JP2004190062A - ゴルフクラブヘッド用低密度鉄基合金材料 - Google Patents

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Abstract

【課題】特に鋳造或いは鍛造によるクラブヘッドに適用でき、6.6g/cm以下の密度を有すると共に、高い防錆効果を持たせるように、適当に合金設計の変更や製造工程における条件の制御を行って機械的性質を変更させることにより、ドライバーの打撃面に適用した、優れた鍛造表面を提供するゴルフクラブヘッド用低密度鉄基合金材料を提供する。
【解決手段】Mn:25.0〜31.0w.t.%、Al:7.0〜10.0w.t.%、C:0.90〜1.10w.t.%、Cr:5〜7w.t.%、Si:0.8〜1.5w.t.%及びFe残部から成るゴルフクラブヘッド用低密度鉄基合金材料。
【選択図】 図5

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、特に鋳造或いは鍛造によるクラブヘッドに適用でき、6.6g/cm以下の密度を有すると共に、高い防錆効果を持たせるように、適当に合金設計の変更や製造工程における条件の制御を行って機械的性質を変更させることにより、ドライバーの打撃面に適用した、優れた鍛造表面を提供するゴルフクラブヘッド用低密度鉄基合金材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図1に示すように、現有のドライバー(1番ウッド)ヘッドの製法方法にはロストワックス精密鋳造法及び鍛造加工法などの二種類があり、その内、精密鋳造法はワックス模型に耐火物系スラリーを塗布した後、更にサンドスプレーを行ない、この工程を数回繰り返した後、乾燥、脱ロー作業を行なって砂型を完成させ、その後、その中に熔融した金属を流し込み、冷却した後、製品を取出す技術であり、鍛造加工法は熱間鍛造或いは冷間鍛造により製造された板材を適当なサイズに切断し、ドライバーヘッドに溶接する技術である。
【0003】
また、他の方法としては、表面メッキ加工(例えば、ニッケル、コバルト、ダイアモンドなど)或いは嵌め付け加工などがあるが、全体的にみると、ロストワックス鋳造法はコストが低く、鍛造加工法は多方面で優れていると言える。
図2においてロストワックス鋳造法及び鍛造加工法によりアイアンヘッドを製造するための合金の機械的性質を示す。
【0004】
また、従来のウッド(木製)クラブヘッドの後部は一般に略円形であり、シャフトは比較的に長いので、主に第一打目や長距離用に使用されると共に、そのウッドクラブには夫々ヘッドのロフト角やシャフトの長さが異なる、ドライバー(1番)、ブラッシー(2番)、スプーン(3番)、バフィー(4番)及びクリーク(5番)などがあり、近年には個人のテクニックや体力、好みにより7番や9番も使用されるようになった。また、前記ドライバーにおけるシャフトの長さは43.5〜46.5インチの範囲であると共に、ロフト角は7.0〜11.5度の間であり、ドライバー以下のクラブは段階的にシャフトの長さが0.5インチずつ短縮されると共に、ロフト角が3度ずつ大きくなり、一般にシャフトが長いほど打球の飛距離が増し、ロフト角が大きいほど打球が高く飛ぶ。
【0005】
木製のクラブヘッドの材料は主にパーシモン(柿木)が使用されていたが、近年、徐々に耐食性、靱性及び強度などの面から金属材料に変わりつつある。現在よく使用されているのは純チタン、チタン合金6−4、SP−700、15−3−3−2、2041や、両相ステンレス2205、ステンレス17−4PH、AISI431、AISI455、AISI456や、航空用Al−Li合金及びBe−Cu合金などであり、その中でも純チタンや、チタン合金6−4、SP−700、15−3−3−2、2041は非常に高価な材料であるが、材質の特性に優れているため、木製よりも使用比率が高い。
【0006】
現在のアイアンヘッドは、如何にして正確な打撃を行うかなどを考慮して設計されたものであり、その効果の幾つかを以下に説明する。
1.ヘッドの大型化:一般にウッドクラブのヘッドの体積は280cm〜310cmの間であるが、400cmに達するものもあり、オーバーサイズのアイアンヘッドもある。それらの目的は、フェース面(スイートスポット)を大きくし、打撃の成功率を高めると共に、飛距離を延ばすことである。
2.重心が低い:現在の最新技術では、重心を低くすることにより、フェース面を正確に打撃させると共に、捩じれ慣性を増加させるので、飛距離を延ばすことができる。
