JP2004193313A - 半導体発光素子 - Google Patents

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重雄 吉井
Nobuyuki Otsuka
信之 大塚
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紘一 水野
Chiyoujitsuriyo Suzuki
朝実良 鈴木
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Abstract

【課題】可干渉性が低く高速変調可能な発光素子を提供する。
【解決手段】n型GaAs基板101上に、n型DBR反射膜102と、AlGaAs/InGaAs多量子井戸活性層103と、p型DBR反射膜104と高抵抗領域105とp型電極106とn型電極107からなる縦型面発光レーザ素子を備え、さらに前記縦型面発光レーザ素子の光出射領域にホトニクス結晶体109を備えた構成により可干渉性が低くかつ高速変調可能な発光素子を提供する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は半導体発光素子に関するものであり、また光通信システムを構成する光送信機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
光通信用光源としては、一般に半導体レーザ素子が広く利用されている。空間光通信用途においても近年では縦型面発光レーザ素子を用いた検討が非特許文献1に報告されている。図2は前記文献における空間通信用光学レンズを備えた縦型面発光レーザ素子の構造である。これに対して発光ダイオード素子は、その出力光が非コヒーレントで安全なため、リモートコントロール装置をはじめ数多くの短距離機器間通信に広く用いられている。発光ダイオード素子を用いた空間伝送光通信の代表的な規格としては、IrDA(Infrared Data Association)規格がある。
【0003】
【非特許文献1】
Optics Express −− May 6, 2002 −− Volume 10, Issue 9, pp. 413−418
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
半導体レーザ素子から放出されるレーザ光はいずれの波長においても人体に対する危険性を有し、特に直視した場合には眼球を損傷する可能性が高い。このため自由空間中での光通信用途としては、宇宙空間や高高度のビル間通信など、生活空間から隔絶された用途を除いてレーザ光を適用することが困難であった。また光ファイバを利用した通信においても、レーザ光による伝送では、家庭での使用に危険がつきまとう。例えば機器間や外部ネットワークとの間で通信を接続したり切り替えたりするために光コネクタを抜き差しするような場面において、レーザ光が出射しているコネクタ端を直接のぞきこむ危険がある。
【0005】
これに対して発光ダイオード素子は応答速度が遅く、大容量の通信を行うには変調周波数の上限が低い問題があった。発光ダイオードは自然放出光を利用し、その発光量は活性領域のキャリア量にほぼ比例するので、残留キャリアによる応答速度への影響が大きい。たとえばAlGaAs系発光ダイオード素子の場合、キャリア再結合の時定数は通常数nsecであるので、1GHzを越えるような高速変調を行うことは困難であった。
【0006】
本発明は前記従来技術の課題を解決し、応答速度が速く、かつ人体に対して安全な発光素子を提供することを目的とする。また生活空間においても安全で、大容量の空間光伝送通信に適用可能な光送信器を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、本発明の第1の半導体発光素子は、半導体レーザ領域と、前記半導体レーザ領域の光出射領域に対して光学的に結合して設けられたホトニック結晶体を備え、前記半導体レーザ領域から出射される光の位相が前記ホトニック結晶体により分散されるという特徴を備えたものである。
【0008】
また、本発明の第2の半導体発光素子は、半導体レーザ領域と、前記半導体レーザ領域の光出射領域に対して光学的に結合して設けられたホトニック結晶ファイバを備え、前記半導体レーザ領域から出射される光の位相が前記ホトニック結晶ファイバにより分散されるという特徴を備えたものである。
【0009】
また、本発明の第3の半導体発光素子は、半導体レーザ領域と、前記半導体レーザ領域の光出射領域に対して光学的に結合して設けられた微細構造領域を備え、前記半導体レーザ領域から出射される光が前記微細構造領域により散乱されるという特徴を備えたものである。
【0010】
