JP2004183156A - 長網抄紙機のセキュリティースレッド挿入装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】紙層中にスレッドを挿入する際、スレッドの蛇行を減少させると共に、スレッドの反転を防止する。
【解決手段】長網紙機により単一の紙層中にセキュリティースレッド2を挿入する場合、長網をシェーキングする必要があり、このシェーキング動作により、スレッド2が蛇行及び反転が発生するが、長網抄紙機のスレッド挿入装置に張力調整機構1を設け、該調整機構1内の張力測定装置1Dでスレッド2の張力を測定し、張力が所定値以下の場合は、ボビンブレーキ1Bによりボビン1Aの回転を制御するブレーキ量を増減させて、スレッド2に適度な張力を付加して、スレッド2の蛇行を減少させると共に、スレッドの反転を防止する。
【選択図】 図1
【解決手段】長網紙機により単一の紙層中にセキュリティースレッド2を挿入する場合、長網をシェーキングする必要があり、このシェーキング動作により、スレッド2が蛇行及び反転が発生するが、長網抄紙機のスレッド挿入装置に張力調整機構1を設け、該調整機構1内の張力測定装置1Dでスレッド2の張力を測定し、張力が所定値以下の場合は、ボビンブレーキ1Bによりボビン1Aの回転を制御するブレーキ量を増減させて、スレッド2に適度な張力を付加して、スレッド2の蛇行を減少させると共に、スレッドの反転を防止する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、長網抄紙機により銀行券等の証券類用紙の単一の紙層中に挿入にスレッドを挿入するスレッド挿入装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、銀行券等の諸証券類用紙に偽造防止のためにスレッドが用紙中に挿入されており、その挿入方法として、円網抄紙機を用いた多槽式による挿入方法又は長網抄紙機と円網抄紙機とを組み合わせた挿入方法等があったが、これらのスレッド挿入方法は、多層の紙層間にスレッドが挿入されているため、紙層を剥離してスレッドに記入された情報を解読したり、スレッドを取り出し、偽造する恐れがある。そこで、偽造防止効果を向上させるために、長網抄紙機により単一の紙層中にスレッドを挿入するスレッド挿入方法又はスレッド挿入装置(例えば、特許文献1参照。)が開発されたが、この長網抄紙機により単一の紙層中にスレッドを挿入する方法又は装置は、紙料縣濁液4中の紙質を均等にして抄紙するため、図2(a)に示すように、長網5を左右にシェーキングする必要があり、この長網5のシェーキングにより長網5を通過するスレッド2が、図2(b)及び(c)に示すように、蛇行及び反転し、蛇行及び反転したスレッド2が紙層中に挿入されるという問題があった。
【0003】
【特許文献1】
特公平4−78760号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は前記問題点を解決するもので、長網抄紙機により単一の紙層中にスレッドを挿入するスレッド挿入装置において、長網のシェーキング時に発生する、スレッドの蛇行を減少させると共に、スレッドの反転を防止することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、長網抄紙機により紙層中にスレッドを挿入する長網抄紙機のスレッド挿入装置であって、
スレッドが捲かれたボビンと、ボビンから引き出されたスレッドをその管内を通過して長網上の紙料懸濁液中に供給するスレッド挿入管と、ボビンとスレッド挿入管との間に、スレッドに所定の範囲内の張力になるように調整する張力調整機構を設けた長網抄紙機のセキュリテイースレッド挿入装置である。
【0006】
本発明は、前記張力調整機構が、ボビンの回転を制御するボビンブレーキと、スレッドの張力を測定する張力測定手段と、前記張力測定手段が測定した張力値が所定の範囲内になるようにボビンの回転を制御する前記ボビンブレーキのブレーキ量を算出するボビン回転制御量算出手段と、からなる長網抄紙機のスレッド挿入装置である。
【0007】
本発明は、前記張力測定手段が、ボビンとスレッド挿入管との間に、スレッドの張力を測定する張力測定センサーと、張力測定を安定させる複数のローラー群と、からなる長網抄紙機のスレッド挿入装置である。
【0008】
