JP2004192114A - 線状無線タグ体及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】信号の送信に必要なアンテナを長期にわたって所定位置に確保でき、したがって、常に信号送信の良好な無線タグ体を提供すること。
【解決手段】信号の送信を行うための電気回路及びコイルを有する無線タグ前駆体12と、この無線タグ前駆体を複数個、線状に保持する線状保持体11と、この線状保持体の外面に設けられ、前記無線タグ前駆体のコイルと誘導カップリングにより前記電気回路からの信号を受信すると共に、この受信した信号を外部に無線により送信するアンテナ13とを有する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、微小な無線タグ前駆体を用いた線状無線タグ体、およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、いろいろな分野で、無線通信ICとアンテナからなるゴマ粒状の無線タグを多数用いて種々の情報を収集する技術がナノテクノロジーとして注目を集めている。
【0003】
このような無線タグを用いて、ある領域から詳しい情報を得ようとする場合、その領域に上記の無線タグを置けばそれなりに情報を集めることができる。しかし、無線タグのコストを考慮すると、集合させておくことは得策ではなく、また狭い領域から多くの情報を得ることは通常の場合必要ではなく、一般的には無駄である。したがって、効率よく用いるためには、このような無線タグをある程度均一にばらまく必要があるが、常時、所定の広がった領域にこれらの無線タグをほぼ均一に位置させることは、通常、困難である。
【0004】
そこで本出願人は、線状の高分子の保持体中に無線タグを分散させて、無線タグをほぼ所定間隔で配置させる発明をし、先に出願した(特願2002−091594)。これによれば、無線タグをある程度分散させることができるが、外部との信号の授受にアンテナが必要であるが、これを長期にわたって所定の位置に配置させることは困難な場合も多かった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記のような点に鑑みてなされたもので、信号の送信に必要なアンテナを長期にわたって所定位置に確保でき、したがって、常に信号送信の良好な無線タグ体を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1によれば、信号の送信を行うための電気回路及びコイルを有する無線タグ前駆体と、この無線タグ前駆体を複数個、線状に保持する線状保持体と、この線状保持体の外面に設けられ、前記無線タグ前駆体のコイルと誘導カップリングにより前記電気回路からの信号を受信すると共に、この受信した信号を外部に無線により送信するアンテナとを有することを特徴とする線状無線タグ体を提供する。
【0007】
本発明の請求項4によれば、信号の送受信を行うための電気回路及びコイルを有する無線タグ前駆体と、この無線タグ前駆体を複数個、線状に保持する線状保持体と、この線状保持体の外面に設けられ、前記無線タグ前駆体のコイルと誘導カップリングにより信号の授受を行うと共に、外部と無線により信号の授受を行うアンテナとを有し、前記アンテナは、前記線状保持体の外面に螺旋状に印刷して設けられ、使用周波数に対してほぼλ/2の長さを有することを特徴とする線状無線タグ体を提供する。
【0008】
本発明の請求項5によれば、信号の送信を行うための電気回路及びコイルを有する無線タグ前駆体と、この無線タグ体を線状に保持するための線状保持体とを相対的に回転させながら平行移動するステップと、前記線状保持体の外面に導電性液体を吐出して、前記電気回路から誘導カップリングにより信号を受信し、無線により外部に信号を送信する螺旋状のアンテナを形成するステップとを有することを特徴とする線状無線タグ体の製造方法を提供する。
【0009】
