JP2004191180A - 移動体検出装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】複数の移動体が絶間なく走行する道路で、騒音が複数の移動体の何れから発生したのかを判定すことが容易な移動体検出装置を提供すること。
【解決手段】道路を走行する複数の移動体から発生した騒音を集音し、集音した騒音を複数の騒音信号に変換し、変換した複数の騒音信号を入力する複数のマイクロホン103a〜103cと、複数の騒音信号を時間軸に沿って複数のフレームに分割し、分割したフレーム毎に騒音の音源方向を算出する音源方向算出手段104と、音源方向から複数の移動体が複数のマイクロホン103a〜103cの正面を通過する時刻をそれぞれ算出する通過時刻算出手段105とを備える。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、道路を走行する複数の移動体から発生した騒音を複数のマイクロホンで集音し、集音した騒音から複数の移動体を検出する移動体検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、車両から発生した騒音を集音し、集音した騒音が予め設定された種類の騒音か否かを判定することにより予め分類された種類の騒音を発生する車両を検出する車両検出装置が知られている。
【0003】
図6に示す従来の車両検出装置は、車両から発生した音を集音する集音器3と、車両を撮像するビデオカメラ4と、集音器3が集音した音が特定の車両から発生した音であることを認識する音響認識装置6と、音響認識装置6が特定の車両であることを認識したとき、特定の車両を撮影するビデオ装置8とを備え、音響認識装置6は予め保持した特定の車両の音と集音器3が集音した音とを比較し、比較した結果に基づいて特定の車両を認識するようになっていた(例えば特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−30184号公報(第2頁)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の車両検出装置は、車両から発生した騒音の音圧レベルが極大になる時刻の車両を検出するようにしていたので、複数の車両が絶間なく走行する道路では、騒音が複数の車両の何れから発生したのかを判定することが難しいという問題があった。
【0006】
本発明は、従来の問題を解決するためになされたもので、複数の移動体が絶間なく走行する道路であっても、騒音が複数の移動体の何れから発生したのかを判定することが容易な移動体検出装置を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の移動体検出装置は、移動体の発する音を所定の範囲内で集音する複数のマイクロホンと、前記複数のマイクロホンの出力信号をもとに前記移動体の存在する方向を算出する方向算出手段と、前記方向の変化を検出して前記所定の範囲内における前記移動体の移動状態を算出する移動状態算出手段と、前記移動状態をもとに前記移動状態が所定の位置を通過する通過時刻を算出する通過時刻算出手段と、前記通過時刻に前記所定の位置で集音された音をもとに前記移動体の発する音の種別を判定する音種別判定手段とを備えた構成を有している。
【0008】
この構成により、複数の移動体が所定の位置を通過する時刻をそれぞれ算出することができ、算出した時刻に収集した音が予め設定された種類の音か否かを判定し、予め設定された種類の音を発生する移動体を検出することができる。
【0009】
本発明の移動体検出装置は、前記移動状態算出手段は、前記移動状態の典型を示す複数のテンプレートを有し、前記複数のテンプレートと前記方向算出手段の算出結果との比較を行って、前記移動体の移動状態を算出する構成を有している。
【0010】
この構成により、複数のテンプレートと方向算出手段の算出結果とを比較して複数の移動体の移動状態を算出することができる。
【0011】
本発明の移動体検出装置は、前記移動体位置算出手段は、前記移動体が異なる方向に進行した場合の移動状態の典型を示す複数のテンプレートを有し、前記複数のテンプレートと前記方向算出手段の算出結果との比較を行って、前記移動体の移動状態を算出する構成を有している。
【0012】
この構成により、複数のテンプレートと方向算出手段の算出結果とを比較して複数の移動体の移動状態を算出することができる。
【0013】
本発明の移動体検出装置は、前記移動体位置算出手段は、前記移動体が異なる速度で進行した場合の移動状態の典型を示す複数のテンプレートを有し、前記複数のテンプレートと前記方向算出手段の算出結果との比較を行って、前記移動体の移動状態を算出する構成を有している。
【0014】
この構成により、複数のテンプレートと方向算出手段の算出結果とを比較して複数の移動体の移動状態を算出することができる。
【0015】
本発明の移動体検出装置は、道路を走行する複数の移動体から発生した騒音を集音し、集音した前記騒音を複数の騒音信号に変換し、変換した前記複数の騒音信号を入力する複数のマイクロホンと、前記複数のマイクロホンによって入力された前記複数の騒音信号を時間軸に沿って複数のフレームに分割し、分割した前記フレーム毎に前記複数の騒音信号から前記騒音の音源方向を算出する音源方向算出手段と、この音源方向算出手段によって算出された前記音源方向から前記複数の移動体が前記複数のマイクロホンの正面を通過する時刻をそれぞれ算出する通過時刻算出手段と、この通過時刻算出手段によって算出された前記時刻に前記複数のマイクロホンの何れか少なくとも1つが集音した前記騒音から音圧レベルを算出する音圧レベル算出手段と、この音圧レベル算出手段によって算出された前記音圧レベルが予め設定された閾値を超えたか否かを判定し、前記音圧レベルが前記閾値を超えたと判定したとき前記通過時刻算出手段によって算出された前記時刻に集音された前記騒音を分析し、分析した前記騒音の音種別を判定する音種別判定手段と、この音種別判定手段によって判定された前記騒音が予め分類された複数の種類の騒音の何れか少なくとも1つに含まれるか否かを判定することにより前記複数の種類の何れか少なくとも1つに含まれる前記騒音を発生する移動体を検出する移動体検出手段とを備える構成を有している。
【0016】
この構成により、複数の移動体が複数のマイクロホンの正面を通過する時刻をそれぞれ算出することができ、算出した時刻に収集した騒音が予め設定された種類の騒音か否かを判定し、予め設定された種類の騒音を発生する移動体を検出することができる。
