JP2004192606A - 多変数構造の変数解析方法、熱設計支援方法 - Google Patents
多変数構造の変数解析方法、熱設計支援方法 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】各電子デバイスや回路基板に応じた解析対象を複数のサブ解析モジュール毎に分割してモデル化する。モデル化されたサブ解析モジュールの境界条件を、相互に影響し合う変数値の他への影響割合を示す分配率によってサブ解析モジュール間での矛盾する変数値が所定値内となるように決定して各変数の結合構造を解析する。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子システム(例えばコンピュータ、パワーモジュール等)を対象にした熱解析方法といった、変数をそれぞれ有する複数の構成部材を備え、相互に影響し合って変化する各変数の結合構造を解析するための多変数構造の変数解析方法およびそれを用いた熱設計支援方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子機器の小型化の要求に伴い、電子部品の高集積化、高密度実装化が進み、発生する熱密度は急速に増大している。このため、機器設計やプリント基板設計においては、熱解析・熱設計を行うことが不可欠となっている。
【0003】
例えば電子システムの回路基板やデバイスモジュールに対する、従来の解析法としては、等価回路網解析(特許文献1)、およびFEM(Finite Element Method、有限要素法、特許文献2、特許文献3)での解析があげられる。
【0004】
【特許文献1】
特開平4−7675号公報(公開日:1992年1月13日、日本国特許第2596847号公報)
【0005】
【特許文献2】
特開平5−233589号公報(公開日:1993年9月10日)
【0006】
【特許文献3】
特開平11−118740号公報(公開日:1999年4月30日)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、FEMはその解析精度は高いが、電子システムのような解析モデル内の構成要素のスケール比が高いと、メッシュ数が増大し、そのため解析時間がかかる。また、設計等の大量のモデルを変更した解析を行う場合には解析モデルの作成時間がさらに増大する。
【0008】
等価回路網解析はその解析速度は速いが、熱の流れが複雑になるとそのモデルを非常に複雑にするか、または経験や実験によって等価回路網モデルを決めなければならなくなり、モデル化の難度があがる。また、何れにしても、等価回路網解析では、3次元に流れる熱流を1次元で流れる電流に置き換えることによる無理があり、解析精度が出ない。
【0009】
さらに、FEMおよび等価回路網解析のどちらの手法もが有する問題としては、これらの解析手法ではその解析過程において、すべての熱源からにおける影響の総和を解析しているだけで、その状態がどの熱源からのどの程度の影響が蓄積されてそうなったのかが不明である。
【0010】
そのため、どこかのデバイスの駆動温度を下げるために設計をどのように変更すればその問題をクリアできるのかが定量的に評価できないため、設計変更の戦略は設計者の勘や経験に大きく依存することで、設計に非常に時間がかかる。これらの問題点は詳細な技術は違うが他の解析技術においても存在している問題点である。
【0011】
本発明はこれまでの解析手法とは異なり、物理現象の線形性を利用した解析データベースを用いた、足し合わせ解析とその補正により高速で精度が良く、解析モデルの柔軟性が高くしてモデルが造りやすくし、解析結果から原因の特定が容易に行える解析モデル・手法である多変数構造の変数解析方法およびそれを用いた熱設計支援方法を提供することを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の多変数構造の変数解析方法は、以上の課題を解決するために、変数をそれぞれ有する複数の構成部材を備え、相互に影響し合って変化する各変数の結合構造を解析するための多変数構造の変数解析方法において、各構成部材に応じた解析対象を複数のサブ解析モジュール毎に分割してモデル化し、モデル化されたサブ解析モジュールの境界条件を、相互に影響し合う変数値の他への影響割合を示す分配率によってサブ解析モジュール間での矛盾する変数値が所定値内となるように決定して各変数の結合構造を解析することを特徴としている。
【0013】
上記方法によれば、各構成部材に応じた解析対象を複数のサブ解析モジュール毎に分割してモデル化したので、解析結果に不都合を生じたときに、その原因の特定が容易に行うことができる。また、上記方法は、モデル化されたサブ解析モジュールの境界条件を、相互に影響し合う変数値の他への影響割合を示す分配率によってサブ解析モジュール間での矛盾する変数値が所定値内となるように決定して各変数の結合構造を解析するから、高速で精度が良く、解析できる。
【0014】
上記多変数構造の変数解析方法では、オンライン解析では時間がかかるサブ解析モジュールの解析に、オフライン解析のデータベースを利用することが好ましい。上記方法によれば、オンライン解析では時間がかかるサブ解析モジュールの解析に、オフライン解析のデータベースを利用するので、解析を迅速化できる。
【0015】
上記多変数構造の変数解析方法においては、サブ解析モジュールは、回路基板である基板モジュールと、回路基板上に設置された電子デバイスを備えたデバイスモジュールとを有し、変数は熱であってもよい。
【0016】
上記多変数構造の変数解析方法では、サブ解析モジュール間の境界条件は、回路基板上でのデバイスモジュールの位置、デバイスモジュールのサイズ、デバイスモジュールから基板モジュールへ流れる熱流およびそれらによって基板モジュール上で決定されるデバイスモジュール直下の温度を含んでもよい。
【0017】
上記多変数構造の変数解析方法においては、デバイスモジュールは、放熱機構、放熱機構実装部、電子デバイス、電子デバイスの回路基板への実装部を等価回路網解析モデルの素子データとしてさらなるサブモジュールに分割されていてもよい。
【0018】
上記多変数構造の変数解析方法では、前記境界条件のうち、基板モジュールへ流れる熱流およびそれらによって基板モジュール上で決定されるデバイスモジュール直下の温度、さらに使用環境温度を境界条件として有する等価回路網解析モデルを備えていていてもよい。
【0019】
上記多変数構造の変数解析方法では、基板モジュールで境界条件のうち、デバイスモジュールの位置、サイズ、基板モジュールへ流れる熱流、さらに使用環境温度、大気への熱伝達を境界条件とした解析モデルを有していてもよい。
【0020】
上記多変数構造の変数解析方法では、基板モジュールに対し、境界条件のうち、デバイスモジュールの位置、サイズ、基板モジュールへ流れる熱流、さらに使用環境温度、大気への熱伝達を境界条件とした解析をオフラインの高精度解析により予め作成された基板温度分布データベースにより高速に解析してもよい。
【0021】
上記多変数構造の変数解析方法においては、熱伝導の線形性を利用して、全デバイスモジュール分を足し合わせ、放熱量の補正を行い、そこに使用環境温度を足すことにより、より高速に基板モジュールの温度分布を解析してもよい。
【0022】
上記多変数構造の変数解析方法では、放熱量の補正方法として、ある電子デバイスの存在による放熱量の補正を、他の電子デバイスの回路基板へ流れる熱量によってできる温度分布から、電子デバイスが占める領域での平均温度を出し、その温度と上記電子デバイスの専有面積を基にした大気への熱伝達による熱流の熱量を算出し、その熱量を逆に与えることによって行うことが好ましい。
【0023】
上記多変数構造の変数解析方法においては、デバイスモジュールに対し、前記境界条件のうち、使用環境温度、基板モジュールへ流れる熱流およびそれらによって基板モジュール上で決定されるデバイスモジュール直下の温度とした解析を等価回路網解析によって高速に解析してもよい。
【0024】
上記多変数構造の変数解析方法では、デバイスモジュールに対し、前記境界条件のうち、基板モジュールへ流れる熱流およびそれらによって基板モジュール上で決定されるデバイスモジュール直下の温度を、基板モジュールへ流れる熱流と、それらによって基板モジュール上で決定されるデバイスモジュール直下の温度とデバイスモジュールから逆算した時の基板モジュールへ流れる熱流との差を修正して収束させていくことにより解析することが望ましい。
【0025】
上記多変数構造の変数解析方法においては、基板モジュールへ流れる熱流と、それらによって基板モジュール上で決定されるデバイスモジュール直下の温度とデバイスモジュールから逆算した時の基板モジュールへ流れる熱流との差を修正して収束させていく時に、デバイスモジュールの構造に応じたダンピングファクタを設定することにより、その収束性を確実化してもよい。
【0026】
上記多変数構造の変数解析方法では、デバイスモジュールを変えた解析を行うときデバイスモジュールの解析の独立性および基板モジュールでの温度解析での独立性が確保されていることが好ましい。これにより、独立性の高さにより容易にデバイスの変更に対して非常に柔軟に対応できる。
【0027】
上記多変数構造の変数解析方法においては、基板モジュールの解析手法が温度分布データベースの足し合わせで行われることが好ましい。これにより、特定部での温度に対してどの熱源からの熱がどの程度影響しているかが簡易に評価できる。
【0028】
上記多変数構造の変数解析方法では、基板モジュールにおける熱解析の場合、サブ解析モジュールとして回路基板上にある配線モジュールと、絶縁体モジュールとを有していてもよい。
【0029】
