JP2004184651A - 静電荷像現像用イエロー現像剤及び画像形成方法 - Google Patents

静電荷像現像用イエロー現像剤及び画像形成方法 Download PDF

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Masahide Yamashita
昌秀 山下
Masaru Mochizuki
賢 望月
Fumio Kondo
富美雄 近藤
Kosuke Suzuki
浩介 鈴木
Tomomi Tamura
智美 田村
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Abstract

【課題】良好な発色性を持つ、長期間にわたり帯電の安定性に優れた静電荷現像用イエロー現像剤を提供すること。また、該静電荷像現像用イエロー現像剤を用い、画像品質の優れた画像形成方法を提供すること。
【解決手段】少なくとも結着樹脂及びイエロー着色剤を含むトナーと、磁性コア材表面に少なくとも樹脂及び粒子を含むコート層を設けたキャリアを混合してなる静電荷像現像用イエロー現像剤であって、該キャリアが、キャリア表面に、コート層に含まれる粒子に由来する凹凸を有するキャリアであり、該トナーが、有機溶媒中に変性ポリエステル系樹脂から成るプレポリマー、該プレポリマーと伸長または架橋する化合物、およびトナー組成分を溶解又は分散させ、該溶解又は分散物を水系媒体中で架橋反応及び/又は伸長反応させ、得られた分散液から溶媒を除去することにより得られたトナーであり、該イエロー着色剤が下記化合物(1)であることを特徴とする静電荷像現像用イエロー現像剤。
【化1】
Figure 2004184651

【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真や静電記録などにおいて、感光体表面に形成された静電荷像を顕像化する静電荷像現像用イエロー現像剤、及びこれを用いたカラー画像形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真装置や静電記録装置等においては、感光体上に形成された静電潜像にトナーを付着させ、それを転写材に転写し、次いで熱により転写材に定着させ、トナー画像を形成している。また、フルカラー画像形成は一般に黒、イエロー、マゼンタ、シアンの4色のトナーを用いて色の再現を行なうものであり、各色について現像を行ない、各トナー層を転写材上に重ね合わせたトナー像を加熱し、同時に定着することによって、フルカラー画像を得ている。
ところが、一般に印刷に見慣れたユーザーからすると、フルカラー複写機における画像は未だ満足できるレベルではなく、写真、印刷に迫る高精細性、高解像度を満足するさらなる高画質化が求められており、電子写真画像の高画質化には小粒径で且つ狭い粒径分布を持つトナーを使用することが知られている。
【0003】
従来の粉砕トナーは、熱可塑性樹脂中に、着色剤、帯電制御剤、オフセット防止剤などを溶融混合して均一に分散させ、得られた組成物を粉砕、分級することによりトナーを製造しており、このようなトナー製造法では、広範囲の粒径分布が形成され易く、良好な解像度と階調性のある複写画像を得ようとすると、例えば、粒径5μm以下の微粉と20μm以上の粗粉を分級により除去しなければならず、収率が非常に低くなるという欠点がある。特にカラートナーの場合、粉砕法では、着色剤や帯電制御剤などを熱可塑性樹脂中に均一に分散することが困難である。配合剤の不均一な分散は、トナーの流動性、現像性、耐久性、画像品質などに悪影響を及ぼしてしまう。
【0004】
近年、これらの粉砕法における問題点を克服するために、重合法によるトナーの製造方法が提案され、実施されている。静電潜像現像用のトナーを重合法によって製造する技術は公知であり、例えば懸濁重合法によってトナー粒子を得ることが行なわれている。
重合法によれば、従来の粉砕工程、練り工程を省くことができ、省エネルギー、生産時間の短縮、工程収率の向上等、コスト削減の寄与が大きく、さらに、トナー粒子を小粒径にすると同時に粒度分布も粉砕法に較べてシャープな分布にすることが容易で、高画質化への寄与も大きいことから、重合法は多いに期待される工法である。
【0005】
また、電子写真においてフルカラー画像を印刷並みに高画質化するためには、各トナーの色再現性が広いことが必要である。不具合なく上記目的を達成するには、透明性、耐光性、耐熱性に優れた着色剤を結着樹脂中に高分散せしめることである。
【0006】
従来知られているイエロートナー用の着色剤は種々の問題も多く抱えていた。例えば、一般に染料系の着色剤は透明性に優れるものの、耐光性に劣り、画像の保存安定性に問題がある。また、顔料系は、染料と比較して耐光性に優れているものの、例えばシアントナー用として使われている銅フタロシアニン系の顔料等と比較すると、まだまだ耐光性に問題がある。さらに、耐光性、耐熱性に優れるイエロー顔料でも、逆に隠蔽性が強すぎ、透明性が極端に低下してしまい、フルカラー用としては不向きであった。
【0007】
例えば、耐光性に優れたジスアゾ系の化合物及びその製法が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。これはピグメントイエロー180に代表される化合物群であり、耐光性、耐熱性に優れるばかりか、昨今の安全性要求にも合致するアゾ顔料の一つである。
また、ピグメントイエロー180を用いるイエロートナーは、多数記載されているが(例えば、特許文献2〜4参照。)、上記顔料を用いるトナーは、着色力に乏しく、加えて透明性も決して良好ではないが、上記特徴があるため粉砕トナー用顔料として盛んに用いられている。しかし、ピグメントイエロー180は、比較的親水性が高く、懸濁重合等水に油層を分散させてなる工法においては、粒子表面に偏析したり、粒子内に再凝集したりして、使用することが困難である。
【0008】
そこで、上述の表面偏析や再凝集を抑制し得るイエロー顔料として、ピグメントイエロー154の構造を有するイエロー顔料を用いたトナーが提案され(例えば、特許文献5参照。)、これにより、良好な特性のトナーが得られることが示されている。
しかしながら、これらのトナーを二成分現像剤に用いた場合、使用するキャリアとの組み合わせによっては、長期にわたっての安定した帯電量が得られないことがあった。
【0009】
一方、帯電量の安定化や耐久性向上のための、キャリア表面構成に関しては、キャリア表面へのトナー成分のフィルミング防止、キャリア均一表面の形成、表面酸化防止、感湿性低下の防止、現像剤の寿命の延長、感光体表面へのキャリア付着防止、感光体のキャリアによるキズあるいは摩耗からの保護、帯電極性の制御または帯電量の調節等の目的で、通常適当な樹脂材料で被覆等を施すことにより、固く高強度の被覆層を設けることが行なわれており、例えば特定の樹脂材料で被覆されたもの(例えば、特許文献6参照。)、更にその被覆層に種々の添加剤を添加するもの(例えば、特許文献7〜13参照。)、更にキャリア表面に添加剤を付着させたものを用いるもの(例えば、特許文献14参照。)、更にコート膜厚よりも大きい導電性粒子をコート膜に含有させたものを用いるもの(例えば、特許文献15参照。)などが開示されている。また、ベンゾグアナミン−n−ブチルアルコール−ホルムアルデヒド共重合体を主成分としてキャリア被覆材に用いることが記載され(例えば、特許文献16参照。)、メラミン樹脂とアクリル樹脂の架橋物をキャリア被覆材として用いることが記載されている(例えば、特許文献17参照。)。
【0010】
しかし、これらの提案では、依然として耐久性、キャリア表面へのトナー組成物の固着抑制が不充分であった。
したがって、耐久性に関しては、トナーのキャリア表面へのスペント、それに伴う帯電量の不安定化、ならびに被覆樹脂の膜削れによる被覆層の減少及びそれに伴う抵抗低下、等が問題であり、初期は良好な画像を得ることができるが、コピー枚数が増加するにつれ複写画像の画質が低下し問題であるため、改良をする必要がある。
また、耐久性の向上に関しては、昨今の地球環境への配慮から、より一層の高機能化が必要となってきている。
【0011】
【特許文献1】
特公平2−37949号公報(第1頁第1欄第1行目〜第3頁第5欄第2行目の特許請求の範囲)
【特許文献2】
特開平6−230607号公報(第2頁第1欄第1行目〜第10行目の特許請求の範囲)
【特許文献3】
特開平6−266163号公報
【特許文献4】
特開平8−262799号公報(第2頁第1欄第1行目〜第19行目の特許請求の範囲)
【特許文献5】
特願2002−237954号明細書(特許請求の範囲)
【特許文献6】
特開昭58−108548号公報(第1頁左下欄第4行目〜6行目の特許請求の範囲)
【特許文献7】
特開昭54−155048号公報(第1頁左下欄第4行目〜第10行目の特許請求の範囲)
【特許文献8】
特開昭57−40267号公報(第1頁左下欄第4行目〜第8行目の特許請求の範囲)
【特許文献9】
特開昭58−108549号公報(第1頁左下欄第4行目〜第7行目の特許請求の範囲)
【特許文献10】
特開昭59−166968号公報(第1頁左下欄第4行目〜第7行目の特許請求の範囲)
【特許文献11】
特公平1−19584号公報(第1頁第1欄第1行目〜第7行目の特許請求の範囲)
【特許文献12】
特公平3−628号公報(第1頁第1欄第1行目〜第6行目の特許請求の範囲)
【特許文献13】
特開平6−202381号公報(第2頁第1欄第1行目〜第12行目の特許請求の範囲)
【特許文献14】
特開平5−273789号公報
【特許文献15】
特開平9−160304号公報(第2頁第1欄第1行目〜第45行目の特許請求の範囲)
【特許文献16】
特開平8−6307号公報(第2頁第1欄第1行目〜第12行目の特許請求の範囲)
【特許文献17】
特許第2683624号公報(第1頁第1欄第1行目〜第7行目の特許請求の範囲)
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、良好な発色性を持つ、長期間にわたり帯電の安定性に優れた静電荷現像用イエロー現像剤を提供することにある。また、該静電荷像現像用イエロー現像剤を用い、画像品質の優れた画像形成方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
前記課題は、本発明の(1)「少なくとも結着樹脂及びイエロー着色剤を含むトナーと、磁性コア材表面に少なくとも樹脂及び粒子を含むコート層を設けたキャリアを混合してなる静電荷像現像用イエロー現像剤であって、該キャリアが、キャリア表面に、コート層に含まれる粒子に由来する凹凸を有するキャリアであり、該トナーが、有機溶媒中に変性ポリエステル系樹脂から成るプレポリマー、該プレポリマーと伸長または架橋する化合物、およびトナー組成分を溶解又は分散させ、該溶解又は分散物を水系媒体中で架橋反応及び/又は伸長反応させ、得られた分散液から溶媒を除去することにより得られたトナーであり、該イエロー着色剤が下記化合物(1)であることを特徴とする静電荷像現像用イエロー現像剤;
【0014】
【化2】
Figure 2004184651