【0017】
本発明の移動体検出装置は、前記通過時刻算出手段は、前記音源方向算出手段によって前記フレーム毎に算出された前記音源方向を音源方向データとして蓄積する音源方向蓄積バッファと、前記道路を予め設定された一定の速度で走行する前記移動体から発生した前記騒音が前記音源方向の動きとして示された少なくとも1つのテンプレートを保持するテンプレート保持部と、このテンプレート保持部に保持された前記テンプレートと前記音源方向蓄積バッファに蓄積された前記音源方向データとの差分の絶対値の総和を前記テンプレートと前記音源方向データとの距離として算出する距離算出部とを備え、前記距離算出部は、前記音源方向データに対して前記テンプレートを時間軸に沿って予め設定された時間ずつシフトし、シフトする毎に前記距離を算出し、算出した複数の前記距離から極小値を検出し、検出した前記極小値から前記移動体が前記複数のマイクロホンの正面を通過する時刻を算出する構成を有している。
【0018】
この構成により、テンプレートと音源方向データとの距離を算出し、算出した距離から複数の移動体が複数のマイクロホンの正面を通過する時刻をそれぞれ算出することができ、算出した時刻に収集した騒音が予め設定された種類の騒音か否かを判定し、予め設定された種類の騒音を発生する移動体を検出することができる。
【0019】
本発明の移動体検出装置は、前記通過時刻算出手段は、前記音源方向算出手段によって前記フレーム毎に算出された前記音源方向を音源方向データとして蓄積する音源方向蓄積バッファと、前記道路を予め設定された一定の速度で第1方向に走行する前記移動体から発生した前記騒音が前記音源方向の動きとして示された第1テンプレートを保持する第1テンプレート保持部と、前記第1方向に対向する第2方向に走行する前記移動体から発生した前記騒音が前記音源方向の動きとして示された第2テンプレートとを保持する第2テンプレート保持部と、第1テンプレート保持部に保持された前記第1テンプレートと前記音源方向蓄積バッファに蓄積された前記音源方向データとの差分の絶対値の総和を第1距離として算出し、さらに第2テンプレート保持部に保持された前記第2テンプレートと前記音源方向蓄積バッファに蓄積された前記音源方向データとの差分の絶対値の総和を第2距離として算出する距離算出部とを備え、前記距離算出部は、前記第1距離を算出するとき、前記音源方向データに対して前記第1テンプレートを時間軸に沿って予め設定された時間ずつシフトし、シフトする毎に前記第1距離を算出し、算出した複数の前記第1距離から極小値が存在するか否かを判定し、さらに前記第2距離を算出するとき、前記音源方向データに対して前記第2テンプレートを時間軸に沿って予め設定された時間ずつシフトし、シフトする毎に前記第2距離を算出し、算出した複数の前記第2距離から極小値が存在するか否かを判定し、前記第1距離と前記第2距離のうち前記極小値が存在する方の算出結果から前記移動体の進行方向を判定し、さらに前記極小値から前記移動体が前記複数のマイクロホンの正面を通過する時刻を算出する構成を有している。
【0020】
この構成により、第1テンプレートと音源方向データとの距離と、第2テンプレートと音源方向データとの距離とを算出し、算出した第1距離と第2距離とから複数の移動体の走行方向と複数の移動体が複数のマイクロホンの正面を通過する時刻とをそれぞれ算出することができ、算出した時刻に収集した騒音が予め設定された種類の騒音か否かを判定し、予め設定された種類の騒音を発生する移動体を検出することができる。
【0021】
本発明の移動体検出装置は、前記通過時刻算出手段は、前記音源方向算出手段によって前記フレーム毎に算出された前記音源方向を音源方向データとして蓄積する音源方向蓄積バッファと、前記道路を予め設定された一定の速度で走行する前記移動体から発生した前記騒音が前記移動体の予め設定された複数の速度に対応した前記音源方向の動きとして示された複数のテンプレートを保持するテンプレート保持部と、このテンプレート保持部に保持された前記複数のテンプレート夫々と前記音源方向蓄積バッファに蓄積された前記音源方向データとの差分の絶対値の総和を前記テンプレートと前記音源方向データとの距離として算出する距離算出部とを備え、前記距離算出部は、前記音源方向データに対して前記複数のテンプレート夫々の時間軸に沿って予め設定された時間ずつシフトし、シフトする毎に前記距離を算出し、算出した複数の前記距離から極小値を検出し、検出した前記極小値から前記移動体が前記複数のマイクロホンの正面を通過する時刻を算出し、さらに前記極小値が最も小さい数値を示したテンプレートから前記移動体の速度を算出する構成を有している。
【0022】
この構成により、複数のテンプレートと音源方向データとの距離をそれぞれ算出し、算出した距離から複数の移動体の速度と複数のマイクロホンの正面を通過する時刻とを算出することができ、算出した時刻に収集した騒音が予め設定された種類の騒音か否かを判定し、予め設定された種類の騒音を発生する移動体を検出することができる。
【0023】
本発明の移動体検出装置は、前記通過時刻算出手段は、前記音源方向算出手段によって前記フレーム毎に算出された前記音源方向を音源方向データとして蓄積する音源方向蓄積バッファと、前記道路を予め設定された一定の速度で走行する前記移動体から発生した前記騒音が前記音源方向の動きとして示された少なくとも1つのテンプレートを保持するテンプレート保持部と、前記移動体の複数の速度に対応した複数のテンプレートを生成するよう前記テンプレート保持部に保持された前記テンプレートの時間軸を伸縮する時間軸伸縮部と、この時間軸伸縮部によって時間軸が伸縮された複数のテンプレート夫々と前記音源方向蓄積バッファに蓄積された前記音源方向データとの差分の絶対値の総和を前記テンプレートと前記音源方向データとの距離として算出する距離算出部とを備え、前記時間軸伸縮部は、前記テンプレート保持部に保持された前記テンプレートの時間軸を伸縮することにより前記移動体の複数の速度に対応する複数のテンプレートを生成し、前記距離算出部は、前記音源方向データに対して前記テンプレートを時間軸に沿って予め設定された時間ずつシフトし、シフトする毎に前記距離を算出し、算出した複数の前記距離から極小値を検出し、検出した前記極小値から前記移動体が前記複数のマイクロホンの正面を通過する時刻を算出し、さらに、前記移動体の複数の速度に対応する前記テンプレート毎に前記音源方向データに対して前記テンプレートを時間軸に沿って予め設定された時間ずつシフトし、シフトする毎に前記距離を算出し、算出した複数の前記距離から前記移動体の速度を算出する構成を有している。