本発明の請求項6によれば、信号の送信を行うための電気回路及びコイルを有する無線タグ前駆体を製造するステップと、このステップにより製造された無線タグ前駆体を溶解した高分子液中に入れ、引き出し、前記無線タグ前駆体を線状に配置した線状保持体を製造するステップと、このステップにより製造された線状保持体の外面に導電性液体を吐出することにより、前記電気回路から誘導カップリングにより信号を受信し、無線により外部に信号を送信するアンテナを形成するアンテナ形成ステップとを有することを特徴とする線状無線タグ体の製造方法を提供する。
【0010】
【発明の実施の形態】
図1に、本発明による線状無線タグ体の一実施形態の構造を示す。この線状無線タグ体10は、線状の保持体11と、この線状保持体の高分子中に埋め込まれた無線タグ前駆体12と、線状保持体11の外面に印刷されたアンテナ13から成っている。
【0011】
無線タグ前駆体12は、例えば直径1mm以下の球状の素子であり、図示していないが、内部には温度センサと、この温度センサにより測定した温度信号及び温度測定をした位置を特定する信号を変調する変調器が内蔵される。線状保持体は熱可塑性を有する高分子作られる。アンテナ13は導電性物質を後述するように印刷技術で線状保持体11の外面に付けられる。アンテナ13の長さは、無線タグの使用無線帯域に合わせてλ/2になるように印刷されており、ダイポールアンテナとして機能し、無線タグ体内にあるコイルと誘導カップリングして信号を伝える。
【0012】
ここで、本発明のよる一実施形態の線状保持体11の製造方法について説明する。無線タグ前駆体が分散された線状保持体は、例えば図2に示すような製造装置により製造される。この装置は、上部に球状の無線タグ前駆体12を投入するためのパイプ21を有し、融解した高分子22を貯めるタンク23と、導電性フィラーや無線タグ前駆体を均一に分散させるための攪拌機24と、タンク23下部に取り付けられたポンプ25と、このポンプによる引き出された無線タグ前駆体と高分子の混合物を糸状にするためのノズル26と、ノズルから引き出された糸状の混合物を、冷却するための冷却ローラー27a、27bを介して巻き取るための巻き取りリール28より成る。
【0013】
無線タグ前駆体12がパイプ21に入れられ、これは融解した高分子22と共に攪拌機24により攪拌され、ポンプ25によりノズル26に引き出されて冷却ローラー27a,27bで冷却され巻き取りリール28に巻き取られて、無線タグ前駆体が所定間隔で配置固定された線状保持体11が製造される。この状態では、まだアンテナは設けられていない。
【0014】
巻き取りリール28により巻き取られた無線タグ前駆体が分散された線状保持体は、次にその外面にアンテナ13を印刷する工程に送られる。
【0015】
線状保持体の外面にアンテナを印刷する装置の一実施形態を図3に示した。無線タグ前駆体12が分散された線状保持体11は、図示していない治具にセットされ、矢印32に示した長軸方向に平行移動させる、あるいはこの平行移動と共に矢印33に示すように長軸まわりに回転する、即ち螺旋移動させることができるようになっている。また、31は導電性物質を溶解、あるいは、分散したインクを入れたインクカートリッジであり、線状保持体11に対して所定の角度αで導電性物質を吐出するように配置されている。
【0016】
インクカートリッジ31の吐出口から出たインクは平行移動している線状保持体、あるいは回転しながら並進している線状保持体に着弾してアンテナの直線部あるいは螺旋部をそれぞれ形成する。
【0017】
アンテナの印刷は、インク滴の吐出位置に被印刷物である線状高分子を配置し、直線の場合には線状高分子を長手方向に移動させながら行なう。らせん状に印刷する場合には長手方向を軸に回転させながら行なう。この時、線状高分子を長手方向に平行移動させれば、平行移動の速度と回転の速度に対応した螺旋ピッチのアンテナを印刷することができる。印刷は、連続の線を描くようにして一回の平行移動でアンテナが完成するようにしてもよいし、不連続な点を印刷しながら数回平行移動を行って、結果として連続したアンテナ線になるようにしてもよい。さらには、薬液の吐出部が複数あるようなアレイヘッドを用いて、各時間においては点の列を印刷し、これを上記したような方法で連続した線にしてアンテナを形成してもよい。この方法を用いれば、印刷にかかる時間を大幅に短縮することができる。
【0018】