」、(2)「前記トナー中のイエロー着色剤が、分散された状態で存在し、その分散粒径が、個数平均径で0.5μm以下であることを特徴とする前記第(1)項に記載の静電荷像現像用イエロー現像剤」、(3)「前記結着樹脂及びイエロー着色剤を予め水と共に混練させた組成物を用いることを特徴とする前記第(1)項又は第(2)項に記載の静電荷像現像用イエロー現像剤」、(4)「前記トナー粒子の体積平均粒径が4〜8μmであり、(体積平均粒径/個数平均粒径)が1.25以下であることを特徴とする前記第(1)項乃至第(3)項のいずれかに記載の静電荷像現像用イエロー現像剤」、(5)「前記トナー粒子の平均円径度が0.90〜0.99であることを特徴とする前記第(1)項乃至第(4)項のいずれかに記載の静電荷像現像用イエロー現像剤」、(6)「前記キャリア表面凹凸の平均高低差が0.1〜2.0μmであることを特徴とする前記第(1)項乃至第(5)項のいずれかに記載の静電荷像現像用イエロー現像剤」、(7)「前記キャリアコート層に含まれる粒子の粒子径(D)と、該コート層樹脂の膜厚(h)が1<[D/h]<10であることを特徴とする前記第(1)項乃至第(6)項のいずれかに記載の静電荷像現像用イエロー現像剤」、(8)「
前記キャリアコート層に含まれる粒子の総含有量が、コート層組成成分の40〜95wt%であることを特徴とする前記第(1)項乃至第(7)項のいずれかに記載の静電荷像現像用イエロー現像剤」によって解決される。
また、上記課題は、本発明の(9)「前記第(1)項乃至第(8)項のいずれかに記載の静電荷像現像用イエロー現像剤を用いることを特徴とするカラー画像形成方法」によって解決される。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明について更に具体的に詳しく説明する。
上記式(I)で示される顔料は、C.I.Pigment Yellow 74に相当する。上記したイエロー着色剤は、化合物(1)の構造式に示されているように、比較的単純な構造をしているにもかかわらず、高い融点を持つことが知られている。この理由としては、明らかではないが、その構造中に極性の大きな部位を持ち、分子間相互作用力が強く働くためとも考えられる。これにより、顔料分子構造は安定し、褪色性に優れている。また、これをトナーに用いた場合、トナー特性の変動を生じることを少なくでき、連続通紙させた場合であっても、耐久において初期と変わらぬ画像を維持させることができる。これ自体、既に公知ではあるが、上述の強い分子間相互作用力のため難分散性の顔料であり、そのために当該技術分野では用いられてこなかった。
【0016】
化合物(1)で示される化合物をイエロー着色剤として含有している本発明に用いられるイエロートナーは、フルカラー画像形成用イエロートナーとして好ましい分光特性を有し、また、高い彩度を得ることができる。
また、フルカラー画像においては色の再現性が重要であるが、化合物(1)で示される化合物を含有するイエロートナーは良好な色相を有し、その使用により、広い範囲の色を再現することが可能である。
さらにトナー構成を、該イエロートナーの様にすることによって、該化合物(1)を良好に分散させることができるため、OHPシート等にも適した光透過性の高いカラー画像を得ることができる。
【0017】
また、トナー作成に使用できる変性ポリエステル系樹脂から成るプレポリマーとしては、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)が挙げられ、また、該プレポリマーと伸長または架橋する化合物としては、アミン類(B)が挙げられる。
イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)としては、ポリオール(1)とポリカルボン酸(2)の重縮合物で、かつ活性水素基を有するポリエステルをさらにポリイソシアネート(3)と反応させたものなどが挙げられる。上記ポリエステルを有する活性水素基としては、水酸基(アルコール性水酸基およびフェノール性水酸基)、アミノ基、カルボキシル基、メルカプト基などが挙げられ、これらのうち好ましいものはアルコール性水酸基である。
【0018】
ポリオール(1)としては、ジオール(1−1)および3価以上のポリオール(1−2)が挙げられ、(1−1)単独、または(1−1)と少量の(1−2)の混合物が好ましい。ジオール(1−1)としては、アルキレングリコール(エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなど);アルキレンエーテルグリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコールなど);脂環式ジオール(1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールAなど);ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSなど);上記脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物;上記ビスフェノール類のアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数2〜12のアルキレングリコールおよびビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物であり、特に好ましいものはビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物、およびこれと炭素数2〜12のアルキレングリコールとの併用である。3価以上のポリオール(1−2)としては、3〜8価またはそれ以上の多価脂肪族アルコール(グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトールなど);3価以上のフェノール類(トリスフェノールPA、フェノールノボラック、クレゾールノボラックなど);上記3価以上のポリフェノール類のアルキレンオキサイド付加物などが挙げられる。
【0019】
ポリカルボン酸(2)としては、ジカルボン酸(2−1)および3価以上のポリカルボン酸(2−2)が挙げられ、(2−1)単独、および(2−1)と少量の(2−2)の混合物が好ましい。ジカルボン酸(2−1)としては、アルキレンジカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、セバシン酸など);アルケニレンジカルボン酸(マレイン酸、フマール酸など);芳香族ジカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸など)などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数4〜20のアルケニレンジカルボン酸および炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸である。3価以上のポリカルボン酸(2−2)としては、炭素数9〜20の芳香族ポリカルボン酸(トリメリット酸、ピロメリット酸など)などが挙げられる。なお、ポリカルボン酸(2)としては、上述のものの酸無水物または低級アルキルエステル(メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステルなど)を用いてポリオール(1)と反応させてもよい。
ポリオール(1)とポリカルボン酸(2)の比率は、水酸基[OH]とカルボキシル基[COOH]の当量比[OH]/[COOH]として、通常2/1〜1/1、好ましくは1.5/1〜1/1、さらに好ましくは1.3/1〜1.02/1である。
【0020】
ポリイソシアネート(3)としては、脂肪族ポリイソシアネート(テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエートなど);脂環式ポリイソシアネート(イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルメタンジイソシアネートなど);芳香族ジイソシアネート(トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートなど);芳香脂肪族ジイソシアネート(α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネートなど);イソシアヌレート類;前記ポリイソシアネートをフェノール誘導体、オキシム、カプロラクタムなどでブロックしたもの;およびこれら2種以上の併用が挙げられる。
【0021】
ポリイソシアネート(3)の比率は、イソシアネート基[NCO]と、水酸基を有するポリエステルの水酸基[OH]の当量比[NCO]/[OH]として、通常5/1〜1/1、好ましくは4/1〜1.2/1、さらに好ましくは2.5/1〜1.5/1である。[NCO]/[OH]が5を超えると低温定着性が悪化する。[NCO]のモル比が1未満では、変性ポリエステル中のウレア含量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。末端にイソシアネート基を有するプレポリマー(A)中のポリイソシアネート(3)構成成分の含有量は、通常0.5〜40重量%、好ましくは1〜30重量%、さらに好ましくは2〜20重量%である。0.5重量%未満では、耐ホットオフセット性が悪化するとともに、耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になる。また、40重量%を超えると低温定着性が悪化する。
イソシアネート基を有するプレポリマー(A)中の1分子当たりに含有するイソシアネート基は、通常1個以上、好ましくは、平均1.5〜3個、さらに好ましくは、平均1.8〜2.5個である。1分子当たり1個未満では、ウレア変性ポリエステルの分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。
【0022】
アミン類(B)としては、ジアミン(B1)、3価以上のポリアミン(B2)、アミノアルコール(B3)、アミノメルカプタン(B4)、アミノ酸(B5)、および(B1)〜(B5)のアミノ基をブロックしたもの(B6)などが挙げられる。
ジアミン(B1)としては、芳香族ジアミン(フェニレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタンなど);脂環式ジアミン(4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジシクロヘキシルメタン、ジアミンシクロヘキサン、イソホロンジアミンなど);および脂肪族ジアミン(エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなど)などが挙げられる。3価以上のポリアミン(B2)としては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどが挙げられる。アミノアルコール(B3)としては、エタノールアミン、ヒドロキシエチルアニリンなどが挙げられる。アミノメルカプタン(B4)としては、アミノエチルメルカプタン、アミノプロピルメルカプタンなどが挙げられる。アミノ酸(B5)としては、アミノプロピオン酸、アミノカプロン酸などが挙げられる。(B1)〜(B5)のアミノ基をブロックしたもの(B6)としては、前記(B1)〜(B5)のアミン類とケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど)から得られるケチミン化合物、オキサゾリン化合物などが挙げられる。これらアミン類(B)のうち好ましいものは、(B1)および(B1)と少量の(B2)の混合物である。
【0023】