【0024】
この構成により、テンプレートから移動体の複数の速度に対応する複数のテンプレートを生成することができ、生成した複数のテンプレートと音源方向データとの距離をそれぞれ算出し、算出した距離から複数の移動体の速度と複数のマイクロホンの正面を通過する時刻とを算出することができ、算出した時刻に収集した騒音が予め設定された種類の騒音か否かを判定し、予め設定された種類の騒音を発生する移動体を検出することができる。
【0025】
本発明の移動体検出装置は、前記予め設定された通信先と通信する通信手段を備え、前記移動体検出手段が、前記通過時刻算出手段によって算出された前記時刻に集音された前記騒音の前記音圧レベルが前記閾値を超えたと判定し、さらに前記時刻に集音された前記騒音が予め分類された複数の種類の騒音の何れか少なくとも1つに含まれると判定したとき、前記通信手段は、前記通過時刻算出手段によって算出された前記時刻に集音した前記騒音から算出された前記騒音に関連する情報と前記通過時刻算出手段によって算出された前記時刻に前記マイクロホンの正面を通過した前記移動体が撮像された撮像情報とを前記通信先へ送信する構成を有している。
【0026】
この構成により、予め設定された種類の騒音であると判定されたときには、移動体を撮像した撮像データと移動体から発生した騒音の音圧レベルと騒音の種類とを予め設定された送信先に送信することができる。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0028】
図1に示すように、本発明の実施の形態の車両検出装置は、道路を走行する車両から発生した騒音を集音し、集音した騒音を複数の騒音信号に変換し、変換した複数の騒音信号を入力するM個(M>2)のマイクロホン103a〜103cと、M個のマイクロホン103a〜103cから入力された騒音信号を時間軸に沿って複数のフレームに分割し、分割したフレーム毎にM個の騒音信号から音源方向を算出する音源方向算出手段104と、方向の変化を検出して所定の範囲内における車両の移動状態を算出する移動状態算出手段と、算出された移動状態をもとに音源方向算出手段104によって算出された音源方向から複数の車両がM個のマイクロホン103a〜103cの正面を通過する時刻をそれぞれ算出する通過時刻算出手段105と、この通過時刻算出手段105によって算出された時刻にM個のマイクロホン103a〜103cの何れか少なくとも1つが集音した騒音から音圧レベルを算出する音圧レベル算出手段115と、この音圧レベル算出手段115によって算出された音圧レベルが予め設定された閾値を超えたか否かを判定し、音圧レベルが予め設定された閾値を超えたと判定したとき、通過時刻算出手段105によって算出された時刻に集音された騒音を分析し、分析した騒音が予め分類された複数の種類の騒音の何れに含まれるのかを判定する音種別判定手段116と、この音種別判定手段116によって判定された騒音が予め分類された複数の種類の騒音の何れか少なくとも1つに含まれるか否かを判定することにより複数の種類の騒音の何れか少なくとも1つに含まれる騒音を発生する車両を検出する車両検出手段125とを備えている。
【0029】
本発明の実施の形態の車両検出装置は、さらに通過時刻算出手段105によって算出された時刻にM個のマイクロホン103a〜103cの正面を通過した車両を撮像する撮像手段102a,102bと、この撮像手段102a,102bによって撮像された車両の撮像情報を蓄積する情報蓄積手段127と、車両検出手段125が予め分類された複数の種類の騒音の少なくとも1つに含まれる騒音を発生する車両を検出したとき、車両検出手段125によって検出された車両の撮像情報を情報蓄積手段127から読み取り、読み取った撮像情報と音種別判定手段116によって判定された騒音の音種別に関連する情報を予め設定された送信先に送信する通信手段126とを備えている。
【0030】
また、通過時刻算出手段105は、音源方向算出手段104によってフレーム毎に算出された音源方向を音源方向データとして蓄積する音源方向蓄積バッファ106と、道路を予め設定された一定の速度で第1方向に走行する車両から発生した騒音が音源方向の動きとして示された第1テンプレートを保持する第1テンプレート保持部108aと、第1方向に対向する第2方向に走行する車両から発生した騒音が音源方向の動きとして示された第2テンプレートとを保持する第2テンプレート保持部108bと、予め設定された複数の速度に対応する複数のテンプレートを生成するよう第1テンプレート保持部108aと第2テンプレート保持部108bに保持されたテンプレートの時間軸を伸縮する時間軸伸縮部109と、第1テンプレート保持部108aに保持された第1テンプレートと音源方向蓄積バッファ106に蓄積された音源方向データとの差分の絶対値の総和を第1距離として算出し、さらに第2テンプレート保持部108bに保持された第2テンプレートと音源方向蓄積バッファ106に蓄積された音源方向データとの差分の絶対値の総和を第2距離として算出する距離算出部107とを備え、複数の車両がM個のマイクロホン103a〜103cの正面をそれぞれ通過する時刻を算出するようになっている。
【0031】
また、音種別判定手段116は、通過時刻算出手段105によって算出された時刻にM個のマイクロホン103a〜103cの何れか少なくとも1つが集音した騒音の周波数特性を算出する周波数特性算出部117と、音種別判定に用いる判別係数を算出する判別係数算出部119と、音種別判定に用いる重心を算出する重心算出部121と、判別係数算出部119によって算出された判別係数を用いて騒音の座標を算出する座標算出部118と、この座標算出部118によって算出された騒音の座標と重心算出部121によって算出された重心との距離を算出する距離算出部120とを備え、通過時刻算出手段105によって算出された時刻にM個のマイクロホン103a〜103cの何れか少なくとも1つが集音した騒音の音種別を判定するようになっている。
【0032】
