JP2004191633A - 光ファイバ - Google Patents
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Abstract
【課題】低分散、低分散スロープで、信号光波長帯域の広帯域化を図ることができ、かつ、非線形光学現象による信号光劣化を抑制できる光ファイバを提供する。
【解決手段】4層構造のコア1の各層11〜14の屈折率が中心から外側に向かってn2<n4<n0<n3<n1と、減衰振動的に変化しているので、低分散、低分散スロープで、信号光波長帯域の広帯域化を図ることができ、かつ、非線形光学現象による信号光劣化を抑制することができる。
【選択図】 図1
【解決手段】4層構造のコア1の各層11〜14の屈折率が中心から外側に向かってn2<n4<n0<n3<n1と、減衰振動的に変化しているので、低分散、低分散スロープで、信号光波長帯域の広帯域化を図ることができ、かつ、非線形光学現象による信号光劣化を抑制することができる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ファイバに関し、特に波長多重伝送システムに用いられる光ファイバに関する。
【0002】
【従来の技術】
大容量の情報を伝達するシステムの一つとして、波長多重伝送システム(Wavelength Division Multiplexing:WDM)が実用化されている。WDM伝送システムとは、波長1.55μm帯の多波長の信号光を用いて光通信を行うシステムのことであり、高速・大容量の情報を伝送することができる(例えば、特許文献1、2参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特開平11−84159号公報(第3−4頁、図1)
【特許文献2】
特開平11−223741号公報(第4頁、図1)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、このようなWDM伝送システムにおいては、信号チャネル毎の波長分散のずれや波長多重された信号チャネル間の非線形光学現象による相互作用等が重要な問題となってくる。
【0005】
従来の標準的な光ファイバ、例えば波長1.3μm帯用単一モード光ファイバや1.55μm帯分散シフト光ファイバ等を伝送路として用いてもWDM伝送は可能であるが、伝送容量や伝送距離によっては光ファイバの特性に起因する制約が生じる。
【0006】
光ファイバの重要な伝送特性として波長分散特性が挙げられる。一般に、長距離高速光伝送を実現するには、信号歪みを抑えるため、信号光における波長分散の絶対値が小さいことが必要である。
【0007】
ところが、WDM伝送では波長分散が小さいと、非線形相互作用が発生しやすい。この非線形相互作用を抑制するには、信号光の波長域において光ファイバの波長分散の絶対値はむしろ大きい方が良いということになる。
【0008】
また、波長多重数を増加するために使用波長帯域を拡大しようとすると、帯域内の波長分散のずれも問題になってくる。この波長分散の波長依存性を分散スロープと呼ぶ。長距離大容量のWDM伝送路としては、この分散スロープの絶対値ができるだけ小さいことが要求される。
【0009】
さらに、光ファイバの非線形性を表す指標の一つである非線形係数は数2式で表される。
【0010】
【数2】
非線形定数=(非線形屈折率)/(実効コア断面積)
ここで、非線形屈折率は基本的にはガラス組成に依存する物理定数である。一方、実効コア断面積は光ファイバ中を伝搬する光強度の光ファイバ断面内での広がり具合を表すパラメータであり、光ファイバの構造に依存する。この定義式である数2式から明らかなように、光ファイバの非線形性を低減するには、実効コア断面積を大きくすればよい。
【0011】
以上のように、従来の単一モード光ファイバは波長1.55μm帯で波長分散の絶対値が好適ではないか、分散スロープの絶対値が大きいもの、または実効断面積の小さなものであって、DWDM伝送システムの光伝送路として用いると、累積分散値の増加を抑制することができない、信号光波長帯域の広帯域化を図ることができない、あるいは非線形光学現象による信号劣化を十分に抑制することができない、という問題があった。