さらに、必要により伸長停止剤を用いてウレア変性ポリエステルの分子量を調整することができる。伸長停止剤としては、モノアミン(ジエチルアミン、ジブチルアミン、ブチルアミン、ラウリルアミンなど)、およびそれらをブロックしたもの(ケチミン化合物)などが挙げられる。
【0024】
アミン類(B)の比率は、イソシアネート基を有するプレポリマー(A)中のイソシアネート基[NCO]と、アミン類(B)中のアミノ基[NHx]の当量比[NCO]/[NHx]として、通常1/2〜2/1、好ましくは1.5/1〜1/1.5、さらに好ましくは1.2/1〜1/1.2である。[NCO]/[NHx]が2を超えたり1/2未満では、ウレア変性ポリエステル(i)の分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。本発明においては、ウレア結合で変性されたポリエステル(i)中に、ウレア結合と共にウレタン結合を含有していてもよい。ウレア結合含有量とウレタン結合含有量のモル比は、通常100/0〜10/90であり、好ましくは80/20〜20/80、さらに好ましくは、60/40〜30/70である。ウレア結合のモル比が10%未満では、耐ホットオフセット性が悪化する。
【0025】
これらの反応により、本発明のトナーに用いられる変性ポリエステル、中でもウレア変性ポリエステル(i)が作成できる。これらウレア変性ポリエステル(i)は、ワンショット法、プレポリマー法により製造される。ウレア変性ポリエステル(i)の重量平均分子量は、通常1万以上、好ましくは2万〜1000万、さらに好ましくは3万〜100万である。1万未満では耐ホットオフセット性が悪化する。ウレア変性ポリエステルの数平均分子量は、後述の変性されていないポリエステル(ii)を用いる場合は特に限定されるものではなく、前記重量平均分子量とするのに得やすい数平均分子量でよい。(i)単独の場合は、数平均分子量は、通常20000以下、好ましくは1000〜10000、さらに好ましくは2000〜8000である。20000を超えると低温定着性およびフルカラー装置に用いた場合の光沢性が悪化する。
【0026】
また、本発明においては、前記ウレア結合で変性されたポリエステル(i)単独使用だけでなく、この(i)と共に、変性されていないポリエステル(ii)を結着樹脂成分として含有させることもできる。(ii)を併用することで、低温定着性およびフルカラー装置に用いた場合の光沢性が向上し、単独使用より好ましい。(ii)としては、前記(i)のポリエステル成分と同様なポリオール(1)とポリカルボン酸(2)との重縮合物などが挙げられ、好ましいものも(i)と同様である。また、(ii)は無変性のポリエステルだけでなく、ウレア結合以外の化学結合で変性されているものでもよく、例えばウレタン結合で変性されていてもよい。(i)と(ii)は少なくとも一部が相溶していることが低温定着性、耐ホットオフセット性の面で好ましい。したがって、(i)のポリエステル成分と(ii)は類似の組成が好ましい。(ii)を含有させる場合の(i)と(ii)の重量比は、通常5/95〜80/20、好ましくは5/95〜30/70、さらに好ましくは5/95〜25/75、特に好ましくは7/93〜20/80である。(i)の重量比が5%未満では、耐ホットオフセット性が悪化するとともに、耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になる。
【0027】
(ii)のピーク分子量は、通常1000〜30000、好ましくは1500〜10000、さらに好ましくは2000〜8000である。1000未満では耐熱保存性が悪化し、30000を超えると低温定着性が悪化する。(ii)の水酸基価は5以上であることが好ましく、さらに好ましくは10〜120、特に好ましくは20〜80である。5未満では耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になる。(ii)の酸価は通常1〜30、好ましくは5〜20である。酸価を持たせることで負帯電性となりやすい傾向がある。
【0028】
本発明において、結着樹脂のガラス転移点(Tg)は通常50〜70℃、好ましくは55〜65℃である。50℃未満ではトナーの高温保管時のブロッキングが悪化し、70℃を超えると低温定着性が不充分となる。ウレア変性ポリエステル樹脂の共存により、本発明の乾式トナーにおいては、公知のポリエステル系トナーと比較して、ガラス転移点が低くても耐熱保存性が良好な傾向を示す。結着樹脂の貯蔵弾性率としては、測定周波数20Hzにおいて10000dyne/cmとなる温度(TG’)が、通常100℃以上、好ましくは110〜200℃である。100℃未満では耐ホットオフセット性が悪化する。結着樹脂の粘性としては、測定周波数20Hzにおいて1000ポイズとなる温度(Tη)が、通常180℃以下、好ましくは90〜160℃である。180℃を超えると低温定着性が悪化する。すなわち、低温定着性と耐ホットオフセット性の両立の観点から、TG’はTηより高いことが好ましい。言い換えるとTG’とTηの差(TG’−Tη)は0℃以上が好ましい。さらに好ましくは10℃以上であり、特に好ましくは20℃以上である。差の上限は特に限定されない。また、耐熱保存性と低温定着性の両立の観点から、TηとTgの差は0〜100℃が好ましい。さらに好ましくは10〜90℃であり、特に好ましくは20〜80℃である。
【0029】
結着樹脂は以下の方法などで製造することができる。ポリオール(1)とポリカルボン酸(2)を、テトラブトキシチタネート、ジブチルチンオキサイドなど公知のエステル化触媒の存在下、150〜280℃に加熱し、必要により減圧としながら生成する水を留去して、水酸基を有するポリエステルを得る。次いで40〜140℃にて、これにポリイソシアネート(3)を反応させ、イソシアネート基を有するプレポリマー(A)を得る。さらに(A)にアミン類(B)を0〜140℃にて反応させ、ウレア結合で変性されたポリエステルを得る。(3)を反応させる際および(A)と(B)を反応させる際には、必要により溶剤を用いることもできる。使用可能な溶剤としては、芳香族溶剤(トルエン、キシレンなど);ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど);エステル類(酢酸エチルなど);アミド類(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなど)およびエーテル類(テトラヒドロフランなど)などのイソシアネート(3)に対して不活性なものが挙げられる。ウレア結合で変性されていないポリエステル(ii)を併用する場合は、水酸基を有するポリエステルと同様な方法で(ii)を製造し、これを前記(i)の反応完了後の溶液に溶解し、混合する。
【0030】
また、本発明に用いるトナーは概ね以下の方法で製造することができるが、勿論これらに限定されることはない。
本発明に用いる水系媒体としては、水単独でもよいが、水と混和可能な溶剤を併用することもできる。混和可能な溶剤としては、アルコール(メタノール、イソプロパノール、エチレングリコールなど)、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、セルソルブ類(メチルセルソルブなど)、低級ケトン類(アセトン、メチルエチルケトンなど)などが挙げられる。
【0031】
トナー粒子は、水系媒体中でイソシアネート基を有するプレポリマー(A)からなる分散体を、(B)と反応させて形成しても良いし、あらかじめ製造したウレア変性ポリエステル(i)を用いても良い。水系媒体中でウレア変性ポリエステル(i)やプレポリマー(A)からなる分散体を安定して形成させる方法としては、水系媒体中にウレア変性ポリエステル(i)やプレポリマー(A)からなるトナー原料の組成物を加えて、せん断力により分散させる方法などが挙げられる。プレポリマー(A)と他のトナー組成物である(以下トナー原料と呼ぶ)着色剤、着色剤マスターバッチ、離型剤、荷電制御剤、未変性ポリエステル樹脂などは、水系媒体中で分散体を形成させる際に混合してもよいが、あらかじめトナー原料を混合した後、水系媒体中にその混合物を加えて分散させたほうがより好ましい。また、本発明においては、着色剤、離型剤、荷電制御剤などの他のトナー原料は、必ずしも、水系媒体中で粒子を形成させるときに混合しておく必要はなく、粒子を形成せしめた後、添加してもよい。たとえば、着色剤を含まない粒子を形成させた後、公知の染着の方法で着色剤を添加することもできる。
【0032】
分散の方法としては特に限定されるものではないが、低速せん断式、高速せん断式、摩擦式、高圧ジェット式、超音波などの公知の設備が適用できる。分散体の粒径を2〜20μmにするために高速せん断式が好ましい。高速せん断式分散機を使用した場合、回転数は特に限定はないが、通常1000〜30000rpm、好ましくは5000〜20000rpmである。分散時間は特に限定はないが、バッチ方式の場合は、通常0.1〜5分である。分散時の温度としては、通常、0〜150℃(加圧下)、好ましくは40〜98℃である。高温な方が、ウレア変性ポリエステル(i)やプレポリマー(A)からなる分散体の粘度が低く、分散が容易な点で好ましい。
【0033】
ウレア変性ポリエステル(i)やプレポリマー(A)を含むトナー組成物100部に対する水系媒体の使用量は、通常50〜2000重量部、好ましくは100〜1000重量部である。50重量部未満ではトナー組成物の分散状態が悪く、所定の粒径のトナー粒子が得られない。2000重量部を超えると経済的でない。また、必要に応じて、分散剤を用いることもできる。分散剤を用いたほうが、粒度分布がシャープになるとともに分散が安定である点で好ましい。
【0034】
プレポリマー(A)からウレア変性ポリエステル(i)を合成する工程は水系媒体中でトナー組成物を分散する前にアミン類(B)を加えて反応させても良いし、水系媒体中に分散した後にアミン類(B)を加えて粒子界面から反応を起こしても良い。この場合、製造されるトナー表面に優先的にウレア変性ポリエステルが生成し、粒子内部で濃度勾配を設けることもできる。
【0035】
トナー組成物が分散された油性相を水が含まれる液体に乳化、分散するための分散剤としてアルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、リン酸エステルなどの陰イオン界面活性剤、アルキルアミン塩、アミノアルコール脂肪酸誘導体、ポリアミン脂肪酸誘導体、イミダゾリンなどのアミン塩型や、アルキルトリメチルアンモニム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、塩化ベンゼトニウムなどの四級アンモニウム塩型の陽イオン界面活性剤、脂肪酸アミド誘導体、多価アルコール誘導体などの非イオン界面活性剤、例えばアラニン、ドデシルジ(アミノエチル)グリシン、ジ(オクチルアミノエチル)グリシンやN−アルキル−N,N−ジメチルアンモニウムべタインなどの両性界面活性剤が挙げられる。
【0036】
