially available products include carbon nanotubes manufactured by Hyplion Catalysis (USA), carbon nanotubes manufactured by Carbon Nanotechnology (USA), and the like.
Note that the carbon fibrils may be used in the form of a master batch. The same synthetic resin as described above may be used as the synthetic resin serving as the matrix of the master batch. The carbon fibril content in the masterbatch is not particularly limited, but is usually 5 to 50% by weight, preferably 10 to 30% by weight. The particle size of the masterbatch is not particularly limited, but is usually 0.5 to 10 mm, preferably 1 to 5 mm.
[0011]
The compounding amount of the carbon fibrils may be appropriately selected from a wide range according to the type of the synthetic resin as the matrix and the dimensions of the carbon fibrils themselves, but the average charge decay time from 1,000 V to 5 V is 1 to 5 seconds. And from the viewpoint that almost no gas is generated under the use conditions, the moldability and the dimensional accuracy are combined, 1 to 10 parts by weight, preferably 3 to 8 parts by weight with respect to 100 parts by weight of the synthetic resin. Good by weight.
[0012]
The resin composition used for the container for transporting and storing semiconductor members including wafers of the present invention is obtained by mixing and / or kneading a predetermined amount of a synthetic resin having a melting temperature of 300 ° C. or higher with carbon fibrils by a known means. It can be manufactured by For example, powder, beads, flakes, or pellets are mixed and / or mixed using a single-screw extruder, a twin-screw extruder or other extruder, a Banbury mixer, a pressure kneader, or a two-roll kneader. By kneading, pellets can be produced. More specifically, for example, while melting a synthetic resin in a twin-screw extruder, charging carbon fibrils from a side hopper and kneading the resin and carbon fibrils in the twin-screw extruder, the semiconductor wafer carrier of the present invention Pellets of the resin composition used in the method can be obtained.
[0013]
By molding the resin composition according to a known resin molding method such as injection molding, compression molding, or extrusion molding, a container for transporting and storing semiconductor members including the wafer of the present invention can be obtained.
The shape of the container for transporting / storing the semiconductor member including the wafer of the present invention is not particularly limited, and at a certain interval, any known shape can be used as long as it can protect the semiconductor wafer, One example is a basket type or an open cassette type.
[0014]
【Example】
Hereinafter, the present invention will be specifically described with reference to Examples, Comparative Examples, and Test Examples. The synthetic resin and the filler used in this example are specifically as follows.
Polyetherimide [Product name: Ultem # 1010-1000]
Polyetheretherketone [trade name: VICTREX 151G, manufactured by Victrex MC Corporation, hereinafter abbreviated as "PEEK-1"]
Polyetheretherketone [trade name: VICTREX 450G, manufactured by Victrex MC Corporation, hereinafter abbreviated as "PEEK-2"]
Carbon fibrils (trade name: graphite fibrils, average outer diameter 15 nm, average inner diameter 5 nm, length 0.2 to 20 μm, manufactured by Hyplion Catalysis, hereinafter referred to as “HP”)
Carbon fiber [trade name: Dialead K223NM, average fiber diameter 10 μm, average fiber length 6 mm, manufactured by Mitsubishi Chemical Corporation, hereinafter referred to as “CF”]
Carbon black [Product name: Ketchen EC 600JD]
[0015]
Example 1
After 95 parts by weight of polyetheretherketone (PEEK-1) is put into a main hopper of a twin-screw extruder and melt-kneaded, 5 parts by weight of carbon fibril (HP) is added from a side feeder, melt-kneaded, extruded, and pelletized. Was manufactured.
[0016]
Example 2
Example 1 was repeated except that 95 parts by weight of polyetheretherketone (PEEK-1) was replaced by 93 parts by weight of polyetheretherketone (PEEK-2) and 7 parts by weight of 5 parts by weight of carbon fibril (HP). A pellet was produced in the same manner as described above.
[0017]
Example 3
Example 1 was repeated except that 95 parts by weight of polyetheretherketone (PEEK-1) was replaced by 96 parts by weight of polyetherimide (PEI) and 4 parts by weight of 5 parts by weight of carbon fibril (HP). Thus, pellets were produced.
[0018]
Comparative Example 1
Pellets for comparison were produced in the same manner as in Example 1 except that carbon fibers (CF) were used instead of carbon fibrils (HP).
[0019]
Comparative Example 2
Comparative pellets were produced in the same manner as in Example 1 except that carbon black (CB) was used instead of carbon fibrils (HP).
[0020]
Test example 1
An injection molding machine (trade name: J75SSII-A, manufactured by Japan Steel Works, Ltd., cylinder temperature 350 to 360) equipped with a JIS test piece preparation mold (mold temperature 140 ° C.) was used for the pellets of Examples and Comparative Examples. C.] and injection molding to prepare various JIS test pieces, which were subjected to the following tests. Table 1 shows the results.
(1) Surface resistance value (Ω) and volume specific resistance value (Ωm): Measured according to JISK6911. These are physical properties that serve as indicators of conductivity.
(2) Tensile strength (MPa) and tensile elongation at break (%): Measured according to J1S K7113.