【0012】
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、低分散、低分散スロープで、信号光波長帯域の広帯域化を図ることができ、かつ、非線形光学現象による信号光劣化を抑制できる光ファイバを提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、光信号が伝搬するコアと、コアを覆うクラッドとを備えた光ファイバにおいて、コアが中心から外側に向かって第1層、第2層、第3層及び第4層からなる4層構造を有し、第1層、第2層、第3層及び第4層の平均屈折率がそれぞれn1、n2、n3及びn4であり、クラッドの屈折率がn0であるとき数1式を満たすものである。
【0014】
請求項2の発明は、請求項1に記載の構成に加え、クラッドに対する第1層の比屈折率差の平均値Δn1は0.50〜0.55%の範囲内にあり、クラッドに対する第2層の比屈折率差の平均値Δn2は−0.37〜−0.42%の範囲内にあり、クラッドに対する第3層の比屈折率差の平均値Δn3は0.01〜0.05%の範囲内にあり、クラッドに対する第4層の比屈折率差の平均値Δn4は−0.04〜−0.08%の範囲内にあるのが好ましい。
【0015】
請求項3の発明は、請求項2に記載の構成に加え、第1層から第4層までの半径をそれぞれr1、r2、r3、r4とすると、r1は3.1〜3.7μmの範囲内にあり、r2は5.4〜6.1μmの範囲内にあり、r3は12.7〜14.0μmの範囲内にあり、r4は15.5〜17.5μmの範囲内にあるのが好ましい。
【0016】
請求項4の発明は、請求項3に記載の構成に加え、正の比屈折率差を得るためのドーパントとしてゲルマニウムが用いられ、負の比屈折率差を得るためのドーパントとしてフッ素が用いられ、所望の比屈折率差を得るため両ドーパントの量が調整されているのが好ましい。
【0017】
請求項5の発明は、請求項4に記載の構成に加え、波長1.55μmにおける波長分散の絶対値が3〜8ps/nm/kmであるのが好ましい。
【0018】
請求項6の発明は、請求項5に記載の構成に加え、波長1.55μmにおける分散スロープの絶対値が0.025ps/nm2/kmであるのが好ましい。
【0019】
請求項7の発明は、請求項6に記載の構成に加え、波長1.55μmにおける実効コア断面積が42μm2以上であるのが好ましい。
【0020】
請求項8の発明は、請求項7に記載の構成に加え、ケーブルカットオフ波長が1.45μm以下であるのが好ましい。
【0021】
本発明によれば、4層構造のコアの各層の屈折率が中心から外側に向かってn2<n4<n0<n3<n1と、減衰振動的に変化しているので、低分散、低分散スロープで、信号光波長帯域の広帯域化を図ることができ、かつ、非線形光学現象による信号光劣化を抑制することができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて詳述する。
【0023】
図1は本発明の光ファイバの一実施の形態を示す屈折率分布図である。同図において横軸は径方向の位置を示し、縦軸は屈折率を示す。
【0024】
本光ファイバは、光信号が伝搬するコア1と、コア1を覆うクラッド2とを備えた光ファイバであって、コア1が4層構造を有し、コア1の第1層11、第2層12、第3層13及び第4層14の平均屈折率を中心から外側に向かってそれぞれn1、n2、n3及びn4とし、クラッド2の屈折率をn0としたときn2<n4<n0<n3<n1の関係を有するもの、いわば減衰振動的に屈折率が変化したものである。
【0025】
また、屈折率n0に対する第1層11の比屈折率差の平均値Δn1は0.50〜0.55%の範囲内にあり、屈折率n0に対する第2層12の比屈折率差の平均値Δn2は−0.37〜−0.42%の範囲内にあり、屈折率n0に対する第3層13の比屈折率差の平均値Δn3は0.01〜0.05%の範囲内にあり、屈折率n0に対する第4層14の比屈折率差の平均値Δn4は−0.04〜−0.05%の範囲内にあるのが好ましい。
