JP2004184103A - 骨髄異形成症候群の検査方法 - Google Patents

骨髄異形成症候群の検査方法 Download PDF

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Abstract

【課題】客観的かつ正確に、しかも短時間で、不応性貧血を診断するために有用な検出方法および検査方法を提供すること。
【解決手段】試料中のCD34陽性骨髄芽球について、細胞表面抗原、好ましくはCD2、CD7、CD10、CD11b、CD13、CD15、CD33、CD56、AC133、グリコフォリンAおよびIL−3受容体α鎖からなる群より選ばれる1以上の細胞表面抗原の発現異常を検出することを特徴とする不応性貧血の検出方法および検査方法。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、骨髄異形成症候群の検査方法に関し、より詳しくは骨髄異形成症候群の1病型である不応性貧血の検出、検査、および/または診断に有用な新たな方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
骨髄異形成症候群(myelodysplastic syndromes;以下、MDSと略称する)は、造血幹細胞に由来する腫瘍疾患であり、デノボ(de novo)で生じる場合と、化学療法や放射線療法などにより生じる場合とがある。その発症頻度は骨髄性腫瘍の中で最多である(非特許文献1)。MDSは、血球減少(貧血、白血球減少や血小板減少)と造血細胞の形態異常(異形成)とを主徴とし、骨髄・末梢血での芽球比率などに基づいて5病型に分類されている。
【0003】
5病型の中で最も多い不応性貧血(Refractory anemia;以下、RAと略称することもある)(非特許文献2)の診断は、しばしば困難を伴う。血球減少と骨髄細胞の形態異常を認め、さらに他の疾患が否定された場合、RAの診断が下される。しかし、形態異常は細胞の顕微鏡検査でしか判定できないため、結果が判定者の主観に左右されるという重大な欠点があり、さらに形態異常の軽微なRA例も多い(非特許文献3)。また、他の血球減少を呈する疾患を否定することもしばしば困難である。
【0004】
別のRA診断方法として、骨髄細胞の染色体分析が知られている。この分析で異常が検出できればRAの診断根拠になるが、RAにおける染色体異常の検出率は約25%と低い(非特許文献4)。また染色体分析は結果を得るまでに数週間を必要とする。
【0005】
さらに別のRA診断方法として、確立された方法ではないが、ステットラー−ステベンソンらによりフローサイトメトリーを用いた方法が報告されている(非特許文献5)。しかし、この方法は血球減少を呈する他の疾患との鑑別可能性については検討されておらず、その有用性は不明である(非特許文献5)。
【0006】
【非特許文献1】アウル(Aul)ら,「インターナショナル ジャーナル オブ ヘマトロジー(International Journal of Hematology)」,2001年,第73巻,第4号,p.405−410
【非特許文献2】清水ら,「インターナショナル ジャーナル オブ ヘマトロジー(International Journal of Hematology)」,1995年,第61巻,第1号,p.17−22
【非特許文献3】ハンブリン(Hamblin)ら,「ロイケミア リサーチ(Leukemia Research)」,1992年,第16巻,第1号,p.3
【非特許文献4】フェノー(Fenaux)ら,「セミナーズ イン ヘマトロジー(Seminars in Hematology)」,1996年,第33巻,第2号,p.127−138
【非特許文献5】ステットラー−ステベンソン(Stetler−stevenson)ら,「ブラッド(Blood)」,2001年,第98巻,第4号,p.979−987。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
現在、RAを除く骨髄異形成症候群の4病型については客観的な診断方法が存在するが、RAについては未だ客観性に問題がある診断方法が用いられている。また、従来用いられているRAの診断方法は、結果を得るまでに長時間が必要であるため、短時間で正確な診断を可能にする新たなRA検出方法が求められている。本発明において解決しようとする課題は、客観的かつ正確に短時間でRAを診断するために有用なRAの検出方法および検査方法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、課題解決のために研究を重ね、生体試料中の骨髄芽球についてその表面抗原を解析することで客観的且つ正確にRAを検出する方法を開発した。