アンテナの印刷は、電気信号を無線により送信する送信部を内蔵する小径の無線タグ前駆体を融解高分子に分散させ、この分散体を射出により繊維状する工程の後に続けて行っても良いし、繊維状分散体の状態で保管、あるいは、販売し、必要な時にオンデマンドでアンテナを形成してもよい。このようにすれば、例えば、目的の異なる複数の無線タグ前駆体を保持体に分散させておき、用途に応じて目的の無線タグ前駆体と信号が授受できるようなアンテナを印刷することもできる。
【0019】
本発明による無線タグ前駆体12の一実施形態の電気回路部40の構成例を図4に示す。この電気回路部40は、電源回路41と、アンテナ13と電磁カップリングにより信号の授受を行う誘導コイル42と、この誘導コイル42により受信した信号を復調する復調回路43と、この復調回路の復調された制御信号により制御される制御回路44と、この制御回路44におけるデータなどを一時記憶するメモリ45と、制御回路44の出力を変調し上記誘導コイルに供給する変調回路46とから成る。
【0020】
このような構造を有する無線タグ前駆体12が所定間隔で配置された線状保持体11の外面に、図3を用いて説明したように螺旋部を有するアンテナ13が形成され、線状無線タグ体10となる。
【0021】
次に、線状無線タグ体10における外部との信号のやりとりについて図5を用いて説明する。
【0022】
線状無線タグ体との信号の授受には、これの発信する信号を読むことができ、これに信号を書き込むことが可能なリーダライタ51が用いられる。リーダライタ51が、線状無線タグ体10に接近すると、線状保持体11に印刷されたアンテナ13が感応して、無線タグ内の誘導コイルとの間で誘導カップリングが起こり、電力とデータが各々電源回路41と復調回路43に送られる。
【0023】
誘導コイル42を介して供給された電力で電源回路41が稼動し、受信したデータは復調回路43を経由して制御回路44に送られ、メモリ45との間でデータのやり取りを行なった後、外部に渡すデータが変調回路46を経由して内部アンテナに伝送され、再び誘導カップリングでダイポール状のアンテナ12を経由してリーダライタ51に送られる。ダイポールアンテナが無線タグを取り囲むようにして存在しているため、無線タグに効率良く信号が伝わり誤作動のないタグとして機能することが可能になる。
【0024】
上記実施形態では示していないが、線状保持体内の電気回路部40に外部の温度などを検知するセンサを設けてこれにより、温度などを検知し、変調回路46を介してそのデータを外部に送るようにすることもできる。また、電気回路部40内に位置を検知するセンサを設けてその位置情報を変調回路46で変調し、誘導コイル42を介して外部に他のセンサによるデータと共に取り出せば、各位置におけるセンサの情報(データ)が得られることになる。
【0025】
また、上記実施形態のように電気回路部の内部の電源回路に必要な電力を外部から供給すれば、内部に電力を発生させる装置が必要でないという利点がある。しかし、本発明では内部に電力源を設けるようにしてもよい。また上記実施形態では、外部から信号を受けるようにしていたが、本発明では必ずしもその必要はなく、少なくとも外部に信号を送信できるようにすればよい。
【0026】
また、線状保持体に導電性フィラーを分散させてアンテナと無線タグ前駆体の間の導通を図っても良い。
【0027】
線状無線タグ体に用いる無線タグ前駆体12は、アンテナを除いて通常の無線タグが有する測定部、信号処理部、信号受信部、信号送信部などをすべて有し、大きさが数mm以下、さらに1mm以下のものが歩留まりの観点からも好ましい。形状は、球状、立方体、直方体、楕円体など、どのような形状であっても良いが、好ましくは角のない球状や楕円体である。本発明では、線状無線タグ体の中で無線タグ前駆体が所定間隔離して配置されているが、この場合の所定間隔とは、一定間隔という意味ではなく、適当な間隔があいていればよく、不均一であっても、一部の無線タグ前駆体が接触していてもよい。
【0028】
線状無線タグ体の外面へのアンテナの印刷は、導電性物質を溶解あるいは分散させたインクを調製し、ノズルによる吹きかけ、あるいは、インクジェット記録方式を用いて行うが、本発明の場合、インクの成分として高分子を用いることが多いので、通常の液状インクと比較して粘度が高くなり、成分の付着・乾固による不具合が起こりやすいから、インクの通る流路や吐出部を可能な限り単純化し、細管構造が含まれないようにする。
