JP2004187942A - チューブポンプ、血液ポンプ及び体外循環装置 - Google Patents

チューブポンプ、血液ポンプ及び体外循環装置 Download PDF

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Masaaki Numazawa
正明 沼澤
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Abstract

【課題】人為的ミスによる逆送血・送液を起こすことのないチューブポンプ、血液ポンプ及び体外循環装置の提供。
【解決手段】円弧状又はほぼ円弧状の内周面を有するケーシング3と、ケーシングの内周面4の中心部に設けられた駆動軸5と、駆動軸を回転駆動するモータと、駆動軸に付設されたローラ6とを含むポンプ本体2と、ケーシングの内周面に沿うように配設され、ローラにより局部的に押圧される弾性チューブ10とを備え、弾性チューブに運転情報を入力可能なICタグ11を設け、ポンプ本体に該ICタグの運転情報を検出するICタグリーダー9と、その入力信号に基づいてモータの駆動を制御する制御部とを備えたチューブポンプ1。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、心臓病手術等において患者から脱血した血液をガス交換処理して再び送血するために使用される人工心肺装置等や人工透析等の体外循環装置に使用される、安全性の高いチューブポンプとそれを用いた血液ポンプ及び体外循環装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
体外に血液を導きながらガス交換処理し送血する人工心肺装置や老廃物を除去する人工透析において用いられる体外血液循環用の血液ポンプとして、円弧状又はほぼ円弧状の内周面を有するケーシングと、このケーシングの内周面の中心部に設けられた駆動軸と、該駆動軸を回転駆動するモータと、駆動軸に付設されたローラとを含むポンプ本体と、ケーシングの内周面に沿うように配設され、ローラにより局部的に押圧される弾性チューブとを備え、弾性チューブをローラによって内周面に押し付けながら駆動軸を回転駆動させることにより、弾性チューブ内の液体を送液するチューブポンプが用いられている。
このチューブポンプには、ポンプ用途(例えば送血用、サクション用、ベント用等の用途)、患者の体重等に応じて太さの異なる弾性チューブを取り付ける場合があり、使用状態に応じて目的の送液量が得られるようにポンプ回転数を適切に制御する必要がある。
【0003】
従来、この種のチューブポンプにおいて、使用する弾性チューブの大小に係わらず、単位時間当り常に適正な量の液を供給するための装置として、チューブの種別、容量等を表示した識別記号を識別手段で読み取り、この識別信号により設定手段に設定されたモータの回転数、又は単位時間当り輸液の送り量を調整することにより、常に適量の液を送り出せるように制御する輸液用回路とポンプが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
【特許文献1】
実開平4−111353号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来技術にあっては、人為的ミスによる逆送血・送液を防ぐ手段は付与されておらず、安全確認は専ら人間が目視等で行っていたため、手間がかかるとともに、人為的ミスを完全に防止するのは難しかった。
例えば、体外循環回路の一部に接続した弾性チューブをポンプ本体に装着し、血液を体外循環する場合、ポンプの回転方向設定を誤ると逆送血してしまう。
あるいはポンプの回転方向設定が正しくても、血液循環回路のイン/アウトを誤って取り付けると逆送血してしまう。
特に分離ヘッドポンプなどの場合、ポンプヘッドがコントローラーから見えず、回転(送血)方向を確認し難い。
【0006】
本発明は前記事情に鑑みてなされ、人為的ミスによる逆送血・送液を起こすことのないチューブポンプ、血液ポンプ及び体外循環装置の提供を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、本発明は、円弧状又はほぼ円弧状の内周面を有するケーシングと、前記ケーシングの内周面の中心部に設けられた駆動軸と、該駆動軸を回転駆動するモータと、前記駆動軸に付設されたローラとを含むポンプ本体と、前記ケーシングの内周面に沿うように配設され、前記ローラにより局部的に押圧される弾性チューブとを備え、前記弾性チューブを前記ローラによって前記内周面に押し付けながら前記駆動軸を回転駆動させることにより、前記弾性チューブ内の液体を送液するチューブポンプにおいて、前記弾性チューブに運転情報を入力可能なICタグを設け、前記ポンプ本体に該ICタグの運転情報を検出するICタグリーダーと、該ICタグリーダーの検出信号に基づいて前記モータの駆動を制御する制御部とを設けたことを特徴とするチューブポンプを提供する。