【0009】
本発明に係るRAの検出方法は、試料中のCD34陽性骨髄芽球について、細胞表面抗原の発現異常を検出することを最も主要な特徴とする。
【0010】
細胞表面抗原とは、機能や形態などによって種々に分類される細胞がその表面上に保持する物質であり、当該物質はそれぞれの細胞の分類に対応し、当該物質に対する特異抗体により同定することができる。そのため、細胞表面抗原は、各種細胞の特質を示すマーカーとして使用されている。近年、細胞表面抗原である分化抗原の同定およびグループ分類の研究が進み、白血球についてはCD(cluster of differentiation)表示が採用されている(ニール バークレイ(A.Neil Barclay)ら編、「ザ ロイコサイト アンティジェン:ファクツ ブック(The Leucocyte Antigen:Facts Book)」、第2版、アカデミック プレス(Academic Press)、1997年、1月15日)。例えば、CD34は、細胞表面抗原であり、芽球でその発現が認められている。
【0011】
本発明に係る方法では、CD34陽性の骨髄芽球を細胞表面上に保持する細胞について、各種細胞表面抗原の発現の有無を測定する。CD34陽性骨髄芽球以外に、CD34陽性の細胞として、例えばB細胞系の幼若細胞(CD34陽性CD10陽性)が知られている。CD34陽性骨髄芽球と他のCD34陽性細胞との鑑別は、例えば、CD45の発現の測定により実施できる。すなわち、CD45の発現がより高い細胞がCD34陽性骨髄芽球であると判断される。この他、CD13、CD33、およびCD19の発現も鑑別に利用できる。
【0012】
細胞表面抗原は、RAの患者由来の試料中に存在する細胞において、健常人あるいは血球減少を伴う他の疾患由来の試料中に存在する細胞における発現程度(以下、基準値と呼称する)と比較して、増加または低減などの異常を呈するものであれば、いずれも測定の対象にし得る。例えば、骨髄系細胞抗原、リンパ系細胞抗原、幹細胞関連抗原、赤血球抗原、および各種物質に対する受容体などを挙げることができる。骨髄系細胞抗原として、好ましくは、CD11b、CD13、CD15およびCD33を例示できる。リンパ系細胞抗原として、好ましくは、CD2、CD3、CD5、CD7、CD10、CD19、CD20およびCD56が挙げられる。幹細胞関連抗原として、好ましくは、CD38、CD117、AC133およびIL−3受容体α鎖(以下、IL−3Rαと略称することもある)が挙げられる。赤血球抗原としては、赤芽球でその発現が認められているグリコフォリンA(glycophorin A;以下、GPAと略称する)が挙げられる。より好ましくは、CD2、CD7、CD10、CD11b、CD13、CD15、CD33、CD56、AC133、IL−3Rα、およびGPAを対象として測定する。
【0013】
試料は、通常ヒト由来の骨髄細胞が用いられるが、骨髄芽球が末梢血、腹水、胸水、髄液などの体液に存在する場合はこれを用いることもできる。ヒトからの各試料の調製および試料からの細胞の調製は、自体公知の方法で実施できる。調製した細胞からさらに、CD34陽性の骨髄芽球が含まれる細胞集団を濃縮して用いても良い。濃縮は、自体公知の密度勾配遠心法などにより実施可能である。例えば、芽球濃縮用試薬であるブラストレトリーバー(Blastretriever、日本抗体研究所)を用いて密度勾配遠心法により濃縮可能であるが、当該試薬の使用に限定されるものではない。
【0014】
細胞表面抗原の測定は、自体公知のいずれの測定方法も使用できる。例えば、一般的には、細胞表面抗原に対する抗体、好ましくは標識化抗体を使用して測定を行なう。抗体の標識物質は、細胞表面抗原の測定を可能にするものであれば、いずれの物質も使用できるが、好ましくは蛍光物質である。蛍光物質として、ペリジニン クロロフィル(PerCP)、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、フィコエリスリン(PE)、ビオチンおよびフィコエリスリン−シアニン7(PE−Cyanine7)などが例示できるが、抗体の標識物質として知られているものであればよく、これらの例に限定されない。抗体は市販の抗体を用いることができ、また市販の標識化抗体を用いてもよい。また、CD34およびその他の細胞表面抗原を測定するとき、これらを認識する各抗体の標識物質はそれぞれ異なるものを用いる。
【0015】