【0029】
ノズルを用いる場合には、ノズル先端部の洗浄を十分に行って目詰まりや吐出ムラがないように注意する。また、流路とノズルヘッドの径を同じにして段差をなくし成分付着のきっかけをなくすることも有効である。ノズルによる吹きかけは、線状無線タグ体の断面の径が大きくアンテナ線の線幅が広い場合に好適である。一方、線状無線タグ体の断面の径が1cm以下で、アンテナ線の線幅がmmオーダー以下の場合には、ノズルによる吹きかけではアンテナ形状の精度が上がらないので、インクジェット記録方式の方が好ましい。
【0030】
アンテナを印刷するインクジェット方式は、インクジェットプリンタに使われている技術ならばどの方式でも原理的には可能である。しかし、インクジェット方式は本質的に溶剤の蒸発や揮発によってインクが濃縮されやすく、さらに、本発明の場合、通常のインクジェットプリンタ用インクと比較して粘度が高くなり、成分の付着・乾固による不具合が起こりやすい環境にあるので、連続してアンテナを印刷するのに適した方式と工夫が必要な方式がある。
【0031】
例えば、インクジェットの形成に蒸気の圧力を使う方式では、インク成分の熱的あるいは化学的な変質による不溶部の付着が発生しやすい。高分子が熱変性したものは、溶剤に対する溶解性が極端に低下してしまうことが多く、細管部の目詰まりや吐出量のばらつきが発生しやすいので本発明の方式としては好ましくない。
【0032】
一方、圧電素子による圧力を使う通常の方式は、熱によるインク成分の変質はないものの、インクの流路や吐出部などに複雑な細管構造を有しているので、インクが付着・乾固して、吐出量がばらついたり、目詰まりを起こしたりすることがある。そのため、定期的な洗浄を十分に行って付着物を除去しておくことが、欠損のない螺旋状アンテナを歩留まり良く印刷するためには重要であり、無線タグ体としての信頼性の確保にもつながる。
【0033】
本発明の線状保持体に用いられる高分子は、紡糸できる高分子であればどのような構造のものでもよいが、ポリエチレン、ポリプロピレン、PET、ポリブチレンテレフタレート、ポリエステル、ポリスチレン、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸、ポリメタクリル酸エステル、ポリアミノ酸、ポリイミド、ポリ塩化ビニル、ポリオキシメチレン、ポリ炭酸エステル、ポリフェニレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリフェニレンエーテル、ポリアクリロニトリル、ナイロン(ポリアミド)、ポリウレタン、ビニロン、ポリ−ε−カプロラクタム、ポリビニルアルコール、ポリ乳酸、およびそれらの共重合体が好適である。これらの高分子は、単体で用いてもよくブレンドして用いてもよい。
【0034】
アンテナと無線タグ前駆体の導通の効率をあげるために、保持体に導線性のフィラーを分散してもよい。導電性フィラーとしては、導電性を有し高分子とともに溶剤に安定に分散するものならば種類は問わないが、ファーネスブラック、アセチレンブラックなどのカーボンブラック、ニッケル、銅、鉄、銀、アルミニウム、黄銅などの金属粉、酸化スズ、酸化亜鉛などの酸化物、黒鉛、カーボン繊維、金属繊維(ステンレス、アルミニウム、黄銅など)、金属コートファイバ(ニッケルコートのカーボンファイバ、グラスファイバなど)などが好適である。
【0035】
本発明で用いられる導電性物質としては、導電性を有し、溶剤に溶解あるいは安定に分散できる物質であればどのようなものでも構わないが、高分子に導電性フィラーを分散した混合物、あるいは、高分子自体が導電性を有するものが好適である。これらの物質は、前記した吐出方式を用いることが可能な粘度に希釈して用いる。このとき、固体成分を安定に分散させるために、長鎖脂肪酸、長鎖アルコール、金属石鹸等の界面活性作用を有する分散剤を添加してもよい。
【0036】