また、フルオロアルキル基を有する界面活性剤を用いることにより、非常に少量でその効果をあげることができる。好ましく用いられるフルオロアルキル基を有するアニオン性界面活性剤としては、炭素数2〜10のフルオロアルキルカルボン酸及びその金属塩、パーフルオロオクタンスルホニルグルタミン酸ジナトリウム、3−[オメガ−フルオロアルキル(C6〜C11)オキシ]−1−アルキル(C3〜C4)スルホン酸ナトリウム、3−[オメガ−フルオロアルカノイル(C6〜C8)−N−エチルアミノ]−1−プロパンスルホン酸ナトリウム、フルオロアルキル(C11〜C20)カルボン酸及び金属塩、パーフルオロアルキルカルボン酸(C7〜C13)及びその金属塩、パーフルオロアルキル(C4〜C12)スルホン酸及びその金属塩、パーフルオロオクタンスルホン酸ジエタノールアミド、N−プロピル−N−(2−ヒドロキシエチル)パーフルオロオクタンスルホンアミド、パーフルオロアルキル(C6〜C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル(C6〜C10)−N−エチルスルホニルグリシン塩、モノパーフルオロアルキル(C6〜C16)エチルリン酸エステルなどが挙げられる。
【0037】
商品名としては、サーフロンS−111、S−112、S−113(旭硝子社製)、フロラードFC−93、FC−95、FC−98、FC−l29(住友3M社製)、ユニダインDS−101、DS−l02、(ダイキン工業社製)、メガファックF−ll0、F−l20、F−113、F−191、F−812、F−833(大日本インキ社製)、エクトップEF−102、l03、104、105、112、123A、123B、306A、501、201、204、(トーケムプロダクツ社製)、フタージェントF−100、F150(ネオス社製)などが挙げられる。
【0038】
また、カチオン界面活性剤としては、フルオロアルキル基を右する脂肪族一級、二級もしくは二級アミン酸、パーフルオロアルキル(C6〜C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩などの脂肪族4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩、商品名としてはサーフロンS−l21(旭硝子社製)、フロラードFC−135(住友3M社製)、ユニダインDS−202(ダイキン工業杜製)、メガファックF−150、F−824(大日本インキ社製)、エクトップEF−l32(トーケムプロダクツ社製)、フタージェントF−300(ネオス社製)などが挙げられる。
また、水に難溶の無機化合物分散剤としてリン酸三カルシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、コロイダルシリカ、ヒドロキシアパタイトなども用いることができる。
【0039】
また、高分子系保護コロイドにより分散液滴を安定化させても良い。例えばアクリル酸、メタクリル酸、α−シアノアクリル酸、α−シアノメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマール酸、マレイン酸または無水マレイン酸などの酸類、あるいは水酸基を含有する(メタ)アクリル系単量体、例えばアクリル酸−β−ヒドロキシエチル、メタクリル酸−β−ヒドロキシエチル、アクリル酸−β−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸−β−ヒドロキシプロピル、アクリル酸−γ−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸−γ−ヒドロキシプロピル、アクリル酸3−クロロ2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸−3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、ジエチレングリコールモノアクリル酸エステル、ジエチレングリコールモノメタクリル酸エステル、グリセリンモノアクリル酸エステル、グリセリンモノメタクリル酸エステル、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミドなど、ビニルアルコールまたはビニルアルコールとのエーテル類、例えばビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテルなど、またはビニルアルコールとカルボキシル基を含有する化合物のエステル類、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニルなど、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミドあるいはこれらのメチロール化合物、アクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライドなどの酸クロライド類、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、エチレンイミンなどの窒素原子、またはその複素環を有するものなどのホモポリマーまたは共重合体、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシプロピレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシプロピレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンノニルフエニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルフェニルエステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエステルなどのポリオキシエチレン系、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース類などが使用できる。
【0040】
なお、分散安定剤としてリン酸カルシウム塩などの酸、アルカリに溶解可能なものを用いた場合は、塩酸等の酸により、リン酸カルシウム塩を溶解した後、水洗するなどの方法によって、微粒子からリン酸カルシウム塩を除去する。その他酵素による分解などの操作によっても除去できる。
分散剤を使用した場合には、該分散剤がトナー粒子表面に残存したままとすることもできるが、伸長および/または架橋反応後、洗浄除去するほうがトナーの帯電面から好ましい。
【0041】
さらに、トナー組成物の粘度を低くするために、ウレア変性ポリエステル(i)やプレポリマー(A)が可溶の溶剤を使用することもできる。溶剤を用いたほうが粒度分布がシャープになる点で好ましい。該溶剤は沸点が100℃未満の揮発性であることが除去が容易である点から好ましい。該溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、ベンゼン、四塩化炭素、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロエチリデン、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどを単独あるいは2種以上組合せて用いることができる。特に、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒および塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素が好ましい。プレポリマー(A)100部に対する溶剤の使用量は、通常0〜300部、好ましくは0〜100部、さらに好ましくは25〜70部である。溶剤を使用した場合は、伸長および/または架橋反応後、常圧または減圧下にて加温し除去する。
【0042】
伸長および/または架橋反応時間は、プレポリマー(A)の有するイソシアネート基構造とアミン類(B)の組み合わせによる反応性により選択されるが、通常10分〜40時間、好ましくは2〜24時間である。反応温度は、通常、0〜150℃、好ましくは40〜98℃である。また、必要に応じて公知の触媒を使用することができる。具体的にはジブチルチンラウレート、ジオクチルチンラウレートなどが挙げられる。
【0043】
得られた乳化分散体から有機溶媒を除去するためには、系全体を徐々に昇温し、液滴中の有機溶媒を完全に蒸発除去する方法を採用することができる。あるいはまた、乳化分散体を乾燥雰囲気中に噴霧して、液滴中の非水溶性有機溶媒を完全に除去してトナー微粒子を形成し、合せて水系分散剤を蒸発除去することも可能である。乳化分散体が噴霧される乾燥雰囲気としては、空気、窒素、炭酸ガス、燃焼ガス等を加熱した気体、特に使用される最高沸点溶媒の沸点以上の温度に加熱された各種気流が一般に用いられる。スプレイドライアー、ベルトドライアー、ロータリーキルンなどの短時間の処理で充分目的とする品質が得られる。
乳化分散時の粒度分布が広く、その粒度分布を保って洗浄、乾燥処理が行なわれた場合、所望の粒度分布に分級して粒度分布を整えることができる。
【0044】
分級操作は液中でサイクロン、デカンター、遠心分離等により、微粒子部分を取り除くことができる。もちろん乾燥後に粉体として取得した後に分級操作を行なっても良いが、液体中で行なうことが効率の面で好ましい。得られた不要の微粒子、または粗粒子は再び混練工程に戻して粒子の形成に用いることができる。その際微粒子、または粗粒子はウェットの状態でも構わない。
用いた分散剤は得られた分散液からできるだけ取り除くことが好ましいが、先に述べた分級操作と同時に行なうのが好ましい。
得られた乾燥後のトナーの粉体と離型剤微粒子、帯電制御性微粒子、流動化剤微粒子、着色剤微粒子などの異種粒子とともに混合したり、混合粉体に機械的衝撃力を与えることによって表面で固定化、融合化させ、得られる複合体粒子の表面からの異種粒子の脱離を防止することができる。
【0045】
具体的手段としては、高速で回転する羽根によって混合物に衝撃力を加える方法、高速気流中に混合物を投入し、加速させ、粒子同士または複合化した粒子を適当な衝突板に衝突させる方法などがある。装置としては、オングミル(ホソカワミクロン社製)、I式ミル(日本ニューマチック社製)を改造して、粉砕エアー圧カを下げた装置、ハイブリダイゼイションシステム(奈良機械製作所社製)、クリプトロンシステム(川崎重工業社製)、自動乳鉢などが挙げられる。
【0046】
また、本発明で用いられるトナー中の化合物(1)の個数平均径は0.5μm以下であることが望ましく、好ましくは0.4μm以下、より好ましくは0.3μm以下が望ましい。
トナー中の化合物(1)の個数平均径が0.5μmより大きいときには、顔料の分散性が充分なレベルには到らず、これでは特定の樹脂と、特定の粒径を有する着色剤を用いても目的とする透明性は得られない。
0.1μmより小さい微小粒径の着色剤は、可視光の半波長より充分小さいため、光の反射、吸収特性に悪影響を及ぼさないと考えられる。よって、0.1μm未満の着色剤の粒子は良好な色再現性と、定着画像を有するOHPシートの透明性に貢献する。一方、0.5μmより大きな粒径の着色剤が多く存在していると、入射光の透過が阻害されたり、散乱されたりして、OHPシートの投影画像の明るさ及び彩かさが低下する傾向がある。
さらに、0.5μmより大きな粒径の着色剤が多く存在していると、イエロートナー粒子表面からイエロー着色剤が脱離し、カブリ、ドラム汚染、クリーニング不良といった種々の問題を引き起こしやすいため、好ましくない。特に、0.7μmより大きな粒径の着色剤は、全着色剤の10個数%以下であることが好ましく、5個数%以下であることが、より好ましい。
【0047】
また、着色剤を結着樹脂の一部もしくは全部と共に、予め湿潤液を加えた上で混練しておくことにより、初期的に結着樹脂と着色剤が充分に付着した状態となって、その後のトナー製造工程でのトナー粒子中における着色剤分散がより効果的に行なわれ、着色剤の分散粒径が小さくなり、一層良好な透明性を得ることができる。