蛍光標識抗体を用いて、細胞表面抗原の測定を行なう場合、好ましくはフローサイトメトリー(以下、FCMと略称する)を使用して測定を実施できる。このとき、CD34およびCD45に対する各抗体とその他の細胞表面抗原の1種に対する抗体とを組合せて用い、FCMにより公知の3カラー解析を行なって、CD34陽性骨髄芽球における当該細胞表面抗原の測定が可能である。あるいは、CD34およびCD45に対する各抗体とその他の2種の細胞表面抗原それぞれに対する2種の抗体とを組合せて用い、FCMにより公知の4カラー解析を行なって、CD34陽性骨髄芽球における当該2種の細胞表面抗原を同時に測定可能である。4カラー解析は、3カラー解析と比較し、抗体の使用量および試料の使用量を節約でき、かつ3カラー解析と同様の結果が得られるので、有効な手段である。
【0016】
上記測定結果に基づき、CD34陽性骨髄芽球について、各細胞表面抗原が陽性である細胞の割合(以下、陽性率という)を算出できる(実施例1を参照)。その結果値を、健常人あるいは血球減少を伴う他の疾患由来の試料中に存在するCD34陽性骨髄芽球における各細胞表面抗原の陽性率(以下、基準値と呼称する)と比較したとき、基準値より増加あるいは低減した値を示す試料は、これら細胞表面抗原の発現異常があると認められ、RAの可能性があると判定することができる。すなわち、本発明に係る検出方法は、RAの検査および診断に使用可能である。基準値は、健常人あるいは血球減少を伴う他の疾患由来の試料中に存在するCD34陽性骨髄芽球における各細胞表面抗原の陽性率を上記方法で同様に測定して決定することができる。具体的には、例えば、RA以外の血球減少を伴う疾患患者17例(非ホジキンリンホーマ6例、慢性貧血1例、特発性血小板減少性紫斑病8例、ホジキン病1例および単クローン性免疫グロブリン血症1例)のデータに基づいて得た以下の基準値を適用することができる;CD2:0−25%、CD3:0−10%、CD7:0−15%、CD10:0−25%、CD11b:0−20%、CD13:20−70%、CD15:0−30%、CD19:0−20%、CD33:40−80%、CD38:70−100%、CD56:0−10%、CD117:10−90%、AC133:0−50%、IL−3Rα:10−80%およびGPA:0−20%。基準値は上記の例に限定されず、RA以外の血球減少を伴う疾患患者のより多数例について上記解析を行なうことにより、変更することが可能である。
【0017】
本発明に係る方法は、具体的には例えば、以下の工程により実施することができる;
(1)試料中の細胞を抗CD34抗体、抗CD45抗体、および下記の群から選ばれる1種の細胞表面抗原に対する抗体または2種の細胞表面抗原のそれぞれに対する抗体で処理する工程;CD2、CD3、CD5、CD7、CD10、CD11b、CD13、CD15、CD19、CD20、CD33、CD38、CD56、CD117、AC133、GPAおよびIL−3受容体α鎖、
(2)CD34、CD45および前記細胞表面抗原を測定する工程、
(3)CD34陽性を示す骨髄芽球の集団を同定し、該集団において、前記各表面抗原の陽性率を算出する工程、
および
(4)上記算出された各細胞表面抗原の陽性率と基準値とを比較して、各細胞表面抗原の発現異常を検出する工程。
【0018】
試料に赤血球が含まれる場合、上記工程の(1)の前または後に、赤血球を溶血させる工程が含まれていてもよい。赤血球の溶血は、自体公知の試薬および方法を用いて実施できる。
【0019】
RAは、デノボの発症以外に、化学物質の接種や放射線の暴露を受けた場合に生じることがある。したがって、本発明に係るRAの検出方法並びに当該検出方法を用いた検査方法および診断方法は、健常人、被爆者(原子力発電所従事者、放射線従事者、放射線治療を受けたヒト)、および化学療法を受けたヒトなどの、RAの検出に適用できる。本方法は、RAの検出や診断に用いられてきた従来の染色体分析方法と比較して、短時間に結果が得られ、多量の試料を客観的にかつ正確に測定し得るという利点を有する。FCMを用いてMDSを診断しようとする試みがステットラー−ステベンソンらにより既に報告されているが、この報告では、本方法の根幹であるCD34陽性骨髄芽球の解析は行なっていない(非特許文献5)。また血球減少を伴う他の疾患との鑑別可能性も検討されていない。本発明に係る検出方法において、CD34陽性骨髄芽球について各細胞表面抗原の解析を行なうことにより、RAと他の疾患との細胞表面抗原測定による鑑別が初めて可能になった。このように、本発明は従来の方法に比べて、RAの検出、検査、および/または診断に非常に有用である。
【0020】