(3) Flexural strength (MPa) and flexural modulus (GPa): Measured according to JIS K7171.
(4) Notched IZOD impact value (J / m): Evaluated with the first test piece according to JIS K7110. (2) to (4) are physical properties that serve as indicators of mechanical strength.
[0021]
[Table 1]
[0022]
Test example 2
1. Abrasion resistance test A [wear amount (mg / mm 2 )]:
Examples and molding temperature three hundred and fifty to three hundred and sixty ° C. The pellets obtained in Comparative Example, the injection pressure (primary pressure) 1200 kgf / cm 2, holding pressure (secondary pressure) 500 kgf / cm 2, 20 seconds between the injection-holding time Abrasion test pieces (hollow cylinders having an outer diameter of 25.6 mm, an inner diameter of 20 mm, and a height of 15 mm) were prepared by injection molding under the following conditions, and the wear amount (mg / mm 2 ) was measured under the following conditions. Suzuki type friction and wear tester (manufactured by Orientec Co., Ltd.), mating material S45C (medium carbon steel), friction surface pressure 1.2 kgf / cm 2 , friction speed 30 cm / sec, running time 1 hour.
(2) Wear resistance test B [wear depth (μm)]:
In the same manner as in the wear resistance test A, a wear test piece of 90 × 50 × 3.2 mm was prepared. Using a reciprocating sliding tester, a 1 mm thick glass plate was placed on the abrasion test piece perpendicular to the abrasion test piece, a load of 718 g / cm 2 was applied to the glass plate, the speed was 300 mm / sec, and the distance was 4 cm. After 5000 reciprocations, the wear depth (μm) was measured by a surface roughness meter (trade name: Surfcom 300B, manufactured by Tokyo Seimitsu Co., Ltd.).
Table 2 shows the results.
[0023]
[Table 2]
[0024]
Table 2 shows that the molded article of the present invention has good abrasion resistance, and is remarkably superior to the molded article of the comparative example, particularly in terms of wear depth.
[0025]
Test example 3
1 g of the material of Example 1 and Comparative Example 1 was placed in a headspace vial, sealed with a septum (lid), set in an autosampler, and subjected to gas chromatography with a headspace pretreatment device (Tekmer 7050 / GL Science GC353 / SIC). Labchart 180) was analyzed under the following conditions, and the amount of gas generated was measured. As a result, Example 1 was 43,000 area / g, whereas Comparative Example 1 was 85,000 area / g, almost twice the amount. , Indicating that the amount of gas generated at high temperature of the molded article of the present invention is small.
Sample temperature: 180 ° C. × 20 minutes Column: TC-WAX 0.53 × 30000 mm
Column temperature: 40 ° C (10 minutes) → 10 ° C / minute → 200 ° C (5 minutes)
Detector: FID
Detection temperature: 240 ° C
[0026]
Test example 4
The pellets obtained in the examples and comparative examples were molded by an injection molding machine to prepare test pieces of 90 × 50 × 3.2 mm. The charge decay time of the following test pieces (1) to (9) in FIG. 1 was measured with a measuring device (Charge Plate monitor). FIG. 2 shows the results.
The voltage was not reduced to 5 V at the measurement positions (7) to (9) in Comparative Examples 1 and 2.
[0027]
From FIG. 2, it can be seen that the molded article of the present invention has an average charge decay time from 1,000 V to 5 V of 1 to 5 seconds. It can be seen that the variation is very small.
[0028]
Test example 5
The pellets obtained in Example 1 and Comparative Example 2 were molded by an injection molding machine to produce a wafer basket shown in FIG. The wafer basket was immersed in pure water, washed with an ultrasonic cleaning device at 40 kHz for 8 minutes, and the number of particles in the cleaning liquid was counted using a particle counter. Table 3 shows the result of integrating the number of particles measured for each of the second to eighth cleaning liquids by performing the same test eight times using the same molded product and replacing pure water.
[0029]
[Table 3]
[0030]
From Table 3, it can be seen that the semiconductor member transport / storage container including the wafer of the present invention has a small number of particles in the cleaning liquid for the wafer basket, and is also significantly superior in cleaning resistance to the material containing carbon fibers.
[0031]
【The invention's effect】
The container for transporting and storing semiconductor members including a wafer formed by molding a resin composition obtained by blending carbon fibrils with a synthetic resin having a melting temperature of 300 ° C. or higher according to the present invention has a capacity of 1,000 V to 5 V. Even under the condition that the average charging decay time is 1 to 5 seconds and the substrate is exposed to a high temperature of about 200 ° C., generation of gas is sufficiently small. In addition, when the charging decay time of the molded article is measured, the characteristic is that the variation at the measurement location is very small.
Further, the container for transporting and storing semiconductor members including wafers of the present invention has a small number of particles in the cleaning liquid for the wafer basket, and is extremely excellent in cleaning resistance.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a top view showing a portion where a charge decay time of a test piece is measured.
FIG. 2 is a graph showing a relationship between a measurement site of a test piece and a charge decay time.
FIG. 3 is a view of a wafer basket.