また、本発明の第1の光送信機は、半導体レーザ要素と、前記半導体レーザ領域の光出射領域に対して光学的に結合して設けられたホトニック結晶体と、入力信号に応じて前記半導体レーザ要素の駆動電流を変化させる駆動回路を備え、さらに前記ホトニック結晶体の出力光を外部空間に放射する光学要素を備えることにより前記入力信号に応じて強度変調された信号光を空間中に出力するという特徴を備えたものである。
【0011】
また、本発明の第2の光送信機は、半導体レーザ要素と、前記半導体レーザ領域の光出射領域に対して光学的に結合して設けられた光散乱体と、入力信号に応じて前記半導体レーザ要素の駆動電流を変化させる駆動回路を備え、さらに前記光散乱体の散乱光を外部空間に放射する光学要素を備えることにより前記入力信号に応じて強度変調された信号光を空間中に出力するという特徴を備えたものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明は上記構成を備えることにより、人体に対して安全で、かつ応答速度の速い発光素子を提供できる。
【0013】
本発明の半導体発光素子を構成する半導体としては、GaAs, AlAs, InAs, GaP,AlP, InP, GaN, AlN, InN等の3−5族化合物半導体材料や2−6族化合物半導体材料、またAlGaAs, GaInP, AlGaInP, InGaAsP, AlGaN, InGaN, ZnCdSe, MgZnO等の化合物半導体混晶材料を用いることができる。
【0014】
また本発明の半導体発光素子の基板として、上記化合物半導体により構成されたn形もしくはp型の半導体基板を用いることにより基板裏面に一方の電極を形成でき素子作製の工程が簡素化される。また基板として、上記化合物半導体により構成された半絶縁性の半導体基板やAlやSiO等の絶縁体基板を用いることにより素子の静電容量が低減するので高周波特性が向上し、また複数の素子を形成する際に各素子を絶縁できるので集積化が容易となる。
【0015】
本発明のホトニック結晶体としては、少なくとも2種類以上の高屈折率材料と低屈折率材料(空気を含む)が2次元あるいは3次元的に周期的な微細構造をとり、光バンド構造としてバンドギャップを備える構成を用いることができる。
【0016】
また本発明のホトニック結晶ファイバとしては、断面構造として少なくとも2種類以上の高屈折率材料と低屈折率材料(空気を含む)からなる点対称周期構造等の2次元構造を備えることにより光を閉じ込めて導波する光ファイバを用いることができる。
【0017】
以下、具体的な例をあげて説明する。
【0018】
(第1の実施形態)
図1に第1の実施形態に係る半導体発光素子の断面構造図を示す。以下にAlGaAs/GaAs/InGaAs系素子を例として説明する。n型GaAs基板101上に、MOCVD法あるいはMBE法のエピタキシャル成長により、AlGaAs/GaAsの多層膜で構成されたn型導伝型のDBR反射膜(分布ブラッグ反射鏡)102と、AlGaAs/InGaAs多量子井戸で構成された活性層103、さらにAlGaAs/GaAsの多層膜で構成されたp型導伝型のDBR反射膜104が設けられている。エピタキシャル成長後、p型DBR反射膜104の内部には、高抵抗領域105が形成され、これにより注入された電荷は素子開口部直下の活性領域に閉じ込められる。この高抵抗領域105は、エピタキシャル成長時にAlAs等の高Al濃度層を挿入しておき、その後のプロセスにおいて水蒸気中で周囲から酸化処理することで設けることができる。また半導体膜の表面から部分的にイオン注入を行って高抵抗化することでも形成することができる。
【0019】
p型DBR反射膜104の上部には、中央部の出力光が出射される開口部108を除いてp型電極106が形成される。なお図示されていないが、p型DBR反射膜104上部のp型電極106と接する領域は、p型不純物が高濃度に添加されており、コンタクト層として機能している。またGaAs基板101の下部にはn型電極107が設けられている。
【0020】
上記の101〜107により波長約800nmで発振する縦型面発光半導体レーザ領域が構成されている。さらに本発明では前記半導体レーザの光出射領域である開口部108の上部にホトニック結晶体109が設けられている。半導体レーザ領域が縦型面発光レーザであることにより、半導体レーザ領域上に容易にホトニック結晶体を直接集積することができ、また高度な位置合わせを行うことなく両者の光結合を行うことができる。なお、半導体レーザ領域として縦型面発光レーザではなく端面発光型レーザ構造を用いることによって、レーザ領域の作製を容易にし、また光出力強度を向上することも可能である。
【0021】