【0026】
さらに、コア中心から各層11〜14の外周までの半径をri(i=1,2,3,4)、すなわち、第1層11の半径をr1、第2層12の半径をr2、第3層13の半径をr3、第4層14の半径をr4とすると、r1は3.1〜3.7μmの範囲内にあり、r2は5.4〜6.1μmの範囲内にあり、r3は12.7〜14.0μmの範囲内にあり、r4は15.5〜17.5μmの範囲内にあるのが好ましい。
【0027】
図2は図1に示した光ファイバの波長分散特性図であり、横軸が波長を示し、縦軸が分散を示す。
【0028】
図2より、波長1.55μmにおける波長分散の絶対値が3ps/nm/kmより小さくなると、非線形光学現象により信号劣化が発生する。また、波長分散の絶対値が8ps/nm/kmより大きくなると、累積分散の影響が大きくなり、信号劣化が発生する。
【0029】
図2に示すように、本光ファイバは、波長1.55μmにおける波長分散の絶対値が3〜8ps/nm/kmであるので、上述した信号劣化を十分に抑制することができる。
【0030】
本光ファイバは、波長1.55μmにおける低分散スロープの絶対値が0.025ps/nm2/kmである。分散スロープの絶対値が小さいほど、波長多重化される信号光の数を増加させることができ、信号光波長帯域の広帯域化を図ることができる。従って、この光ファイバは分散スロープの絶対値が小さいので、信号光波長帯域を広帯域化することができる。
【0031】
また、本光ファイバは、波長1.55μmにおける実効コア断面積が42μm2以上である。非線形光学現象による信号劣化を抑制する上では、実効コア断面積がより大きなものが好適である。従って、この光ファイバは実効コア断面積が大きいので、非線形光学現象による信号劣化を抑制することができる。
【0032】
さらに、本発明の光ファイバは、ケーブルカットオフ波長が1.45μmより小さいものである。信号波長帯域として、Cバンド(1.53〜1.56μm)、Lバンド(1.56〜1.65μm)に加えて、Sバンド(1.45〜1.53μm)を使用した高密度波長多重伝送(Dense WDM:DWDM)の実用化も検討されているので、1.45μm以上の波長帯域で単一モードであるのが好適である。従って、この光ファイバは、ケーブルカットオフ波長が1.45μmよりも小さく、1.45μm以上の波長帯域で単一モードであるので、信号光波長帯域を広帯域化することができる。
【0033】
【実施例】
次に本発明の光ファイバの一実施例について図1を参照して詳述する。
【0034】
比屈折率差Δn1が0.54%、比屈折率差Δn2が−0.38%、比屈折率差Δn3が0.03%、比屈折率差Δn4が−0.06%、かつ半径r1が3.5μm、半径r2が5.7μm、半径r3が13.5μm、半径r4が16.5μm、外径が125μmの光ファイバを用いた。
【0035】
この光ファイバの諸特性を評価したところ、波長1.55μmにおいて、波長分散は4.9ps/nm/km、分散スロープは0.018ps/nm2/km、ケーブルカットオフ波長は1.39μmであった。
【0036】
(最適条件についての根拠)
コア1の第1層11の比屈折率差Δn1を0.50〜0.55%とするのは、比屈折率差Δn1が0.50%より小さいと、曲げ損失特性が劣化し、ケーブル化した際の損失特性が劣化し、ケーブル化した際の損失増加が大きくなり、実用的でなくなるためであり、比屈折率差Δn1が0.55%より大きくなると、実効コア断面積が42μm2よりも小さくなり、非線形光学現象の影響を受け、信号光が劣化し、実用的でなくなるためである。
【0037】
半径r1を3.1〜3.7μmとするのは、半径r1が3.1μmより小さくなると、前述と同様に、曲げ損失特性が劣化し実用的でなくなり、半径r1が3.7μmより大きくなると、ケーブルカットオフ波長がSバンド領域である1.45μmより大きくなり、広帯域化の妨げとなるからである。
【0038】
第2層12の比屈折率差Δn2を−0.37〜−0.42%とするのは、比屈折率差Δn2が−0.42%より小さくなると、実効コア断面積が42μm2よりも小さくなり、非線形光学現象の影響を受け、信号光が劣化し、実用的でなくなるためである。