本発明は、前記所定の範囲内の張力が、スレッドの断面積に応じた略0.12〜1.58〔g/mm2 〕の張力を印加する長網抄紙機のスレッド挿入装置である。
【0009】
本発明は、前記張力測定手段が極端な張力の減少を測定した時は、ボビン回転制御量算出手段はスレッドが切断したものと判定して、前記ボビンブレーキを作動させて前記ボビンを停止する長網抄紙機のスレッド挿入装置である。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明は長網抄紙機のスレッド挿入装置であり、図1に示すような、長網5を用いて、紙を抄く、長網紙機により単一の紙層中にセキュリティースレッド2を挿入する場合、単一の紙層中にスレッド2を挿入するには、図2(a)に示すように、長網5をシェーキングする必要があり、長網5のシェーキング動作により、スレッド2が図2(b)に示すような蛇行及び図2(b)に示すような反転という現象が発生していたが、本発明は、図1に示すように、長網抄紙機のスレッド挿入装置に張力調整機構1を設け、この張力調整機構1によりスレッド2に適度な張力を印加することにより、前記スレッド2の蛇行の減少させると共に、スレッド2の反転を防止するものである。
【0011】
図3に示すように、スレッドはボビン幅方向に精度良く巻かれており、端部Aから中央部Bそして端部Cへと順次巻き出し、端部Cまで到達すると方向を変えて中央部Bそして端部Aへと巻き出している。その時の長網上でのスレッドにかかる巻き出し張力は、図4に示すように、ボビン幅方向の端部A及び端部Cでは、スレッドの最初の拘束点との巻き出し角度A及びBが大きく、抵抗の増大により張力が大きくなる。逆にボビン中央部Bとスレッドの最初の拘束点での張力は、スレッドの最初の拘束点との巻き出し角度が小さく、端部A、Cに比較して小さくなる。その結果、図4に示すように、端部A、Cと中央部Bとの張力差が大きくなり、張力が小さくなった場合には、図2(b)及び(c)に示すように、スレッドの蛇行及び反転したスレッド2が紙層中に挿入されるという問題があった。
【0012】
長網抄紙機のスレッド挿入装置の詳細について、以下に説明する。
従来のスレッド挿入装置は、スレッド2が捲かれたボビン1Aからスレッド2を直接、スレッド挿入管3内を通過させて、長網5に供給していた。本発明においては、ボビン1Aとスレッド挿入管3との間にスレッド2に適度な張力を印加する張力調整機構1を設ける。張力調整機構1はボビン1Aと、ボビン1Aの回転軸に取り付けられ電磁ブレーキ機構を有するボビンブレーキ1Bと、スレッド切れを検出してボビン1Aの回転を停止するスレッド供給停止指令情報を送出するスレッド切断検出手段1Cと、スレッドの張力を測定する張力測定装置1Dとからなり、ボビン1Aからスレッド挿入管3に送出されるスレッド2の張力を張力測定装置1Dが測定する。なお、ボビンの捲き出し点とスレッドが紙層へ固定された時点の間で発生する張力を、所定の張力以下、即ち、スレッド2が蛇行、切れ及び反転を起こさない程度の張力以下の場合は、張力測定装置1Dからの張力測定値をボビン回転制御量算出手段1Fにより、所定の張力に対応するボビンブレーキ量を算出する。このブレーキ量に応じてボビンブレーキ1Bはボビン1Aの回転を制御し、スレッド2の供給を抑制するので、スレッド2に所定の範囲内の適度な張力が付加され、スレッド2の蛇行を減少させると共に、スレッド2の反転を防止することができる。
【0013】
また、スレッド2の切断は、前記スレッド切断検出手段1C以外でも検出することができる。スレッド2が切断した場合にはスレッド2の張力は極端に減少する。そこで、前記張力測定装置1Dが極端な張力の減少を測定した時は、ボビン回転制御量算出手段1Fはスレッド2が切断したものと判定して、前記ボビンブレーキ1Bを作動させて前記ボビン1Aを停止する。
【0014】
前記スレッド2の蛇行の減少及び反転の防止に必要な印加張力を実験により測定した。その結果、図5から図7に示すように、0.12〜1.8〔g/mm2 〕程度の張力をスレッド2に与えることにより、蛇行の減少及び反転の防止ができることが解明された。スレッド張力は、挿入管を通過する抵抗のため、最低でも0.12〔g/mm2 〕の張力がスレッドへ印加される。図6に示すように、張力が0.48〔g/mm2 〕以上であれば反転が防止できることが解明された。図3に示すように、スレッドはボビン幅方向に精度良く巻かれており、端部Aから中央部Bそして端部Cへと順次巻き出し、端部Cまで到達すると方向を変えて中央部Bそして端部Aへ巻き出している。図4に示すように、その時の長網上でのスレッドにかかる巻き出し張力は、ボビン幅方向の端部A及びCでは、スレッドの最初の拘束点との巻き出し角度A及びBが大きく、抵抗の増大により張力が大きくなっていたが、張力調整機構を設けることにより、図5に示すように、張力の変動幅が小さくなることが確認できた。図8に示すように、スレッドに印加する張力が、0.12〔g/mm2 〕から0.96〔g/mm2 〕の範囲では用紙上のスレッド伸び率が10%以内となり、この範囲であれば、損品となりにくく、これが最適な張力であると判明した。