また、音源方向算出手段104は、図3に示すように、M個のマイクロホン103a〜103cによって入力されたM個の騒音信号を時間軸に沿って複数のフレームにそれぞれ分割するようM個の騒音信号の波形を切り出すM個の波形切出し部303a〜303cと、この波形切出し部303a〜303cによって切り出されたフレーム毎にM個の騒音信号から予め設定された複数の周波数成分を抽出するようM個の騒音信号の周波数成分をそれぞれ分析するM個の周波数分析部304a〜304cと、M個の周波数分析部304a〜304cによって抽出された複数の周波数成分から相関行列を算出する相関行列算出部305と、音源方向を算出する走査範囲を設定する走査範囲設定部306と、方向制御ベクトルを生成する方向制御ベクトル生成部307と、相関行列算出部305によって算出された相関行列と方向制御ベクトル生成部307によって生成された方向制御ベクトルから騒音の方向別パワーを算出する方向別パワー算出部308と、この方向別パワー算出部308によって算出された方向別パワーから音源方向を算出する方向算出部309とを備え、フレーム毎に音源方向を算出するようになっている。
【0033】
また、距離算出部107は、第1距離を算出するとき、音源方向データに対して第1テンプレートを時間軸に沿って予め設定された時間ずつシフトし、シフトする毎に第1距離を算出し、算出した複数の第1距離から極小値が存在するか否かを判定し、さらに第2距離を算出するとき、音源方向データに対して第2テンプレートを時間軸に沿って予め設定された時間ずつシフトし、シフトする毎に第2距離を算出し、算出した複数の第2距離から極小値が存在するか否かを判定し、第1距離と第2距離のうち極小値が存在する方の算出結果から車両の進行方向を判定し、さらに極小値から車両がM個のマイクロホンの103a〜103cの正面を通過する時刻を算出するようになっている。
【0034】
本実施の形態では、通過時刻算出手段105が、音源方向算出手段104によってフレーム毎に算出された音源方向を音源方向データとして蓄積する音源方向蓄積バッファ106と、道路を予め設定された一定の速度で第1方向に走行する車両から発生した騒音が音源方向の動きとして示された第1テンプレートを保持する第1テンプレート保持部108aと、第1方向に対向する第2方向に走行する車両から発生した騒音が音源方向の動きとして示された第2テンプレートとを保持する第2テンプレート保持部108bと、第1テンプレート保持部108aに保持された第1テンプレートと音源方向蓄積バッファ106に蓄積された音源方向データとの差分の絶対値の総和を第1距離として算出し、さらに第2テンプレート保持部108bに保持された第2テンプレートと音源方向蓄積バッファ106に蓄積された音源方向データとの差分の絶対値の総和を第2距離として算出する距離算出部107とを備え、複数の車両がM個のマイクロホン103a〜103cの正面を通過する時刻と進行方向と進行速度とを算出するようになっているが、複数の車両がM個のマイクロホン103a〜103cの正面を通過する時刻だけを算出するのであれば、通過時刻算出手段105は、音源方向算出手段104によってフレーム毎に算出された音源方向を音源方向データとして蓄積する音源方向蓄積バッファ106と、道路を予め設定された一定の速度で走行する車両から発生した騒音が音源方向の動きとして示された少なくとも1つのテンプレートを保持するテンプレート保持部108と、このテンプレート保持部108に保持されたテンプレートと音源方向蓄積バッファ106に蓄積された音源方向データとの差分の絶対値の総和をテンプレートと音源方向データとの距離として算出する距離算出部107とを備え、距離算出部107が、音源方向データに対してテンプレートを時間軸に沿って予め設定された時間ずつシフトし、シフトする毎に距離を算出し、算出した複数の距離から極小値を検出し、検出した極小値から車両がM個のマイクロホン103a〜103cの正面を通過する時刻を算出するよう構成してもよい。
【0035】
また、通過時刻算出手段105が、音源方向算出手段104によってフレーム毎に算出された音源方向を音源方向データとして蓄積する音源方向蓄積バッファ106と、道路を予め設定された一定の速度で走行する車両から発生した騒音が車両の予め設定された複数の速度に対応した音源方向の動きとして示された複数のテンプレートを保持するテンプレート保持部108と、このテンプレート保持部108に保持された複数のテンプレート夫々と音源方向蓄積バッファ106に蓄積された音源方向データとの差分の絶対値の総和をテンプレートと音源方向データとの距離として算出する距離算出部107とを備え、テンプレート保持部108に車両の複数の速度に対応する複数のテンプレートを保持してもよい。
【0036】
また、通過時刻算出手段105が、音源方向算出手段104によってフレーム毎に算出された音源方向を音源方向データとして蓄積する音源方向蓄積バッファ106と、道路を予め設定された一定の速度で走行する車両から発生した騒音が音源方向の動きとして示された少なくとも1つのテンプレートを保持するテンプレート保持部108と、車両の複数の速度に対応した複数のテンプレートを生成するようテンプレート保持部108に保持されたテンプレートの時間軸を伸縮する時間軸伸縮部109と、この時間軸伸縮部109によって時間軸が伸縮された複数のテンプレート夫々と音源方向蓄積バッファ106に蓄積された音源方向データとの差分の絶対値の総和をテンプレートと音源方向データとの距離として算出する距離算出部107とを備え、テンプレート保持部108に保持されたテンプレートの時間軸を伸縮することによって予め設定された複数の速度に対応する複数のテンプレートを生成し、生成した複数のテンプレートを用いて車両の速度を算出してもよい。
【0037】
ここで、M個のマイクロホン103a〜103cは、道路101の車両進行方向に平行な直線上に等間隔dで配置されている。これらM個のマイクロホン103a〜103cの間隔は、必ずしも等間隔である必要はないが、以下に説明する音源方向の算出において方向制御ベクトルの算出が簡単になるため、ここでは等間隔dとしている。また、この間隔dは、対象とする音源信号の波長の半分よりも短くする必要があり、車両によって周波数特性は異なるものの、500Hzから3kHzの範囲は多くの車種で十分なパワーが出力されるため、この範囲の音源方向が検出できるようにマイクロホン103a〜103cの間隔dは5cm〜34cmであることが望ましい。特に、間隔dを5cm〜10cmにすると、センサのサイズを小さくすることができる。また、マイクロホン103a〜103cの個数Mは、音源方向の算出精度を向上させるため、少なくとも「想定される音源(車両)の数+1」以上とすることが望ましい。
【0038】
次に、図2のフローチャートを参照し、固有値解析による方法に基いて音源方向を算出し、車両を検出する動作について説明する。なお、本実施の形態では、音源方向の算出精度が比較的に高い固有値解析による方法に基いて音源方向の方向別パワーを算出するが、音源方向を算出する方法として白色化相関法を適用してもよい。図2のフローチャートは、音源方向の方向別パワーが算出される工程から車両が検出される工程までの動作の概略を示したものである。