【0039】
第2層12の比屈折率差Δn2が−0.37%より大きくなると、分散スロープが0.025ps/nm2/kmより大きくなり、波長多重数を増加するのが不利になるためである。
【0040】
第2層12の半径r2を5.4〜6.1μmとするのは、半径2が5.4μmよりも小さくなると、分散スロープが0.025ps/nm2/kmより大きくなり、非線形光学現象の影響を受け、かつ曲げ損失特性が劣化し、いずれも実用的ではなくなるためである。半径r2が6.1μmより大きくなると、ケーブルカットオフ波長が1.45μmより大きくなり、実用的ではなくなるためである。
【0041】
第3層13の比屈折率差Δn3を0.01〜0.05%とするのは、比屈折率差Δn3が0.01%より小さくなると、実効コア断面積が小さくなり、かつ曲げ損失特性が劣化し実用的ではなくなるためであり、比屈折率差Δn3が0.05%より大きくなると、ケーブルカットオフ波長がSバンド領域である1.45μmより大きくなり、広帯域化の妨げとなるためである。
【0042】
第3層13の半径r3を12.7〜14.0μmとするのは、半径r3を12.7μmより小さくすると、曲げ損失特性が劣化し実用的ではなくなり、半径r3を14.0μmより大きくすると、ケーブルカットオフ波長が1.45μmより大きくなり広帯域化の妨げとなるためである。
【0043】
第4層14の比屈折率差Δn4を−0.04〜−0.08%とするのは、比屈折率差Δn4を−0.08%より小さくすると、曲げ損失特性が劣化し、実用的ではなくなるためであり、比屈折率差Δn4を−0.04%より大きくすると、ケーブルカットオフ波長がSバンド領域である1.45μmより大きくなり、広帯域化の妨げとなるためである。
【0044】
第4層14の半径r4を15.5〜17.5μmとするのは、半径r4を15.5μmより小さくすると、曲げ損失特性が劣化し、実用的ではなくなり、半径r4を17.5μmより大きくすると、ケーブルカットオフ波長が1.45μmより大きくなり広帯域化の妨げとなるためである。
【0045】
これらの条件を総合的に平衡を取ることによって、波長1.55μmにおける波長分散の絶対値が3〜8ps/nm/km、分散スロープの絶対値が0.025ps/nm2/km以下、実効コア断面積が42μm2以上、ケーブルカットオフ波長が1.45μmより小さい光ファイバとなる。
【0046】
以上において、光ファイバのコア1が中心から外側に向かって第1層11、第2層12、第3層13及び第4層14からなる4層構造を有し、第1層11、第2層12、第3層13及び第4層14の平均屈折率がそれぞれn1、n2、n3及びn4であり、クラッド2の屈折率がn0であるとき数1式を満たす光ファイバとすることで、非線形光学現象による信号劣化を抑制した、低分散、低分散スロープの光ファイバを得ることができる。
【0047】
【発明の効果】
以上要するに本発明によれば、低分散、低分散スロープで、信号光波長帯域の広帯域化を図ることができ、かつ、非線形光学現象による信号光劣化を抑制できる光ファイバの提供を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光ファイバの一実施の形態を示す屈折率分布図である。
【図2】図1に示した光ファイバの波長分散特性図である。
【符号の説明】
1 コア
2 クラッド
11 第1層
12 第2層
13 第3層
14 第4層
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ファイバに関し、特に波長多重伝送システムに用いられる光ファイバに関する。
【0002】
【従来の技術】
大容量の情報を伝達するシステムの一つとして、波長多重伝送システム(Wavelength Division Multiplexing:WDM)が実用化されている。WDM伝送システムとは、波長1.55μm帯の多波長の信号光を用いて光通信を行うシステムのことであり、高速・大容量の情報を伝送することができる(例えば、特許文献1、2参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特開平11−84159号公報(第3−4頁、図1)