本発明のホトニック結晶体としては、光学特性の異なる材料が2次元あるいは3次元的な周期的空間構造を有するものが利用できる。なお本発明の用途には必ずしも完全な結晶構造である必要はなく、例えば短距離秩序はあるが長距離的な周期的秩序を持たないフォトニックアモルファス結晶構造や、結晶ドメインを有する複数の周期構造が組み合わさった多結晶構造を利用することもできる。
【0022】
ここでホトニック結晶体のバンド構造は、結晶体を構成する高屈折率材料および低屈折率材料の物性、そして各材料が構成する微細構造の配置方法およびその空間周期により決まる。本実施の形態においては、ホトニック結晶体におけるバンドギャップの上位に位置する上位バンドのエネルギーが、半導体レーザ領域の発光波長に対応するエネルギーとなるように構成されている。
【0023】
上記構成により、半導体レーザ領域から出射された光は、ホトニック結晶体中に種々のバンドが重なる領域のエネルギーを持つので、数多くの伝播モードを介して結晶体中を伝播することができる。ホトニック結晶体中での光の群速度は各伝播モードに応じて異なるので、通過に要する伝播遅延時間もまちまちとなる。この結果、結晶体から出射する光の位相は各種の伝播遅延が入り混じってランダムに分散されたものとなる。すなわち、本発明の構成をとることにより、ホトニック結晶体を入射したレーザ光は、結晶体を通過する際にその波長は保存されるが、光の位相が分散された過干渉性の低い光として出射されることになる。
【0024】
レーザ光は一般に位相が揃っていて可干渉性が高いので人体に対する危険性が高い。特に直接光が眼球に入った場合、眼球レンズによる集光性が高いために眼底に重大な損傷を引き起こす危険がある。さらに位相の揃った光は物体に反射しても容易に集光性を失わないので、間接光ですら眼球に障害を起こす可能性がある。これに対して本発明の半導体発光素子の出力光は、波長は揃っているものの、位相が分散して可干渉性を失っているので集光性が低く散乱され易い。すなわち直接光および間接光の人体に対する安全性がレーザ光に比較して高い特徴を有する。
【0025】
また、前述のように自然放出光を利用する発光ダイオード素子はキャリアの再結合寿命が長いために応答が遅かったのに対し、本発明では光源のレーザ素子が誘導放出光を利用しているので高速に変調することが可能である。誘導放出は基本的に発光再結合寿命による遅延の影響を受けないので応答が速く、容易に数百Mbpsから数十Gbps以上の大容量通信を行うことが可能である。
【0026】
本発明において位相の分散を決める伝播遅延時間の分散は、ホトニック結晶体の光路長を変化させることで容易に制御できる。遅延時間分散を1fsec(=10×10−15sec)以上とすることにより光の位相を分散させてコヒーレンシーを安全な領域に下げることができる。また遅延時間分散を0.1nsec以下とすることにより、数百Mbpsから数十Gbps以上の光通信に対して信号波形劣化を起こすことなく信号伝達することができる。
【0027】
以上のように本発明の構成を用いることにより、従来になく応答速度が速く、かつ人体に対して安全な発光素子が実現できる。
【0028】
なお本実施の形態では半導体レーザ領域として縦型面発光レーザ構造を用いたが、本発明はこれに限定されるものではなく端面発光型半導体レーザ構造を用いることもできる。
【0029】
また本実施の形態ではAlGaAs/GaAs/InGaAs系化合物半導体を用いたが、AlGaAs/InGaP系等、他の材料系の半導体を用いることも可能である。
【0030】
また本実施の形態では面発光レーザの上部電極側を光出射方向として開口部とホトニック結晶体を設けているが、基板側を光出射方向として基板側に開口部およびホトニック結晶体に設けても良い。
【0031】
また本実施の形態におけるホトニック結晶体のバンド構造は、バンドギャップの上位に位置する上位バンドのエネルギーが、半導体レーザ領域の発光波長に対応するエネルギーとなるように構成されているが、他のバンドを利用することで入射光の位相を拡散することもできる。
【0032】
この他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
【0033】
(第2の実施形態)
図3に第2の実施形態に係る半導体発光素子の断面構造図を示す。本実施形態でも第1の実施形態と同様に、AlGaAs/GaAs/InGaAs系材料からなる101〜107の構成により波長約800nmの縦型面発光半導体レーザ領域が設けられている(図1と共通する符合は第1の実施形態と同一の構成を示す)。ただし本実施形態では第1の実施形態と異なり、素子上面には開口部がなく基板側に光出力部として開口部201が設けられている。さらに本発明では前記開口部201にホトニック結晶ファイバ202が設けられている。半導体レーザ領域が面発光型半導体レーザであることにより、容易にホトニック結晶ファイバを接続することができ、また高度な位置合わせ無しに両者の光結合を行うことができる。なお、半導体レーザ領域として端面発光型構造を用いることで、レーザ領域の作製を容易にし、光出力強度を向上することも可能である。