【0039】
道路を走行する複数の車両から発生した騒が集音され、集音された騒音がM個のマイクロホン103a〜103cによって複数の騒音信号に変換され、変換された複数の騒音信号がM個の波形切出し部303a〜303cにそれぞれ入力され、入力されたM個の騒音信号がM個の波形切出し部303a〜303cによって予め設定された時間窓で時間軸に沿って騒音信号を切出すよう複数のフレームに分割される。
【0040】
ここで、M個の騒音信号が切出される時間窓の形状は矩形窓でもよいが、ハニング窓のように両端部の振幅が小さいものがさらに好ましい。また、窓長Wを小さくすればするほど音源方向の算出精度が劣化する。一方、窓長Wを長くすればするほど音源の移動に追従できなくなるので、音源の移動速度に応じて最適な窓長Wを選択する必要がある。例えば、M個のマイクロホン103a〜103cから距離L=10[m]離れた位置を、時速40[km]程度で移動する音源を推定する場合には、窓長Wは2[ms]から10[ms]の範囲が適している。また、切出し周期は、W/2から2Wの範囲が最適である。
【0041】
次いで、M個の波形切出し部303a〜303cによって窓長Wで切出されたM個の騒音信号は、M個の周波数分析部304a〜304cにそれぞれ入力され、入力されたM個の騒音信号に含まれる周波数成分がそれぞれ分析され、予め設定された複数の周波数成分の複素振幅が算出される。
【0042】
ここで、複素振幅の算出方法には、公知の高速フーリエ変換(以下単に、FFTという。)による方法を用いるが、算出される周波数成分の数が少ない場合には公知の離散的フーリエ変換による方法を用いてもよい。また、周波数が高ければ高いほど音源方向の推定精度が高くなるが、実用的にはc/10r以上c/2r未満の範囲の周波数が適している。但し、cは音速、rは複数のマイクロホン103a〜103cの間隔である。
【0043】
次いで、周波数分析部304a〜304cによって算出された複素振幅が周波数成分毎に(式1)のように列ベクトルX[m]で表わされ、相関行列算出部305に入力される。
【0044】
【式1】
Figure 2004191180
ただし、xm(m=1〜M)はm番目のマイクロホンの複素振幅である。また、記号Tは行列[x1,x2,・・・,xm]の転置行列を意味する。
【0045】
次いで、列ベクトルX[m]から(式2)で示すように相関行列R[m、m]が相関行列算出部305によって算出される。
【0046】
【式2】
Figure 2004191180
ただし、記号Hは転置複素共役を意味する。また、m=1〜Mである。
【0047】
次いで、方向制御ベクトルが(式3)によりd[m]として表わされる。
【0048】
【式3】
Figure 2004191180
ただし、τ[m]は音源と各マイクロホン103a〜103c間の時間差を表わしており、各マイクロホン103a〜103cの座標(x[m],y[m])と、各マイクロホン103a〜103cと音源との距離Lと、音源の方向αとを用いて(式4)で算出される。
【0049】
【式4】
Figure 2004191180
ただし、各マイクロホン103a〜103cと音源との距離Lは、実用的にマイクロホン103a〜103cと道路中央との直線距離が設定される。また、音源方向を推定する範囲として、0°〜180°までの範囲を走査範囲設定部306に設定することができるが、0°および180°近傍では音源方向算出精度が低下するので、実用的には30°〜150°の範囲に設定するのが好ましい。
【0050】
次いで、相関行列R[m、m]の固有ベクトルv1[m],v2[m],・・・,vM[m] (m=1〜M)が方向別パワー算出部308によって算出される(ステップS201e)。ここでは、相関行列R[m、m]がエルミート行列であることから、公知のハウスホルダー法により3重対角行列に変換され、さらに公知のQR法を用いて固有ベクトルが算出される。
【0051】
次いで、K個の音源がある場合の雑音成分に相当する行列Rn[m、m]が(式5)のように算出される。
【0052】
【式5】
Figure 2004191180
ただし、音源数Kは、「マイクロホンの数M−1」以下にすることが好ましいが、予め音源数が想定できない場合にはK=1としてもよい。
【0053】
次いで、走査範囲設定部306に設定された範囲で下限から上限まで離散的に角度を変化させて(式6)に従って騒音の方向別パワーが方向別パワー算出部308によって算出される。
【0054】
【式6】
Figure 2004191180
ここで、角度の変化幅は0.1°〜5°の範囲内に設定するのが実用的である。
【0055】
次いで、ステップS201gで方向別パワー算出部308によって算出された方向別パワーから音源方向算出手段309によって音源方向が算出される(ステップS202)。
【0056】
次いで、音源方向算出手段104によってフレーム毎に算出された音源方向が音源方向蓄積バッファ106に音源方向データとして蓄積される(ステップS203)。ここで、バッファに蓄積される時間は車両の速度に依存し、車両の速度が遅くなるほど多くの蓄積時間を必要とする。例えば、時速60[km]程度の車両を対象とする場合には最低1[秒]間以上のバッファが必要であり、車両の速度が半分になるとその倍のバッファが必要となる。図4は、音源方向蓄積バッファ106に蓄積された音源方向データの蓄積例であり、横軸が時間の経過を、縦軸が音源方向を示している。図4に示すように、音源方向をプロットした○印が時間の経過とともに右肩上がりに変化している部分、例えば、楕円で囲った部分では車両が通過したことを示している。
【0057】
次いで、第1テンプレート保持部108aに保持されたテンプレートAおよび第2テンプレート保持部108bに保持されたテンプレートBの時間軸が時間軸伸縮部109によって伸縮される(ステップS204)。ここで、テンプレートAおよびテンプレートBは、それぞれ進行方向Aおよび進行方向Bの方向に走行する車両に対応するテンプレートを示している。
【0058】