上記多変数構造の変数解析方法においては、配線モジュールは、特定のデバイスモジュール間で熱を流すデバイス間配線モジュール、デバイスモジュールから基板モジュールに入ってきた熱をデバイス間配線モジュールと絶縁体モジュールに流れる2つの熱流に分配するデバイス下配線モジュールとに分割されていてもよい。
【0030】
上記多変数構造の変数解析方法では、サブ解析モジュール間の境界条件として各配線モジュールの位置、サイズ、絶縁体モジュールへ流れる熱流、デバイス間配線モジュールへ流れる熱流およびそれらによって絶縁体モジュール、デバイス間配線モジュール上で決定されるデバイス下配線モジュールの温度を有していてもよい。
【0031】
上記多変数構造の変数解析方法においては、絶縁体モジュールに対する、境界条件のうち、各配線モジュールの位置、サイズ、絶縁体モジュールへ流れる熱流、さらに使用環境温度、大気への熱伝達を境界条件とした解析モデルを有していてもよい。
【0032】
上記多変数構造の変数解析方法では、デバイス間配線モジュールに対する、境界条件のうち、デバイス下配線モジュールの温度、さらに使用環境温度、大気への熱伝達を境界条件とした解析モデルを有していてもよい。
【0033】
上記多変数構造の変数解析方法においては、絶縁体モジュールに対し、前記境界条件に基づく解析をオフラインの高精度解析により作成された絶縁体温度分布データベースにより高速に解析することが好ましい。
【0034】
上記多変数構造の変数解析方法では、絶縁体モジュールに対する解析をオフラインの高精度解析により作成された配線温度分布データベースにより高速に解析することが望ましい。
【0035】
上記多変数構造の変数解析方法においては、各サブ解析モジュールの解析に、高速な局所解析手法と、高精度な全体解析をオフラインでの解析データベースを用いて高速に解析する手法とを用いてもよい。
【0036】
本発明に係る熱設計支援方法は、前記の課題を解決するために、基板上に複数搭載されている、動作時に発熱する各デバイスに関する熱設計支援方法であって、熱設計の目標値を入力する第一ステップと、基板上の各デバイスに関する熱解析を、上記の何れかに記載の多変数構造の変数解析方法を用いて実行する第二ステップと、熱解析値を熱設計の目標値と比較して、上記熱解析値が目標値を満たすか否かを判定する第三ステップと、上記熱解析値が目標値を満たさないとき、基板モジュールと各デバイスモジュールとの間の境界条件を順次代えて、上記第二ステップと第三ステップとを繰り返す第四ステップとを有することを特徴としている。
【0037】
上記熱設計支援方法では、設計変更としての、上記境界条件は、各デバイスから基板への熱抵抗、各デバイスから大気中への熱抵抗、および各デバイスの基板上での配置からなる群から選択された少なくとも一つであることが好ましい。
【0038】
上記熱設計支援方法においては、熱抵抗の設計変更には、材料の変更も含んでもよい。
【0039】
上記方法によれば、高速・高密度電子回路基板の熱レイアウト概略設計において、設計修正を、システムをモジュールに分割した時の境界条件に着目することにより、デバイスモジュールから基板モジュールヘの入熱と、その直下の基板温度を境界条件とすることで、各モジュールを独立的に扱える事を示し、境界条件を設計パラメータとすることで、設計修正時のパラメータ空間が縮小され、設計者の負担を減らせる、支援方法を提供できる。
【0040】
上記熱設計支援方法では、上記設計変更を熱解析を行わずに、変更後の解析値を、(1)修正モジュール境界条件を変更しない設計修正、(2)修正モジュール境界条件を変更する設計修正、(3)修正モジュール外境界条件を変更する設計修正、および(4)相互影響場を変更する設計修正の何れかに置き換えて推定してもよい。
【0041】
上記熱設計支援方法においては、第三ステップでは、熱解析値と目標値とから、目標値からの乖離の程度を示す評価指数を算出し、第四ステップにおいては、境界条件を代えるデバイスモジュールとして、上記評価指数による乖離度の大きなものから選択することが望ましい。
【0042】
上記熱設計支援方法においては、評価指数は、(熱解析値−目標値)/目標値の数式より算出されてもよい。
【0043】
上記方法によれば、評価指数による乖離度の大きなものから選択することによって、熱解析値が目標値以下となる収束を迅速化できる。
【0044】
本発明に係るプログラムは、上記の何れかに記載の多変数構造の変数解析方法、または上記何れかに記載の熱設計支援方法が、コンピュータにて実行可能に記述されていることを特徴としている。
【0045】
本発明に係る記録媒体は、上記のプログラムが、コンピュータにて実行可能に記録されていることを特徴としている。
【0046】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の各形態について図1ないし図39に基づいて説明すれば、以下の通りである。
【0047】
(実施の第一形態)
以下、本発明に係る、実施の第一形態における多変数構造の変数解析方法を具体的に説明するために、熱解析方法を例にして図1ないし図16に基づき説明する。上記熱解析方法は、図2に示すように、回路基板(構成部材)1上に、複数の電子デバイス(構成部材)2が取り付けられた電子システムに適用されている。回路基板1としては、ガラスエポキシ素材等の電気絶縁体からなる絶縁板部と、絶縁板部上に形成された、アルミニウムや銅からなる配線部とを有しており、熱を変数として備えている。
【0048】
電子デバイス2としては、チップ型に成型された、IC(Integrated Circuit)、抵抗、コンデンサ、コイル等のチップ型電子部品といった、通電により発熱するものが挙げられる。なお、電子デバイス2は、熱を含む変数を、各電子デバイス2間や回路基板1との間において相互に影響し合って変化するように有しているものであればよい。
【0049】
本熱解析方法は、まず、解析対象を、図1にも示すように、電子デバイス2と、その直下の回路基板1である基板直下部1aとからなるデバイスモジュールと、上記基板直下部1a以外の回路基板1である基板部1bとからなる基板モジュールとに、それぞれ、複数のサブ解析モジュール毎として分割してモデル化する。続いて、モデル化されたサブ解析モジュールの境界条件を、相互に影響し合う変数値の他への影響割合を示す分配率によってサブ解析モジュール間での矛盾する変数値が所定値内となるように決定して各変数の結合構造を解析することを特徴としている。
【0050】
つまり、本熱解析方法では、図3に示すように、回路基板1上の各電子デバイス2からの発熱を熱の流れに着目し、電子デバイス2、放射、熱伝達、対流を含む放熱機構3、電子デバイス2との放熱機構3との間の放熱結合部4、回路基板1と電子デバイス2との間の伝熱機構実装部5、電子システムを包む大気6、熱流の相互影響場である回路基板1というサブ解析モジュール(サブシステム)にそれぞれ分割し、それらの境界条件をサブ解析モジュール間で矛盾が生じないように協調して決定することによって熱解析する手法である。
【0051】
本熱解析方法においては、熱の流れがあまり複雑ではない、基板部1b以外の部分(デバイスモジュール)は後述の境界条件を設定できる等価回路網解析等のオンラインでの高速解析を使い、熱の流れが複雑になる基板部1b(基板モジュール)は同様に境界条件を設定できるFEM等のオフラインでの高精度解析により予め作成しておく基板温度分布データベースを用いた解析を行う。
【0052】
この時、基板温度分布データベースを用いた解析の部分は、熱伝導の線形性を用いて各電子デバイス2が回路基板1に流す熱量により形成される温度分布の和をとり、電子デバイス2の搭載位置での放熱の補正を行うことで、高速かつ精度の高い解析ができる手法である。
【0053】
基板温度分布データベースとしては、入力される熱流の入力領域の面積や位置、回路基板1における各物性値(例えば熱伝導率)、回路基板1のサイズ(大きさ)、上記回路基板1の表面での空冷能(cooling ability)をパラメータとして予めFEMにより作成されたモデルが挙げられる。
【0054】
本発明の熱解析方法(モデル化手法)により、回路基板1上でのデバイスモジュールの位置を変更したときも、基板モジュールでの温度分布算出時の使用するデータベースの一つが変更されるのみで、変更後の微修正を行うだけにより全体の解析が行える等解析モデルの変更に対する柔軟性が非常に高く、解析時間も非常に短くできる。
【0055】
また、基板モジュールとデバイスモジュールの境界条件は、デバイスモジュール位置、デバイスモジュールサイズ、デバイスモジュールから基板モジュールに流れる熱量およびその結果としてできる回路基板1上の温度分布となる。また、境界条件の決定においては、各デバイスモジュール内で大気6への放熱と回路基板1への放熱の比率を全モジュールで矛盾が起きないように修正していくことにより決定される解析手法であるが、この時の修正量をデバイスモジュールの特性に応じた補正係数を入れることにより確実に解析が収束させることができる。
【0056】
また、解析結果が各発熱素子である各電子デバイス2による影響の足しあわせである(線形性が確保されている)ので、任意の地点での温度上昇のデバイスモジュールごとの影響比率が即座に出せる利点を有する。
【0057】
これらの手法は、別の現象の解析および設計技術へ展開できることはいうまでもない。
【0058】
このような本熱解析方法について、さらに具体的に説明すると、図4に示すように、回路基板(T)1の温度分布は、全てのデバイスモジュール(Tm)による各温度上昇を統合したものになる(下記の式(1)を参照)。
T(x,y,z)=T1(HFb1,x,y,z)+T2(HFb2,x,y,z)+T3(HFb3,x,y,z)+・・・ …(1)T(x,y,z):全てのデバイスモジュールによる回路基板1上での温度分布Tm(HFbm,x,y,z):m(正の整数)番目のデバイスモジュールによる回路基板1上での温度分布