【0034】
本実施の形態でも第1の実施形態と同様に、レーザ光の位相を分散して可干渉性の低い安全な光を出射することができる。また本実施の形態ではホトニック結晶ファイバを用いるのでホトニック結晶体を用いる第1の実施形態に比較して素子の作製が容易となる。またホトニック結晶ファイバを用いることにより、光ファイバ系の通信経路に対して容易に接続できる利点もある。
【0035】
また、本実施の形態でも光源のレーザ素子が誘導放出光を利用しているので高速に変調することが可能である。
【0036】
本発明において、位相の分散を決める伝播遅延時間の分散量はホトニック結晶ファイバの光路長を変化させることで容易に制御できる。本発明では遅延時間の分散を1fsec以上とすることにより光の位相を分散させてコヒーレンシーを安全な領域に下げることができる。さらに遅延時間の分散を0.1nsec以下とすることにより、数百Mbpsから数十Gbps以上の光通信に対して信号波形劣化を起こすことなく伝送することができる。
【0037】
以上のように本発明の構成を用いることにより、従来になく応答速度が速く、かつ人体に対して安全な発光素子が実現できる。
【0038】
なお本実施の形態では面発光半導体レーザ領域の基板側を光出射方向として基板裏面にホトニック結晶ファイバを接続しているが、上部電極側を出射方向として上部側に開口部とホトニック結晶ファイバを設けても良い。
【0039】
この他、第1の実施形態と同様、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
【0040】
(第3の実施形態)
図4に第3の実施形態に係る半導体発光素子の断面構造図を示す。本実施形態でも第2の実施形態と同様に、AlGaAs/GaAs/InGaAs系材料からなる101〜107構成により波長約800nmの縦型面発光半導体レーザ領域が設けられている(図1、図2と共通する符合は第1および第2の実施形態と同一の構成を示す)。ただし本実施形態では第2の実施形態と異なり、基板側電極の開口部301において、基板裏面に直接微細構造領域が設けられている。この領域には高さおよび幅が100nmから1000nmの範囲となるピラミッド状の微細構造が設けられている。このような微細構造は基板裏面をフォトリソグラフィー等でパターニングした後、異方性を有するエッチング溶液を用いてウエットエッチングすることにより作製することができる。本実施形態においてはピラミッド状の微細構造を設けたが、本発明はこれに限らず、円錐状、格子状、その他の形状の微細構造を用いても良い。また本実施の形態では半導体素子の基板に直接微細構造を形成しているが、別の材料に微細構造を形成した光散乱体を素子に集積しても良い。
【0041】
本実施の形態で用いる微細構造は、第1の実施形態と異なりホトニックバンド構造を持たない。出射光は伝播速度を制御することではなく、微細構造における光散乱によって可干渉性が低減される。散乱を利用するので出力光の出射角は広がり、また可干渉性を完全に取り除くことは困難である。しかし本実施形態の微細構造の作製はホトニック結晶の作製に比較して容易であるので素子の製造コストが低減できる。また出射光も元のレーザ光に比較すると光の波面が崩されているので人体に対する安全性は高い。さらに本実施の形態では光出射面にピラミッド状微細構造が存在することにより半導体/空気間の界面反射を軽減し、光の出射効率を高める効果も有る。
【0042】
以上のように本発明の構成を用いることにより、従来になく応答速度が速く、かつ人体に対して安全な発光素子が実現できる。
【0043】
なお本実施の形態では面発光半導体レーザ領域の基板側を光出射方向として微細構造を設けているが、上部電極側を出射方向として開口部と微細構造を有する光散乱体を設けても良い。
【0044】
この他、第1の実施形態や第2の実施形態と同様、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
【0045】
(第4の実施形態)
図5に第4の実施形態に係る光送信機401の概念図を示す。光送信機401は半導体レーザ要素として縦型面発光レーザ素子403と、前記縦型面発光レーザ素子の光出射領域、すなわち光出射面上に集積して設けられたホトニック結晶体404と、ホトニック結晶体の出力光を外部空間に放射する光学要素として出力レンズ405と、駆動回路402を備えている。
【0046】