本発明のチューブポンプにおいて、ICタグを弾性チューブの一端側に設け、ICタグリーダーを、弾性チューブをポンプ本体に取り付けた際に、そのICタグと隣接した位置に設けた構成とするのが好ましい。
また制御部はICタグリーダーでICタグを検出しないとモータを駆動させない安全機構を含むことが好ましい。
さらにICタグは、少なくとも弾性チューブのサイズと駆動軸の最大回転数とを記憶するものであり、制御部は該ICタグから読み取った記憶データをもとにモータの運転状態を制御する構成とするのが好ましい。
またポンプ本体に、チューブのサイズ、用途表示、回転数、送液量、運転時間の少なくとも1つの情報を表示する表示部が設けられた構成としてもよい。
さらにポンプ本体に、制御部による制御運転モードを解除して手動制御モードに切り換える機能解除スイッチを設けた構成としてもよい。
【0008】
また本発明は、前記ICタグとICタグリーダーとを備えた前記チューブポンプを、血液の送液に用いたことを特徴とする血液ポンプを提供する。
さらに本発明は、前記ICタグとICタグリーダーとを備えた前記チューブポンプを、血液の送液に用いたことを特徴とする体外循環装置を提供する。
【0009】
【発明の実施の形態】
図1は本発明に係るチューブポンプの一実施形態を示す図であり、図1(a)はチューブポンプ1の平面図、(b)は弾性チューブ10の平面図である。このチューブポンプ1は、円弧状又はほぼ円弧状の内周面4を有するケーシング3と、このケーシング3の内周面4の中心部に設けられた駆動軸5と、この駆動軸5を回転駆動するモータ8と、駆動軸5に付設されたローラ6とを含むポンプ本体2と、ケーシング3の内周面4に沿うように配設され、ローラ6により局部的に押圧される弾性チューブ10とを備え、さらに弾性チューブ10にポンプ運転情報を入力可能なICタグ11を設け、ポンプ本体2側に該ICタグ11の運転情報を検出するICタグリーダー9と、該ICタグリーダー9の検出信号に基づいてモータ8の駆動を制御する制御部12とを設けた構成になっている。
【0010】
このチューブポンプ1は、弾性チューブ10を内周面4に沿わせてポンプ本体2に配設し、ローラ6によって内周面4に押し付けながら駆動軸5を回転駆動させることにより、弾性チューブ10内の液体を送液するようになっている。本例示においてローラ6は、駆動軸5に取り付けた円板状のローラ取付板7の周縁部に回転可能に取り付けられている。ローラ6の取付個数は、常に弾性チューブ10を1つ以上のローラ10が局部的に押圧していればよく、限定されない。
【0011】
前記ポンプ本体2の構成は特に限定されず、例えば、モータ8等を収容する外装体の上部に、該モータ8に接続された駆動軸5を突出させ、その周囲にケーシング3を設け、周縁部に複数のローラ6を回転可能に取り付けたローラ取付板7を該駆動軸5の先端に取り付け、さらに外部操作が可能なように少なくとも一部を外装体から露出させて制御部12を設けて構成することができ、これらの配置位置、個数、大きさ、形状等は適宜選択可能である。
ポンプ本体2には、チューブのサイズ、用途表示、回転数、送液量、運転時間などの情報のうち1つ以上を表示する表示部13を設けることが望ましい。この表示部13としては液晶ディスプレイ、ELディスプレイなどの薄型表示装置を用いることが好ましく、さらに指やペンで運転修正やオン/オフを入力可能なタッチパネル型表示装置を用いてもよい。またこの表示部13はポンプ本体2と別体としてもよい。
【0012】
弾性チューブ10は、シリコーン樹脂、軟質塩化ビニルなどの弾性を有する合成樹脂からなるチューブであり、その両端には体外に血液を導きながら処理し送血する人工心肺装置、老廃物を除去する人工透析などの図示しない体外循環回路が接続されている。弾性チューブ10は、回路の用途等に応じて直径が異なる各種のチューブを交換使用する。例えば送血ポンプでは直径3/8インチ、サクションポンプでは1/4インチ、ベントポンプでは1/4インチ、CP用では1/4インチの弾性チューブを標準的に用いるが、これらに限定されない。
【0013】