導電性フィラーを分散させる高分子としては、溶剤に溶解するものならば種類は問わないが、望ましくは、ポリエチレン、ポリプロピレン、PET、ポリブチレンテレフタレート、ポリエステル、ポリスチレン、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸、ポリメタクリル酸エステル、ポリアミノ酸、ポリ塩化ビニル、ポリオキシメチレン、ポリカーボネート、ポリ炭酸エステル、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリフェニレンエーテル、ABS樹脂、ポリアクリロニトリル、ナイロン(ポリアミド)、ポリウレタン、ビニロン、ポリ−ε−カプロラクタム、ポリビニルアルコール、ポリ乳酸、およびそれらの共重合体である。これらの高分子は、単体で用いてもよく、ブレンドして用いてもよい。
【0037】
導電性フィラーとしては、導電性を有し高分子とともに溶剤に安定に分散するものならば種類は問わないが、ファーネスブラック、アセチレンブラックなどのカーボンブラック、ニッケル、銅、鉄、銀、アルミニウム、黄銅などの金属粉、酸化スズ、酸化亜鉛などの酸化物、黒鉛などが好適である。これらを微粒子にして高分子の溶剤に加え分散させる。この時、分散状態を安定化させるために、長鎖脂肪酸、長鎖アルコール、金属石鹸等の界面活性作用を有する分散剤を添加してもよい。
【0038】
高分子自体が導電性を有するものとしては、ポリアニリン、ポリピリジン、ポリシラン、ポリ−p−フェニレン、ポリフェニレンビニレン、ポリアセチレン、ポリピロール、ポリチオフェンがあり、これらにアルカリ金属等をドーピング処理して用いる。溶剤への溶解性が低い導電性高分子の場合は、低分子量、特に、重合度が20以下のオリゴマーを用いる。
【0039】
電気信号を無線により送信する送信部を内蔵するゴマ粒状無線タグ前駆体を線状保持体の中に分散し、保持体の外面に螺旋状のアンテナを印刷した本発明の線状無線タグ体を用いると、ゴマ粒状無線タグを無駄にばらまくことなく、効率的に種々の情報を収集することが可能になる。また、保持体の外面にアンテナ本体を置き、タグ体側には誘導カップリングのみにしたことでダウンサイジングすることが可能になり、無線タグの中あるいは周囲にすべてのアンテナ機能を作り込んだ従来のゴマ粒状無線タグと比較して、高分子繊維内に分散させた際に繊維の破断や強度の劣化が起こらず、加熱、洗浄等のストレスに強くなって無線タグとしての長期的な信頼性が確保できる。
【0040】
ところで、このようにして作製された線状無線タグ体は、普通の繊維と同様に編んで用いることができる。線状無線タグ体で検出できる情報は、測定できるものであればなんでもよいが、例えば、温度、圧力、光、音、化学種、電磁波、位置、放射能などがある。
【0041】
本発明で使用する受信機は、線状タグ体から発信された情報を受信できるものであれば、どのようなものであってもよい。
【0042】
線状無線タグ体は、例えば、洋服、帽子、靴下、ポーチ、鞄、カーテン、縄、網、ぬいぐるみ、ソファ、紙等の繊維素材として用いることができ、通常の繊維と混ぜて編み込めば、健康で安全な製品を作ることができる。この時、線状無線タグ体に温度を測定する機能を付与しておけば、各部の温度をリアルタイムで、しかも、測定対象に触れることなく知ることができる。また、信号の送受信が可能な線状無線タグ体を用いれば、例えば製造日、製造場所、製造者、洗濯回数、等の情報を管理する手段とすることもできる。また、例えば、釣り糸や漁網などに温度を検出する線状無線タグ体を編み込んでおけば、釣り糸の長さや網の広がりの範囲で海水温度の分布を知ることも可能である。
【0043】
また、電線、光ファイバの被覆やタイヤ等に、混ぜ込んでおけば、異常過熱が起こった時にすばやく警報を発して事故を未然に防ぐことができる。
【0044】
また、幣や証券などの重要書類の紙繊維に混ぜて漉き込んだり、クレジットカードやキャッシュカードに分散したりおけば、セキュリティーの保持や、情報の管理等に使うことができる。
【0045】
また、保持体に導電性を付与している場合には、線状無線タグ体を流れる電流を関知して信号を送信するセンサIC管として用いることもできる。
【0046】
また、プラスチックファイバのコア中に微小無線タグ前駆体と発光粒子を分散し、ファイバ外壁あるいは被覆にアンテナを印刷しておけば、発光粒子から出た光を微小無線タグ前駆体で電気信号に変えて発信することができる。このとき位置情報も同時に発信すれば、各地点の入射光強度を離れた場所でモニターすることが可能になる。また、発光粒子が放射線を受けて蛍光を発する物質であれば、この蛍光を検出する微小無線タグ前駆体と組み合わせて放射能検出器を構成できる。