【0015】
【発明の効果】
本発明は、長網抄紙機のスレッド挿入装置に張力調整機構を設け、この張力調整機構によりスレッドに適度な張力を印加することにより、スレッドの蛇行を減少させると共に、スレッドの反転を防止することができる。
【0016】
また、本発明においては、スレッド切断検出手段1Cを設けて、スレッド切れを検出した場合は、即時にスレッドの供給を停止する機能を有するので、スレッド切れによる故障の程度を最小限に抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の長網抄紙機のスレッド挿入装置の構成図である。
【図2】本発明の長網抄紙機の長網のシェーキング、蛇行及び捩れ並びに反転の状態を示す図である。
(a)長網抄紙機における長網のシェーキング動作を示す図である。
(b)長網抄紙機における長網のシェーキング動作により発生するスレッドの蛇行状態を示す図である。
(c)長網抄紙機における長網のシェーキング動作により発生するスレッドの反転状態を示す図である。
【図3】本発明のスレッドが捲かれたボビンからスレッドが引き出される状態を示す図
である。
【図4】本発明の長網抄紙機のスレッド挿入装置において、張力調整機構を使用しない
場合のボビンの巻き出し位置と張力との対応関係を示す実験データの図である。
【図5】本発明の長網抄紙機のスレッド挿入装置において、張力調整機構を使用した場
合のボビンの巻き出し位置と張力との対応関係を示す実験データの図である。
【図6】本発明の長網抄紙機のスレッド挿入装置において、張力調整機構を使用し、ス
レッドに与える張力と反転発生回数との対応関係を示す実験データの図である。
【図7】本発明の長網抄紙機のスレッド挿入装置において、張力調整機構を使用し、スレッドに与える張力と蛇行量との対応関係を示す実験データの図である。
【図8】本発明の長網抄紙機のスレッド挿入装置において、張力調整機構を使用し、スレッドに与える張力と用紙上のスレッド伸び率との対応関係を示す実験データの図である。
【符号の説明】
1 張力調整機構
1A ボビン
1B ボビンブレーキ
1C スレッド切断検出手段
1D 張力測定装置
1E 張力測定センサー
1F ボビン回転制御量算出手段
1G 安定ローラー
2 スレッド
3 スレッド挿入管
4 紙料縣濁液
5 長網
6A スライス板
6B スライス板
7 用紙巻取りロール
【発明の属する技術分野】
本発明は、長網抄紙機により銀行券等の証券類用紙の単一の紙層中に挿入にスレッドを挿入するスレッド挿入装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、銀行券等の諸証券類用紙に偽造防止のためにスレッドが用紙中に挿入されており、その挿入方法として、円網抄紙機を用いた多槽式による挿入方法又は長網抄紙機と円網抄紙機とを組み合わせた挿入方法等があったが、これらのスレッド挿入方法は、多層の紙層間にスレッドが挿入されているため、紙層を剥離してスレッドに記入された情報を解読したり、スレッドを取り出し、偽造する恐れがある。そこで、偽造防止効果を向上させるために、長網抄紙機により単一の紙層中にスレッドを挿入するスレッド挿入方法又はスレッド挿入装置(例えば、特許文献1参照。)が開発されたが、この長網抄紙機により単一の紙層中にスレッドを挿入する方法又は装置は、紙料縣濁液4中の紙質を均等にして抄紙するため、図2(a)に示すように、長網5を左右にシェーキングする必要があり、この長網5のシェーキングにより長網5を通過するスレッド2が、図2(b)及び(c)に示すように、蛇行及び反転し、蛇行及び反転したスレッド2が紙層中に挿入されるという問題があった。
【0003】
【特許文献1】