【特許文献2】
特開平11−223741号公報(第4頁、図1)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、このようなWDM伝送システムにおいては、信号チャネル毎の波長分散のずれや波長多重された信号チャネル間の非線形光学現象による相互作用等が重要な問題となってくる。
【0005】
従来の標準的な光ファイバ、例えば波長1.3μm帯用単一モード光ファイバや1.55μm帯分散シフト光ファイバ等を伝送路として用いてもWDM伝送は可能であるが、伝送容量や伝送距離によっては光ファイバの特性に起因する制約が生じる。
【0006】
光ファイバの重要な伝送特性として波長分散特性が挙げられる。一般に、長距離高速光伝送を実現するには、信号歪みを抑えるため、信号光における波長分散の絶対値が小さいことが必要である。
【0007】
ところが、WDM伝送では波長分散が小さいと、非線形相互作用が発生しやすい。この非線形相互作用を抑制するには、信号光の波長域において光ファイバの波長分散の絶対値はむしろ大きい方が良いということになる。
【0008】
また、波長多重数を増加するために使用波長帯域を拡大しようとすると、帯域内の波長分散のずれも問題になってくる。この波長分散の波長依存性を分散スロープと呼ぶ。長距離大容量のWDM伝送路としては、この分散スロープの絶対値ができるだけ小さいことが要求される。
【0009】
さらに、光ファイバの非線形性を表す指標の一つである非線形係数は数2式で表される。
【0010】
【数2】
非線形定数=(非線形屈折率)/(実効コア断面積)
ここで、非線形屈折率は基本的にはガラス組成に依存する物理定数である。一方、実効コア断面積は光ファイバ中を伝搬する光強度の光ファイバ断面内での広がり具合を表すパラメータであり、光ファイバの構造に依存する。この定義式である数2式から明らかなように、光ファイバの非線形性を低減するには、実効コア断面積を大きくすればよい。
【0011】
以上のように、従来の単一モード光ファイバは波長1.55μm帯で波長分散の絶対値が好適ではないか、分散スロープの絶対値が大きいもの、または実効断面積の小さなものであって、DWDM伝送システムの光伝送路として用いると、累積分散値の増加を抑制することができない、信号光波長帯域の広帯域化を図ることができない、あるいは非線形光学現象による信号劣化を十分に抑制することができない、という問題があった。
【0012】
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、低分散、低分散スロープで、信号光波長帯域の広帯域化を図ることができ、かつ、非線形光学現象による信号光劣化を抑制できる光ファイバを提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、光信号が伝搬するコアと、コアを覆うクラッドとを備えた光ファイバにおいて、コアが中心から外側に向かって第1層、第2層、第3層及び第4層からなる4層構造を有し、第1層、第2層、第3層及び第4層の平均屈折率がそれぞれn1、n2、n3及びn4であり、クラッドの屈折率がn0であるとき数1式を満たすものである。
【0014】
請求項2の発明は、請求項1に記載の構成に加え、クラッドに対する第1層の比屈折率差の平均値Δn1は0.50〜0.55%の範囲内にあり、クラッドに対する第2層の比屈折率差の平均値Δn2は−0.37〜−0.42%の範囲内にあり、クラッドに対する第3層の比屈折率差の平均値Δn3は0.01〜0.05%の範囲内にあり、クラッドに対する第4層の比屈折率差の平均値Δn4は−0.04〜−0.08%の範囲内にあるのが好ましい。
【0015】
請求項3の発明は、請求項2に記載の構成に加え、第1層から第4層までの半径をそれぞれr1、r2、r3、r4とすると、r1は3.1〜3.7μmの範囲内にあり、r2は5.4〜6.1μmの範囲内にあり、r3は12.7〜14.0μmの範囲内にあり、r4は15.5〜17.5μmの範囲内にあるのが好ましい。
【0016】