【0047】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、信号の送信に必要なアンテナを長期にわたって所定位置に確保でき、したがって、常に信号送信の良好な無線タグ体及びその製造方法を得ることができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明一実施形態の線状無線タグ体の構成例を示す図。
【図2】本発明一実施形態において線状保持体を製造する方法の例を説明するための図。
【図3】本発明一実施形態において線状保持体の外面にアンテナを形成する一例を説明するための図。
【図4】本発明一実施形態において無線タグ前駆体の電気回路部の構成例を示す図。
【図5】本発明一実施形態の線状無線タグ体と外部の信号の授受の様子を説明するための図。
【符号の説明】
11・・・線状保持体、12・・・無線タグ前駆体、13・・・アンテナ、21・・・パイプ、22・・・高分子、23・・・タンク、24・・・攪拌機、25・・・ポンプ、26・・・ノズル、27a,27b・・・冷却ローラー、28・・・巻き取りリール、31・・・インクカートリッジ、40・・・電気回路部、41・・・電源回路、42・・・誘導コイル、43・・・復調回路、44・・・制御回路、45・・・メモリ、46・・・変調回路、51・・・リーダライタ。

Claims (7)

  1. 信号の送信を行うための電気回路及びコイルを有する無線タグ前駆体と、
    この無線タグ前駆体を複数個、線状に保持する線状保持体と、
    この線状保持体の外面に設けられ、前記無線タグ前駆体のコイルと誘導カップリングにより前記電気回路からの信号を受信すると共に、この受信した信号を外部に無線により送信するアンテナとを有することを特徴とする線状無線タグ体。
  2. 前記アンテナは、使用周波数に対してほぼλ/2の長さを有するダイポールアンテナであることを特徴とする請求項1記載の線状無線タグ体。
  3. 前記アンテナは、前記線状保持体の外面に螺旋状に印刷して設けられて成ることを特徴とする請求項1又は2記載の線状無線タグ体。
  4. 信号の送受信を行うための電気回路及びコイルを有する無線タグ前駆体と、
    この無線タグ前駆体を複数個、線状に保持する線状保持体と、
    この線状保持体の外面に設けられ、前記無線タグ前駆体のコイルと誘導カップリングにより信号の授受を行うと共に、外部と無線により信号の授受を行うアンテナとを有し、
    前記アンテナは、前記線状保持体の外面に螺旋状に印刷して設けられ、使用周波数に対してほぼλ/2の長さを有することを特徴とする線状無線タグ体。
  5. 信号の送信を行うための電気回路及びコイルを有する無線タグ前駆体と、
    この無線タグ体を線状に保持するための線状保持体とを相対的に回転させながら平行移動するステップと、
    前記線状保持体の外面に導電性液体を吐出して、前記電気回路から誘導カップリングにより信号を受信し、無線により外部に信号を送信する螺旋状のアンテナを形成するステップとを有することを特徴とする線状無線タグ体の製造方法。
  6. 信号の送信を行うための電気回路及びコイルを有する無線タグ前駆体を製造するステップと、
    このステップにより製造された無線タグ前駆体を溶解した高分子液中に入れ、引き出し、前記無線タグ前駆体を線状に配置した線状保持体を製造するステップと、
    このステップにより製造された線状保持体の外面に導電性液体を吐出することにより、前記電気回路から誘導カップリングにより信号を受信し、無線により外部に信号を送信するアンテナを形成するアンテナ形成ステップとを有することを特徴とする線状無線タグ体の製造方法。
  7. 前記アンテナ形成ステップは、前記線状保持体の回転を止めて平行移動させてこの線状保持体の外面に螺旋状のアンテナの直線部を形成することを特徴とする請求項6記載の線状無線タグ体の製造方法。
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