特公平4−78760号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は前記問題点を解決するもので、長網抄紙機により単一の紙層中にスレッドを挿入するスレッド挿入装置において、長網のシェーキング時に発生する、スレッドの蛇行を減少させると共に、スレッドの反転を防止することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、長網抄紙機により紙層中にスレッドを挿入する長網抄紙機のスレッド挿入装置であって、
スレッドが捲かれたボビンと、ボビンから引き出されたスレッドをその管内を通過して長網上の紙料懸濁液中に供給するスレッド挿入管と、ボビンとスレッド挿入管との間に、スレッドに所定の範囲内の張力になるように調整する張力調整機構を設けた長網抄紙機のセキュリテイースレッド挿入装置である。
【0006】
本発明は、前記張力調整機構が、ボビンの回転を制御するボビンブレーキと、スレッドの張力を測定する張力測定手段と、前記張力測定手段が測定した張力値が所定の範囲内になるようにボビンの回転を制御する前記ボビンブレーキのブレーキ量を算出するボビン回転制御量算出手段と、からなる長網抄紙機のスレッド挿入装置である。
【0007】
本発明は、前記張力測定手段が、ボビンとスレッド挿入管との間に、スレッドの張力を測定する張力測定センサーと、張力測定を安定させる複数のローラー群と、からなる長網抄紙機のスレッド挿入装置である。
【0008】
本発明は、前記所定の範囲内の張力が、スレッドの断面積に応じた略0.12〜1.58〔g/mm2 〕の張力を印加する長網抄紙機のスレッド挿入装置である。
【0009】
本発明は、前記張力測定手段が極端な張力の減少を測定した時は、ボビン回転制御量算出手段はスレッドが切断したものと判定して、前記ボビンブレーキを作動させて前記ボビンを停止する長網抄紙機のスレッド挿入装置である。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明は長網抄紙機のスレッド挿入装置であり、図1に示すような、長網5を用いて、紙を抄く、長網紙機により単一の紙層中にセキュリティースレッド2を挿入する場合、単一の紙層中にスレッド2を挿入するには、図2(a)に示すように、長網5をシェーキングする必要があり、長網5のシェーキング動作により、スレッド2が図2(b)に示すような蛇行及び図2(b)に示すような反転という現象が発生していたが、本発明は、図1に示すように、長網抄紙機のスレッド挿入装置に張力調整機構1を設け、この張力調整機構1によりスレッド2に適度な張力を印加することにより、前記スレッド2の蛇行の減少させると共に、スレッド2の反転を防止するものである。
【0011】
図3に示すように、スレッドはボビン幅方向に精度良く巻かれており、端部Aから中央部Bそして端部Cへと順次巻き出し、端部Cまで到達すると方向を変えて中央部Bそして端部Aへと巻き出している。その時の長網上でのスレッドにかかる巻き出し張力は、図4に示すように、ボビン幅方向の端部A及び端部Cでは、スレッドの最初の拘束点との巻き出し角度A及びBが大きく、抵抗の増大により張力が大きくなる。逆にボビン中央部Bとスレッドの最初の拘束点での張力は、スレッドの最初の拘束点との巻き出し角度が小さく、端部A、Cに比較して小さくなる。その結果、図4に示すように、端部A、Cと中央部Bとの張力差が大きくなり、張力が小さくなった場合には、図2(b)及び(c)に示すように、スレッドの蛇行及び反転したスレッド2が紙層中に挿入されるという問題があった。
【0012】
長網抄紙機のスレッド挿入装置の詳細について、以下に説明する。
従来のスレッド挿入装置は、スレッド2が捲かれたボビン1Aからスレッド2を直接、スレッド挿入管3内を通過させて、長網5に供給していた。本発明においては、ボビン1Aとスレッド挿入管3との間にスレッド2に適度な張力を印加する張力調整機構1を設ける。張力調整機構1はボビン1Aと、ボビン1Aの回転軸に取り付けられ電磁ブレーキ機構を有するボビンブレーキ1Bと、スレッド切れを検出してボビン1Aの回転を停止するスレッド供給停止指令情報を送出するスレッド切断検出手段1Cと、スレッドの張力を測定する張力測定装置1Dとからなり、ボビン1Aからスレッド挿入管3に送出されるスレッド2の張力を張力測定装置1Dが測定する。なお、ボビンの捲き出し点とスレッドが紙層へ固定された時点の間で発生する張力を、所定の張力以下、即ち、スレッド2が蛇行、切れ及び反転を起こさない程度の張力以下の場合は、張力測定装置1Dからの張力測定値をボビン回転制御量算出手段1Fにより、所定の張力に対応するボビンブレーキ量を算出する。このブレーキ量に応じてボビンブレーキ1Bはボビン1Aの回転を制御し、スレッド2の供給を抑制するので、スレッド2に所定の範囲内の適度な張力が付加され、スレッド2の蛇行を減少させると共に、スレッド2の反転を防止することができる。