図5に示すテンプレートAおよびテンプレートBは何れも複数のマイクロホン103a〜103cからの距離が10[m]で、車両の速度が40[km/h]を想定して作成されたものである。また、第1テンプレート保持部108aまたは第2テンプレート保持部108bに予め保持されたテンプレートが車両の速度40[km/h]に対応したものであっても、時間軸伸縮部109によってテンプレートの時間軸が伸縮され、車両の速度に対応するよう任意の速度のテンプレートが作成される。また、テンプレートの数を多くしすぎると距離算出部107で距離の演算量が多くなるので、10[km/h]程度の間隔でテンプレートを作成するのが好ましい。
【0059】
なお、本実施の形態では、複数の速度に対応した複数のテンプレートの情報を予め保持する必要のないよう時間軸伸縮部109を設けた構成としたが、複数の速度に対応したテンプレートを予め保持しておき時間軸伸縮部109を設けない構成とすることもできる。このように予め複数のテンプレートを保持することによって時間軸伸縮部109がテンプレートを伸縮する演算量を削減することができる。
【0060】
また、周囲に他の車両や騒音源がない条件下で車両を予め設定された複数の速度でそれぞれ走行させて取得した音源方向データをテンプレートとしてもよい。
【0061】
次いで、音源方向蓄積バッファ106に蓄積された音源方向データとテンプレートとの距離Dが(式7)に従って算出される(ステップS205)。
【0062】
【式7】
Figure 2004191180
ここでは、音源方向蓄積バッファ106に蓄積された音源方向データをf[i]、テンプレートをt[i]で表している。また、距離DはテンプレートのサイズWsで正規化される。この距離Dは、音源方向蓄積バッファ106に蓄積された音源方向データとテンプレートが類似しているほど「0」に近づく。
【0063】
図4は、音源方向データの一例に距離Dの算出例が重ねて示されている。楕円の枠で示した部分のように音源方向が右上がりに変化するところでは距離Dが極小値をとっている。この時刻は車両が複数のマイクロホン103a〜103cの正面を通過する時刻に対応している。
【0064】
以上説明したように、距離Dが極小になる位置を算出することによって、単に騒音の音圧レベルが極大となる時刻を検出する方法に比べて車両が複数のマイクロホン103a〜103cの正面を通過する時刻がより正確に検出できることを示している。
【0065】
本実施の形態では、車両検出方法として、車両通過時刻、車両進行方向、および車両の速度を算出できる。車両通過時刻の算出方法は、時間軸の伸縮を行わないテンプレートAおよびテンプレートBのそれぞれを用いて、音源方向蓄積バッファ106に蓄積された音源方向データとの距離が算出され、何れかが極小値をとる時刻が車両通過時刻として決定される。
【0066】
また、車両進行方向の算出方法は、テンプレートAおよびテンプレートBの何れのテンプレートで最小値が検出されたかによって車両の進行方向が決定される。
【0067】
さらに、車両進行方向の算出方法は、車両の速度に対応するようテンプレートの時間軸を伸縮して複数のテンプレートが時間軸伸縮部109によって作成され、作成された複数のテンプレートと音源方向蓄積バッファ106に蓄積された音源方向データとの距離Dがそれぞれ算出され、算出された距離Dが最小になったテンプレートによって車両の時速が決定される。
【0068】
本実施の形態では、車両検出情報として、車両が複数のマイクロホン103a〜103cの正面を通過する時刻と進行方向と速度が算出される構成としたが、これらのうちの一つまたは、二つが算出される構成としてもよい。例えば、車両が複数のマイクロホン103a〜103cの正面を通過する時刻のみを算出したい場合には、車両の速度を算出する目的でテンプレートの時間軸伸縮を行う必要がないので時間軸伸縮部109を省略することができる。
【0069】
次いで、車両が検出された場合にはステップS207に進み、車両が検出されない場合にはステップS101に戻り次のフレームが処理される(ステップS206)
【0070】
次いで、音圧レベルが音圧レベル算出手段115によって算出される。(ステップS207)ここでは、車両が1つのマイクロホン103aの正面を通過するまでの時間差を吸収するため、1つのマイクロホン103aの出力が信号蓄積バッファ114に予め設定された時間だけ蓄積される。次いで、信号蓄積バッファ114に蓄積された騒音信号から車両が複数のマイクロホン103a〜103cの正面を通過した時刻に収集された騒音の音圧レベルが算出される。この音圧レベルの算出時間長は、10[ms]〜100[ms]の範囲に設定するのが好ましい。また、騒音測定に一般に用いられている公知のA特性もしくはC特性が実用的である。
【0071】
次いで、騒音の種別が音種別判定手段116によって判定される。(ステップS208)音種別判定とは、音の特徴を表す特徴量をもとに音の種別を判定することである。本実施の形態のように車両の音種別判定を行う目的としては、普通車やバイクやトラック等の車種の検出を行う車種検出がある。また、他の目的としていわゆる暴走車や整備不良車などを検出する整備不良車両検出がある。この種の判定を行う方法としては、統計的手法やニューロモデルを用いた方法など、多くの方法があるが、ここでは、統計的手法として公知の判別分析を用いた方法に従って説明する。
【0072】
音種別判定を行う前段階として音の特徴を表す特徴量を決定し、音種別判定に用いる判別係数と重心座標が予め算出される。特徴量としては、音の周波数特性を表す帯域レベルが用いられる。帯域レベルは、公知のFFTにより周波数毎にパワーが算出され、帯域毎にパワーが加算されたのち、デシベル値に変換される。このときの帯域幅は、1オクターブまたは1/3オクターブバンド幅が適しており、1/3オクターブバンド幅の場合には中心周波数50Hzから12.5kHzまでとするのが適している。判別係数と重心座標の算出は、車種判別の場合には、普通車、バイク、トラック等の判別を行いたい判別グループ毎に最低10以上の音サンプルについて帯域レベルを特徴量として算出し、各車種が分類できる判別係数と重心座標を公知の判別分析に従って算出しておく。また、整備不良車両検出の場合には、暴走車や整備不良車等の検出を行いたい判別グループ毎に最低10以上の音サンプルを準備すると同時に、工事音や緊急自動車等の警報音など、音圧レベルが大きく誤検出の原因となると想定される各判別グループについても最低10以上の音サンプルを準備し、各判別グループについて帯域レベルを特徴量として算出し、各車種が分類できるよう判別係数と重心座標を公知の判別分析に従って算出しておく。
【0073】