弾性チューブ10に取り付けたICタグ11は、例えばアンテナと集積回路(IC)とを接続した回路を有し、外部から照射される所定周波数の電波を受け、記憶された情報を電波で送信できるチップ状ICタグなどが用いられる。このICタグ11は、本例示では弾性チューブの一端側に取り付けられている。ICタグ11の取り付け方法は、弾性チューブ10からICタグ11が容易に外れなければよく、粘着テープ、クリップ等の固定手段を用いたり、弾性チューブ10にICタグ11固定用の袋や凹部を設け、そこに収納してもよい。
【0014】
前記ポンプ本体2に設けたICタグリーダー9は、所定周波数の電波を送信するとともに、ICタグ11からの応答電波を受信し、ICタグ11に記憶させておいた情報を制御部12に送るものや、制御部12と一体化されているものを用いることができ、これらのICタグリーダー9とICタグ11とは各種市販品の中から適宜選択して使用することができる。本例示において、ICタグリーダー9は、ケーシング3の片側に設けられ、ケーシング3の内周面4に沿って弾性チューブ10を配設した際に、弾性チューブ10の一端側に設けたICタグ11と隣接するように構成されている。
【0015】
図2は、本発明のチューブポンプにおいて好適に用いられるICタグ11とICタグリーダー9を用いた制御機構の一例を示す構成図である。この制御機構は、弾性チューブ10側のICタグ11と、ポンプ本体2側のICタグリーダー9と制御部12とを備えている。ICタグリーダー9は、ICタグ11の応答信号を受信すると、その情報を制御部12に送信し、制御部12は入力した信号に応じてモータ8を制御しながらポンプの運転を行、さらに運転情報を表示部13に表示する。
【0016】
制御部12は、ICタグリーダー9で隣接した位置にあるICタグ11を検出しないとモータ8を駆動させない安全機構を備えている。
前述した通り、このチューブポンプ1にあってはICタグ11を弾性チューブ10の一端側に設け、ICタグリーダー9を、弾性チューブ10をポンプ本体2に取り付けた際に、そのICタグ11と隣接した位置に設けているので、弾性チューブ10を逆向きに(ICタグ11がICタグリーダー9から離れる向きに)取り付けた場合、ICタグリーダー9がICタグ11を検知できず、制御部12はモータ8を駆動しない。
従って、このチューブポンプ1は、弾性チューブ10を逆向きに取り付ける人為的ミスを防ぐことができる。また、ICタグリーダー9によってICタグ11を検知して制御部12でモータ8の駆動を制御するので、回転方向を間違える人為的なミスを防ぐことができる。
なお、弾性チューブ10を逆向きに取り付けた場合、制御部12がこれを検知して表示部13に警告を表示したり、ブザー音等の警告音を発する構成とすることもできる。
【0017】
さらにICタグ11は、少なくとも弾性チューブ10のサイズと駆動軸5の最大回転数とを記憶し、制御部12はICタグ11から読み取ったこれらの記憶データをもとにモータ8の運転状態を制御する構成とするのが好ましい。その最大回転数はチューブポンプ1の用途に応じて異なり、以下にチューブポンプ1の用途(及び使用する弾性チューブの直径)と最大回転数を例示する。
・送血ポンプ(3/8インチ);最大回転数230rpm、
・サクションポンプ(1/4インチ);最大回転数50rpm、
・ベントポンプ(1/4インチ);最大回転数20rpm、
・CP用(1/4インチ);最大回転数10rpm。
これらの情報は、表示部13に表示されることが望ましい。表示の内容、表示画面の切換方法などは特に限定されない。
【0018】
このチューブポンプ1には、制御部12による制御運転モードを解除して手動制御モードに切り換える機能解除スイッチを設けておくことが望ましい。このチューブポンプ1は、通常使用時には、ICタグ11に記憶させておいた標準的な運転条件に従って、制御部12により自動的に運転状態を制御する制御運転モード(自動運転モード)となるが、患者の状態から医師が判断して、或いは体外循環回路の他の構成機器の運転切替等の突発的な運転状態の切換えが必要な場合には、前記機能解除スイッチの操作によって手動運転モードに切換える。手動運転モードでは、制御部12によるモータ8の制御が完全にまたは一部行われなくなり、モータ8のオン/オフ及び回転数の調整を手動で行うことができるようになる。
【0019】
このチューブポンプ1は、ICタグ11を弾性チューブ10の一端側に設け、ICタグリーダー9を、弾性チューブ10をポンプ本体2に取り付けた際に、そのICタグ11と隣接した位置に設けているので、弾性チューブ10を逆向きに取り付ける人為的ミスを防ぐことができる。また、ICタグリーダー9によってICタグ11を検知して制御部12でモータ8の駆動を制御するので、回転方向を間違える人為的なミスを防ぐことができる。従って、このチューブポンプ1は人為的ミスによる逆送血・送液を防ぐことができる。