【0013】
また、スレッド2の切断は、前記スレッド切断検出手段1C以外でも検出することができる。スレッド2が切断した場合にはスレッド2の張力は極端に減少する。そこで、前記張力測定装置1Dが極端な張力の減少を測定した時は、ボビン回転制御量算出手段1Fはスレッド2が切断したものと判定して、前記ボビンブレーキ1Bを作動させて前記ボビン1Aを停止する。
【0014】
前記スレッド2の蛇行の減少及び反転の防止に必要な印加張力を実験により測定した。その結果、図5から図7に示すように、0.12〜1.8〔g/mm2 〕程度の張力をスレッド2に与えることにより、蛇行の減少及び反転の防止ができることが解明された。スレッド張力は、挿入管を通過する抵抗のため、最低でも0.12〔g/mm2 〕の張力がスレッドへ印加される。図6に示すように、張力が0.48〔g/mm2 〕以上であれば反転が防止できることが解明された。図3に示すように、スレッドはボビン幅方向に精度良く巻かれており、端部Aから中央部Bそして端部Cへと順次巻き出し、端部Cまで到達すると方向を変えて中央部Bそして端部Aへ巻き出している。図4に示すように、その時の長網上でのスレッドにかかる巻き出し張力は、ボビン幅方向の端部A及びCでは、スレッドの最初の拘束点との巻き出し角度A及びBが大きく、抵抗の増大により張力が大きくなっていたが、張力調整機構を設けることにより、図5に示すように、張力の変動幅が小さくなることが確認できた。図8に示すように、スレッドに印加する張力が、0.12〔g/mm2 〕から0.96〔g/mm2 〕の範囲では用紙上のスレッド伸び率が10%以内となり、この範囲であれば、損品となりにくく、これが最適な張力であると判明した。
【0015】
【発明の効果】
本発明は、長網抄紙機のスレッド挿入装置に張力調整機構を設け、この張力調整機構によりスレッドに適度な張力を印加することにより、スレッドの蛇行を減少させると共に、スレッドの反転を防止することができる。
【0016】
また、本発明においては、スレッド切断検出手段1Cを設けて、スレッド切れを検出した場合は、即時にスレッドの供給を停止する機能を有するので、スレッド切れによる故障の程度を最小限に抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の長網抄紙機のスレッド挿入装置の構成図である。
【図2】本発明の長網抄紙機の長網のシェーキング、蛇行及び捩れ並びに反転の状態を示す図である。
(a)長網抄紙機における長網のシェーキング動作を示す図である。
(b)長網抄紙機における長網のシェーキング動作により発生するスレッドの蛇行状態を示す図である。
(c)長網抄紙機における長網のシェーキング動作により発生するスレッドの反転状態を示す図である。
【図3】本発明のスレッドが捲かれたボビンからスレッドが引き出される状態を示す図
である。
【図4】本発明の長網抄紙機のスレッド挿入装置において、張力調整機構を使用しない
場合のボビンの巻き出し位置と張力との対応関係を示す実験データの図である。
【図5】本発明の長網抄紙機のスレッド挿入装置において、張力調整機構を使用した場
合のボビンの巻き出し位置と張力との対応関係を示す実験データの図である。
【図6】本発明の長網抄紙機のスレッド挿入装置において、張力調整機構を使用し、ス
レッドに与える張力と反転発生回数との対応関係を示す実験データの図である。
【図7】本発明の長網抄紙機のスレッド挿入装置において、張力調整機構を使用し、スレッドに与える張力と蛇行量との対応関係を示す実験データの図である。
【図8】本発明の長網抄紙機のスレッド挿入装置において、張力調整機構を使用し、スレッドに与える張力と用紙上のスレッド伸び率との対応関係を示す実験データの図である。
【符号の説明】
1 張力調整機構
1A ボビン
1B ボビンブレーキ
1C スレッド切断検出手段
1D 張力測定装置
1E 張力測定センサー
1F ボビン回転制御量算出手段
1G 安定ローラー
2 スレッド
3 スレッド挿入管
4 紙料縣濁液
5 長網
6A スライス板