さらに、本発明においては、上記成果に基づき、蛍光物質で標識した抗CD34抗体、前記蛍光物質とは異なる蛍光物質で標識した抗CD45抗体、および前記2種の蛍光物質のいずれとも異なる蛍光物質で標識した下記抗体から選ばれる少なくとも1種の抗体を含んでなる、不応性貧血の検出、検査、および/または診断に用いる試薬キットを提供する;抗CD2抗体、抗CD3抗体、抗CD5抗体、抗CD7抗体、抗CD10抗体、抗CD11b抗体、抗CD13抗体、抗CD15抗体、抗CD19抗体、抗CD20抗体、抗CD33抗体、抗CD38抗体、抗CD56抗体、抗CD117抗体、抗AC133抗体、抗GPA抗体および抗IL−3受容体α鎖抗体。キットに含まれる抗体は、より好ましくは、抗CD34抗体、および抗CD45抗体、並びに抗CD2抗体、抗CD7抗体、抗CD10抗体、抗CD11b抗体、抗CD13抗体、抗CD15抗体、抗CD33抗体、抗CD56抗体、抗AC133抗体、抗グリコフォリンA(glycophorin A)抗体および抗IL−3受容体α鎖抗体からなる群から選ばれる少なくとも1種の抗体である。本試薬キットは、上記抗体以外に、細胞表面抗原の測定に必要な物質、例えば緩衝液や赤血球溶血用試薬などを含んであってもよい。また、試薬キットを構成する各試薬は、安定化剤および/または防腐剤などの物質を含んであってもよい。
【0021】
【実施例】
以下に実施例および比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
骨髄細胞(BM細胞)は、患者の骨髄からヘパリンを用いて吸引して得た。RA患者由来のBM細胞は、BM細胞の臨床診断により、当該疾患であると診断されたものから得た。
【0022】
BM細胞を、常法により処理して夾雑する赤血球を除いた。細胞をフローサイトメトリー用の試験管に分注し、以下の各組合せの細胞表面抗原に対応する3種類の蛍光標識抗体で染色後、フローサイトメトリーでデータを回収した;CD45/CD34/CD2、CD45/CD34/CD3、CD45/CD34/CD5、CD45/CD34/CD7、CD45/CD34/CD10、CD45/CD34/CD11b、CD45/CD34/CD13、CD45/CD34/CD15、CD45/CD34/CD19、CD45/CD34/CD20、CD45/CD34/CD33、CD45/CD34/CD38、CD45/CD34/CD56、CD45/CD34/CD117、CD45/CD34/AC133、CD45/CD34/IL−3Rα、またはCD45/CD34/GPA。それぞれの3種類の蛍光標識抗体は、それぞれ異なる蛍光物質で標識されたものを用いた。抗CD45抗体は、ペリジニン クロロフィル(PerCP)で標識した抗体(ベクトン ディッキンソン(Becton Dickinson)社)を用いた。抗CD34抗体は、PE標識抗体あるいはFITC標識抗体(ベクトン ディッキンソン社)を用いた。CD3、CD5、CD15、またはCD19に対する抗体はフルオレセインイソチオシアネート(FITC)標識抗体(ベクトン ディッキンソン社)、CD11bまたはCD13に対する抗体はフィコエリスリン(PE)標識抗体(ベクトン ディッキンソン社)、CD2、CD7またはCD38に対する抗体はFITC標識抗体(ファーミンジェン(Pharmingen)社)、CD20、CD33またはCD56に対する抗体はPE標識抗体(ファーミンジェン社)、CD10、CD117またはGPAに対する抗体はPE標識(コールター−イムノテック(Coulter−Immunotech社)、AC133に対する抗体はPE標識抗体(ミルテニイ バイオテク(Miltenyi Biotec)社)、IL−3Rα鎖に対する抗体はPE標識抗体(ファーミンジェン社)を用いた。このとき、蛍光色素の不適切なチャネルへの蛍光発光重複を補正するために、単色標識細胞を用いて測定を行なった。ほとんどの試料について、少なくとも200,000個の細胞の情報を捕捉した。測定および解析はFACScan(ベクトン ディッキンソン社)で実施した。
【0023】
収集したFCMデータについて3カラー解析を行なった。データをCD45発現と側方散乱で展開し、CD34、CD13、CD33の発現陽性、CD19の発現陰性などを参考にして、CD34陽性骨髄芽球の集団を同定した。また、アイソタイプが一致した陰性対象を全ての解析で用いた。CD34陽性骨髄芽球の集団の、各細胞表面抗原の陽性率を下記式1により算出し、代表的な結果を表1に示した。
【0024】
【式1】
Figure 2004184103
【0025】
【表1】
Figure 2004184103
【0026】
表中、NDとは未測定を意味する。また、基準値より増加または低減している数値を斜体文字で示した。基準値は、MDSや骨髄性白血病など以外の疾患で、血球減少を伴う疾患の患者由来のBM細胞を上記方法で同様に解析した結果値の範囲から、暫定的に決定した(比較例1を参照)。すなわち、斜体文字で示した数値は、試料中の細胞におけるその細胞表面抗原の発現が異常であることを示す。表1によれば、RA患者由来のCD34陽性骨髄芽球の集団における発現異常が、7例中、CD11bは2例、CD13は2例、CD15は6例、CD33は6例、CD2は2例、CD10は1例、CD56は3例、AC133は2例、IL−3Rαは1例、GPAは1例で、明らかに認められた。