光送信機に入力信号406を入力すると、駆動回路402は面発光レーザ403を駆動して、入力信号406により直接強度変調されたレーザ光を発生させる。発生したレーザ光は、光出射領域に設けられたホトニック結晶体404を通過する。ここでホトニック結晶体のバンド構造はバンドギャップの上位に位置する上位バンドのエネルギーが、半導体レーザ領域の発光波長に対応するエネルギーとなるように構成されている。第1の実施形態同様、上記構成により半導体レーザ領域から出射された光は、ホトニック結晶体中を種々の群速度で伝播することにより位相が拡散され、可干渉性の低い非コヒーレントな光として出射される。ホトニック結晶体からの出射光は、出力レンズ405により集光されて外部空間中に放射される。
【0047】
ここでホトニック結晶中の遅延時間分散は1fsec以上であることにより光の位相を分散させてコヒーレンシーを安全な領域に下げることができ、さらに0.1nsec以下であることにより、数百Mbpsから数十Gbps以上の光通信に対して信号波形劣化を起こすことなく信号伝達することができる。
【0048】
本発明では信号光の発生に半導体レーザを用いているので、発光ダイオード素子を用いた光送信器に比較して格段に高い周波数領域での光変調が可能となる。
【0049】
また本発明による光送信機の出力光は、光波の位相が拡散されていることにより可干渉性が低い。したがって同じ強度のレーザ光を用いた光通信に比較して人体、特に眼球に損傷を与える可能性が低く、安全性が高い。さらに本光送信機の出力光は、入力信号により強度変調された信号波形を良好に保持しているので、レーザ光による通信と同様、空間を介して設置された光受信機によって容易に元の信号を再生することができる。
【0050】
以上のように本発明の構成により、人体に対して安全でかつ大容量の空間光通信システムを構成する光送信機が実現できる。
【0051】
なお、本実施の形態ではホトニック結晶体が半導体レーザ要素の光出射面に直接集積して作製されているが、光出射面とホトニック結晶体を光学的に結合した構成をとることにより空間的に離して設置することも可能である。
【0052】
この他、第1の実施形態と同様、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
【0053】
(第5の実施形態)
図6に第5の実施形態に係る光送信機501の概念図を示す。光送信機501は半導体レーザ要素として縦型面発光レーザ素子403と、前記縦型面発光レーザ素子の光出射領域、すなわち光出射面上に集積して設けられた光散乱体502と、散乱光を外部空間に放射する光学要素として出力レンズ405と、駆動回路402を備えている。本実施の形態では光散乱体502として、面発光レーザ素子の基板裏面に設けられた高さおよび幅が100nmから1000nmの範囲のピラミッド状の微細構造を用いている。本発明の散乱体としては、この他、円錐状、格子状、その他の形状の微細構造を散乱体として用いても良い。また別材料に微細構造を形成した光散乱体を用いることも可能である。
【0054】
光送信機に入力信号406を入力すると、駆動回路402は面発光レーザ403を駆動して、入力信号406により直接強度変調されたレーザ光を発生させる。発生したレーザ光は、光出射領域に設けられた光散乱体502を通過することにより光波面の位相が乱れ、可干渉性が低減される。
【0055】
本実施の形態では散乱を利用するので出力光の出射角は広がり、また完全に可干渉性を取り除くことは困難である。しかし光散乱体の作製は第4の実施形態で用いるホトニック結晶の作製に比較して容易にできるので、光送信器の製造コストが低減できる。また出射光も元のレーザ光に比較すると光の波面が崩されているので人体に対する安全性は高い。
【0056】
また本発明では信号光の発生に半導体レーザを用いているので、発光ダイオード素子を用いた光送信器に比較して格段に高い周波数領域での光変調が可能となる。出力光は、入力信号により強度変調された信号波形を良好に保持しているので、レーザ光による通信と同様、空間を介して設置された光受信機によって容易に元の信号を再生することができる。
【0057】
以上のように本発明の構成を用いることによっても、従来になく応答速度が速く、かつ人体に対して安全な発光素子が実現できる。
【0058】
なお、本実施の形態では光散乱体が半導体レーザ要素の光出射面に直接集積して作製されているが、光出射面と光散乱体を光学的に結合した構成をとることにより空間的に離して設置することも可能である。
【0059】
この他、第1の実施形態から第4の実施形態と同様、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
【0060】
【発明の効果】