請求項4の発明は、請求項3に記載の構成に加え、正の比屈折率差を得るためのドーパントとしてゲルマニウムが用いられ、負の比屈折率差を得るためのドーパントとしてフッ素が用いられ、所望の比屈折率差を得るため両ドーパントの量が調整されているのが好ましい。
【0017】
請求項5の発明は、請求項4に記載の構成に加え、波長1.55μmにおける波長分散の絶対値が3〜8ps/nm/kmであるのが好ましい。
【0018】
請求項6の発明は、請求項5に記載の構成に加え、波長1.55μmにおける分散スロープの絶対値が0.025ps/nm2/kmであるのが好ましい。
【0019】
請求項7の発明は、請求項6に記載の構成に加え、波長1.55μmにおける実効コア断面積が42μm2以上であるのが好ましい。
【0020】
請求項8の発明は、請求項7に記載の構成に加え、ケーブルカットオフ波長が1.45μm以下であるのが好ましい。
【0021】
本発明によれば、4層構造のコアの各層の屈折率が中心から外側に向かってn2<n4<n0<n3<n1と、減衰振動的に変化しているので、低分散、低分散スロープで、信号光波長帯域の広帯域化を図ることができ、かつ、非線形光学現象による信号光劣化を抑制することができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて詳述する。
【0023】
図1は本発明の光ファイバの一実施の形態を示す屈折率分布図である。同図において横軸は径方向の位置を示し、縦軸は屈折率を示す。
【0024】
本光ファイバは、光信号が伝搬するコア1と、コア1を覆うクラッド2とを備えた光ファイバであって、コア1が4層構造を有し、コア1の第1層11、第2層12、第3層13及び第4層14の平均屈折率を中心から外側に向かってそれぞれn1、n2、n3及びn4とし、クラッド2の屈折率をn0としたときn2<n4<n0<n3<n1の関係を有するもの、いわば減衰振動的に屈折率が変化したものである。
【0025】
また、屈折率n0に対する第1層11の比屈折率差の平均値Δn1は0.50〜0.55%の範囲内にあり、屈折率n0に対する第2層12の比屈折率差の平均値Δn2は−0.37〜−0.42%の範囲内にあり、屈折率n0に対する第3層13の比屈折率差の平均値Δn3は0.01〜0.05%の範囲内にあり、屈折率n0に対する第4層14の比屈折率差の平均値Δn4は−0.04〜−0.05%の範囲内にあるのが好ましい。
【0026】
さらに、コア中心から各層11〜14の外周までの半径をri(i=1,2,3,4)、すなわち、第1層11の半径をr1、第2層12の半径をr2、第3層13の半径をr3、第4層14の半径をr4とすると、r1は3.1〜3.7μmの範囲内にあり、r2は5.4〜6.1μmの範囲内にあり、r3は12.7〜14.0μmの範囲内にあり、r4は15.5〜17.5μmの範囲内にあるのが好ましい。
【0027】
図2は図1に示した光ファイバの波長分散特性図であり、横軸が波長を示し、縦軸が分散を示す。
【0028】
図2より、波長1.55μmにおける波長分散の絶対値が3ps/nm/kmより小さくなると、非線形光学現象により信号劣化が発生する。また、波長分散の絶対値が8ps/nm/kmより大きくなると、累積分散の影響が大きくなり、信号劣化が発生する。
【0029】
図2に示すように、本光ファイバは、波長1.55μmにおける波長分散の絶対値が3〜8ps/nm/kmであるので、上述した信号劣化を十分に抑制することができる。
【0030】
本光ファイバは、波長1.55μmにおける低分散スロープの絶対値が0.025ps/nm2/kmである。分散スロープの絶対値が小さいほど、波長多重化される信号光の数を増加させることができ、信号光波長帯域の広帯域化を図ることができる。従って、この光ファイバは分散スロープの絶対値が小さいので、信号光波長帯域を広帯域化することができる。
【0031】
また、本光ファイバは、波長1.55μmにおける実効コア断面積が42μm2以上である。非線形光学現象による信号劣化を抑制する上では、実効コア断面積がより大きなものが好適である。従って、この光ファイバは実効コア断面積が大きいので、非線形光学現象による信号劣化を抑制することができる。