このようなデバイスモジュールの温度分布は次のようにして算出される。最初に、他のデバイスモジュールの熱流からの回路基板1のデバイスモジュール直下の温度上昇は、全てのデバイスモジュールにおける電子デバイス2から回路基板1への熱流(HFb)により算出される。
【0059】
次に、電子デバイス2の温度(Td)は、他のデバイスモジュールの各熱流(Tb)による回路基板1のデバイスモジュール直下の温度上昇と、自分自身のデバイスモジュールの熱流(Tbs)による回路基板1のデバイスモジュール直下の温度上昇と、環境(大気)温度(Ta)と、電子デバイス2と回路基板1との間の結合部分での熱抵抗(Rjb)と、電子デバイス2からの回路基板1への熱流(HFb)とにより決まる(下記の式(2)を参照)。
Ta=Tb+Tbs+Ta+Rjb・HFb …(2)
最後に、放熱機構3の温度は、電子デバイス2の温度(Td)と、放熱機構3の放熱結合部4の熱抵抗(Rja)および放熱機構3への熱流(HFa)とにより、または環境温度(Ta)と、放熱機構3の空冷能(Ra)および放熱機構3への熱流(HFa)とにより決まる(下記の式(3)を参照)。
Tc=Td−Rja・HFa=Ta−Ra・HFa …(3)
次に、各デバイスモジュール間の放熱条件の補正方法ついて説明する。まず、回路基板1の温度分布が、全てのデバイスモジュールの温度分布を単純に加えて決まるのであれば、図5に示すように、他のデバイスモジュールの位置での回路基板1の放熱も容易に決まる。
【0060】
しかしながら、本熱解析方法において用いた、回路基板1の温度分布データベースは、汎用性を確保するために単一のデバイスモジュールのモデルによって算出されているので、複数のデバイスモジュールのモデルにおいては、上記温度分布データベースを用いると、図6(a)に示すように、空気による放熱領域が誤って設定される。
【0061】
そこで、本熱解析方法では、図6(b)に示すように、誤った放熱領域を、その領域に対して、空気への放熱と同等な逆の熱流を加えることにより補正している。つまり、図7に示すように、デバイスモジュール毎の放熱補正熱流(HFcm)は、他のデバイスモジュールからの熱流(Tbm)によるデバイスモジュール直下の回路基板1の温度上昇と、回路基板1の空冷能(H、空気への熱伝達係数)と、デバイスモジュールの領域面積(Am、つまり回路基板1の表面方向に沿ったデバイスモジュールの断面積)により決まる(下記の式(4)を参照)。
HFcm=Tbm・H・Am (mはモジュール番号) …(4)
ただし、このとき、補正した熱流を加えることによって変わる温度分布自身が他の放熱できない場所の影響を無視した温度分布データベースを用いているため、この補正による温度分布補正量も誤差を有する。
【0062】
そこで、本熱解析方法では、この誤差を低減するために、さらに、もう一度補正熱流を与えて温度分布補正量を計算する。この場合、理論的には、真値に到達するために上記補正を無限に繰り返す必要があるが、補正熱流は徐々に小さくなるため、上記補正熱量が解析誤差内の補正量となった時点で補正を打ち切ればよい。
【0063】
また、このような補正の解析計算は、温度分布補正といっても複雑な計算を必要とするわけではなく、温度分布を計算するときの各デバイスモジュールからの熱流を変更するだけで実現可能である。
【0064】
続いて、各デバイスモジュールと回路基板1との間の境界条件の決定方法について説明する。境界条件は、全ての電子デバイス2からの回路基板1への熱流(HFb)と、他のデバイスモジュールからの熱流(Tb)によるデバイスモジュール直下の回路基板1の温度上昇とである。これら2つの境界条件では、図8に示すように、電子デバイス2から回路基板1への熱流の暗黙値(HFb(0))は、等価回路網解析を用いた単一のデバイスモジュールのモデルによって決定される(下記の式(6)を参照)。
HFb(0)=(Qd・(Ra・Rja))/(Ra+Rb+Rja+Rjb)
…(6)
上記のRbは、熱分布データベースにより算出された回路基板1の熱抵抗である。境界条件の決定の第一ステップは、放熱機構3への熱流(HFa(n))を、電子デバイス2から回路基板1への熱流(HFb(n))と、電子デバイス2の発熱量(Qd)とにより算出する(下記の式(7)を参照)。
HFa(n)=Qd−HFb(n) …(7)
次に、電子デバイス2の温度(Td(n))を、放熱機構3への熱流(HFa(n))と、放熱機構3の冷却能(Ra)と、放熱機構3の放熱結合部4の熱抵抗(Rja)と、環境温度(Ta)とにより算出する(下記の式(8)を参照)。
Td(n)=HFa(n)・(Ra+Rja)+Ta …(8)
続いて、回路基板1における、デバイスモジュール直下の上記デバイスモジュール自身からの熱流による温度上昇(Tbs(n))が、電子デバイス2から回路基板1への熱流(HFb(n))と、回路基板1の熱抵抗(Rb)とにより算出される(下記の式(9)を参照)。
Tbs(n)=Rb・HFb(n) …(9)
次に、回路基板1におけるデバイスモジュール直下の温度(Tba(n))が、デバイスモジュール直下の上記デバイスモジュール自身からの熱流による温度上昇(Tbs(n))と、デバイスモジュール直下の他のデバイスモジュールからの熱流による温度上昇(Tb(n))と、環境温度(Ta)とにより算出される(下記の式(10)を参照)。
Tba(n)=Tbs(n)+Tb(n)+Ta …(10)
続いて、2つの各境界条件が一致すれば、電子デバイス2から回路基板1への熱流(HFb(n))は、放熱機構3の放熱結合部4の熱抵抗(Rja)と、回路基板1におけるデバイスモジュール直下の温度(Tba(n))および電子デバイス2の温度(Td(n))の差とにより算出される熱流(HFb’(n))と等しくなる(下記の式(11)を参照)。
HFb(n)=HFb’(n)=(Td(n)−Tba(n))/Rjb …(11)一方、2つの、熱流(HFb(n))と熱流(HFb’(n))とが一致しないときは、2つの各境界条件が一致していないことを示す。このとき、本熱解析方法においては、各境界条件は、電子デバイス2から回路基板1への熱流(HFb(n))と、電子デバイス2から放熱機構3への熱流(熱流(HFb(n))が熱流(HFb’(n))より大きいと、次のステップのHFb(HFb(n+1))が減少され、HFa(n))との比である分配率を変更することによって補正される。
【0065】
図9に示すように、もし、熱流(HFb(n))が熱流(HFb’(n))より大きいと、次のステップのHFb(HFb(n+1))が減少され、熱流(HFb(n))が熱流(HFb’(n))より小さいと、次のステップのHFb(HFb(n+1))が増加される。
【0066】
最後に、このような方法を繰り返すことにより、図1および図8に示すように、2つの境界条件は一致し、上記式(11)を満たすことになる。よって、正確な各境界条件は、HFa(n)とHFb(n)の熱流の比を調整することで決定される。
【0067】
続いて、各境界条件の収束条件、すなわち上述した補正方法における補正量の最適化について説明する。正確な境界条件のための補正量の設定は重要である。そこで、HFa(n)とHFb(n)の熱流の比を調整量(補正量)は、HFb(n)とHFb’(n))との不一致分に応じて決定される。まず、式(11)のHFb’(n)がHFb(n+1)に一致すると仮定する(下記の式(12)を参照)。
HFb(n+1)=HFb’(n)=(Td(n)−Tba(n))/Rjb …(12)
次に、前述の式(7)、式(8)、式(9)、式(10)を、式(12)に代入すると、下記の式(13)となる。
HFb(n+1)=((Ra+Rja)・Qd−Tb(n))/Rjb−(((Ra+Rja+Rb)/Rjb)・HFb(n)) …(13)
式(13)は、漸化式であるから、それを解くと。下記の式(14)となる。HFb(n)−α/(1+β)=(HFb(0)−α/(1+β))・(−β)n−1…(14)
上記αおよびβは、それぞれ、下記の式(15)および式(16)にて示されるものである。
α=((Ra+Rja)・Qd−Tb(n))/Rjb …(15)β=(Ra+Rja+Rb)/Rjb …(16)
式(14)における収束条件は、下記の式(17)である。
β=((Ra+Rja+Rb)/Rjb)<1 …(17)
しかしながら、上記式(17)をデバイスモジュールが満たすことは少ないので、本発明者らは、図10に示すように、上記式(17)に代わるダンピングファクタ(df)を採用した。つまり、前記の式(12)は下記の式(18)に変わる。
HFb(n+1)=HFb(n)+df・(HFb’(n)−HFb(n)) …(18)
前述と同様に、式(18)から展開すると下記の式(19)となる。
HFb(n+1)=df・((Ra+Rja)・Qd−Tb(n))/Rjb
−((df・(Ra+Rb+Rja+Rjb)/Rjb)−1)・HFb(n)…(19)
上記式(19)の収束条件は、下記の式(20)となる。
df<2・Rjb/(Ra+Rb+Rja+Rjb) …(20)
この結果、式(20)を満たすダンピングファクタ(df)は、デバイスモジュール毎に決定され、各境界条件は、上記ダンピングファクタを用いることで、収束され、安定に決定されることになる。
【0068】
なお、上記ダンピングファクタは、収束を迅速化できることから、上記式(20)の範囲内で大きい方が好ましいが、Tb(n)の作用を考慮して、収束を安全に確保するためのマージン(好ましい安全率は0.1〜0.9、より好ましくは0.3〜0.7)を必要とすることもある。
【0069】