【0048】
予めの混錬に用いる結着樹脂としては、変性、未変性ポリエステル樹脂の他にポリスチレン、ポリ−p−クロロスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の重合体;スチレン−p−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体などのスチレン系共重合体;ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、エポキシ樹脂、エポキシポリオール樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、脂肪族又は脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックスなどの一般適な熱可塑性を持つ樹脂が挙げられ、単独あるいは混合して使用できるが、これらに限定されるものではない。
【0049】
前記の結着樹脂と着色剤の混合物を予め湿潤液と共に混練する具体的な方法としては、例えば、結着樹脂、着色剤及び湿潤液を、ヘンシェルミキサー等のブレンダーにて混合した後、得られた混合物を二本ロール、三本ロール等の混練機により、結着樹脂の溶融温度よりも低い温度で混練して、サンプルを得る。
また、湿潤液としては、結着樹脂の溶解性や、着色剤との塗れ性を考慮しながら、一般的なものを使用できるが、特に、アセトン、トルエン、ブタノン等の有機溶剤や水が、着色剤の分散性の面から好ましい。
中でも、水の使用は、環境への配慮及び、後のトナー製造工程におけるイエロー着色剤の分散安定性維持の点から、一層好ましい。
この製法によると、得られるカラートナーに含有される着色剤粒子の粒径が小さくなるばかりでなく、該粒子の分散状態の均一性が高くなるため、OHPによる投影像の色の再現性がより一層良くなる。
【0050】
該トナーの体積平均粒径(Dv)としては4〜8μmであることが好ましく、個数平均粒径(Dn)との比(Dv/Dn)は1.25以下、特に1.10〜1.25であることが好ましい。
該トナーの粒径を、この様にすることにより、耐熱保存性、低温定着性、耐ホットオフセット性のいずれにも優れ、とりわけフルカラー複写機などに用いた場合に画像の光沢性に優れ、更に二成分現像剤においては、長期にわたるトナーの収支が行なわれても、現像剤中のトナー粒子径の変動が少なくなり、現像装置における長期の攪拌においても、良好で安定した現像性が得られる。
【0051】
一般的には、トナーの粒子径は小さければ小さい程、高解像で高画質の画像を得るために有利であると言われているが、逆に転写性やクリーニング性に対しては不利になりがちである。また、本発明の範囲よりもトナー体積平均粒子径が小さい場合、二成分現像剤の現像装置における長期攪拌において、キャリアの表面にトナーが融着し、キャリアの帯電能力を低下させやすくなる。
逆に、トナーの粒子径が本発明の範囲よりも大きい場合には、高解像で高画質の画像を得ることが難しくなると共に、現像剤中のトナーの収支が行なわれた場合にトナーの粒子径の変動が大きくなる場合が多い。また、体積平均粒子径/個数平均粒子径が1.25よりも大きい場合も同様であることが明らかとなった。
【0052】
また、該トナーは特定の形状とその分布を有することが重要であり、中でも平均円形度が0.90未満で、球形からあまりに離れた不定形のトナーの存在は、満足した転写性やチリのない高画質画像の獲得に対して悪影響を与えがちである。
なお形状の計測方法としては粒子を含む懸濁液を平板上の撮像部検知帯に通過させ、CCDカメラで光学的に粒子画像を検知し、解析する光学的検知帯の手法が適当である。この手法で得られる投影面積の等しい相当円の周囲長を実在粒子の周囲長で除した値である平均円形度が0.90〜0.99のトナーが適正な濃度の再現性のある高精細な画像を形成するのに有効であることが判明した。より好ましくは、平均円形度が0.94〜0.985で、円形度が0.94未満の粒子が10個数%以下である。
また、転写残トナーを除去するためにブレードクリーニング等を採用しているシステムにおいては、平均円形度が0.96以上の場合、感光体上および転写ベルトなどのクリーニング不良が発生し、画像上の汚れを引き起こすことがあるため、この様なシステムの場合には、平均円形度は0.96未満であることが好ましい。
例えば、画像面積率の低い現像・転写では転写残トナーが少なく、クリーニング不良が問題となることはないが、写真画像など画像面積率の高いもの、さらには、給紙不良等で未転写の画像形成したトナーが感光体上に転写残トナーとして発生することがあり、蓄積すると画像の地汚れを発生してしまうことがある。また、感光体を接触帯電させる帯電ローラ等を用いたシステムでは、これらを汚染してしまい、本来の帯電能力を発揮できなくなってしまうことがある。
【0053】
この他、本発明の構成をとる限り、トナー中に結着樹脂や着色剤とともにワックスに代表される離型剤を含有させることもできる。
離型剤としては公知のものが使用でき、例えばポリオレフィンワッックス(ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスなど);長鎖炭化水素(パラフィンワッックス、サゾールワックスなど);カルボニル基含有ワックスなどが挙げられる。
これらのうち好ましいものは、カルボニル基含有ワックスである。カルボニル基含有ワックスとしては、ポリアルカン酸エステル(カルナバワックス、モンタンワックス、トリメチロールプロパントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールジアセテートジベヘネート、グリセリントリベヘネート、1,18−オクタデカンジオールジステアレートなど);ポリアルカノールエステル(トリメリット酸トリステアリル、ジステアリルマレエートなど);ポリアルカン酸アミド(エチレンジアミンジベヘニルアミドなど);ポリアルキルアミド(トリメリット酸トリステアリルアミドなど);およびジアルキルケトン(ジステアリルケトンなど)などが挙げられる。
これらカルボニル基含有ワックスのうち好ましいものは、ポリアルカン酸エステルである。これら離型剤の融点は、通常40〜160℃であり、好ましくは50〜120℃、さらに好ましくは60〜90℃である。融点が40℃未満のワックスは耐熱保存性に悪影響を与え、160℃を超えるワックスは低温での定着時にコールドオフセットを起こしやすい。また、ワックスの溶融粘度は、融点より20℃高い温度での測定値として、5〜1000cpsが好ましく、さらに好ましくは10〜100cpsである。1000cpsを超えるワックスは、耐ホットオフセット性、低温定着性への向上効果に乏しい。トナー中のワックスの含有量は通常0〜40重量%であり、好ましくは3〜30重量%である。
【0054】
また、トナー帯電量及びその立ち上がりを早くするために、トナー中に、必要に応じて帯電制御剤を含有してもよい。ここで、電荷制御剤として有色材料を用いると色の変化が起こるため、無色、白色に近い材料が好ましい。
帯電制御剤としては公知のものが使用でき、例えば、トリフェニルメタン系染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体または化合物、タングステンの単体または化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸金属塩及び、サリチル酸誘導体の金属塩等である。具体的には第四級アンモニウム塩のボントロンP−51、オキシナフトエ酸系金属錯体のE−82、サリチル酸系金属錯体のE−84、フェノール系縮合物のE−89(以上、オリエント化学工業社製)、第四級アンモニウム塩モリブデン錯体のTP−302、TP−415(以上、保土谷化学工業社製)、第四級アンモニウム塩のコピーチャージPSY VP2038、トリフェニルメタン誘導体のコピーブルーPR、第四級アンモニウム塩のコピーチャージ NEG VP2036、コピーチャージNX VP434(以上、ヘキスト社製)、LRA−901、ホウ素錯体であるLR−147(日本カーリット社製)、キナクリドン、アゾ系顔料、その他スルホン酸基、カルボキシル基、四級アンモニウム塩等の官能基を有する高分子系の化合物が挙げられる。
【0055】
本発明において荷電制御剤の使用量は、バインダー樹脂の種類、必要に応じて使用される添加剤の有無、分散方法を含めたトナー製造方法によって決定されるもので、一義的に限定されるものではないが、好ましくはバインダー樹脂100重量部に対して、0.1〜10重量部の範囲で用いられる。好ましくは、0.2〜5重量部の範囲がよい。10重量部を越える場合にはトナーの帯電性が大きすぎ、主帯電制御剤の効果を減退させ、現像ローラとの静電的吸引力が増大し、現像剤の流動性低下や、画像濃度の低下を招く。これらの帯電制御剤はマスターバッチ、樹脂とともに溶融混練した後溶解分散させることもできるし、有機溶剤に直接溶解、分散する際に加えても良いし、トナー表面にトナー粒子作成後固定化させてもよい。
【0056】
また、トナー製造過程で水系媒体中にトナー組成物を分散させるに際して、主に分散安定化のための樹脂微粒子を添加してもよい。
使用される樹脂微粒子は、水性分散体を形成しうる樹脂であればいかなる樹脂も使用でき、熱可塑性樹脂でも熱硬化性樹脂でもよいが、例えばビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ケイ素系樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、アニリン樹脂、アイオノマー樹脂、ポリカーボネート樹脂等が挙げられる。樹脂微粒子としては、上記の樹脂を2種以上併用しても差し支えない。このうち好ましいのは、微細球状樹脂粒子の水性分散体が得られやすい点から、ビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂及びそれらの併用が好ましい。
【0057】
ビニル系樹脂としては、ビニル系モノマーを単独重合また共重合したポリマーで、例えば、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、(メタ)アクリル酸−アクリル酸エステル重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0058】
更に、トナー粒子の流動性や現像性、帯電性を補助するための外添剤としては、無機微粒子を好ましく用いることができる。
この無機微粒子の一次粒子径は、5mμ〜2μmであることが好ましく、特に5mμ〜500mμであることが好ましい。また、BET法による比表面積は、20〜500m/gであることが好ましい。この無機微粒子の使用割合は、トナーの0.01〜5重量%であることが好ましく、特に0.01〜2.0重量%であることが好ましい。無機微粒子の具体例としては、例えばシリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ベンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素などを挙げることができる。
この他、高分子系微粒子たとえばソープフリー乳化重合や懸濁重合、分散重合によって得られるポリスチレン、メタクリル酸エステルやアクリル酸エステル共重合体やシリコーン、ベンゾグアナミン、ナイロンなどの重縮合系、熱硬化性樹脂による重合体粒子が挙げられる。