3.空気抵抗が低く、フェース面が強化される:安定的にスイングさせ、フェース面を正確に打撃させると共に、捩じれのエネルギーの損失を防ぐために、最近ではコンピュータ援用設計(CAD)によってヘッドの形状を変更することにより、空気抵抗係数を低減させた異なる重心及びフェースを形成させ、そして、高圧押込み方式によってアイアン或いはウッドのフェース面を製造する。
【0007】
更に、以下にドライバーヘッドにおける主な部分の応力構造解析の結果を示す。
1.フェース面:フェース面は直接にボールと接触し、特にボールの力がかかる個所であることから、一般にその厚度を2.5〜3.5mmの間にし、変形不能且つ適当な靱性を有する材料を採用することにより、ドライバーヘッドを60〜150ksiの間に設定することが多い。
2.ソール:ソールは直接に地面と接触することから、一般にその厚度を3〜5mmの間にし、耐磨耗性、耐食性及び高強度を具備させる必要がある。
3.ホーゼル:スチールシャフト或いはカーボンシャフトがつながれるホーゼルとフェース面との間にはロフト角を有し、そのホーゼルには本体と同一の材質が採用される。
【0008】
また、ゴルフクラブには規格があり、その規格はクラブヘッドの重量により定められるので、低密度で、伸び率及び靱性に優れると共に、一定の強度を有し、且つ低価格の新素材を開発すれば、適当な強度で打球を安定させ、フェースの厚さを薄肉化できると共に、優れた伸び率及び靱性でボールのコントロール性を向上させることができ、更に、図3に示すように、現有のドライバーヘッドに使用される最も優れた合金材料は引張強さが60〜155ksi、降伏強さが30〜145ksi、伸び率が12〜64%、密度が4.5〜8.0g/cmであり、この素材を使用する場合、耐食性を同時に具備させることができれば、最も打撃性に優れたドライバーヘッドを製造できることになる。
【0009】
また、以前より国内外においてFe−Al−Mn系合金が専門家の間で広く研究されており、合金組成を調整することによって、Fe−Al−Mn系合金に優れた強度、靱性、耐冷性、耐熱性又は耐磨耗性などの特性を持たせた知見が多数論文に掲示されている。
以下、これらの研究に関する文献を示す。
1. 1960年 Schmatz,D.J.氏による“Structure and Properties of
Austentic Alloys Containing Aluminum and Silicon”(Trans.ASM. 第
52巻 898ページ)。
2. 1975年 Krivonogov,G.S.氏等による“Phase Trasformation
Kinetics in Steel 9G28Yu9MVB”(Phys.Met.&Metallog 第4巻 29 ペ
ージ)。
3. 1978年4月 Banerji,S.K.氏による“An Anstenitic Stainless Steel
Without Nickel or Chromium ”(Met.Prog.59ページ)。
4. 1981年 Charles,J.氏等による“Phase Decomposition of Rapidly
Solidified Fe−Mn−Al−C Austenitic Alloys”(Met. Prog. 71ペー
ジ)。
5. 1983年 Wang,R.氏等による“New Stainless Steel Without Nickel
or Chromium for Alloys Applications”(Met. Prog. 72ページ)。
6. 1981年 J.Charles.氏等による“New Cryogenic Materials”(Met. Prog.71ページ)。
7. 1990年 Tjong,S.C.氏等による“Electron Microscope Observations of Phase Decompositions in an Austentic Fe−8.7Al−29.7Mn−1.04C
Alloy”(Mater.Char.第24巻 275ページ)。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
上記研究結果によると、その主要成分はFeとAlとMnとCであり、Mn元素を添加するとオーステナイト相が安定して、合金が常温或いは低温状態において面心立方(FCC)構造となり、Fe−AlやFe−Al−C合金の脆性が改善され、合金における靱性及び加工性が良好となる。また、Al元素を添加すると合金の酸化抵抗性及び脆性が高まる。C元素を添加すると強化元素が析出し、即ち、それらから成る合金を1050〜1200℃の温度で固溶化熱処理を行った後、急速に焼き入れを行なうことにより、オーステナイト相を得ると共に、450〜750℃の温度で時効処理を行なうことにより、オーステナイトマトリックスに微細の(Fe,Mn)AlC相炭化物を析出させる。また、成分に応じて長時間に亘り時効処理を行なった後、粒界においてγ→α+β−Mn或いはγ→α+β−Mn+κ相などの相分解反応が発生することにより、粗大なβ−Mn析出物が形成されるので、材料の展延性が低下してしまう。故に、高強度且つ高靱性のFe−Al−Mn−C合金を得るためには、オーステナイトマトリックスに均一にκ相炭化物を析出させて、粒界において粗大なβ−Mnを発生させないことが重要である。