次に、本解析方法による解析結果と、FEMによる解析結果を比較した。まず、単一のデバイスモジュールを有する電子システムの解析結果を説明する。電子システムは、図11に示すように、ガラスエポキシ樹脂からなる基板に50%の残存率の銅箔を均一に複合化して備えた回路基板1を用いた。その熱伝導率は、4W/m・Kであり、そのサイズは50mm角で、厚さ1mmであった。
【0070】
デバイスモジュールを構成する電子デバイス2は、回路基板1の中心に密に当接して配置され、10mm角で厚さが0.1mm、発熱量が1.5Wで当接面から均一に放出されるようになっている。
【0071】
伝熱機構実装部5の熱抵抗は、本熱解析方法では2.0W/Kに設定され、FEMにおいては熱伝達係数として2.0×104W/m2が設定された。放熱機構3および放熱結合部4の熱抵抗は、一緒に取り扱われて10.0W/Kに設定され、FEMにおいては熱伝達係数として1.0×104W/m2が設定された。さらに、環境温度は両方法において300Kに設定された。
【0072】
FEMの解析条件として、メッシュサイズが1mmに、一般的なFEMソフトウェアであるANSYSを使用した解析機を用いた。その上、回路基板1の温度分布データベースは、FEMと同様な1mmのメッシュサイズで、本熱解析方法においても、上記解析機を用いた。
【0073】
本熱解析方法における、前記の式(20)から算出されたダンピングファクタ(df)は、0.21であったが、今回では、安全率として0.5を用いたので、ダンピングファクタ(df)を0.1とした。また、暗黙値(HFb(0))は、Qd/2とした。もし、暗黙値(HFb(0))を、前記の式(6)により決定すると、2つの境界条件は既に収束していることになる。
【0074】
電子デバイス2の昇温温度(Td−Ta)による、上記両者の比較結果を図12に示した。また、2つの熱流(HFa、HFb)の解析結果を図13に示した。図12および図13から、本熱解析方法は、精度の高いFEMにより解析方法に対して、0.1%の誤差範囲内となっており、解析を実行し、収束して完了でき、その上、約15ステップ(つまり、迅速に)にて収束して解析が完了していることが分かる。
【0075】
続いて、3つの電子デバイス2を回路基板1上に有する場合の、本解析方法とFEMの解析方法とを比較した結果を説明する。本解析方法は、電子デバイス2の数と位置と発熱量が異なる他は、前記と同一である。3つの電子デバイス2の各配置位置は、図14に示すように、回路基板1の1つの隅部を原点として、上記隅部から互いに直交する各辺部での距離にて位置を示した。第一の電子デバイス2aは、その中心が10mm、10mmの位置に配置され、発熱量1.5Wに、第二の電子デバイス2bは、その中心が25mm、25mmに配置され、発熱量2.0Wに、第三の電子デバイス2cは、その中心が40mm、40mmに配置され、発熱量1.0Wに設定された。
【0076】
前記と同様に各比較結果を、図15および図16に示した。図15および図16から、本熱解析方法は、精度の高いFEMにより解析方法に対して、3%の誤差範囲内となっており、解析を実行して完了でき、その上、約15ステップ(つまり、迅速に)にて収束していることが分かる。
【0077】
(実施の第二形態)
本発明に係る、実施の第二形態における多変数構造の変数解析方法として、配線付きの回路基板1における熱解析方法について図17ないし図22に基づき以下に説明する。本熱解析方法においては、図17(a)に示すように、配線を領域としてとらえプレートで近似する。しかしこの時、空冷による冷却や、基板への熱流や配線上を流れる熱流が配線を個別で見たときと異なってくる。そこで、個別の配線を、熱的に等価な配線プレートに置き換える。
【0078】
まず、空冷は、図17(b)に示すように、同じデバイス間をつないでいる配線であればほぼ流れている熱流長手方向の温度分布は均一と考えられるので、問題は配線がない部分の冷却分放熱を減らせば良いと考えられる。そこで、解析上変更が容易な熱伝達係数を変えることにより放熱量を一致させることが可能であると考えられる。
【0079】
【数1】
【0080】
次に、配線プレートを流れる熱流が変化していることである。これも、配線がない部分の面積が増えているのが原因なので、その分を配線の厚さを変更することによって面積を等価にすることによって流れる熱流を一致させることが可能であると考えられる。
【0081】
【数2】
【0082】
三つ目は、基板に流れる熱流が変化していることである。これも配線がない部分の面積が増えていることが原因であるので、配線と基板の熱伝達係数を変えれば放熱と同様に一致させることが可能であると考えられる。さらに、モジュール設計の概念上また、解析効率からいって放熱のモデルと同様に扱えるようにしておくのが都合がよい。そこで、配線と基板間の温度差を配線と空気の温度差に変換できるようにさらに熱伝達係数を変えた等価熱伝達係数を算出して扱う。この方法については後に述べる。
【0083】
【数3】
【0084】
この時配線プレートのモデルとしては放熱の熱伝達係数と基板への放熱の等価熱伝達係数を足した熱伝達係数に相当する放熱があるモデルを利用すればよい。
【0085】
電子システムの改良された全体モデル
電子システムの全体は,図18および図19に示すように、前記実施の第一形態に記載の熱解析方法におけるモデルの基板モジュールが配線モジュールと絶縁体モジュールに分離され、配線モジュールはデバイスモジュール下とデバイスモジュール間に分割される。
【0086】
この時、絶縁体モジュールはこれまでの基板モデルと同様に扱え、デバイスモジュール直下の配線モジュールはデバイスモジュールからの熱流を絶縁体モジュールとデバイスモジュール間配線モジュールの2つに分ける機能を持ち。デバイスモジュール間配線モジュールは特定の2つのデバイス間で熱流を送る機能を持つ。
【0087】
この時、配線モジュールの境界条件を2種類のサブモジュール毎に述べる。最初にデバイスモジュール間配線モジュールにおいては両端での熱流と先に述べた等価熱伝達率による放熱が境界条件となる。
【0088】
次に、デバイスモジュール下配線モジュールにおいてはデバイスモジュールからの熱流とデバイスモジュール間配線モジュールへの熱流、絶縁体モジュールへの熱流の3つが境界条件となる。
【0089】
解析手法
従来の手法では起こらなかった問題で、新たに起こる問題点としてはデバイスモジュールからの熱流を絶縁体モジュールとデバイスモジュール間配線モジュールへの熱流の分配,デバイスモジュール間配線モジュール部分の熱解析手法、デバイス間配線モジュールから絶縁体モジュールへの熱流の決定の3つである。
【0090】
最初の問題は熱流の分配率の決定である。前記実施の第一形態に記載のモデルの基板へ流れる熱流が、図20に示すように、デバイスモジュール下配線モジュールでデバイスモジュール間配線モジュールと絶縁体モジュールに分割されることになる。この熱流がどのように分配されれば熱的に平衡になるのかが問題となる。
【0091】
そこで、最初はすべてが絶縁体モジュールに流れ込むとして従来手法で解析を行いデバイスモジュール下配線モジュールの温度を算出する。次に、その温度を用いて配線間に流れる熱流を算出する
前回の熱流との差が誤差以下になったときのそれぞれに流れる熱流によりデバイスモジュール間配線モジュールに流れる熱流とデバイスモジュール間配線モジュールから絶縁体モジュールへ流れる熱流が決定される
次に、その熱流を元にデバイスモジュール下配線モジュールから絶縁体モジュールへ流れる熱流を調整し絶縁体モジュールの算出に戻り、これを繰り返す。
【0092】
配線部分の解析手法
配線部分の温度解析は、前記実施の第一形態に記載における熱解析方法の基板の温度分布算出と基本は同じで熱伝導の線形性を用いた重ね合わせである。ただし、基板の温度分布の解析手法がデバイスモジュールからの熱が前提で基板温度を求めたのに対して、配線モジュールではその両端の温度が前提でそのときの両端で出入りする熱流を求めるという違いがある。そこで、配線モジュールの解析手法として下記のような手法を提案する。
【0093】
この場合基板の解析手法と同じく単位熱流を与えたサイズ、材料、空冷条件に応じたオフラインで解析したデータベースを作成しておく。
【0094】
このデータベースの両端の温度をTci,Tcoとすると、配線モジュールのそれぞれの端からHFcx、HFcyの熱が入った場合、下記の数式に示すようにして求める配線モジュールの両端温度Tcx,Tcyが算出できる。この数式を逆算すれば、配線モジュールの両端の温度を前提としてその両端で出入りする熱流が算出される。
【0095】
【数4】
【0096】
配線から基板への熱
デバイスモジュール間配線モジュールから絶縁体モジュールの間に流れる熱流はデバイスモジュール間配線モジュールを発熱体と思い、従来の手法のデバイスモジュールの基板モジュールへ流れる熱流と同じように扱える。また、そのときの熱流は、配線モジュール上の平均温度分布を算出し、同じ領域での絶縁体モジュールと熱伝達により決定される熱流によって決定できる。
【0097】
つまり、上記のアルゴリズムのデバイスモジュール間配線モジュールの等価熱伝達率を算出するときには前のルーチンでの絶縁体モジュール温度分布、デバイスモジュール間配線モジュール温度分布を前提として算出し、絶縁体モジュール温度を算出するときにはデバイスモジュール間配線モジュールのあるところでそれに応じた入熱を与えるアルゴリズムを付加する必要がある。以上の検討より最終的な解析アルゴリズムは図21および図22に示す通りになる。
【0098】
まず、デバイスモジュールで決定されたHFbを元に、図22に示すように、基板モジュール内でHFiとHFcの分割率を算出し基板モジュールの温度を出す。その結果を元に、図21に示すようにデバイスモジュールがHFbを変更していく。これを交互に繰り返し収束させることにより解析を行う。