このような流動化剤は表面処理を行なって、疎水性を上げ、高湿度下においても流動特性や帯電特性の悪化を防止することができる。例えばシランカップリング剤、シリル化剤、フッ化アルキル基を有するシランカップリング剤、有機チタネート系カップリング剤、アルミニウム系のカップリング剤、シリコーンオイル、変性シリコーンオイルなどが好ましい表面処理剤として挙げられる。
また、感光体や一次転写媒体に残存する転写後の現像剤を除去するためのクリーニング性向上剤としては、例えばステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸など脂肪酸金属塩、例えばポリメチルメタクリレート微粒子、ポリスチレン微粒子などのソープフリー乳化重合などによって製造された、ポリマー微粒子などを挙げることかできる。ポリマー微粒子は比較的粒度分布が狭く、体積平均粒径が0.01から1μmのものが好ましい。
【0059】
一方、本発明の現像剤に用いるキャリアを、磁性コア材表面に少なくとも樹脂及び粒子を含むコート層を設け、かつ、キャリア表面にコート層に含まれる粒子に由来する凹凸を有するキャリアとし、上述のトナーと共に用いた場合、画像品質及びその安定性に対する改善が顕著であることがわかった。
一般的に、画像品質はトナー帯電量や現像剤抵抗の変動によって左右され、キャリア表面の磨耗やトナー成分のキャリア表面への固着により、経時変動することが一般的に知られている。
特に、本発明の現像剤に用いるトナーに含まれるイエロー着色剤は、上述の様に極性の大きな部位を有するため、キャリア表面への極少量のトナー固着によっても、キャリアの帯電性能を大きく劣化させ、トナー固着量が増加すると、トナーへの電荷付与が全くできなくなることがある。
よって、キャリア表面は、トナー固着が増加しない様、リフレッシュする必要があるが、コート層を削って、表面リフレッシュを行ないながらの使用は、おのずとキャリア耐久性、特に抵抗変動や流動性変動の面で限界がある。
【0060】
すなわち、キャリア構成として、その表面にコート層に含まれる粒子に由来する凹凸を形成することによって、キャリア表面に固着したトナー組成物のみを除去し、コート層を磨耗させることなくキャリア表面をリフレッシュさせることができる。
また、凹凸形状を実質的にコート層のみによって制御できるため、磁性コア材に制限を加えずに選択して用いることができる。
また、該キャリア表面凹凸の平均高低差は、0.1〜2.0μmであることが好ましく、0.2〜1.4μmであることがより好ましい。
これより大きな高低差では、凹部にトナー組成成分が固着してしまい、キャリア帯電性能を劣化させたり、凸部を形成するキャリア表面粒子が脱離してしまうことがある。
また、逆に高低差が小さい場合には、充分なトナー固着物の掻き取り効果が得られず、キャリア表面全面にわたって、トナー組成成分の固着が発生することがある。
【0061】
更に、粒子径(D)と該被覆樹脂膜厚(h)が1<[D/h]<10、となるような粒子をキャリア被覆膜に含有することで、その効果は顕著である。これは、1<[D/h]<10であることで、被覆膜に比べ粒子の方が凸となるので、現像剤を摩擦帯電させるための攪拌により、トナーとの摩擦あるいはキャリア同士の摩擦で、結着樹脂への強い衝撃を伴う接触を緩和することができる。
これにより、キャリア表面へのトナー組成成分のスペントは、いっそう確実に防止され、結着樹脂の膜削れも抑制することが可能となる。[D/h]が1以下の場合、粒子は結着樹脂中に埋もれてしまうため、効果が著しく低下し好ましくない。
[D/h]が10以上の場合、粒子と結着樹脂との接触面積が少ないため充分な拘束力が得られず、該粒子が容易に脱離してしまうため好ましくない。
【0062】
また、該粒子は絶縁性無機粒子を好ましく用いることができる。該絶縁性無機粒子としては、特に限定されるものではなく、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、石英ガラス、アルミノシリケートガラス、雲母片、酸化ジルコニウム、ムライト、サイアロン、ステアタイト、フォルステライト、コーディエライト、酸化ベリリウム、窒化ケイ素といった公知の絶縁物の粉末粒子を使用することができるが、これらに限定されるものではない。中でも、絶縁性無機粒子中に、少なくとも酸化アルミニウムや酸化ケイ素に代表される、アルミニウム元素および/またはケイ素元素成分を構成単位として含むことにより、コート層からの粒子の脱離を更に抑止することができ、初期のキャリア表面状態の経時変動をより確実に抑止することができるため、より好ましい。
【0063】
また、キャリア表面に粒子に由来する凹凸を確実に形成するためには、粒子の含有量が、コート膜組成成分の40〜95重量%であることが好ましい。粒子含有量がコート層組成成分の40重量%未満である場合には、該キャリア表面に凹凸構造を形成できたとしても、その構造がなだらかになりがちであるため、キャリア表面状態の変動が大きくなり過ぎ、本発明の効果を充分に発揮できない場合がある。一方、粒子含有量が、コート層組成成分の95重量%を越えるような場合には、凹凸構造が脆くなることがあり、初期の凹凸構造を長期間にわたって維持できず、同様に本発明の効果を維持できない場合がある。粒子含有量は、55〜80重量%であることが更に好ましい。
【0064】
該キャリアのコート層を形成するための樹脂としても、本発明の規定を逸脱しない限り、特に制限なく使用することができ、ポリオレフィン(例えばポリエチレン、ポリプロピレン等)やその変性品、スチレン、アクリル樹脂、アクリロニトリル、ビニルアセテート、ビニルアルコール、塩化ビニル、ビニルカルバゾール、ビニルエーテル等を含む架橋性共重合物;オルガノシロキサン結合からなるシリコーン樹脂またはその変性品(例えばアルキッド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン等による変性品);ポリアミド;ポリエステル;ポリウレタン;ポリカーボネート;ユリア樹脂;メラミン樹脂;ベンゾグアナミン樹脂;エポキシ樹脂;ポリイミド樹脂や、これらの誘導体等が挙げられる。
【0065】
中でも、上述の様な絶縁性無機粒子を確実にキャリアコート層中に固定化し、摩擦による無機粒子の脱離をより良く抑止するためには、コート層の樹脂が、少なくともアクリル部分を構成単位として含むことが好ましい。これにより、上記の無機粒子の、摩擦による脱離を、極めて効果的に抑制でき、長期にわたってキャリア表面の凹凸構造を維持し得るものである。更に、該アクリル樹脂はガラス転移温度(Tg)が20〜100℃であることが好ましく、25〜80℃であることがより好ましい。樹脂のTgをこの範囲とすることにより、コート層樹脂は適度な弾性を持ち、現像剤の摩擦帯電時にキャリアが受ける衝撃を軽減させると考えられ、コート層の破損が抑止される。
【0066】
また、コート層樹脂を、アクリル樹脂とアミノ樹脂の架橋物とすることにより、適度な弾性を維持したまま、アクリル樹脂単独使用の場合発生しがちな、樹脂同士の融着、いわゆるブロッキングを、防止することができるため、より一層好ましい。
アミノ樹脂としては、従来知られているアミノ樹脂を用いることができるが、中でも、グアナミン、メラミンを用いることで、キャリアの帯電付与能力をも向上させることができるため、より好ましく用いられる。また、適度にキャリアの帯電付与能力を制御する必要がある場合には、グアナミンおよび/またはメラミンと、他のアミノ樹脂を併用しても差し支えない。
【0067】
また更に、上述のコート層樹脂が、シリコーン部分を構成単位として含むことにより、キャリア表面の表面エネルギー自体を低くすることができ、トナースペントの発生自体を抑制することができるため、単一のキャリア特性自体をより長期にわたって維持することができる。
該シリコーン部分の構成単位としては、メチルトリシロキサン単位、ジメチルジシロキサン単位、トリメチルシロキサン単位の少なくとも一種を含むことが好ましく、該シリコーン部分は、他のコート層樹脂と化学的に結合していても良く、ブレンド状態であっても良く、または、多層状になっていても良い。また、多層状である場合には、シリコーン部分は少なくとも最表層に位置させることが好ましい。
ブレンドや多層状の構成とする場合には、シリコーン樹脂および/またはその変性体を使用することが好ましく、例えば、従来から知られているいずれのシリコーン樹脂のうち、三次元網目構造を取り得る熱硬化型シリコーン樹脂を使用でき、下記化学式(2)で示されるオルガノシロキサン結合のみからなるストレートシリコーンおよびアルキド、ポリエステル、エポキシ、ウレタンなどで変性したシリコーン樹脂が挙げられる。
【0068】
【化3】
Figure 2004184651
【0069】
上記式中Rは水素原子、炭素原子1〜4のアルキル基またはフェニル基、RおよびRは水素基、炭素原子数1〜4のアルコキシ基、フェニル基、フェノキシ基、炭素原子数2〜4のアリケニル基、炭素原子数2〜4のアルケニルオキシ基、ヒドロキシ基、カルボキシル基、エチレンオキシド基、グリシジル基または下記化学式(3)で示される基である。
【0070】
【化4】
Figure 2004184651
上記式中R,Rはヒドロキシ基、カルボキシル基、炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4のアルコキシ基、炭素原子数2〜4のアルケニル基、炭素原子数2〜4のアルケニルオキシ基、フェニル基、フェノキシ基、k,l,m,n,o,pは1以上の整数を示す。
上記各置換基は未置換のもののほか、例えばヒドロキシ基、カルボキシル基、アルキル基、フェニル基、ハロゲン原子のような置換基を有してもよい。
【0071】
また、該コート層には、上述の絶縁性無機粒子に代表される、表面凹凸を形作る粒子の個数平均径より小さな個数平均径を持つ導電性または半導性粒子を含むことが好ましく、この様な導電性または半導性粒子をコート層中に含有させることにより、表面凹凸形状を形成する機能とキャリアの抵抗を制御する機能とを、独立して制御することが容易となる。
これら、導電性または半導性粒子としては、従来公知のもので良く、導電性粒子の例としては、鉄、金、銅等の金属;フェライト、マグネタイト等の酸化鉄;酸化ビスマス、酸化モリブデン等の酸化物;ヨウ化銀、βアルミナ等のイオン導電体;カーボンブラック等の顔料が挙げられ、半導性粒子の例としては、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸ランタン酸鉛等に代表される複酸化物や、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズの酸素欠陥形成物(フレンケル型半導体)、不純物型欠陥形成物(ショトキー型半導体)が挙げられる。
この中でも特にカーボンブラックの一つであるファーネスブラックやアセチレンブラックを用いることにより、少量の低抵抗微粉末の添加で効果的に導電性の調整が可能であり、好ましく用いられる。
これらの低抵抗微粉末は、キャリア表面凹凸を形成するための粒子より小さくする必要があるが、およそ個数平均径で0.01〜1μm程度のものが好ましく、コート層樹脂100重量部に対して2〜30重量部添加されることが好ましい。
また、現像剤重量中のトナー重量は、2〜12重量%であることが好ましく、2.5〜10重量%であることが更に好ましい。
【0072】