【0032】
さらに、本発明の光ファイバは、ケーブルカットオフ波長が1.45μmより小さいものである。信号波長帯域として、Cバンド(1.53〜1.56μm)、Lバンド(1.56〜1.65μm)に加えて、Sバンド(1.45〜1.53μm)を使用した高密度波長多重伝送(Dense WDM:DWDM)の実用化も検討されているので、1.45μm以上の波長帯域で単一モードであるのが好適である。従って、この光ファイバは、ケーブルカットオフ波長が1.45μmよりも小さく、1.45μm以上の波長帯域で単一モードであるので、信号光波長帯域を広帯域化することができる。
【0033】
【実施例】
次に本発明の光ファイバの一実施例について図1を参照して詳述する。
【0034】
比屈折率差Δn1が0.54%、比屈折率差Δn2が−0.38%、比屈折率差Δn3が0.03%、比屈折率差Δn4が−0.06%、かつ半径r1が3.5μm、半径r2が5.7μm、半径r3が13.5μm、半径r4が16.5μm、外径が125μmの光ファイバを用いた。
【0035】
この光ファイバの諸特性を評価したところ、波長1.55μmにおいて、波長分散は4.9ps/nm/km、分散スロープは0.018ps/nm2/km、ケーブルカットオフ波長は1.39μmであった。
【0036】
(最適条件についての根拠)
コア1の第1層11の比屈折率差Δn1を0.50〜0.55%とするのは、比屈折率差Δn1が0.50%より小さいと、曲げ損失特性が劣化し、ケーブル化した際の損失特性が劣化し、ケーブル化した際の損失増加が大きくなり、実用的でなくなるためであり、比屈折率差Δn1が0.55%より大きくなると、実効コア断面積が42μm2よりも小さくなり、非線形光学現象の影響を受け、信号光が劣化し、実用的でなくなるためである。
【0037】
半径r1を3.1〜3.7μmとするのは、半径r1が3.1μmより小さくなると、前述と同様に、曲げ損失特性が劣化し実用的でなくなり、半径r1が3.7μmより大きくなると、ケーブルカットオフ波長がSバンド領域である1.45μmより大きくなり、広帯域化の妨げとなるからである。
【0038】
第2層12の比屈折率差Δn2を−0.37〜−0.42%とするのは、比屈折率差Δn2が−0.42%より小さくなると、実効コア断面積が42μm2よりも小さくなり、非線形光学現象の影響を受け、信号光が劣化し、実用的でなくなるためである。
【0039】
第2層12の比屈折率差Δn2が−0.37%より大きくなると、分散スロープが0.025ps/nm2/kmより大きくなり、波長多重数を増加するのが不利になるためである。
【0040】
第2層12の半径r2を5.4〜6.1μmとするのは、半径2が5.4μmよりも小さくなると、分散スロープが0.025ps/nm2/kmより大きくなり、非線形光学現象の影響を受け、かつ曲げ損失特性が劣化し、いずれも実用的ではなくなるためである。半径r2が6.1μmより大きくなると、ケーブルカットオフ波長が1.45μmより大きくなり、実用的ではなくなるためである。
【0041】
第3層13の比屈折率差Δn3を0.01〜0.05%とするのは、比屈折率差Δn3が0.01%より小さくなると、実効コア断面積が小さくなり、かつ曲げ損失特性が劣化し実用的ではなくなるためであり、比屈折率差Δn3が0.05%より大きくなると、ケーブルカットオフ波長がSバンド領域である1.45μmより大きくなり、広帯域化の妨げとなるためである。
【0042】
第3層13の半径r3を12.7〜14.0μmとするのは、半径r3を12.7μmより小さくすると、曲げ損失特性が劣化し実用的ではなくなり、半径r3を14.0μmより大きくすると、ケーブルカットオフ波長が1.45μmより大きくなり広帯域化の妨げとなるためである。
【0043】
第4層14の比屈折率差Δn4を−0.04〜−0.08%とするのは、比屈折率差Δn4を−0.08%より小さくすると、曲げ損失特性が劣化し、実用的ではなくなるためであり、比屈折率差Δn4を−0.04%より大きくすると、ケーブルカットオフ波長がSバンド領域である1.45μmより大きくなり、広帯域化の妨げとなるためである。