【0099】
結論
多数配線を形状や境界条件を熱的に等価な変換を行いプレート化により単純化することにより熱伝導の線形性を利用した解析データベースを用いたモジュール型熱解析を行うことが可能なモデルを構築できる事を明らかにした。
【0100】
その結果、基板の熱解析を配線モジュールと絶縁体モジュールの2つへの熱流分割問題にし、収束計算を行うことにより熱流分割率を算出できることを明らかにした。また、解析誤差10%以内でデバイスの駆動温度を評価できることを明らかにした。
【0101】
上記の多変数構造の変数解析方法としての熱解析方法は、コンピュータにて実行可能に記述されたプログラムとすることができ、また、そのプログラムを、コンピュータにて実行可能に記録された、フロッピー(登録商標)ディスク、CD−R、CD−ROM、DVD、メモリカード等の記録媒体として上市することも可能である。
【0102】
また、上記実施の各形態では、変数として、熱を用いた例を挙げたが、上記に限定されることはなく、例えば、デジタル回路の概略シュミレータの波形解析に対しても、波形の変形が線形性を維持していることから、本発明を適用でき、また、構造解析、例えば電子回路基板における応力解析の概略解析にも、本発明は適用できる。
【0103】
(実施の第三形態)
本発明に係る、多変数構造の変数解析方法を用いた、本発明の熱設計支援方法について以下に説明する。
【0104】
上記熱設計支援方法は、基板上に複数搭載されている、動作時に発熱する各デバイスに関する熱設計支援方法であって、図23に示すように、熱設計の目標値を設計条件入力として入力する第一ステップと、基板上の各デバイスに関する熱解析を、本発明に係る前記の何れかに記載の多変数構造の変数解析方法(モジュール型概略熱解析))を用いて実行して熱解析値を出力する第二ステップと、熱解析値を熱設計の目標値と比較して、上記熱解析値が目標値を満たすか否かを評価(判定)する第三ステップと、上記熱解析値が目標値を満たさないとき、基板モジュールと各デバイスモジュールとの間の境界条件を順次代えて、上記第二ステップと第三ステップとを繰り返す第四ステップとを有している。
【0105】
また、本発明の熱設計支援方法を用いた、4個のデバイスを基板上に搭載した実施例の結果を図24に示す。図24では、図24(a)に示した、各デバイス温度の上限(lim T)を解析値が越えている場合でも、境界条件(この場合は、デバイス1とデバイス3の配置を変更)を変更することで、図24(b)に示すように、各デバイス温度の上限(lim T)以内に上記各解析値を設定できることが分かる。
【0106】
なお、境界条件の内、何れの条件を変更するか、また、何れのデバイスモジュールと基板モジュールとの間の境界条件を変更するかの設計修正戦略については図25ないし図30に示すと共に、後にて詳述する。
【0107】
ところで、近年、電子機器の小型化、高性能化に伴い回路基板上の発熱密度は増加し、回路基板上の各デバイスの動作保証温度を満たすための熱設計の重要度が増している。上記デバイスとしては、動作時や通電時に発熱するLSIや抵抗やインダクタンスやキャパシタンス等が挙げられる。
【0108】
これまでの熱設計は、回路設計に基づき作成された、各デバイスのレイアウトを元に、コストパフォーマンスも考慮した放熱機構を設置することにより行われてきた。その結果、ノートパソコン等の放熱系に対する制限が大きい製品やSiP(System in a Package)などの超高密度実装部品では、例えば図18に示すようにサイズ上から放熱系に制限があったり、複数の部品で共通の放熱機構を共有するような製品においてその設計が限界に近づきつつあったりしている。
【0109】
そこで、基板の熱伝導率の向上による基板方向への放熱量の増大を図りながら、設計手法においてはレイアウト設計および回路設計を協調して行っていくことが好ましい。そのためには回路設計との協調のためレイアウトの変更に対してフレキシブルに対応でき熱伝導率の高い基板での熱の相互影響を的確に評価できる熱解析・設計技術が必要になる。
【0110】
そこで、本発明者らは、これまでにこのような熱レイアウトの概略設計を行う際の熱解析手法として、概略設計段階でのシステムの簡易なモデル化手法とレイアウトの変更に柔軟に対応し、高速解析可能な熱解析手法である、本実施の第一形態および第二形態に記載のモジュール型熱概略解析手法を開発してきた。
【0111】
そして、本実施の形態では、目標とする高速・高密度電子回路システムの熱レイアウト設計を行う際の設計者の設計修正過程の修正案作成においてデバイスモジュール間の熱の相互影響により、既存の最適化・設計手法ではその設計パラメータの増大による設計者への負担が増大するという問題点を解決するために、モジュール型熱概略解析手法の解析時に想定したモジュール間の境界条件に着目し、その解析手法の利点を活かすことにより設計パラメータを減らせる設計支援手法を示している。
【0112】
従来の熱レイアウトにおける概略設計の問題を以下に示す。従来、熱レイアウトの概略設計は使用する各モジュールのTDP(Thermal Design Power)の値を主に参考にし、その値を満たすような放熱構造が実現することを目標にして行われる。この時、TDPの値はモジュール単体の熱設計を目的としており周囲の影響を考慮しないですむ条件が想定されている。
【0113】
しかし、上記従来の設計方法は、前述のようにデバイス間の熱の相互影響が大きくなる対象に適用することはできなくなると考えられる。そのために、システム全体のデバイス相互の熱影響を考慮した解析技術とそれを利用した設計コンセプトの構築を行う必要がある。
【0114】
しかし、これまで利用されている解析手法では解析はできても設計修正の方針を短時間で得るのは困難であるという問題がある。何故なら、基板の熱レイアウト設計においてデバイスごとに配置、パッケージ、ヒートシンクの冷却能力などの設計パラメータがあり、システム全体としてはパラメータが膨大な数になり、既存の最適化技術では数多くのモデルを解析しなければならず、また、個々の解析においてもモデル作成と解析に時間がかかり、現実問題として適用が困難である。
【0115】
モジュール型熱レイアウト設計コンセプト
本実施の形態では、基板上の概略温度分布を高速に解析するモジュール型熱解析手法の利点を活かすことを検討する。例えば図19はモジュール型熱概略解析手法の熱解析モデルである。この図に示すようにレイアウト変更に伴うモデル作成を簡便にし、熱の相互影響を考慮しつつ各部を独立的に解析できるように、システムをデバイスモジュールと基板モジュールという単位でサブモジュールヘの分割を行い、さらにこのデバイスモジュールをさらなるサブモジュールヘ分割する際には、製造技術という観点から基板、半導体デバイス、パッケージ、放熱系に分割する。
【0116】
まず、図中のデバイスモジュールは構成するサブモジュールを熱的な機能でモデル化している。デバイスは発熱体の発熱量Qdとして、冷却系のデバイス側から外気までの構造(例えば、放熱板(Cooler)の熱抵抗)としては熱抵抗Raとして、デバイスから冷却系までの実装部(例えば、パッケージの熱抵抗)は熱抵抗Rjaとして、基板とデバイスの実装部(例えば、パッケージの熱抵抗)は熱抵抗がRjbとしてモデル化されている。また、デバイスモジュールの熱的な状態としてはデバイス温度をTd、デバイスモジュール直下の温度、環境温度をTa、デバイスから外気への熱流をHFa、デバイスから基板方向への熱流をHFbとして表現される。
【0117】
次に、図に示すように各デバイスからの熱が相互に影響する基板モジュールでは、熱伝導率・冷却条件・基板サイズ・各入熱領域・各入熱量HFb・環境温度Taとしてモデル化されており、基板モジュールの熱的な状態としては基板の温度配分(温度分布)として表現される。
【0118】
最後に、モジュール間の各境界条件としては、(1) 入熱量HFb、(2) (Tb+Tbs+Ta)、(3) 各デバイスモジュールの配置がそれぞれ挙げられる。入熱量HFbは、デバイスモジュールでのデバイスモジュールから基板モジュールヘの熱流と基板モジュールへの入熱量である。(Tb+Tbs+Ta)は、デバイスモジュールでのデバイスモジュール直下の温度と基板モジュールの解析時のパラメータであるデバイスモジュールから基板モジュールヘの熱流によるデバイスモジュール直下の基板表面の平均温度上昇Tbs、他のデバイスモジュールからの基板モジュールヘの熱流によるデバイスモジュール直下の基板の平均温度上昇Tb、および環境温度Taの和である。
【0119】
モジュール型熱解析方法では、このようにモデル化されたシステムを、デバイスモジュール解析結果と基板モジュール解析結果が矛盾しないような境界条件に変更していくことによって、最適な結果を得る解析している。この時の基板の温度分布解析では、熱伝導の線形性を利用して各熱源からの熱流が作る温度上昇分布をデータベースから作成し、それらを重ね合わせ、境界条件の整合を基板からの放熱量を補正する熱流を与えることにより行っている。
【0120】
この結果を設計の観点から見るとデバイスモジュールの境界条件を変更しない設計変更であれば他のデバイスモジュールに影響がでない。また、熱源ごとの他のデバイスモジュール境界条件への影響は、解析が個別熱源の温度上昇分布の足し合わせなので、それぞれ定量的に評価できる。
【0121】
また、あるデバイスモジュールが境界条件を変えた場合の他のデバイスの境界条件の変化量も同様に定量的に評価できる。また、個別のデバイスモジュールの設計は従来の設計技術を利用することが可能である。このことから、デバイスモジュールの境界条件をどれだけ変更すれば問題が解決するかが決定でき、その時デバイスモジュールの境界条件の変更による他のデバイスモジュールヘの影響を回避できる、他のデバイスに施す設計変更を定量的に決定できることより、モジュール間境界条件に着目した設計手法の構築が可能性である。