以上説明した通り本発明の半導体発光素子は、半導体レーザ領域と、前記半導体レーザ領域の光出射領域に対して光学的に結合して設けられたホトニック結晶体を備え、前記半導体レーザ領域から出射される光の位相が前記ホトニック結晶体により分散されるという特徴を備えた構成により、従来になく可干渉性が低く高速変調が可能な発光素子を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態に係る半導体発光素子の構造断面図
【図2】従来技術による半導体発光素子の構造断面図
【図3】第2の実施形態に係る半導体発光素子の構造断面図
【図4】第3の実施形態に係る半導体発光素子の構造断面図
【図5】第4の実施形態に係る光送信器の構成を示す図
【図6】第5の実施形態に係る光送信器の構成を示す図
【符号の説明】
101 n型GaAs基板
102 n型DBR反射膜
103 活性層
104 p型DBR反射膜
105 高抵抗領域
106 p型電極
107 n型電極
108 開口部
109 ホトニック結晶体
201 第2の実施形態に係わる裏面開口部
202 ホトニック結晶ファイバ
301 第3の実施形態に係わる裏面開口部
401 第4の実施形態に係わる光送信機
402 駆動回路
403 半導体レーザ要素
404 ホトニック結晶体
405 光学要素(出力レンズ)
406 入力信号
407 光出力
501 第5の実施形態に係わる光送信機
502 光散乱体

Claims (9)

  1. 半導体レーザ領域と、前記半導体レーザ領域の光出射領域に対して光学的に結合して設けられたホトニック結晶体を備え、前記半導体レーザ領域から出射される光の位相が前記ホトニック結晶体により分散されることを特徴とする半導体発光素子。
  2. 半導体レーザ領域と、前記半導体レーザ領域の光出射領域に対して光学的に結合して設けられたホトニック結晶ファイバを備え、前記半導体レーザ領域から出射される光の位相が前記ホトニック結晶ファイバにより分散されることを特徴とする半導体発光素子。
  3. 半導体レーザ領域と、前記半導体レーザ領域の光出射領域に対して光学的に結合して設けられた微細構造領域を備え、前記半導体レーザ領域から出射される光が前記微細構造領域により散乱されることを特徴とする半導体発光素子。
  4. 半導体レーザ要素と、前記半導体レーザ領域の光出射領域に対して光学的に結合して設けられたホトニック結晶体と、入力信号に応じて前記半導体レーザ要素の駆動電流を変化させる駆動回路を備え、さらに前記ホトニック結晶体の出力光を外部空間に放射する光学要素を備えることにより前記入力信号に応じて強度変調された信号光を空間中に出力することを特徴とする光送信機。
  5. 半導体レーザ要素と、前記半導体レーザ領域の光出射領域に対して光学的に結合して設けられた光散乱体と、入力信号に応じて前記半導体レーザ要素の駆動電流を変化させる駆動回路を備え、さらに前記光散乱体の散乱光を外部空間に放射する光学要素を備えることにより前記入力信号に応じて強度変調された信号光を空間中に出力することを特徴とする光送信機。
  6. 半導体レーザ領域の発光波長がホトニック結晶体における上位バンドのエネルギーに対応した波長であることを特徴とする請求項1に記載の半導体発光素子あるいは請求項4に記載の光送信機。
  7. ホトニック結晶体が、半導体レーザ領域の出射光波長を保存し、位相のみを分散することを特徴とする請求項1に記載の半導体発光素子あるいは請求項4に記載の光送信機。
  8. ホトニック結晶体における光の遅延時間が、1fsec以上0.1nsec以下であることを特徴とする請求項1に記載の半導体発光素子あるいは請求項4に記載の光送信機。
  9. 半導体レーザ領域が縦型面発光半導体レーザにより構成されることを特徴とする請求項1から請求項3に記載の半導体発光素子あるいは請求項4および請求項5に記載の光送信機。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2010199158A (ja) * 2009-02-23 2010-09-09 National Institute Of Information & Communication Technology 光導波路型半導体及びその製造方法
JP2020512700A (ja) * 2017-03-31 2020-04-23 コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェKoninklijke Philips N.V. 垂直共振型面発光レーザを含む本質的に安全なレーザ装置

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