次いで、車両が複数のマイクロホン103a〜103cの正面を通過する時刻に一つのマイクロホン103aが受信した騒音の周波数特性が周波数特性算出部117によって算出される(ステップS209)。周波数特性の算出方法は高速フーリエ変換により周波数毎にレベルを算出する方法もあるが、後工程での音種別判定の演算量が大きくなるため、帯域レベルを算出する方法が適している。
【0074】
次いで、判別分析により予め算出された判別係数を用いて判別関数上の座標Xj(j=1〜M)が(式8)に従って座標算出部118によって算出される(ステップS210)。
【0075】
【式8】
Figure 2004191180
ここで、次元数Mは判別グループの数−1であり、αijは判別係数である。
【0076】
次いで、判別分析により予め算出されたYk(k=1〜M−1)で表される重心座標とステップS210で算出された座標との距離Dk(k=1〜M−1)が距離算出部120によって(式9)に従って算出され、算出された距離Dkが最小になる判別グループが音種別として出力される(ステップS211)。
【0077】
【式9】
Figure 2004191180
次いで、音圧レベルが予め設定された閾値の音圧レベルよりも大きく、かつステップS211で判定された騒音が予め分類された複数の種類の騒音の何れか少なくとも一つに含まれるか否かが車両検出手段125によって判定される(ステップS212)。
【0078】
次いで、騒音の音圧レベルが予め設定された閾値よりも大きく、かつ複数の種類の騒音の何れか少なくとも1つに含まれると判定されたとき、2台の撮像手段102a,102bのうち少なくとも1つによって撮像された車両の画像情報と騒音に関連する情報が予め設定された通信先に送信される。(ステップS213)。
【0079】
以上説明したように、単に音圧レベルが極大になる時刻を検出する方法と比較して、車両がM個のマイクロホン103a〜103cの正面を通過する時刻をより正確に検出することができる。したがって2台の撮像手段102a,102bの間にM個のマイクロホン103a〜103cを配置し、2台の撮像手段102a,102bがM個のマイクロホン103a〜103cの正面付近を撮像することにより、車両を運転する運転者の画像やナンバープレート情報を含む車両の前面を撮像することができる。
【0080】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の車両検出装置は、複数の車両が絶間なく走行する道路であっても、騒音が複数の車両の何れから発生したのかを判定することが容易な車両検出装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の車両検出装置の構成を示すブロック図
【図2】本発明の実施の形態の車両検出装置の動作を示すフローチャート
【図3】本発明の実施の形態の車両検出装置の音源方向算出手段の構成を示すブロック図
【図4】本発明の実施の形態の車両検出装置が算出した音源方向の一例を示す図
【図5】本発明の実施の形態の車両検出装置のテンプレート保持部に保持されたテンプレートの一例を示す図
【図6】従来の車両検出装置の構成を示すブロック図
【符号の説明】
102a、102b 撮像手段
103a、103b、103c マイクロホン
104 音源方向算出手段
105 移動体状態算出手段
106 音源方向蓄積バッファ
107 距離算出部
108a 第1テンプレート保持部
108b 第2テンプレート保持部
109 時間軸伸縮部
114 信号蓄積バッファ
115 音圧レベル算出手段
116 音種別判定手段
117 周波数特性算出部
118 座標算出部
119 判別係数算出部
120 距離算出部
121 重心算出部
125 車両検出手段
126 通信手段
127 情報蓄積手段
303a、303b、303c 波形切出し部
304a、304b、304c 周波数分析部
305 相関行列算出部
306 走査範囲設定部
307 方向制御ベクトル生成部
308 方向別パワー算出部
309 方向算出部

Claims (10)

  1. 移動体の発する音を所定の範囲内で集音する複数のマイクロホンと、前記複数のマイクロホンの出力信号をもとに前記移動体の存在する方向を算出する方向算出手段と、前記方向の変化を検出して前記所定の範囲内における前記移動体の移動状態を算出する移動状態算出手段と、前記移動状態をもとに前記移動状態が所定の位置を通過する通過時刻を算出する通過時刻算出手段と、前記通過時刻に前記所定の位置で集音された音をもとに前記移動体の発する音の種別を判定する音種別判定手段とを備えたことを特徴とする移動体検出装置。
  2. 前記移動状態算出手段は、前記移動状態の典型を示す複数のテンプレートを有し、前記複数のテンプレートと前記方向算出手段の算出結果との比較を行って、前記移動体の移動状態を算出することを特徴とする請求項1に記載の移動体検出手段。
  3. 前記移動体位置算出手段は、前記移動体が異なる方向に進行した場合の移動状態の典型を示す複数のテンプレートを有し、前記複数のテンプレートと前記方向算出手段の算出結果との比較を行って、前記移動体の移動状態を算出することを特徴とする請求項1に記載の移動体検出手段。
  4. 前記移動体位置算出手段は、前記移動体が異なる速度で進行した場合の移動状態の典型を示す複数のテンプレートを有し、前記複数のテンプレートと前記方向算出手段の算出結果との比較を行って、前記移動体の移動状態を算出することを特徴とする請求項1に記載の移動体検出装置。
  5. 道路を走行する複数の移動体から発生した騒音を集音し、集音した前記騒音を複数の騒音信号に変換し、変換した前記複数の騒音信号を入力する複数のマイクロホンと、前記複数のマイクロホンによって入力された前記複数の騒音信号を時間軸に沿って複数のフレームに分割し、分割した前記フレーム毎に前記複数の騒音信号から前記騒音の音源方向を算出する音源方向算出手段と、この音源方向算出手段によって算出された前記音源方向から前記複数の移動体が前記複数のマイクロホンの正面を通過する時刻をそれぞれ算出する通過時刻算出手段と、この通過時刻算出手段によって算出された前記時刻に前記複数のマイクロホンの何れか少なくとも1つが集音した前記騒音から音圧レベルを算出する音圧レベル算出手段と、この音圧レベル算出手段によって算出された前記音圧レベルが予め設定された閾値を超えたか否かを判定し、前記音圧レベルが前記閾値を超えたと判定したとき前記通過時刻算出手段によって算出された前記時刻に集音された前記騒音を分析し、分析した前記騒音の音種別を判定する音種別判定手段と、この音種別判定手段によって判定された前記騒音が予め分類された複数の種類の騒音の何れか少なくとも1つに含まれるか否かを判定することにより前記複数の種類の騒音の何れか少なくとも1つに含まれる前記騒音を発生する移動体を検出する移動体検出手段とを備えることを特徴とする移動体検出装置。