またチューブのサイズ、用途表示、回転数、送液量、運転時間などの情報のうち1つ以上を表示する表示部13を設けることによって、運転状態の確認が容易となる。
さらにICタグ11に、少なくとも弾性チューブ10のサイズと駆動軸5の最大回転数とを記憶させ、制御部12によりICタグ11から読み取ったこれらの記憶データをもとにモータ8の運転状態を制御する構成とすれば、使用が容易となり、操作ミスを生じ難くなり、ポンプの過剰回転、特に吸引ポンプなどの回しすぎを防止できる。
また制御部12による制御運転モードを解除して手動制御モードに切り換える機能解除スイッチを設けることによって、緊急の操作に対応可能となる。
【0020】
本発明のチューブポンプ1は、人工心肺装置、人工透析などの体外循環回路に用いられる血液ポンプとして、またこの血液ポンプを備える体外循環装置において、特に有効である。
【0021】
【発明の効果】
本発明のチューブポンプは、弾性チューブを逆向きに取り付けたり、回転方向を間違える人為的なミスを防ぐことができ、人為的ミスによる逆送血・送液を防ぐことができる。
またチューブのサイズ、用途表示、回転数、送液量、運転時間などの情報のうち1つ以上を表示する表示部を設けることによって、運転状態の確認が容易となる。
さらにICタグに、少なくとも弾性チューブのサイズと駆動軸の最大回転数とを記憶させ、制御部によりICタグから読み取ったこれらの記憶データをもとにモータの運転状態を制御する構成とすれば、使用が容易となり、操作ミスを生じ難くなり、ポンプの過剰回転、特に吸引ポンプなどの回し過ぎを防止できる。
また制御部による制御運転モードを解除して手動制御モードに切り換える機能解除スイッチを設けることによって、緊急の操作に対応可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のチューブポンプの一実施形態を示し、(a)はチューブポンプの平面図、(b)は弾性チューブの平面図である。
【図2】本発明のチューブポンプにおける制御機構を例示する構成図である。
【符号の説明】
1…チューブポンプ、2…ポンプ本体、3…ケーシング、4…内周面、5…駆動軸、6…ローラ、7…ローラ取付部、8…モータ、9…ICタグリーダー、10…弾性チューブ、11…ICタグ、12…制御部、13…表示部。

Claims (8)

  1. 円弧状又はほぼ円弧状の内周面を有するケーシングと、前記ケーシングの内周面の中心部に設けられた駆動軸と、該駆動軸を回転駆動するモータと、前記駆動軸に付設されたローラとを含むポンプ本体と、前記ケーシングの内周面に沿うように配設され、前記ローラにより局部的に押圧される弾性チューブとを備え、前記弾性チューブを前記ローラによって前記内周面に押し付けながら前記駆動軸を回転駆動させることにより、前記弾性チューブ内の液体を送液するチューブポンプにおいて、前記弾性チューブに運転情報を入力可能なICタグを設け、前記ポンプ本体に該ICタグの運転情報を検出するICタグリーダーと、該ICタグリーダーの検出信号に基づいて前記モータの駆動を制御する制御部とを設けたことを特徴とするチューブポンプ。
  2. 前記ICタグが弾性チューブの一端側に設けられ、前記ICタグリーダーが、前記弾性チューブをポンプ本体に取り付けた際に、そのICタグと隣接した位置に設けられた請求項1記載のチューブポンプ。
  3. 前記制御部が、前記ICタグリーダーで前記ICタグを検出しないと前記モータを駆動しない安全機構を含む請求項1又は2記載のチューブポンプ。
  4. 前記ICタグが、少なくとも前記弾性チューブのサイズと前記駆動軸の最大回転数とを記憶するものであり、前記制御部は該ICタグから読み取った前記記憶データをもとに前記モータの運転状態を制御するように構成された請求項1〜3のいずれかに記載のチューブポンプ。
  5. 前記ポンプ本体に、前記弾性チューブのサイズ、用途表示、回転数、送液量、運転時間の少なくとも1つの情報を表示する表示部が設けられた請求項1〜4のいずれかに記載のチューブポンプ。
  6. 前記ポンプ本体に、前記制御部による制御運転モードを解除して手動制御モードに切り換える機能解除スイッチを設けた請求項1〜5のいずれかに記載のチューブポンプ。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載のチューブポンプを、血液の送液に用いたことを特徴とする血液ポンプ。
  8. 請求項1〜6のいずれかに記載のチューブポンプを、血液の送液に用いたことを特徴とする体外循環装置。
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