【0011】
また、研究によりFe−Al−Mn−C合金の成分の含有量をAl:5〜12w.t.%、Mn:20〜35w.t.%及びC:0.3〜1.3w.t.%に調整し、固溶化熱処理、焼入れ処理及び時効処理を行うことにより、引張強さが80〜200ksiの範囲内で、降伏強さが60〜180ksiの範囲内で、伸び率が62〜25%の範囲内である機械的性質が得られることがわかった。図4及び図5において学者によるFe−Al−Mn合金の典型的な成分と機械的性質の研究結果(比較表)を示す。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、
Mn:25.0〜31.0w.t.%、Al:7.0〜10.0w.t.%、C:0.90〜1.10w.t.%、Cr:5〜7w.t.%、Si:0.8〜1.5w.t.%及びFe残部から成るゴルフクラブヘッド用低密度鉄基合金材料、を提供する。
【0013】
本発明は上記の課題を解決するものであり、合金設計及び製造工程による加工処理により、ゴルフクラブヘッド用低密度鉄基合金材料を設計することにより、低密度(6.6g/cm以下)及び高展延性(10%以下)で、引張強さが220〜280ksiの範囲で、降伏強さが200〜230ksiの範囲で、且つ、耐食性を有する素材を提供できる。また、Mn:25.0〜31.0w.t.%、Al:7.0〜10.0w.t.%、C:0.90〜1.10w.t.%及びCr:5〜7w.t.%を主な組成成分とし、更にその中に大気耐食性に優れたSi:0.8〜1.50w.t.%を添加し、それ以外の成分をFeとしてもよい。この場合、鋳造部材の冷却過程或いは塑性加工後に、950〜1270℃の温度で1〜24時間熱処理すると、異なる比例の析出相を得ることができ、材料密度も6.1〜6.6g/cmの範囲内となるので、低密度で且つ防錆性に優れたゴルフクラブヘッド用材料を提供することができる。
【0014】
以下、添付図面を参照して本発明の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0015】
【発明の好適な実施の形態】
図5は本発明に係わるゴルフクラブヘッド用低密度鉄基合金材料の成分を示す比較図であり、図6は本発明に係わるゴルフクラブヘッド用低密度鉄基合金材料の機械的性質を示す比較表であり、図7は本発明に係わるゴルフクラブヘッド用低密度鉄基合金材料における熱間鍛造温度と表面粗さとの関係を示す線図である。
【0016】
本発明のゴルフクラブヘッド用低密度鉄基合金材料はFe、Mn、Al、C、Tiの元素を主な組成成分とし、更にその中にSi、Ti及びMoの元素を添加してもよい。
更に詳しく説明すると、その合金材料はMnの含量は25.0〜31.0w.t.%であり、Alの含量は7〜10w.t.%であり、Cの含量は0.9〜1.1w.t.%であり、Crの含量は5〜7w.t.%であり、Siの含有量は0.8〜1.5w.t.%であり、Tiの含量は2〜5w.t.%であり、Moの含量は0.5〜1w.t.%であり、その他の成分はFeにより占められる。それらの成分範囲を図5において示すが、その中のNo.1〜10は本発明の成分範囲であり、No.11〜20は比較実施例である。
【0017】
また、図6に示すように、No.2の合金は、1100℃の温度で2時間熱処理を行った場合の数値であり、それによると密度は6.518g/cmであり、引張強さは986Mpaであり、降伏強さは763.4Mpaであり、伸び率は38.5%であり、密度は6.518g/cmであると共に、5%の塩水で48時間塩水噴霧試験を行った結果、及び打撃試験を3000発行った結果は共に合格であった。
No.6の合金は、1100℃の温度で2時間熱処理を行った場合の数値であり、それによると引張強さは1247.4Mpaであり、降伏強さは895.6Mpaであり、伸び率は10.1%であり、それらの数値は全て通常のクラブヘッド製造の標準値を満たしている。更に密度は6.273g/cmであり、5%の塩水で48時間塩水噴霧試験を行った結果、及び打撃試験を3000発行った結果は共に合格であった。