本発明に用いるキャリアとしては、他の材料を限定するものではなく、従来公知のものが使用でき、例えば、キャリア粒子のコア材に使用できる無機/金属の磁性粒子の例としては、鉄、コバルト、ニッケル等の金属;マグネタイト、ヘマタイト、フェライトなどの合金や化合物等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これら磁性粒子は、単結晶/アモルファスの粒子、単独/複合の焼結体、単独/複合の粒子を樹脂等の高分子中に分散させた粒子等の、いずれのコア材形態で使用しても良い。また、磁性粒子を高分子中に分散させた粒子で、キャリア粒子の磁気特性と磁性粒子の分散性を両立させるには、これらの磁性粒子は0.5〜10μm程度の大きさの粒子を含むことが好ましい。磁性粉末を分散した樹脂粒子を用いる場合の、キャリア粒子のコア材粒子を形成する樹脂としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、塩素化ポリエチレン、クロロスルホン化ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂;ポリスチレン、アクリル(例えばポリメチルメタクリレート)、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルエーテル、ポリビリケトン等のポリビニル及びポリビニリデン系樹脂;塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体;ポリテトラフルオロエチレン、ポリ弗化ビニル、ポリ弗化ビニリデン、ポリクロロトリフルオロエチレン等の弗素樹脂;ポリアミド;ポリエステル;ポリウレタン;ポリカーボネート等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0073】
磁性体分散タイプのコア材粒子には、これらの密着性を向上させたり、抵抗制御材の分散性を向上させる目的でシランカップリング剤、チタンカップリング剤等のカップリング剤を助剤として添加しても良い。
これらのコア材は、20〜200μm程度の粒径であることが、より好ましい。
【0074】
コート層の形成法としては、従来公知の方法が使用でき、コア材粒子の表面にコート層形成液を噴霧法、浸漬法等の手段で塗布すればよい。また、コート層の厚さは0.01〜20μmが好ましく、0.3〜10μm程度であれば更に好ましい。
更に、この様にしてコート層を形成したキャリア粒子を加熱することによりコート層の重合反応を促進させることが好ましい。
これらのキャリア粒子の加熱保持は、コート層形成後これに引き続きコート装置内で行なっても良く、また、コート層形成後、通常の電気炉や焼成キルン等、別の加熱手段によって行なっても良い。
また、加熱保持温度は、使用するコート層材料により異なるため、一概に決められるものではないが、120〜350℃程度の温度が好ましく用いられる。この時、加熱保持温度は、コート層樹脂の分解温度以下の温度が好ましく用いられ、200℃程度までの上限温度であることがより好ましい。
また加熱保持時間としては、5〜120分間程度であることが好ましい。
【0075】
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。また、実施例中の部は重量部を示す。
実施例1
(結着樹脂合成例1)
冷却管、攪拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物724部、イソフタル酸276部およびジブチルチンオキサイド2部を入れ、常圧下230℃で8時間反応し、さらに10〜15mmHgの減圧で5時間反応した後、160℃まで冷却して、これに32部の無水フタル酸を加えて2時間反応した。
次いで、80℃まで冷却し、酢酸エチル中にてイソフォロンジイソシアネート188部と2時間反応を行ないイソシアネート含有プレポリマー(P1)を得た。
次いでプレポリマー(P1)267部とイソホロンジアミン14部を50℃で2時間反応させ、重量平均分子量64000のウレア変性ポリエステル(U1)を得た。
上記と同様にビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物724部、テレフタル酸276部を常圧下、230℃で8時間重縮合し、次いで10〜15mmHgの減圧で5時間反応して、ピーク分子量5000の変性されていないポリエステル(E1)を得た。
ウレア変性ポリエステル(U1)200部と変性されていないポリエステル(E1)800部を酢酸エチル/MEK(1/1)混合溶剤2000部に溶解、混合し、結着樹脂(B1)の酢酸エチル/MEK溶液を得た。
一部減圧乾燥し、結着樹脂(B1)を単離した。Tgは62℃であった。
【0076】
(ポリエステル樹脂合成例A)
テレフタル酸 60部
ドデセニル無水コハク酸 25部
無水トリメリット酸 15部
ビスフェノールA(2,2)プロピレンオキサイド 70部
ビスフェノールA(2,2)エチレンオキサイド 50部
【0077】
上記組成物を、温度計、攪拌器、コンデンサー及び窒素ガス導入管を備えた容量1Lの4つ口丸底フラスコ内に入れ、このフラスコをマントルヒーターにセットし、窒素ガス導入管より窒素ガスを導入してフラスコ内を不活性雰囲気下に保った状態で昇温し、次いで0.05gのジブチルスズオキシドを加えて温度を200℃に保って反応させポリエステルA得た。
このポリエステルAのピーク分子量は4200であり、ガラス転移点は59.4℃であった。
【0078】
(マスターバッチ作成例1)
顔料:C.I.Pigment Yellow 74 40部
結着樹脂:ポリエステル樹脂A 60部
水 30部
上記原材料をヘンシェルミキサーにて混合し、顔料凝集体中に水が染み込んだ混合物を得た。これをロール表面温度130℃に設定した2本ロールにより45分間混練を行ない、パルベライザーで1mmφの大きさに粉砕し、マスターバッチ(M1)を得た。
【0079】
(トナー製造例1)
ビーカー内に前記の結着樹脂(B1)の酢酸エチル/MEK溶液240部、ペンタエリスリトールテトラベヘネート(融点81℃、溶融粘度25cps)20部、マスターバッチ(M1)8部を入れ、60℃にてTK式ホモミキサーで12000rpmで攪拌し、均一に溶解、分散させ、トナー材料液を用意した。
ビーカー内にイオン交換水706部、ハイドロキシアパタイト10%懸濁液(日本化学工業(株)製スーパタイト10)294部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.2部を入れ均一に溶解した。
ついで60℃に昇温し、TK式ホモミキサーで12000rpmに攪拌しながら、上記トナー材料溶液を投入し10分間攪拌した。
ついでこの混合液を攪拌棒および温度計付のコルベンに移し、98℃まで昇温して溶剤を除去し、濾別、洗浄、乾燥した後、風力分級し、トナー粒子を得た。
ついで、このトナー粒子100部に疎水性シリカ0.5部と、疎水化酸化チタン0.5部をヘンシェルミキサーにて混合して、トナー(T1)を得た。
【0080】
このトナー(T1)の超薄切片を作成し、透過型電子顕微鏡(日立社製H−9000H)を用いて、トナーの断面写真(倍率×100,000)を撮影し、写真から、ランダム選択した100点の着色剤部分の分散径から平均値を求めた。ここで、1粒子の分散径は最長径と最短径の平均とし、また、凝集状態にあるものは凝集体自身を1粒子とした。
着色剤の平均分散粒径は、0.38μmであった。また、0.7μm以上の分散粒径を持つ着色剤は、4.2%であった。
次にトナー(T1)の粒径を、コールターエレクトロニクス社製の粒度測定器「コールターカウンターTA2」を用い、アパーチャー径100μmで測定したところ、体積平均粒径(Dv)=6.2μm、個数平均粒径(Dn)=5.0μmであった。
引き続き、トナー(T1)の円形度を、フロー式粒子像分析装置FPIA−1000(東亜医用電子株式会社製)により平均円形度として計測した。測定は、前記装置に、予め不純固形物を除去した水100〜150ml中に分散剤として界面活性剤(アルキルベンゼンスフォン酸塩)を0.1〜0.5ml加え、更に測定試料を0.1〜0.5g程度加え、超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行ない、分散液濃度を3000〜1万個/μlに調整した測定液をセットして行なった。
得られたトナー(T1)の円形度は0.96であった。
【0081】
(キャリア製造例1)
アクリル樹脂溶液(固形分=50重量%) 30部
グアナミン溶液(固形分=70重量%) 7部
ストレートシリコーン樹脂(固形分=20%) 100部
γ−(2アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン 1部
ジブチルチンジアセテート 1部
アルミナ粒子(個数平均粒径=0.3μm) 75部
カーボンブラック 3部
トルエン 1000部
上記処方をホモミキサーで30分間分散してコート層形成用の塗工液を調整した。
これを重量平均粒径50μmの球形フェライト粒子5000部の表面へ流動床型スプレーコート装置によりコート後、150℃/1時間加熱してキャリア(C1)を得た。
キャリア(C1)の表面を、走査型電子顕微鏡で2000倍に拡大し観察したところ、表面にアルミナ由来の凹凸が形成され、レーザー顕微鏡を用いて非接触で測定したキャリア表面凹凸の平均高低差は、0.4μmであった。
また、キャリア断面を透過型電子顕微鏡にて観察し、キャリア表面を覆う被覆膜の膜厚の平均値をもって膜厚とした。キャリア(C1)の膜厚は、0.16μmであった。
評価結果を、以下の実施例及び比較例に用いたトナー、キャリアと共に、表1、表2に示す。
【0082】
【表1】
Figure 2004184651
【0083】
【表2】
Figure 2004184651
【0084】
次に、キャリア(C1)930部とトナー(T1)70部を、ターブラーミキサーにて2分間混合し、二成分現像剤を得た。
この現像剤を使用して、Ricoh製IPSIO color8000改造機を用い、A4版、画像面積率5%原稿20万枚の連続画像出図試験を行ない、画質評価、現像剤の帯電量評価を行なった。
画像評価としては、ベタ画像部の光沢度、ヘイズ度、耐光性、画像濃度、地肌カブリを、以下の方法で行なった。また、同時に、その他の不具合の発生有無を観察した。
【0085】
(光沢度)
上記単色画像サンプルにおいて、定着ベルト表面温度が160℃のときのサンプルの光沢度を、日本電色工業株式会社製のグロスメーターにより、入射角度60°により計測した。この光沢度は、値の高い程、光沢感が出る。フルカラーのコピー画像としては、適度な光沢が好まれ、10〜30%程度が好ましい。光沢度の評価は、初期画像のみ行なった。
(ヘイズ度)
上記評価機にて、イエロー単色画像サンプルを、転写紙としてリコー製のOHPシート(タイプPPC−DX)を用い、定着温度が160℃でのサンプルのヘイズ度を、スガ試験機株式会社製の直読ヘイズ度コンピューターHGM−2DP型により測定した。ヘイズ度の評価は、初期画像のみ行なった。
このヘイズ度は、曇り度とも言われ、トナーの透明性を示す尺度として測定され、値の低いほど透明性が高く、OHPシートを用いた場合の発色性が良好なものとなる。また、良好な発色性を示すヘイズ度の値は、30%以下が好ましく、特に20%以下である場合が好ましい。
(耐光性)
イエロー単色ベタ画像を作成し、フェードメーターにて、キセノンランプを用い、100時間光照射した後の退色具合を目視にて評価した。耐光性の評価は、初期画像のみ行なった。