  6. 前記通過時刻算出手段は、前記音源方向算出手段によって前記フレーム毎に算出された前記音源方向を音源方向データとして蓄積する音源方向蓄積バッファと、前記道路を予め設定された一定の速度で走行する前記移動体から発生した前記騒音が前記音源方向の動きとして示された少なくとも1つのテンプレートを保持するテンプレート保持部と、このテンプレート保持部に保持された前記テンプレートと前記音源方向蓄積バッファに蓄積された前記音源方向データとの差分の絶対値の総和を前記テンプレートと前記音源方向データとの距離として算出する距離算出部とを備え、
    前記距離算出部は、前記音源方向データに対して前記テンプレートを時間軸に沿って予め設定された時間ずつシフトし、シフトする毎に前記距離を算出し、算出した複数の前記距離から極小値を検出し、検出した前記極小値から前記移動体が前記複数のマイクロホンの正面を通過する時刻を算出することを特徴とする請求項5に記載の移動体検出装置。
  7. 前記通過時刻算出手段は、前記音源方向算出手段によって前記フレーム毎に算出された前記音源方向を音源方向データとして蓄積する音源方向蓄積バッファと、前記道路を予め設定された一定の速度で第1方向に走行する前記移動体から発生した前記騒音が前記音源方向の動きとして示された第1テンプレートを保持する第1テンプレート保持部と、前記第1方向に対向する第2方向に走行する前記移動体から発生した前記騒音が前記音源方向の動きとして示された第2テンプレートとを保持する第2テンプレート保持部と、第1テンプレート保持部に保持された前記第1テンプレートと前記音源方向蓄積バッファに蓄積された前記音源方向データとの差分の絶対値の総和を第1距離として算出し、さらに第2テンプレート保持部に保持された前記第2テンプレートと前記音源方向蓄積バッファに蓄積された前記音源方向データとの差分の絶対値の総和を第2距離として算出する距離算出部とを備え、
    前記距離算出部は、前記第1距離を算出するとき、前記音源方向データに対して前記第1テンプレートを時間軸に沿って予め設定された時間ずつシフトし、シフトする毎に前記第1距離を算出し、算出した複数の前記第1距離から極小値が存在するか否かを判定し、さらに前記第2距離を算出するとき、前記音源方向データに対して前記第2テンプレートを時間軸に沿って予め設定された時間ずつシフトし、シフトする毎に前記第2距離を算出し、算出した複数の前記第2距離から極小値が存在するか否かを判定し、前記第1距離と前記第2距離とのうち前記極小値が存在する方の算出結果から前記移動体の進行方向を判定し、さらに前記極小値から前記移動体が前記複数のマイクロホンの正面を通過する時刻を算出することを特徴とする請求項5に記載の移動体検出装置。
  8. 前記通過時刻算出手段は、前記音源方向算出手段によって前記フレーム毎に算出された前記音源方向を音源方向データとして蓄積する音源方向蓄積バッファと、前記道路を予め設定された一定の速度で走行する前記移動体から発生した前記騒音が前記移動体の予め設定された複数の速度に対応した前記音源方向の動きとして示された複数のテンプレートを保持するテンプレート保持部と、このテンプレート保持部に保持された前記複数のテンプレート夫々と前記音源方向蓄積バッファに蓄積された前記音源方向データとの差分の絶対値の総和を前記テンプレートと前記音源方向データとの距離として算出する距離算出部とを備え、
    前記距離算出部は、前記音源方向データに対して前記複数のテンプレート夫々の時間軸に沿って予め設定された時間ずつシフトし、シフトする毎に前記距離を算出し、算出した複数の前記距離から極小値を検出し、検出した前記極小値から前記移動体が前記複数のマイクロホンの正面を通過する時刻を算出し、さらに前記極小値が最も小さい数値を示したテンプレートから前記移動体の速度を算出することを特徴とする請求項5に記載の移動体検出装置。
  9. 前記通過時刻算出手段は、前記音源方向算出手段によって前記フレーム毎に算出された前記音源方向を音源方向データとして蓄積する音源方向蓄積バッファと、前記道路を予め設定された一定の速度で走行する前記移動体から発生した前記騒音が前記音源方向の動きとして示された少なくとも1つのテンプレートを保持するテンプレート保持部と、前記移動体の複数の速度に対応した複数のテンプレートを生成するよう前記テンプレート保持部に保持された前記テンプレートの時間軸を伸縮する時間軸伸縮部と、この時間軸伸縮部によって時間軸が伸縮された複数のテンプレート夫々と前記音源方向蓄積バッファに蓄積された前記音源方向データとの差分の絶対値の総和を前記テンプレートと前記音源方向データとの距離として算出する距離算出部とを備え、
    前記時間軸伸縮部は、前記テンプレート保持部に保持された前記テンプレートの時間軸を伸縮することにより前記移動体の複数の速度に対応する複数のテンプレートを生成し、
    前記距離算出部は、前記音源方向データに対して前記テンプレートを時間軸に沿って予め設定された時間ずつシフトし、シフトする毎に前記距離を算出し、算出した複数の前記距離から極小値を検出し、検出した前記極小値から前記移動体が前記複数のマイクロホンの正面を通過する時刻を算出し、さらに、前記移動体の複数の速度に対応する前記テンプレート毎に前記音源方向データに対して前記テンプレートを時間軸に沿って予め設定された時間ずつシフトし、シフトする毎に前記距離を算出し、算出した複数の前記距離から前記移動体の速度を算出することを特徴とする請求項5に記載の移動体検出装置。
  10. 予め設定された通信先と通信する通信手段を備え、
    前記移動体検出手段が、前記通過時刻算出手段によって算出された前記時刻に集音された前記騒音の前記音圧レベルが前記閾値を超えたと判定し、さらに前記時刻に集音された前記騒音が予め分類された複数の種類の騒音の何れか少なくとも1つに含まれると判定したとき、
    前記通信手段は、前記通過時刻算出手段によって算出された前記時刻に集音した前記騒音から算出された前記騒音に関連する情報と前記通過時刻算出手段によって算出された前記時刻に前記マイクロホンの正面を通過した前記移動体が撮像された撮像情報とを前記通信先へ送信することを特徴とする請求項5から請求項9までの何れかに記載の移動体検出装置。
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