No.7の合金は、常温下でローラー圧延加工を行なった場合の数値であり、それによると引張強さは1891.8Mpaであり、降伏強さは1785.6Mpaであり、伸び率は17.5%であり、比強度は2.9であり、その他の常用の合金よりも機械的性質に優れているので、ゴルフクラブヘッドの材質として適している。更に、密度は6.513g/cmであり、5%の塩水で48時間塩水噴霧試験を行った結果、及び打撃試験を3000発行った結果は共に合格であった。
No.11の合金は米国特許第4968357号に示されるものであり、その引張強さは1321.4Mpaであり、降伏強さは1242.8Mpaであり、伸び率は36.9%であり、密度は6.771g/cmであると共に、No.12の合金も米国特許第4968357号に示されるものであり、その引張強さは878.5Mpaであり、降伏強さは635.7Mpaであり、伸び率は27.8%であり、密度は6.695g/cmであった。
上記No.11及び12の材料は共に5%の塩水で48時間の塩水噴霧試験、及び打撃試験3000発の結果において不合格で、理想の標準値に達していなく、密度は予め設定しておいた目標値を超えていた。
No.19の合金は1100℃の温度で2時間熱処理を行った場合の数値であり、その引張強さは834.5Mpaであり、降伏強さは632.9Mpaであり、伸び率は37.5%であり、密度は6.738g/cmであり、5%の塩水で48時間塩水噴霧試験を行った結果、及び打撃試験を3000発行った結果は共に合格であったが、密度は予め設定しておいた目標値を超えていた。
No.20の合金は1100℃の温度で2時間熱処理を行った場合の数値であり、その引張強さは821.5Mpaであり、降伏強さは618.9Mpaであり、伸び率は43.5%であり、密度は6.649g/cmであると共に、打撃試験を3000発行った結果、及び5%の塩水で48時間塩水噴霧試験を行った結果は合格であったが、密度は予め設定しておいた目標値を超えていた。
【0018】
図7に示すように、前記No.2の合金は900〜1200℃の温度によりゴルフクラブヘッドに鍛造加工されるが、その時の表面粗さは温度の上昇に従って2.4μmから5.8μmに変化することが分かった。故に、表面粗さを高品質である3μm以下にするために、熱間鍛造加工を1100℃以下で行う必要がある。
【0019】
以下、各種添加元素の成分限定理由を詳細に説明する。
Mn:通常、MnはFeと共存し、また、Sと結合し易いので、Sによる合金への熱脆性の悪影響を防ぐことができると共に、合金中の酸化物を除去することができる。更に、高炭素鋼状態では、MnはCと結合してMnCになると同時に、FeCと固溶して(Fe,Mn)Cに成るので、合金材料の強度及び硬度を増強することができる。故に、Mn含有量が25w.t.%より少ない時は、製造過程或いは完成後にフェライト相が発生し易く、加工性や伸び性に悪影響を及ぼす虞があり、Mn含有量が31w.t.%以上の時はβ−Mn相が結晶粒界において析出してしまい脆くなるので、本発明の合金におけるMn含有量を25w.t.%〜31w.t.%の間に制限する必要がある。
【0020】
Al:Alは優れた脱酸素剤であり、結晶粒の成長を抑制し、酸化物或いは窒化物を分散的に形成させることにより、合金材料の展延性、加工性及び靱性などを高められるので、Al含有量が6.3w.t.%より少ない場合には、降伏強さは設定目標値の55ksiより低くなる。一方、Al含有量が7.8w.t.%より多い場合は、降伏強さは設定目標値の70ksiより大きくなる。故に、合金材料におけるAl含有量の範囲を7.0w.t.%〜10.0w.t.%の間に制限する必要がある。
【0021】
C:C元素には炭化物を析出させる作用があるだけではなく、C含有量を増加してフェライト相を減少させることによって、オーステナイト相を安定させることもできるので、C含有量が0.5w.t.%より多い時は、合金材料にオーステナイト相を安定的に形成させることができる。また、降伏強さを設定目標値である55〜70ksiの間にするためには、本発明の材料におけるC含有量を0.9〜1.1w.t.%の範囲に制限する必要がある。
【0022】
Cr:材料にCrを添加した場合、材料の耐食性及び酸化抵抗性を高められるだけでなく、材料の硬度及び高温強度も高めることができ、特に高炭素鋼の耐摩耗性には著しい効果があるが、Cr含有量が5.5w.t.%より少ない場合は、材料により製造されたクラブヘッドは塩水噴霧試験をパスできなく、また、Cr含有量が9.0w.t.%より多い時は、伸び率は設定目標値である65%より低くなるので、本発明の材料におけるCr含有量を5.0〜7.0w.t.%の範囲に制限する必要がある。例えば、若しCr含有量を5.5w.t.%より低くした場合は、クロム電気鍍金処理を行なうことによって、耐食性を向上させることができる。