(画像濃度)
ベタ画像出力後、画像濃度をX−Rite(X−Rite社製)により測定した。評価値としては、ベタ画像内の独立した5点を測定し、その平均値を使用した。
(地肌カブリ)
転写紙上地肌部のトナー汚れ度合を目視にて評価した。
また、トナー帯電量の測定は、エレクトロメーター(610C;ケスレー社製)を用い、気流によりトナーとキャリアを分離しつつ帯電電荷量を測定する、いわゆるブローオフ法によって行なった。
帯電量は、一旦、現像剤中のトナーを気流により除去してキャリアのみを取り出し、あらためて、現像剤に用いているものと同じトナーを、トナー濃度7重量%となるように仕込み、5分間攪拌後、得られた帯電量測定用現像剤をブローオフ測定した。
各評価結果を表3−1、表3−2に示す。
これらの評価の結果、初期、20万枚後共に良好な画像品質が得られ、本発明の静電荷像現像用イエロー現像剤が、画像品質、寿命の両面で有用であることが判った。
【0086】
実施例2
(トナー製造例2)
着色剤をC.I.Pigment Yellow 74の生顔料4部に変える以外は実施例1と同様にして、トナー粒子を得た。
ついで、トナー粒子100部に疎水性シリカ0.5部と、疎水化酸化チタン0.5部をヘンシェルミキサーにて混合して、トナー(T2)を得た。
このトナー(T2)の体積平均粒径(Dv)は6.1μm、個数平均粒径(Dn)は5.1μmで、Dv/Dnは1.20であった。
また、この着色材平均分散粒径は0.60μmで、0.7μm以上の分散粒径を持つ着色剤は8.9個数%であった。
トナー(T2)を用いた以外は、実施例1同様にして、各評価を行なった。
各評価結果を、表3−1、3−2に示す。
【0087】
実施例3
(トナー製造例3)
実施例1で得られたTK式ホモミキサー分散後のトナー組成物210部を酢酸エチル576部で希釈した。希釈した分散体210部を同様に処理して乳化後粒子化した。
その後は実施例1と同様にしてトナー粒子を得た。
ついで、トナー粒子100部に疎水性シリカ0.5部と、疎水化酸化チタン0.5部をヘンシェルミキサーにて混合して、トナー(T3)を得た。
このトナー(T3)の体積平均粒径(Dv)は4.2μm、個数平均粒径(Dn)は3.7μmで、Dv/Dnは1.14であった。
また、この着色材平均分散粒径は0.34μmで、0.7μm以上の分散粒径を持つ着色剤は3.1個数%であった。
トナー(T3)を用いた以外は、実施例1同様にして、各評価を行なった。
各評価結果を、表3−1、3−2に示す。
【0088】
実施例4
(トナー製造例4)
実施例1における結着樹脂(B1)を酢酸エチル/MEK(1/1)混合溶剤に溶解、混合する際に、混合溶剤量を1200部とし、トナー製造時にこの溶液240部を用いた以外は、実施例1と同様にしてトナー粒子を得た。
ついで、トナー粒子100部に疎水性シリカ0.5部と、疎水化酸化チタン0.5部をヘンシェルミキサーにて混合して、本発明のトナー(T4)を得た。
このトナー(T4)の体積平均粒径(Dv)は8.3μm、個数平均粒径(Dn)は6.5μmで、Dv/Dnは1.28であった。
また、この着色材平均分散粒径は0.50μmで、0.7μm以上の分散粒径を持つ着色剤は5.2個数%であった。
トナー(T4)を用いた以外は、実施例1同様にして、各評価を行なった。
各評価結果を、表3−1、3−2に示す。
【0089】
実施例5
(トナー製造例5)
溶解温度及び分散温度を50℃に変える以外は実施例1と同様にしてトナー粒子を得た。
ついで、トナー粒子100部に疎水性シリカ0.5部と、疎水化酸化チタン0.5部をヘンシェルミキサーにて混合して、本発明のトナー(T5)を得た。
このトナー(T5)の体積平均粒径(Dv)は5.5μm、個数平均粒径(Dn)は4.4μmで、Dv/Dnは1.25であった。
また、この着色材平均分散粒径は0.39μmで、0.7μm以上の分散粒径を持つ着色剤は3.6個数%であった。
トナー(T5)を用いた以外は、実施例1同様にして、各評価を行なった。
各評価結果を、表3−1、3−2に示す。
【0090】
実施例6〜10
(キャリア製造例2)
アクリル樹脂溶液(固形分=50重量%) 30部
グアナミン溶液(固形分=70重量%) 7部
ストレートシリコーン樹脂(固形分=20%) 100部
γ−(2アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン 1部
ジブチルチンジアセテート 1部
アルミナ粒子(個数平均粒径=0.3μm) 15部
カーボンブラック 3部
トルエン 1000部
上記処方をホモミキサーで30分間分散してコート層形成用の塗工液を調整した。
これを重量平均粒径50μmの球形フェライト粒子5000部の表面へ流動床型スプレーコート装置によりコート後、150℃/1時間加熱してキャリア(C2)を得た。
キャリア(C2)表面凹凸の平均高低差は、0.2μmであった。
また、キャリア(C2)の膜厚は、0.12μmであった。
ついで、実施例1〜5のトナー(T1)〜トナー(T5)と各々組み合わせて、イエロー現像剤を作成し、各評価を行なった。
各組み合わせ及び評価結果を表3−1、3−2に示す。
【0091】
比較例1
(マスターバッチ作成例2)
顔料:C.I.Pigment Yellow180 40部
結着樹脂:ポリエステル樹脂A 60部
水 30部
上記原材料をヘンシェルミキサーにて混合し、顔料凝集体中に水が染み込んだ混合物を得た。これをロール表面温度130℃に設定した2本ロールにより45分間混練を行ない、パルベライザーで1mmφの大きさに粉砕し、マスターバッチ(M2)を得た。
【0092】
(トナー製造例6)
着色剤をマスターバッチ(M2)8部に変える以外は実施例1と同様にしトナー粒子を得た。
ついで、トナー粒子100部に疎水性シリカ0.5部と、疎水化酸化チタン0.5部をヘンシェルミキサーにて混合して、比較トナー(T6)を得た。
このトナー(T6)の体積平均粒径(Dv)は6.5μm、個数平均粒径(Dn)は5.4μmで、Dv/Dnは1.20であった。
また、この着色材平均分散粒径は0.5μmで、0.7μm以上の分散粒径を持つ着色剤は4.5個数%であった。
トナー(T6)を用いた以外は、実施例1同様にして、各評価を行なった。
各評価結果を、表3−1、3−2に示す。
【0093】
比較例2
(トナー製造例7)
ポリエステル樹脂A 90部
カルナウバワックス 4部
マスターバッチ(M1) 5部
荷電制御剤 1部
以上の処方で2軸エクストルーダーを用いて100℃で混練し、粉砕、分級し、トナー粒子を得た。
ついで、トナー粒子100部に疎水性シリカ0.5部と、疎水化酸化チタン0.5部をヘンシェルミキサーにて混合して、比較トナー(T7)を得た。
このトナー(T7)の体積平均粒径(Dv)は8.5μm、個数平均粒径(Dp)は6.1μmで、Dv/Dnは1.39であった。
また、この顔料系着色材平均分散粒径は0.58μmで、0.7μm以上の個数%は5.9%であった。
トナー(T7)を用いた以外は、実施例1同様にして、各評価を行なった。
各評価結果を、表3−1、3−2に示す。
【0094】
比較例3
(キャリア製造例3)
アクリル樹脂溶液(固形分=50重量%) 30部
グアナミン溶液(固形分=70重量%) 7部
ストレートシリコーン樹脂(固形分=20%) 100部
γ−(2アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン 1部
ジブチルチンジアセテート 1部
カーボンブラック 3部
トルエン 1000部
上記処方をホモミキサーで30分間分散してコート層形成用の塗工液を調整した。
これを重量平均粒径50μmの球形フェライト粒子5000部の表面へ流動床型スプレーコート装置によりコート後、150℃/1時間加熱してキャリア(C3)を得た。
キャリア(C3)表面凹凸の平均高低差は、0.06μmであったが、これは、コア材の凹凸によるものであった。
また、キャリア(C3)の膜厚は、0.11μmであった。
キャリア(C3)を用いた以外は、実施例1同様にして、各評価を行なった。
各評価結果を表3−1、3−2に示す。
【0095】
【表3−1】
Figure 2004184651
【0096】
【表3−2】
Figure 2004184651
【0097】
【発明の効果】
以上、詳細かつ具体的な説明より明らかなように、本発明の構成によれば、実施例および比較例の対比から明らかなように、帯電量が経時的に安定し、画像劣化の極めて少ない、安定した画像を得るに必要な特質を持つと同時に、透明性が高く、耐光性に優れた、高精細・高解像度の高品質画像を得るのに、有効な静電荷像現像用イエロー現像剤並びに画像形成方法であった。

Claims (9)

  1. 少なくとも結着樹脂及びイエロー着色剤を含むトナーと、磁性コア材表面に少なくとも樹脂及び粒子を含むコート層を設けたキャリアを混合してなる静電荷像現像用イエロー現像剤であって、該キャリアが、キャリア表面に、コート層に含まれる粒子に由来する凹凸を有するキャリアであり、該トナーが、有機溶媒中に変性ポリエステル系樹脂から成るプレポリマー、該プレポリマーと伸長または架橋する化合物、およびトナー組成分を溶解又は分散させ、該溶解又は分散物を水系媒体中で架橋反応及び/又は伸長反応させ、得られた分散液から溶媒を除去することにより得られたトナーであり、該イエロー着色剤が下記化合物(1)であることを特徴とする静電荷像現像用イエロー現像剤。
    Figure 2004184651
  2. 前記トナー中のイエロー着色剤が、分散された状態で存在し、その分散粒径が、個数平均径で0.5μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の静電荷像現像用イエロー現像剤。
  3. 前記結着樹脂及びイエロー着色剤を予め水と共に混練させた組成物を用いることを特徴とする請求項1又は2に記載の静電荷像現像用イエロー現像剤。
  4. 前記トナー粒子の体積平均粒径が4〜8μmであり、(体積平均粒径/個数平均粒径)が1.25以下であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の静電荷像現像用イエロー現像剤。
  5. 前記トナー粒子の平均円径度が0.90〜0.99であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の静電荷像現像用イエロー現像剤。
  6. 前記キャリア表面凹凸の平均高低差が0.1〜2.0μmであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の静電荷像現像用イエロー現像剤。
  7. 前記キャリアコート層に含まれる粒子の粒子径(D)と、該コート層樹脂の膜厚(h)が1<[D/h]<10であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の静電荷像現像用イエロー現像剤。
  8. 前記キャリアコート層に含まれる粒子の総含有量が、コート層組成成分の40〜95wt%であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の静電荷像現像用イエロー現像剤。
  9. 請求項1乃至8のいずれかに記載の静電荷像現像用イエロー現像剤を用いることを特徴とするカラー画像形成方法。
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