【0122】
また、図19に示すように設計において各個別設計パラメータを扱うのではなくモジュール間境界条件を扱うことにより設計因子を減らすことが可能になることより、設計過程での設計修正戦略を作成する解析モデルの数、個々の解析時間を減らして、設計者の負担を軽減できる。
【0123】
そこで、本実施の形態は、本設計手法を行う時の設計者への設計支援手法としてモジュール間境界条件を変更する場合の設計修正による設計コンセプトと、境界条件変更による相互影響量を解析レスで評価し、その影響を考慮したシステム全体として設計修正を行っていく設計を支援する手法である。
【0124】
この時、境界条件に着目した設計修正観点で4種に分類したものが以下の分類結果である。
【0125】
1.修正モジュール境界条件を変更しない設計修正
2.修正モジュール境界条件を変更する設計修正
3.修正モジュール外境界条件を変更する設計修正
4.相互影響場を変更する設計修正
そこで、この分類に基づき支援手法の構築を検討する。
【0126】
1.修正モジュール境界条件を変更しない設計修正
境界条件を変更しない設計変更により、設計修正を行う場合については、問題を修正するデバイスモジュールが、境界条件を変えないように内部パラメータを変更し、問題を修正している。その時各パラメータが満たすべき関係を式で表すと以下のようになる。
(Td−Ta)=(Rja+Ra)×HFa …(31)
(Td−(Tb+Tbs+Ta))=Rjb×HFb …(32)
Qd=HFa+HFb …(33)
式(31)は大気へ逃げる熱流が満たす条件で、式(32)は基板モジュール側へ逃げる熱流が満たす条件で、式(33)は二つの熱流がデバイスの発熱量と等しい条件である。これらの関係は、設計修正後も満たされる必要があるので、設計修正後は次の式(34)−(36)の関係を満たすことになる。
(Td’−Ta)=(Rja’+Ra’)×HFa’ …(34)
(Td’−(Tb+Tbs+Ta))=Rjb’×HFb …(35)
Qd’=HFa’+HFb …(36)
この時変更されたパラメータの決定は、設計者が設計目標に対して適切な評価関数を設定することによりパラメータが少ないことから、従来の最適化手法でも十分デバイスモジュール内の設計が可能である。
【0127】
2.修正モジュール境界条件を変更する設計修正
要修正デバイスモジュール境界条件の変更により設計修正を行う場合、この設計修正コンセプトで修正可能な境界条件はデバイスモジュールから基板モジュールヘ流れる熱量(HFb)、および入熱位置(配置)の少なくとも一方の条件である。デバイスモジュール内部のパラメータは、上記の境界条件に対応して変えることにより問題を解決できる。
【0128】
まず、図31および図32に示すように、HFbの量を変更した場合における、熱の相互影響量の変化については、まず、変更したデバイスモジュールではデバイスモジュールから基板モジュールヘの熱流によるデバイスモジュール直下の基板表面の平均温度上昇(Tbs)がHFbの変化量に比例して変化する。そして、デバイスモジュールでは決定された新しい境界条件を元に、前記の1.の支援手法を用いて設計修正を行う事になる。この場合、上記の1.の支援手法を用いて立てた式を応用することによってHFbの変更量を算出することにより支援する。
【0129】
一方、境界条件を変更したことにより他のデバイスモジュールの境界条件が変更されているので他のデバイスモジュールヘの影響に対応する必要がある。設計を修正したデバイスモジュールのHFbの変更に関しては、図33および図34に示すように、それ以外のデバイスモジュールでのTbの内、境界条件を修正したデバイスモジュールの関与分が修正したデバイスモジュールのHFbの変更量に比例して変化することになる。
【0130】
そして他のデバイスモジュールはこの新しい境界条件に基づいて、前記の1.の支援手法を用いて設計修正を行えばよい。これらを併せて設計者に提示して、設計者における境界条件の選択への支援を行うこともできる。
【0131】
次に、基板モジュール上のデバイスモジュールにおける配置の変更によって、TbとTbsとを変更することによる境界条件を変化させて設計修正を行う場合について以下に説明する。
【0132】
このような設計修正のとき、デバイスモジュールの配置の変更によるモジュール間の境界条件の変化を解析せずに定量的に評価を行うには、デバイスモジュールの配置変更後におけるモジュール間の境界条件の変化を予測する必要がある。
【0133】
そのためには、移動しないデバイスモジュールにより作られている温度分布(Tb+Taの分布)と、移動させるデバイスモジュールを配置する基板モジュール上の場所ごとの、移動するデバイスモジュールから基板モジュールヘの熱流によってできる基板モジュール上のデバイスモジュール直下における基板表面の平均温度上昇の分布(Tbsの分布)を算出・加算する。
【0134】
その後、移動に伴う基板からの放熱量の補正を行えば移動するデバイスモジュールが移動することによって、そのデバイスモジュールと基板モジュールの境界条件(Tbs+Tb+Ta)の変化の量を予測することができる。これを模式的に示したのが図35である。
【0135】
これらの値の算出手法はモジュール型熱解析手法を応用することにより簡便に算出することが可能である。この図に示すように、まず移動しないデバイスモジュールによりできる温度分布は全体の解析結果から移動するデバイスモジュールから基板モジュールヘ流れる熱流によりできる温度上昇分布を取り除く事によって算出される。
【0136】
次に、Tbsの分布は、モジュール型熱解析手法で利用されている温度上昇分布データベースから、移動するデバイスモジュールの各配置場所におけるTbsを算出し作成される。
【0137】
最後に、基板からの放熱量の補正はモジュール型熱解析手法の補正と同じコンセプトに基づき作成される。これにより、デバイスモジュールを移動した後、そのデバイスモジュールがどれだけ境界条件が変更可能で、境界条件が変更量を満たすには何処へ移動すればよいかを設計者に提示することにより支援する。
【0138】
ただし、この時デバイスモジュールの移動により移動していないデバイスモジュールの境界条件が変更されることより、それらのデバイスモジュールでは、前記の1.の支援手法を用いて設計修正を行う。これらを併せて設計者に提示し支援を行う。
【0139】
3.修正モジュール外境界条件を変更する設計修正
要修正デバイスモジュール以外のデバイスモジュールの境界条件を、前記の2.の支援手法の設計修正で述べた他のデバイスモジュールに与える影響を逆に利用して、デバイスモジュールが設計目標を達成できるように変更することで、設計修正を行う場合について以下に説明する。
【0140】
あるデバイスの駆動温度(Td)を変更しようと思えば、他のデバイスモジュールから基板モジュールを通じて流れ込む熱流の影響である他のデバイスモジュールからの熱流によるデバイスモジュール直下の基板の平均温度上昇(Tb)を変更させて、その分のTdの上昇を変更できる。
【0141】
そのためには、修正対象デバイスモジュールTbへの各デバイスモジュールの寄与の内わけをモジュール型概略熱解析手法の利点を活かして算出し、影響を与えているデバイスモジュールにTbの修正量の割り振りを設計者に行ってもらい、前記の2.の設計修正を利用して設計変更するデバイスモジュール自身が基板へ流す熱流(HFb)およびデバイスモジュールの配置を変更し、それにともないデバイスモジュール内部も、前記の1.の設計修正を用いて設計変更をすればよい。これらを併せて設計者に提示し支援を行う。
【0142】
4.相互影響場を変更する設計修正
図36に示すのように、相互影響の場である基板の大きさや厚さや材質を変更するにより、デバイスモジュールから基板モジュールヘの熱流(HFb)による基板上の温度分布の形成状態を変えることによって設計修正を行う場合について以下に説明する。
【0143】
基板モジュールの熱伝導率・サイズを変更する事により基板モジュールの等価熱抵抗が変化するので基板モジュール温度分布が変化し、デバイスモジュールと基板モジュールの境界条件が変化し、全体としては半導体デバイスの駆動温度の変更ができる。
【0144】
しかしながら、解析に必要なデバイスモジュールの温度上昇分布データベース自体が異なり、基板モジュールと各デバイスモジュールの境界条件も全て変更されるので、その影響は大きい。そのため、相互影響場の変更の効果を解析せずに予測することは不可能である。
【0145】
そこで、本実施の形態では、モジュール型熱解析手法で利用している基板モジュールの温度上昇分布データベースから各デバイスモジュール単体での基板モジュール変更に伴う基板での熱抵抗を算出し、設計修正量を算出し、各デバイスモジュールの熱的な状態を算出する。これらを併せて設計者に提示し支援を行う。
【0146】
5.熟レイアウト設計修正支援システム
これまでの検討をふまえて、熱レイアウト設計修正支援システムの構築を検討した。図37は提案する設計修正案導出手法を用いて熱レイアウトを修正システムの全体像を示したものである。
【0147】
まず、オフラインで使用できる基板・デバイス・実装技術・冷却技術の熱機能データベースを各技術が構築された時に作成しておく。オンライン作業としてはまず、対象とする電子回路の初期設計解としてデバイス、パッケージング、冷却系、初期レイアウト、基板(基板冷却条件を含む)を、熱設計目標としてデバイスの設計限界温度を設計者が与える。
【0148】
次に、設計者はデータベースよりデバイス、パッケージ、実装方式、冷却系に応じたQd、Rja、Rjb、Raの各値を参照し、基板の材質及びサイズとその冷却条件に応じた温度分布データベースを呼び出し、初期レイアウトモデルを作成する。