【0044】
第4層14の半径r4を15.5〜17.5μmとするのは、半径r4を15.5μmより小さくすると、曲げ損失特性が劣化し、実用的ではなくなり、半径r4を17.5μmより大きくすると、ケーブルカットオフ波長が1.45μmより大きくなり広帯域化の妨げとなるためである。
【0045】
これらの条件を総合的に平衡を取ることによって、波長1.55μmにおける波長分散の絶対値が3〜8ps/nm/km、分散スロープの絶対値が0.025ps/nm2/km以下、実効コア断面積が42μm2以上、ケーブルカットオフ波長が1.45μmより小さい光ファイバとなる。
【0046】
以上において、光ファイバのコア1が中心から外側に向かって第1層11、第2層12、第3層13及び第4層14からなる4層構造を有し、第1層11、第2層12、第3層13及び第4層14の平均屈折率がそれぞれn1、n2、n3及びn4であり、クラッド2の屈折率がn0であるとき数1式を満たす光ファイバとすることで、非線形光学現象による信号劣化を抑制した、低分散、低分散スロープの光ファイバを得ることができる。
【0047】
【発明の効果】
以上要するに本発明によれば、低分散、低分散スロープで、信号光波長帯域の広帯域化を図ることができ、かつ、非線形光学現象による信号光劣化を抑制できる光ファイバの提供を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光ファイバの一実施の形態を示す屈折率分布図である。
【図2】図1に示した光ファイバの波長分散特性図である。
【符号の説明】
1 コア
2 クラッド
11 第1層
12 第2層
13 第3層
14 第4層
Claims (8)
- 上記クラッドに対する第1層の比屈折率差の平均値Δn1は0.50〜0.55%の範囲内にあり、上記クラッドに対する第2層の比屈折率差の平均値Δn2は−0.37〜−0.42%の範囲内にあり、上記クラッドに対する第3層の比屈折率差の平均値Δn3は0.01〜0.05%の範囲内にあり、上記クラッドに対する第4層の比屈折率差の平均値Δn4は−0.04〜−0.08%の範囲内にある請求項1に記載の光ファイバ。
- 第1層から第4層までの半径をそれぞれr1、r2、r3、r4とすると、r1は3.1〜3.7μmの範囲内にあり、r2は5.4〜6.1μmの範囲内にあり、r3は12.7〜14.0μmの範囲内にあり、r4は15.5〜17.5μmの範囲内にある請求項2に記載の光ファイバ。
- 正の比屈折率差を得るためのドーパントとしてゲルマニウムが用いられ、負の比屈折率差を得るためのドーパントとしてフッ素が用いられ、所望の比屈折率差を得るため両ドーパントの量が調整されている請求項3に記載の光ファイバ。
- 波長1.55μmにおける波長分散の絶対値が3〜8ps/nm/km以下である請求項4に記載の光ファイバ。
- 波長1.55μmにおける分散スロープの絶対値が0.025ps/nm2/kmである請求項5に記載の光ファイバ。
- 波長1.55μmにおける実効コア断面積が42μm2以上である請求項6に記載の光ファイバ。
- ケーブルカットオフ波長が1.45μm以下である請求項7に記載の光ファイバ。
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JP2005195921A (ja) * | 2004-01-08 | 2005-07-21 | Nippon Telegr & Teleph Corp <Ntt> | 単一モード光ファイバ |
KR101541594B1 (ko) | 2013-08-23 | 2015-08-06 | 한양대학교 산학협력단 | 단일모드 광섬유 및 그를 구비한 광통신 시스템 |
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2002
- 2002-12-11 JP JP2002359482A patent/JP2004191633A/ja active Pending
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