【0027】
【比較例1】
BM細胞を、MDSや骨髄性白血病などの骨髄系腫瘍以外の疾患であって血球減少をともなう疾患の患者から実施例1と同様の方法で得た。患者は、非ホジキンリンホーマ(NHL)6例、慢性貧血(ACD)1例、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)8例、ホジキン病(HD)1例および単クローン性免疫グロブリン血症(MGUS)1例である。BM細胞について、実施例1と同様の方法で、細胞表面抗原の解析を行ない、各細胞表面抗原の陽性率を表2に示した。これら17例の結果から得られた細胞表面抗原の陽性率の範囲から、各細胞表面抗原の基準値を暫定的に決定し、表2に示した。
【0028】
【表2】
Figure 2004184103
【0029】
【発明の効果】
本発明に係る方法は、従来の方法と比較して客観性および正確性に優れ、かつ短時間で高率に表面抗原の異常が検出できるという利点を有する。したがって、本発明は、RAの検査および診断に非常に有用である。

Claims (7)

  1. 試料中のCD34陽性を示す骨髄芽球について、細胞表面抗原の発現異常を検出することを特徴とする不応性貧血の検出方法。
  2. 細胞表面抗原が、骨髄系細胞抗原、リンパ球細胞抗原、赤血球抗原、または幹細胞関連抗原に含まれるものである請求項1に記載の方法。
  3. 細胞表面抗原が、CD2、CD7、CD10、CD11b、CD13、CD15、CD33、CD56、AC133、グリコフォリンA(glycophorin A)およびIL−3受容体α鎖からなる群より選ばれる1以上である請求項1に記載の方法。
  4. 細胞表面抗原の発現異常の検出が、以下の工程を少なくとも含んでいることを特徴とする請求項3に記載の方法;
    (1)試料中の細胞を抗CD34抗体、抗CD45抗体、および下記の群から選ばれる1種の細胞表面抗原に対する抗体または2種の細胞表面抗原のそれぞれに対する抗体で処理する工程;CD2、CD7、CD10、CD11b、CD13、CD15、CD33、CD56、AC133、グリコフォリンA(glycophorin A)およびIL−3受容体α鎖、
    (2)CD34、CD45および前記細胞表面抗原を測定する工程、
    (3)CD34陽性を示す骨髄芽球の集団を同定し、該集団において、前記各表面抗原の陽性率を算出する工程、
    および
    (4)上記算出された各細胞表面抗原の陽性率と基準値とを比較して、各細胞表面抗原の発現異常を検出する工程。
  5. 細胞表面抗原の発現異常の検出が、以下の工程を少なくとも含んでいることを特徴とする請求項3に記載の方法;
    (1)試料中の細胞を抗CD34抗体、抗CD45抗体、および下記の群から選ばれる1種の細胞表面抗原に対する抗体または2種の細胞表面抗原のそれぞれに対する抗体で処理する工程;CD2、CD7、CD10、CD11b、CD13、CD15、CD33、CD56、AC133、グリコフォリンA(glycophorin A)およびIL−3受容体α鎖、
    (2)CD34、CD45および前記各細胞表面抗原を、CD34、CD45および各細胞表面抗原に結合した蛍光標識抗体の蛍光を測定することにより検出する工程、
    (3)CD34陽性を示す骨髄芽球の集団を同定し、該集団において、前記各表面抗原の陽性率を算出する工程、
    および
    (4)上記算出された各細胞表面抗原の陽性率と基準値とを比較して、各細胞表面抗原の発現異常を検出する工程。
  6. 請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の方法を用いることを特徴とする不応性貧血の検査方法。
  7. 蛍光物質で標識した抗CD34抗体、前記蛍光物質とは異なる蛍光物質で標識した抗CD45抗体、および前記2種の蛍光物質のいずれとも異なる蛍光物質で標識した下記抗体から選ばれる少なくとも1種の抗体を含んでなる、不応性貧血の検出、検査、および/または診断に用いる試薬キット;抗CD2抗体、抗CD7抗体、抗CD10抗体、抗CD11b抗体、抗CD13抗体、抗CD15抗体、抗CD33抗体、抗CD56抗体、抗AC133抗体、抗グリコフォリンA(glycophorin A)抗体およびIL−3受容体α鎖抗体。
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