【0149】
続いて、熱解析を行い、各モジュール間の境界条件、デバイスの駆動温度を算出する。その後、解析結果から設計上の問題が発見された場合は、設計者に問題点を提示し、修正対象デバイスモジュールを決定してもらい、それに対する設計修正を構築した支援手法を用いて設計者を支援することにより設計者が設計修正を行う。これらの作業ステップを問題点が無くなるまで繰り返し、設計を収束させることにより、最適な設計解が得られるシステムになる。
【0150】
以下に、前記の図24に示した、本実施の第三形態に係る実施例について説明する。本実施例では、図38(a)および図38(b)に示すように、基板上に、4個の各デバイス0−3がそれらの回路設計からの要求に沿うようにそれぞれ搭載されている。各デバイス0−3の目標値(各デバイスの上限値)については、図38(c)に示した。
【0151】
このときの解析値は、図24(a)に示す結果となった。その結果では、各デバイス0−3の熱解析値(ΔT)が各目標値を越えていることが分かる。
【0152】
そこで、何れのデバイス0−3の境界条件から変更するかを決めるための、各デバイス0−3での乖離度を示す評価指数を算出した。評価指数としては、((熱解析値−目標値)/目標値)を用いた。
【0153】
本実施例では、2つの各デバイス1−3の各乖離度が大きいことから、それらの境界条件を変更した。それらの各境界条件における変更の優先順位は、熱抵抗、配置位置、最後に基板の材質やサイズである。
【0154】
本実施例においては、図39に示すように、各デバイス1−3の熱抵抗を、その変更可能範囲内にて順次変更して熱解析値を算出し、続いて、各デバイス1−3の配置を順次変更(例えば、最も高温となる基板位置から離れる方向に)して熱解析値を算出することによって、図39(b)に示すように、10回の熱解析により、図24(b)に示すように、各解析値が各目標値以下となった。
【0155】
まとめ
高速・高密度電子回路基板の熱レイアウト概略設計において、設計修正を、システムをモジュールに分割した時の境界条件に着目することにより支援する手法を検討し、以下の結論を得た。
(1)デバイスモジュールから基板モジュールヘの入熱と、その直下の基板温度を境界条件とすることで、各モジュールを独立的に扱える事を示し、境界条件を設計パラメータとすることで、設計修正時のパラメータ空間が縮小され、設計者の負担を減らせる事を示した。
(2)境界条件に着目した設計手法は、4つの設計修正パターンに分類されることを示し、それぞれの手法に対してモジュール型熱解析手法を利用することで、設計の修正量の定量評価手法と、それを満たす個別パラメータを設計する時の支援手法を構築した。
(3)設計過程において提案する手法を用いて、設計者が修正する境界条件をどのように割り振って利用するかを入力すれば、定量的な設計修正案を作成する支援となることを示した。
【0156】
本発明に関する、他の参考文献を以下に示す。
1)P. A. SANDBORN, et al, ”Analyzing Packaging Trade−Offs During SystemDesign”, IEEE Design & Test of Computers, p.10−19, 1998
2)S. Jain, et al, ”PCB Layout Design Using a Genetic Algorithm”, ASME Design Engineering Technical Conferences, DE−Vol. 82, pp.529−536, 19953)Y. J. Hang, et al, ”Thermal Placement Design for MCM Application”, Trans. ASME Journal of Electronic Packaging, Vol. 122, No.2, pp.115−120, 2000
【0157】
【発明の効果】
本発明の多変数構造の変数解析方法は、以上のように、熱などの変数を有する電子デバイスや回路基板といった各構成部材に応じた解析対象を複数のサブ解析モジュール毎に分割してモデル化し、モデル化されたサブ解析モジュールの境界条件を、相互に影響し合う変数値の他への影響割合を示す分配率によってサブ解析モジュール間での矛盾する変数値が所定値内となるように決定して各変数の結合構造を解析する方法である。
【0158】
それゆえ、上記方法は、各構成部材に応じた解析対象を複数のサブ解析モジュール毎に分割してモデル化したので、解析結果に不都合を生じたときに、その原因の特定が容易に行うことができる。
【0159】
また、上記方法は、モデル化されたサブ解析モジュールの境界条件を、相互に影響し合う変数値の他への影響割合を示す分配率によってサブ解析モジュール間での矛盾する変数値が所定値内となるように決定して各変数の結合構造を解析するから、高速で精度が良く、解析できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の多変数構造の変数解析方法に係る実施の第一形態としての熱解析方法の各ステップを示すフローチャートである。
【図2】上記熱解析方法が適用される電子システムの平面図である。
【図3】上記熱解析方法のデバイスモジュールにおける熱伝達の概念図である。
【図4】上記熱解析方法における回路基板の温度分布の算出方法を示す概念図である。
【図5】上記熱解析方法における回路基板への補正を説明するための概念図である。
【図6】上記熱解析方法における回路基板への補正を説明するための概念図であって、(a)は、補正前を示し、(b)は補正後を示す。
【図7】上記熱解析方法における放熱機構への補正を説明するための概念図である。
【図8】上記熱解析方法における解析手順を示すフローチャートである。
【図9】上記熱解析方法における解析手順での調整方法を示す概念図である。
【図10】上記熱解析方法における解析手順での解の収束手法を示すフローチャートである。
【図11】上記熱解析方法と、FEMでの解析方法とを比較するための、1つのデバイスモジュールを有する電子システムの平面図である。
【図12】上記熱解析方法とFEMでの解析方法との比較結果を示すグラフである。
【図13】上記熱解析方法とFEMでの解析方法との他の比較結果を示すグラフである。
【図14】上記熱解析方法と、FEMでの解析方法とを比較するための、3つのデバイスモジュールを有する電子システムの平面図である。
【図15】上記熱解析方法とFEMでの解析方法との比較結果を示すグラフである。
【図16】上記熱解析方法とFEMでの解析方法との他の比較結果を示すグラフである。
【図17】本発明の多変数構造の変数解析方法に係る実施の第二形態としての熱解析方法を説明する概念図である。
【図18】上記熱解析方法が適用される電子システムの斜視図である。
【図19】上記電子システムの熱伝達の概念図である。
【図20】上記熱解析方法の各ステップを示すフローチャートである。
【図21】上記熱解析方法の収束手法の各ステップを示すフローチャートである。
【図22】上記熱解析方法における他の収束手法の各ステップを示すフローチャートである。
【図23】本発明の実施の第三形態に記載の熱設計支援方法の各ステップを示すフローチャートである。
【図24】上記熱設計支援方法の実施例を示し、(a)は熱解析前、(b)は熱解析後を示す。
【図25】上記熱設計支援方法における、熱抵抗の変更による他の各ステップを示すフローチャートである。
【図26】上記フローチャートでの達成度を示すグラフである。
【図27】上記熱設計支援方法における、評価指数に基づく、さらに他の各ステップを示すフローチャートである。
【図28】上記フローチャートでの達成度を示すグラフである。
【図29】上記熱設計支援方法における、各境界条件の変更に基づく、さらに他の各ステップを示すフローチャートである。
【図30】上記フローチャートでの達成度を示すグラフである。
【図31】上記熱設計支援方法における、熱抵抗の変更による修正を示すブロック図である。
【図32】上記熱設計支援方法における、対象デバイスモジュールのHFbの変更による修正を示すブロック図である。
【図33】上記熱設計支援方法における、他のデバイスモジュールのHFbの変更による修正を示すブロック図である。
【図34】上記熱設計支援方法における、他のデバイスモジュールのHFbの変更による修正を示すヒストグラムである。
【図35】上記熱設計支援方法における、デバイスの配置変更による修正を示すブロック図であり、(a)は移動前と移動後を示し、(b)は移動の際の各算出方法を示す。
【図36】上記熱設計支援方法における、基板モジュールの変更による修正を示すブロック図である。
【図37】上記熱設計支援方法における、熱レイアウト(配分)設計自動修正システムを示すブロック図である。
【図38】前記実施例の熱解析前の各条件を示し、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は各上限値の表を示す。
【図39】上記実施例での各修正過程を示し、(a)は熱抵抗の変更した結果の表を示し、(b)は各達成度の変化を示す表を示す。
【符号の説明】
1 回路基板(構成部材)
2 電子デバイス(構成部材)
Claims (31)
- 変数をそれぞれ有する複数の構成部材を備え、相互に影響し合って変化する各変数の結合構造を解析するための多変数構造の変数解析方法において、
各構成部材に応じた解析対象を複数のサブ解析モジュール毎に分割してモデル化し、
モデル化されたサブ解析モジュールの境界条件を、相互に影響し合う変数値の他への影響割合を示す分配率によってサブ解析モジュール間での矛盾する変数値が所定値内となるように決定して各変数の結合構造を解析することを特徴とする多変数構造の変数解析方法。 - 請求項1記載の多変数構造の変数解析方法において、