6B スライス板
7 用紙巻取りロール
Claims (5)
- 長網抄紙機により紙層中にスレッドを挿入する長網抄紙機のスレッド挿入装置であって、
スレッドが捲かれたボビンと、ボビンから引き出されたスレッドをその管内を通過して長網上の紙料懸濁液中に供給するスレッド挿入管と、ボビンとスレッド挿入管との間に、スレッドに所定の範囲内の張力になるように調整する張力調整機構を設けたことを特徴とする長網抄紙機のセキュリテイースレッド挿入装置。 - 前記張力調整機構は、ボビンの回転を制御するボビンブレーキと、スレッドの張力を測定する張力測定手段と、前記張力測定手段が測定した張力値が所定の範囲内になるようにボビンの回転を制御する前記ボビンブレーキのブレーキ量を算出するボビン回転制御量算出手段と、からなることを特徴とする請求項1に記載の長網抄紙機のスレッド挿入装置。
- 前記張力測定手段は、ボビンとスレッド挿入管との間に、スレッドの張力を測定する張力測定センサーと、張力測定を安定させる複数のローラー群と、からなることを特徴とする請求項2に記載の長網抄紙機のスレッド挿入装置。
- 前記所定の範囲内の張力は、スレッドの断面積に応じた略0.12〜1.58〔g/mm2 〕の張力を印加することを特徴とする請求項1又は2に記載の長網抄紙機のスレッド挿入装置。
- 前記張力測定手段が極端な張力の減少を測定した時は、ボビン回転制御量算出手段はスレッドが切断したものと判定して、前記ボビンブレーキを作動させて前記ボビンを停止することを特徴とする請求項1、2又は3に記載の長網抄紙機のスレッド挿入装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002352634A JP2004183156A (ja) | 2002-12-04 | 2002-12-04 | 長網抄紙機のセキュリティースレッド挿入装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002352634A JP2004183156A (ja) | 2002-12-04 | 2002-12-04 | 長網抄紙機のセキュリティースレッド挿入装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004183156A true JP2004183156A (ja) | 2004-07-02 |
Family
ID=32754202
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002352634A Pending JP2004183156A (ja) | 2002-12-04 | 2002-12-04 | 長網抄紙機のセキュリティースレッド挿入装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004183156A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006119908A (ja) * | 2004-10-21 | 2006-05-11 | Toppan Forms Co Ltd | 偽造防止シート製造装置 |
-
2002
- 2002-12-04 JP JP2002352634A patent/JP2004183156A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006119908A (ja) * | 2004-10-21 | 2006-05-11 | Toppan Forms Co Ltd | 偽造防止シート製造装置 |
JP4704732B2 (ja) * | 2004-10-21 | 2011-06-22 | トッパン・フォームズ株式会社 | 偽造防止シート製造装置 |
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Legal Events
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A521 | Written amendment |
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A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20051216 |