【0023】
Si:Siは合金における気孔の形成を防止すると共に、収縮作用を増進でき、更に溶融鉄鋼の流動性も高められるが、Si含有量が1.5w.t.%より多い時は、伸び率が設定目標値である65%より低くなるので、合金材料に0.8w.t.%〜1.5w.t.%のSiを添加することにより、伸び率の目標を高める必要がある。
【0024】
Ti:Tiは材料の密度を小さくできると共に、材料の耐食性を高めることができるが、Ti含有量が0.35w.t.%以下の時は、それらの効果が現れ難いと共に、2.5w.t.%以上の時は、合金の伸び率が低下してしまう。故に、本発明の合金材料におけるTi元素の含有量を設定目標値である0.35〜2.5w.t.%の範囲内に制限して、合金材料の密度を低下させると共に、耐食性を高める必要がある。
【0025】
Mo:Moはオーステナイト相の粗大化温度を上昇させると共に、硬化層に進入することによって、脆性を防止でき、合金材料の高温強度、クリープ強さ及び高温硬度を高めることができると共に、合金材料の耐食性を向上させることができ、且つ耐磨耗性の炭化モリブデン粒子を形成でき、更に溶鋼液の流動性を高めることができる。しかし、Moの含有量が1.5w.t.%以上の時は、析出し過ぎて合金材料が脆化してしまうという問題が有るので、合金材料の流動性、鋳造性及び耐食性を向上させるために、本発明の合金材料におけるMo元素の含有量を設定目標値である0.5〜1.0w.t.%の範囲内に制限する必要がある。
【0026】
上述したように、本発明の鉄をベースとする合金によって、アイアンヘッドを鍛造成形する際は800℃〜1050℃の温度で熱間鍛造加工を施せば、Ra=2.4−3μm以下の優れた表面粗さを得ることができ、若し1050℃〜1200℃の温度で熱加工を行った場合は、酸化層が増加するだけでなく、部材の表面粗さRaが3μmより大きくなり、アイアンクラブの品質に悪影響を及ぼしてしまう。
【0027】
【発明の効果】
本発明は上記の構成を有するので、次のような効果がある。
1.機械強度:Cr、Mn、Cの含有量を制御すると共に、適当な機械加工により引張強さを220〜280ksiの範囲内にし、降伏強さを200〜230ksiの範囲内にすることによって、該合金材料でクラブヘッドを製造した場合、ゴルフクラブの特性を十分に発揮することができる。
2.合金材料中に7.0〜10.0w.t.%のAl元素、或いは2.0〜5.0w.t.%のTi元素を添加してもよく、且つ合金材料は面心立方構造(FCC)であり、該合金材料の密度を6.78〜7.05g/cmの範囲内に保持できるので、規格制限を満たした重量で、より大きい体積を有するゴルフクラブヘッドを製造することができる。
3.耐食性:材料中に、共に大気に対して優れた耐食性を有するCr及びTiを添加することにより、クラブヘッドの耐食性を向上できると共に、製造コストも下げることができる。
【0028】
上述したように、適当な成分の調整及び機械加工の条件で本発明のゴルフクラブヘッド用合金材料を使用することにより、更に低密度、高強度、耐食性及び機械加工の表面品質などを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ロストワックス鋳造法及び鍛造加工法により製造したゴルフクラブヘッドの特性比較表である。
【図2】従来のゴルフクラブヘッド用材料における機械的性質の比較図である。
【図3】従来のゴルフクラブヘッド用材料における機械的性質及び比強度の比較図である。
【図4】従来のFe−Al−Mn合金の典型的な組成成分及び機械的性質の比較表である。
【図5】本発明に係わるゴルフクラブヘッド用低密度鉄基合金材料の成分を示す比較図である。
【図6】本発明に係わるゴルフクラブヘッド用低密度鉄基合金材料の機械的性質を示す比較表である。
【図7】本発明に係わるゴルフクラブヘッド用低密度鉄基合金材料における熱間鍛造温度と表面粗さとの関係を示す図である。

Claims (2)

  1. Mn:25.0〜31.0w.t.%、Al:7.0〜10.0w.t.%、C:0.90〜1.10w.t.%、Cr:5〜7w.t.%、Si:0.8〜1.5w.t.%及びFe残部から成るゴルフクラブヘッド用低密度鉄基合金材料。
  2. 鉄基合金材料を800〜1050℃の温度で熱間鍛造することにより、その表面粗さを2.4〜3μmの間にすることを特徴とするゴルフクラブヘッド用低密度鉄基合金材料。
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