オンライン解析では時間がかかるサブ解析モジュールの解析に、オフライン解析のデータベースを利用することを特徴とする多変数構造の変数解析方法。 - 請求項1または2に記載の多変数構造の変数解析方法において、
サブ解析モジュールは、回路基板である基板モジュールと、回路基板上に設置された電子デバイスを備えたデバイスモジュールとを有し、変数は熱であることを特徴とする多変数構造の変数解析方法。 - 請求項3に記載の多変数構造の変数解析方法において、
サブ解析モジュール間の境界条件は、回路基板上でのデバイスモジュールの位置、デバイスモジュールのサイズ、デバイスモジュールから基板モジュールへ流れる熱流およびそれらによって基板モジュール上で決定されるデバイスモジュール直下の温度を含むことを特徴とする多変数構造の変数解析方法。 - 請求項3または4に記載の多変数構造の変数解析方法において、
デバイスモジュールは、放熱機構、放熱機構実装部、電子デバイス、電子デバイスの回路基板への実装部を等価回路網解析モデルの素子データとしてさらなるサブモジュールに分割されていることを特徴とする多変数構造の変数解析方法。 - 請求項5の多変数構造の変数解析方法において、
前記境界条件のうち、基板モジュールへ流れる熱流およびそれらによって基板モジュール上で決定されるデバイスモジュール直下の温度、さらに使用環境温度を境界条件として有する等価回路網解析モデルを備えていることを特徴とする多変数構造の変数解析方法。 - 前記請求項3ないし6の何れか1項に記載の多変数構造の変数解析方法において、
基板モジュールで境界条件のうち、デバイスモジュールの位置、サイズ、基板モジュールへ流れる熱流、さらに使用環境温度、大気への熱伝達を境界条件とした解析モデルを有することを特徴とする多変数構造の変数解析方法。 - 請求項3に記載の多変数構造の変数解析方法において、
基板モジュールに対し、境界条件のうち、デバイスモジュールの位置、サイズ、基板モジュールへ流れる熱流、さらに使用環境温度、大気への熱伝達を境界条件とした解析をオフラインの高精度解析により予め作成された基板温度分布データベースにより高速に解析することを特徴とする多変数構造の変数解析方法。 - 前記請求項3ないし8の何れか1項に記載の多変数構造の変数解析方法において、
熱伝導の線形性を利用して、全デバイスモジュール分を足し合わせ、放熱量の補正を行い、そこに使用環境温度を足すことにより、より高速に基板モジュールの温度分布を解析することを特徴とする多変数構造の変数解析方法。 - 請求項9記載の多変数構造の変数解析方法において、
放熱量の補正方法として、ある電子デバイスの存在による放熱量の補正を、他の電子デバイスの回路基板へ流れる熱量によってできる温度分布から、電子デバイスが占める領域での平均温度を出し、その温度と上記電子デバイスの専有面積を基にした大気への熱伝達による熱流の熱量を算出し、その熱量を逆に与えることによって行うことを特徴とする多変数構造の変数解析方法。 - 前記請求項3ないし10の何れか1項に記載の多変数構造の変数解析方法において、
デバイスモジュールに対し、前記境界条件のうち、使用環境温度、基板モジュールへ流れる熱流およびそれらによって基板モジュール上で決定されるデバイスモジュール直下の温度とした解析を等価回路網解析によって高速に解析することを特徴とする多変数構造の変数解析方法。 - 前記請求項3ないし11の何れか1項に記載の多変数構造の変数解析方法において、
デバイスモジュールに対し、前記境界条件のうち、基板モジュールへ流れる熱流およびそれらによって基板モジュール上で決定されるデバイスモジュール直下の温度を、基板モジュールへ流れる熱流と、それらによって基板モジュール上で決定されるデバイスモジュール直下の温度とデバイスモジュールから逆算した時の基板モジュールへ流れる熱流との差を修正して収束させていくことにより解析することを特徴とする多変数構造の変数解析方法。 - 請求項12記載の多変数構造の変数解析方法において、
基板モジュールへ流れる熱流と、それらによって基板モジュール上で決定されるデバイスモジュール直下の温度とデバイスモジュールから逆算した時の基板モジュールへ流れる熱流との差を修正して収束させていく時に、デバイスモジュールの構造に応じたダンピングファクターを設定することにより、その収束性を確実化することを特徴とする多変数構造の変数解析方法。 - 請求項3ないし13の何れか1項に多変数構造の変数解析方法において、
デバイスモジュールを変えた解析を行うときデバイスモジュールの解析の独立性および基板モジュールでの温度解析での独立性が確保されていることを特徴とする多変数構造の変数解析方法。 - 請求項3ないし14の何れか1項に多変数構造の変数解析方法において、
基板モジュールの解析方法が、温度分布データベースの足し合わせで行われることを特徴とする多変数構造の変数解析方法。 - 請求項3ないし15の何れか1項に多変数構造の変数解析方法において、
基板モジュールにおける熱解析の場合、サブ解析モジュールとして回路基板上にある配線モジュールと、絶縁体モジュールとを有することを特徴とする多変数構造の変数解析方法。 - 請求項16記載の多変数構造の変数解析方法において、
配線モジュールは、特定のデバイスモジュール間で熱を流すデバイス間配線モジュール、デバイスモジュールから基板モジュールに入ってきた熱をデバイス間配線モジュールと絶縁体モジュールに流れる2つの熱流に分配するデバイス下配線モジュールとに分割されていることを特徴とする多変数構造の変数解析方法。 - 請求項17記載の多変数構造の変数解析方法において、
サブ解析モジュール間の境界条件として各配線モジュールの位置、サイズ、絶縁体モジュールへ流れる熱流、デバイス間配線モジュールへ流れる熱流およびそれらによって絶縁体モジュール、デバイス間配線モジュール上で決定されるデバイス下配線モジュールの温度を有することを特徴とする多変数構造の変数解析方法。 - 請求項18記載の多変数構造の変数解析方法において、
絶縁体モジュールに対する、境界条件のうち、各配線モジュールの位置、サイズ、絶縁体モジュールへ流れる熱流、さらに使用環境温度、大気への熱伝達を境界条件とした解析モデルを有することを特徴とする多変数構造の変数解析方法。 - 請求項18または19記載の多変数構造の変数解析方法において、
デバイス間配線モジュールに対する、境界条件のうち、デバイス下配線モジュールの温度、さらに使用環境温度、大気への熱伝達を境界条件とした解析モデルを有することを特徴とする多変数構造の変数解析方法。 - 請求項19または20に記載の多変数構造の変数解析方法において、
絶縁体モジュールに対し、前記境界条件に基づく解析をオフラインの高精度解析により作成された絶縁体温度分布データベースにより高速に解析することを特徴とする多変数構造の変数解析方法。 - 請求項16ないし21の何れか1項に記載の多変数構造の変数解析方法において、
絶縁体モジュールに対する解析をオフラインの高精度解析により作成された配線温度分布データベースにより高速に解析することを特徴とする多変数構造の変数解析方法。 - 請求項1ないし22の何れか1項に記載の多変数構造の変数解析方法において、各サブ解析モジュールの解析に、高速な局所解析手法と、高精度な全体解析をオフラインでの解析データベースを用いて高速に解析する手法とを用いることを特徴とする多変数構造の変数解析方法。
- 基板上に複数搭載されている、動作時に発熱する各デバイスに関する熱設計支援方法であって、
熱設計の目標値を入力する第一ステップと、
基板上の各デバイスに関する熱解析を、請求項3ないし22の何れか1項に記載の多変数構造の変数解析方法を用いて実行する第二ステップと、
熱解析値を熱設計の目標値と比較して、上記熱解析値が目標値を満たすか否かを判定する第三ステップと、
上記熱解析値が目標値を満たさないとき、基板モジュールと各デバイスモジュールとの間の境界条件を順次代えて、上記第二ステップと第三ステップとを繰り返す第四ステップとを有することを特徴とする熱設計支援方法。 - 設計変更としての、上記境界条件は、各デバイスから基板への熱抵抗、各デバイスから大気中への熱抵抗、および各デバイスの基板上での配置からなる群から選択された少なくとも一つであることを特徴とする請求項24記載の熱設計支援方法。
- 熱抵抗の設計変更には、材料の変更も含むことを特徴とする請求項25記載の熱設計支援方法。
- 請求項25または26に記載の設計変更を熱解析を行わずに変更後の解析値を、(1)修正モジュール境界条件を変更しない設計修正、(2)修正モジュール境界条件を変更する設計修正、(3)修正モジュール外境界条件を変更する設計修正、および(4)相互影響場を変更する設計修正の何れかに置き換えて推定することを特徴とする熱設計支援方法。
- 第三ステップでは、熱解析値と目標値とから、目標値からの乖離の程度を示す評価指数を算出し、
第四ステップにおいては、境界条件を代えるデバイスモジュールとして、上記評価指数による乖離度の大きなものから選択することを特徴とする請求項24ないし27の何れか1項に記載の熱設計支援方法。 - 評価指数は、(熱解析値−目標値)/目標値の数式より算出されることを特徴とする請求項28記載の熱設計支援方法。
- 請求項1ないし23の何れか1項に記載の多変数構造の変数解析方法、または請求項24ないし29の何れか1項に記載の熱設計支援方法が、コンピュータにて実行可能に記述されていることを特徴とするプログラム。
- 請求項30記載のプログラムが、コンピュータにて実行可能に記録されていることを特徴とする記録媒体。
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